how to survive a funeral make them suffer
MAKE THEM SUFFER / How To Suvive A Funeral (2020)

1. Step One
2. Falling Ashes
3. Bones
4. Drown With Me
5. Erase Me
6. Soul Decay
7. Fake Your Own Death
8. How To Survive A Funeral
9. The Attendant
10. That's Just Life

MAKE THEM SUFFERの3年振り、通算4枚目のアルバム。
Rise Recordsからのリリース。

オーストラリア出身のデスコア/メタルコアバンドです。
デスコア好きの間では割と有名なバンドではないかと思います。
2018年には初来日も果たしました。
デビュー時はオーケストレーションを絡めたシンフォ系デスコアを鳴らしており、WINDS OF PLAGUEなどと共通点を見出せるサウンドでしたがアルバムリリースを重ねるごとにデスコア色とシンフォ要素が薄れて、前作3rdはほぼメタルコアと言っていいほどにサウンドの軟化が進んでいました。
で、本作の話。
作風的には前作を推し進めたメタルコア系のサウンドです。
要所要所にデスコア時代の片鱗が見え隠れしてブルータルに落とすこともありますが、トータルではメタルコア感のほうが強いですね。シンフォ要素もほぼないです。
違いとしては本作のほうがより多彩である点。
本作の多彩さを特に象徴するのがクリーンVo主体の#9でしょうけど、#9を抜きにしてもデスコアやメタルコア、Djent、ポストハードコアにオルタナティヴメタルなどが混ざり合ったミクスチャー感の強さがウリになっています。そういった部分は最近のCRYSTAL LAKEっぽさも感じました。
そんなミクスチャー感を活かすように楽曲展開は入り組んでおり、楽曲内でもパートからパートへ移行すると雰囲気がガラリと変わることも珍しくないです。「さっきまで超ヘヴィだったのに急に優しげになったな」みたいなことがしょっちゅう起きます。ブラストビートやビートダウンを使ったテンポのメリハリも前作より良くなっているし、Booka Nile(Key,Vo)によるキラキラと柔和なKeyアレンジや透き通った女性クリーンパートはさらに存在感を強めるなど、なんかもう色々詰め込みまくってる。
MTSのアルバムの中では最も独創性の高いアルバムかもしれない。
が、アルバム通して面白いかというとそんなこともなくて、女性クリーンVoによるソフトなパートやKeyメインのアトモスフェリックなパートは確かに落差のある展開に一役買っているんだけど、その一方で必要以上に楽曲の雰囲気を緩慢にしているきらいもあって、諸刃の剣だなぁと。まぁそれよりもフックに乏しいメインリフや似通ったグルーヴパートが相変わらずだった点のほうが気になったんだけども。前作から一番改善されていて欲しかった点をそのまま引き継いじゃってるのがアレでした。

#1は切なげなアルペジオによるイントロの後、冷ややかなベールに覆われたグルーヴィーなブレイクダウンへ落とす2分弱の曲。。
続く#2は不穏なブラストビートや表拍で跳ねるアップテンポ、デスコアっぽく落とすスクリームパートなど目まぐるしく展開する曲。
#3はダンサブルなグルーヴリフをブヨブヨとウネらせるミドルから段々と疾走感を上げ、壮麗な雰囲気の中を歌い上げるクリーンパートへ展開する曲。
デロンデロンの鈍重リフをゆっくり這わせるスローテンポにホラー調のKeyを添え、優しい女性クリーンパートで落ち着く#4。
可憐なピアノ 〜 ブラストビートの奔流で始まる#5はメタルコアらしいザクザクした疾走感を感じるヴァースから女性クリーンVoでポップに締める曲。激情的に吠え散らかすスクリームと女性クリーンVoの対比が良い感じ。
#6は中東感のあるギターがヘヴィリフと絡むスロー/ミドルのヴァースからコーラスはKeyやクリーンVoを薄っすら被せてスケール感を高めている曲。
#7は圧の高いヘヴィリフを刻み倒すブレイクダウンとデスメタリックな突貫を行き来するデスコア/メタルコアナンバー。
タイトルトラックの#8は3rdあたりのBRING ME THE HORIZONみたいなデジタルみのあるアップテンポなメタルコアで攻め、急にエクスペリメンタルな空間演出の出現と共に女性クリーンVoがカットインしてそのまま淡いコーラスへと展開する曲。
#9は優しいギターやピアノがじっくりと混ざり合ったクリーンVo主体の曲。合いの手的なスクリームの入れ方が完全にスクリーモですね。
ラストの#10は鋭いメタルリフを刻む疾走感のあるヴァースからDjentっぽいブレイクを挟み、ブレイクダウンへ落とすデスコア/メタルコアナンバー。中盤ではプログレっぽい音使いやアレンジをみせたりと新味も感じます。

2nd以降続く「悪くはないんだけども…」感を本作でも払拭出来ず。
個性的なスタイルになってきているところは良かったんですけどね。

評価:★★★