訳あって、10数年振りに黄金町・日ノ出町を訪れました。

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今も猥雑な感じは残っていますが、昔はこんなものではありませんでした。かつてこの街は、巨大な売春街だったからです。

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その多くは、一間間口の自称〝飲食店〟で、実態は売春屋でした。しかも、黄金町と日ノ出町の間全域が売春飲食店だったのです。街全体がピンク色の光で覆われた完全な異世界で「赤灯」と呼ばれていました。

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店の前に、お姉さん本人が立って客引きするのが基本です。 立っていないと〝営業中〟ということですね。なので、写真や置屋ババアにダマされることはありませんでした(何人もいる店には、置屋ババアがいましたが、獣小屋みたいだったので入ったことはありません)。余りに店の数が多かったので、一通り巡った後に決めるという選択法は成立しませんでした。戻って来たときは、大抵〝営業中〟でしたから。

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この一帯は半間間口ですよ。店の幅が人の幅程しかありません。 1階と2階の入り口が交互に付いているようですが、〝飲食店〟という体裁は、どのように成立させていたのでしょうか?大抵の店は、中に入ると1階に使用感の無い厨房とカウンターがあり、奥の階段を上った先の2階に布団が敷いてありました。

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かつてこの一帯では、主に戦争未亡人が商売していたので、売春防止法施行後も警察の〝忖度〟が作用していたようです。さすがに、その当時の様子は知りませんが、黒沢明の「天国と地獄」では、黄金町は阿片窟として描かれています。

そもそも、京急線一帯が悪所だらけで、かつてはギャンブル中毒者に「夢の路線」と呼ばれていました。公営ギャンブルと巨大売春街を連ねる悪の電車は、京急以外にはありませんでしたからね。大学の先輩は、某大企業の創業者一族の末裔でしたが、子供の頃「京急の電車は見てはいけない」と教育されていたそうです。見てはいけない電車って凄いですよ。それくらい黄金町はヤバかったんです。


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しかしながら、 時勢が変わり、巨大売春街が大陸や東南アジアからやって来た異人だらけになって、警察が戦争未亡人に〝忖度〟する必要も完全に消滅し、10数年前に浄化作戦が決行され、赤灯は潰されました。

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平成16年の段階で250店あったんですか。確か世紀の変わり目に、京急の高架下の売春屋は完全に一掃されているので、20世紀末には、その倍程あったはずです。当時、赤灯を説明するさい「店の数は無数。とても数え切れない」と答えていましたが、500件あったら数えられないでしょう。その無数の店の前に、数百人の商売女が立ってるんですから、美しく麗しい光景でした。

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この谷口さんだけ「売春飲食店」という言葉を使っていますが、これが最も正確な言語表現だと思います。

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20年前に、一抜けした京急の高架下は、現在クソみたいな施設が並んでます。

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京急線の高架下の売春飲食店は、20年前の段階で物理的に完全に消去されたので、痕跡がほとんど残っていませんが、かつては、こちらが売春街の中核だったのです。

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確か、この場所には、ちょうどこの落書きと同じくらいの大きさの看板があり、エイズへの注意喚起が記されていたように記憶しています。

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何故かここだけ、20年前の痕跡が残っていました。かつては、暴力が支配するピンク色の街だった何よりの証拠ですね。もっともこれは、世紀の変わり目の京急による斬減作戦後の痕跡ですから、昭和から繋がっていた領域の業の深さは、こんなものではありませんでした。


そもそもが、暴力と売春と麻薬が渦巻く悪所を「アート」で浄化という発想が気持ち悪いですよね。かつて自分をスカウトしようとして逃げられたアートディレクターの発想が、正にこれでしたよ。名刺代わりに渡された本には、自治体や行政機関が「アート」を利用して、街おこしをするのが定番になりつつあるから、新たなビジネスチャンスに参入しないアーティストはバカだ、みたいなことが延々と書いてあり、ゲロ吐きそうでした。

何で、自分がこんなバカに従い、自治体や行政機関にシッポ振らないといけないんですか。あいつらの考える「アート」の対局にいる人間を、何の疑問を感じることも無く「アート」の名の下に従えようとする発想と、人間の猥雑さと欲望を否定するために「アート」を利用するのは同じファシズムですよね。なので、自分はどちらも拒絶します。

サエボーグと絶縁したのも同じ理由です。何とか賞を取って以後、カルトの本性をむき出しにして、薄い本見てマンコいじるしか能が無い腐った女の分際で、自分を奴隷のように扱い始めたので、こちらもあの女との関わりを全面否定することにしました。申し訳ありませんが、アート・カルト・ファシズムに加担することは出来ません。

なので、「アート」に毒された黄金町なんて、二度と行くかって思ってたんですけどね...

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当館の常連・藤田さんが、黄金町でギャラリーを始めたのです。

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「ギャラリー幸子」という屋号が凄過ぎます。

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多分、こけら落としは、セルフヌード系の写真だったはずです。推測なのは、行ったら開いてなかったんですね。スマホ持ってないと開く時間が分からないし、7月半ばからお盆まで、猛烈に忙しくて、8月9日のその時間しか行けなかったのです。

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店主は見ての通り美人です。なので「飲み屋を主体にした写真バーにしたらどうですか?」と奨めたのですが、既に屋号は、ほぼ飲み屋ですよね。しかも、今後は、もう一つの趣味である緊縛イベントをやりたいとおっしゃっています。これは事実上、黄金町浄化作戦への反攻ですよね。なので、陰ながら応援しております。

開店時間は以下のブログを参照して下さい。
https://sfmt.exblog.jp/27675460/

委託販売を巡る一文に苦笑しました。業が深い人の周りには、業の深い人が集まるのですね。自分もそうなので、よく分かります。具体的な活動内容は以下のサイトを見ると良いと思います。

http://www.sachikofujita.com/work/work5/work.html

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あっ、危ない...

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