2005年11月10日

ホワイトカイマン

軟らかい白い殻の破れ目のにじむ血の
赤い味、甘い痛み
構わずに潜り込む
ささくれた硬い繁みの奥

目を開けて眠る夢の夜に降る月の光
背に浴びて動かない
透き通る鱗の波


さし上がる太陽の強すぎる熱い矢の
享けきれぬ過剰な恋
焼かれては身を投げる
冷たくて暗い泉の奥

目を覚まし気づく時の遅すぎる昼の日射し
忘れてた重い尾を引きずって水に帰る

  
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2005年06月24日

歌のうた

夜のしじま 冷気を抜けて ほら届いたよ
朝のひかり 鳥の歌も ほら届いたよ

聴いたこともないような素敵な音色 夢のよう

これもすべて何のせいか知ってる
けど教えない
口にするとひょっとすると消えてしまうかも
知れないから


とても静か こころの中 ほら揺れないよ
千の糸でつながったら ほら届いたよ

耳は広い空になり 素敵な景色映しだす

きっといつか消えた後も
いつでもすぐ呼び出せる
音と言葉 それから声
すっかり全部覚えたから


これもすべて何のせいか知ってる
けど教えない
口にするとひょっとすると消えてしまうかも
知れないから  
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What I saw

長い影がゆっくり回る
足元 乾いた砂
薄く張りつく

干涸びた眼は宙を見据える
まつ毛 肌に刺さる
足を取られた羽虫
飛び立てず

誰も見ない

水辺の草
葉の上 玉露
水晶映る向こう

出口
赤道
水脈
頂上
洞窟
海底
南極
オアシス
  
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2005年06月08日

タナトス

雲の隙間から見える空の色
そこだけ混じりけのない黒
あの空の一点へ
このノイズを抜けて真っすぐに辿り着くための
魔法

時間の厚い層に埋もれて錆びてしまった
取り返しのつかない壊れもの
記憶のはるか彼方、迫り来る夢の中
影を落とした遅い朝

  最後の一行はハミング
  ゼロに魅せられて1から9まで忘れてしまう
  影のない世界
  まぶしすぎて見えない
  窓の向こう


読み終えたストーリー
解いてしまったパズル
踏み荒らされた宝島
無数についた足跡
導かれた楽園
刻み込まれたエンドマーク


  最後の一行はハミング
  ゼロに魅せられて1から9まで忘れてしまう
  影のない世界
  まぶしすぎて見えない
  窓の向こう  
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2005年04月27日

きこえる?

きこえる?
色と光 言葉にならないもの

はり裂けた胸の音
きこえる?

あなたはどこに行くの?
あなたはどこにいるの?


誰に 何が 言える?


色と光 言葉にならないもの

はり裂けた胸の音
きこえる?

  
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2005年04月02日

美しい夢

美しい夢は まぶしく光に満ちて
遠く東から 風が長い尾を引く

美しい夢は 
目を閉じて見える
胸の鍵穴の向こうに眠っている


足元でそよぐ水を渡り、向こう岸に行きたいのに

わたしはひとりで靴を脱ぐ
川の水は冷たくそよぐ


美しい夢は またたく間に過ぎて
遠い記憶から時を超えて来る
夜を超えて来る  
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27

知らない間に行方不明
向かい合って殴り合う2匹の猿
幸せの糸口を手探りする
ホロスコープの無意味な忠告


行き過ぎる車
スピードメーター
高架をゆく電車
ゆれるパンタグラフ
自分で描いた絵を見てもわからない
出来合いのロマンス
間に合わせのダブルス  
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やすらぎの日々

途切れた世界に
憂鬱に、立ち止まれば
いつでも迎えに来る、歓びに近い苦しみ
思わず上げる小さな悲鳴
こんなことがいつまでも続く
やすらぎの日々


見慣れた夜明けに息を止め、
夢を見れば
瞼は自然に
死にたい様に落ちてゆく
とても、心地よい気分に酔いながら
こんなことが繰り返し続く
やすらぎの日々
  
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あなたはきっと星を見ない

らせん階段を13周昇って上まで行き止まった
宙に浮かんだ鳥カゴの中を
飛び立つことを夢見て座り込んだ昨日

いつものように、あきらめながら思った
この街で
泳ぐように歩くあなたは
きっと星を見ない



冷えた鉄柵と缶コーヒーと見下ろす線路と
命綱の携帯電話のとぎれとぎれの
振動が目を醒まさせる 夜の疑問から

いつものように、まるで同じこと思った
この街で
そんな風に笑うあなたは
きっと星を見ない


  黒い鳥が頭上を超えて 高いビルの光に重なる
  彼方へ往く鳥の影がこの瞳に落ちた時
  その意味が分かった


いつものように、まるで同じこと思った
この街で
そんな風に笑うあなたは
きっと星を見ないけど

  
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屋台の少年

今日は君を確かめに行った
台風がすべてを吹き飛ばした7月

終わりの予感
新しい空

こんな日にパトカーと救急車の赤いランプ

君の眼の中に映っていたのは
誰でもない、君だけだったんだね


明け方独り 傘さして歩いた
思ったより全然傷付いてない

積み上げた時間
忘れてくのが悲しくもない
消えかけのどこかでみた景色


切れてく雲
晴れやかな空

流れ去った、馬鹿げていた薄くついた血の跡

君の眼の中に映っていたのは
希望や夢や未来でもなく
他でもない、君だけだったんだね
  
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ムーンピース

昨日があなたをのみ込んで
今日にひとり生き残った
足元で時のさざなみが
藻屑と消えたあなたの代わりに静かに笑ってた

沈黙の中子猫は走る
運命のりんごが手から落ちる

月は夢を見せる
そこにないものを映す
いつからか目に見えないものを
見るようになってわたしはひとり

  
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