2006年04月26日

こっちのブログは閉鎖w


ここは閉鎖しますね〜www

日記、小説などは、

こちらぁぁあぁぁあぁ〜〜〜!!!

で、ほぼ毎日更新中です〜♪

では〜☆

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2006年04月13日

ツンデレ子猫娘の第14幕だよっ!

うがぁあぁぁ〜! 学校が始まっちゃったぁあぁぁ〜!
ふぅ…、レポートがいっぱい出て大変です。
小説を書きあげるスピードは格段に落ちちゃいました…。
まぁでも、学校にはネタがゴロゴロと転がっているので、ネタには困りませんねっw
あぁ〜、早くアレを書きたいな〜。でも、物事には順序って言う物があるから地道に行かなければッ!

では、第14幕 スタート!



第14幕  家庭訪問



「はははっ、さっきは大変な目にあったぞ」
俺は教卓に立ち、戻ってきた女の子達に、さっきの出来事は「俺にとっては軽いもんさ」的な雰囲気をかもし出しながら、爽やかに言ってやった。まぁ、誰もこっちを見ていなかったがなッ!
「新谷先生、すいませんでした…、そして大丈夫ですか?」
すぐ前に座っている北条が、申し訳なさそうに謝ってきた。
「はははっ、気にすること無いって。想定の範囲内さっ」
時雨はさっきから意識をずっと失っている。しょうがないのでパイプ椅子に座らせておいている状態だ。
「ふぅ…」
頭から滴り落ちる血を拭い、俺は窓際の前から2番目の席に座っているレデンにチラリと目を向けた。
「全く…」
レデンは後ろの席に居る“九尾 紺(きゅうび こん)”と楽しそうにしゃべっている。
「(良かったな、レデン…)」
俺はレデンの前の席に座っているヤツに視線を移した。そこには奇妙な流線型未確認を頭に飼っている“銀杏 空(ぎんきょう そら)”が座っている。ついさっきまでレデンは、「この席がいいニャ〜」とワガママをあげて、窓際の一番前の席に座っていた“銀杏 空”と騒ぎを起こしていた。

――――――(回想シーン・スタート)

「レデン…、この席がいいニャ〜…」
みんなが戻って来てすぐに、レデンの席を決めるための話し合いが行われた。
「レデン…、この席がいいニャ〜…」
俺は、最初から空いていた窓際の一番後ろの席をレデンに薦めたのだが、レデンはどうしても一番前がいいと言う。しかしそこには、先ほど俺を吹き飛ばした未確認線形物を頭に飼っているあのアマがいやがったッ!(後半キレ気味)
レデンはその席に両肘を突いて、少し低い位置からそのアマを上目遣いで見つめていた。
「……………」
しかし、頭に付いているヤツがウネウネと伸縮運動しているだけで、そのアマは眉ひとつ動かさずに、窓の外の風景を眺めていた。
「(てめぇ、ウチのレデンを無視するたぁいい度胸じゃねぇかッ!)」
怒りに心が支配されるような現象に襲われて、俺はいてもたってもいられなくなった。

「えっと…、銀杏さん…、だったよな?」
ポケットに手を突っ込みながら、俺はまるでヤンキーがカツアゲでもするかの如く近づいた。しかし、このアマは見向きもしなかった。まぁ…、だから俺はちょっとだけキレちゃいました。
「ふっ…、すまないけど…、そこ…、ど・い・て・もらえないか? …邪魔なんだよな」
思いっきりイヤなヤツを演じてみたぜっ。って、べ…別にさっきのことを恨んでいるわけじゃないからなっ! か…勘違いしないでくれよなっ! 俺はもう大人…、そんなはしたない事は思わない…つもりだったが、やっぱりさっきの恨みだぁ! へっへっへっ、俺を「邪魔」扱いした報いを受けろ。ケッケッケェ〜ッ…!

「…ふぅ」
ため息をついたのは、何故か銀杏の後ろの席に座っていた赤髪の女の子。しかも、レデンが付けているネコ耳よりもツンツンと尖った耳が頭に付いている。確か…、九尾 紺(きゅうび こん)と言う名前だったな。
「あんた…」
紅い…、紅い眼が俺を貫くかの様に見つめる。
「危ないぜ? ソラちゃんを怒らすと」
ニヤリとその子が微笑んだ。
「危ない? ほう、どう危ないのか教えてもらいたいな」
「…だってさ?」
そう言って、その子は銀杏の肩をポンと叩いた。それを合図にしたかのように、

――――――グニュンッ!

銀杏の頭に寄生している未確認線形物が…、後ろにうねった。

――――――シュバァッ!

「うぉっ!?」
反射的に顔を左に傾けた。それが幸いした。なぜなら、さっきまで俺の顔があった空間を、その未確認線形物が貫いたからだ。
「ギギギギギィ…」
耳元から変な音が聞こえる。俺もギギギと擬音語を出しながら、首を後ろに回転させて“それ”を見た。そして、“それ”も俺の顔を見つめていた。いや、目は無かったが、何かに見つめられているようなプレッシャーを感じると言った方が正しいな。
「おい、銀杏…。これは一体何なんだ?」
この物体からは目が離せないので、俺は銀杏に背を向けたまま答えを求めた。
「…“エリザベス”ちゃん…」
「どうでもいい答えありがとう」
「…どう致しまして…」
「褒めてねぇよっ!」

――――――シュビハッ!

目を一瞬“それ”から逸らしてしまった。その結果、俺の見ている風景が横へムーンウォーク。俺を見ていた皆の視線も横に水平移動。薙ぎ払われた体が宙を飛ぶ。
「ぐふぅッ! 油断したぁあぁぁ〜!! ひぃぃぃッッ〜〜〜!?」
迫り来る廊下の窓ガラス。と…止まれねぇ!

――――――ガッシャ〜ンッ!

「ぎゃぁぁぁ〜〜〜…!」
俺の悲鳴は校舎の外へとフェーズアウトして行った…。
「エリザベスって言うニャ? この子?」
「…うん」
「可愛いニャ〜♪」
ナデナデ。
「ギギギィ…♪」
「エリザベスちゃん…、嬉しそう?」
「ギギギッ!?」
「エリザベス、あんた…、照れているな」
「ギギギッ!」
「きゃっきゃっ、照れるな照れるなっ」
「ギギギッ! ギ…?」

――――――ズルリ…

変な音にエリザベスが気づいた。
「ギギギィッ!」
「どうしたの、エリザベスちゃん…」
「ギギギィッ!」
エリザベスがある場所を示す。そこには…、

――――――ズルズル…

すでにガラスが粉々に飛び散ってしまった窓から…、俺が這いずり出てきていたのだッ!
「はぁ…はぁ…! し…死ぬかと思ったぜッ!」
ガラスの破片が全身に突き刺さっている状態ではあるが、
「フンムッ!」
全身に力を入れて、俺の体に突き刺さっていたガラスの破片達を吹き飛ばした。
「なるほど…、こんな感じで校舎がボロボロになっていくんだな…」
俺が今日この場所に来てから、すでに窓ガラス2枚、教室の扉1つが大破している。しかもまだ今日と言う日はまだまだ終わらない。俺が思うに、今日でこの校舎は崩れ去るだろう。
「(ふっ、上等…)」
新たなやる気を決意したのち、俺は這いずりながら何とかレデン達のいる所まで移動した。

「おいエリザベス」
「ギ?」
ユラリと俺は立ち上がった。
「なかなかやるじゃないか」
「ギギギッ♪」
嬉しそうな?音が、リボンに縛られている小さな穴から聞こえた。
「エリザベス、悔しいがお前の存在を認めてやるぜ。お前が何故存在しているのかなんて深く考えないことにした。って言うか、考えたくないっ」
「ギ…?」
首?を傾げるエリザベス。
「はははっ、でもこのリボンはちょっとダサいな。取ってやるよ」
「ギッ!?」
エリザベスの先端に巻きつけられているリボンは、まるでエリザベスを封印しているかの様なオーラを放っていたが、格好悪いので俺はそのリボンを取ってやろうと手を伸ばしたが、

「ダメ…」
銀杏が呟いた。
「絶対にダメ…」
強調して再度答えた。
「何でダメなんだ? ぶっちゃけダサイぞ?」
「…も…」
銀杏はしばらく黙ってしまったが、
「漏れちゃうから…」
「ギギギィ…」
リボンに縛られていないエリザベスの先端部分の小さな穴から、悲しそうな音が聞こえた。
「漏れる? 漏れるって…、何が?」
「……………」
「言えよッ! 気になるだろうがッ!」
「……………」
「ウォォォォ〜! 気になって今夜寝れねぇ〜〜〜!」
俺を無視して、銀杏はまた窓の外を眺めていた。

「この席がいいニャ〜…」
レデンはずっと銀杏の席の前でしゃがんでいた。
「まだそんな事を言っているのか、早く一番後ろの席に行け」
「ヴゥゥゥ〜〜〜…」
「そんな声を出してもダメだ」
「ニャゥゥゥ〜〜〜…」
「萌え声とウルウルの目のコンボで俺を攻めてもダメだ。諦めろ」
「ちっ…ニャ…」
やっと諦めたレデンは後ろの席へ歩いていった。が、

――――――ガシッ!

「ニャ…?」
腕を掴まれていた。
「レデン…ちゃんだったよな?」
レデンの腕を掴んでいたのは“九尾 紺”だった。
「そうニャ…。でも今は傷心中のレデンだニャ…」
レデンのネコ耳がペタリとしおれている…。元気が無い証拠だ。
そのネコ耳を見て、少しにやけた九尾だったが、
「まぁ、せっかく俺たちのクラスに来たのにお祝いも無いのは流石に引けるからな。俺の席で良かったら譲ってやるよ」
「ほ…本当ニャッ!?」
レデンのネコ耳がピンと天を向いた。
「あぁ、本当の本当だ」
目を細めて笑う九尾。
「…という訳で、“凪(なぎ)”…ずれてくれ」
「御意」
九尾の後ろの席に座っていた武士風の女の子は、九尾にそう言われると机に掛けていた日本刀を手に取り、
「すまないが、皆ずれてくだされ」
そう言って、自分の後ろに座っていた女子達に体を向けて頭を下げた。

――――――ガタガタガタァ…

皆の移動が完了すると、窓際の前から2番目の席が空いた。
「ありがとうニャ…、えっとぉ…」
「九尾 紺だ。“コン”でいい」
「ニャっ。じゃあコンっ。レデンもレデンでいいニャっ」
「分かったよレデン。これからよろしくなっ」
「ニャっ、皆よろしくニャっ」
レデンは本当に楽しそうな笑顔で皆に頭を下げた。

――――――「ようこそ、モウマンタイ組へっ!」

クラス中の女子の声がそろった瞬間だった。銀杏を除いて。

「あれ? だから俺はっ? 俺はっ? 無視っ? あれっ? みんな聞こえてますか〜? もしも〜し?」

――――――(回想シーン・終わりっ)


「おい時雨先生っ! いいかげん起きろっ!」

――――――プニィィィ〜!

思いっきり時雨の頬っぺたをつねってみた。
「あぐぐぅぅぅ〜ッ!?」
目を覚ました。
「痛いですよ和也さん…、じゃなくて新谷先生」
「やっと起きたか」
目をこすっている時雨はまだ眠そうだが、俺の姿を見て、
「ひゃっ? 新谷先生、そのケガは何ですか?」
「あぁ…、ちょっとガラスの精霊が急に襲い掛かってきてな…。アレには流石にびびった」
「マジでッ!? それは大変でしたねっ」
俺の冗談を真に受けている…、恐らくまだ寝ぼけているのだろう。脳が正常に働いていないようだ。いや、元から正常に働いていないような気がする…。死んだ脳を持つ女…時雨…おぉっ、ちょっとカッコイイ。

「じゃあ、私が代わりに授業をしますね」
嬉しいことを言ってくれた。
「あぁ…頼む。血も滴るイイ男である俺はちょっと疲れた」
時雨が退いたパイプ椅子に、今度は俺が座った。
「あとは…任せた…」
「はい、任せてくださいっ」
時雨の自信に満ちた声が聞こえた。
「(し…死にそう…)」
休憩しないと体が待たねぇ…。俺は目を閉じた。
「では皆さん〜、授業を始めますね〜。えっとぉ…、まずは出席を取りますねっ。って、全員いますね〜、てへっ」
時雨のアホな声が子守唄になってしまった…。

――――――――――☆

「…先生っ…」
「んっ…?」
誰かが俺の体を揺すっている。
「早く起きてください。ホームルームの時間ですよぉ」

――――――ゆっさゆっさっ

時雨が俺の体を思いっきり揺する。…って、
「痛てぇよ! 傷口に触るなッ!」

――――――バシッ!

時雨の手を叩いた。
「えっ?」
叩かれた手は本当に自分の手なの? といった感じで、時雨はしばらく自分の手を見つめていたが、急に何かが弾け飛んだかのように、その場に座り込んでしまった。
「な…何だ? どうした?」
時雨の目は自分の手を見つめながら、どんどん涙を溜めてウルウルになっていっている。
「な…」
時雨の口が開く。
「な…?」
つられて俺の口も開いた。

――――――「な…殴ったねッ!? 親父にもぶたれた事ないのにぃッ〜!!」

クラス中の視線が時雨に注がれた。
「きゃっきゃっ、面白い先生だなっ」
「ただバカなだけニャ」
レデンと九尾は、お互い顔を合わせながら失笑していた。俺が寝ている間に、レデンと九尾はすっかり仲良しになったようだ。萌え耳付き娘同士、何か通じるものがあるのだろう。
ふっ…、俺は取り合えず、無言のままで時雨を見つめることにした。
「あぐぅ…、何ですかその可哀想な物を見つめる瞳はっ? せっかく頑張ったのに…」
文句を言いながら渋々立ち上がる時雨の目は赤くなっていた。
「それは無駄な努力だったな。…で、今は何時間目なんだ?」
「何を言っているんですかっ、もう放課後ですっ」
「えっ…?」
驚いて外を見た。
「げっ…」
う〜む…、確かに…、教室に注ぎ込まれているオレンジ色の光は、今が夕暮れ時だということを示している。
「マジでっ? 俺ずっと寝ていたのか?」
「はい、ず〜〜〜っと寝ていましたっ」
俺に人差し指を突きつけて、自信満々で言いつけてきた時雨に、俺は殺意を覚えた。

「えっ…、って言うことは、時雨先生が一人でずっと授業をしていたってことか?」
「はいっ、新谷先生に“任せた”と言われましたからねっ。頑張りましたよ、私はっ」
急に生き生きし始めた。
「そうか…、“能あるバカは爪を隠す”とは、まさにこの事だったか」
「そんなっ、照れちゃいますよっ」
時雨は照れくさそうに両手を頬に当てて、「きゃっきゃっ」と騒ぎ出した。本当のバカがここにいた…。
「時雨先生すごかったですよ」
むっ…、この声は…。
「北条…、何がすごかったんだ?」
フルートを吹くと、何故かタフなゴキブリが集まってきてしまう奇妙な体質の持ち主である北条は、時雨を尊敬の眼差しで見つめながら、
「時雨先生…、教えるのも上手でしたし、私たちが何を質問してもちゃんと答えてくれました。時雨先生は立派な教師ですよ」
と、誇らしげに言った。
「北条さん…、ぐすっ…。あれ? 嬉しいのに…、涙が出てきます」
「それはやばいな。すぐに病院に行け。多分もう手遅れだろうがな」
「病気じゃないですっ。それよりも新谷先生っ、早くホームルームしてくださいっ。最後ぐらい担任らしくしてくださいよねっ」
「うっ…」
痛いところを突かれた。
「あぁ…、分かった」
俺は皆の視線が集まる教卓に両手を置いて、一呼吸した。
「え〜、今日は済まなかった。俺、結局今日は何もしていないよな?」

――――――「そうですね〜」

「俺…、ダメな教師かな?」

――――――「そうですね〜」

「悪りぃ…、それ止めてくれない? ちょっと落ち込むから」

――――――「……………」

「無言もイヤだなぁ」

――――――「そうですね〜」

「もう、どうでもいいや…」
悲しくなってきた。こうやって、先人の教師たちは辞めていったのだろうか? いや、これはさっきまでの状況に比べるとかなりマシな方だろう。返事が返ってくるだけでも嬉しい。さっきまでは無視100%だったしな。時雨のおかげでこのクラスの奴等も警戒心を少しだけ解いてくれたようだ。
「おっほんっ、…でだ、今日一日何もしていないとなると、俺の教師としてのプライドが許さないわけだ」
「ぷっ、今日から教師のくせに…(ぼそっ)」
「何か言ったか、時雨先生ぃ?」
「別に…」
そっぽ向いてしまった。
「それで…、皆のことも良く知りたいので、今日からの放課後は、毎日皆の家庭訪問をしようと思っている」

――――――「はぁぁぁぁぁ〜〜〜!?」

ものすごくイヤそうな声が聞こえてきた。
「どうした? 何か問題でもあるのか?」
「(新谷先生…!)」
時雨が俺の耳のすぐそばで話しかけてきた。
「(そんな暇は無いですよっ、私たちには大事な使命が…)」
「(まぁ待て、もしかしたらこの中に、“萌え忍”関係のやつがいるかもしれないだろう?)」
「(あぐぅ…、その可能性もありますが…)」
「(だったらいいじゃねぇか。家庭訪問でこいつらのことも知ることができるし、萌え忍に関する何かの情報を手に入れることもできるかもしれないぞ? 一石二鳥じゃないか)」
「(変な事したらダメですからねっ!)」
「しねぇよッ!」
つい大きな声を出してしまった。

「きゃっきゃっ、何だか訳アリなお二人さんだなっ」
「最近、二人の距離が大接近中ニャッ!」
「こらそこっ! 勝手に変な誤解を生むんじゃねぇよっ!」
「レデン…、後で詳しい話を聞かせろよ」
「了解ニャッ!」
がっちりと手を合わせていたレデンと九尾が夕日に照らされた。
「九尾っ! 人の話は最後まで聞けよっ」
「あん? ちゃんと聞いたぜ」
九尾の紅い瞳が“ギンッ”と俺を睨んだ。
「だから忠告しといてやるよ。家庭訪問なんて止めておきな」
「…何故だ?」
九尾の赤い髪の毛が、夕焼けの光に照らされてさらに赤くなっていく。
「どいつの家に行っても、必ず後悔するからだ」
「ふっ、残念だったな。俺は後悔しない人間なんだ」
そう…、俺は誓ったんだ。もう決して後悔しないと!

