【社会部オンデマンド】

 「一般道を二輪車(オートバイ)で通行できない規制区間が国内にたくさんあります。一部ライダーの暴走行為が原因でしょうが、観光地なのに25キロも回り道しなければならない場所もあります。何とかならないでしょうか」=東京都八王子市の二輪車愛好家の50代男性

 ■「四輪車と比べ差別」

 「何十年間も二輪車の通行禁止がかけられたままで、通行禁止の必要性を感じない場所もある」。こう話すのは、日本二輪車協会(東京)企画広報部長の坂上勇一氏だ。

 協会はオートバイメーカーが設立した組織で、「通行禁止区間が多くて不便だ」との利用者からの声を受け、約10年前から調査を開始。通行禁止解除の要望が多かった区間の解除を求め、警察に働き掛けてきた。

 協会は平成16年、二輪車利用者を対象にアンケートを実施。約350人から回答があり、「通行禁止を解除してほしい区間」の上位には、ツーリングに適した首都圏郊外の観光地の道路などが挙がった=表。

 警察庁交通規制課によると、上位10位の規制理由の大半が急カーブの多い道でスピードを競う「ローリング族」対策のため。警察の管轄外の私有地の道路もあるが、いずれも6年後の現在まで規制が続いたままだ。多くが暴走族が目立った昭和50年代に通行禁止が始まり、中には半世紀近く規制が続く道もあった。

 同課によると、二輪車通行禁止区間は平成20年度末現在、全国で608カ所、総延長1017・8キロに及ぶ。協会が254カ所について調査したところ、約半数が暴走行為が原因で通行規制されていた。

 協会のアンケートでは、「一部の暴走行為で一般利用者が迷惑している」「暴走行為は二輪車よりも四輪車が多い。二輪は四輪と比べて差別されている」との声が寄せられた。

 坂上氏は「暴走族が大幅に減り、状況が大きく変わっているのに規制が放置されている」と指摘する。

 実際、警察庁交通指導課によると、21年現在、警察が把握している暴走族の数は1万454人で、最盛期の昭和50年代と比べて4分の1に減少している。

 それでもなぜ、二輪車通行禁止が続くのか?

 ■ライダー平均年齢47歳

 「ネットの書き込みを見て2、3人が集まって暴走行為をする。100台を超える暴走族もリーダーを押さえれば取り締まれたころと状況が様変わりしている」。交通指導課の担当者はグループの拡散化現象をこう説明する。

 実際、警察が認知したローリング族のグループ数でも21年には38グループと5年前に比べ倍増している。ただ、ローリング族を二輪車と四輪車の割合でみれば、2対8。担当者は「二輪車通行禁止の現状と合わない部分もあるかもしれない」としながらも、「100メートル置きに警察官を立たせるわけにもいかないし、四輪車も通行禁止にすると、それこそ通行止めになってしまう」と話す。

 状況に応じた通行禁止の解除はできないのか?

 交通規制課の担当者は「規制されている現状では暴走行為はみられないが、解除したとたん、いろいろなライダーが集まって危険な走行に及ぶのではないかと、二の足を踏んでしまう」と説明。坂上氏は「二輪車は危ないというイメージで判断されてしまっている」と言う。

 新たな要因も浮上している。二輪車利用者の高年齢化だ。日本自動車工業会の統計では、昨年度の利用者の平均年齢は47・4歳。「家庭が落ち着いてからステータスとして1200cc以上の大型バイクを購入する40~50代の『リターンライダー』が増加している。しかし、技術や体力がついていかずに事故につながるケースが増えている」(坂上氏)

 ツーリングコースとして人気のあった東京郊外の奥多摩周遊道路も、中年ライダーを含む二輪車の死亡事故が続発し、昨年末から片側二輪車通行禁止措置が取られた。

 坂上氏は「バイクは、乗りこなしてこそ楽しいのであって、自分の体に合ったバイクを選ぶのが大切。バイクは省エネ、省スペースの環境に優しい乗り物ともいえる。ライダー自身のマナーアップに努めるとともに警察にも引き続き、通行禁止解除の働きかけを続けていきたい」と話している。(桜井紀雄)

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