2016年09月20日

第54期名人戦A級リーグ

第54期名人戦A級リーグ最終成績
優勝 神谷 俊介 五段 8勝1分
→挑戦権
2位 中山 智晴 七段 5勝1敗3分
→次期A級シード
3位 岡部 寛 九段 6勝2敗1分
→次期A級シード
4位 飯尾 義弘 八段 4勝2敗3分
→次期2次予選シード
5位 長谷川 一人 九段 4勝3敗2分
→次期2次予選シード
6位 小山 純 六段 3勝2敗4分
→次期2次予選シード
7位 松浦 浩 七段 2勝6敗1分
8位 久家 彰夫 七段 2勝6敗1分
9位 田中 寿樹 二段 1勝5敗3分
10位 丸山 保司 七段 8敗1分

改めて予選敗退していた神谷五段が出場した経緯を整理すると、
・シード権を持っていた大角九段が辞退
・前期4位の私が繰り上げシードに
・この時点で私が東日本地区予選を通過済であったため、その次点に繰り上げ出場権
・次点の玉田六段、次々点の三森九段が辞退
・次々々点!の神谷五段に出場権
と、たしかに奇跡的です。

で、神谷五段の成績は、
・東日本地区1次予選を辛うじて通過
・東日本地区2次予選で6名中5位の惨敗
・A級リーグをぶっちぎりで優勝
なのですが、私から見るとどれも波乱ではありません。
これが今の群雄割拠の連珠界です。
もっとも、当然ながらここに中村名人は絡んでいないので、五番勝負の結果次第では一人別格と再認識することになるかもしれませんが…。
名人中村、挑戦者長谷川or河村、A級シードは他に相楽or西園or奈良、というのが定番化していた時代とは、まったく違うのです。


純粋に、楽しみな五番勝負です。
57歳と22歳という年齢差もさることながら、久々に名人未経験者を迎え撃つことになった中村名人がどう戦うのか、神谷五段が3時間半という長い持ち時間でどう戦うのか、興味は尽きません。

で、私はというと、15年間のA級棋士歴の平均値を取ったような成績に終わりました。
久家戦の負けは、最後は大ポカでしたが、勝ちに行った結果際どく詰まない(と思われる)局面にしてしまった紙一重の勝負でしたのでやむをえません。
その悪い流れを食い止められなかった神谷戦の負けのほうが悔いが残りますが、わずか半月前に出場が決まった相手に研究手順を食らったのですから、一朝一夕で解決できた問題ではなさそうです。
ここ数年、曲がりなりにも作戦を立てて臨んだ対局をことごとく落としていました。
今期は丸腰のほうがかえってチャンスは大きいと分析し、本当に最低限の情報量で臨んだ結果ですので、覚悟していた部分でもあります。

中学生・高校生の頃の私には、働き盛りの先輩達が「連珠を打てる喜び」などとよく書いていた意味がわかりませんでしたが、最近の私はこれを体感しつつあります。
優勝を狙っての3位ですので、あまり嬉しくはありません。
しかし3日間連珠に没頭できる喜びを感じつつ一生懸命対局した結果、繰り上げではないちゃんとした(笑)シード権という形がついてきたわけで、頑張った結果が形になるのは何事も嬉しいものです。

また様々なアプローチを試しつつ、五番勝負の舞台に戻ってこられるよう頑張ります。
ぁ、対局者にはなれなかった代わりに今期は初の立会人となることが濃厚なので、五番勝負の対局者・立会人・記録係・時計係の全制覇を達成することになりそうです(笑)

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2016年08月25日

岡部九段の連珠教室-1 レポート

8/20(土) 14:00〜16:00
練馬区 生涯学習センター 第1・第2会議室
参加者:級位者5名(+丸田六段)

■冒頭挨拶
 連珠界のメンタリストこと私岡部が、この教室を通じて皆さんの打ち方を見抜き、それに合った作戦をお教えします。
 そして、翌日のあすなろ杯で好成績を残しましょう。
 (目的は冒頭に伝えるべき。)

