北海道労務サポートオフィス

北海道釧路市、社会保険労務士・行政書士事務所のブログです。

経験も豊富で能力も高いのだが、協調性がなく同僚とのトラブルが絶えない。結果として、業務遂行の足を引っ張ることに…。

「協調性の有無は個人の資質の問題」「そのうち当事者間で解決するだろう」「社員間の人間関係にまで会社が口を挟むのはどうか」そうした放任の姿勢、見て見ぬふりはいけません。職場規律の維持、業務全体の効率の低下は管理側の責任が問われます。指導・改善の努力も含め、然るべき措置を速やかに講じるべきものでしょう。

さて、協調性という個人的資質に関しては、評価は慎重に行わなければなりません。解雇まで検討するとなればなおさらのことです。休憩中に単独行動が多い。親しみに欠ける。飲み会に誘っても断られる。当然ながら、そうしたことを持って、職場で必要とされる協調性の不足と判断するのは不可能でしょう。

協調性の欠如が解雇事由に該当し得るとはいえ、当然ながら段階を踏んで対応すべきものです。業務遂行にはチームを組んで協力することが不可欠であることを指導し、改善の努力を促すことが必要です。協調性なるものを判断する基準が曖昧なだけに、注意・指導の経緯こそが解雇の正当性を明らかにするために役立ち、そして不可欠なものになります。

業務の遂行に支障をきたしていること。企業経営を危機に導く可能性があること。といった観点での評価が必要です。他の社員が不満を漏らすだけであれば、その事実を客観的に示しているとはいえません。チーム内での人間関係がうまくいっていない。その結果、納期が遅れそうになった。納品後に修正作業が多発してしまった。顧客からクレームが寄せられた等の具体的事実が必要になるでしょう。

どのような言動が、どのような結果として、どのように業務遂行に支障をきたしたかということを客観的に説明できるなければ、正当な判断とはみなされません。また、解雇以前、配置換えや配置転換も検討すべきものです。指導・教育をも徹底したが、それでも改善されなかった。そうした策を講じた上でなければ、正当な解雇とみなされないものでしょう。

大幅な遅刻ではないものの、5分・10分の遅刻はあたりまえ。30分から1時間程度遅れてくることも。「道が混んでいた」「電車やバスが遅れた」「忘れ物を取りに戻った」といった言い訳はもっともらしく聞こえるが、理由さえあれば遅刻は許されると考えているかの節がある…。さて、そうした社員にどう対処すべきでしょうか。

「業務に影響しなければ、少しくらいなら遅刻は構わない」と本人が思っている場合も少なくありません。また、それが常態化してしまうのは、「職務遂行能力はある(仕事はできる)のだから…」と管理側が大目に見るといった姿勢にも原因を求められるものでしょう。しかし、他の社員に及ぼす影響を考えると、好ましいことではありません。

遅刻はその理由に関わらず、決められた時刻に労務提供をしないという労働者の債務不履行です。遅刻への実務的な対処としては、遅刻した時間分の賃金をカットする方法があります。この場合、労働者にとって不利益処分(処罰としての減給)には該当しません。労働しなかった時間については賃金を支払わないという、ノーワークノーペイの原則です。加えて、減給処分等の処分を課すことも可能です。

ただしその場合、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は一回の額が平均賃金の一日分の半額を超えてはならない。かつ総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」とされている点には注意が必要です。

連続で減給処分となるようなら、他の処分、例えば出勤停止等が考えられます。それでも改善されないのであれば解雇も検討されるべきでしょう。「度重なる遅刻により、正常な労務提供がなされない」のであれば、解雇の理由になり得ます。ただし、段階を踏まずにいきなりそこに至るには問題があります。

会社には労働時間把握義務も含め、管理監督の義務があります。「勤怠に対して指導を続けたものの改善が見られない」という、客観的事実たる労務管理の実績を提示できなければなりません。タイムカード等による勤怠記録に加え、始末書の提出を求めるなど、遅刻の都度、会社が行った注意・指導の記録を残しておくことが必要になります。

いずれにせよ、部下の遅刻に対して、直属の上司は毅然とした態度をとるべきでしょう。「例え5分でも遅刻は遅刻」の意識を職場において維持すること。理由はともあれ、遅刻は勤務態度不良であることを一律に指摘し、注意を促すことが必要でしょう。

就業規則の全般的な診断ポイントです。

1.必要事項が漏れなく記載されているか。
2.現行の法律に適合しているか、法改正の内容が反映されているか。
3.適用範囲は明確に定められているか。
4.その会社の考え方や実情が反映されているか。
5.トラブルが起こりやすい事項についての定めがきちんとなされているか。
6.分かりやすい表現になっているか。

その後、「総則」「採用」「異動」「服務規律」「労働時間」「休憩」「休日」等、逐条的な診断をして行くことになります。さて今回は、そうして就業規則診断を進める中において目にすることが多い、注意すべき条文をご紹介したいと思います。

就業規則とは本来、会社の発展に応じて成長していくべきものであると考えます。広い視点に立った就業規則を常にオープンにし、必要に応じて労使で協議し重ねて改善していくことも重要でしょう。ご参考になれば幸いです。

