青い鳥の会コンサート「坊田かずまの世界」が東京都庭園美術館ホールで開かれました。
19日(日)東京都庭園美術館ホールで、青い鳥の会主催のコンサート
「坊田かずまの世界」が開かれ、私は司会とナレーションを務めました。
写真上はその1枚。歌い手の装いは白黒が基調だったので、少し明るめの色を着ました。
ホールは緑に囲まれた一角で、めぐらされたカーテンを開けると庭園の一部を見渡すことができます。
写真下左は開演前にアナウンスをしているところですが、左手の大きなガラス窓の外に庭園の緑が見えています。ホールの高い天井にはシャンデリアが下げられ(
写真下中)、足元の絨毯とともに気品ある雰囲気を作り出しています。
コンサートは坊田かずまの作品をたっぷり聴いていただく第一部と、かずまと関わりのあった人々の音楽を追う第二部とで構成されました。第一部のオープニングは琴の伴奏に乗せての独唱「
くれがた」。竹久夢二の短く、切ない詩とロマンチックなメロディがぴったりと寄り添っています。
約束もせず
知らせもなしに
鐘が鳴る
約束もせず
知らせもなしに
涙がでる
この「くれがた」を始めとして5曲余りを独唱された
清川一枝さんの声は深みのあるソプラノで、心の奥に迫ってくるようです。童謡は若葉会エレガンスのみなさんの合唱で、また、かずまが楽譜に残したわらべうたは浴衣姿の子どもたちの合唱で披露されました。エレガンスのメンバーでもある中矢梨恵さんのフルートの伴奏も、かずまの感傷的なメロディを効果的に聴かせてくれます。学校などでも、いまは余り歌われなくなった輪唱曲ですが、かずまのたくさんの作品から2曲を選んで歌われました。
琴の合奏があったのは珍しいところ。誰でも知っている
「さくらさくら」は幕末に作られた子ども用の琴の練習曲だったようですが、かずまはこれを学校唱歌に取り入れたいと考え、編曲して楽譜に残しています。今回はこれを琴の合奏と独唱で演奏しました。
琴の名手
宮城道雄と、「キューピーさん」「夕日」などの作詞で有名な
葛原しげるが作った子どものための琴の曲(=童曲)も演奏されました。そして、琴の曲と言えば思い起こされるのが「
春の海」。今回はヴァイオリンといっしょに演奏され、観客へのプレゼントになったようです。最後にかずまを振り返って歌われた「はぐれ島」(野口雨情作詞)、「つりがねくさ」(鈴木章弘作詞)は、かずまらしい歌曲です。清川さんと本永菊恵さんが二重唱で歌われた「つりがねぐさ」にはいつまでも耳に残る心地よさを感じました。
琴やヴァイオリンの演奏者、「花かげ」と「この道」を歌われた植野雅子さんは東京側の参加者でした。広島からの参加者との本格的なリハーサルはできないまま本番を迎え、細かい点では不安を残した本番でしたが、ステージマネージャーの宮崎幸子さんほかスタッフの方の熱心な支えで、大過なく終ることができてよかったと思います。
私は大まかなプログラムを頂いて、ナレーションと進行台本の原案を考えました。曲についてかずまが書き残している言葉はぜひ紹介したいと思いましたが、そのほかに出演者の出ハケを繋がなくてはなりません。かずまの歴史を辿ったり、詩の朗読を入れたりしながら転換時間に合わせました。この進行に宮崎さんが分刻みのタイムを付けられ「なるべくこれに合わせて延ばしたり、縮めたりしてください」と言われたときには少し心配でしたが、本番はほぼ予定通り進み、ほっとしました。
かずまのご長女・
坊田元江さんにはお父さまの思い出をお話しいただきました。39歳で逝かれたお父さまとの短く濃い思い出は、聴く人の胸を打つものがあります。最後にかずまのピアノを修理された
鹿倉(かくら)
春美さんもご紹介しました。単なる調律師というよりは「ピアノのお医者さま」と言うほうがふさわしい方です。新しい部品を使わずに、そのままの部品で「かずまのピアノ」の音色を再現され、それが
DVD「坊田かずまの調べ」制作と今回のコンサート開催を導くことになりました。
コンサートは音楽ホールではない会場や、遠方からの参加者の負担など難しい点も多々ありましたが、アットホームな雰囲気で温かいものになったと思います。私もアナウンス・司会・ナレーターという似ていながら異なる役割を一度に経験して、さまざまなことを学びました。
Posted by hyo_gensya2005 at 23:58│
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