■14:05〜15:15
・大盤で、参加者が一手ずつ順番に打っていく。
 (黒チームと白チームに分かれて勝負をするのではなく、1局の中で同じ人が黒も白も打つ方がよい。
 人数が偶数なら、四の止めを講師が代打ちするなど、何らかの方法で調整。
 そのほうが各自の打ち方を見抜きやすいため。
 このやり方だと1局に1時間ほどかかるので、集中力の観点から1局だけが推奨。)
・各自の目の前にも盤を用意して、基本的には大盤ではなく目の前の盤で考え、決まったら前に出てきて打つ
 (途中からは、符号で言ってもらうようにした。)
・特に性格が出そうな局面は、全員に手を聞く。
・初形は講師が指定。
 (短期決戦になりにくい初形がよい。今回は、峡月鶴の巣篭り。)
・打った後、必ずその手の理由を言ってもらう。
 (これが大事。打ち方を見抜けるし、理由のない適当な手を打たない習慣がつく。)
・よほど単純な頓死が出ない限り、参加者の手をそのまま採用し、もちろんせっかく発表してくれた理由も否定しない。

■15:15〜15:30
休憩

■15:30〜16:00
 部屋を2つに区切り、
・一方の部屋で、個人面談。
 各自に合った珠型と、その後の打ち方をごく簡単に伝授し、盤罫紙にメモしてもらう。
・もう一方の部屋で、難しい次の一手問題を、皆で協力して解いてもらう。
 (今回は、四追いフクミの妙珠を5人の力で見事正解!)

■翌日のあすなろ杯の成果
・2名…私の伝授した珠型で1勝以上を挙げ、3勝3敗。
・1名…私の伝授した珠型では勝てず、3勝3敗。
・1名…私の伝授した珠型で1勝以上を挙げ、2勝4敗。

⇒初回としては色々な意味で上出来だったのではないでしょうか。
  
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2016年06月20日

小林高一杯 ペア連珠大会 開会の挨拶に代えて?

 先ほどペア連珠大会についてツイートをしたのだが、言いたいことが山のように思い浮かんできた。
 現場での開会の挨拶は他にも適任者がいるだろうから、せっかくblogがあるのだしここに記しておこう。

 連珠世界誌4月号の追悼文にも記した、小林さんが創設した(ないしはリニューアルした)棋戦と、今年の状況は以下のとおりである。

・名人戦東北地区1次予選(4月開催済、出場4名)
・ペア連珠大会(6/26に西大島で開催、出場予定15ペア)※非公式戦
・東北東京対抗戦(7/24に練馬で開催、大量参加は難しいか?)※非公式戦
・東北選手権(10月に開催予定、大量参加は難しいか?)
・マスターズ(開催地立候補募集中)
・中段戦(開催地立候補なく、中止)
※他、仙台、郡山での定例会、オセロ・バックギャモンとの合同練習会など

 先日、10月の各種公式戦・定例会の計画を丸田六段と立てていたら、「連珠会ってこんな毎週開催されてましたっけ?」という話になった。
 連珠ファンの受け皿を作っていく動きとして、2001年に丸田六段の尽力で東京オープンの月1開催が定着したのとはある意味で対照的に、バラエティに富んだアイデアを自ら次々と実現させていったのが小林さんだった。

 ただ、あえて厳しく評価をするならば、小林さんの企画された上記棋戦の中で、現時点ではペア戦だけが圧倒的に賑わっている状況である。
 その理由を探ってみると、まずはもちろんペア戦には女性の参加が多いことが挙げられる。
 「やっぱり女性が集まらないとダメだよね」「うんそうだよね」で終わっていたのが今までの連珠界である。

 なぜ女性が集まるのか。
 ペア戦には私が1度も出場していないこと…というのは冗談として、上記の中で唯一、小林さんが複数人を運営サイドに巻き込んだのがペア戦なのである(主には、丸田六段とりんさん)。

 小林さんであり、丸田六段であり、私の最も悪い癖は、自分自身で何でもかんでもやってしまうところである。それでは限界があることを、皮肉にもペア戦の盛況が示しているように思えてならない。
 連珠会というのはルールの塊であり、好き勝手ルールを作りたければ、運営者になるしかない。
 一方で、連珠は運営者のためのものではないし、中村名人のためのものでもない。
 この相反しそうな2文を両方成立させるためには、皆が運営者になるしかない、というロジックになる。

