2004年09月27日

カクテルの基本

カクテルの作り方の分類に関しては以前書いたので、今回はさらに踏み込んで、それぞれの美味しさを引き出すテクニックをご紹介していきます。
(どんな本にも書いてないことを、ね)
〜やっと当ブログ本来のテーマに取り組みます(笑)〜

まずは「ビルディング」。
最も普通に、最も多く、たしなまれているカクテルスタイル。
グラスに直接作るカクテル全般。

簡単そうに見えて、実はシンプルなだけに美味しく作ろうと思うと、ある意味非常に難しい。

例えば「ジン・トニック」。
当店は勿論、多くのバーでもおそらく最も多くオーダーされているカクテルであろう。

使うものをただ単純にあげると、
グラス、氷、ジン、トニックウォーター、ライム
の五つ、ということになる、   
が。。。

手順もふまえて、それぞれをひとつの“構成要素”としてアプローチしなければ、美味しいカクテルを“構築”することはできない。

入れれば良い、混ざっていれば良い、というものでは、決してありえないことは自明である。
ビルディング・カクテルほどそれが肝要である。

まずグラス。
ロングカクテルであることを前提に全体量を鑑みれば、9〜10オンスのタンブラーがバランスよい。持ち心地、唇のフィット感を求めるのならば、上質でシンプル、薄くて硬質なクリスタルであれば尚、申し分ない。こういうスタンダードカクテルは器に奇を衒うべきではない。 〜金属製のカップを用いる老舗のバーがある(通称「カンカン」)が、あくまでそこのオリジナルであり特例だ〜。

氷。
バーにおいて、氷は寿司でいうシャリにあたる。
ネタ(=酒)とのバランスは勿論、“座り”、温度、輝きなどは
まさしく。
ベストバランスは総量の3分の1以上2分の1未満。
また、ひとつひとつが大きくて(故に数は2個以下が美しい)、逆に可能な限り表面積は小さい方がいい。しかもエッジは立っている方がいい。美しい(だから丸けりゃ良いってもんではない)。
また、尖った角が浮いていると飲む時、“鼻に刺さる”(笑)ので“座り”良くグラスに収める。
透明であることは必須にして絶対。中も表面も。
冷やしてシメ過ぎると液体を注いだ時、ひびが入る。クリアな氷を使う意味がない。冷たさは他の材料で求めれば済む話。
故に、必ず水をくぐらせて(洗ってから)ある程度緩めて、霜も落として(霜にはニオイやほこりなどいろんなものが吸着している)、透明にしてから使う。
これはプロの技(してないところが多すぎるね)。
でないと炭酸飲料を用いたカクテルの場合、ガスの抜けが早い。

さてジン。
銘柄に関しては好みの分かれるところ。
早い話が「何だっていい」。
故に他者にマイ・ベストを振りかざすのは不毛な論議。
俗物主義(スノビズム)の極みだ。
どんな酒にでもそれぞれの旨さがある。
ただ、ふさわしいT.P.O.があるとは思うので、それを模索するのもまた一興。

しいていえば、これはかなりイイ。
ヴィクトリアン・ヴァット・ジン

サファイアやNo.10、WET など、よくいえば洗練、悪くいえば軟弱なGINがもてはやされる昨今。
酒質も良く、香りも強い、質実剛健なGINの登場だ。
カクテルに用いても、圧倒的なフレイヴァーでその存在感を示してくれる。
ダンディズムが死語化しつつある現在、貴重な存在である。
(バーバリーがミニスカート作ってる時代を何という。。)

また、GINに限らずカクテルに使うスピリッツは冷凍しよう。これ必須。

トニックウォーター。
繰り返しいうが、炭酸飲料はガスが命。
ガスがないことは命がないことだ。
十分に冷たい。振動を与えない。
これが炭酸飲料の生命線。
だから注ぎ入れ方が肝心。
グラスの内側をつたう様に、擬音語でいうと、ぬーっといれる。ぬーっとだ。そぉーっとではない。(じょんじょろりんや、ごぼごぼではダメダメ)
すると、ぬわぁぁっと混じり合う。
唇に近づけると、さわさわと泡がはじけているのが良い。

だからバースプーンは使う必要なし。断言する。
繰り返す。バースプーンで絶対混ぜちゃいけない。混ぜる意味を再考すべき。
「仕事してますよ」というアピールに見えて、結果それは成果になってない。仕事とはそんなものではない。

