left hand pass cannabis corpse
CANNABIS CORPSE / Left Hand Pass (2017)

1. The 420th Crusade
2. In Dank Purity
3. Final Exhalation
4. Chronic Breed
5. In Battle There Is No Pot
6. Grass Obliteration
7. Left Hand Pass
8. Effigy Of The Forgetful
9. Papyrus Containing The Spell To Protect Its Possessor Against Attacks From He Who Is In The Bong Water
10. The Fiends That Come To Steal The Weed Of The Deceased

CANNABIS CORPSEの3年振り、通算5枚目のアルバム。
Season Of Mistからのリリース。

US出身のデスメタルバンドです。
前作リリース後、Legion(Gt)が脱退。新たにTHE BLACK DAHLIA MURDERのBrandon Ellis(Gt)とSIX FEET UNDERのRay Suhy(Gt)が加入しています。
"カニコー"ならぬ"カナコー"の新作ですよ。
知ってます?CANNABIS CORPSE。
MUNICIPAL WASTEのLandphil(Vo,Ba)がCANNIBAL CORPSEのパロディバンド的ネーミングでほぼおふざけ感覚で始めたバンドです。
初期の2枚は本家CANNIBAL CORPSE愛に満ちたパロディともオマージュともパクリとも言えるデスメタルをやっていたんですが、3枚目あたりからネタが切れたのかこのバンドに対して本気になったのか、スラッシュュに通ずる切れ味鋭いリフや湿っぽいメロディ展開など、サウンドに多様性が出始めて単なるおふざけで片付けるには勿体無い良いバンドになった印象です。
ただ3rdを最後にWeedgrinder(Vo)という専任Voが脱退。Chris Barnes(Vo)にGeorge "Corpsegrinder" Fisher(Vo)のエッセンスを加えたかのような素晴らしい低音グロウルを持つVoを失い、4thからはLandphil自らVoを取るようになっています。でもこのLandphilのVoがね、ヴォイヴォイと野太さをウリにするタイプなので、前任者のような死臭がせずどうにも物足りない。決して悪いVoではないんですけど前任者のカニコーリスペクトなグロウルが好きだったのでね。
で、今作の話。
作風的には前作の延長。
未だにアルバムタイトルや曲名は有名どころのデスメタルバンドをパロってるけどやってることはガチ。
カニコーっぽさは断片的にちゃんと残しながらも、そこに固執することなく硬質なスラッシュ的刻みも冷たいメロディもなんでも自由に組み込んで作り上げているデスメタルです。
もはや初期のような腐乱死体系のグチャグチャ感はなくて、確かな演奏力とそれを助長するクリアな音質から生まれる整合感の高さがウリ。
リフが前作以上にモダンな質感に感じるのはやはりGtがチェンジした影響だろうか?冷酷さを感じる高音メロディの使い方なんかも若々しい…ってほどではないけど、こういうオールドスクール寄りのデスメタルにはミスマッチに感じる場面が多々ありました。

ネチっこい暗黒アルペジオでスタートする#1は冷たいメロディを纏いながらチャキチャキ疾走するデスメタルナンバー。スローパートなどではメロディが増加してデス/ブラックっぽい雰囲気に。
カニコー的なブラストをアクセントにビロビロのトレモロで疾走する#2。
グネグネと不快にウネるリフとミドル/アップテンポ中心のドラミングを組み合わせて自在に変化させる#3。
演説のSE ~ カニコーっぽい爆走にモダンな分かりやすい邪悪メロディやテクデスリフなんかを加えて一捻りしている#4。
陰のメロディを含んだ刻みを配したスロー/ミドルで進み、ダッダッダッ!!と強いブラストを挟む中盤でちょこっとカニコー色が強まる#5。
尖った刻みでスラッシュっぽく幕を開け、そのままスタスタと疾走する#6。ブイブイと気色悪く刻み倒すリフがむっちゃ良き。
冷たいトレモロをリズミックに掻き鳴らすイントロやコーラスがとてもキャッチーな#7。ストイックにデスメタルしているんだけど、高音フレーズの使い方なんかはデスコアっぽかったり。
荘厳デスメタル要素の濃い前半 ~ カニコー系の残虐疾走に切り替えて小気味良くなる#8。
病的なアクセントを含む刻みでスタートする#9はグロさの強いスロー/ミドルテンポ中心の曲。
ラストの#10は軍隊ちっくな行進ミドルのヴァースから冷気を帯びたブラストへ展開するデスメタルナンバー。

前作と同じくらいの出来かな。
CANNIBAL CORPSEの新譜と間違えてこっちを買っちゃうといいよ。

評価:★★★☆