「ふ〜ん…」
九尾がニヤニヤしながら俺を見ている。
「何だよっ?」
バカにされているような気がして、ちょっとムカついてきた。
「だったら、オレんちに来てみるか?」
「…えっ?」
すこしの間だけ理解できなかったが、
「いいのか?」
「あぁ、来てもいいよ。だが…」
九尾が下を向いて「きゃっきゃっ…」と笑い出した。
「必ず後悔させてやるぜ」
顔を上げて再び俺を見つめた九尾は、とっても嫌な笑みを浮かべていた。




(次回予告)

九尾 紺(きゅうび こん)の髪の毛の色…、黄色の方がいいかな?

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2006年04月06日

ツンデレ子猫娘の第13幕だよっ!

あぁ〜、今日で春休みが終わっちゃいます〜。残念です。
明日は入学式です。めんどくさいです。
さて、ついに学園編がスタートしました。で、早速ありえない出来事に巻き込まれる和也達ですw 僕だったら失神しちゃうような出来事ですw

では、第13幕 スタート!



第13幕  萩原学園



「バカ兄貴…」

――――――モグモグモグモグ…

「ん? 何だ?」

――――――モグモグモグモグ…

「聞きたいことがあるんだけど…」
「おぉ、何でも聞け」

――――――ゴックンッ

「美鈴さん、お代わりニャ〜」
美鈴は、差し出された空のお茶碗を黙って受け取って、中にご飯をたくさん入れた。
「レデンちゃん、今日はいっぱい食べるのね、はいっ」
萩原学園の制服を着たレデンの手に、ご飯がてんこ盛りのお茶碗が渡される。
「うんっ、今日からレデンは学生になるから、いっぱい食べるんニャ!」
「そうなの…」

――――――モグモグモグモグ…

「…で、話の続きなんだけどね」
「あぁ」
スーツをビシッと着こなしている俺は、口に入っていた物を急いで飲み込んだ。
「私の言いたいこと…、分かるわよね?」
「ん? 何のことだ?」
「惚けるんじゃないわよぉッ〜!」
突然キレた。
「まぁ、落ち着け。ほら、茶でも飲め」
美鈴に暖かいお茶が入った俺の湯飲みを渡す。
「ありがとう…」
そう言って湯飲みに口をつけてお茶を飲む美鈴。
「はぁ〜、落ち着くわねぇ〜」
「そうだろ、そうだろ。日本人はやっぱり茶だな」
「うん………、あっ」
「どうした、美鈴?」
「この湯飲みで…、バカ兄貴お茶飲んだ?」
「あぁ、飲んだぞ。それがどうし…」
「死ねよッ! バカ兄貴ィィィ〜〜〜!」

――――――ドコォッ、バキィッ、ドドドッドンッ、バコ〜ン!

騒がしい朝の食卓だったニャ…。(レデン談)

「いつつつつ…、せっかく着たスーツがボロボロじゃないか…」
クソジジィからもらったこのスーツを実際に着た時間…、僅か10分。
「まぁ、もう一着あるからいいか…」
雑巾みたいに汚れてしまった元スーツを脱ぎ捨て、新しいスーツをタンスから取り出した。
「ちっ、あっちの方が似合っていたのによ…」
グチこぼしながら、渋々着替えた。

――――――「バカ兄貴…」

美鈴の声だ…。部屋のドアの裏から聞こえる。
「何だよっ?」
スーツの恨み…、一生忘れないからなっ!

――――――「何でバカ兄貴がスーツを着ていて、そしてさらにおかしなことに、レデンちゃんまで制服を着ているの?」

俺は時計を見た。昨日、時雨が言った時間までに、萩原学園に着けるかギリギリの時間帯だった。
「悪い美鈴。詳しい事は帰ってきて言うよ」
そう言いながらドアを開けた。
「またスーツ着ているし…」
美鈴が俺の姿を見てそう言った。
「似合うか?」
ポーズをとってみる。
「似合わないわよ」
即答だった。

「美鈴よ…。とりあえず簡単に言うぞ。今日から俺は萩原学園の教師、レデンはそこの学生だ」
「学生ニャ〜♪」
レデンも話しに入ってきた。
「カバン持ったか?」
「持ったニャ」
「歯ぁ磨いたか?」
「磨いたニャ」
「じゃあ、行くぞッ!」
「了解ニャッ!」
歩き出した俺とレデン。
「ちょっと待ちなさいッ!」
美鈴に両肩を掴まれた。
「だから、時間が無いんだって…」
俺は無理やり腕を解いた。
「うっ…、何でバカ兄貴がいつのまにか教師になっているのよッ!?」
美鈴は少し泣き出しそうになっていた。
「帰ってきてから言う、行くぞレデン」
「ごめんなさいニャ〜、美鈴さん」

――――――バタンッ

玄関のドアを閉めた。
「バカ兄貴のバカァアァァッッ〜〜〜!!!」
美鈴の子供みたいな叫び声が近所中に響いた。

――――――――――☆

「あっ、和也さんですっ」
秋の風が靡いた先に、一人の女性が立ち尽くしていた。
「よっ、時雨」
萩原学園の巨大な門に寄りかかっていた時雨は、俺たちの姿を確認するとこっちへ近づいてきた。
「今日から私たち教師ですねっ」
「そうだな…」
ガッツポーズをとる時雨。俺たちの横を歩いて通り過ぎていく学生たちが、「誰だろう、この人たち?」みたいな感じで去っていく。
「俺たちは教師だぞぉぉぉ〜!」
とりあえず叫んでみた。
「ご主人様…、めっちゃ恥ずかしいから止めてニャ…」
「ごめんなさい…」
レデンの爪が首に突き刺さっていた。
「レデンちゃん…、はしゃいでいますねっ」
「はっはっはっ…、時雨は本当にバカだなぁ」
「レデンちゃん…、そんな人なんか放っておいといて、職員室まで一緒に行きましょうね〜」
「了解ニャ〜」
二人仲良く手をつないで歩き出した。
「こらこらこらっ、全く…、困った奴らだぜっ!」
俺は急いで二人の後を追いかけた。

――――――――――☆

「おぉ、これはこれは新谷先生。ようこそいらっしゃいました。どうぞこちらへお座りください」
俺の目の前には、外客用の大きな黒光りのソファーが。
「はぁ…」
訳が分からず座る俺。
「時雨先生も、レデンさんも座ってください」
初老の男の人が腕でソファーを指す。
「ありがとうございます」
「ふかふかニャ〜♪」
レデン達も言われたとおりに座った。俺たちが座ったのを確認してから、そのおじさんもソファーに座った。
「初めまして、私はこの学園で教頭をしています“川瀬”と言います。以後、宜しくお願いします」
そう言って、頭を下げた。
「えっ、いや…、そのっ…、こちらこそお願いしますぅ!」
時雨が慌てて頭を下げる。
「いやしかし、見れば見るほど素晴らしい経歴ですなぁ、新谷先生」
「へ?」
嫌な予感がする。
「僅か14歳で、バーバード工科大学を主席で卒業しているとは…、末恐ろしいですなぁ」
「(げっ)」
クソジジィ…、どんな嘘八百を書いているんだよ。
「その後の経歴も素晴らしい…。いや〜、よく我が学園に来てくれましたっ」
そう言って手を握られた。
「いや〜、恐縮ですよ」
俺は笑って応対したが、内心ビビリまくっていた。
「新谷先生の経歴も素晴らしいが、時雨先生とレデンさんの経歴も素晴らしい」
「ニャ?」
レデンの顔が引きつる。俺と同じような嫌な予感に襲われたのだろう。
「これほどの逸材が3人もいるところを、私は生まれて初めてこの眼で見ましたよ」
はっはっはっとおじさんが笑う。

「それゆえにまだ信じられませんよ。こんなに優秀な教師と生徒が、“モウマンタイ”組に配属して頂けるなんて、本当に助かります!」
先ほどよりも深く深く頭を下げるおじさん。何だか猛烈に嫌な予感がしてきた。
「(なんの話だ…?)」
「(さぁ、私にも分かりません)」
時雨に聞いても分からなかった。恐らく、クソジジィが書類を勝手に偽造して、そして勝手に配属先まで決めてしまったのだろう。

「いや〜、あのクラスには我が萩原学園屈指の“問題児”が集められておりまして、そこに配属された先生は、ことごとく全員が1日でこの学園を去っておりまして…」
大きなため息が部屋に響いた。
「1日で全員が辞めているんですか?」
時雨が確かめる。
「はい…、1日です」
どんよりとした空気が俺たちのいる部屋を包み込んだ。
「楽しそうだニャ〜♪
レデンだけは楽しそうだった。

「新谷先生は、モウマンタイ組の担任を。時雨先生はモウマンタイ組の副担任をしてもらうことになります。レデンさんには、クラスの委員長になってもらいたいのですが…」
そう言って、おじさんはレデンを見た。
「いいんちょう?」
レデンが首を傾げる。
「まぁ、クラスで一番偉いヤツってことだ」
「偉い…?」
手を口元に当てて、しばらく黙りふけるレデン。
「ん〜…」
まだ考える。
「ん〜…」
まだ考える。
「レデン…」
結論に至ったようだ。
「権力ってキライだニャ。委員長にはならないニャ」
「へっ?」
つい声が出てしまった。
「そうですか…、残念です」
本当に残念そうにするおじさん。
「では、そろそろ時間ですのでご案内します」
おじさんが立ち上がる。
「どこへですか?」
俺の言葉に、窓の外を遠く見つめるおじさん。
「モウマンタイ組がある、旧校舎へです…」

――――――――――☆

「カー、カー…」
カラスが飛んでいる…。

――――――バッサ、バッサ!

「うわっ!」
すぐ横をカラスが通り過ぎた。
「こ…怖いですぅ…」
「…銃を下ろせ」
懐から銃を取り出した時雨は、それをカラスへと標準を合わせていた。あと1秒遅かったら銃声が響き、前にいたおじさんが銃の存在に気づいてしまっていただろう。
「(何で銃なんて持ってきているんだよッ!?)」
時雨に耳打ちする。
「(わぷっ、くすぐったいのでやめてくださいっ)」
時雨はそう言うと、前にいたおじさんとレデンの横まで走っていった。
「ふっ…」
俺は自分のブレスの恐ろしさを再確認した。このブレスで、一体どれほどの女性を魅了することができるのやら…。
「自分が恐ろしいぜっ…」
そう言いながら、俺もみんなの横に並んで、目の前に佇んでいる建物を見た。
「何だか不気味な建物ニャ〜…」
「そうだな…」
それは、木造2階建ての校舎。
「ここが旧校舎です」
外壁はボロボロ。至るところに亀裂が走っている。
「ちょっと聞きたいんですけど」
「はい?」
ちょっと疑問に思ったことがある。
「この校舎って築何年ですか?」
「5年です…」
おじさんが悲しそうに答える。
「どう見ても、築40年って感じなんですけど…」
そのボロボロの校舎を見て思った第一感想を述べた。
「そう思いますよね普通…。でも、つい最近までは、ここは綺麗な木造の校舎だったのです…」
とてもそうは思えない。
「でも、モウマンタイ組の生徒がどんどん増えていくにつれて、この校舎もどんどん廃れていきました…。うっうぅ…」
泣き出した。
「泣かないでください。私たちが何とかしますので」
時雨はポケットからティッシュを取り出すと、それをおじさんに渡した。
「うっうぅ…、ありがとうございます、時雨先生」
よっぽど苦労しているんだろうなぁと思う。

「これは、モウマンタイ組の生徒名簿と出席表です」
自分を取り戻したおじさんから、生徒の名前が書かれた紙が張ってある板と、ファイルされている出席表を受け取った。
「では、後は宜しくお願いしますっ!」
「えっ?」
おじさんがどこかへ行こうとする。
「ちょ…ちょっと待ってください。授業とかはどうすれば?」
「それは新谷先生たちにお任せしますぅぅぅ〜………」
そう言って、おじさんの姿は見えなくなっていった。

「よっぽどここが恐ろしいんですかねぇ?」
「そのようだな」
レデンはカラスを捕まえようと必死にチャレンジしている。あっ、捕まえた。
「レデンを入れて、35人か…」
生徒名簿の名前に一通り目を通す。
「日本人じゃない様な名前が少しあるな…、何だこの“シュパプール・テリャ・マドフェフカ”って? 名前長ぇ…。って、しかもこいつがクラスの委員長だしっ!」
日本語話せるのか? と思う。
「しかも、全員♀だし…」
生徒名簿には、生徒の名前、出席番号、性別、所属している部活が書かれている。さっきの子の名前の横には、小さい字で“委員長”と書かれていた。
「何で全員女の子なんですかね? 女子高でもないのに」
「それは分からないが…」
俺にとって、ここは最高のプレイスだということは間違いないな。
「鼻の下が伸びていますよ」
時雨がジト〜とした目で俺を見ている。
「伸びてない。おい、レデン〜」
「ニャ?」
カラスをキャッチアンドリリースして遊んでいたレデンをこっちへ呼び寄せる。
「学園内では、俺のことを“ご主人様”って読んだらダメだからな。ここでは俺のことを“新谷先生”と呼ぶんだぞ」
流石にご主人様はマズイからな…。
「了解ニャ〜」
素直に頷くレデン。
「よしっ、いい子いい子」
「ゴロゴロ〜♪」
頭を撫でてあげると嬉しそうな声を上げた。
「では、行きましょうかっ」
「あぁ…」
俺とレデン、そして時雨の3人は、これからどんな学園生活を送るのだろうか…という期待と不安をほどよくシェイクさせたようなものを胸の内に秘めて、ボロボロの校舎へと歩いていった…。

――――――――――☆

「中もボロボロだな」
校舎内も戦争中みたいな汚さだった。廊下も天井もボロボロと言う言葉が良く似合っている。
「悲惨ニャ…」
レデンもがっくと肩を落とす。
「向こう方が騒がしいですね」

――――――ガヤガヤガヤ…

「確かに…」
俺たちは音がする方へと歩いていく。

――――――バキィ!

「うわぁっ、床が抜けた!」

――――――バキィ!

「きゃっ、こっちもです!」

――――――バキィ!

「って、何で今俺を殴ったレデンッ!?」
「自分に気合を入れようと思って…」
「だったら自分を殴れぇ〜!」
「変態ニャ〜!」
その叫び声を響かせながら、レデンは“モウマンタイ”と書かれたプレートが付いた教室らしき部屋の扉を開けて、中へと入っていった。
「待たんかいぃッ〜!」
俺も後を追って中に入った。

――――――「きりつ」

「へっ?」
突然広がった景色、そして突然の号令、

――――――「れい」

34の頭が一斉にこっちを向いた。

――――――「ちゃくせき」

ガタガタガタァ〜と着席する音が、小汚い教室に木霊した。
「え…っと…」
不意打ちの号令にしばらくの間、戸惑ってしまったが、
「やぁ! みんなおはようっ!」
自分でも驚くような爽やかな挨拶をした。
「俺は君たちの新しい担任になった“新谷 和也”だっ! 以後よろしくぅ!」
ヘイ! みたいな感じで親指をぐっと立てた。

――――――「…………………」

無反応だった。
「ごしゅ…じゃなかった、新谷先生カッコ悪いニャ…」
窓際に立っていたレデンが悲しそうに俺を見た。そんな目で…、俺を見ないでくれぇ!
悶え苦しんでいるそんな俺の前を、誰かが通り過ぎた。
「皆さん、初めまして。私も今日からこのクラスの副担任をさせてもらうことになった“柿本 時雨(かきもと しぐれ)”と申します。以後、宜しくお願いします」
俺の挨拶とは比べ物にもならないほど丁寧で、綺麗なお辞儀だった。

――――――「宜しく…」

何人かの声が聞こえた。
「えっ、俺のときは無反応だったのに、なんで時雨…先生のときは反応があるんだ? コレって…、差別以外の何ものでもないよな?」
男女差別に苦悩するそんな俺の前を、誰かが通り過ぎた。
「皆さん、初めましてだニャ。レデンって言いますニャ。学校に来たのは初めてなので、いろいろと教えてくれると嬉しいニャ…。あっ、趣味はヴァイオリンを弾くことニャ」
そう言ってレデンも綺麗なお辞儀をした。待て…、ヴァイオリンなんて弾けないだろお前。

――――――「ヴァイオリン…、ですか?」

教卓のすぐ前にいた大人しそうな女の子が、レデンの言葉に反応した。
「そうニャ。こんな感じでいつも弾いているニャ…」
レデンはヴァイオリンを弾いているような仕草をし始めた。だがレデンよ…、途中からドラムを叩く仕草に変わっていっているのは俺の気のせいか?
「そうですか…、私はフルートが大好きですよ。吹いて差し上げましょうか?」
「聴きたいニャ」

――――――「なっ?」

クラス中の女の子たちから声があがった。

――――――「待っ…」

クラスの女の子の声がそろった時、

――――――ピロロ〜

教室に心地よいフルートの音色が漂った。…何だ? この安らかな気持ちは。落ち着く…。

――――――「あぁぁ…」

クラス中からため息が聞こえる。そして突如、フルートを吹いている女の子以外の女の子たちが立ち上がり、どんどん教室から出て行ってしまった。
「おいッ! お前たちどこへ行くんだッ!?」
訳が分からないが、とりあえず俺はみんなを止めようと、扉の前に立ちふさがった。
「邪魔…」
「あん? 俺が邪魔…」
俺が文句を言い終える前に、

――――――ブシハッ!

