2017年07月23日

台湾旅行記2017(最終日)

 最終日。
 例年、温泉に行ったり買い物をしたり最後の悪あがきをする。今年は台北から北に2駅行ったところにある雙連の朝市へ向かった。基本的に地元の人がその日の食事用に肉、魚、野菜を買い込む場所なので帰国用の荷物に詰め込めるようなものはほぼ望み得ない。
 それでも、活気のある市場独特の空気感をたっぷりと楽しめた。
 しかし勿論、市場見物だけが目的ではなかった。
 豆漿という、豆乳に似た飲み物があるのだが、この双連朝市近くにお気に入りの店がある。夏の暑い盛りではあるがホットで飲むのもなかなかに良い。朝食代わりにこれを飲んで帰ろうと足取りも軽く向かっていくと、店はシャッターが下りていた。
 どうにも今年は肩透かしが多い。
 飲めないと思うと空腹感が強くなるもので。雙連駅前に日本の『まいどおおきに食堂』雙連店があったりするが、ここもまだ営業時間前で入れなかったりすると余計に食欲が湧いてきた。

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 しかし、店を探して歩くにもすでに気温はかなり高くなっており。うろうろしているうちに食欲どころではなくなってしまう危険性もある。
 となれば地下に逃げるしかない。幸いにして雙連駅からは地下街が台北駅まで延々繋がっているので、ここを歩きながら、どこか良さそうな店で軽く食べようということになった。

 途中、日本でもおなじみヤマザキパンのお店があり、店内にテーブルも備えたイートイン可能だったのでここにした。
 コーヒーとパンで朝食を取っていると、店員さんが何事かを言いながらパンを棚に並べていった。あれは多分日本語で言うところの「何々パン焼きあがりました、どうぞ〜」なんだろうな、などと話しながら見ているとそれらしきプレートを値札の横につけていたので、おそらく当たらずとも遠からず。
 部屋に戻って時間ギリギリまで休憩し、チェックアウト。

 桃園行きのMRT駅にはインタウンチェックインと言って空港同様に航空会社に荷物を預け入れられる施設がある。
 今年導入されたばかりのこれを使ってみたくてわざわざホテルをシーザーパークにしたのだが、結論から言えば便利この上ない。20kg越えのスーツケースとおさらばして身軽になればもう1箇所くらい行ってみようかという気になった。
 とはいえ。
 温泉に入りに行くには気温が高すぎる。というかそもそも野外で何かをする気にならなかった。インドアで何かないかと探してみると、美食展というイベントが引っかかった。世界貿易中心(センター)ビルで開かれていて、距離としても手近である。
 確かに食には興味関心の強い私だが、それでもわざわざ貴重な帰国日の時間を割いてまで訪れようというのには理由がある。日本の鉄道会社がたくさん出展しているのである。
 美食展に鉄道会社がなぜ?と思われる方も多いであろう。答えはひとつ、駅弁である。もっとも、主目的は観光誘致であろう。JR東日本を初めとして駅弁のないはずの京浜急行や一畑電鉄まで出展しているのからも明らかだ。地元の台鉄や高鉄も負けじと軒を並べており、客引き用と思われる鉄道部品や切符の展示なども行われていた。

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 今では貴重な鉄道電話やタブレット、サボ等々オークションにかけたら高値間違いなしのレア物件の数々に私の目は大いに輝いた。
 また、香川県や山形県も観光誘致のためにかなり力の入った展示をしており、うっかりすると日本なのか台湾なのかわからなくなりそうだった。

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 このほか特筆すべきネタとしては細工菓子の展示コーナーにマリオがいたことであろうか。

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 本来であれば台湾各地の名物料理を食べられる屋台コーナーに突撃をかけて名残を惜しむところであったが、冗談にもそんなことを口走れないような長蛇の列が構築されており、名残の台湾メシは空港にて、ということになった。

 ということで会場から撤収し、目の前の台北101駅から台北駅へ出、桃園MRTに乗り換えて桃園空港へと向かった。
 36分の乗車時間、緑豊かな車窓を楽しみながら1週間の長旅もまだ足りないと感じてしまう己の業の深さをしみじみとかみしめていた。

husachiaki at 23:59|PermalinkComments(0) 旅行記 | 台湾

2017年07月22日

台湾旅行記2017(6日目)

 昨日分にも書いたとおり、この日は唯一予定の決まっている日だった。

 起床するとまず身支度を整えて台北の北に位置する港町基隆へと出発する。これは本当に短時間の買物行なので私一人である。時刻表を調べたところ鉄道よりもバスの方が早く着くのでQスクエアというバスターミナルへ向かった。
 広い受付カウンターに高雄、台南、台中、台東等々台湾各地の地名が行き先として並ぶ中、目指す基隆の文字が見当たらない。おかしいなと思い調べてみると、どうやらここからは出ていない模様。隣、と言っていいのかわからないが、もう一つの台北バスステーションから乗るようなのでそこを目指す。
 それらしい建物があったかと首をひねりつつ地図の通りに歩くと、MRT空港線の建物にひっつくように別棟がひとつ建っている。
 Qスクエアとは比べるべくもないが、目当ての基隆行きはちゃんとここから出ていた。
 ちなみにこのバスは事前にチケットを買う必要もなく、乗るときに悠遊カードをタッチすればOK。

 車窓から希望廣場と書かれた建物が見えた。懐かしいその名前は以前光華商場の駐車場で土日のたびに開かれていた農業物産市場と同じもの。もしかしたら場所を変えて再開したのかも知れないと思い、あとで行ってみようと心に決める。
 そうこうするうちにバスは高速道路に乗り、一路基隆へ向けてグングン進む。それこそ車窓を楽しむ余裕もないほどあっという間に到着してしまう。

 バスから降り立てば、目の前には基隆港が広がる。とっとと買い物を済ませて台北に戻らなければならないのだが、これだけはと思い、何度もなんどもシャッターを切る。

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 李鵠餅店というお菓子屋さん。この店の名物であるパイナップルケーキとイチゴケーキを各々40ずつ計80個購入。買いすぎだと思われる方もおられるだろうが、私の前にいた方はほっそりした女性だったが50ずつ、計100個購入していたのでこれでも少ない方である。店員さんも驚いたりせず慣れた調子で袋詰めしていた。
 その間に、お店の方の許可を得て店内も撮影させていただいた。感謝。

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 受け取るや否や、大袋を抱えて駅へと向かった。これは行きがバスなら帰りは鉄道、逆もまた然りという自分ルールによるもの。
 アップダウンのなかった旧駅舎から上って下りての新駅舎に変わったためひいひい言いながらホームへ。

 基隆〜台北間はあまり本数がなく、通勤時間帯を除けば普通列車のみであるし20〜30分に1本しか走っていない。走った甲斐あって間に合ったが、噴き出る汗が収まるまでしばらくかかった。

 帰りは各駅停車で45分の実にのんびりした小旅行。台北駅に着くと急いで部屋に戻り荷物を置いて、今度はふたりでMRT淡水信義線に乗り芝山駅へ。

 駅前に隣接する花博廣場で土日のみやっている『花博農民市集』という出張市場がお目当てである。この市場は産地直送どころか生産者直売なので毎年掘り出し物に出会えるありがたい存在。

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 勇躍して乗り込んだはいいものの、今年はどうしたことか烏龍茶を扱っているところが少ない。その代わりに増えていたのはコーヒーである。確かに台湾コーヒーは美味で好きだが、あくまで主目的は烏龍茶だったのでいささか面食らう。果物や蜂蜜なども魅力的だったが、メインがないのでは…。

 とりあえず教官珈琲というパッケージデザインが実に魅力的な珈琲を購入。軍帽かぶったおっさんのシルエットがトレードマークな上に英語名「Military Instructor Coffee」と書いてあるので単なる教師ではなく軍の教官がイメージキャラクターな模様。
 なぜこのような名前になったのか店番のおっちゃんに聞いてみたのだが、言葉の壁に阻まれて残念ながら答えは得られなかった。
 珈琲はいいとして、烏龍茶をどうしたものか。基隆へ行く道すがら、バスの車窓から見た希望廣場にそれこそ一縷の希望を賭けて行ってみることにした。
 場所はMRT板南線善導寺駅付近だったので電車を乗り継いでも行けそうだったが、迷った時のことを考えてタクシーで移動。
 スマホで地図を示せば運ちゃんは大きくうなずき、車は渋滞しらずのまま目指す希望廣場に到着する。

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 来てみてわかったことだが、希望廣場のほうが規模が大きかった。中を一周してみて、割合として烏龍茶の扱いが従来よりも少ないのはこちらも同様だったが、規模が大きい分絶対数が多いので期待はできた。
 とはいえ、基本的に毎回違う農家さんが出店するので参考にすべき情報が何もない。まさに一期一会。阿里山や凍頂といったいわゆるブランド品でなくとも美味しい茶葉はたくさんあったので、産地というのも当てにならない。
 数軒の茶葉取り扱いブースで試飲させてもらったり香りを聞かせてもらったり。言葉はうまく通じなくても、こちらが真剣に選んでいることは伝わって、これはどうだこっちもいいぞとあれこれ勧めてくれる。それはまるで出来のいい子供の自慢をする親御さんのようでもあった。
 良いものも多かったのだが、今回はとにかく値段が張る。良いものだとしても市中の店と同価であればそちらで買ったほうが次も同じ銘柄を探せるので、無理に市場で買わなくてもということになってしまう。
 出会いの面白さという点ではここで買ったほうが楽しいが、あくまで実用品として買っているので、そのあたりのさじ加減は難しい。

 出店しているところを全て回った結果、なんのラベルも表記もない150gの袋を一つ購入。400台湾元なのでそれほど安いわけではないが、まずは成果と言える。
 このほか購入したものといえば。野菜や果物を扱っているブースで美人腿湯麺というカップラーメンを売っていた。マコモダケというイネ科の植物があるのだが、その形を女性の太ももに見立てたようだ。
 これを売っているのが農家の若奥さんっぽい女性だったのでちょっとためらったが味への興味には勝てず購入。

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 帰国後食べてみたが、麺は普通の油揚げ麺だったがスープに独特のコクがあり、近所で売っていれば手の伸びるレベルではあった。ちなみに肝心のマコモダケだが、小さく刻んだレトルト品が入っているだけなのでスープの印象に紛れてしまって特に記憶には残らなかった。

 買い物を終えると、屋台ブースで三星名物のネギ餅を食べ、阿里山コーヒーを飲む。台湾でしか味わえないこの瞬間を今年も楽しめたことに感謝しつつ、ホテルに戻った。

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 ただ、これでめでたしめでたしにはならなかった。今回買えた分だけでは茶葉の購入量が圧倒的に足らないため、荷物を整理してから峰圃茶荘という老舗のお茶屋さんへ。
 ホテルから歩いて10分ほど。
 いつもは試飲をさせてもらいながら購入するのだが、この日は試飲用のテーブルが先客でいっぱいになっており、カウンターで現物を確認しながらの購入になってしまった。ただ、お値段は据え置きだったので必要最低量を超えて大胆に購入することができた。
 また、お茶請け用の菓子なども扱っているため、ここで職場や実家、友人への土産も購入。
 
