2004年08月

2004年08月30日

Natural Glow 9,10月号 沢渡朔特集

sawatariモノクロ専門の写真雑誌ナチュラル・グロウに沢渡朔の特集記事。
インタビューも充実しており、使用する機材の選択と撮影哲学の関係をうかがい知ることが出来る。
使用するレンズは35ならば28mmで、6x45ならば45mmの広角が多いとのことで、その理由を「ワイドは被写体に近づくことになるじゃない、距離が近いっていうのがいいんだよね。距離を狭めるためにワイドっていうのもあるかな。長い(焦点距離の)レンズで狙っているよりも、割と触れ合うというか……なんかさぁ片手で髪直してあげたりできる距離がいいんだよね」と語っている。(そういえば荒木経惟も以前、髪の乱れはヘアメイクに直させず自分が直すと言っていた。)
見た目は若々しいとはいえ、既に還暦を過ぎている沢渡のコミュニケーション能力の高さは特筆に値するだろう。それは確実に写真の上がりに反映される。
女の子を撮るカメラマンが、上手く年齢を重ねていくのは難しい。
プロの中にも中年以降、被写体から近づきすぎたり体に触れたりするのを拒否される者や、被写体に近づくのが怖くなる者もいるのである。無論、相手にもよるのだが、その時々でどこまで踏み込めるかが勝負どころなのだ。
その勝負を最初から放棄しているカメラマンが、ライティングや色味の調整など技術面にばかりこだわるようになる。
沢渡は撮影方法に関して他にも、ポラを撮らない、色味をフィルターで補正しない、三脚は使わず全部手持ちで撮るなどと語っている。それらは全て被写体との関係性を重視するという哲学に基づく。
興味のある方は是非読んで頂きたい。続きを読む

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2004年08月29日

smart girls スマートガールズ最終号

fd20eb3e.jpg予想していなかった突然の廃刊だったが、後半はほとんど惰性で続いていた印象が否めないのも事実。
最終号は撮り下ろしが少なく、総集編という名の二次使用でなんとか誌面を取り繕った。
バックナンバーを見返すと、編集部がコンパクトデジカメで撮ったスナップ写真と読者の投稿写真を載せるようになってからの質の低下が激しい。
創刊号から素人(編集者の米原康正や俳優の永瀬正敏)の写真を載せて、身近な感じを微妙なバランスで演出できていたのが、後半で悪い形のアマチュアリズムに傾いた。
アマチュアリズムが支配するようになった雑誌に金を払う価値がなくなるのは当然で、ブログならば同じ類いの写真がタダで見られるばかりでなく、4割いたという女性読者もコンパクトデジカメで簡単にセルフヌードを発信できてしまうのだった。続きを読む

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2004年08月28日

sabra 藤代冥砂の新連載 『Room』

dbebeba3.jpg>アイドルの禁断空間=プライベート「お部屋」を鬼才・藤代冥砂がディープにリアルに詳撮!!

らしいです。
第一回のモデルは山本梓。
既視感が否めない企画、ディープというより小手先の浅はかさが目立つ写真、リアルと言われてもアイドル本人の部屋と信じる読者がどれだけいるんだという疑問。
見た感じでは撮影時間は30分もいらないようだ。
これなら以前あった常磐響の連載の方がまだ良い。
田辺あゆみが嫉妬するような写真でないと、読者の満足には遠いだろう。続きを読む

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2004年08月17日

週刊ポストの転落どこまで?

アサヒコムに週刊ポストについての記事。

>小学館のポスト編集局の竹内明彦執行役員チーフプロデューサーは「袋とじやグラビアページは費用がかかる。頭が痛かった」と振り返る。

 篠山とモデル6人も連れて沖縄に行けば、予算は都内スタジオでモデルひとり、中堅のカメラマンを使った場合の何倍なのだろう?shinoyama.netでの展開もあるので全額をポストが負担をするわけではないと思うが。

>「スクープを増やす。給与、健康、教育などサラリーマンの身近な話題にも取り組む」。ポストの福田博章編集長は、こう力を込める。
 
 スクープは取ろうと思わなければ取れないが、必ず取れるというわけではない、ギャンブルのようなもの。いくら金をかけても取れないかもしれないのがスクープだ。それよりはグラビアの方が金の計算がしやすいはず。
 また、ヘアヌードを止めても、エロマンガやエロ記事は残っている。それで広告収入や女性読者が増えたのか疑問だ。

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ザ・ベスト・オリジナル9月号表紙/巻頭 藤代冥砂×佐藤寛子

52539bdc.jpg 今月はピント合っています。
 半年ぶりにホリゾントスタジオで普通にライティング、普通の写真。つまらん。野村誠一と同じように撮ってどうする。こんなところで足踏みしていてはキシンの首はとれるはずもない。一歩後退。
 確かに、カメラマンになど興味が無い普通のエロ本読者には、藤代の今までの撮り方が面白くないことは想像に難くない。シール封によって表紙の重要性が増した今となっては、編集部もいつまでも藤代の好き勝手にさせるわけにもいかないのかもしれない。続きを読む

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2004年08月13日

sabra増刊 Very best of sabra girls 4

905878ce.jpg 編集者が撮ったと思しき技術的には比べるべくもない巻末のオフショット集が、本編の写真より面白いことにカメラマンは危機感を持つべきだ。
 白髪のおじいちゃんはそろそろ引退してほしいが。