何か、金色のよく分からないものが、俺の横っ面を薙ぎ払った。
「ゲフゥゥゥッッ〜!?」
すごい勢いで吹き飛んだ俺は、何が何だか分からずの状態で教室の後ろの壁に激突した。
「ぐふぅ…、見えなかった…」
壁からずり落ちながら、何に殴られたか確かめてみた。
「って、何だアレはっ!?」

――――――ウネウネウネ…

俺を「邪魔」扱いした女の子の頭の上に…、何か巨大なものがウネウネしていた。
「“エリザベス”ちゃん、早くいこ」
「(ギギギギギィ…)」
そして、俺と時雨とレデンと、フルートをただひたすら吹いている女の子だけが、秋の陽気が残る教室に残された。
「何だって言うんだ、一体…」
俺は何とか教室の前まで、おぼつかない足取りで戻った。
「みんな、何で出て行ってしまったんニャ? レデンが悪いのニャ?」
今にも泣きそうなレデン。
「レデンは悪くない…、ん?」

――――――カサカサカサ…

「何か、聞こえないか?」
「そういえば…」
時雨も気づいたようだ。

――――――カサカサカサカサ…

何となく、音が近づいてきているような…。
「とっても嫌な予感がするニャ」
天性の大直感で感じとったのだろう。この、なんとも言えない禍々しき気配を。
大丈夫だレデン。俺も感じている。二人で一緒に感じているぞっ。
そして、それは訪れた…。

――――――ドバッシャ〜ンッ!

すごい音と共に扉がすごい勢いで吹き飛んだ。
「何だぁッ!?」
それと同時に、黒いワシャワシャしたものが教室になだれ込んできた。それが教室中の風景を黒く染めていく。
「ナニこれナニこれナニこれキモチわるいぃぃッ!?」
時雨はパニック状態。懐から銃を取り出そうとしている。
「バカッ! やめるんだっ」
俺は必死で時雨を取り押さえた。取り押さえる際、時雨から肘打ちを喰らったのでキレそうになった。
「ナニこれ♪ ナニこれ♪」
レデンは嬉しそうにソレを捕まえた。
「ニャ〜♪ 可愛いニャ〜♪」
レデンに触覚を摘まれたソレは、足をワシャワシャと忙しなく動かしている。レデンが「可愛い」と言っているソレは、どう考えても…、

――――――「ひぇ〜ん! ゴキブリ嫌いです〜」

情けない泣き声を発したのはフルートを吹いていた女の子。すでにその子はフルートを吹くのを止め、机の上に乗ってあたふたしていた。
「でも私はフルートが好き。だから私は吹き続けるッ!」

――――――ピロロロオォォ〜

すごい音色が響き渡った。それは、世界中にまで響いているんじゃないかと思うほど、素晴らしい音色だった。

――――――ガサガサガサァ!

フルートの音色の余韻に浸っている場合じゃなかった。
「きゃあぁぁぁ〜、嫌な音が近づいてきます〜!」
時雨はもうダメだ。白目をむいている。
「もう何でも来いやぁ!」
俺は覚悟を決めた。女の子は気が狂ったようにフルートを吹き続け、すでにトランス状態みたいになっていた。そしてその音色が最骨頂に達したとき、

――――――のっそり…

黒い…、巨大な物が、すでに扉が無い教室の入り口から中に入ってきた。
「でけぇ…」
それは、巨大ゴキブリ。パソコンの本体並みの大きさだった。

――――――バッ!

それが…、巨大な羽を広げて飛んだ!
「あぁぁ〜! もう消えてくださいぃ〜!」
白目をむいていた時雨が銃を構えていた。やばい、間に合わない。

――――――バァンッ! キィンッ!

銃声が響いたが、その直後に変な音も聞こえた

「弾いたのかっ!? しかも…」

――――――キィンッ! キィンッ! キィンッ! キィンッ!

弾かれた弾丸が止まらない。床とか壁とかに敷き詰められているゴキブリたちに当たり、反射を繰り返している。
「なんで硬いんだこいつらッ!? うわっ、しかも巨大ゴキブリが教室の中を高速で飛び始めたッ! 見えねぇ! 速過ぎるッ! うおっ、弾丸が頬をかすったッ!」
「可愛いニャ〜♪」
レデンの頭には、巨大ゴキブリが乗っかっていた。
「シュートッ!」
俺はその巨大ゴキブリを蹴り抜いた。

――――――ガシャ〜ン!

巨大ゴキブリは、窓ガラスをぶち割って遥か彼方へと飛んでいった。
「あぁっ、可愛いのが飛んでいったニャ〜…」
窓の外を名残惜しそうに眺めるレデン。
「フルートを吹くのも止めろぉ!」
神が降臨してしまうぐらいのテンションで吹き荒れていた女の子が持っているフルートを、俺はサッと奪った。
「あぁっ、返してくださいぃ」
「ダメだ」
しばらくすると、ゴキブリ達の姿がどんどん減っていき、そして全部去った。空中を飛び回っていた弾丸も、うまく外へと飛んで行ったようだ。
「やっぱり、コレが原因だったか…」
俺は握っていたどこにでもあるようなフルートをしげしげと観察してみた。
「返してくださいぃ」
涙を瞳にいっぱい溜めながら、俺が持っているフルートを取ろうとしている。
「もう、吹かないか?」
「吹かないので返してくださいぃ」
ぐっ…、そんな目で俺を見ないでくれ…。萌えてしまうではないか…。
「本当に本当か?」
「本当に本当です」
「しょうがないな、ほらっ」
フルートを返してあげた。
「ありがとうございますっ」
「そう思うなら、教室を出て行ったみんなを呼んできてくれ」
「はい、分かりましたっ」
彼女は教室から出ようとしたが、一瞬立ち止まり。
「あっ、私の名前は“北条 理香子(ほうじょう りかこ)”です。レデンさん、私たちのクラスにようこそです」
そう言って、お辞儀をした。
「ありがとうニャ〜♪ 北条さん〜♪」
「あれ? 俺は? 俺は?」
「では、みんなを呼んできます」
俺を無視して、北条さんは廊下を走っていった。

「いい人だニャ〜♪」
「いや、そのセリフの前に“問題がある”という言葉を付け足したほうがいいぞ」
「ご主人さまを呼ぶときは、“存在がキモイ”を付け足したほうがいいのと同じことだニャ」
「はははっ、言えてる言えてる」
「ニャはははっ」
教室には笑い合う2人と何も言わない屍(時雨)1人だけが、しばらくの間取り残されていた…。





(次回予告)

萌え忍の首謀者を見つけようとする時雨と別行動を取り,和也とレデンは”モウマンタイ”組の家庭訪問をすることになって…、



i375ns at 18:28|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2006年04月05日

ツンデレ子猫娘の第12幕だよっ!

学園編まで、もう一歩の第12幕です。
次の幕で和也は、萩原学園の問題児が集まる”モウマンタイ”組の担任をすることになってしまいます。そこには、きつねに育てられた女の子や、脅威のアホ毛を操る女の子、危ない薬ばっかり作る理ンデレの女の子…、数え上げたらキリがない個性豊かなキャラたちが蠢いています。
恐ろしい…。さらにそこにレデンも加わるとは…、和也…羨ましいヤツだよ、てめぇはっ! 

では、レデンが何気にツンツンしている 第12幕 スタート!



第12幕  誓い



「カツオ節〜♪ クッチャクッチャと食べるのニャ〜♪ クに打点を付けたらダメなのニャ〜♪」

俺が教えた“カツオ節の歌”の2番を嬉しそうに歌いながら、レデンは俺の後についてきている。
「今日もいい天気だな〜」
秋の陽気な気候が、とても清々しい。いい萌え日和だ。
「龍之介いるかニャ?」
そう言ってレデンが俺を追い越した。
「昨日、待っていると言っていたからな。多分いるだろう」

もう時間は昼の1時になろうとしている。俺とレデンが起きた時、すでに陽は高くあがっていた。美鈴はいなかったが、テーブルの上には二人分の朝食が準備されていた。

――――――「…冷めているが美味しいな」
――――――「美鈴さんの料理はどんな状況に陥っても美味しいニャッ!」

朝食が昼食になってしまったが、それでもどんどん力が湧いてきた。

――――――「よし、そろそろ行くぞ」
――――――「どこへニャ?」
――――――「クソジジィの屋敷までだ」
――――――「了解ニャッ!」

そして今に至る。

「もうそろそろで着くな」
「今日もカツオ節ないかニャ〜」
田舎道を歩く二人の真上に太陽があり、ちょっと暑い。クソジジィの屋敷に着いたら冷たい水を一気に飲みたいぜ。
「冷たいカツオ節を一気に飲みたいニャ〜…」
前を歩くレデンもちょっと暑そうだ。ネコ背気味にぐったりと歩いている。
「おぉ、今ちょっとだけ俺とシンクロしたぞ」
「身の毛もよだつ様なことを言わないでニャ…」
さらにぐったりと背を屈めた。

――――――――――☆

「おっ、見えたな」
昨日と同じように、クソジジィの屋敷が目に入ってきた…が。
「あの黒い煙は何ニャ?」
そう…、昨日とは風景が違っていた。
「屋敷内から出ているような…」

まさか…。
俺の脳裏に嫌な予感が過ぎった。
クソジジィの敵…、萌え忍。その組織が強硬手段をとってクソジジィの屋敷に襲撃をかけた…、そんな嫌な予感が…。
「まさかっ…!」

――――――ダッ!

気づいたら俺は走り出していた。
「遅いニャ、ご主人様ッ!」
レデンはすでに俺の遥か前を走っていた。
「お前が早すぎるんだよッ!」
俺はかなりのスピードで走っているつもりだが、レデンには全然追いつかなかった。

「はぁっ、はぁっ…!」
ようやくレデンに追いついた。門の前には俺とレデンしか居ない。
「何だか変な音もするニャ」

――――――ドッドッドッドッ! ドドドドドンッ!

門の中から聞こえてくるのは轟音…。何の音だ?
「まさか…、銃声ッ!?」
俺の額に嫌な汗が流れた。
「くそっ!」
俺は門を開けようと力を込めた。
「(また…、俺の前から誰かが消えるのか…!)」

――――――ギイィ…

重い門が開いた。
「クソジジィッ!」
敷地内に入った俺の目に飛び込んできたもの…、それは…。

――――――「宴じゃ、宴じゃぁあぁぁ〜ッ!」

ア〜ワワアアァアァァッ〜! っと周りから歓声があがる。広い広い庭の周りには、煌びやかな格好をした美女軍団が、ドッドッドッドッという太鼓のリズムに合わせて盛大に踊っていた。その庭の中心には、巨大な焚き木のセットが置かれており、大量の黒い煙が空へと昇っていっていた。

――――――「まさか和也があんな腰抜けじゃったとは、夢にも思わんかったわい!」

「そうですねぇ〜」と周りで踊っている美女軍団が答える。

――――――「あんな腰抜けなんて忘れて、宴じゃ宴じゃぁぁぁ〜!」

ア〜ワワアアァアァァッ〜! とまた歓声があがった。クソジジィは焚き木のセットの周りを走り回っている御輿の上で踊っており、その手には、恐らくお酒が入っていると思われるビンが握られていた。

「楽しそうだニャ…!」
レデンの体が震えている。あの集団に混じって一緒に踊りまくりたいんだろう。
「行ってくるニャッ!」
そう言ったレデンは、すぐに人ごみに消えていった。
俺は…、クソジジィと急に話したくなったので、人ごみを掻き分けながら目標物へ突き進んでいった…。

「おい…」
声をかけた。

――――――「どう考えても、あの腰抜けがここへ来る事はないじゃろうなッ!」

聞こえていなかった。
「おい…!」
御輿はすごい勢いで移動しているので、俺は走りながらクソジジィに声をかけた。

――――――「興醒めじゃ、興醒めっ! 宴でもしとらんとやってられんわいッ!」

「そうですねぇ〜」と、また周りで踊っていた美女軍団が答えた。
「(ラチがあかねぇ…)」
俺は呼吸を整え、集中し、
「おりゃっ」
の掛け声と共に、御輿を下で担いでいた美女A、B、C、Dに足を掛けた。

――――――ドス〜〜〜ンッ!

盛大にお御輿が地面に叩きつけられた。
「ヘブシッ!」
それと同時にクソジジィの声も聞こえた。見てみると、クソジジィは地面に顔から突っ込んでいた。
「プハァ!」
地面から顔を上げ、深呼吸を数回繰り返して、
「何じゃ? 何が起こったのじゃ?」
と周りをキョロキョロと見始めた…。ちっ、生きていたか。

「おい…」
俺は座っていたクソジジィの背後に立ち、腕を組みながら呟いた。
「ん?」
クソジジィが後ろに振り返った。
「なんじゃい…、和也か………、って来とるぅぅぅっ〜!?」
騒がしいクソジジィだった。
「お主…、本当に和也か?」
「あぁ…」
頬っぺたを抓られた。
「本当に本当か?」
「あぁ…」
耳に息を吹きかけられた。
「って、やめんかいぃ〜〜〜!」

――――――ドコォ!

「ふむ…、こんなに豪快に殴るのは和也しかおらんわい」
自分の腹を摩りながらクソジジィは答えた。
「ったく…、相変わらず末恐ろしいジジィだぜ…」
俺は自分の手をブラブラさせながら言った。

「皆の衆、今日の宴はここいらで終了じゃ。解散!」

――――――「はっ!」(美女軍団)

その掛け声がまだ響いている中、美女軍団はあっという間に姿を消した。
「(こいつらってまさか萌え忍じゃ…?)」
俺はついそう思ってしまった。
「彼女たちは、ワシの近衛兵じゃ」
心を読むな、心を。
「そうかよ…」
この場に残ったのは、ネコ踊りを「ニャ〜♪ ニャ〜♪」と熱演しているレデンと、立ったまま「グ〜♪ グ〜♪」寝ていた時雨と、俺とクソジジィの4人だけだった。

「ニャッ!? みんなが消えたニャっ?」
ようやく周りの状況に気づいたレデン。
「楽しかったか?」
「うん。でも、もっと踊りたいニャ」
「それはまた今度な」
「がっくしニャ〜」
肩を落としてこっちに歩いてきた。
「龍之介、こんばんはニャ〜」
ペコリとお辞儀をするレデン。
「おぉレデンちゃん。今日も元気そうじゃのう〜」

――――――なでなで…

「ニャゥッ!?」
またお尻を撫でられるレデン。
「今日も元気なお尻じゃのう〜」
はっはっはっと笑いながら、一歩後退したクソジジィ。レデンの殺気を感じ取ったのだろう。その証拠にレデンの体はユラリと揺れている。
「むっ? 来るかっ?」
回避体勢を取るクソジジィ。しかし、
「もうっ、龍之介ったらしょうがないニャ〜」
そこにはレデンの笑顔が。
「もうこんなことしたらダメだからニャっ?」
そう言いながらクソジジィとの間合いを詰めるレデン。
「はっはっはっ、まぁジジィの悪戯じゃからのぉ…、レデンちゃんは心が広いわい」
レデンとクソジジィの距離、約30cm。
「油断…」
レデンが構えた。
「ん?」
気づいたのが遅かったなクソジジィ…。
「大敵ニャッッ〜!!」
無数に分裂したレデンのコブシ。早すぎるッ!
「中心線六連突きニャァァ〜!」

――――――ドドドドドドッ!

「ツブハァッ!?」
眉間、鼻、顎、ノド、みぞおち、そして急所を打ち抜かれたクソジジィは、この世のものとは思えないほどのスピードで屋敷の壁まで飛んでいき、

――――――ドコォッ!