 例年とはだいぶ違う形になったものの、なんとか望む方向に解決して何よりだった。しかし、茶葉については来年以降やり方を変える必要性を痛感させられた。

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2017年07月21日

台湾旅行2017(5日目)

 昨日の疲労はそこまで残らなかった。帰りが在来線特急だったのが良かったのだろうか。
 明日は台北市内でお買い物デーと決めていたので、遠出ができるのは今日まで。となると、お出かけ欲が満ち満ちてくる。
 ただ、昨日の今日なのではるばる遠くにというのは難しい。候補地リストを眺めていると、宜蘭の文字に目が止まる。そういえば初台湾以来11年、東部地域にはまだ足を踏み入れたことがない。

 ただ、昨日同様列車の指定席が確保できないと予定が立てづらい。

 時刻表を調べてみると9時20分発のタロコ号に乗れるとちょうどいい。JR九州の885系をベースにした振り子車両で、従来型よりも高速かつ快適ということで大変人気がある。

 ネットで検索してみると、どうやら空きはあった。急ぎ駅まで走って券売機にお伺いを立ててみると、なんとラス2。席は離れるが、乗れるだけでも良しとしなければ。

 乗れば宜蘭到着は10時30分と、なかなかに良い。

 この列車は2時間半前に彰化駅を発車してきているのですでに満席に近い乗車率。台北駅で多少の下車客こそいたが、その分当然のように乗り込んでいくので車内に空席は見当たらない。

 基隆方面との分岐駅七堵(厳密には隣の八堵)を発車すると次は宜蘭まで止まらない。
 鉄道よりあとに開通した高速道路は雪山山脈を貫いて台北から一直線に東海岸に及ぶため時間的距離的には鉄道が不利なのだが、このタロコ号が満席なことを見てもわかるように人気は高い。
 福隆駅を出て石城駅の手前で新北市から宜蘭県に入り、車窓に太平洋、というか東シナ海が広がる。いかにも南国の海という鮮やかな青に魅せられ、通路側の席だった私はデッキに出て夢中でシャッターを切り続けた。
 沖に見える島は亀山島というらしい。言われてみればたしかに大海原に横たわる亀のような姿をしている。

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 一瞬与那国島かと思ったが、さすがにそこまで近くはない。そういえばこの辺りは石垣島よりも緯度としては北になるはずで、少しばかり不思議な感じがした。
 楽しい楽しい撮影タイムも宜蘭への接近を告げる車内アナウンスでおしまいとなる。妻の座っている号車まで出向いて合流。
 宜蘭には定刻どおり到着。
 嘉義の時ほどではないが、やはり日差しは刺すように強く、ホームに降り立つと一瞬クラッとした。
 宜蘭駅はテーマパークのような駅舎で、理由はよくわからないがキリンがいた。ちなみに英名ジラフのことをキリンと呼ぶのは日本人だけで台湾では長頸鹿という名前になる。キリンは元々麒麟と書いて、霊獣を指す名前であったのを日本人がジラフを紹介するときに拝借したのである。

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 閑話休題。
 まずは駅から少し離れたところにある観光案内所に向かう。
 建物は宜蘭およびその周辺が名高い観光地であることを示すかのようになかなか大きい。中にはちょっとした土産物や飲み物なども買えるようになっている。
 無料配布の地図を調達し、検討開始。

 ほど近い三星はネギで名高く、孤独のグルメseason5でも登場している。が、気軽にいくにはいささか遠すぎるのでこれは断念。
 調べてみるとここ宜蘭は酒どころとして古い歴史を持つ土地で、宜蘭酒廠(工場)は100年を超える歴史を持ち、今なお稼働中という。中には紅麹を使った料理が食べられるレストランもあるとのことで、下戸ではあるが美味いものには目がない我々夫婦としては興味が惹かれる場所であった。
 また駅から酒廠に向かう途中にある宜蘭設治紀念館は日本統治時代の建物を再利用したものということで、酒廠に行く道すがらこちらに立ち寄ることも決定。

 宜蘭設治紀念館は旧宜蘭庁の長官官舎だった建物を利用しており、庭を枯山水にするなど当時の雰囲気を残してくれているのが興味を引いた。

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 建物の中では清王朝嘉慶帝の頃より現在までの宜蘭の歴史が展示されているのだが、ここで初めて上野公園の銅像でおなじみ西郷隆盛の息子菊次郎氏が宜蘭庁長官として赴任していたことを知る。ということはすなわちこの建物に住んでいたということでもある。
 ここの展示は数ある中でも特に菊次郎氏についての部分が手厚く、使用していた物品のみならず在任当時の新聞記事や亡くなった時の追悼記事、果ては彼の人事記録まで展示してあったのには驚いた。おかげで彼が西郷どんが奄美大島に島流しにあった際の子供であることや、西南戦争後に外務省へ入省しアメリカ公使館などで勤務していたことまで知ることができた。
 正倉院展などでもそうなのだが、我々夫婦はこの手の公文書にはやたら食いついて見てしまう。この手の一次史料を見るとやはり歴史マニアとしては大いに惹かれるものがあるのだ。
 屋内は畳敷きの板張り廊下で、とても台湾にいるとは思えない。枯山水の庭など眺めていると鹿児島の仙巌園にでもいるかのような錯覚に陥る。

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 ふらっと立ち寄るくらいの軽い気持ちだったのだが、かなり堪能できた。
 続いて宜蘭酒廠へと向かう。向かうも何も見てわかる距離にあるので迷いようもなく到着するが、そんな短距離でも歩けば汗は自然と噴き出てしまう。
 宜蘭酒廠。台湾で最も古い歴史を誇り、そして今尚現役で稼働している酒造場である。現在は規模を縮小しているので、展示施設や売店にレストラン、そして酒銀行なるものまであった。

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 さてどこから回ろうかとちょうど昼食の頃合いであり、レストランを探す。

 ちょっと奥まったところにあったのでうっかり手前にあるビールコーナーで済ましてしまおうかと思ったが、さすがにそれは思いとどまった。
 無事たどり着いたレストランは100人規模で利用できるほどに広く、ちょうど大口の客が引いた後で我々のほぼ貸切状態。
 紅麹チャーハンと三星ネギと牛肉の炒め物等計4品を注文。夫婦2人では量的にこれが限界。紅麹チャーハンは油っこくないのに独特のコクがあり、まさに本格中華。三星ネギは中華には珍しくシャキッとして歯応えが楽しい。また、見た目に比してさっぱりした食感であったのもありがたかった。

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 いずれの品も美味しかったのは間違い無いのだが、中華料理の常として警戒していたとおり量が多いので食べきるのにいささか苦労させられた。
 食べ終えると、腹ごなしを兼ねて敷地内にある『甲子蘭酒文物館』という酒の博物館へと向かった。階段を上っていくと目の前に『中國歴代酒器介紹』と書かれたボードがある。
 見れば甕、壺、爵等々の酒器がどんな形をしてどんな用途に使われていたのかを分かりやすく表にしてある。

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 今をさかのぼること15年以上昔の大学院生時代に『廣韻』という中国の古い辞書を現代中国語と日本語に翻訳する作業をやっていた為、この手の展示には当時を思い出してついつい一人で盛り上がってしまう。当時この一覧表があったらどれだけありがたかったか。
 
 このほか、酒の作り方から酒にまつわるあだ名(酒仙、酒鬼等)を持つ人物紹介、そして台湾で作られたビールやウィスキーの歴代缶やビンも展示してある。じっくり見れば半日くらいは優に楽しめそうだったが、そうもしていられないので駆け足気味に巡る。
 このほか、特筆すべきものとしては酒銀行などというものもあった。
 ここには買った酒を預けることができるとのことで、てっきり飲み屋のボトルキープみたいなものかと思いきや、解説を読むともっと情緒のあるものだった。
 そもそもの由来は、子供が生まれると酒甕を仕込み、娘ならば結婚式で息子の場合は志望校合格や就職決定の祝いの会でそれを割って振舞うという習慣からきているとのこと。
 そのほかにも小学校の卒業記念に酒甕を預けて成人式や同窓会で割るなどという使い方もあるようだ。今は金庫がいっぱいで長期間の預け入れはできないようだが、なかなかロマンがあって楽しい。
 わずか2箇所、しかも駅から徒歩圏内にあるところをまわったのみだが、結構充実していた。このまま台北に戻っても十分なくらい盛り沢山であったが、どうしてももう一箇所立ち寄りたいところがあったので互いの体調確認をした上で寄り道を決めた。
 それは礁渓という街で、宜蘭から鉄道でふたつ戻ったところにある。ここもまた温泉地として名高い。この小旅行の締めとして、ここで温泉に入るのである。

 礁渓駅前には足湯広場があったりして、山陰本線の浜坂駅を思い出させた。
 この街には所謂日本式の入浴ができるところがいくつもあって、どこにしようか駅前の喫茶店で休憩がてら相談する。
 その結果、日本人の設計技師がいる会社に委託したというところに期待を込めて礁渓温泉公園へ向かった。森林風呂と書かれた看板の奥にある窓口で料金を払い、暖簾をくぐる。


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 中は屋根部分が少ない解放感溢れるつくりになっていて、いかにも南国の温泉地という楽園的雰囲気があった。その上お湯は比較的柔らかい肌触りで大変心地良く、人気があるのも納得だった。
 その後は公園のすぐ近くにあるバスターミナルから台北行きのバスに乗って戻る。
 鉄道より安いこともあり、あちこちでお勧めされているルートということで使ってみたが、リクライニングシートで104元は確かにお値打ちだった。道中の車窓については寝てしまったので生憎と覚えていないが。
 この日の夕飯は昼食が盛り沢山だったこともあって特にこれといった希望が思い浮かばなかった。いくばくかの候補をあげてはみたがピンとこず、結局バスターミナルからの道すがらに胡椒餅その他の台湾小吃をあれこれ買って帰り、ホテルの部屋でお酒と一緒に美味しくいただいた。

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2017年07月20日

台湾旅行2017(4日目)

 前日前々日と保養に努めたこともあり、コンディションはかなり良い。いよいよ遠出のタイミングがやってきた。
 遠出といえば今年の希望の一つに「金門島に行きたい」というのがあったのだが、困ったことに飛行機の座席が確保できない。
 台湾入りする前からずっと毎日航空会社のサイトにアタックをしていたのだが、行きはともかく帰りである台北行きの午後便が空いていない。金門島に1泊して翌日の午前便で戻ってくるならともかく、日帰りしようと思うとどうしようもなかった。

 ダメなものは諦めるしかないので、旅行前に作っておいた候補地リストのメモを引っ張り出して可能な行き先を探す。
 その中に烏山頭水庫というダムの名がある。またの名を八田ダム。完成当時東洋最大の規模を誇り、嘉南平野を不毛の地から豊かな実りあふれる大地に変えたダムである。
 このダム周辺は結構な規模の公園になっており、敷地内にはダム完成に大きく貢献した技師の八田與一さんのユニークな銅像があることでも知られている。
 このダムに、新婚旅行以来11年ぶりに行ってみようということになった。