 今週末のペア戦は、連珠が皆のものであることを実感する一日にしたいと考えている。
 そして出場者の方々には、どうか遠慮なく、ご自身が連珠会に何を求めるかを私たちにぶつけて帰ってほしい。
 さらに願わくば、それを一緒に実現していきたいものだ。
  
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2016年06月08日

水曜日のダウンタウン

 TBS「水曜日のダウンタウン」、ご覧いただいた皆様、ありがとうございました。

 私自身、影も薄く前髪も薄く、菅原さんの噛ませ犬としても弱すぎで、オンエア上は一言も発していない!という体たらくでした。
 が、連珠を知っていただく機会になったのでしたら、本当に嬉しいです。

 中村名人と私は、昨秋「天下一文道会」でタレントの杉村太蔵さん、女流棋士の竹俣紅さんとご一緒する機会に恵まれた他、過去に何度かTV出演がありましたが、20代の3人は今回が初めてでした。

 小山六段とは同郷同門の兄弟弟子で、私が小4で彼が小1の時からの付き合い。
 数年間の休珠を何度か挟んでいますが、昨年本格復帰していきなり名人戦や国際大会でも好成績を残しています。
 たしかに普段は、(小食とは言わないまでも…)大食いではありません。

 丸田四段も私が中1で彼が小6の時からの付き合い。
 今回の出演者の中では連珠での実績は劣りますが、一番オイシイところを持っていきましたね(笑)。
 なんと、諸事情により、当日急遽都合をつけて参加してくれたんです。
 現状、「アモーレ」あたりがライバルですが、今年の流行語大賞は「丸田四段」でいただきですね。

 神谷五段は今回の主演者の中で圧倒的に珠歴が短いですが、TVに映ったとおり昨年の世界選手権で4位に入った超新星で、連珠界には珍しいイケメン!であり欠かせない存在です。

 連珠棋士は皆イイ人、というのがよく伝わる放送だったのではないかと思います。

 実は私は連珠棋士5人で唯一のわんこそば経験者ということもあり、2年前に盛岡でもらった100杯超えの手形もインタビューで登場させたのですが、カットで残念(なんせ今回は4杯しか食べられずに負けましたからね…)。
 大食いの皆様もイイ人ばかり!で、私自身かなりの大食い番組ファンということもあり、「盛岡のあのわんこそば屋美味しいですよね」みたいな話もさせていただきました!

 お声掛けいただいたTBSテレビさんに感謝いたします。
 五目並べ(連珠)って、ルールがシンプルで決着も早いので、様々な形で盛り上がることができるのです。
 普及のためなら体張ります!(というコメントもカットされた)ので、このような機会がまたあると嬉しいです。

(公社)日本連珠社 理事 岡部 寛


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2016年06月01日

連珠版 人間vsコンピュータ-9(最終)

【最終局】
4黒 Yixin − 示白 エピファノフ
手数不明、引き分け

ep8-5 最終局、エピファノフがここまでの7局で出ていない浦月を提示し、Yixinが通常の白4と6題を提示したので、題数打ちでもよく出ていた形に進んだ。最近はやや下火傾向の浦月であるが、四珠交替打ちでも他の白4が出にくそうであり、題数打ちの知識に通じていれば比較的無難な提示珠型になりそうだと感じている。すぐに負けるリスクを減らすのであれば白8は9の三ヒキだが、エピファノフは強気の作戦選択であった。最後は打ちたい形を打った、というところか。黒17は下辺に手をつけて一旦緩めておくのもあるが、Yixinも最も直線的な手を選んだ。

ep8-4 私なら黒21で27にトビ三を打ち、続いて黒29にでも転がして左下を狙っただろうか。本譜黒21は気分の良い手ではあるが、結果的に白2・18・24の壁と白28・30・32の壁に挟撃されてしまった感がある。これは防ぎの手筋で、このさらに外側から攻められても、さすがに黒珠が連結するまでに時間がかかるので充分遮断できる。