ものすごい音と共に静止した。
「もう…、しません…」
そう言いながら、地面へと倒れこんだのが分かった。
「あぁっ、龍之介様っ!」
メガネを掛けた美人秘書がクソジジィの成れの果てに駆け寄っていった。さっきの音で流石の時雨も目を覚ましたのだろう。
「ご無事でっ!?」
「今の悲惨な出来事を見ているのに、一体どこからそんな言葉が出て来るんだ?」
何も言わないクソジジィの代わりに、俺が答えてあげた。
「あぐぅ…。あれっ、和也さんです。こんばんはっ」
俺の存在にようやく気づいてくれた。
「よっ、昨日ぶりだな」
「はい…。あれ? 今日はどういったご用件で?」
メガネをスチャリと掛けなおして時雨は答えた。
「そうだな…。まぁ、まずはこのクソジジィが蘇生しないと話が進まないんだ」
俺は遺体を見てみたが、それはそれは安らかな寝顔だった…。
「って、勝手に殺すんじゃないわいッ!」
クソジジィの目が急に開いた。
「だから心を読むなって…」
それに、かっ開いた目が怖いぞ。
「龍之介様、ご無事でっ!」
顔を両手で塞ぎ、今にも泣き出しそうな時雨。
「ふっ、時雨ちゃん…。ワシは不死身じゃ」
そう言ってムクリと立ち上がった。
「(何で今ので生きているんだ?)」
その疑問は俺の心の奥底にしまい込み、
「おいジジィ、来てやったぞ」
ちゃんとした会話がスタートした。
「和也…、今日は来ないのかと思っておったぞ」
「ほう、俺が来ないと宴を始めるのか」
その俺の言葉にしばらくクソジジィは考え…、
「宴はほぼ毎日じゃ」
「仕事しろよ…」
良いご身分のクソジジィだった…。

「来たということは、仕事の依頼…、引き受けてくれるという事じゃな?」
「あぁ…」
俺は…、もう迷わない。過去を乗り越えると決めた。悲しみの上に立って、堂々と笑える事ができるように…、俺は強くなる必要があるんだ。
「ニャ〜、レデンは学生になるんニャ〜♪」
レデンが嬉しそうに近づいてきた。
「あっ、生きているニャッ!」
クソジジィが生きている事に、レデンも驚いているようだ。
「はっはっはっ…、ワシはそう簡単には死なないぞ。レデンちゃん」
「次は爪で貫くから多分死ぬニャ」
「そうじゃの…、それだと普通に死ぬのう…」
さらっと怖い会話を交わした二人だった。

「皆さん、詳しい話は屋敷内でしましょう〜!」
時雨が屋敷を指差した。
「そうじゃの、では参ろうか」
「カツオ節あるかニャ〜?」
「あぁ、いっぱいあるぞ、レデンちゃん」
「楽しみニャ〜♪」
屋敷内へ先走っていったレデンを見つめながら、俺はゆっくりとクソジジィたちの後について行った。

――――――――――☆

「和也…、お主は明日から萩原学園の教師。レデンちゃんは萩原学園の中学2年生じゃ」
昨日と同じ部屋でクソジジィの話が続いた。
「二人の入学手続きは、すでに時雨ちゃんに任せたから安心してくれ」
クソジジィの後ろにいた時雨が、グッと親指を立てて微笑んだ。まるで「任せてくださいっ」と言わんばかりの笑顔だった。
「そうか。それはそれは普通に不安だな…」
「あぐぅ…」
時雨は今のも泣き出しそうになった。
「まぁ、詳しい話は学園で聞かされるじゃろうな」
「そうか…」
前途多難だった…。
「話は終わったかニャ?」
口の中をカツオ節でいっぱいにしながら、レデンが話しかけてきた。
「もうお腹いっぱいか?」
「うん。もう入らないニャ〜」
ゲプ〜っとゲップをしながら俺の隣に座るレデン。一瞬で俺の周りの空間がカツオ節臭くなった。

「和也…、今回の事…、本当に感謝しておる」
「あぁ?」
クソジジィはそう言うと、頭を深々と下げた。
「別に感謝されるような事じゃね〜よ…」
対処に困った。
「今日来てくれて、ワシは本当に嬉しいわい」
顔を上げたクソジジィは満面の笑顔だった。
「そうかよ…」
妙に照れくさくなってしまった。
「ねっ、ねっ、レデンも来たニャっ。嬉しいかニャ?」
「当たり前じゃよ」
レデンも満面の笑みを浮かべた。

「とりあえず、コレは前金、兼、軍資金じゃ」
そうクソジジィが言うと、時雨は一生懸命に重たそうな旅行カバンを持ってきて、それを俺たちの前に置いた。
「何だコレは?」
恐る恐る開けてみた。
「…いくら入っているんだ?」
何だ、この札束のブロックの集合は…。
「ふむ。まぁ大体2億じゃな」
「そうか………、って2億ぅっ〜!?」
「それって美味しいニャ?」
驚きという津波に震わされていた俺の心を、突然次元を切り裂いたベロが奪っていくようなレデンの言葉で、俺は何とか正気を保つことできた。
「レデン…、美味しくはないけど、オイシイ話だ」
「ちゃんと日本語じゃべれニャッ!」

――――――ザシュッ!

「よっしゃ〜! 目が覚めたぜ、ヤホ〜イ!」
ヒリヒリする頬を手で押さえながら、俺はもう一度カバンの中を確かめてみた。
「…こんなにもらっていいのか?」
流石の俺様もびびってしまっている。ションベンチビッチマイソウ…。
「まぁ、国家予算からちょちょいのちょいじゃわい」
「それって横領って言うんじゃないのか…?」
「国のためじゃ…、任せぃッ」
「立派です、龍之介様っ!」
がしっと手を取り合うクソジジィと時雨。
俺は思った。この国が滅ぶのに、そう時間は掛からないであろうと。

「何じゃ、もっと欲しいのか? 総理大臣のワシなら簡単に横領できるから、もっと盗ってこれるぞい?」
「いや…、遠慮しとく…」
神妙になっていた俺の顔がさらに神妙になったのが分かった。
「そうか、残念じゃわい…」
俺は、総理大臣がアンタだから死ぬほど残念だよ。
「龍之介、可哀想ニャ…」
俺は、お前をそんな風に育ててしまった俺が可哀想だよ。

「あっ、和也さん、私も萩原学園の教師として、明日から頑張りますから宜しくお願いしますねっ」
「へっ?」
今…、何と言った?
「あれ? 聞こえませんでした? おっほん…、もう一度言いますね。私も明日から、教師として…」
「聞こえていたから、もう一度繰り返さないでくれッ! 頼むッ!」
恐ろしい悪夢を連想させるような言葉は二度と聞きたくない。
「明日から、お互い頑張りましょうねっ!」
時雨が俺の手を掴もうとする。

――――――ひょいっ

「あっ」
その攻撃をかわした。
「あぐぅ…、何でかわすんですか?」
涙目で見つめるな…。
「だって、身の危険を回避するためにだな…」
「危険じゃないですよぉ〜…」
あまりに居た堪れないので、俺から手を握ってあげた。
「えっ?」
何が起こったのか分からないといった様子の時雨。
「これから宜しくなっ」
確かに、レデンがいるといっても、教師の立場の知り合いが誰もいないのは流石に心細いからな。
「はっはいっ! 宜しくお願いしますっ!」
おっ? 結構カワイイかも…。
二人の瞳にお互いの瞳が映っている…。一方の瞳には、少しだけ涙の痕跡が見受けられた。

「さっさと手を離すニャッ!」
気が付くと、レデンが俺と時雨の腕を掴んでいた。
「ふんニャッ!」

――――――バッ!

「あっ」
力ずくで引き離された。
「さぁ、早く帰って明日の準備をするニャ!」
そう言って、俺を引っ張っていくレデン。
「あっ、お金お金…」
レデンの力にできる限り抵抗して、大金が入っているカバンを掴んだ。
「(重っ…)」
流石に2億の札束は重かった。
「早く帰るニャ〜!」
レデンの俺を引っ張る力が増大した。
「って、俺の背中の肉をグイグイと力いっぱい引っ張るなぁ! 痛いだろうがぁッ!」
「は〜や〜く〜!」
聞く耳を持っていなかった。萌える耳しか持っていなかった。
引きずられていく俺様…。何だか、尻に敷かれているって感じだな。

「明日は、朝の7時半から萩原学園の職員室で詳しい話を聞く予定ですので、遅れないでくださいね〜!」
遠くで時雨が叫んでいる。
「世界の平和のために働くんじゃぞ〜!」
遠くでクソジジィのムカツク声が聞こえた。

「世界ねぇ…」
正直、そんな話はどうでも良かった。俺が俺でいられるのなら、俺はどんなことでもやり遂げてみせる。そう、決めたんだからな。
「(そう、これは天が俺に与えた“試練“だ)」
何だかやる気が出てきたぜっ!
「(立花さん…、見ていてくれよッ!)」
レデンに引きずられながら、俺は心に誓いを立てた。

「(必ず…、明日からの学園生活をエンジョイしてみせるッ!)」
と…。




(次回予告)

学園編 スタート♪

個性豊かな35人の”モウマンタイ”組のリストを作りましたよw
やっべぇ〜、興奮してきましたよっ!

一応リストを公開しときます。リクエストとかあったら書き込んでみてくださいw










(モウマンタイ組のクラスメート)

安藤 蛍(あんどう ほたる)…テレパシス系超能力者。掌を人の頭の上にかざす事によって、その人が今考えていることから、その人が忘れてしまった記憶さえも読み取ることができる。しかし、この力を一気に使いすぎると、その分の自分の記憶が消えていく。自分にこの力は使えない。人見知りの激しい女の子。髪の色は黄色。出席番号 1番。

井坂 凪(いさか なぎ)…剣の道に生き、剣の道に死す…。そんな女剣士。弓も得意。髪の色は黒。出席番号 2番。

一ノ瀬 由井(いちのせ ゆい)…サイコキネシス系超能力者。両親が目の前で強盗に殺された時からサイコキネシスが使えるようになった。初めてこの子がサイコキネシスを使ったときは力が暴走し、半径50m四方は全て吹き飛んでしまったという。強盗ももちろん木っ端微塵に吹き飛んだ。今では、ある程度の力の制御ができるようになった。決して笑うことの無い、いつ見ても泣きそうな表情をしている女の子。髪の色は赤茶色。出席番号 3番。

伊万里 霧麻(いまり きりま)…天才陶芸家。彼女が作り出す作品は自然に動き出す。髪の色は茶色。出席番号 4番。

ヴェスタ・マ・コンチェット…いつも変なぬいぐるみを持っている不思議少女。会話はぬいぐるみを使っての腹話術でしかできない。いつも無表情。フランス人形みたいな格好をしていて、寝ていたら等身大の人形かな? と思うくらい綺麗な女の子。髪の色は茶色。瞳も茶色。あだ名は「チェット」。出席番号 5番。

隠里 鈴蘭(かくれざと すずらん)…天才くのいち。髪の色は薄いピンク。出席番号 6番。

桂 美々兎(かつら みみと)…いつでもパソコンを持ち歩く女の子。ネットワーク系にとても詳しく、ペンタゴンの極秘文書を5分でゲットすることもできる。口癖は「極秘…、ゲットなり」。髪の毛の色は灰色。出席番号 7番。

仮初 野花(かりそめ のはな)…植物大好きな女の子。頭には、旬の花が一輪刺さっている。花粉症。髪の色は緑色。出席番号 8番。

九尾 紺(きゅうび こん)…キツネに育てられた女の子。動物と話をすることができる。髪の色は赤。親は千年生きているキツネで、人に化けることも可能。出席番号 9番。

銀杏 空(ぎんきょう そら)…生きているアホ毛を飼っている女の子。このアホ毛は凶暴で、よく噛み付いてくる。それを防ぐために、先端に赤いリボンが巻きつけられている。髪の色は金。出席番号 10番。



釘宮 円(くぎみや まどか)…天才絵描き師。彼女が描いた絵を見てしまった人は、必ず泣く。髪の色は虹色。出席番号 11番。

草薙 竜火(くさなぎ りゅうか)…人々を感動させる料理を作り出す料理人の女の子。時々、口から火を吐く。髪の色は銀。出席番号 12番。

早乙女 麗奈(さおとめ れいな)…この学園のオーナーの娘。わがままで気が強い。犬が大好き。でも犬アレルギー。髪の色は金。出席番号 13番。

桜坂 手鞠(さくらざか てまり)…いつでも本を読んでいる大人しい女の子。本好きの影響で、感情が極限まで高められた時に発した言葉は、現実に起こる。イメージ力がとても強い、メガネをかけた女の子。髪の色は黒。感情が高まるにつれて、髪の色が赤くなっていく。出席番号 14番。

佐々木 伊戸菜(ささき いとな)…裁縫が得意。っていうか裁縫マニア。「ほつれている服は許しません」と言いながら、人の服を勝手に縫い始める。髪の色は黄色。出席番号 15番。

シュパプール・テリャ・マドフェフカ…すでに滅亡してしまった王国の元王女。自国の再建のためにいろいろと考えている。あだ名は「フェフカ」。一応、クラス委員。髪の色は金。
出席番号 16番。

不知火 冷夏(しらぬい れいか)…何故か透けている女の子。髪の色は水色。出席番号 17番。

紫雲 織部(しうん おりべ)…大和撫子を装っている。和服姿が良く似合う関西人。突然お茶会を始めるなど、授業を妨害することもしばしば。髪の色は黒。出席番号 18番。

秀賢(スーシエン)…中国人の女の子。酔拳の達人、酔うと絡んでくる。髪の色は薄い茶色。出席番号 19番。

タタト・ノエル…怪しげなフードをいつも被っている占い師の女の子。その素顔は誰も見たことがない。占いには水晶、タロット、手相を使う。決してしゃべらない。物事を伝えるときは、文字を紙に書いてそれを掲示する。そして、それをその場ですぐに破いて燃やす。出席番号 20番。

立波 音羽(たちなみ おとは)…日本最大の規模を誇る仏教宗派の宗家の娘。妖怪退治に励んでいる巫女さん。髪の色は黒。出席番号 21番。

龍宮 水蓮(たつみや すいれん)…水芸が大好きな女の子。唐突に体から「ピュ〜」と水が出てくることもしばしば。水泳部のエース。髪の色は青。出席番号 22番。

田所 亜美(たどころ あみ)…東日本で一番恐れられている極道:阿修羅組の組長の一人娘。いつも父親から嫌々ドスと銃を持たされている、心優しき女の子。命の尊さ語るのが好き。でも射撃はプロ並。髪の色は黒。出席番号 23番。

棚瀬 真琴(たなせ まこと)…体がタコみたいに柔らかい。体操部のエース。授業をいつも変な格好で受けるのが主義らしい。髪の色は薄い黄緑。出席番号 24番。

猫又 レデン(ねこまた れでん)…猫の特性を受け継いだツンデレ子猫娘。高い身体能力に、鋭い爪、そして高いツンデレ能力に要注意だ。髪の色はエメラルドグリーン。出席番号 25番。

野々原 千鳥(ののはら ちどり)…怪しい薬ばっかり発明する女の子。真・科学部部長。髪の色は黒。メガネ必衰。いつも白衣を着ている。出席番号 26番。

剛橋 奈々(はがねばし なな)…メカ大好きッ子。機械の申し子と言われている。得意分野はロボット制御と新しい破壊兵器の開発らしい。いつも体中に作業道具を取り付けていて、歩くとガチャガチャと音がしてうるさい。髪の色は紫。出席番号 27番。

長谷川 風香(はせがわ ふうか)…雷香とは双子の姉妹。お互いはテレパシーで会話可能。性格は「ほんわか〜」。髪の色はオレンジ。髪に風車を刺している。出席番号 28番。

長谷川 雷香(はせがわ らいか)…風香とは双子の姉妹。お互いはテレパシーで会話可能。性格は「ビカビカァッ!」。髪の色はオレンジ。髪に小さな太鼓のアクセサリーを刺している。出席番号 29番。

速神 瞬(はやがみ しゅん)…最速を求める女の子。何事も速く速くこなしたいらしい。しゃべるのも早口。移動も全力疾走。陸上界のエース。髪の色は紫。出席番号 30番。

柊 雪乃(ひいらぎ ゆきの)…雪女。氷のようなハートの持ち主で誰にも決して心を開くことは無い。趣味は人間観察。髪の色は白。出席番号 31番。

北条 理香子(ほうじょう りかこ)…フルートをこよなく愛する女の子。彼女がフルートを吹くと、どこからともなくゴキブリが集まってくる。髪の色は銀。出席番号 32番。

木目 稲造(もくめ いなぞう)…ある日、目を覚ますと体が女の子になっていた元男の子。スラリと長い手足と、モデル並のプロポーションを持つ、信じられない中学2年生。「僕って…、不幸だよ…」が口癖。髪の色は赤。出席番号 33番。

山下 弥生(やました やよい)…報道に命をかけている女の子。ある時は、屋上からバンジージャンプしながら激写。またある時は、邪魔な壁を爆破して激写。手に負えないので、“モウマンタイ”組に入れられた可哀想な女の子。髪の色はオレンジ。新聞部所属。出席番号 34番。

鷲尾 菊花(わしお きっか)…爆破が大好きな女の子。この子によって、学園内の所々に約200の爆弾が仕込まれていると言われている。父親は空軍の総司令官。手に負えないので、“モウマンタイ”組に入れられた可哀想な女の子。髪の色は水色。出席番号 35番。



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2006年03月28日

ツンデレ子猫娘の第11幕だよっ!