 前回は新幹線開通前ということで台南まで飛行機で飛んだ上、わざわざ1泊してから向かったのだが、今なら悠々日帰りできる。
 この旅行の前にちょっと気になる事件があったことも動機の一つとなり、行き先に決定。もし余裕があれば帰りに映画KANOで知られる嘉義か我々の大好きな林百貨というデパートがある台南に立ち寄ってみようというオプションプランも決定。

 行き方であるが、台北8時発の台鉄特急プユマ号に乗れば嘉義に10時31分の到着し、普通列車に乗り換えてダム最寄りの隆田駅11時21分に到着する。おそらくこれが最速。

 しかしこれは指定席が完売で断念。

 次善の策としては新幹線で嘉義に出て、台鉄嘉義駅までバスで移動。そこからやはり普通列車で入る方法がある。バスの乗り継ぎ時間がわからないのでなんとも言えないが、プユマ号で行くのと遜色ない時間で行けるはずだ。
 ダイヤを調べ、台北発8時21分発の613号に乗って行けば嘉義には9時48分に着くことが判明。

 身仕度を整えて部屋を出、駅へと向かった。窓口は大混雑なのでガラガラの券売機で目当ての切符を購入。大変スムーズで良かったのだが、機械購入だと座席が選べないのでB席C席並びになってしまいがちなのが残念なところ。

 毎年乗っているので新鮮味は無いが、それでも鉄道に乗るということは私にとって特別な時間なので飽きたりはしない。3人掛けの真ん中B席なので車窓もあまり楽しめないが、1時間があっという間に過ぎていく。定刻どおり高鉄嘉義駅着。

 連絡バス乗り場は駅前のロータリーにあったので迷うことなくたどり着けたのだが、台鉄嘉義方面のバス停とその逆方面行きのバス停とがほぼ同じ場所にあり、ちゃんと正しいバスに乗れるのかどうか不安になった。
 不安だったのは我々だけではなかったようで、台湾人のおばあちゃんも不安げな表情でいろんな人に何やら尋ねていた。

 実際、最初に来たバスは逆方面行きだったのでうっかり乗っていたらどうなっていたことやら。

 無事正しいバスに乗り継げて一安心。このあたりは新幹線が開通して10年も経つというのにまだ開発が進んでいない。おかげで車窓が大変ノスタルジック。

 そこにワビサビめいた何かを感じたので、カメラの設定をモノクロにして写真を撮り始める。いい感じになるものの、どうしても電柱と電線が写り込んでしまうためイマイチである。それを言ったら道路が舗装されている時点でモノクロ写真の時代とは噛み合わないのだが。

 そんなお遊びをしているうちに車窓は徐々に開けてきて、嘉義の市街地へと入っていく。嘉義自体は古くからある街ながら道幅は広く、建物も新しい。所謂新市街なのだろうが、こういう予想外もまた旅の楽しみ。

 快適なバスの旅はあっという間に終わり、10時半前には台鉄嘉義駅前に到着できた。
 これならば当初予定していた10時38分発の普通列車に乗れると勇んで飛び出す。短距離であるし切符は券売機で買えばいいだろうとタカをくくっていたら、何度入れても100元札が戻ってきてしまう。刻一刻と発車時刻が近づいてくるため、諦めて慌てて窓口へ走る。
 幸い先客が一人しかいなかったので無事隆田までの切符を確保できた。
 そんなこんなでホームにたどり着いたのは3分前。噴き出る汗を拭っている間に列車はやってきた。

 嘉義から台南の間というと、日本統治時代には砂糖の産地として名高くサトウキビ用の貨物路線も走っていた新營や牛乳のブランドで有名な林鳳營といった駅が有名で、豊かな農業地帯である。車窓一杯に広がる緑を焼かんばかりの日差しの中、列車は快調に走る。

 11時21分、隆田着。
 10年ぶりの隆田駅は駅舎がリニューアルされて、駅前にもロータリーができていて随分と小綺麗になっていた。そもそも前回来たときは道路が舗装されていなかったというのに。

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 そのロータリーで客待ちしていたタクシーに乗り込み「烏山頭水庫」の文字を見ると運ちゃんは大きくうなずいた後、日本語が印刷された紙を見せてきた。
 細かいことは忘れてしまったが、800元の定額で2〜3箇所回りますよ、という内容だったと記憶している。
 しかし我々は八田さんの銅像までたどり着けばあとは徒歩で回るつもりだったのでせっかくの申し出ではあったがお断りし、八田さんの銅像まで送ってもらいたい旨を改めて筆談で伝えた。

 運ちゃんは少し戸惑っていたが、最後は大きくうなずき車を発進させた。

 田園風景を快走すること15分ほど。烏山頭水庫の看板が見えてきた。
 ETC導入前の高速道路の料金所を思い出させるゲートで入場料400台湾元(二人分)を払うと日本語と繁体字併記の折りたたみ式リーフレットを渡された。
 タクシーはそのまま山道を登り、銅像手前の車止めまでつけてくれた。

 11年ぶりに来てみて、往時と大きく違うのは銅像及び八田さん夫妻のお墓近辺が立入禁止になっていること。これはおそらく先日起きた銅像切断事件の影響と思われる。

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 やむなく日本で調達してきたお供えをロープの手前に置き、手を合わせる。

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 最大の目的を果たせたので、あとはゆっくりとまわるばかりだ。
 銅像の少し先にはダム建設時に使用された蒸気機関車が展示されていた。ちゃんと日本語で解説されていたのでこれがベルギー製であることなどもちゃんと理解できた。

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 展示場所には屋根も付いていたので休憩もできて何よりだった。さすが熱帯。大して歩いていないのに休憩したくなるくらいに暑かったのである。
 機関車を離れ、ダムの堰堤上に作られた道を行く。人造湖の上を駆け抜けてきた風が心地よいのだが、それをかき消してしまうくらいに日差しが強い。もっと言えば強すぎて皮膚が痛い。

 本来であれば八田さんを偲びながら歩道をゆっくり行きたかったのだが、そんな生易しい暑さではなかった。太陽から逃げるようにどんどん進む。
 そんな状況ながら、ふと見れば歩道横に桜が植えられていた。そしてそれには木製のプレートが掛かっている。刻まれた文字は「情牽臺日 邦誼永固(友情で結ばれた台湾と日本、国同士の絆は永遠に強固である)」。見れば「李登輝 題」と書かれている。あの残念な事件とその結果を見たあとだけに、深く深く胸に刺さった。

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 ダムを建設する際に亡くなった方々を慰霊する殉工碑に手を合わせ、我々が来た時にはなかった八田與一記念公園へ行こうとしたが、途中まで行ってみたところで思ったよりも遠くにあることがわかり、たどり着ける自信がなくなり断念。あとで確認したところバス停一つ分以上離れていたので断念して正解だった模様。

 どこへ行くというよりもそろそろ戻らないと戻れなくなりそうな状態にまで疲弊していたので休憩場所である旅客サービスセンターを目指す。雪山登山のように細かくビバークしながら、どうにかこうにかたどり着けて、ようやく本格的に休憩。売店でポカリスエットを調達し、気力体力が蘇ってきた。

 ここでタクシーを呼ぼうかと算段していたのだが、そのために入れたアプリがうまく使いこなせずどうしたものかと思っていたところ、ふとパンフレットを見たら台鉄新營駅行きのバスがあることに気づく。
 今度は台湾のバスアプリを起動すると、20分もしないうちに新營行きのバスが来るようだ。バス停は入場ゲート前にあるようなのでそこまで歩いていかなければならないが、休憩とポカリのおかげでどうにかなりそうだった。

 ゲートまではほぼ全て下り坂なので帰りの方がはるかに楽で、無事バスより早く入場ゲートまでたどり着けた。料金徴収係のおばちゃんにバス停の場所を聞くと「すぐそこにあるが、暑いからここで待て」的なことを言われて木陰で待つ。

 待つというほどの時間も経たずにやってきたのはマイクロバス。狭い車内だが、冷房が効いているのでそれだけで十分だった。

 新營駅前のバスターミナル着。
 ここ新營は先述したとおり日本統治時代から糖業の街として発達しており、特急の自強号も停車する大きな駅だ。
 窓口で14時43分発の基隆行き自強号の切符を台北まで購入。ひとり650台湾元。新幹線が台北〜嘉義間で1080台湾元だったので4割安い。
 その分スピードで劣り台北駅着が18時30分と4時間弱かかるのだが、嘉義で高鉄に乗り換えてバタバタするよりのんびり行った方が気楽である。そして何より、この乗車で台湾国鉄縦貫線全線及び山線制覇になるのが嬉しい。

 昼食をまだ取っていなかったので、駅構内のセブンイレブンであれこれと買い込む。中でも面白かったのは台湾カゴメのパインジュースで、思い切りカタカナで「パインジュース」と書いてあった。

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そのほか、エビ天おにぎりやアスパラガスのジュースなども買い、量的には昼食として十分と言えるだけになった。

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 構内には駅弁の売店もあったのだが、昼食時間帯をとっくに過ぎていたこともあって既に完売していた。
 
 自強号は遅れなくほぼ定刻で入線してきた。
 乗り込むと車内はローカル線の雰囲気をたっぷりと匂わせている。縦貫線は台鉄における一番の幹線で日本で言えば東海道本線に当たるが、新幹線に客を取られてメインストリートからは陥落しているところも日本と一緒である。
 ただ、日本と違うのは新幹線と在来線の経営が別会社なので競争があり、こうして12両編成の特急列車も走っている。新幹線よりも遅い分、車窓もゆっくりと楽しめる。それが嬉しい。

 嘉義を過ぎたあたりで車内販売が回り始めるが、弁当は積んでいなかった。乗務員のおっちゃんは私だけでなく数人から弁当の有無を聞かれては「没有(メイヨウ。「無い」の意)」と答えていた。
 
 台中駅で積み込んだようで、発車後しばらくすると車販のおっちゃんから「便當(ビェンタン 「弁当」の意)!便當!」の声がする。
 ダンボールに詰め込まれた弁当が飛ぶように売れていくのを見て、つられて私も買ってしまう。おにぎり2つでは物足りなかったというのもあったが、夕飯のことを考えれば勇み足であった。

 中身は白ご飯の上に煮卵、味付き豚肉、青菜に漬物でこれぞ台湾メシともいうべきラインナップ。そして、出来上がって間もないのであろう、ほんのりと温かい。漢民族は習慣的に冷たい食事に抵抗感を覚えるため駅弁も温かいままで売るのだそうだ。

 さして空腹でもなかったのに、実に旨い。おかずもさることながら米がいい。台湾の米というと池上米や蓬莱米が知られているが、残念ながら食べて区別がつくほどの舌は持ち合わせていないので分からない。ただ、ふっくらと炊き上がった米がおかず各々の味をいっぱいに吸い込んで、これだけでも食べられるくらいに旨い。

