the last stand
SABATON / The Last Stand (2016)

1. Sparta
2. Last Dying Breath
3. Blood Of Bannockburn
4. Diary Of An Unknown Soldier
5. The Lost Battalion
6. Rorke's Drift
7. The Last Stand
8. Hill 3234
9. Shiroyama
10. Winged Hussars
11. The Last Battle

SABATONの2年振り、通算8枚目のアルバム。
Nuclear Blastからのリリース。

スウェーデン出身のメロディックパワーメタルバンドです。
ヨーロッパでは既に確固たる地位を築いているこのバンド。
しかし日本でもLOUD PARK 15で圧巻のライヴパフォーマンスを披露したことで遅ればせながら人気に火が付き始めた感じがします。
Joakim Bróden(Vo)のムサ苦しい声質で歌われるエピックな歌メロ、日本人好みのメロディックなギター、キラキラとポップなKeyとサウンド的には日本でウケても何ら不思議ではないバンドだったので、ようやくといったところでしょう。
で、今作の話。
作風としては今までと変わりありません。
ミドルテンポ主体で熱いメロディを力強く聴かせていくパワーメタルです。
前2作もここで紹介してるしサウンドが変わっていないので今更言うことなんて特にないんだけど、アルバムの出来は前2作を大きく凌駕していると思います。
簡単に言っちゃえば1曲1曲の完成度が高いです。
どの曲にも分厚くてエピックなコーラスやSABATON節とも言える歌メロ、楽曲に新鮮な空気をもたらすキラーなギターソロ、ハッピーなKeyなど、SABATONがSABATONたる要素があって、なおかつ抜群の高揚感がある。
加えて今作の楽曲は良い意味でヴァリエーションが豊かなのでアルバムの流れにも起伏があり、1曲1曲の個性がしっかりと立っている印象があります。
今作もいくつかの楽曲にセルフオマージュ感があってメロディの似通りを指摘出来なくもないけど、単純に良いメロディなので前々作のような煮え切らなさを感じずに、すんなりと楽しめるのはとても良かったです。

ファンファーレ的なKeyやウゥ!!ハァッ!!コーラスでエピックに幕を開ける#1はゴツゴツのヘヴィリフを刻むヴァースからHAMMERFALL的なブリッジを経てSABATON節が炸裂する分厚いコーラスへと展開するスロー気味のメロパワナンバー。スパルタァ!!ヘラァス!!
ダンサブルなKeyメロを躍らせるミドルテンポにJoakimのムサくもポップな歌メロが絡む#2。リードギターとKeyによるハツラツとしたプレイが冴えた良曲。
ケルティックなパイプの音からメロディアスハード風のドライヴィンなアップテンポへと流れ、民族性の強い歌メロで意気揚々と進んでいく#3。レトロな音色のKeyやハードロックリフがSABATON流のメロパワに上手く昇華されています。
#4は語りとSEによる1分未満のインタールード。
デジタルなアレンジの施された灰色掛かったヴァースはゆっくりと燻るように進み、空高く突き抜けていく合唱コーラスで一気に明るく開ける#5。
軽やかなアップテンポに歯切れの良いメロディックな刻みと少しダークな歌メロを加えた#6。歌メロの(特にコーラスの)煽情性は他の曲に比べると少し落ちるんだけど、演奏陣のヒロイックなプレイの数々にグッときます。ちょっとPOWERWOLFっぽさもありますね。
#7はポップに跳ねるKeyメロと暑苦しい歌メロというSABATONらしさ満点のミドルテンポナンバー。ファンタジックなメロディを奏でるギターソロも素晴らしい。
シリアスなムードの重々しいアップテンポが印象的な#8。メロディが異国風で厳つい雰囲気を持つ、アルバムの中では最も地味な曲。ネオクラなソロが一番の聴きどころかも。
#9は城山の決戦を題材にしたアップテンポのメロパワナンバー。ポップなKeyとエピックな歌メロが合わさった、今作のハイライトと言ってもいいくらいに格好良い曲。
#10は「あれ?この曲、過去のアルバムにもなかったっけ?」と思うこと請け合いなスローナンバー。イントロのKey、静かなヴァースから派手なコーラスへの展開とかセルフオマージュ感がパネェ。
ラストの#11はメロハーちっくな哀愁を振り撒くKeyや歌メロがメタリックに盛り上がっていく演奏に乗っかったミドルテンポの曲。どことなくLORDIっぽさがあります。

トータルでも36分ちょいと何度もリピートしたくなるアルバムです。
今年のメロパワ系はTWILIGHT FORCEとこのSABATONばかり聴いてますね。
どっちも来日してくれや。

評価:★★★★★