所属するアマオケの次期演奏会の曲目が次の3曲に決まりました。
 メンデルスゾーン作曲 『フィンガルの洞窟』
 ラフマニノフ作曲 『ピアノ協奏曲第2番』
 ドヴォルザーク作曲 『交響曲第8番』

ラフマニノフとドヴォルザークは何度か演奏したことがありますが、フィンガルの洞窟は初めてです。
フィンガルの洞窟では、クラリネットに次の譜面の202小節から始まる有名なソロがあります。問題は息継ぎの場所です。

FingalSoloBreath

楽譜通りに素直に吹けばで示した場所で息継ぎすることになりますが、フレージング的にこれで良いのか疑問が残ります。
dolceのついた小節とその次の小節は同じ音形の繰り返しで1セットになっています。クラリネットのソロで同じ音形の繰り返しがある場合、2回目はエコートーンと言って、音量をぐっと抑えて木霊のような小さな音で吹くのが暗黙のルールです。ヤッホー ヤッホーというように。消え入るようなppの出せるクラリネットならではの奏法です。
となると、このdolceの2小節の間の息継ぎは無粋になります。
次に、dolceの1つ前のpのついた小節に注目すると、ファーーミーファソとスラーで繋がっています。弦楽器で弾くならば譜面通り息継ぎなしで演奏できますが、これは利点であり欠点でもあります。声楽や管楽器では、息継ぎを入れてフレージングを明確にした方が生き生きとした表現となり、結果的に良い場合があります。
つまり、ファーミでフレージングを半休止し、息継ぎを入れてファソをアウフタクトと解釈してラーソファミー、ミラーソファミーというフレージングも可能です。それがで示した息継ぎの場所です。
先人の演奏を聴くと、の場所での息継ぎは半々であり、どちらを採用するか悩ましい問題です。

ちなみに、クラリネットのエコートーンを最初に取り入れたのはベルリオーズで、次の譜面に示す幻想交響曲第3楽章のソロの箇所です。これ以来、クラリネットのエコートーンは一般化され、マーラーも頻繁に採用しています。幻想3楽章はベートーヴェンの交響曲6番「田園」の2楽章の描写的な表現をオマージュしており、ひょっとしてエコートーンの元祖はあのカッコウの鳴き声なのかもしれません。
幻想3楽章solo