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 腹がくちくなると眠気に襲われる。初めて乗る路線、しかも台湾なのだから寝ている場合ではないのだが、睡魔というのは実に手強く抗いがたい。うつらうつらしているうちに都市と田園風景とが入り混じった景色が流れていったのが朧げな記憶として残っている。
 17時16分新竹着。台湾のシリコンバレーと呼ばれる一大工業地帯なのでどんな駅前だろうと思ったが、我々の席から見えたのは車両基地だった。これはこれで鉄道マニアの私にはありがたいのだが。


 そしてその新竹駅に併設された車両基地では普通列車用車両が1編成、職員によって手洗いされていた。日頃洗車機を見慣れているせいで実に新鮮に映った。
 17時18分、新竹を発車。乗車時間はいよいよ残り1時間半を切った。
 亜熱帯に属する台湾では7月でも既に豊かな実りの時期を迎えているので、車窓に見える田んぼはもう豊かな黄金色で満ちていた。
 しばらく走ると陶器の街鶯歌に差し掛かり、車窓が一変する。日本にも陶器の街でよくあるように、例えば中央本線の多治見〜土岐市間に見られるような陶器工場や焼き物のディスプレイなどが目につくようになる。
 ここを通過すると、もういよいよ台北市内も目の前だ。
 板橋駅の手前で地下に潜ってしまうのでもう車窓は楽しめない。アナウンスを聞いてもよくわからないので台北のひとつ前、萬華駅を通過した時点で席を立つ。どちらの扉が開くかはわからないが、
 18時30分、定刻どおり台北駅に到着。4時間弱乗っていたが、疲労感はほぼ皆無。もっと乗っていたいほどだった。

 とはいえ、休憩は必要だったので部屋に戻り、仮眠を取る。
 目がさめると夜9時過ぎだった。本来であればどこかで夕飯をというところだが、小腹が空いた程度だったので、軽く何か食べて済ませることにした。
 遠くに行くのも面倒ということで台北駅地下にあるミニフードコートに行き、モスバーガーで台湾オリジナルであるレモンチキンタルタルバーガーを食べた。

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 台湾のマヨネーズはアメリカ式で甘ったるいのだが、このタルタルソースは甘くなくクドくなく、甘酢とよくマッチしていた。台湾産と思しき緑のレモンも酸味がきつくなく、チキンにかけても良いがそのまま食べても美味しかった。

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2017年07月19日

台湾旅行記2017(3日目)

 温泉とマッサージの効果は如実に現れ、遠出ができそうなコンディションになってきた。
 しかし、まだ無理はやめておこうということになり、比較的近場に絞って本日の行き先を検討する。
 近場で行きたいところというと、真っ先に浮かんだのは総統府。アメリカで言うところの大統領府であるが、パスポートさえ持っていけば外国人である我々でも見学させてもらえる。ここは滞在しているホテルから徒歩圏内。
 強い日差し対策を万全にして出発。台湾銀行本店の道を挟んだ向かい側にそびえるのが元台湾総督府にして現中華民国総統府。

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 9時から開始ということなので少し前に到着するように歩いたのだが、たどり着いた時には既に長蛇の列が出来上がっていた。
 留学生っぽい一団や政治家の支持団体っぽい一団がずらりといる上に、後から後から人数が増えていく。挙句に列の最後尾が2つある。どこに並んでいいのか、何の案内もなく表示もない。日陰のない場所で当てもなく立っていると非常に心身ともに消耗したので20分ほど並んで諦める。
 さて、どうしたものか。とりあえず次の行動に移すにしても、ガイドブック等を置いてきたので一旦部屋に戻って練り直すことにした。
 こう暑くてはあまり外をうろつく計画は不向きだということになり、候補は二つに絞られた。片方のインドア企画故宮博物院見学は下手をすると外以上に消耗する可能性があったため却下となり、もう一つの烏來行きが採用となった。
 烏來。昨日行った行義路温泉とは方角的には逆の南にある温泉地である。しかもこちらも行義路同様高地にあり、台北市内よりは多少の涼を楽しめるだろう。

 ということで我々は部屋を出て台北地下街経由で北門駅に向かい、MRT松山新店線に乗った。これで終点の新店まで行き、さらにここからはタクシーに乗り換える。新店から烏來へはバスも通ってはいるのだが、バスの始発の台北駅からだと渋滞に捕まるが新店からだと混雑して座れないとの事。
 ゆえにここからタクシーで行くのが一番合理的なのだとか。

 料金もメーターではなく定価であり、渋滞等に気兼ねせず乗れるのも嬉しい。
 市街地を少し行くと徐々に道がウネりはじめ、それにつられるように標高も上がっていく。かと言って悪路ではなくしっかり整備がされているので車窓を楽しむ余裕もある。
 山と川と緑が織りなす景色は絶景という程ではないかもしれないが、道中が退屈知らずになるくらいには見事だった。
 変化に富んだ眺めのおかげで楽しいドライブはあっというまに終わり、タクシーは烏來老街(旧市街)の入口、ビジターセンターの前で止まった。
 谷に掛かる小さな橋はガイドブックで何度も見た覚えがあるので、ちょっと感慨深くなる。しばし眺めを楽しんでから街の中へと進む。

 旧市街なので街並みは実にこじんまりとしている。それは良いのだが、歩道としか思えない狭い道を当然のように車が入ってくるのは驚いた。それでも3台目が来た頃には平然と避けるようになったのだから、人間何事も慣れは大切だ。

 歩いて少し行くと駄菓子屋があったので入ってみる。陳列されている商品は当然日本のそれとは違うのだが、デザインに共通するものがあって初めて見るのになぜか懐かしさを感じる。

 店を出て再び狭い道を歩いていると山側の斜面にある細い平面に猫が潜んでいた。餌皿が用意されていたので地域猫のようだ。スマホを向けても逃げなかったのである程度人馴れしているのだろう。

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 日本の温泉街でもよくあることだが、狭い道幅をさらに狭くするように食べ歩き用屋台が並んでおり、その匂いに食欲をそそられたりするのもまた楽しい。
 端から端まで歩き、どの温泉店にしようかと相談タイム。何しろこればかりは外からではわからないので、ガイドブックや各種サイトで紹介されている有名店の小川源温泉というところにした。
 ここはレストランが併設されているので昼食込みの料金でお願いする。

 平日ということもあってか先客はおらず、リバービューの一番良い席につくことができた。烏來老街と新市街を南北に割り裂く南勢渓は豊かな流れをたたえているが、最近は雨量不足でこれでも枯れ気味らしい。

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 空いているために料理は簡単なコースで肉と冬瓜のスープ、キャベツの炒め物、油淋鶏に白ご飯。味は高級店と夜市の中間くらいだろうか。ボリューム面で言えば入浴前なのでこのくらいがちょうどありがたかった。

 満ち足りた胃袋を抱えて風呂へと向かう。先客がひとりいたが、程なくして出てしまったので途中から私ひとりの貸切状態になった。
 ここも行義路温泉の川湯温泉と同様に日本方式で水着不要なのがありがたい。行義路と違うのはお湯質で、ここは炭酸泉で刺激は少なめだった。長く入って楽しめるタイプ。4つの浴槽と打たせ湯があり、また給水機が設置されていて適宜水分補給ができるのもありがたかった。
 風呂好きの割にはじっとしているのが苦手で長湯をあまりしない私だが、ここではのんびりできた。
 
 湯温はそれほど高くなかったのだが、炭酸泉の効果か湯から上がってもなかなか体温は下がらず、休憩室代わりになっているロビーで扇風機を使わせてもらい、また冷茶のサービスを受けつつ涼を取る。

 街中に戻ると、汗が吹き出てくる。ラムネが置いている店を見つけた。2本購入すると店内の椅子を勧められた。歩きながら飲もうと思っていたが、せっかくのご厚意なのでここで飲ませてもらうことにした。

 瓶に思い切り「ダブル」「ラムネ」と書かれているのは日本人観光客向けだからだろうか。ちなみに繁体字では「彈珠汽水」と書くようだ。
 ちょっと強めの炭酸。有馬のように温泉由来の炭酸水かどうかまでは分からなかったが、風呂あがりの、しかも炒りつけられるような暑さの中で飲むラムネは格別だった。

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 続いて立ち寄ったのがご当地の先住民族タイヤル族の博物館。規模は小さいが展示は工夫されており、また土産売り場もなかなか充実していた。分けても独特のセンスでデザインされた織物は実に魅力的で、妻が友人への土産物として購入していた。
 また、タイヤル族は首刈りの風習を持っていたのだが、そういった過去の風習についても隠すことなく丁寧に解説されていたのは大変よかった。

 ちょっと立ち寄ってみただけのはずの博物館で割と時間を使ってしまい、出た時にはぼちぼちと戻る頃合いになっていた。
 帰りは始発で座れるということもありバスにした。同じ道を通るので山道がウネっているのは行きと変わらないが、タクシーよりも席の位置が高いので車窓の眺めは一段と良い。
 案じられた乗り物酔いも発生せず、むしろ涼しい車内で爆睡してしまい、危うく乗り越してしまうところだった。
 降りる手前で目が覚めて、無事新店駅で下車。ここから再びMRTに乗る。

 出発した北門駅で下車したが、そのままホテルには戻らず迪化街へと向かった。この迪化街は古くから続く問屋街で、今でも漢方薬や布地の卸をやっている店が多い。そこで働く人や客を目当てにした飯屋も点在し、日本の飯テロドラマ『孤独のグルメseason5』にも登場している。
 この問屋街でドライフルーツを大量に仕入れて帰り、帰国後はそれをちまちまと食べては台湾を偲ぶのが毎年の慣わしのようになっている。
 店も決まっていて、黄永生參藥行でパインを六安堂參藥行ではマンゴーを買うのだが数が多すぎていつも倉庫に取りに行ってもらっている。
 今年は例年と違い、パインが輪切りではなく細かくかっとされたものになっていたり挙句台湾産のパインではなくタイ産のものに切り替わっていたりしたが、このあたりの有為転変は世の習いとして粛々と受け入れるのみ。
 せっかくだからと他の店を覗いてみたところ台湾産のドライパインもあったが、結構なお値段になっていたので購入断念。

 という感じで一応目的を達したので本来であればホテルに戻るところだが、以前から気になっていた店がこの近くにあったので立ち寄ることにした。
 そのお店とは森高砂珈琲店という大変珍しい台湾産珈琲の専門店。豆を売っているところは増えたのだが、こうしてお店で飲めるところはまだ少ない。
 妻は古抗、私は国姓郷の豆をどちらもホットコーヒーで注文。ここの店はアイスコーヒー向けにブレンドしているとのことで、わざわざテイスティング用に試験管に入ったアイスコーヒーも用意してくれた。

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 まずはそのテイスティング用のアイスを一口。
 美味い。酸味は抑えめで、後味さわやか。日本で飲むといくらになるか分からないが、こういう珈琲を出す店があればきっと流行るだろう。
 加えて、お茶請けとして注文したフルーツケーキも絶品だった。このケーキのためだけに店を訪れても良いくらいには美味。
 ホットの方も香り高く、これはこれで十分美味。思わず自分用の土産としてドリップ式のものを購入するくらいには気に入った。