(目的)
この規則に定めのない事項については、労働基準法その他の法令に定めるところによる。

就業規則に定めてていない規程のすべてが、労基法を含むあらゆる法令の定によることとなり、その規程が義務づけられてしまいます。

就業規則に定められている事項と同じ内容が法令にある場合には、法令、通達による解釈等が優先され、これらと異なる解釈・運用が認められないことになってしまいます。

(従業員の定義)
この就業規則はすべての従業員に適用する。


このような規程では、福利厚生制度や休暇制度等を適用する予定のないパートタイマーやアルバイト従業員にこれらの規定が適用されてしまいます。パートタイマーやアルバイト従業員に適用しない場合、その旨を明記する必要があります。

すべての従業員には管理監督者も含まれるため、労働時間等の制約を受けない管理監督者にも割増賃金を支払わなければならないことになります。「~については、第何条(何章)と第何条(何章)は適用しない」といった規定が必要です。

(採用決定時の提出書類)
採用が決定した場合には、戸籍謄本又は住民票の写しを提出すること。


戸籍謄本・抄本及び住民票の写しの提出は、これに替えて「住民票記載事項の証明書」の提出によることとされています(昭和50.2.17基発83号・婦発40号)。また、個人情報保護法により、個人情報を保護する目的で、その取り扱いが規制されています(平17.4.1施行)。

(試用期間)
試用期間中に従業員として不適格と認められた場合は、直ちに解雇する。

本採用拒否も解雇に該当します(三菱樹脂事件 最大判昭48.12.12)から、解雇に当たっての合理的な理由及び労基法上の手続が必要になります。

(試用期間)
採用後3ヶ月間は試用期間とし、試用期間中に従業員として不適当と認めた者は、その期間中にいつでも解雇する。


試用期間の開始後14日を超えて解雇するには、労基法の規程の通り、30日前の解雇予告又は30日分の解雇予告手当の支払いが必要になります。さらに解雇事由についての合理性、社会的妥当性が求められます。

(休日)
法定休日は毎週日曜日とする。


週休2日制を導入している事業所の場合、いずれの休日が法定休日となるかの問題がありますが、基本的には1週間連続で出勤した場合(変形休日制を採用していない限り)、最後の休日が法定休日と解されます。例のように法定休日を日曜日とした場合、土曜日の休日出勤者は2割5分の割増で、日曜日の休日出勤者は3割5分の割増という不公平が生じることになります。

(年次有給休暇)
年次有給休暇を取得する場合は、所定の手続により所属長に届け出なければならない。

通常は、事前に所定の様式に休暇取得日、期間などを記入して提出させ、会社は時季についての判断をします。「何日前まで」あるいは少なくとも「事前に」などを記載すべきでしょう。

(年次有給休暇)
年次有給休暇を取得しようとする場合には、所定の届出に利用目的を記載した上、あらかじめ会社の承認を受けなければならない。会社は利用目的がふさわしくないと判断したときは、承認しないこともある。


年次有給休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、とするのが法の趣旨であると解するのが相当である(白石営林署事件 最2小 昭48.3.2)。

(退職金)
退職金は、従業員が退職した後7日以内に支払う。

退職金は賃金に該当し、「労働者の退職の場合に労働者から請求があれば、7日以内に支払わなければならない」(労基法第23条1項)ものと定められています。ただし、就業規則に支払時期が定められていれば、その時季に支払うことで足ります。よって7日以内に支払う必要がなければ任意にその支払時期を定めることができます。

(解雇)
その他、やむを得ぬ理由から解雇の必要が生じたとき。


解雇の必要とはどのような場合か、解雇基準としては極めてあいまいです。

(制裁)
懲戒解雇事由に該当したときは、予告期間を設けないで即時解雇する。


懲戒解雇であれば簡単に解雇できると判断される可能性があります。懲戒を行うときは、弁明の機会を与え、事情をよく聴取するなど、適切な手続によるべきものとされています。

解雇とは、使用者と労働者が結んだ労働契約を、使用者側の意思で一方的に終了させることです。

しかし、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。(労働契約法第16条)」と規定されています。裁判所が長年かけて築き上げてきた判例法理、《解雇権濫用法理》を、法律の規定として明文化したものです。

この《解雇権濫用法理》は、2003年の労基法改正によって労基法第18条の2として明文化され、さらにその後、2007年に制定された労働契約法の中にそのまま移し替えられました(労働契約法第16条。労基法18条の2は削除)。これによって、解雇には客観的に合理的な理由が必要であるとの基本ルール及び判断基準が、法律の中に明文化され現在に至っています。

さて、解雇権の行使が権利の濫用に当たらないものであるためには、次の2つの要件を満たす必要があります。

1.解雇理由に客観的合理性があること。
2.その行使に社会的妥当性があること。


「客観的」とは、外部の第三者から見ても確認できる事実が、その解雇理由にあるか、「合理的」とは、理由の事実が真実で、解雇の正当な事由であるということを証明できるか、ということです。「社会通念上相当」とは、社会一般から見ても確かにそうだと思われる理由があるかということですが、これは時代によって異なるものでしょう。

平成15年の法改正によって、就業規則への「解雇事由」が絶対的記載事項となっています。この規定が未整備であっても、解雇権濫用に当たらない限りは、社会通念上相当と認められる場合の解雇は可能と考えられていますが、紛争を回避するためにも早急に規定を整備することが望まれます。

使用者の示す解雇理由が抽象的なものにならぬよう、解雇に至る詳細な理由とその裏付けとなる事実を確実の準備しておくことが重要になります。

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