ep8-2 実際、黒37と叩かれても白38と打ち込んで完封。ただここから崩れずにしっかり盤を埋めていけるのが、第4局でも見せたYixinの特長だ。勝ち辛くなった最初の段階で行なった黒33・35の四ノビも、必ずしも損ではない。エピファノフは早く右上の星のあたりに打ちたいのだが、うまく局面をリードされており無理はできない。最終的に残り2分まで頑張っているので、勝ち越しが決まっているし引き分けでいいや、という心境ではないことは容易に推察できるのだが。






ep8-1 最終盤になってYixinが黒79は85・87など不可解な手損をしているのだが、大事には至らず、そのまま引き分けとなった。思えば1999年の中村−メリテー6番勝負も中村名人から見て○●●△△△という星取で、最後が引き分けで終わるというのは、両者の力量差がわからないまま今後に楽しみが残る感じで面白い。

 最終結果はエピファノフの4勝2敗2分であり、見事な勝ち越しであった。Yixinも素晴らしい戦いを見せてくれた。このくらいの競った力関係でいる間が、見ている側もいちばん面白い。将棋の電王戦は、そこを見事に突いた企画で急速にファンを増やしてる。皮肉にも今日の対局で名人位を失冠してしまったが、依然として最多のタイトルを保持している羽生善治三冠が叡王戦に出場することもあり、今期も話題に事欠かないであろう。佐藤天彦新名人は実は前期の叡王戦は1回戦敗退であったので、今期はどこまで勝ち進むかも楽しみだ。

 ぜひ日本の連珠界でもこうした企画を行なって注目を集めたいし、それはこのたび就任した広報委員長としての責任にも関わってくると感じている。もちろん私自身、現役棋士として、未知の強い相手と打ってみたいといいう好奇心は強いし、だからさっそくYixinをインストールさせてもらった。しかし、実際に日本の連珠界で人間vsコンピュータを行なうならば、私が対局者の立場で登場するのは避けたい。現状として最後の砦といえるほど強くない私が、誰かに聞かれたわけでもなくこんなことを書くのは変なのだが、適材適所という意味で他の立場から盛り上
げたいと考えている。そんな妄想(現段階では)も楽しませてくれる、今回の8番勝負であった。
(完)
  
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2016年05月30日

連珠版 人間vsコンピュータ-8

【第7局】
示4黒 Yixin − 白 エピファノフ
●39にて黒五連

ep7-1 Yixinは第4、5局に続いて寒星を提示した。結果的に、寒星に限って言えば2勝0敗1分と、Yixinの得点源になった。白4での7題打ちであったが、白2との関連性が薄いため、黒有利の五珠がたくさん出てしまいそうである。私も連珠世界誌1月号にこの白4は紹介していない。ところが、エピファノフは白番を選択してしまった。本譜黒5は一見して遠すぎる印象ではあるが、白6と絡んでいったのではすでに劣勢を意識していたのだろう。白4が遊んでいる。

ep7-2 黒7と大きく構えて不満はなく、白8はやむをえない。黒9に白10とトビ三で取ったものの、黒11と止められてみると、白の剣先はソッポを向いており明らかに黒の形のほうがしっかりしている。白10は中止めをしても、同じように黒11とズバッと三をヒイて黒の逃げ足が速そうだ。



ep7-3 そして黒15がオシャレな決め手であった。すでにある程度戦力が整っているので、X点の三々禁をあえて呼珠で解消しようという発想は人間にはしにくいところだが、これが下辺の攻めの足掛かり作る絶好点になっている。もっともコンピュータなので、ドヤ顔するわけでもなく、論理的にここが良いという結論で打ったのではあろう。





ep7-4 黒21のトビ三が継続珠で、黒23もまたオシャレなノリ手となり、大差の局面になってしまった。Yixinが1時間53分を残す圧勝で2勝目。エピファノフは勝ち越しを決め、少々気が緩んだか、見せ場の無い不出来な一局であった。エピファノフも30分以上を残しており、時間つなぎが必要だったわけでもないのに、白30と露骨な「思い出王手」をしている。日本人の美意識からすれば疑問符のつくところであるが、逆に人間らしいといえば人間らしい、やりきれない気持ちが伝わってくる棋譜ではある。
  