 その後はドライフルーツを大量に抱えているのためタクシーでホテルに戻った。

 部屋に荷物を置くと、再び迪化街へと向かった。今度の目的は買い物ではなく夕食。上述の孤独のグルメseason5に出てきたお店を目指す。

 ちなみに該当回では永楽担仔麺と原味魯肉飯の両店が舞台だったが、妙に惹かれて後者の方へ。年齢的にハシゴ飯とかはもう出来ないので、前者の店は来年の楽しみとしてとっておくことにした。

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 悩んだ末に注文したのは筍絲(メンマ)と青菜、魯肉飯に下水湯。下水湯という字面がインパクト大だが、要は砂肝のスープ。これに具の砂肝に付ける用の辛味ダレがセットで出てきた。

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 このタレ、ドラマの中で主人公井之頭五郎がスープに入れていたため真似してスープに入れる人が続出し、店主のおばちゃんが日本語の分かる人に注意書きのメモを作ってもらったとのこと。

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 私もこっそり入れてみたのだが、正直この辛味ダレはスープに入れた方がコクとメリハリが出て美味しいと思った。
 
 食べ終えてから店内にある収録後の記念写真等を撮影させてもらった。原作者の久住昌之氏率いるバンド『スクリーントーンズ』も訪れたことがあり、そのメンバーの写真もあった。
 
 帰途、小南門に立ち寄って豆花を購入して部屋に戻り、デザートとした。移動距離としては少なかったが、食の面ではなかなか充実した日となった。

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2017年07月18日

台湾旅行記2017(2日目)

明けて、台湾2日目。実質初日の朝。
 今回は朝食を抜きのプランにしたので、予め買い置きしていたバナナと飲むヨーグルトでさっと朝食を済ませてしまう。
 今日は移動の疲れを取るべく、温泉へ行くことにした。ひと口に温泉といっても台湾各地にあるが、疲れを取るのに遠出をするのもいかがなものかということで一番近い行義路温泉郷へ向かう。

 台北駅からMRT淡水信義線に乗って石牌駅へ出て、そこから路線バスに乗り換え、行義路三バス停下車すれば、すぐ目の前には温泉郷が待っている。

 ここには温泉に入れる風呂屋自体はいくつもあるのだが、我々のお気に入りは川湯温泉。日本風の作りで海外であることを忘れさせてくれるスタイルと、そしてなにより入湯券200台湾元の半券が入浴後に中の食堂での支払いに使えるのがありがたい。
 朝を軽く済ませたのはここでの昼食をがっつり行こうという腹もあった。

 とは言え、夫婦二人なのでそれほど量は食べられない。チャーハンに鱸の蒸し物ネギソースがけ、青菜炒めとおまけの握り寿司6貫の計4品で限界。
 これでもかなり頑張ったほうで、量的な面で言うなら正直寿司は頼まないほうが良かったかもしれない。
 味的な面で言えば、どれも実に美味かったので悔いは微塵もない。
 特に鱸の蒸し物は絶品で、中華料理の系統としてはさっぱりめな味なので風呂上がりに向いている。贅沢を言えばこれに白ご飯と漬物があれば言うことはないのだが、それはさすがに高望みというもの。

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 強い満腹感に包まれ、「好吃了!(ごちそうさまでした)」と拙い言葉で謝意を示して店を出た。
 暑い。高台というか山あいにあるので湿度はそれほどでもないが、とにかく日差しが強い。スマホに入れておいた台湾のバス運行状況アプリによると乗るべきバスが間もなくやってくるようなので頑張って坂道を登る。

 我々がバス停に到着するとすぐにやってきた車両に乗り込み、石牌駅へ戻る。
 次に行くべき場所が特にあったわけでもないので、MRTで芝山駅から高島屋へ立ち寄ることにした。 
 本来であれば無料送迎バスがあるのだが、バス停が見当たらず、探す気力も湧かないほど暑かったのでタクシーを使う。
 
 着いてまず地下のフードコートへ行き豆花を食べつつ休憩と今後の相談。最初はコーヒーにしようかと思っていたのだが、移動中に満腹感が落ち着いたこととここの豆花屋が寧夏路夜市の近くにある名店・豆花荘だったことで予定変更となった。

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 回転寿司屋とかカレーのCoCo壱番屋とか北海道ラーメンとかに囲まれ、「どこだここ」感に包まれながら美味しく豆花をいただき、店内の情報を確認する。スマホというのは本当に便利で、ここにヤマハ音楽教室や関西ではおなじみのABCクッキングスクールが入っていたりすることもわかる。
 とりあえず紀伊國屋書店から行ってみようという結論に落ち着いた。
 ここの紀伊國屋書店は日本で出版されたものと台湾で出版されたもの(日本のものの翻訳含む)が大体半々くらいの品揃え。
 さすがに日本で出版された本を台湾で買って帰る気にはならなかったので(やったことはある)、台湾本コーナーをメインにサーチする。
 しばらくうろついて探していた漫画の台湾版を見つけられたのと台湾の野球雑誌『職業棒球』が手に入ったので、まずは満足すべき結果となった。

 あとは地下のスーパーで出物がないかを探索する。日本でも同じだが、こういう百貨店の地下スーパーは品揃えが充実しているので探索しがいがある。

 一番印象深かったのはお茶コーヒーコーナーで、売り場にウーロン茶の茶葉が思いの外少なかったのと、コーヒーにインスタントが減りドリップ式が増えていたのが意外であった。
 生鮮食料品や果物も充実していたが、さすがに買って帰れない。冷凍虱目魚などもあって、いずれウィークリーマンションにでも滞在する機会があれば自分好みに調理するなどしてみたいと思った。

 あれこれと惹かれるものはあったが、結局龍眼蜂蜜と四季春の茶葉のみを購入してお買い物は終了。

 店内の地図を頼りに無料送迎バス乗り場へ行き、芝山駅方面のバスを待つ。
 やってきたマイクロバスに乗る事10分ほど。芝山駅の送迎バス乗り場は私が記憶していた場所の真反対にあった。これは分からない。

 MRTで台北に戻り、ホテルの部屋で一憩する。
 少しばかりの昼寝の後これからの予定について話しあい、[食堯]河街夜市で足ツボマッサージを受け、その後に夕食をという事で一致した。

 台北地下街を歩いて北門駅へ。そこから松山新店線に乗り終点松山へと出る。
 改札を抜けて地上に出れば夜市はもう目の前である。混雑を避けて夜市ではなく大通りを歩き、マッサージ店のあるあたりで曲がった。
 火曜日ということもあってか夜市の人混みはそれほどでもなかったが、店は賑わっていて2人いっぺんには施術できないとのこと。
 体力的に余裕があった私があとに回り、妻を先にしてもらった。椅子自体には空きがあったので、座って足湯をしながら待つことに。
 ここの椅子にはテレビがついているので、台湾プロ野球を見られる。これなら待つのも苦にならない。
 この日はLamigoと兄弟でカードが組まれていて、チャンネルを合わせた時がちょうどLamigoの攻撃だった。イヤホンからは当然のように石垣島で聞いた隊長の声が流れてきた。

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 ちなみに別チャンネルでは日本の阪神対広島も中継していたのだが、流石にそちらを選ぼうとは思わなかった。

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 そんな感じで待つというより長く足湯を堪能している気分でテレビを見ているうちに私の番がやってきた。
 施術するおばちゃんの腕が良かったのか足湯を長く受けたのが良かったのか。今年は痛みを感じることはほぼなかった。施術後に脚が軽くなりむくみが取れて靴が履きやすくなっていたのは例年どおり。

 すっかり元気を取り戻し、さて夕飯となる。[食堯]河街夜市といえば我が家では薬膳排骨と決めているのだが、毎年立ち寄っているお店がなぜか今年は見当たらなかった。
 店舗ではなく屋台に薬膳の店があったのだが、いつもの店とは名前が明らかに違った。とはいえ、完全に胃袋が薬膳腹になっていたので椅子に座り、注文をする。
 メニューの料理名もスープの味も肉の味もほぼ記憶どおりだったが、つけダレの辛味噌だけは若干違う気がした。ちなみに魯肉飯だけは明確に別物で、ここがいつもの店とは別であることを何よりも雄弁に語っていた。

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 それなりの満足感と一抹の寂しさを抱えて席を立つ。帰途、『勝佳生活百貨』というディスカウントストアに立ち寄り、滞在中に必要となりそうなあれこれを購入。ここで入手したサンダルは割と重宝し、最初は最終日に捨てていくつもりだったのだが、値段の割に履き心地がよかったので愛着が湧いてしまい、スーツケースに詰めて帰国し、現在でも我が家で活躍している。

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2017年07月17日

台湾旅行記2017(初日)

 我が家の台湾旅行はこれまでだいたいメインテーマというか最大目的が決まっていた。
 しかし、今年はなぜか「これ」というものが決まらなかった。

 今回は6泊7日という長大日程なので大概のことはできるのだが、そしてやりたいことはたくさんあるのだが、なぜだか「これだけは必ずやろう」というものが決まらない。

 「おかしい」「おかしい」と言いつつ結局決まらないまま出発の日を迎えてしまった。
 今年はいつもの中華航空ではなくエバー航空のBR131便。理由は簡単、こちらのほうが安かったのである。
 なにしろ往復で25700円(税等別)なのでかなりのお値打ちだった。

 当日朝、車に荷物を積み込んで出発。3連休最終日ということで渋滞も覚悟してかなり早めに出発したが、予想に反して下道も高速も空いていて何のために早起きして出てきたのか分からないほどだった。
 カーナビの予想到着時刻がどんどん前倒しされて、予定よりもだいぶ関空大橋に到達。天候に恵まれ、橋からの眺めも堪能できた。
 さて。あまりにも時間に余裕があったのでまだ航空会社のカウンターも受付を開始していないし、今のうちに朝ごはんを食べておこうということになった。となると魅惑の食堂群を前にしていささか嬉しい悩みが生じる。
 何しろ明石焼きや握り寿司、果ては朝から生ビールまでいただけてしまうのだ。
 実に悩みがいのあるテーマだったが、卵かけご飯はさすがの台湾でもまだ見たことがないので鶏三和というお店へ。朝食限定の生卵定食には鶏出汁のスープに唐揚げ、ミートボールまでつくので朝から割としっかり目な内容となった。


 その後、海外用携帯wi-fiレンタルや保険加入などの所用を済ませてもなお受付が開始されなかったので、久々に来る関空1タミをぶらぶら歩いて時間を潰す。とはいえスーツケースを抱えているのでそれほど回ったわけではないが、エレベーターが任天堂仕様になっていたり、住吉大社のお神輿が出張展示していたりとなかなか楽しめた。





 ようやくチェックインが完了すると、その足で保安検査場も出国審査も通過。
 保安区域内は店が少なく、過去足場にしていたネットカフェも撤退してからは居場所確保に苦労していたのだが、今年は幸いにして喫茶店が空いていて、のんびりコーヒーなどいただきながら飛行機を眺めて時を過ごせた。