今回の話を書いていて、僕はちょっと泣いてしまいました。
僕はこの話のキャラのことが大好きです。みんな好きです。
和也の悲しみ、苦しみ、僕だったら耐えられませんね。和也、お前はすごいヤツだ…!

まぁ、和也の5年前の話。
今書いている話の5年前の話を、僕はずっとほったらかしにしているんですけど、先に未来の話を書いているなんてダメですよねぇ…。しかも今回の幕でちょっとだけネタバレしているような気もしますからね〜。

うぉぉぉ〜、どっちを先に書けばいいんだぁ〜!?


では、第11幕 スタート!



第11幕  自分が自分であるために



「お風呂に入ってくるニャ〜」
「あぁ…」
「覗いたらダメだからニャ〜!」
「あぁ…」
「レデン、今服を脱いでいるニャ〜!」
「あぁ…」
「ニャ〜! レデン今裸ニャ〜!!」
「あぁ…」
「ターザンの叫び声は何ニャ〜?」
「あぁ…」
「ちょっと違うニャ〜! ア〜アアァ〜ッニャ!」
「あぁ…」
「………バカァッ!」

――――――パタンッ

そして、レデンの声が聞こえなくなった。代わりにお風呂に浸かる音が聞こえた。

「学校か…」
布団に寝そべりながら、天井を見て昔を思い出す。
「5年か…」
そう。そんなにも時間が経っているんだな。
「俺は…」
どうすればいいんだ? なぁ………さん………。
「俺は…」
急に涙がこぼれてきた。止められない。悲しくて、涙を止められない。
「まだ…、忘れられないのか…」
今まで必死に生きてきた。いや、必死に忘れてきた。

口調を変えた。自分のことを言うとき、僕から俺に変えた。
敬語をやめた。誰かの名前を呼ぶときは呼び捨てにした。さん付けで呼ぶなんて寒気がするぜ。
性格を変えた。いつでも強気でいるようにした。弱気になるなんて、恥ずかしくて死にそうだぜ。
学校を辞めた。今まで一人で生きてきた。誰の力も借りずに、一人で。一人で生きてきたんだよっ!

「俺は…」
手が涙でびしょ濡れだぜ…。
「まだ弱いのか…」
自分は強くなったと思っていた。
「まだ変わっていないのか…」
自分が変われば、自然に忘れられると思ったのに…・
「まだ忘れられないのか…」
胸が締め付けられる。あの思い出が心の奥底で爆発し、俺の心を圧縮しているようだ。

――――――ズキンッ

「…さん?」
ふいに、俺の心に亀裂が入ったような気がした。
その瞬間、

――――――「和也君っ、ちゃんと私の後について来なさいよっ」(?)

――――――「でも…さん。僕もうクタクタだよ…」

――――――「なに弱気なことを言っているのよっ! ほらっ、ビシバシいくからねっ!」

――――――「うわぁぁぁ〜ん!」

「はっ」
目を開ける。
「今のは…」
心の奥に押し込めていた昔の記憶…。
あの子との…、思い出の記憶。
「うっ」
頭が割れそうに痛い。また! 何かが聞こえてくるッ!

――――――「…和也君…?」(?)

――――――「そう、僕だよっ、…さん!」

――――――「何で泣きそうな顔しているのよ?」

――――――「泣いてなんかいないよっ!」

――――――「そう…、よかった…」

――――――「僕のことよりも、…さんがっ!」

――――――「私の心配するなんて、まだ早いわよ和也君…」

――――――「もう無理だよっ、逃げようよっ」

――――――「あの人を止めないと…、結局は皆が死んじゃうのよ」

――――――「先に…さんが死んじゃうよっ、さぁ! 早く逃げ…」

――――――ドゴッ

首の後ろに強い衝撃が響いた。

――――――「…さん?」

気が遠くなった。

――――――「和也君…」

僕と同じ年の女の子の顔が目に映った。

――――――「今まで…、こんな私と一緒に居てくれて…ありがとう」

その子の笑顔は綺麗だった。
そして、崩れていく学校に向かって、その子は一人で走って行った…。

――――――「僕が弱いから! …さんが一人で行ってしまったんだ! 僕は…僕が嫌いだ! こんな僕なんて、消えてしまえばいいんだッ!!」 

そこで思い出は途切れた…。


――――――「ご主人様?」

気がつくと、レデンがバスタオルを頭に巻いてドアの前に立っていた。
「泣いているのニャ?」
ピンクのパジャマを着たレデンが俺の横に座った。
「泣いてなんかいねぇよ」
俺は、レデンに顔を見られないように顔を隠しながら立ち上がった。
「さてと、俺も風呂に入るか」
ドアノブに手をかける。

――――――ギュッ

「んっ?」
後ろから誰かに抱きつかれる。
「レデン…?」
俺の腰に、レデンの細い腕が回されていた。
「レデンじゃダメかもしれないけど…、今だけはこうした方がいいと思ったんニャ」
腕に強く力が込められた。
「済まないな…」

俺たちはしばらく立ち尽くした。
静かな時が流れた。
レデンの心臓の鼓動だけが、俺の世界に響いた。

――――――トクントクントクン…

俺の鼓動とレデンの鼓動。二つの鼓動が一つに重なったような気がした。
落ち着く。癒される。俺が俺でいられる…。

「レデン…」
「なんニャ?」
ピクンとレデンの腕が震えた。
「もう…大丈夫だ」

腕が離れた。
暖かい物が去っていくような余韻が残る。
「ご主人様…」
「どうした?」
俺は後ろに振り返った。

「レデンの入った後のお風呂で変なことしたらダメだからニャっ」
そこには、レデンの笑顔があった。
「プッ」
ダメだ。笑いが吹き出してしまった。
「何で笑うニャ!」
レデンは怒った。
「いや、何でもねぇよ」
俺は笑った。
「やっぱり変なご主人様ニャっ」
怒って、ベットの上に飛んで行ってしまった。
「さてと…、レデンの入った後のお風呂のお湯でも飲もうかね…」

――――――バタンッ

ドアを閉めた。
「絶対にダメニャァァァ〜〜〜!!!」
レデンらしい叫び声が響いた。

俺は、今閉めたドアを見つめ、
「…ありがとうレデン…」
自分にしか聞こえない、小さな声でつぶやいた…。

――――――チャプン…

「ふぅ…」
いい湯だ。心も体も温まる。
体と頭を無心で洗い、もう一度湯に浸かった。

「ふぅ…」
俺は…、
「やっぱり…」
ユラリユラリと揺れる波紋を見ながら思った。
「こんなの俺様らしくねぇ…!」
波紋が激しく振動した。俺がお風呂のお湯で顔を勢いよく洗ったからだ。
「ウジウジしやがって、何様のつもりだ、俺!」

――――――パァンッ

右手で自分の頬を叩いた。

「レデンに心配されてんじゃねぇよ!」

――――――パァンッ

左手で自分の頬を叩いた。

「俺は黙って俺らしくしていろっ!!」

――――――パァンッ!

両手で顔面を思いっきり叩いた。

「………痛い」
少しだけ涙目になる。
「だが…うぉぉおぉおおぉぉ〜!!」
気合十分だ。
「俺様、復活だぜっ!」
立ち上がり、両手を掲げてガッツポーズを取った

――――――ドタバタドタバタッ!

「ん?」
慌しい足音が近づいてくる。

――――――ガラッ

「何かあったんニャッ?」
レデンに俺の後ろ姿が見られている…。
「レデン喜べッ!」
俺はレデン側に向いた。
「ニャァァァ〜〜〜!」

――――――ドタバタドタバタッ

足音が遠ざかっていく。
「俺様は復活したからなぁぁぁ〜〜〜!」
レデンに聞こえるような大きな声で叫んだ。
「俺は俺だぁぁぁ〜〜〜!」
何回も繰り返して叫んだ。そう…、俺は俺なんだ。もう…、僕じゃない。昔の自分じゃないんだ。


「1回死ねニャッ!」
「はっはっはっ、まぁ気にするなっ」
今は夕食中だ。
「どうかしたの、レデンちゃん?」
何故か美鈴もいる。
「さっきご主人様が、レデンにとんでもない物を見せ…」
「レデン、そこのソースとってくれ」
「えっ、はいどうぞニャっ」
レデンからソースを受け取った。
「うむ、ありがとう」
今日の夕食は美鈴が作ってくれた豚カツだ。
「うん…、今日の飯は最高にウマイなっ」
ガツガツと飯と豚カツを口に放り込みながら食べた。

「えっ、そうかな?」
美鈴が少し照れくさそうに顔を赤らめた。
「あぁ、お前の料理は最高だぞっ」

――――――ボンッ

「美鈴さんの顔が爆発したニャッ!!」
「大丈夫か美鈴っ!?」
俺とレデンが美鈴の様子を伺う。
「ちょっと…、タバスコをかけ過ぎたわ…」
「豚カツにか…?」
そもそも、タバスコなんて物はテーブルの上に存在していない。
「私の好物なのっ」
そして、美鈴は下を向きながら、黙ってまた食事をし始めた。
「そうか…」
俺とレデンも食事を続けた。ふぅ、なんとか危険を回避できたようだ。危なかったぜ。

「あっ、そうだ美鈴」
びくっと美鈴の肩が震えた。
「な…なに?」
何故、上目使いで俺を見る?

「食事が終わったら、レデンと俺は出かけるからな」
「えっ、そうなんニャ?」
レデンは口の中をいっぱいにしながら、一生懸命に答えた。
「…どこに行くの?」
いつも道理の美鈴がそこにいた。

「…萩原学園だ」

――――――カシャン…

「あっ」
美鈴は手に持っていた箸を床に落とした。
「なにやってるんだよ」
「ほっといてよ」
美鈴は落ちた箸を拾うと、キッチンでそれを水洗いし、タオルで拭いてからこっちに戻ってきた。
「ちょっとだけびっくりしただけよ」
そう言ってまた食べだした。

「…何も聞かないのか?」
箸を動かしていた美鈴の手が止まった。
「聞く必要がないわ」
美鈴の瞳が俺の目を見つめる。
「これはバカ兄貴の問題よ。私は…、聞いても何も答えられないから…」

――――――モグモグモグ…

レデンの食べる音だけが、異様にでかく聞こえるような気がする。
「そうか…」

――――――モグモグモグ…

「でも、これだけは言っておくわ」
「何だ?」

――――――モグモグモグ…

「レデンちゃんを夜更かしさせたらダメだからね」

――――――ゴックン

「うん、レデン、すぐに眠たくなってしまうニャ」
すでに目をこすっているレデン。
「バカ兄貴、わかった?」
美鈴は本当にお節介と言うか何と言うか…。
「了解した」
良くできた妹だった。



「ここかニャ?」
「あぁ…」
5年ぶり…。遠い昔の記憶。
俺の中にあった風景と、目の前にある風景は全くの別物になっていた。
「まぁ、あれだけ破壊されたらな…」
目の前に広がる景色に圧巻、と言うか驚愕してしまっている俺様がいた。
「ねぇねぇご主人様ッ、ここってどれくらいの広さニャっ?」
「ん〜…」

昔、新聞を読んで知った。
破壊された萩原中学校を、ある人物が土地ごと国から買取り、そこを中心に周りの土地も買い占めたことを。
そうして、隣接していた周辺の小学校、中学校、高校を統合させた萩原学園を誕生させた。
規模、影響力、資産、これらで全て日本一の学園だ。

「広すぎて分かんねぇ…」
学園内には大きな建物が立ち並び、校門はクソジジィの屋敷の門よりも巨大だった。
「中には入れそうにないニャァ…」
「そうだな…」
ざっと見たところ、入り口は校門しかなさそうだ。他の入り口はどこにあるか見当も付かない。学園を一周するだけで1日かかるらしいしな…。

「レデン、学校って初めて見たニャ〜」
レデンは校門の中を見ようと、鉄格子の間から向こうをじっと見ている。
「外灯が綺麗だニャ〜」
「あぁ」
校門から校舎までは、外灯が立ち並ぶ並木道が続き、そのはるか向こうには日本一でかい時計塔がたたずんでいる。
「あの大きな時計は何ニャ?」
「あれは…」
俺の記憶の中にも、あの時計塔があった。
「頑丈な時計だ」
「もうちょっとロマンチックに言えニャ…」
ガックリと肩をうな垂れるレデン。
「本当に頑丈なんだからしょうがねぇだろ」
そう…、あの出来事の後…、あの時計塔しか残っていなかったんだからな…。

「ご主人様はここへ何しに来たんニャ?」
そのとき強い風が吹いた。
並木道に植林されている木々たちが、ザワザワと音を奏でて揺れだした。その音が俺に、「まだ迷っているのか?」、「まだ決めていないのか?」と言っているように聞こえてしまう。
「…ご主人様?」
首をかしげるレデン。

「…約束しにきたんだ」

風が止んだ。
「何をニャ?」
無風の中、俺とレデンの周りにだけ他と違う空気が流れた。

「もう…、俺は過去から逃げないということを」

俺の言葉に、さきほどよりももっと首を傾げるレデン。
「レデン、良くわかんないニャ〜…」
「はははっ、レデンには感謝しているぞっ」
「全くわかんないニャ〜…」
家の方へと歩きだすレデン。
「おい、もう帰るのか?」
「もう眠たいニャ〜…」
確かに、足元がおぼつかなくて危なっかしいぞ。
「すまん、もうちょっとだけ待ってくれ」
「グ〜」

もうすでに寝てしまっていたッ!

「すぐに終わるからな」
俺は上着をレデンにかけてあげて、再び校門の前に立った。

「…もう一度ここへ来るとは思いもしなかったよ…」
あのころの口調に戻っている俺がいた。
「ここへは…、もう二度と来ないと思っていたのに…」
…さんが、いなくなってしまった場所だから…。
「でも、もう大丈夫…」
俺は、座って寝ているレデンを見た。
「今はレデンが僕のそばにいるから…、悲しくないんだ」
すやすやと可愛い寝息が聞こえる。

「確かに昔…、ここで悲しいことが起こってしまったよ…」
もう…、俺は泣かない。
「でも…、楽しいことの方がたくさん在ったんだね…」
ほとんどイジメられていた記憶しかないけどな。
「君との思い出は…、本当に壮大で、楽しくて、きつくて、泣いて、笑って、絶叫して、そしてまた笑って…」
本当に、楽しい思い出だ…。
「だから…僕はもう泣かないよ…。でも、ケジメだけはつけようと思うんだ」
グッと握りこぶしを作った。

「立花さんとの思い出を、笑って思い出せるように、僕はここで教師としてしばらくの間過ごしてみるよ。そして、強くなって見せるよ。だから、もう僕は大丈夫だよ」

立花さんの名前を口に出してしゃべったのは、5年ぶりだ…。

「立花さんに鍛えられたからなんとかなるよっ。やっほ〜い!」
…変なポーズを取ってしまった。恥ずかしい…。

「…じゃあ、もう僕は行くよ」
校門に背を向けた。
「この仕事が終わったら、もう一度報告しに来るからね」
レデンの元に歩こうとした瞬間。

――――――「バカね…」

「えっ?」
ものすごい勢いで後ろに振り返った。
でも、そこには誰もいなかった…。
「…気のせいだいだよな? はぁ〜…、まだまだ俺は弱いなぁ…」
自分の妄想壁に呆れてしまった。何をやっているんだよ、俺は…。

「…帰るか」
寝ていたレデンをおぶってやった。
「フニャ〜?」
背中から声が聞こえた。
「おっ、起こしたか。済まんな」
「もう、終わったのかニャ?」
「あぁ、終わったぞ」
「よかったニャ…、ご主人様に聞きたいことがあったんニャ」
「何だ?」

レデンの息が首筋に当たってくすぐったいぞ。

「学校って、何をする場所ニャ?」
「何だ…。レデンは、学校とはどういう場所か知らなかったのか…」
「だって、まだ教えてもらっていないニャ〜」
すねたように言う。
「はははっ、すまんすまん。いいかレデン、学校と言うところはだな…」

俺はレデンに、学校とは楽しくて、友達ができて、遊べて、良い思い出がいっぱいできる場所だと教えてあげた。レデンは終始ずっとはしゃいでいて、そんなレデンを見て、俺も楽しくなった。

家に着いたときは、レデンはすでに寝てしまっていた。
「明日から…、忙しくなるぞ」
レデンをベットに寝かしつけると、俺も布団にもぐりこみ、

「立花さん…、俺はもう大丈夫だ…」

――――――グー…

久しぶりに、すぐに寝てしまった…。




(次回予告)

過去を乗り越えることに決めた和也は、次の日クソジジィの屋敷へと向かう。
しかしその時、クソジジィの身にっ………!

まぁ、ギャグみたいなことが起こっていますw



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2006年03月23日

ツンデレ子猫娘の第10幕だよっ!

今日は、友達が横で大工道具を研いでいました。僕はその光景を眺めながら、キーボードに向かって修羅のごとくタイピングしていきました。
こんなに集中して書いたのは久しぶりです。今回の話では、とんでもない話が目白押しです! 
辛口のコメントから、甘口のコメントまで、意見があったら書き込んでくださいよっ!

では、第10幕 スタート!