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2016年05月29日

連珠版 人間vsコンピュータ-7

【第6局】
示黒 エピファノフ − 4白 Yixin
●39にて黒五連

ep6-4 本局はエピファノフが新月を提示した。新月はこれまでどの開局規定においても陰に隠れた存在であった。前局で敗れて余裕がなくなったため、Yixinにデータベースが少なそうな珠型を狙った、ということが考えられる。そして第6局にしてついに題数打ちでも見たことのない白4が現れたのだが、RIFの記録が正しいならば、本局で白4と題数(5題)を提示したのはYixinのほうであった。結果的にエピファノフが提示したA〜Eいずれも黒必勝だったようで、他に3の左の釘折れに打つのも有力そうだが、このような四珠交替打ち独特の局面にまで対応しているだけでも驚きである。
 
ep6-3
 たしかに黒5を残して白6と打ち、黒の追い詰めが無い上に白の連が3本集中している。一目、黒としても相当気持ち悪い形である。しかしこういう局面にはしっかりコツがあり、それに沿って考えれば恐れることはない。少し掘り下げてみよう。
1.常に自分の勝ちがあると信じる
 いきなりの精神論だが、私の長年の経験からしてこれが最も大切だ。
2.なるべく相手の模様に近づかない
 初段を目指す人の必修手筋といえるが、昔は桂馬の珠型の黒必勝定石を本で覚えることによって、この感覚を習得していたように思う。ただ、本で読んで習得するよりも、負けて体得するほうが効果的である。古典定石に触れていないであろうインターネット育ちの強豪が、ベテランよりもこういう点で鋭いのは、自由打ちの対局サイトで白番になったときに容赦なく黒必勝定石を打たれる経験が大きいのかもしれない。
3.ヨミの深さよりも広さを重視する
 もちろん全変化を最後までヨミ切るに越したことは無いのだが、「10手先くらい先の局面でどちらが先手になってるか」を、数多くのパターンについて洗っていくのがコツと考えている。そうするとヨミ抜けが少ない。エピファノフも、黒5や黒7の考慮中に本譜の終局図までをヨミ切っていたとは考えにくい。
4.連の価値は、「三を打てる箇所」で決まる
 先ほど白6までの局面について「白の連が3本集中している」と一まとめにしてしまったが、実際には2と6、4と6のような本当につながっている「連」と、2と4のような「一間トビ」、さらには「二間トビ」がある。通常、次に三が打てる箇所は
「連」・・・4ヶ所
「一間トビ」・・・3ヶ所
「二間トビ」・・・2ヶ所
である。ところが、本譜の2と4の一間トビは、黒5があるために次に三が打てる場所が2ヶ所しかない。このように次に三が打てる箇所の少ないものは、比較的容易に無力化させられる。

ep6-2 黒7とトビ三を打ち、黒9と組む。これにより、白の2と6の連を直接叩き、さらに2と4の一間トビが無力化した。白は残った4と6の連を活かして白10と三をヒイたが、後が続かないので大丈夫。白12と受けさせて、あとは仕上げを残すのみだ。






ep6-1 「三々は四三の卵」を地で行く黒17のミセ手が決め手になった(黒20のトビ三でもよかったのだが)。
 これでエピファノフの4勝1敗1分となり、本シリーズの勝ち越しが決まった。連珠界では初めて本格的に行なわれた人間vsコンピュータの企画で、いきなり人間が負け越したのでは、興ざめであろう。非常に価値の高い勝利だったと思う。
  
