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結論から申して、とんでもない映画です。実は、パリ人肉食事件は、出汁に過ぎません。まず、映画の作りが異常です。上映時間90分の7割程は、佐川さんの顔です。ええ、顔だけのアップで、それも半分くらいはピントが合ってないんです。この時点で度肝を抜かれ、映画を作っている連中のイカれ具合と割り切りに震撼します。

画像は顔だけ、それも持病で死にかけた殺人鬼は、今や、うわ言みたいなことしか言わないし、ナレーションもテロップも状況を説明する絵も一切無く、世間に媚びようとする姿勢は微塵もありません。

そして、真の主役は佐川さんの弟です。これは驚きました。正直申して、前半は凄くきついんです。試写会が始まった途端に、両側のオッサンは寝てました。いびきかいてたオッサンの向こうのオバサンもです。まず映画の方法論が理解不能なんです。そして、写ってるのが薄気味悪いオッサンの顔だけです。苦痛から逃れるために、脳が信号を遮断しようとするんですよ。

しかし、ここで目を背けてはいけません。実は、この苦痛の前半に、後半に繋がる重要な伏線が幾つも仕込んであるのです。それが上手く拾えるかどうかが、この映画を楽しむための肝になる気がします。

中盤以降は凄いですよ。血がそうさせるのか。教育や家庭環境の成果なのか... 信じ難い真実を突きつけられますが、あれは全て本当です。先日のデスカルチャーサミットで、映画でもすくえていない危険な領域をたっぷり見せてもらいました。

自分もいろいろやってますけどね。あの兄弟には敵わないですね。根本的に次元が違います。余りにヤバ過ぎて、どこも国内上映しようとしなかったので、トカナを手を挙げて初めて配給をやることにしたそうです。

前半がきついという話は事前に聞いていたので、実は、朝のうちに少し焼酎を飲んで、軽くまどろんだ後に試写会に行きました。酒が抜けた後は、異様に目が冴えるからです。その甲斐あって、あの不親切な作りの薮の中から伏線も拾えましたが、あれは難易度高いですよね。

公開前なので、ネタバレさせちゃいけないことになってますけど、むしろ予習しておいて丁度イイくらいじゃないでしょうか。何も知らずに見たら、消化不良のまま、あの見事なまでに美しい構成を理解することが出来ない気がします。

佐川さんは、悪いことや贅沢をやりまくって病気になり、今は仙人みたいになってますけど、きれいなお姉さんに世話してもらって「奇跡だ」と喜んでましたね。佐川さんのあの言葉に嘘は無いでしょう。あれだけの事件を起こした怪人も、最期はただの人だったのです。

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カタログも、ほぼ文字だけで構成されていて異様です。配給するトカナも本気ですね。