第10幕  仕事依頼



「まず初めに…、和也よ。生命とは…、どのようにして進化したか知っておるか?」
「はっ?」
神妙な空気の中、クソジジィはその空気をぶち壊すような発言をした。
「突然なんだ? 変な話を始めやがって。萌え忍はどうした」
全く…、ボケが始まったのか?

「むぅ、済まない。だが、和也はこの話を聞かなければならない」
クソジジィは至って真面目だった、いや、真剣と言うほうが正しいな。
「分かった。続けてくれ」
俺は何を言われても無言でいるということに決めた。

「感謝するぞ、和也」
クソジジィの口がまた開いた。
「生命が誕生して以来、生命は止め処なく進化を繰り返している」
なんだか化学の授業みたいだな。
「しかし、何故そこまで生命は進化することができたのであろうか…。いろいろな説がある。ウィルス説、宇宙人説…。だが、どれも違うとワシは思う」
時雨も「うんうん」と頷いている。
「そしてワシが到達した答え…。それは“萌え”じゃった…」

――――――ブフゥ!

「なんじゃい、汚いぞ和也」
「す…済まない。話を続けてくれ」
つい吹き出してしまった。何だか異様に恥ずかしくなってきたぞ。

「単細胞は本能で思った。“もっと細胞がほしい、細胞萌えぇぇぇ〜!” その強烈な思いのパワーで生命が息吹いた。萌えとは…、そう、息吹く力じゃ。生命が一歩上に上り詰めるために必要な凄まじいパワーじゃ」

俺の心臓の鼓動がどんどん高まってきた。…クソジジィの話は続く。

「多細胞は思った。“もっと自由がほしい、自由萌えぇぇぇ〜!” 魚類は思った。“普通に歩きたい、歩行萌えぇぇぇ〜!” 両生類は思った。“俺様ってカッコ良くねぇ? 俺様萌えぇぇぇ〜!” 爬虫類は思った。“空飛びたい、飛行萌えぇぇぇ! 二足歩行したい。スラリと長い足萌えぇぇぇ〜!” 鳥類は思った。“ふっ、今の私って萌えるキャラよね?” 人類は思った。“もっと萌えたい、進化萌えぇぇぇ〜!”」

「龍之介様、お茶でも…」
息が荒くなってきたクソジジィに時雨がお茶を出した。
「おぉ、済まない時雨ちゃん」
「和也さんもどうぞ」
俺の前にもお茶が入ったお碗が置かれた。
「あぁ、済まない」

――――――ズズズゥ…

二人同時にお茶を飲む。高まった胸の鼓動も収まってきた。
「ふむ、では話の続きをするかの」
「あぁ、頼む」
俺はもう、クソジジィの話を一言一句漏らさないように、必死で聞く態度をとっていた。

「さっきまで話したとおり、生命は“萌え”によって進化してきたとワシは考えておる。萌えることにより、そこから生み出される凄まじいパワーは昨日のワシを見てみても分かったじゃろう?」
クソジジィの昨日の姿…。確かに…、俺の渾身の一撃がクソジジィの硬いボディには全く歯が立たなかった。

「まぁな。確かに萌えの力は凄まじいな」
俺はその事を、身をもって体験した。

「ふむ、じゃが。大切なことはもっと他にある」
「他?」

クソジジィはもう一口だけお茶を飲んだ。

「うむ。人類は…、もうこれ以上進化してはならんということじゃ」
「ん? 何故だ? って、時雨どうしたんだ?」
時雨の様子がおかしい。手を口に当てている。何だか、泣くのを堪えているように見える。
「あぐぅ…、ちょっと失礼します…!」

―――――タッ…

さっきの言葉に時雨は耐えられなくなったのか、涙目で部屋から出て行った。
「どうしたんだ、時雨は?」
俺は開けっ放しになっている障子を見ながら言った
「まぁ、時雨ちゃんにもいろいろとあるということじゃ…」
女性に対していろいろと追求することは、俺のプライドが許さないので、これ以上は聞かないことにした。

「…で、何で人類は進化したらいけないんだ?」
俺はクソジジィに視点を戻した。
「うむ、人類がこれ以上進化すると、地球自身が壊れてしまう恐れがある」
「地球か…」
話のスケールがでかすぎて、ちょっとピンと来ないな…。
「うむ、これ以上の進化は恐らく地球の負担になる。地球を傷つけるだけじゃ。ワシはそう思っておる。じゃが…」

クソジジィがドンッと拳を畳に叩きつけた。

「“萌え忍”という組織は、そうは思っておらん!」
「萌え忍…」
萌え忍とは一体…。
「あやつらは“萌え”によって、人類を進化させ、その進化した功績を持って、世界を意のままに操るという野望を持っておるのじゃ!」

「何の話ニャ?」
レデンがカツオ節まみれでこっちに歩いてきた。
「レデンちゃんもここに座りなさい」
レデンが俺の隣に座る。
「何だか真剣な話で眠くなりそうニャァ〜」
すでにあくびがこぼれているレデン。しかもカツオ節の匂いが強烈だ。
「レデン…、家に帰ったらちゃんと俺様と一緒にお風呂に入るんだぞっ」

――――――ザシュッ

「一人で入るニャ!」
「了解…」
「ワシもレデンちゃんとお風呂に入りたいのぉ…」

――――――ザシュッ

「了解じゃ…」

俺とクソジジィの顔には、痛そうな爪痕だけが残された。
「おっほん…。それでじゃ…話を戻すかの。和也よ、今までの話で萌え忍というのはどういう組織かは理解したな?」
「あぁ」
「レデンは良く分かんなかったニャ〜。難しかったニャ〜」
レデンが悲しそうな顔をする。
「ふっ、あとで俺が手取り足取り教えてあげるから安心しろ」
「ふっ、その時はワシも…」

――――――ザシュッ

「それでは、早く話の続きを語り合うぞクソジジィ」
「うむ!」
傷後が増えてしまった。

「萌え忍は、まだ日本でしか活動していない。しかしじゃ、時が経てば、きっと奴らは世界に勢力を広げることは間違いないのじゃ」
話し終えると、クソジジィは懐から何かの紙を取り出した。

――――――パラッ

それを俺たちの前で広げて見せた。
「これは現在の日本の萌え分布図じゃ」
紙には日本の地図が描かれており、所々に赤色で囲まれている部分がある。
「この赤い部分が萌えの発展している地域なのじゃ」
クソジジィが指を指して示した。
「ちなみに、この赤色の地域はすべてワシの経営下にあるのじゃ」
「何だとッ!?」
俺はもう一度地図を見てみる。日本の面積の約半数が赤色に染められている。
「…マジか?」
目の前にいるクソジジィはとんでもない大金持ちだった。

「これぐらいの萌えの分布が最も理想なのじゃ…」
「何故だ?」
俺には良く分からん。
「よいか。“萌え”とは…、人の還る場所じゃ。人の安らげる場所じゃ。しかし、“萌え”ばかりでは、人というものは退化してしまうともワシは思っている」
「そうか…」
俺はちょっと感心した。
「あんたはそうやって日本を守っているんだな」
その言葉にちょっと顔を赤くしたクソジジィ。

「なんじゃい、急に変なことを言うでないぞ…」
「龍之介、何だか顔が赤いニャ?」
レデンがクソジジィの顔を嬉しそうに覗き込む。
「うわっ、気のせいじゃよ、レデンちゃん! それよりも萌え忍についてじゃ!」
クソジジィの指が地図を指した。

「奴らは、この赤い分布を日本全土に広げようとしているのじゃ。奴らは、至る所に存在している。ある病院のナース。ある学校の教師。ある飛行機内のスチュワーデス…、例を挙げたらキリが無いわい。だが、奴らは必ずそうやって存在しているのじゃ」
「じゃあ、どうすればいいんだ?」
そんな神出鬼没の奴らを見つけるなんて、砂浜で一個の砂粒を見つけるようなものだ。

「うむ、安心せい。ワシは独自に調査して“萌え忍”の大体のアジトを見つけたのじゃ」
「本当かっ?」
なかなかやるじゃないか。
「頭を潰せば、萌え忍の構成員達も壊滅できるというわけじゃ。じゃが…」
「ん、何か問題があるのか?」
顔をしかめるクソジジィ。

「大有りじゃ。そのアジトがかなり厄介なんじゃよ。はぁ〜」
ため息をつくほど厄介なのか?
「そのアジトってどこなんだ?」
しばらく沈黙したクソジジィだったが、
「私立萩原学園じゃ」
「何だってッ!?」
俺はその場所を…知っている。

座っていた俺だったが、驚きのあまり立ち上がってしまった。

クソジジィは俺の動揺を確認し、
「そう、日本最大の学園にして…、和也…、お主の母校じゃ…」
「えっ、そうなんニャ!?」
レデンもびっくりって感じだ。
「おめでとうご主人様ッ! これ…、お祝いニャッ!」
俺に差し出されたものはカツオ節…。
「あぁ…、レデンが俺にプレゼントなんて初めてのことだな」
ありがたく頂戴した。

「えへへ〜、褒められたニャ〜」
レデンは上機嫌だ。

「困惑するのは無理はない。…落ち着いたか和也よ?」
「あぁ、大分ショックがあるが…もう大丈夫だ。レデンのおかげで落ち着いた」
俺はレデンの頭を撫でてあげた。
「ニャゥ〜、ゴロゴロ〜」
レデンには、本当に癒される。俺の心の支えなのかもしれないな…。

「和也よ。仕事の内容がもうそろそろ分かってきたかの?」
「あぁ…、大体読めてきた」
けっこう危険な仕事だな。

「あの学園だけは、国の管理下から離れているのでワシも手出しができないのじゃ。そこで、私立萩原学園の卒業生、和也よ。お主なら内部の状況にも詳しいはずじゃし、萌えに関してもエキスパートじゃ、まさにうってつけの人材という訳じゃ」
「あぁ…、そうだな」
あそこには…辛い思い出しか残っていないような気がする…。

「では、ヲタク専門の何でも屋の和也よ! 仕事を依頼するぞ!」
クソジジィが立ち上がる。
「仕事内容は…“萌え忍の首謀者を見つける”ことじゃ!」
「ニャニャ〜! とっても楽しそうニャァ!」
「そうじゃろそうじゃろ〜」
クソジジィとレデンは手を取り合って喜んでいるようだ。だが…、

「悪いが断る」

しばらく沈黙が続いた。
「…なんじゃと?」
俺の言ったことが信じられないって様子だな。
「よいか和也よ。お主で無ければいけないのじゃ。世界が滅んでもよいのか?」
「なんだか…気が乗らないんだよ…」
気が乗らない…。そう、俺様の気が乗らないだけだ。ただそれだけの理由だ。

「何が不満じゃ? 母校なら懐かしいじゃろう。学生もたくさんいるぞ。仕事が成功すれば、お主の望むもの何でも与えるぞ。ワシは総理大臣じゃ。嘘は言わん」
クソジジィの熱意が伝わる。だが…、

「済まないが…」

今回の仕事は引き受けられない…。俺には…耐えなれないかもしれない
俺は顔を伏せた。
「そうか…」
クソジジィはかなり悲しそうだ。
「済まんかった。急な話で困惑させてしまったの。お主の気持ちを全く聞き入れておらなんだわい。済まんかった」
そう言うとクソジジィは深々と頭を下げた。

「………」
俺は何も言えなかった。
「ご主人様?」
済まんレデン。俺には無理なんだ。だから、そんな悲しそうな顔をするな。

「和也よ。一応これは渡しておくぞ」
頭を上げたクソジジィが押入れらしき襖を開けた。
「これじゃ」
俺の手には教師免許証とスーツ。
レデンには萩原学園の学生証と女子用の制服が渡された。

「ジジィ…」
クソジジィは俺たちに背を向けた。
「それをどう使うかは…和也よ…、お主に任せる。焼いてもいい、売ってもいい、自由に使ってくれ。」
「ニャ〜、カワイイ制服ニャ〜!」
レデンは自分の前に制服をぶら下げて、ニャハハ〜と嬉しそうに回転している。

「じゃが…、もし気が変わって仕事を引き受けてくれるのなら…、また明日のこの時間、ここに来てはくれないか?」
俺は………、何も言わなかった。いや、何も言えなかった。

「…今日は忙しい中、わざわざ来てくれて本当に感謝しておる。帰りの道中、気をつけての…」
そうして、俺たちは屋敷内から去った。

「ご主人様…?」
帰宅途中、レデンは何度も俺の様子を伺っている。
「大丈夫かニャ?」
「あぁ…、大丈夫だ」
これで、何回目のやり取りだろうか…。
「今日のご主人様はいつもよりも変ニャ〜」
「あぁ…そうだな…」
「やっぱり変ニャ〜」

レデンが心配してくれるのは本当に嬉しい。だが、今の俺には苦痛でしかない。

俺は考えていた…。
俺は…どうすればいいべきなのかと…。
どうすれば…、俺は俺のままでいられるのかと…。

あの場所は…、本当に悲しいことが起きてしまった場所だから…。



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ツンデレ子猫娘の第9幕だよっ!

はぁ〜…。
最近、小説を書くために友達から大量に借りた○○ゲーのせいで、逆に小説を書く時間が急激に減ってきているような気がします。
でも、今日はがんばって一気に第9幕を書き上げました。ぶっちゃけ、眠いです。

では、第9幕 スタート!



第9幕  相良 龍之介



――――――ボリボリボリボリ…

「レデン、食べ歩きはお行儀が悪いぞ」
「そんなのどうでもいいニャ〜」

――――――ボリボリボリボリ…

何だか最近、レデンが俺の言うことを聞かなくなってきている様な気がする…。美鈴のせいだ…。

今、俺とレデンは町からちょっと離れたところを歩いている。俺たちが住んでいるところよりもずっと緑色が多い。空気も澄んでいてウマイ。レデンは家からずっとカツオ節の塊をかじりながら歩いていて、レデンの周りにはそれはすごい匂いが充満している。ちょっとしたカツオ節結界というヤツだ。

「美味しいニャ〜」

隣からは幸せそうな声がずっと聞こえている。
「そんなことよりもな」
俺は地図をもう一度見てみる。
「この地図おかしくないか?」
地図には大体の模式図が描かれているのだが、クソジジィの指定した場所がちょっとありえないくらい範囲が広いのだ。
「これって、隣の山ぐらいの広さだぞ?」
まぁ、東京ドーム3個は入るな。

「ニャッ!? 大っきぃ門があるニャ!」

レデンはカツオ節のクズを「つぶはぁっ!」と吹き飛ばしながら言った。俺はレデンの攻撃を神業的にかわしながら向こうを見てみた。

「げっ、何だアレは?」

そこにそびえ立つものはまさに羅生門。神木でも使って建築したかのような神々しいオーラが解き放たれている。その両側には白い壁が向こうの方までず〜〜〜〜っと続いていた。

「ん? 誰かいるぞ」

その門の前には、昨日会った「時雨」と言う名の美人秘書が立てつくしていた。

――――――シ〜ン

しかし、時雨はまったくの無反応。
「何だ? 俺たちに気づいていないのか?」
俺とレデンは何となく体制を低くしながらそいつに近づいていった。
涼やかな風、安らかな木々のざわめき。それらが俺たちの空間を埋め尽くしていた。

「この人どうしたんニャ?」
「う〜む、分からん」

俺たちは、めちゃくちゃ怪しく時雨に近づいたのに、時雨は全くの無反応。

「死んでいるのかニャ?」
「よし、心臓が動いているか試してみよう」

――――――ザシュッ

「…冗談だ」
時雨の胸に手を伸ばそうとした俺の手をレデンが容赦なく切り裂いた。
「多分寝ているんだろうな。ちょっと待ってろ」
俺は道端に生えていた雑草をちぎって、それを時雨の鼻の中に突っ込んだ。

――――――こちょこちょこちょ…

「ふぇ…」
時雨の顔が歪む。
「ふぇくちっ」
可愛らしいクシャミだった。

「あ…あれ?」
ようやく時雨が目を覚ます。
「よう、目が覚めたようだな」

――――――クー…

「起きろッ」

――――――ゴンッ

「あ…あれ?」
今度こそ、ようやく時雨が目を覚ましたようだ。
「次、寝たらカンチョウするからな」
「あぐぅ…、すいません。いいお天気だったので、ついウトウトと…」

――――――クー…

「う〜む」
俺はどうすればいいのだろうか? 
このまま時雨を放って置いてこの門を通るべきか。それとも、親切にカンチョウで起こしてあげて、時雨に感謝されるべきなのだろうか…。
「う〜む」
まぁ、いろいろと考えるのは俺様らしくないな。頭で考えるよりも、体が先に動くのが俺様さ。って、レデンどうした? 時雨の前に立って何をしようというんだ?

――――――ムンズッ!