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2016年05月27日

連珠版 人間vsコンピュータ-6

【第5局】
黒 エピファノフ − 示4白 Yixin
○34にて黒投了

ep5-1 引き分けだった第4局に続いて珠型提示はYixinだったのだが、コンピュータにも「決着をつけてやる」みたいな考え方があるのか?連続で寒星を提示した。エピファノフが今度は白4と題数をYixinに任せたところ、白4も前局と同じとなる。ここで本シリーズで初めてエピファノフが黒番を選択し、黒5で前局と別れを告げての開局となった。黒7は三をヒキこむ手が多く、本譜は大舞台ではあまり見かけなかった手だが、エピファノフの本には3図紹介されている。しかしいずれも白8はAと打っており、ここからの対応が見ものであった。




ep5-2 黒9は反対のBもありそうだが、白Cとミセ手を打つのが絶妙のようで、本譜が正着と思われる。黒11に、白12は絶対。白12が反対だと、黒12と三々を解消してから14へ打つ常套手段があるためだ。以下手順に黒17まで下辺で好形を作り、エピファノフは気分上々だったのではないか。







ep5-3 白は18・20と連続で黒陣へ乗り込んでいった。ならばと黒は上辺に目を移し、黒21で白22を強要した後に黒23と叩いて好形を築く。ここで白24が相手を惑わせる、試合巧者のような三ヒキだった。エピファノフは広い下辺を重視して黒25と止めたが、堂々と白26と打たれて黒27と取らざるを得ない。白30まで収まってみると、第1〜3局とは違い、右辺にある白番Yixinの剣先3本しっかり連携している。黒にはすぐに攻めがないため、右辺に挨拶せねばならない状況になった。



ep5-4 黒31が当然のように見えて最終的な敗着となった。白32では他にも勝ち方があったようだが、最もカッコイイ四追いフクミで決めて見せた。コンピュータの成長を感じさせる一手で、黒33でいきなり多数の分岐があるので、従来は苦手だったはずのヨミ筋である。白34はおそらくあっという間に打たれたはずで、エピファノフも全てを悟って投了となった。

 ついに訪れたコンピュータ勝利の瞬間である。しかしここまでのYixinの打ちぶりを見ていれば、何ら不思議はない結果といえる。黒17までの局面でYixin同士を終局まで戦わせ、次は白18までの局面でYixin同士を終局まで戦わせ…と試してみたら、白勝ちか引き分けにしかならなかった。ということは、序盤の形勢判断においても、Yixinが少なくとも悪くはない選択をしていたといってよい。

 ノックアウトできる寸前のところでダウンを奪われた格好のエピファノフ。次局以降はどんな戦いを見せるのだろうか。
  
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2016年05月26日

連珠版 人間vsコンピュータ-5

【第4局】
示黒Yixin −4白エピファノフ
手数不明、引き分け

 引き分けではあるが、ついに人間側の連勝が止まった。

ep4-4 ここまで、白4と題数の提示はすべてコンピュータ側が行なっていたが、本局はエピファノフが行なっている。寒星なら、黒白選択権を得るよりも、愛用策であるこの白4を打ったほうが得策と判断したのだろう。ただし、昨年発行された同氏の本ではこの白4で重要変化がことごとく抜け落ちており、それを知っている者から見ると、その後の研究ないし情報収集でどこまで軌道修正できているか心配ではある。とりあえず、この白10までなら大丈夫そうだ。ちなみに黒5をこのように狭いほうに(意図的に)打ったのは私が最初ではないかと思うのだが、それを咎める意味でも、白10はかつて打たれていたAやBよりも面白いだろう。
ep4-3
 白14まではお互いの連を止めあう平凡な進行となった後、黒15と攻めっ気を見せたのに対し、白16・18と挟撃したのが好感触。例によって黒ばかり剣先・連を蓄えているものの、白がうまく連絡路を絶っている。黒21は実戦的な転戦の仕方ではあるが、黒珠の数が最も少ないところへ打ち込んでいるだけに、人間ならちょっと気落ちしそうなものだ。ところが、本局はここからYixinが実力の一端を見せることになる。コンピュータに気落ちは関係ない。





