続々とYouTube動画を配信しているニコラ・バルディル氏ですが、グリンカ作曲の「ルスランとリュドミラ」序曲をクラリネット用に編曲し、ニコラ・バルディル門下生が演奏した動画が新たにアップロードされました。


Maxime CONOIRさんはロシアをイメージして雪の降る森の中でエスクラを吹いているではありませんか。指が凍えて大変だろうにと思ったのですが、さすがにコンピュータグラフィックスだろうと思い直しました。演奏は全体的に素晴らしく、特にエスクラが正確なピッチでブラボーです。
ちなみに写真の名前の下に、MASTER 1 - FRENCH DAVY CROCKETT、マスターコース1年生ーフランスのデイビー・クロケットとあります。デイビー・クロケットとはなんぞやと調べてみると、19世紀アメリカの軍人で毛皮の帽子がトレードマーク、毛皮の帽子をクリケット帽やデイビー・クロケットと呼ぶようです。
マスター1年生のTomomi INOUEさん(トリュフ餃子の先生)の後ろにクリスマスツリーが見えるのでやはり季節は冬か?マスター1年生のFerran GARCERA PERELLOさん(雪のパエリア発明者)は部屋の中だが雪が降っている?謎は深まるばかりです。
Maxime CONOIR


この演奏を聞いて、オケ版原曲のクラリネットパートについて気づいた点があるので紹介します。オペラ「ルスランとリュドミラ」は1837年から1842年12月にかけて作曲され、1852年にエクトール・ベルリオーズ編集によりLeipzig: C.F.W. Siegelから初版のスコアが出版されました。また、1966年にゲオルギ・カーコール編集によりMoscow: Muzykaから改訂版のスコアが出版されました。

オケ演奏会のオープニング曲として序曲単独で頻繁に演奏されます。快活な曲想がオープニング曲にぴったりで、5分程度と短いこともプログラムに組みやすい理由です。また、メインとサブにチャイコフスキーなどロシア物の交響曲と協奏曲でプログラムを組む際、ロシア物の序曲の選択肢が少ないことも挙げられます。速く演奏できればできるほど上手いオーケストラと言われていて、どのパートも自分が足を引っ張るわけにはゆかないので頑張って演奏します。

ニ長調の作品でA管クラリネットを使用しますが、クラリネット用のパート譜では、次の譜例に挙げた2ヶ所(mf dolce の部分)にソロがあります。初版では音型がちょっと違い、最初はドーレドレドラ、2回めのドーレドシラドになっています。しかし、Muzyka改訂版では2回ともにドーレドシラドになっており、そのことを記したロシア語の注釈が付いています。また細かいことですが、初版の練習記号Bは中途半端なところに付けられており、改訂版では曲想の変わり目(ティンパニのソロ)に練習番号2として付け直されています。
ニコラ・バルディル編曲版ではMuzyka改訂版を採用しており、2回ともにドーレドシラドになっています。ちなみに、編曲版は原曲を半音上げた変ホ長調になっています。

譜例1. 練習記号Bあたりのソロ
Bソロ

譜例2. 練習記号Hあたりのソロ
Hソロ

Muzyka改訂版
Musyka版

改訂版の注釈
注釈