「はぅ!?」
「目が覚めたかニャ?」
ぐふっ! な…何ていうことだ…。レデンが時雨の胸を両手で思いっきり揉んだために、時雨が起きてしまったぞ!
「あ…あれ? なんだか私…、長い間夢を見ていたような気がします」
「そりゃあ、実際に寝ていたんだからな」
俺の声に反応する時雨。
「はっッ!?」
突然、はっとする時雨。
「そうでしたっ! 私、和也という人を待っていたのでした」
「それは俺だ」
俺は自分を指差して答えた。
「あぐぅ…、すいません寝坊してしまって…」
「今までの出来事を、寝坊という一言で済ませるあんたがすごいな。しょうがないから、いろんな意味で許してやるよ」

なんて優しい俺様なんだろう。

「あぐぅ…、感謝です…」
目をこすりながら頭を下げる時雨。その時、時雨の長い髪が風に揺れて、一瞬だけ俺が見ていた風景が茶色に染まった。

「はっ、早くご案内しなければっ」
時雨が姿勢をピンと正す。
「総理がお待ちです」
「あぁ、おいレデン行くぞ〜」
俺は門を下から嬉しそうに見上げていたレデンに声をかけた。
「了解ニャ〜」
こっちに駆け寄ってくるレデン。その勢いを保ったまま、

「って、総理って何だよッ!?」
「って、総理って何ニャッ!?」

――――――ビシッ!

っと、俺とレデンは全くの同じタイミングで時雨にツッコミを入れてしまった。
「な…何ですかっ?」
ただ戸惑うばかりの時雨。
「おいおい、冗談にしてはちょっと笑えないぞ」
俺様とレデンは「ワタシニホンゴワァ〜ッカリマセ〜ン」みたいに両手の掌を天に向けた。
「いえ、冗談ではありません」
先程の時雨とは違い、今度ははっきりと発言した。

「まさか、総理って言うのは、総帥 オブ 理科部 の略語か?」
俺様はただひたすらにオロオロし、レデンはカツオ節の塊に対して、“そうり”と爪で跡をつけている。
「いえ、総理とは、総理大臣の略語です」
何をそんなに驚いているの? みたいな感じで時雨が答えた。
「ふっ、何を言っているんだ。そんな訳がないだろう」
俺は気を落ち着かせるためにその場で片手腕立て伏せをし始めた。

「突然なんで片手腕立て伏せなんかし始めるんですかっ? 自分の国の総理大臣ぐらい知っておいてください」
俺の頭の上から時雨の声が聞こえる。
「ふっ、そんなこと信じられるかぁあぁぁ〜!!」
その掛け声と共に俺様は立ち上がった。
「あのクソジジィが総理大臣な訳ねぇだろうがっ! レデン、ついて来い!」
「了解ニャ!」
「えっ、ちょっと?」

――――――ダンッ!

俺とレデンはその類まれなる身体能力を生かして、高々にジャンプした。
「着地っ」
俺とレデンは門の上に着地した。
「ほえ〜、高いニャ〜」
確かに、俺たちが今まで歩いてきた道が一望できる。

「………あのぉ〜!」
下のほうで時雨が叫んでいる。
「………危険ですので降りてくださいぃ〜!」
「大丈夫だ。そんなやわな鍛え方をしていないのでな!」
俺は5mほど下にいた時雨に向かって叫んだ。
「あぐぅ…、そうじゃなくて…」
時雨の様子がおかしい。

「ご主人様…」
「ん? どうした?」
隣にいたレデンがしゃべる。
「なんだから嫌な予感がするニャ」
「ほう、それはどんな…」

――――――ダダダッダンッ!

「うわっ」
どこからともなく銃声が響いた。
「逃げるニャッ!」
俺とレデンは急いで下にいた時雨の元へ飛び降りた。

――――――ダンッ!

「大丈夫でしたかっ!?」
時雨が俺たちの元に駆け寄る。
「おい…、何でいきなり攻撃されないといけないんだ?」
し…心臓がバクバクだぜ。
「それは…、この門を通ってこない人はたとえ総理でも射殺せよと命令されているので…」
時雨の手には、微かに火薬の匂いがする銃が握られていた。

「って、お前が撃ったのかよッ!?」
「あぐぅ…、だって…」
「だって…じゃないだろうがぁぁぁ!」

やばい…。気がどうにかしてしまいそうだ…。
「ですので、門以外から中へ入ることはあまりオススメできません」
ニコっと笑う時雨。

「前途多難だニャ…」
流石のレデンも顔色が悪い。何だか急に寒気がしてきたぜ。

「では、ご案内致します〜」
時雨が門を開けると、そこにはポツリと一軒の屋敷が見えた。
「こちらです」
時雨が俺たちの前を歩く。

「…ほとんどが庭だな」
見える風景のほぼ全てが日本庭園みたいだ。松、川、赤い橋…五重の塔まであるぞ。
「綺麗な所ニャ…」
隣で歩いているレデンは、どこか遠くを見ているようにまぶたを細めている。

「靴は脱いでお入りください」
屋敷内もすごかった。まさに純和風。木の香りが心地いいぜ。
「なんだか懐かしい匂いニャ」
レデンは鼻をクンクンさせている。
「ほう、この匂いの良さが分かるなんて大人だな、レデン」
「むっ、レデンはもう立派な大人ニャッ!」
拗ねた様にプイっと顔を横に向いてしまった。
「全く…、その態度がすでに子供っぽいんだけどな」
「何か言ったかニャ?」
「別に…」
「和也さん、着きましたよ」

俺たちの真正面には、横に何枚も障子が広がっている部屋があった。

「くれぐれも、総理の前では失礼の無いようにお願いします」
「はいはい…、どこの誰かさんみたいに急に銃なんてぶっ放さないから安心してくれ」
「あぐぅ…、そういうこと言う人嫌いです」

――――――シュ…

障子が開かれた。

「おぉっ、和也ではないか。良く来たな」
俺たちが招かれた部屋。その奥には和服を着て座布団に座っているクソジジィの姿があった。
「おいクソジジィ。色々と聞きたいことがある」
俺はズカズカと部屋の奥にいるクソジジィまで歩いていった。
「ほう、何でも聞いてみぃ」
俺はクソジジィの前にドカッと座った。

「まず…、昨日言った“パラダイス”って言うのは何処にあるんだ?」
「パラダイス?」
クソジジィがとぼけた様に答えてみせた。
「あぁ、俺はそれが楽しみでわざわざ忙しい中ここまで来てやったんだからな」
ここまで来るのにちょっと死にかけたんだからなっ。

「ふむ…、まず、レデンちゃん用のパラダイスはあの“カツオ節風呂”じゃ」
クソジジィが部屋の向こうを指差した。
そこには大きなプールのような物が置いてあり、その中に大量のカツオ節が投入されていた。

――――――「ニャニャニャァァァ〜〜〜! パラダイスニャァァァ〜〜〜!」

すでにレデンも投入されていた。
まるで札束の風呂にでも入っているように、両手でカツオ節を持ち、それを真上に投げ、そしてまた両手でカツオ節を待ってまた真上に投げるという行為を繰り返している。

――――――ヒヒヒィ、ヒヒィッ…

レデンの気持ち悪い声が聞こえる…。

「まぁ、アレは見なかったことにしよう」
俺は視線をクソジジィに戻した。
「ふむ、レデンちゃんが楽しそうで何よりじゃ」
「で、俺のパラダイスは?」
俺は、じわりじわりとクソジジィに近づいた。
「ん? 無いぞ」
「へっ?」
その言葉の意味が分からなくて、情けない声を出してしまったぜ。
「だから、無いって言っておるのじゃ」
ニコッと微笑むクソジジィ。

――――――ブチッ

「このクソジジィがぁぁあぁ〜!」

俺はクソジジィを無理やり立たせて殴りかかろうとした。
「まぁ待て和也。人の話は最後まで聞くものじゃ」
「あぁ〜ん?」
全く…、人をおちょくっているのかこの野郎は…。

とりあえず、俺はクソジジィを掴んでいた手を離してやった。

「うぉっほん。和也よ…、お主に仕事を依頼したい」
「はぁ?」
開いた口が塞がらなかった。
「この仕事を見事成し遂げてくれた時、和也には本当のパラダイスを与えることを約束する」
俺を見るクソジジィの目には迷いが無かった。
「ワシは総理大臣じゃ。嘘はつかんわい」
クソジジィの口から“総理大臣”という言葉が出てくるとは…。

「って、あんた、本当に総理大臣なのか?」
「うん。ワシ、総理大臣じゃ」
「かるっ、…そんな簡単に言われてもな…」
やはり、このクソジジィに実際に会ってみても、こいつが総理大臣なんてとてもじゃないが信じられねぇ。

「ほれ、これが証拠の写真じゃ」
「うぉ! クソジジィが偉そうな連中の真ん中に写っている!」
写真の中には、スーツを着たクソジジィが威厳たっぷりで立っていた。
「これ、合成じゃないのか?」
「違うわい」
クソジジィはちょっと呆れたように座りなおした。

「これでご理解できましたか? このお方は正真正銘この国の第91代目の総理大臣であらせられる“相良 龍之介”様です」
気づいたら、時雨が俺の後ろに立っていた。

「あぁ、分かったよ。ちょっとだけ信用してやるよ」
俺は精神的に疲れたので、クソジジィと同じように畳の上に座りなおした。
「ワシ…信用無い総理大臣じゃのう」
「そんなことありませんよ。もっと自分に自信を持ってください」
時雨がクソジジィの肩に手を置いて慰めている。

「…で、仕事の内容は?」
気持ちを切り替えて、仕事の話を持ち出すなんて、やっぱり俺様は大人だぜ。

「うむ…、和也も昨日見たと思うが…」
時雨はクソジジィの後ろに移動した。
「“萌え忍”…という組織を耳にしたことがあるか?」
「いや、昨日初めて聞いたな」

萌え忍…、その言葉で昨日の記憶が甦ってきた。テラメイドで普通に働いていたメイド、サユリが突然“燃え忍”という言葉を発していたな。

「“萌え忍”って、一体何なんだ?」
俺でさえ知らないことがあるとはな。世の中広いぜ。

「ふむ、萌え忍とは…」

クソジジィの口が何かを語ろうとしている。
そして、俺たちがいる部屋には、レデンの狂気によるキモチワルイ声が、BGMとして流れていた…。




(次回予告)

誰か教えて〜、誰か教えて〜、萌え忍人情ぅ〜☆

萌え忍とは、どんな組織か判明しますw


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2006年03月17日

ツンデレ子猫娘の第8幕だよっ!

いや〜、今日は家の掃除で一日潰れましたね〜。実に有意義でしたっ!
次の話も無事に書くことが出来、小説の神様に感謝しても仕切れないほどの幸福感が僕を包み込んでいます。って、なんだこの文章・・・。あっ、今お酒飲んでいるから変な文章を書いてしまうんだ〜。今回はお酒飲んで書いたので、面白く仕上がっていると思います〜w

では、第8幕 スタート!




第8幕  萌え忍(もえにん)



宙に舞うメイド服。
そして、空に舞い上がった一つの影。

――――――「あ〜っはっはっは〜!」

空に響き渡る甲高い声。
「おのれ、何ヤツじゃっ!?」
クソジジィは上を見ていた。俺もそれを見習って上を見た。

――――――「ふっ、相良 龍之介! 貴様の命。貰い受けるっ!」

俺の目に映った光景。
それは、テラメイドの屋根に立っている一人の女性。
しかし、その女性を見ていると、何故か胸が痛くなるのは気のせいか?
いや、気のせいじゃないな。
だってヤツは、俺様の大好きな“女忍者(くのいち)”の格好をしていたのだから!

「何と言うことじゃ…、まさかサユリちゃんが“萌え忍(もえにん)”だったとは…」

ッ!? 萌え忍? 何だそれは? なんだか胸の鼓動がどんどん高騰してきたぞ!
あぁっ、しまった! そんなことよりも大事なことが・・・、ってマジかよ。カメラを忘れてしまったぞ。俺様としたことがこんな凡ミスをしてしまったぜっ! 俺の携帯のカメラ今故障中なんだよっ!

「なんで泣いているのニャ?」
悔しさに負け、地面に膝を付いて泣いていた俺を心配してか、レデンが俺を哀れみの目で見ている。
「うぅっ、レデン。お前にもきっといつか分かる時が来る」
「多分、一生来ないと思うのニャ〜」

――――――「そこっ、今いいところなんだから静かにしなさいっ!」

頭上から声が聞こえる。

――――――「全く…、せっかくの登場シーンが…(ボソッ)」

何故かぼやいている女忍者。まぁ、登場シーンを邪魔して悪かったよ。すまん。

――――――「気を取り直してっと…」(ポチッ)

何だ? 胸の辺りを指で押したぞ?
刹那、

――――――トゥリュリュ〜〜〜、トゥッリュ〜リュ〜リュ〜リュリュリュ〜…

変なBGMが流れ出した。

――――――「この世に萌える人々いる限り…」

ポーズを取り始める女忍者。

――――――「萌えの真髄、貫く心得…」

おぉ〜、カッコイイ! レデンも目をキラキラさせて見ている。

――――――「萌え忍…、サユリ参上!!!」(ふっ、ポーズも完璧よっ)

「ウオォォォォォォ〜〜〜、萌え忍、萌えぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!!!」

「ニャッ?」
テラメイドの周りにいた男達(俺様も含む)が歓喜の雄たけびを上げた。

「お前たち、あやつに騙されるなっ!」
地面に倒れているクソジジィが必死に何か言っている。騙される? 
違うな。今俺は猛烈に萌えているのだ。

「ふっ、笑止っ! 最早、誰にも我々の野望を止めることは出来ぬッ。だが、我らの野望
を邪魔する輩…、貴様は目障りだ。弱っているのが運の尽きだなッ!」

――――――バッ

女忍者がクソジジィに向かって飛び降りた。
「覚悟〜!」
「むっ!」

はっ、このままでは二人が激突してしまうぞ。女忍者が危ないッ!

――――――ダッ

気づくと俺は走り出していた。

「喰らえ! 萌え忍奥義:押しくら饅頭!」
「危ないッ!」(俺様)
俺はクソジジィの前に立ちふさがった・

「へっ?」(女忍者)

――――――モニュゥゥゥ〜〜〜ッ

「はぅ!」(女忍者)
何だ? この顔全体に広がる柔らかい感触は…。
「な…なんで貴様が出てくるのッ!?」
俺の視界がひらいた。女忍者は一歩後退し、右手で自分の胸を押さえている。

「いやっはっは〜…、大きな胸ですね〜」
あぁ、生きていて良かったぜ…。多分、今の俺の鼻の下は伸びまくっているんだろうな〜。

「助かったぞ若造」
「ん?」
後ろを見ると、クソジジィが立ち上がっていた。

「さすがのワシも、今の攻撃を喰らっていたら萌え死していたかもしれん」
冷や汗をかいているクソジジィ。そんなにやばかったのかと今気づいた。

「くっ、邪魔が入った。おのれっ!」
女忍者は再びテラメイドの屋根へと飛び上がった。

――――――「もう回復してしまったか…、相良 龍之介め…」

確かに。クソジジィは昼間に来たときと同じぐらいに回復しているようだ。一発で萌え死させることは恐らくもう不可能だな。

――――――「命拾いしたな、相良 龍之介! だが、今日萌え死していれば良かったと思う日がいつかきっと来る! そのときを楽しみにしているんだなッ!」

後ろを向く女忍者。

――――――「去らばっ」 (ヒュンッ)

「消えた…」
女忍者の姿はどこかへと消えてしまった。
「もっと見たかったぜ…」
俺の悲痛な言葉だけが場を漂った。

「ふぅ…」
唐突に背後にいたクソジジィがため息をついた。
「あやつら…、本格的に始動しはじめたか…」

――――――ブロロロロォォォ…

「ん?」
向こうから何か黒い物体が近づいてくる。

――――――キキィッ

それは、黒光りのリムジンだった。次の瞬間、リムジンの運転席のドアが勢い良く開いた。

「龍之介様!」
その掛け声と共にリムジンから現れたのは、メガネを掛けた美人秘書。
「ご無事でっ」
その美人秘書がクソジジィに駆け寄る。

――――――ギュム〜

そして熱い抱擁…。
「はっはっはっ、これこれ、皆が見ておる」
「ご無事で何よりです…」
泣いているのか…。
美人秘書の体が震えている。よほど心配していたんだろうな。実に不愉快だっ!
しかしクソジジィ…。貴様の今日はうますぎるぞ。まさか毎日こういう生活を送っているのか?

「よし、ではそろそろ帰ろうか、時雨クン」
「はい…」
クソジジィは後ろの席に、時雨という名の美人秘書は運転席に乗った。

「あっ、時雨クンちょっと待ってくれ」
「はい?」

クソジジィが乗った席の窓ガラスが開いた。
「和也という名じゃったな…。和也よ、明日は何か用事があるか?」
「明日?」
明日はレデンの特訓という大事な仕事があるのだ。
「すまないが、明日は…」
「そうか…、残念じゃの…、とんでもないパラダイスへ招待しようと思ったのにのぉ」
「…何も用事がないのだ」
「そうかそうか、では明日の正午にここまで来てくれないか」

そういうとクソジジィは俺にメモ用紙を渡した。
「この場所に行けばいいんだな?」
メモ用紙には簡単な地図が描かれていて、住所も書かれていた。
「そうじゃ、その場所に来てくれ。今日は世話を掛けてすまんかった。では、失敬」

――――――ブロロロロォォォ…

俺はリムジンが見えなくなるまで、しばらくリムジンが走り去った方向を眺めていた。
「パラダイスねぇ…」
クソジジィからもらったメモ用紙をポケットに突っ込む。
「楽しみだな」
俺は明日起こる出来事を脳内で考えてみた。
あのクソジジィの事だから、とんでもないジャンルの女の子たちを用意しているに違いない! ナース、スチュワーデス、チャイナ、先生、メイド、バニー、水着、でへへ〜。考えたらキリがないぜ〜。いやっほ〜い!

