野村水害_071
一昨日の晩、「時事・公論」で野村ダムのことが扱われていました。結果から申して、極めてまともな番組でした。豪雨災害時、ダムの放流規則に重大な問題がありましたが、建設当時の規則のままなら、被害はかなり小規模になっていた可能性が高いとする専門家の意見を強調し、住民の慢心も指摘していました。

ええ、その通りです。元の規則なら、被害規模は半分以下、家屋の浸水はあっても人的被害は防げたと考えられます。

続いて、昨晩の「クローズアップ現代」でも野村ダムを中心に、全国のダムの問題点が扱われていました。この番組も、公共放送が昨秋垂れ流した悪質なデマの類は一切無く、安心しましたが、番組の論点には誤りがありました。

番組に登場した石井光太というハゲのオッサンは「治水=命、利水=金」だと断じていたのです。いや、違いますよ。あのハゲは何の権限があって、こんな大嘘抜かしてるんですか。

まず、野村ダムの話をします。大昔から、水害に苦しめられていた野村地区の住民が治水ダムの建設を度々陳情していましたが、建設計画が実体化することはありませんでした。昭和40年代に愛媛・南予地区の沿岸部で異常渇水が起き、生活用水、灌漑用水が極度に不足し、水の取り合い、事故、争いが頻発し、自殺者まで出て、南予地区の水瓶を確保するために野村ダムとそのダム湖の水を沿岸部に送水する南予水道が建設されたのです。

野村ダムは、ほぼ利水ダムです。治水の機能もありますが、ダムの規模自体が小さめなので限定的です。肱川水系全体の治水を行う機能は最初から有していません。利水7に対して治水は3くらいの比率です。しかし、先にも記した通り、水が無ければ南予の人間は生きていけないので、野村ダムが作られたのです。

利水の目的が発電、工業用水であったとしても同じです。ダムから水を引いて動いているのは地方の工場でしょう。水が無くて、工場が稼働出来なくなったら、働いている人達は、その土地では生きて行けなくなります。また、現代人は電気が無ければ生きてはいけません。電気が無いと、水道の供給も食料の生産・流通も出来ませんから、利水を放棄したらたくさんの人が社会的に死にます。

治水も利水も人間が生きるために必要なダムの機能なのです。だからこそ、問題の解決は難しく、話は単純ではありません。国が指示して、事前放流させて、それで水が不足するようになったら、国が補償しろと頭が足らないハゲは抜かしてましたが、余りに世間知らずな論理です。渇水でミカンの木が枯れたら、翌年は実がなりません。工場が動かなくなり、仕事を他社に奪われたら受注契約の回復は難しいです。電気が止まり、病院の機能が停止して亡くなった人は、生き返りはしません。

それを全て補償するんですか。論理的に無理な話です。

野村水害_092
野村ダムの放流規則が変更されるきっかけになった水害の原因は、ダムの放流量自体ではありませんでした。同じ肱川水系の野村ダムと鹿野川ダムが、何の連携もせず、独自の判断で放流を行っていたために、防げる被害を防げなかったのです。

信じ難い話ですが事実です。鹿野川ダムが元県営ダムで、野村ダムは国交省の管理だったので、以前は全く繋がりが無かったのです(今は是正されています)。また平成8年にダムの運用規則が変更されたさい、地元への充分な説明も地元の了承も無かったこと。そもそも、説明責任を果たし、地元の了承を得る義務が法的に定められていないことを指摘するのが先ではないですか。

野村水害_076
それでもあのオバサンが出て来て(横顔はちらっと写ってましたが)、「ダムを無くせ」とか「逃げる間もなく」と言わなくなっただけ、大分進歩したのです。あのオバサンは、追悼式典には出席せず、橋の上で愛媛新聞の取材を受けていたそうですけど、居場所を無くしてるんじゃないでしょうか。

あれだけ派手に嘘番組に出てたら、確実に嘘吐き呼ばわりですよ。

豪雨災害後、大雨が降ると、ダムの管理事務所に「放流しろ」と電話が何件もかかって来るそうです。ダムの運用は規則と応用数学に基づいて行われます。そこらの素人の電話一本でダムの放流なんてやってたら、それこそ大惨事ですよ。バカの対応しているのに時間と手間を取られて、本来やるべきことに支障を来したらどうするんですか。