兀突骨 / 因果応報 (2015)
1. 狂気ノ戦野
2. 因果応報
3. 地獄カラノ刺客
4. 裏切ノ報イ
5. 天下無双
6. 獄門
7. 覇王伝
8. 破軍星
9. 河越夜戦
10. 是非ニ及バズ
兀突骨の2年振り、通算3枚目のアルバム。
Bang The Head Recordsからのリリース。
日本のデスメタルバンドです。
前作リリース後、高畑治央(Vo,Ba)以外のメンバーが変わっています。
ライヴの前座で観たのをきっかけに気に入り、前作で初めてこのバンドのアルバムを買いました。
その後に1stも買って今回の新作を聴きました。
帯の謳い文句の"地獄デ自ラノ素行ヲ悔イロ"からしてなんかもう良い。
で肝心の内容なんだけども、前作とはちょっと違いますね。
1stから2ndにかけてはザクザクとした疾走感が研ぎ澄まされていたように思いますが、前作から今作にかけてはサウンドが現代的になっています。
ドラムは荒々しい突撃感からもっとスマートかつカッチリとした爆走になっており、ビートの鋭さに更なる磨きが掛かった印象。キレの良いスラッシュビートや時折挟むブラストビートなど、綺麗に纏まったドラミングがサウンド全体の質感を変えたと思います。
そしてギターの変化も顕著。
こちらもだいぶモダンになった。
ジャキジャキジャキだったのがギョギョギョギョってな風に、今までの粗く細かかった音の粒が一つ一つ大きく硬くなって形が統一された感じ。それでもリフの良さは変わらず。太い音で高速の刻みを披露し、楽曲を熾烈に彩っています。また、ギターソロも今までにない現代メタル的なテクニカルフレーズが頻繁に聴かれ、これもまた今作の新たな魅力。
前作も好きだったけど今のサウンドも良い。
甲乙つけ難いですね。
スラッシュビートとリズミックなベースリフで幕を開ける#1はスラッシーなグルーヴリフをブイブイ刻んで突貫するデスラッシュナンバー。ゴロジデグゥルェェェエエエエエエエ!!!ギターソロはオシャレなフレーズで爽やか。
キャッチーなリフ踊るアップテンポなイントロ ~ ツタツタツタ!とキレ良く跳ねるスラッシュビートの合間に邪悪なデスメタルリフ&ブラストビートによるけたたましい爆走パートを挿入する#2。
スラッシュらしいメロディを持ったリフを刻んで疾走し、コーラスは簡素な演奏でVoを際立たせる#3。ミドルパートはモダンなリフをウネらせて現代メタルっぽいグルーヴがありますね。ウァガミワァフジミー!!ギザマゴロズマデェ!!
ギター自体は明快な音だけどフレーズに凄惨な雰囲気を醸すデスメタル的なイントロ ~ DEW-SCENTEDとかのデス/スラッシュっぽさを感じるキャッチーな刻みの疾走へ展開する#4。途中途中でパターンをコロコロと変えてくる面白い曲。
中近東系のイントロ ~ スピードを抑えてカッチリと纏まったアンサンブルでゴリゴリとグルーヴするモダンな#5。この曲のストレートに熱いメロディを発散するギターソロはハイライト。
ギョンギョンと弾む厚ぼったいスラッシュリフで疾走する#6。ジーゴクーエオチーロー!!
ミナゴロシィィィィ!!!の掛け声と共にデスメタリックなブラストをかまし、デロデロのデスメタルリフを配したスラッシーな疾走へ雪崩れ込む#7。
#8は不穏だけどどこかポップなリフを刻むミドルテンポのデスメタルナンバー。
抜群のフックを備えたリフを楽しげに刻み、軽快なアップテンポで攻める#9。ギターソロはDjentとかのテクニカルメタル系を思わせるフレーズで新鮮。
バキバキのベースを震わせる疾走イントロからブラストを経て不穏さを滲ませる疾走デスメタルになる#10。後半は晴々としたギターメロディと共に正統派メタルのような勇壮さが出てきます。
全体的にサウンドが洗練されたことで、荒くれ暴君から智将になった。
信長系デスメタルから秀吉系デスメタルへ。
グロウルの日本語歌詞が明瞭になったことでしっかりと聴き取ちゃってちょっと笑っちゃうところもあったんだけど、楽曲は格好良いです。
評価:★★★★☆