 店内に人が増えてきた頃合いを見て搭乗口へ向かうと、思わぬ場所にファミリーマートができていてギョッとする。



 どんなものかと覗きに行けば実にごく普通のファミマで、Tカードも使えるしファミチキも扱っていた。一般的な店舗との違いと言えば、せいぜい店内で電気炊飯器を売っていたところくらいか。
 搭乗開始までそんなに時間もなかったのでじっくり見て回ることはなかったが、搭乗口付近に来ても時間を有意義に使える場所が増えたのは嬉しいことだ。

 機内食は煮卵やビーフンといった台湾メニュー。思わずドリンクにビールを注文してしまうくらいにはテンションが上がった。



 食後は酔い覚ましを兼ねてお昼寝タイム。有料ながら機内でwi-fiが使えるということにはちょっと魅力を感じたものの、シャレで手を出すにはいささかお高い。

 ふたり分、12万円を差し出すと31474台湾ドルが戻ってきた。手数料30台湾ドル差し引いて、実質1台湾ドル=3.8円という人生初の高レート。事前に確認済みとはいえちょっとした衝撃くらいは受ける。

 いつもどおり地下のフードコートで休憩。私はセブンイレブンで烏龍茶のペットボトルを購入し、妻は春水堂で一息つく。喉を潤しながら「ああ、台湾に来たなぁ」と思うひとときである。


 
 気力体力を回復させたところで、出発。今年はバスではなく、ようやく開通した桃園捷運(MRT)に乗ると決めている。帰りにはインタウンチェックインもできるということなので、ホテルをユナイテッドから台北駅前のシーザーパークに変更したりもしている。
 
 直達車こと急行ならば台北駅まで37分。途中まではバスもいい勝負ができると思うが、向こうは市内に入ると途端渋滞に捕まるのでやはり鉄道のメリットは大きい。
 MRTの駅は台鉄や高鉄の台北駅からはいささか離れてはいるが、段差がないように配慮されていたこともあってかスーツケースを転がすのにそれほど苦ではなかった。もっと言えば空調が効いている場所を歩けたというのも真夏の台湾では大変ありがたかった。
 今回はこれを使ってみたいがためだけにホテルを台北駅前のシーザーパークに切り替えたのだが、そうしてよかったと思うくらいには便利だった。

 出来立てで殺風景な通路を抜けて台北地下街へ出るといきなり華やかな雰囲気になる。寄り道の誘惑を振り切ったものの、大阪観光局の出した広告にオリックスバファローズのT−岡田選手が出ていたのでちょっと感動して撮影し、思わぬところで足止めを食ったものの無事シーザーパークに到着。

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 せっかくコンビニでフルカラー印刷してきたバウチャーを「無くてダイジョウブです」と言われたりしつつ、チェックイン完了。

 案内された部屋は台北駅が眼下に広がるステーションビューだったので私ひとり無性にテンションが上がる。



 荷物を置いて一息つくと、時間的にも夕飯はどこにしようかという話になる。毎年のことだが、初日の夜ということもあり遠出は避けて近場で済ませようという結論になった。
 近場と言っても台北駅前の三越や地下街、駅の反対側にはなるがQスクエア等々、近辺だけでも選択肢は多い。
 若干迷ったものの、台北駅2階のフードコートへ行き台湾料理では一番の好物である虱目魚(サバヒー)を食べることにした。注文したのは蒸した虱目魚に白ご飯、茹で野菜とスープがつく定食風。
 ウナギとヒラメのいいとこ取りをしたような味はワサビ醤油と実によく合う。これを食べると台湾に来た実感が湧くという食べ物のひとつ。



 食べながら、明日から何をしよう、どこへ行こう、何を食べよう等々、食事を終えてもなお話は尽きず。デザートに『小南門』で豆花を買い、それをホテルの部屋で食べながら、ガイドブックやタブレット、ノートパソコンを見ながら「ああもしたい」「こうもしたい」と計画とも希望ともつかぬ内容を延々と語り合った。

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2017年07月16日

お知らせ

 明日から24日までの日程で毎年恒例の台湾旅行に行ってまいります。
 今年は久しぶりに台湾プロ野球の観戦を計画しておりますが、こればかりは天候等の問題もありますのでどうなりますことやら…。
 ともあれ例年同様旅行記をこちらにてアップしたいと思いますので宜しくお願い致します。

husachiaki at 20:00|PermalinkComments(0) 台湾 

2017年04月15日

福塩線、三江線、山陰本線乗りつぶし旅(2日目)

 朝、まだ明け切らぬうちに目を覚ます。こういうときに携帯のタイマーが鳴る前に目が覚めてしまうのは寝坊するよりはるかにいいのだが、ちょっと勿体無い気もする。

 三次駅まで10分の道のりを歩いている時もまだ暗かった。なのに駅前には団体客の姿があった。私と同じ時刻表極道のお仲間だろうか。

 ちなみにこの時キオスクの役割を果たすセブンイレブンはまだ開いていないので、皆手に手に飲食物の入ったビニール袋を提げている。

 3番ホームに既に停車中なのはおなじみキハ120。
 朝5時半だというのにそれなりに人は乗っていて、どこでも座り放題ということもなく。それでも4人掛けの窓際は確保できた。
 無事に座れたところで発車前に昨日福山で買ったままかり寿司の駅弁で朝ごはんを済ませておくことにした。慣れた路線であればお気入りの車窓に合わせて食べるところだが、今日は未知の路線なので眺めに集中したかった。
 ままかりの、程よい酢の加減が朝の目覚めきらぬ身体に心地よい。好物なので旅の始まりに食べると個人的にはテンションがあがるが、味が落ちるからと冷蔵庫にも入れず一晩経過したものなので、同様の行為をお勧めはしない。

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 5時38分、定刻どおり三次駅を発車。直前に駅前でたむろしていた一団が乗ってきたので乗車率は結構高い。見たところ座席は8割埋まっている。

 発車して間もなく芸備線の線路と別れを告げ、江の川を渡る。この先江津まで付かず離れずしつつ共に旅をする中国地方を代表する川との最初の出会いだった。
 渡って間もなく右手に朝焼けの空、左手に堤防の桜を見ながら尾関山駅に滑り込む。

 三次を出て3つめの長谷はなぜか通過する。時刻表によればこの駅は江津方面なら午後以降の3本、三次方面なら逆に朝の2本しか停車しない。それほど他の駅と利用状況が違うのだろうか。

 それにしても。この列車に乗っていると時間の流れ方まで普段と違っているようだ。ゆったりと走るので、車窓の景色もやはりゆったりと流れていく。何しろ川沿いに進むので、川の流れのままに線路もうねったりくねったりする。これではスピードの出しようもない。象徴的なのが式敷から香淀にかけてのヘアピンカーブで、飯田線の下山村〜伊那上郷間を彷彿とさせる見事な曲がりっぷりだ。
 山あり、川あり、そして棚田あり。ここまではなかなか飽きのこない車窓である。
 香淀を出ると広島県から島根県へと入る。車窓に石州瓦を楽しめるかと思っていたが、そもそもあまり民家のない地域なのでよく分からない。作木口駅の手前付近でようやく家並みが見えてきて赤褐色の艶やかな屋根を乗せていた。

 6時35分、三江南線時代の終着駅口羽に到着。ここでは行き違いと時間調整で約30分停車する。

 この先行き違いのできる数少ない駅である浜原に到着するタイミングを調整するためと思われるが、もちろんこれは格好の撮影タイムでもある。
 車内放送で『撮影なさるお客様にお願い申し上げます。線路内等には立ち入ることのないようにご注意ください』と釘を刺される。元よりそのつもりだが、こういうアナウンスが必要な状況なのもよく分かる。
 何しろ30分もあるのでホームのみならず、駅の外にも出て線路を跨ぐ橋の上からも撮影。

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 その帰途、道端に石碑を見つけた。見れば三江線全通記念碑だった。傍らには錆びた車輪もあり、開通当時の喜びが伝わってくるようだが、廃止が決まった今となっては苦くもある。

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 そんな風にしていると長いはずの停車時間も瞬く間に過ぎてしまう。7時3分、口羽発。

 口羽を出て2つめが三江線の名物駅である宇都井。ここは三江線唯一の高架駅であり、地上20mにあるホームにたどりつくため116段の階段を有する非常に特徴的な駅なので、もし次の機会があれば降りてみたい。
 なお、その長い長い階段をせめて撮影だけでもと思ったが車内からではどうにもならなかった。

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 宇都井の先は石見都賀、石見松原と旧国名の石見がつく駅名が続く。そういえば全国47都道府県に足を踏み入れたが旧分国66カ国のうち石見は未踏だったことを思い出した。他にも隠岐、佐渡が未踏なのでいずれ訪れてみたいが、まずはJR及び旧国鉄線全線完乗が先だ。

 その石見並びの次にある潮は三江線でも名高い桜の名所と聞いていたので席を立ち、扉際にてカメラを構えた。ファインダーにホームの端が入った時、そこにいる人の姿が思いの外多くて驚いた。
 短い停車時間なので、その人影を避けつつ駅名標と桜とを頑張って撮影する。花は既にその盛りを過ぎてはいたが、それでもまだ十分にここは名所だなと思わせるだけのものを残していた。

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 それにしてもホームにいた人たちはどうやって来たのだろうと思ったが、調べてみると駅近くに大和荘という温泉旅館があるので、そこに泊まったのだろう。
 ちなみに江津駅前のホテルで泊まっても、この時間に潮にいることはできない。もし浜原始発の三次行き一番列車だとすると、それは潮を6時11分に発車したはずなので、もし乗ってきたのだとすれば1時間半待っていたことになる。
 しかし、それが苦にならぬような駅でもある。

 潮を過ぎると本格的に雨が降り出し、窓が曇り始めた。これでは外がよく見えない。撮影どころか車窓を楽しむこともままならず、どうしたものかと思っていたら浜原停車中には落雷まで起きた。
 ディーゼルなので車両が落雷の影響を受ける可能性は少ないだろうが、信号機故障でも起きたらどうにもならない。
 幸いそんなことにはならなかったし、石見川本を発車するころには徐々に天候が回復していき、次の因原に着く頃には晴天になってくれたのでホッとする。

 千金を出ると、これまであまり変化のなかった江の川は徐々にその川幅を広げていく。河口が近い証だ。
 9時31分、江津着。約4時間にわたる三江線の旅路も無事終了した。しかし、今回の旅自体はこれで終わりではない。山陰本線江津〜城崎温泉間の乗りつぶしという長い第2章の始まりなのである。
 そのため三江線の余韻に浸る間もなく、バタバタと慌ただしく跨線橋を渡る。何しろ3分しかないのでどうしても気が急いてしまう。1番ホームに停車している同じキハ120に乗り込むと、ようやくホッと息を吐く。
 出雲市行きの鈍行列車は9時35分、定刻に江津を発車。駅を出てすぐここまで共に旅をしてきた江の川を渡り、程なく海岸沿いを走る。日本海というと荒波のイメージがあるが、季節柄なのか実に穏やかだ。その海岸沿いに発電用の白い風車が幾つも立っており、車窓に良いインパクトを与えている。