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2004年08月12日

ビクター・甲子園ポスター

 今年で25周年になるというビクターの甲子園ポスター。駅貼り用と電器店用が各二種類あり、モデルは鈴木杏。
 カメラマンのクレジットが無く、検索しても見付からない。コマーシャル・フォトにも広告批評にも載っていないが、写真を見れば予想はつく。
 ポスターとして大伸ばしにされるのにもかかわらず、まったくピントがあっていない。駅貼り用の水を飲んでいる方は、ピントが睫毛ではなく水道の蛇口にきているし、横顔の写真では通常手前の目にピントを合わせるのがセオリーだが、奥の方の目に合わせている。それもちゃんとは合っていないのだが。
 セオリーを無視するばかりでなく、堂々とピンボケ写真を出してくるとは。藤代冥砂の仕事(というか仕業というのが適当かもしれない)ではないかと予想するが真相は如何に。よくクライアントやクリエイティブ・ディレクターが文句を言わなかったなと思うが、藤代にオファーするということはその辺りも折り込み済みなのか。
 ビクターのサイトでは、このキャンペーンの歴代のポスターが見れるのだが、個人的に印象に残っていたのは菅野美穂、吹石一恵、松本恵などの制服で正面を向いている写真のもの。
 夏の風物詩としてあり続けるためには、いい意味でのマンネリが必要なのであって、そこから脱線し過ぎると、見たはずなのに印象に残っていないポスターになる。去年の石原さとみはその典型だ。さらに悪いのは2001年の上戸彩で、タンクトップにジーンズ姿で自らグラブをしている写真がある。飽くまでも高校球児が甲子園で野球をするのであって、上戸彩が河原で草野球をするのではないのだ。女性性を排して中性的なイメージで売りたい上戸と所属事務所の我が儘か。
 この広告の良い点は、アイドルの写真を使いながら、そこに写っていない高校球児を思い起こさせるところであるはず。主役は飽くまで球児たちで、アイドルではなく、ましてカメラマンや広告マンであるはずもない。自分の表現を抑えて、時にマンネリに徹するのがプロフェッショナルだろう。


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2004年08月10日

今週のポスト

 シノヤマキシンの「アカルイオキナワ」、モデルが6人もいる。ネットと写真集で二次使用、三次使用ができるとはいえ、金かかっているなと感心する。でも、かわいい子がひとりもいない。
 今週、それより衝撃的なのは、お笑い芸人青木さやかの撮り下ろしグラビア。話題性は充分。撮影は渡辺達夫。
 しかし普段の渡辺と比べると実に投げやりなライティングで、フィルムが惜しいのかデジカメで撮影し、すごい手抜きに見えてしまう。キシンもアカルイ・シリーズはデジカメで撮影しているが、渡辺の方は肌身が汚いばかりでなく、一枚一枚がかなり不安定。1枚目と2枚目はともにキノフロ(撮影用の蛍光灯)でライティングしているが、肌の色が全然違う。その他の撮影条件がいろいろ違うのも分かるし、デジタル撮影したものを雑誌グラビアで見せるのがまだまだ難しいのもわかるが、クオリティの保証ができないなら普通にポジで撮ればいいと思う。また、モデルに難があるからこそ腕の見せ所だ。やっつけ仕事として済ますのはどうか。

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2004年08月08日

シール封1ヶ月

 改正都条例の施行から1ヶ月以上が経ち、シールで封印を余儀なくされた成人誌は、当所の懸念とは逆に部数を伸ばしていると直接、間接にも聞く。悲観論から楽観論に転じた編集者も。
 一部の雑誌が「一冊まるごと袋とじ」とか「オール袋とじ」と謳っていたのには笑ったが。正確には「シールとじ」と言うべきか。これも部数増の一因ではあるかもしれないが、直接の原因としてはシール封を免れるためソフト路線に転換した週刊ポスト、週刊現代、週刊プレイボーイなどから読者が流れてきていることが考えられる。
 特に週刊ポストは、看板グラビアのアカルイハダカがなくなり、先々週はセミヌードの「アカルイ湘南」、先週は水着で「アカルイハワイ」を掲載したが、今週は代わりに藤代冥砂撮影の白石美帆写真集からの借物で済ますという有り様。日本ABC協会調べの上半期の平均部数もかなりの落ち込みを見せ、週刊誌の部数トップを週刊文春に明け渡したらしいが、脱ヘアヌードは6月末からで下半期のさらなる部数減は避けられない状勢。予算が減れば、金のかかる篠山紀信はますます使いづらくなるという悪循環が予想される。続きを読む

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2004年08月06日

モノクロのrelax 9月号 Takuji逝く

 リラックス9月号今月号はペット・サウンズと読書の特集ということですが、実はそんなことはどうでもいい。
 書店で手に取って、いつもと違うと感じたのは一部の記事と広告を除いてほとんどモノクロであるという点。ホンマタカシの「ワナ・リラックス」、佐内正史の「君になりたい」、今月は若木信吾が撮影した「サンデー・ピープル」もすべてモノクロ。コラムページのfabgearの執筆陣は名前に白や黒が付くひとばかり。「オッス!帰宅部」はオセロ大会。
 中頃に16ページにわたり若木信吾のモノクロ写真「Young Tree Saga」を見ながら、「佐内にモノクロは似合わない。サンデー・ピープルもモノクロだと休日の感じがしないな」などと思いつつページをめくっていて、最後、若木信吾の「see ya!またネ」を見て何故今月号がモノクロなのか納得した。若木のお爺さんの若木琢次さんが7月11日に94歳で永眠。若木が撮影したに違いない遺影と棺の前で両親を「記念撮影」した写真。
 若木の写真の原点であり、写真集『Takuji』『young tree』のモデルである琢次さんに敬意を表していたわけだが、「またネ」の写真同様に湿っぽさがないのがいい。誌面上ではそれについて一言も書かないのも文化系男子の男気を感じさせる。これはちょっと感動モノ。続きを読む

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