2019年04月06日

オススメのジャズCD

「普段どんな音楽聴いてるんですか?」
ライブハウス等でお客様とお話をしていると、この質問の頻度は比較的多い。
過去の自分の感覚で言うと、一番多い質問は「ピアノはいつからやってるんですか?」ですね。
後は「好きな(影響を受けた)ピアニストは?」ですかね。

実は「普段どんな音楽を聴いているか?」「好きなピアニストは?」という質問は困る。いつも「う〜ん」と言って時間を稼いでから慌ててとりあえず間を埋めるために答えてしまう、というお粗末な答え。なので答えはいつも違うアルバムやアーティスト名を挙げてしまう。

なぜ困るかとういうと、ミュージシャンは皆そうだと思うが、あまりにも多すぎて、一つに絞れないのである。こちらとしては全部答えたいのだが、それらをマシンガンのように羅列していったら”いやいや、そんなマジなやつ聞いてないです”っていう空気になってしまうし、かといってNo.1を頭の中で決めていては、おそらく沈黙が20秒ほど続いて心配されてしまうだろうし。

毎回この葛藤があっての答えなので、過去この手の質問をしたことがある方は正直真に受けないでほしい(笑)

さて、前置きが多少長くなってしまいましたが、今回は要望もありまして「普段どんな音楽を聴いているか?」について、じっくり時間をかけてまとめてみようという回なのであります。

今からオススメのアルバムをご紹介していくわけですが、選考基準は”とりあえず思い付いたもの”です。選考時間は約5分。思い付いたものをメモを取り始め、ある程度の数になったところで止めました。じゃないといつまでも終わらないので(笑)時間もったいないし。”これは一生名盤としていつでも聴きたい”、”これは知らない人もいそうだから聴いてほしい”、”やっぱこりゃーすげー”、と思えるものを選びました。ぜひこれを参考にアルバムを手に入れて聴いていただきたいと思っております。今回はジャズ限定ね。

ジャズを勧める時、僕は”編成で選ぶ”というのもオススメしている。
選んでみると、どうも小編成に偏ってしまう。私はソロとかデュオが好きみたい。

まずピアノソロ部門。
1)The melody at night, with you / Keith Jarrett
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2)星影のステラ/ Chick Corea
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3)Alone / Bill Evans
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ですね。ソロピアノは聴いてて眠くなっちゃう、もしくは寝ちゃうっていう人いると思いますが、僕はそれで良いと思ってます(笑)。
正直、玄人好みというか、弾く人しかわからない凄さとかあると思います。大体のソロアルバムは流暢すぎて、その凄さに気付けません。でもそれで良いと思います。スムーズに流れていくということは心地よく聴けている証拠だと思います。1)は美しさ満載2)は少々難解で玄人向け3)は万人にオススメ、というまとめになるでしょうか。

デュオ部門。
4)People Time/Stan Getz&Kenny Baron
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5)Crystal Silence/Chick Corea
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6)The Silver Lining - The Songs of Jerome Kern /Tony Bennett & Bill Charlap
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4)は言わずと知れた名盤、サックスのスタンゲッツとピアノのケニーバロンのライブ盤。ケニーバロン凄すぎ。5)はヴィブラフォンのゲイリーバートンとピアノのチックコリアのデュオ。これはアルバムというより、アルバムの一曲目、”senor mouse”を聴いて欲しかったから入れました。これもよくある質問「好きな曲って何ですか?(これも困る)」と聞かれた時、”Stardust”と答えておき、心の中ではこの”senor mouse”なのである。チックコリアは一般的には”Spain”の作曲者で知られているが、僕はいつも内心嫉妬している。”senor mouseの方が名曲だ!”と。どっちも凄いんですけど(笑)。6)はトラックによってはドラムもベースも入っているのですが、デュオ部門に入れてしまいました。なぜならアルバム初めの方のデュオのビルチャーラップの伴奏が美しすぎるから。

後はバンド部門なのですが(括りが大きすぎる?笑)
7)Ode / Brad Mehldau Trio
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8)The road to you/Pat Metheny
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7)はピアノトリオで、「好きなピアニストは」と聞かれると私は”ビルエバンスブラッドメルドー”と答えるようにしているので、まずこれは選ばないわけにはいかないアルバム。ブラッドメルドーの凄さは一枚のアルバムではわからないと思う。ジャズファンの中でのメルドーの印象としては”変拍子の人”、”左手がよく動く人”、”(良い意味で)わけがわからん”、”ポップスをよくやる人”、等か?と思うが(勝手な推測)、この人は一筋縄ではいかない。2000年付近のジャズシーンの潮流を”変えた”というより”新たに作った”といった方が良いか。時にはバラードを美しく、スタンダードをストレートに、はたまた変拍子で斬新に、レディオヘッドやビートルズのアレンジで現代のスタンダードを開拓、セロニアスモンクを激しく分解し再生、個性的で現代的なオリジナル、バッハに傾倒…。まあ、個人的な思入れも強すぎるか(笑)。その中でも”個性的で現代的なオリジナル”の部分がよく表現されているのが7)だと思う。8)は時代的に少々古くなってしまったが、約24年前、私は作曲を勉強していてこのアルバムには相当影響受けた。この時代にジャズの勉強をしていた人は皆知っている(?)と言っても過言ではない。とにかく当時パットメセニーは”流行”った。ジャズと言いながらもメセニーのポップセンスが特に光っている名曲ぞろいのアルバム。「フュージョン?いやコンテンポラリーミュージックでしょう」、とジャンル分けも迷ってしまうようなポップで心地よいアルバムです。



最後に、癒されボーカル部門
9)It’s like this / Ricky Lee Jones
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ある時、入った雑貨屋で”On The Street Where You Live”という僕の好きなスタンダードナンバーが流れていた。その優しくふわっと包み込むような歌声が気になり、店員さんに思わず訪ねた。「今かかっているこのBGM、誰のCDだかわかりますか?」。店員んさんは「リッキーリージョーンズですよ。昔から歌っている人で結構有名です。」と答えてくれた。
”まじか、、こんなに有名なのに知らなかった。。”
すぐにタブレットで調べて恥ずかしくなった。”なんで俺こんな有名なの知らなかったんだ。プロなのに(笑)”と。まあ、世の中名曲、名演で溢れている中、こういう漏れている曲もあるでしょう。いや、かなりあるよ(笑)。
というわけで、この”On The Street Where You Live”が含まれているアルバムが9)。リッキーリージョーンズは他にも”Pop Pop”というジャズスタンダードばかり収録しているアルバムも出しているのだが、これも良い。ソフトでストレートにスタンダードを歌ってくれているので、とにかく何も考えずに疲れを取りたい時はこれを聴く。

以上ですが、9枚説明するだけでこの長さ(笑)。だから迂闊にミュージシャンに「好きなアルバムは」なんて聞かない方が良い(笑)。私はミュージシャンの中でも”曲聴いてる指数、知ってる指数”が相当下位の方だと自負しているので、それこそ上位の方に当たった場合、一晩飲み明かす、もしくはメモを片手に取材のようにガチで受け止める覚悟が必要だと思いますよ。

せっかく長文書いたから、アルバム聴いてみてね。感想も待ってます。

辺見優司ウェブサイト
http://jazz-yuji.com
こちらもぜひ覗いていってください!



humanresorce at 12:17│Comments(0)

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