 9時55分、湯泉津着。
 ここはその名のとおりの温泉の町で、『薬師湯』という大変お湯質が良い上に完全かけ流しの外湯があるとのこと。ここで途中下車し、温泉に浸かって次に来るアクアライナー米子行きに乗るという手がないでもないが、その温泉まで徒歩20分もあるので、わずか50分の猶予ではいくら何でもきつい。
 ドアの閉まる音を聞きながら、無念を噛み締める。

 それにしても。同じキハ120であるのに、母に手を引かれる子供のような歩みだった三江線の時と違い山陰本線では海岸沿いを猛スピードで駆け抜けていくのでまるで別もののようだ。すべての駅に止まっていく点では変わらないのにこうまで感じ方が変わるというのはちょっと珍しい。そこは本線の風格とでもいうべきか。

 湯泉津から4つ先の五十猛で行き違い待ちのため数分停車する。良い機会だからとホームに出て身体を伸ばしていると、岩山をくりぬいて作られたトンネルが一見妖怪のようでギョッとする。なかなかの異景。

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 この先静間、大田市と内陸を走り、久手で再び海岸線に出る。石州瓦の屋根と日本海という取り合わせはなかなか絵になるのだが、相変わらずハイスピードで飛ばすため気に入った車窓を撮影するのが難しい。
 そうこうするうちに石見から出雲へと入り線路も内陸を走るため撮りたかった景色は諦めざるを得なくなる。

 11時9分、出雲市着。米子行きのアクアライナーに乗り継ぐまで、約30分。貴重なこの空き時間をどう使うべきか。
 駅構内にある店で出雲そばを食べるという選択肢にはかなり惹かれるものがあったが、それをしてしまうと魅惑の雲州和菓子が買えなくなってしまうので泣く泣く断念。代わりに出雲そば弁当を購入。車内で食べることとした。

 その駅弁を片手に土産物売り場へと突入する。
 私の個人的な思い込みだが、江戸時代に大藩があった土地は和菓子が発達しているイメージがある。
 ここ雲州は松江藩が置かれ、堀尾家、京極家、松平家が治めた土地。特に長く統治した松平家の名君不昧公が茶道に傾倒して不昧流を興すほどであったため、松江は彩雲堂、一力堂、福田屋等々和菓子の名店が多い。
 ここ出雲市駅でも幾つか扱いがあり、職場土産に福田屋の柚餅子を、また自宅用に一力堂の若草と朝汐がセットになったものを購入。

 あとはお茶を買うのが精一杯で、タイムアップとなった。
 ホームに戻って並ぶことしばし。益田から長駆2時間を走り続けた快速『アクアライナー』米子行きが入線してくる。
 快速だけあってレールバスのようなキハ120形ではなく、山陰本線高速化の切り札として投入されたキハ126系の2両編成。
 これならば車中で駅弁を食べてもさほど違和感なかろうと思い、席に着くや早々に包みを解く。
 出雲ソバ、カニ寿司、エビ天、ワカサギの甘露煮、そして小さいながらも鰻まで入っており、これで1080円は安い。

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 まずソバの上に海苔をふりかけ、そこにエビ天を乗せる。これにツユを注げば立派なエビ天ソバの完成。
 これが悪かろうはずもなく、あっという間に半分以上が消えて無くなる。舌がソバに慣れたところでカニ寿司をつまめば口の中がスッキリしてまたソバの味が引き立つ。そこに待ち構えているワカサギの甘露煮や鰻がまた嬉しい。
 欲を言えば進行方向左側の席を確保し、宍道湖を近くに眺めながら食べられれば言うことはなかったが、それはまた次の機会の楽しみとしておいた。

 食べ終えてふと見れば列車は宍道湖畔を走っていた。良い。やはり良い。万難を排して左側の座席を確保しておくべきだったと悔やむくらいには、この車窓が好きだ。春の日差しを浴びて静かに輝く湖面

 その眺めも松江駅到着手前で終わってしまうのだが、揖屋を出てしばらくすると今度は中海が広がる。こちらはあっという間に過ぎ去ってしまい、気がつけばもう終点の米子も近い。
 米子から鳥取行きの快速『とっとりライナー』に乗り継ぐのだが、4分しかないのでいささか慌てる。同一ホームでの乗り換えならば安心なのだが、あいにくと跨線橋を渡らなければならず、急ぎ駆け下りた。

 「おおやまぐち」と読んでしまいそうになる大山口(だいせんぐち)を過ぎると、車窓に再び白い風車が現れた。
 今度こそはとカメラを向ける。電柱や太陽光パネルと違って風車は景色に溶け込めるので撮影意欲が湧くのである。

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 意図とおりに、とはいかなかったが撮れただけでもよしとする。

 14時35分、鳥取着。これから約2時間の自由時間がある。この鳥取での2時間を確保するために今回湯泉津の温泉も出雲市のソバも安来の足立美術館も全て我慢したようなものなので有効に活用したいところ。
 過去鳥取県に来た事はあっても鳥取駅は初めてだ。行ってみたいところはいくらでもある。砂丘にも城跡にも、そして宮脇先生ゆかりの『こぜにや』という温泉旅館にも興味を惹かれたが、私が選んだのは日乃丸温泉という銭湯。
 県庁所在地の駅から徒歩圏内にある温泉銭湯というのは実に珍しいので以前から訪れてみたかったのである。
 観光案内所でもらったリーフレットを手に確認しながら歩くこと10分弱。鳥取駅前は道が京都のように碁盤の目になっていて、迷うこともなく到着。

 昔ながらの下駄箱に靴を預けて扉を開けると番台の横に券売機があり、入湯料から始まってタオルシャンプー石鹸にドライヤーの利用料まで全てこれ1台で券を買って支払う仕組みとのこと。
 風呂道具一式は持っていたのだが、ドライヤーの利用料で携帯電話の充電をしてくれるとのことなので入湯料共々払ってお願いする。
 年季の入った木製の棚に荷物をしまい、衣類も放り込んで浴室へ。
 昼日中なためか、先客は一人だけ。その先客も私が身体を洗っている途中で出たので貸切状態。
 泉質は含食塩芒硝泉と書かれていたが、あまり馴染みがないのでどんなものかと戸惑いつつも湯船につかる。
 お湯質としては濃いめで、朝5時半から延々列車に乗ってきてだいぶ凝り固まっている身体にジンジンと染み入っていく。
 効き目が強いのであまり長く入っているとノボセてしまう。程々で湯から上がるが、もったいないので身体を冷ましてまたつかる。3回ほど繰り返していよいよ限界。未練を残しつつ身体を拭いた。
 銭湯をあとにして、まだ小一時間の余裕がある。駅前にあるすなば珈琲で休憩。

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 アイスカフェラテとオリジナルプリンが湯上りの身体に心地よい。
 駅に戻り、城崎温泉から京都までの自由席特急券を購入。本来なら全部普通列車で行くつもりだったが、銭湯で疲労の蓄積を痛感したので挫けてしまったのだ。
 
 16時22分、鳥取発。列車が駅を出て5分もすると、車窓が一気に田園風景へと切り替わる。まだ次の駅にも到着していないうちから何とも変化に富んでいる。
 そもそも鳥取から隣の福部駅までは11.2キロも離れており、比較的駅間の長い山陰本線においてもトップクラス。そんなのどかな場所を地形に逆らわずに敷かれた線路の上をうねうねとくねりながら進んでいるのでいささか眠くなる。その上好天に恵まれていたため、春の日差しがさらに眠気を促進する。
 しかし、ここで寝てしまっては遥々何のために来たのかわからない。
 福部、大岩、岩美と来て東浜の手前で山陰の松島と称される浦富海岸をわずかにかすめるので一目見ておきたいと頑張ったのだが、見えたような見えないようなよくわからぬままあっという間に通り過ぎてしまった。
 東浜を出ると鳥取県が終わり、居組から兵庫県となる。広島県の三次から始まった本日の旅も島根、鳥取と来てようやく京都の隣まで来た。
 17時6分、浜坂着。
 16分の空き時間を持て余して駅の外へと出てみると『歓迎 湯村温泉 浜坂温泉郷』と書かれた昭和を今に伝えるデザインの大看板が目に入る。また、駅横にある足湯にはカニのマスコットが置かれるなど、ここが何の街なのかすぐに分かる仕組みになっている。

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 残念ながら足湯を楽しむ時間はないので画像だけ押さえてホームに戻った。
 次に乗るのは17時22分発の豊岡行きだ。当初の予定ではこれに終点まで乗って福知山、園部と乗り継ぐつもりだったが予定を変更してひとつ手前の城崎温泉で降り、特急に乗り換える。
 浜坂の2つ先は餘部で、ここには100年鉄橋があった場所としてその名が知られている。現在は二代目になってしまっており架け替え前に訪れることはできなかったのは残念ではあったが、現状でも途中下車したくなる魅力のある駅だった。
 開いた扉から飛び出したくなる衝動をグッとこらえてデジカメのシャッターを押す。押せば押すほど外に出たくなる眺めだ。

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 駅を出てすぐ、2代目の橋に差し掛かる。トンネルの手前でS字カーブがあるが、これは初代鉄橋のすぐ横に架けられたため。初代を偲ぶ欠片がこんなところにもあった。
 やはり山陰本線は駆け足で通り過ぎてしまうのが勿体ない。
 竹野を出て長いトンネルと抜けると、間も無く城崎温泉で車窓が温泉街の街並みへと変わる。

 城崎温泉では2分の乗り継ぎ。特急『こうのとり26号』はガラガラで、席は選び放題。最前列は電源がありテーブルも広いのでここに陣取りパソコンを使うことにした。ここから先は何度も乗ったことがあるし、時間的に暗くなる一方で車窓を楽しむこともできなくなるので。

 ただ、これは新大阪行きであり福知山で京都行き『はしだて10号』に乗り換えないといけないのだが、それも無事に完了。あとは京都に着くのを待つばかり。 
 しかし、油断はならぬもので。まず反対列車が鹿と衝突したため単線である山陰本線の宿命としてこの列車も遅延する。そこへもってきて続いて先を行く列車も鹿と衝突して遅れが拡大してしまう。事ここに至っては為すすべもなく、また逆に言えばあとは家に帰るだけなので気楽でもある。
 この遅延が旅の最後だったことと、挫けて特急に乗ったことは不幸中の幸いだった。

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2017年04月14日

福塩線、三江線、山陰本線乗りつぶし旅(初日)

 今年も桜の季節がやってきた。しかし、開花が例年よりいささか遅かった上、見頃の時期に雨が降ったりしたために花を楽しめなかった。

 であれば桜を求めて遠出しようかという話になる。そこでふと思い出したのが三江線の存在だ。今年度いっぱいでの廃止が発表されているので、三江線の車窓から桜を見られるのはこれが最後のチャンスだ。

