能力についてのあれこれ

86.心身二元論を超える
「廃用性萎縮」と言うと普通は体の筋肉について使われる言葉です。

廃用性萎縮は、廃用症候群のうち筋萎縮の症状を指します。

しかし、その「葉廃用症候群」というのは、

廃用症候群は、「身体の不活動状態により生ずる二次的障害」として体系化された 概念で、その症候は、精神神経系に及び、日常生活自立度を低下させる。

とあるように、人の精神とか、生活力とかに及ぶものです。ですから、普通に言う体のことだけではありません。

先に挙げた老人とか幼児の問題についてもそうですが、それらはすべて脳の働きと結びついており、いわゆる精神に関わる能力とされることについても言えることです。

 年寄りであれば明らかに老人ボケという場合は頭の働きを問題にしているはずですし、 子供の学習障害であれば、知的能力の回復で、それも頭の、つまり精神である、こころのははたらきである、それがからだの使用、運動によって機能障害が克服可能であるということで、この点では「運動脳」に代表される、最近の脳科学による研究でも明らかになってきていると言えるでしょう。

 人は、意識しての行動を介して、脳機能に働きかける、それがそのまま知的機能や情動機能と結びついていて、その回復や発達につながるということです。
体の動きが精神的な能力と関わっているということを自分で経験したり、人の回復を見聞きしたりすることによって、いわゆる体と心の働きが一体であるということを経験することで、心身の分離という神話の克服につなげることが可能なるということです。

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85.はたらきの不使用がもたらすもの
 老化による能力低下とされているものの中に、実は老人扱いをされることによる、「廃用性萎縮」に似た、能力の不使用による不能化が非常に多いのではないでしょうか。
 それは老化に対する対策について触れた著作に目を通してみると解るのではないでしょうか。
老人だからということで、自分でやらない、周囲が肩代わりする、そういうことがいかに能力低下を引き起こしているかが解ります。そういったことについて、それらの著作が述べているのは、いろんなことを自分でやりなさいということなのです。一番解りやすいのは歩くということでしょう。とにかく、自分で歩きなさいと言うことです。それを自覚している高齢者のなかには、例えばエレベーターがあっても階段を歩くことを心がけている人がいます。
しかし、多くの高齢者は、「あなたは年だから」ということで、仕事から遠ざかる、つまり、行動から遠ざかる、そういう人が多いのではないでしょうか。

「あなたは年だから」というのは、「高齢だから」ということですが、別の意味での「年だから」といえるのが、子供たちに対する扱いです。この場合は、「幼いから」というので、いろんなことの肩代わりが行われる、いわゆる、周囲の過保護な扱いです。
 その結果の極端な例がさまざまな学習障害の例です。これは本人が何かのことで普通やるべきことを人に肩代わりされそのことによって起きる能力の発達の遅れる、更にそのことを基に、「あなたには無理だから」ということで「肩代わり」が繰り返される中で事態が悪化することにおきることです。
 ですから、こういう子供に対しては、むしろいろんなことを自分でやらせることです。ただ基本的なことから一つ一つ積み上げていくという配慮が必要ですから、学習で言えば目標の指示を誤らないようにすることです。

能力についてのあれこれ

84.老化と表現の衰え
 「姿勢を読む」ということが出てきたところで老化の話に触れておきます。
 姿勢と老化を合わせて考えると、すぐ思い浮かぶのは「腰が曲がる」ということです。
 そのほかにも老化による体の変化は、ここで言う無意識の体の表現というものと繋がっているところがあります。

 「老化」について考えるときにまだ押さえておかなければならないのは、老化と加齢の違いです。

 「加齢」は誕生から、どれだけの時間が経ったかを示すものです。 同じ年の同じ日に生まれた二人は、40年後、共に40歳になっています。 一方、「老化」とは、大人になって以降、加齢に伴い、カラダの機能が衰えていくことです。

 「体の機能が衰えていく」ということは、つまり能力の低下ですが、問題は「加齢に伴う」ということです。実は、その能力の低下はどれが加齢に伴うものなのか、そうではないかというのは極めて曖昧です。
 確かに多くの人は年をとるに従ってさまざまな能力が低下しがちです。しかし、中にはそうではない人がいます。極めて特殊な例として例えば中国での仙人とかインドでのヨガの行者とかの中に、百才を超えても若者に劣らない能力を保持している人々がいます。そういう人と普通の老人を比べたときに、加齢がもたらす能力の低下が何なの極めて曖昧です。
 「老化」と言われる能力の低下について、それが加齢と無関係であるとすれば、その老化についてその原因を考えることは、年齢に関係のない能力について知る上で大いに役に立つのではないでしょうか。
 未成年者いや若者におけるさまざまな機能の障害を考えるときに、実はその老化によるとされる能力低下の原因と共通するものが見て取れます。

その原因を考えることからみえてくるものの中で、能力を考える上で特に指摘したいのが、能力を使用しないことでおきる「廃用性萎縮」との取り組みと、「心身二元論の壁」を乗り越える事の重要性です。
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