「協調性の有無は個人の資質の問題」「そのうち当事者間で解決するだろう」「社員間の人間関係にまで会社が口を挟むのはどうか」そうした放任の姿勢、見て見ぬふりはいけません。職場規律の維持、業務全体の効率の低下は管理側の責任が問われます。指導・改善の努力も含め、然るべき措置を速やかに講じるべきものでしょう。
さて、協調性という個人的資質に関しては、評価は慎重に行わなければなりません。解雇まで検討するとなればなおさらのことです。休憩中に単独行動が多い。親しみに欠ける。飲み会に誘っても断られる。当然ながら、そうしたことを持って、職場で必要とされる協調性の不足と判断するのは不可能でしょう。
協調性の欠如が解雇事由に該当し得るとはいえ、当然ながら段階を踏んで対応すべきものです。業務遂行にはチームを組んで協力することが不可欠であることを指導し、改善の努力を促すことが必要です。協調性なるものを判断する基準が曖昧なだけに、注意・指導の経緯こそが解雇の正当性を明らかにするために役立ち、そして不可欠なものになります。
業務の遂行に支障をきたしていること。企業経営を危機に導く可能性があること。といった観点での評価が必要です。他の社員が不満を漏らすだけであれば、その事実を客観的に示しているとはいえません。チーム内での人間関係がうまくいっていない。その結果、納期が遅れそうになった。納品後に修正作業が多発してしまった。顧客からクレームが寄せられた等の具体的事実が必要になるでしょう。
どのような言動が、どのような結果として、どのように業務遂行に支障をきたしたかということを客観的に説明できるなければ、正当な判断とはみなされません。また、解雇以前、配置換えや配置転換も検討すべきものです。指導・教育をも徹底したが、それでも改善されなかった。そうした策を講じた上でなければ、正当な解雇とみなされないものでしょう。