 前々から温めていたプランを引っ張り出してみると福山前泊で福塩線経由で三次に出るルートだった。これはこれで悪くないのだが、せっかくこの時期に乗るのであれば三次を出る一番列車に乗ってみたかった。三次から江津までの三江線全線を一気に駆け抜ける唯一の列車に。

 となると、仕事が終わってからではちと都合が悪い。このルートで三次入りしようとすると遅くとも京都を17時10分に出発する『のぞみ115号』に乗らなければならないので、定時まで仕事をしていてはどうやっても無理。
 そこで思い切って午後を丸々休むことにした。14時27分発の『のぞみ31号』で福山入りすれば福塩線も明るいうちに乗り通せるし、三次でゆっくり夕飯も食べられる。

 無事に休めて、13時半には京都駅に到着。まずは切符を買おうとみどりの窓口へと向かったが、なんと入り口近くまで列が伸びていた。多少の混雑までは予想していたが、これほどまでとは。
 普通に券売機で福山までの切符を買い、福山で残りの部分を買うという手もあった。しかしそれでは『京都市内発京都市内行き』の切符にならず、面白くない。私は昼食の時間を削って列に並んだ。

 途中、やたら時間のかかるおっさんがいたり、もうすぐ私の番だというところで窓口が1ヶ所閉鎖されてしまったりと波乱はあったものの、どうにかこうにか時間内での購入に成功した。

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 ただし、昼食を食べる時間どころか買い物をする時間すらわずかしか残されておらず、とりあえず飲み物を買ってホームに急いだ。
 平日の昼下がりだというのに結構な混み具合で、私の乗った6号車は8割以上の乗車率。3列並びの窓際を取ってしまったので車内販売も捕まえられず、500mlペットボトル1本で福山までしのいだ。
 15時44分、福山着。
 昼食をとるにはいささか遅い時間であるが、このまま三次まで3時間の道のりを耐えられる自信がない。うっかり途中下車して食堂に駆け込んだりせぬようここでなんらかの腹ごしらえをしておかねば。
 福塩線の府中行きは16時12分発なので猶予は30分弱。出来れば空腹を忍んだだけの値打ちがある美味いものを食べたいという欲をかいたのがいけなかった。
 この時は南口に『あじわい』という福山ラーメンの店があることにも気付かず、ただひたすら駅ビルの中をうろうろするばかり。結局決めきれず幾ばくかの菓子と飲み物を買い、再び改札を通る。
 迷った時は駅弁。と言いつつも福山は種類が豊富で駅弁売り場の前でまた迷う。結果、『牛肉駅弁 大将』と『岡山名物ままかりの押し寿司』のミニサイズを購入。
 メインは前者で、後者は宿の部屋でダウンした時もしくは道中空腹に耐えきれなくなった時用の保険としてのもの。
 
 2つ抱えて福塩線のホームに行ってみると、そこに待っていたのはロングシートの車両。しかもかなりの乗車率。よしんば座れたとしても車内で駅弁をを広げようとは到底思えない。

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 やむなく『牛肉駅弁 大将』をホームのベンチで急ぎかっこむ。みっともないとは思いつつも、ここからさらに1時間以上は待てない。
 慌ててかっこんだのであまり細かいことは覚えていない。あとで弁当の画像を確認してみたらブレブレだったあたりからもこの時の自分の慌てっぷりが証明されている。

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 綺麗に平らげて、心も胃袋も満ち足りたところで車内へ。当然空席はないのでせめてものこと扉付近に立って車窓を楽しむことにした。
 下校する学生さんたちに囲まれて、まずは福塩線の旅が始まった。

 「川は鉄道の母」という言葉を証明するかのように、備後本庄を出たあたりから早速進行方向左手に芦田川が見えてきた。
 福塩線は途中この芦田川と沿ったり離れたりしながら、八田原ダムとそれによってできた芦田湖まで道中を共にする。

 福山から3つめの神辺は井原鉄道との乗換駅で、専用ホームと思しき場所には井原鉄道の車両が止まっていたのだが、一見JR西日本のローカル線でおなじみキハ120形とよく似ていた。扉がバスっぽくない分こちらのほうがちょっと高級な感じすらした。

 その神辺から2つ先の道上で学生さんたちがどっと降りていったおかげでようやく座れた。ロングシートではあるが、一気に空いたおかげで身体をひねって車窓を楽しむ余裕もある。

 隣の万能倉で行き違う反対列車が遅れており、あおりを食ってこちらも待たされる。結局万能倉は7分遅れで発車。終点府中での三次行きとの乗り継ぎ時間もちょうど7分。私の地元でもよくあることなので遅れること自体は慣れっこなのだが、これはまずい。
 これを逃すと三次行きは3時間後までないのだ。

 思わず車掌に尋ねると「指令に確認します」とのこと。しばらくして『府中駅から三次行き乗り継ぎのお客様にお知らせいたします。当列車遅れておりますが、三次行きは接続いたします』とのアナウンスがあり、ホッと一安心。
 途中、回復運転に努めたのか遅れは7分から3〜4分程度にまで縮まっており、これならば待ってもらわなくともなんとか乗り換えられそうだ。
 府中到着は17時ころ。
 到着すると各車両からどっと人が降り、改札や跨線橋を目指して歩く。私の乗っていた最後尾の車両は階段から遠く、また狭いホームに同じ列車から降りてきた人が満ち満ちているためなかなか進めない。接続すると言われていても、やはり焦る。
 跨線橋の階段を上っていくとオレンジの制服を着た老人が立っており、どうやら乗り換えが無事行われているかの確認をしているようだ。
 階段を降りた先の3番ホームに待っていたのは神辺で見たの井原鉄道のものとよく似たキハ120形の車両。電化されているのはここまでなので当然ディーゼルだ。4両編成から1両のみの単行へと変わるため座れるかどうか不安だったが、ロングシート部分ながら座席は確保できた。まぁ、そんなに長距離を乗り通す人も多くないのだろう。
 先述の老人が全員の乗り換えが完了したと思われる頃合いに三次行きの車両までやってきて何事かを伝えいていた。
 17時頃、府中発。
 府中から先は車窓がグッと中国山地らしくなっていく。そのため列車は山を削って線路を敷いたようなギリギリのところを走ったりもする。古い路線らしく大迫山トンネルのように非常に狭小で、ディーゼルでなければ通れないところもある。

 その先にある河佐駅では「奥備後の景勝地 河佐峡」という看板を見かけた。この先に八田原ダムと芦田湖があるのでその近辺が河佐峡ということになるのだろうが、さすがに線路はダムまではいかない。途中下車欲求をそそられる駅の一つだったが、1日6本ずつしか走らない路線なのでなかなか難しい。

 トンネル内。ここまで散々徐行させられてきた鬱憤晴らしのようにエンジンをうならせて快調に飛ばす。川沿いのカーブでは自転車のようだったスピードがここではまるで別の車両のようだ。

 備後三川駅で10人ほど降りて、車内の人口密度はグッと下がる。やはりローカル線の宿命で行けば行くほど寂しくなるようだ。

 その隣、備後矢野駅では行き違い待ちのため2分停車。ホームを見ると「広島土砂災害頑張れ」との看板があるかと思えば駅舎ではうどん、田舎そばなども食べられるようで、停車時間が2分でなければ利用してみたかった。

 カーブがそれほどきつくない場所で再び徐行するので何故だろうと思い外に目をやると山側に頑丈そうなフェンスがあった。なるほど落石対策での徐行のようだ。

 なにしろ福塩線のしめくくりとも言える梶田から塩町までは4駅で40分かかる。距離は11km弱なので時刻表からでも明らかに徐行区間とわかる。しかし、もう戸惑いもない。
 こののんびりした車両に、吉舎駅で30人ほどの高校生と思しき集団がどっと乗り込んできて大いに戸惑った。鉄道に乗っていて客が乗ってくることに戸惑うというのもおかしな話だが、これで車内の空気が一変した。

 2つ先の塩町でも同じく高校生たちがさらに乗ってきたので車内は熱気がこもりはち切れんばかりの混雑ぶりとなった。
 ちなみに福塩線はその名のとおり福山と塩町を結ぶ路線だが、府中からの下り列車は全て塩町から芸備線に入り三次まで行く。

 終点ひとつ手前の八次駅で数人が降りていったものの、まだまだ混み合っている。それにしても終点の三次は『みよし』なのに隣の八次は『やつぎ』なのがちょっと面白い。

 途中悲哀すら漂っていた車両は最後の最後で賑やかな印象を与えて三次駅へと滑り込んだ。

 18時52分、三次着。

 駅からすこい歩いたところにあるホテルにチェックインし、さて夕飯をどうすべきか。

 その前にホテルの目の前にあるドラッグストアーで明日に備えた買い物をしておく。明日は三江線の一番列車に乗るため、その時間三次駅の売店がまだ開いていないし、ホテルから駅までの間にコンビニもなかったし、さらに言えば江津駅での乗り換えも3分しかないのでこのままだと半日飲まず食わずでの道中になる。

 最初はパンと飲み物くらいのつもりだったのに、なぜか売っていたポテトチップス九州しょうゆ味(夫婦そろって好物)やチチヤスとカープがコラボしたスポーツ飲料『チチスポ』を初めとして掘り出し物があったためあれよあれよとカゴの中はいっぱいになってしまう。

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 荷物がかさばるのは我ながらどうだろうと思いつつも、これで三江線の思い出が「空腹」の二文字になる心配はなくなった。

 さて夕飯だが。
 このホテルには居酒屋が入っており、メニューにワニ(サメ)の刺身などあってなかなか興味をそそったが体力気力ともにまだ若干の余裕があったので駅前のお好み焼き屋まで足を伸ばしてみることにした。

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 目当ての『たむ商店』という店はバスロータリーの一角、観光案内所の二階にあった。週末の夜ということで一人客は入れるかどうか不安だったが、幸いカウンター席に空きがありそこに収まる。
 メニューがタブレットを使った電子メニューで、これで注文もするとのこと。回転寿司で見たことがあるシステムだが、お好み焼き屋では初めてだ。
 さて。ここはお好み焼き屋なのでまずはお好み焼きをというつもりであったが、「三次の新名物」というキャッチコピーに乗っかって唐麺焼なるものを試してみることにした。辛い味付けらしいので、これに卵かけ御飯をプラスし、追っかけることにした。
 明日が5時前起床でなければ卵かけ御飯の代わりにビールの一杯もたのむところだが、ここは自重。
 待つことしばし、やってきた唐麺焼は見た目お好み焼きと大きな差異はない。しかし食べてみると、食感が堅い。これは広島式お好み焼きの焼きそば部分が辛い堅焼きそばになったもの、と言ったところか。
 推測したとおり、これを卵かけ御飯で追っかけるのが実によく合う。地の卵は甘みがしっかりしていてアクセント程度に醤油をかけるとさらに良い。

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 このためだけに三次に来るのはさすがに難しいが、三次に来たらまたこの店で、と思うくらいには満足できた。


husachiaki at 23:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 旅行記 | 鉄道