加熱式タバコの話をしたいと思う。もちろん加熱式タバコを推奨しようという類の話ではない。
非喫煙者の方にはあまり馴染みがない話なのかもしれないが、今国内のタバコ市場では、ビジネスの教材として非常に興味深いことが起こっている。

それは、破壊的イノベーションとそこでのマーケットリーダーを目指した戦いである。

前者では、加熱式のタバコは、その誕生からわずか2年たらずで、従来の火を使うタイプのタバコのおよそ10%のシェアを奪いとったという。日に日に増えていく喫煙所での加熱式タバコ率を見れば、その破壊性を体感することができるだろう。
ちなみに「あんなものを吸うくらいなら禁煙する」と言っていた人が、ころっと加熱式タバコに切り替えた事例を、私は何件も知っている。

後者においては、マーケットリーダーを争ううちの1社が「10年戦争」と表現したように、まさに今長く激しい戦いの火蓋がきって落とされたところだ。現状では、シェアの90%以上を獲得している先行の1社を、ようやく商品を投入し始めた2社が追従する構図である。

その中で各社がどのような戦略を取り、それがどのようにマーケットに影響していくか、おそらく将来のマーケティングのケーススタディに使われるだろう事例を、学ぶことができる絶好の機会がそこにあるのだ。

私はもう腹を括っている。
それをリアルタイムで観察するために、今日も明日も明後日も喫煙所に通い続けなければならないと。
そう、少なくとも後10年は。

キチ