ep4-1 お互いに早い攻めが無いため、黒としても一応手番を持って大呼珠が打てる展開ではある。黒25と相手の心臓部に打ち込む一手を除いては、基本的に外へ回るように打っている。「外へ回る」というのは連珠の基本手筋でもあり、言い換えれば人間が無意識に使用する評価基準である。これをコンピュータの言語に置き換えるとどう表現されるのかはわからないが、結果として人間と同じような評価基準において着手を選んでいるのかな?、と感じさせる展開である。決して黒有利では無いものの、うまく反撃を食らわないように、白に外側を占められないように打っている。白もおとなしく追随するしかない。黒35も大呼手であるが、この期に及んでも白に目ぼしい反撃筋がない。




ep4-2 黒主導で盤面を埋めていく作業がさらに続き、ようやく黒71でゴメンナサイという手を打ったのだが、さすがに白が攻めるところは残っていなかった。ただし、Yixinに引き分け提案/承諾の機能はどうも無いようで、盤が埋まるまで打ったのではないかと思われるのだが、不明であるため本稿ではここまでとしておく。途中、人間なら先に黒49を打って白に逆止めを強要してから黒47と打ったほうが「気分がいい」としたものだが、コンピュータのYixinは現実的に、冷静に、手堅い手順を選んだ。

  
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2016年05月25日

連珠版 人間vsコンピュータ-4

【第3局】
4黒 Yixin − 示白 エピファノフ
○38にて黒投了


ep-3 第3局はエピファノフの作戦にまんまと嵌った形で、あっという間の終局となってしまった。白16と飛び出す一手が、エピファノフ自身も2013年の世界選手権決勝リーグで披露している妙珠。その後の研究にも抜かりはなかったようで、1時間57分を残しての快勝となった。

 実は本稿、名人戦東日本地区1次予選の会場で執筆しているのだが、2次予選進出をかけた最終局の佐藤清富七段−神谷俊介五段戦が寒星5題から盤端違いでこの進行になっている。

 最新形に詳しくない佐藤七段が気前良く嵌ってしまうのは仕方ないとして、バッチリ予習済のはずの神谷五段も苦戦中。本譜の下辺にあたる場所が狭いため、白16もノータイムでは打てず一手ずつ時間をかけていた。ついには即投了級の決め手を逃し、勝ちきれず攻守逆転寸前のところまでいってしまった。結果的には、時間を残していた佐藤七段がいつもの悪いパターンに環をかけたような酷いミスを連発して白勝ちになったものの、白16が打てれば誰でも勝てるというほど簡単ではないことはわかるだけに、この8番勝負においてエピファノフが勢いづいていることは間違いないようだ。

 ところで将棋界では、
第2期叡王戦に羽生善治名人がエントリーしたようだ
。叡王戦に優勝すれば、電王トーナメントで優勝したコンピュータと電王戦を戦うことになる。

 3月にアルファ碁の一件があり、羽生名人ご自身が5/15(日)にNHKで人工知能の特集番組でナビゲータを務め、5/22(日)には第1期電王戦二番勝負で山崎隆之叡王が2連敗を喫した。最高のタイミングでの発表といえるだろう。さっそく各種メディアが「羽生名人と人工知能が対局か」と色めきたっている。具体的には、羽生名人とponanzaが対局する姿を想像している人が多かろう。正直に言えば、私にもその映像が浮かんでいる。

 しかし、叡王戦では羽生名人といえどまず「九段予選」に出場せねばならず(羽生名人が予選と名のつく棋戦に出場するなんて、いつ以来なのだろう?)、持ち時間1時間一発勝負のトーナメント戦で5連勝し、決勝三番勝負を勝たねばならない。あるプロ棋士から「名人を持っていると、(七番勝負と日程が重複する)物理的に電王戦に出るのは無理」と直接伺ったことがあるが、いま行なわれている佐藤天彦八段との名人戦七番勝負がどうなるかも、大きく影響しそうだ。

 一方、昨今のコンピュータ将棋界をリードし、このたびの第1期電王戦でも見事連勝したponanzaとて、来年の電王トーナメントで優勝できる保障などない。特に最近は技巧という強力なライバルが現れ、なおかつオープンソース化されるそうなので、それを利用した強豪ソフトがひしめく可能性も低くない。

 こちらもまた人間vsコンピュータの勢力図がどのように塗りかわっていくのか、興味が尽きない。

  
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