銘柄は濃度のある「シュウェップス」がベターではあるが別に構わない。ただ、ねじ切りキャップが保存的にも良いし、半分でほぼ1杯の適量サイズでもある。カナダドライあたりと比べて首も太いので注ぐ時ゴボゴボッとなりにくい。
インディアントニックがオリジナルとはいっても入手しづらいし、意外と味は薄い。
「シュウェップスは甘い」という御仁もいらっしゃる。が、ソーダを微量加えるのはあくまでオプション。
そりゃ「ジン・トニック」ではなく、「ジン・ソニック」だ。きっちりガスを“逃さず”作れば、ぴりっとしたガスの酸味、刺激が甘みを包み込む。甘いジントニックになるのはガスが抜けている所為だ。

GINとのバランスは好み。
酒飲みは濃けりゃイイと思っているが、品がない。
かといって薄いのも、しらける。
1:2.5あたりを標準偏差としておこう。
(ジン45mlなら、トニック110〜120ml、氷が120ml前後、10オンスのタンブラーに9分目の仕上がりとなって見た目良し、となる)

やっとライム。
レモンしか入手できなければ仕方がないがやっぱりライム。
(当店では冬場はオーガニックの国産レモンが入るのでそちらの方がむしろ人気がありますが)
まずグラスに最初に入れる。最後に入れると香りが引き立つが、
氷の上に鎮座してるのはどうにも居心地が悪そうだ。
“ただライムであること”をありがたがる時代は既に過去のもの。

絞り込む。やさしく力強く。そして皮から香りを引き出す。
皮から出るわずかな渋みは、口内を収斂し、再飲性(造語!)を喚起・増進させる。
大きすぎると酸っぱい。小さいと浮かんできて、これも飲むのに邪魔になる。
1個の8分の1カットが程よい大きさ。
スライスじゃ、決してニヒルな味にならない。
(別にニヒルでなくても構わないんですけど。笑)


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hypnotiq at 17:55│Comments(4)TrackBack(2)超カクテル論 

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1. マティーニ  [ 今日のカクテル ]   2005年02月27日 22:11
レシピ ドライジン 60ml ドライベルモット 5ml(くらいかな?) レモンピール ミキシンググラスに氷を半分くらい入れてベルモットを60ml注ぎます。 ステアしてから、ベルモットを捨てます。 次にジンを入れてステアして、グラスに注ぎます。 最後にレモンピールを(レモンの汁.
2. 最近のお気に入り  [ 飲みログ ]   2006年09月22日 14:55
最近、熟読しているブログです。 こちら→ ミキソロジー??混酒論?? 酒飲みは必見! 僕が長々と書いていたジントニックについての事も バッサリ、スッキリと書いてありました。 恐れ入りました。 凄いです。 尊敬しました。

この記事へのコメント

1. Posted by FC3S   2004年09月28日 19:11
ジン・トニック、今まで何杯飲んだことか?これから生涯何杯飲むだろうか?
僕にとって、ジン・トニックは、大袈裟に言うと命の水みたいなものなのです。
                             
PS.ああ今夜もジン・トニックが、俺を呼んでいる。
2. Posted by 藤井直人   2005年02月27日 11:20
おお!参考になります。
ぬーっといれるのですかー
しまった、今まで泡出た方がいいのかと思ってごぼごぼ注いでました。(^^;
3. Posted by なまだる   2006年10月04日 07:27
コメント頂きまして、ありがとうございます!
ずいぶん古い記事なので、こちらからコメントをして良い物なのかどうかが分からずに、勝手にトラックバックをしてしまい、すみませんでした。
改めまして、仙台のバーで働いている「なまだる」と申します。
hypnotiqさんのブログには感動させられました!
これからも良きアドバイスとして読ませて頂きますので
頑張ってください!
4. Posted by hypnotiq   2006年10月04日 21:22
>なだまる殿
改めまして、当ブログへようこそ。
今後ともお見知りおきを。
しかし、いつも思うんですが、こうして大阪と仙台で(勿論、他にも文字通り、北は北海道から南は鹿児島まで)価値感を共有できるって凄いことですよね。つくづくこのブログというものの愉快さを思い知ります。
近々、そちらのブログもご紹介させていただきますね〜。
バーブロガーの会ってな感じで。笑

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