――――――ヒソヒソヒソ…「おい、アイツやばくね?」、「目がイッちゃってるぜ…」

「はっ!」
やばいやばい…。周りのやつらの声が聞こえなかったら、このまま萌えカオスの世界に一生迷い込んでいたところだった。

「よし、レデン帰るぞっ」
俺はレデンのところまで歩いていった。
「お〜い、帰るぞ〜」
俺の声が聞こえていないのか? 
レデンは下を向いたまま微動だにしない。真正面で言っているのに。

――――――「ご…ご主人様…」

「おっ、帰るぞ」
やっと俺の声に反応したぜ。

「ご主人様は…、大きい胸が好きなんだニャ?」
「へっ?」
俺を見つめるレデンの瞳には、大粒台の涙が込み上げていた。
「レデンはどうせ…、胸ないニャ…」
「いやっ、俺はレデンの胸も好きだぞっ」
「嘘ニャッ! だって、さっきのご主人様の顔…、とんでもなく鼻の下が伸びていたニャッ!」
「うっ、それは…」
「ご主人様はやっぱり胸の大きい方が好きなんニャッ! バッキャロォォォ〜!」

――――――ドゴッ!

「ぐはぁッ!?」
いつもの爪攻撃ではなくパンチを繰り出したレデン。腹に綺麗に入った…グフゥ…。
「どうせレデンは胸がないニャ〜!」
「まて、レデンは今から大きく…」
「今ほしいニャ〜!」

――――――ドゴッ!

「無茶言うな〜!」
「ご主人様のバカァアァ〜〜〜!」

――――――ドゴォォォッ!

「死ぬぅっ」
「バカァアアァァッ〜〜〜!」
「クッ、レデン! カツオ節の塊を買ってやるぞ!」
「ニャッ?」
俺の誘惑の言葉にレデンの攻撃が止まる。
「ほら、早く行かないとお店が閉まるぞ!」
「何しているニャッ! さっさと案内しろニャァッ!」(ビチャァァッ)
レデンの口からはすでに大量のヨダレが滴り落ちている。

「こっちだ! ついて来い!」
「了解ニャッ!」

そうして、俺たちは夕焼けにたたずむテラメイドをバックに、鮮やかなオレンジ色の夕焼けに向かって走っていった…。



(次回予告)

クソジジィの正体が判明しますw





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2006年03月14日

ツンデレ子猫娘の第7幕だよっ!

ふ〜、今日は時間がたっぷりあって最高の日でした。一気に第7幕を書き上げましたよっ。集中して書くと一気に書けますね〜。
辛口の感想から甘口の感想まで、どんどん遠慮せずにコメントしてくださいね〜。

では、第7幕 スタート!



第7幕  死闘(後編)



「良くやったぞ、レデン」

――――――ぜ〜はぁっ、ぜ〜はぁっ!

レデンの呼吸は乱れ、頬には大量の汗が流れている。
やばい。レデンはすでにグロッキー状態だ。こんなにも体力を消費するとは…、やはりあのクソジジィは只者じゃねぇ。レデンはとんでもないプレッシャーを感じていたんだな。

「ご…ご主人様…」
「しゃべるな。息を整えるんだ」

俺はクソジジィにレデンが疲労していることがばれないように、レデンの姿をクソジジィから見えないように少し移動させ、タオルで汗を拭いてやった。

「レデン…、頑張っているニャ。何だかどんどん力が湧いてくるニャ。ご主人様…、レデン偉い?」
「あぁっ、偉いぞ。俺はこんな偉いレデンのご主人様で鼻が高いぜっ。だから…そんな泣きそうな顔をするな」
レデンの顔がどんどん青ざめていく…。
「ご主人様…、レデン…、楽しかったニャ…、いままでずっと…ありがとうニャ…」

――――――スゥ…

「レ…」
レデンのまぶたが閉じた。
「レデンッッ〜〜〜!!! …ほらカツオ節だ」
「やったニャッ〜〜〜! (ボリボリッ)」
「はははっ、こらこら、そんなに食べカスを撒き散らすな。行儀悪いぞ」
「えへへ〜、ごめんニャ〜」

レデンはさっきまで残っていたカツオ節の塊を全て食べた。
「レデン、復活ニャ〜!」
「おぉ〜」と周りにいたメイドさんたちから拍手が。

「いいか、レデン。クソジジィもお前の攻撃で大分ダメージを受けている。ここからが本当の戦いだ。だが心配することは無いぞ。お前は…、最高のツンデレ子猫娘なんだからな」
「ご主人様…、褒めても何も出ないニャ。だけど…、嬉しいニャッ」
「そうかそうか」
俺はレデンの頭を撫でてあげた。
「ニャゥゥゥ〜、ゴロゴロ〜…」
レデンは目をつぶり嬉しそうに笑っている。よほど気持ち良いのだろう。

「アツアツメイドスープ出来たわよ〜」

奥からメイドさんが出てきた。その手には、スープの入った皿を乗せたお盆が持たれている。
「どれどれ…」
俺は“アツアツメイドスープ”とは如何なる物か確かめるため、しげしげとスープを覗き込んだ。

「こ…これはっ」
スープの中には、メイドさんの形・色をしたカマボコが何枚か浮いており、それらがハートの形を成している。

――――――ジュルッ

「おっとぉ」
思わずヨダレが口元からこぼれてしまったぜ。遂、メイドさんの形をしたカマボコを食べると言う行為が、メイドさんを食べるという行為に俺の中で変換されてしまったぜ。

「熱いから気をつけてくださいね」
メイドさんからお盆を受け取るレデン。

――――――グラァ

「ニャッ?」
「おっと」
ぐらついたレデンを支えてあげた。
「大丈夫か?」
「うっ…、平気ニャっ、レデンは自分の力で頑張るニャっ!」
強がっているレデン。頑張っているレデン。今日はいろんなレデンが見られて楽しいな。

「よしっ、では行ってこい!」
「了解ニャッ!」

そうして、レデンはクソジジィの所へ歩いて行った。



「お待たせしましたニャ〜」
「お〜、やっと来たわい」
レデンがお盆をテーブルの上に置く。
「ほ〜、コレがアツアツメイドスープか」

――――――ジュルッ

「おっといかん。遂、ヨダレが出てしまったわい。このカマボコのせいでぐっと美味しそうじゃな」
なに? まさかクソジジィ…。俺様と同じ妄想を?

「熱いから気をつけてくださいニャ〜」
レデンがスープの入った皿をクソジジィの前に丁寧に置いた。
「おお、ありがとう。どれ、手が熱かったであろう」

――――――スリスリ

クソジジィがレデンの手を摩っている…だとうッ!?
「ニャピッ!? 何するニャ〜!」

――――――ザシュシュシュシュッ!

「痛いではないか」
レデンの爪跡だらけになった顔でクソジジィは訴えている。
「自業自得ニャ」
レデンの頭からはプンプンッと湯気が出ている。
「当店では、このようなハレンチな行為をなさったお客様は、問答無用で追い出すのでお気をつけなさいませニャッ!」
「心得たわいッ!」
クソジジィめ〜。俺もレデンの手をスリスリしたいなぁ〜。

「では頂くわい」
スープをすくったスプーンを口元に運ぐクソジジィ。
「熱っ」
でもすぐに離してしまった。
「ちょっと熱すぎるの〜」
スプーンを皿に戻した。

「もうっ、貸してニャッ」
見かねたレデンがスプーンを手に取った。

――――――フ〜フ〜フ〜

熱い料理は、フ〜フ〜してお客様に食べさせてあげる。裏メイド極意:追極

「はい、あ〜んニャ」
「“あ〜ん”だってぇぇぇぇぇぇぇぇ〜〜!!?」
コレは俺の悲鳴だ。
「俺だってまだ“あ〜ん”はしてもらったことが無いのにぃ〜! うぉ〜、離せぇ〜!」
突進しようとする俺を、周りにいたメイド達が必死に押さえている。
「我慢してくださいぃ〜」
「うぉ〜〜〜」
さすがの俺様も、メイド5人分の力で押さえ込まれたら動けなかったが、コレはコレでよかった…。だってムニョムニョプニョプニョだぜっ! やほ〜い!

――――――パクッ、モグモグ…

「う〜ん、美味しいの〜」
「当たり前だ〜! 不味いなんて言ったら、貴様の体の皮を剥いで、熱い湯にぶち込んでやる!」
「はっはっはっ、可笑しいの〜、どこからか負け犬の遠吠えが聞こえるわい。レデンちゃん、もう一杯もらえるかね?」
「全く…、役に立たないご主人様を持つと苦労するニャ〜。しょうがないご主人様ニャ〜」

――――――フ〜フ〜フ〜

「うぉ〜〜〜! 俺にもフ〜フ〜してくれぇ〜〜〜!」

コレの繰り返しが約5分ほど繰り返された…。



「今日は大満足だったわい」
食事を終えたクソジジィがレジの前に立っている。
「感想はいいからさっさと金払ってニャ」
レデンはレジのカウンターに立っている。
「おぉ、すまないすまない。いくらじゃ?」
「高級カツオ節の塊を3個ほどでい…」

――――――バッ

「すいませんオーナー。お金は結構ですから」
奥から出てきたのはサユリというメイドさん。今までどこにいたんだ?
「いやいや、こんなに萌えたのにお金を払わないとは、わしの燃え魂が許さんわい」
「そうですか…」
複雑な表情をするサユリというメイド。
「それよりもオーナー」
「ん?」
クソジジィとサユリの目が合う。

「体は…、どこも悪くありませんか?」
「体? このとおりピンピンじゃい」
確かに。今すぐ滅んでもいいような体つきなのに、顔は光り輝く光沢に包まれている。
「まぁ、ちょっと萌えすぎてオーバーヒート気味だわい」
「そうですか…」

ん? 今一瞬。サユリが何か悔しそうに顔を歪めたような…。

「まぁ、とにかくサユリちゃん。今日はツンデレ子猫メイド喫茶の開店の日に、無理やり貸し切りにしてくれてすまなかったわい」
「いえいえ、オーナーのお願いでしたら何なりと」

ん? 何だって?

「これなら何とかやって行けそうじゃ。これでわしは何の心配も無くなったわい」
「お褒めにあつかり光栄です」
「おい、話が違…」

――――――ジッ

「うっ」
俺が話そうとしたとたん、サユリが俺の目を睨んだ。
何だ? こいつ、何を隠していやがる?

「では、わしはそろそろ失礼するわい。おっと、これはほんの御礼だわい」
そういってレデンに差し出したものは、3枚の福沢諭吉のペラッペラバージョン。
「? 何ニャコレは?」
「ほぇ? 何じゃ、お札を見たこと無いのか」
「無いニャ〜」
「そうじゃの〜、コレがあれば高級カツオ節の塊が6個は買えるの〜」
「6個もッ!? そ…それはすごいニャ!!」
レデンは嬉しそうに、その紙切れを頭上に持ってクルクルと回転している。

「今日は冷たくしてすまなかったニャ〜。ごめんニャ〜」
「何を何を…。とっても暖かくしてもらったわい」
「これレシートニャ〜」
「うむ、記念に一応貰っておくわい」
レシートをレデンから受け取るクソジジィ。

「体に悪いから、もう来るんじゃニャいニャ〜」
「何の何の…、わしはまだまだ現役じゃ、…のう若造?」
「あ〜ん?」
クソジジィは初め俺に会った時のような嫌らしい顔はしておらず、どこか…、そう…、まるで俺のじぃちゃんみたいに…、自分の孫に接する時のように…、そんな温かみを帯びた目で俺を見ている。
「けっ、まぁ…、現役っていうことは認めてやるよっ」
それだけ言うと俺は後ろを向いてしまった。何故か…、クソジジィの顔が見れなくなってしまった。
「はっはっはっ…、若造。名前は何と言う?」
「新谷 和也だ」
「うむ、覚えておこう」
「クソジジィ…」
「ん?」
「あんたの名前は何と言うんだ?」

俺は後ろ向きにしゃべっている。

「わしか? わしの名前は、相良 龍之介(さがら りゅうのすけ)じゃ」
「相良 龍之介…?」
どこかで聞いたことがあるような…。
思い出せない。

「では、時間が無いのでこれで失礼するわい。サユリちゃん、頑張ってくれたまえ」
「かしこまりました、オーナー」
頭を下げるサユリ。

――――――ガチャッ…、バタン…

「行ってしまった…」
サユリが呟く。
「全く…。役に立たない奴らだ…」

「ん? 今何か言ったか?」
「ひゃうっ!?」
背後に俺がいたことに気が付かなかったのか?
「いっいえ! なんでもありません! そ…それよりも今日はお疲れ様でしたっ! あなた達を雇って正解でしたっ!」
「ほう」
何か怪しいな。
「オーナーに無事に適度なツンデレ子猫娘を見せることが出来、これでこのお店も無事に開店することが出来ます」
「適度…?」
「はい! とっても適度でした!」
「くっくっくっ…」
「何が可笑しいのですかっ?」

遂、笑いがこみ上げてしまう。

「いや、すまんすまん。適度なツンデレ子猫娘はウチのレデンには無理だったようだ」
「? どういう…」

――――――ぐわぁ!

外からクソジジィの悲鳴が聞こえてきた。
「今の悲鳴はッ!?」
サユリが外に飛び出した。

「オーナーッ!?」
「おぉ…、サユリちゃんではないか」
俺とレデンも外に出た。
「どうしたのですか?」
サユリが倒れていたクソジジィを抱き起こした。

「うむ…、まんまとしてやられたわい」
「何があったのですか?」
クソジジィは無言で何かをサユリに見せる。
「これは…」
クソジジィが手に握っていた物…、それは、さっきレデンが渡したシートだった。
「コレが一体どうしたのですか?」
「裏を見てみぃ」
「裏?」
サユリがレシートの裏を覗き込んだ。

「“元気な体でまた来てニャ”?」
「ギャフッ!」

――――――ぷるぷるぷる…

「オーナーッ!?」
クソジジィの体が小刻みに震えている。
「うむぅ…、まさかここまでわしにダメージを与えることが出来るやつがこの世におるとはのう…」

レシートの裏には、お客様の心を爆発させるような言葉を書いておく。
これぞ、裏メイド極意:終極

ふっ、見事に決まった。俺もレデンも嬉しくてガッツポーズだぜっ!

ゆっくりと立ち上がるクソジジィ。
「もうちょっとで萌え死してしまうところだったわい」
ふらふらと体が揺れている。

「ふっ、今度きやがったら、そのときは必ず萌え死させてやるぜっ!」
「やるぜっニャ!」
俺とレデンが人差し指をびしっとクソジジィに向けた。それには、クソジジィもちょっとたじたじだった。
だが…、ふぅ…、今日はコレで満足だぜっ。

――――――「今度…?」

「ん?」
何だ? サユリの様子がおかしい。
「どうしたのじゃ、サユリちゃん…?」
クソジジィも異変に気が付いたらしい。

――――――「今度じゃなくて…」

何だ? 何をする気だ?

――――――「………今じゃダメかしらねぇッ!?」

――――――バッ!

「うわぁぁぁ〜〜〜!」(俺様)
「ニャピィ〜〜〜〜!」(レデン)
「こ…これは〜〜〜!」(クソジジィ)

その時、俺たちはとんでもない出来事に巻き込まれていたのだと、ようやく気づいたのであった…。




(次回予告)

サユリの正体はっ?

まぁ、アレですよ…。 

分かるかな〜? 分っかんないかな〜?


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2006年03月08日

ツンデレ子猫娘の第6幕だよっ!

やっと論文の発表終わったぁぁあぁ〜! きゃほ〜い!
長かった…、1年間長かった…。でも進学しちゃったから、またあと2年間も通わないといけない…。今になってすごく後悔してますねっ! 他の皆みたいに就職しとけばよかった〜!
まぁ、この2年間でいっぱい小説を書けると思うんだけどね〜。

では、第6幕 スタート!



第6幕   死闘(前半)



――――――トクットクトク…

グラスに水が満たされていく。
「では、行ってくるニャッ!」
水が注がれたグラスをお盆に乗せ、レデンは意気揚々とクソジジィの所に向かおうとする。
「ちょっと待て、レデン」
「? どうしたニャ?」

俺はちょっと迷っていた。このままのレデンのメイド技では、あのクソジジィを萌え死することはできないのではないかと…、あのクソジジィは異常な萌え猛者だ、生半可なものは通用しない。そう…、俺の経験が言っている。だが…、コレを解除してしまっては一体何が起こるのか、俺にも予測不可能になってしまう…。

「ご主人様?」
レデンが考えに悶えている俺様の顔を覗き込んできた。
「レデン…」
「ニャ?」
くっ…、今回だけだ。

――――――「………裏メイド技の使用を許可する………」

その場にいたメイドさん達の表情が「ハッ」とか「ビクゥッ」って感じになった。
「ご主人様…」
レデンが手で持っているお盆がカタカタと震えている。そして俺は、この判断をした自分が許せず、この悔しさを紛らわさせるために拳を思いっきり握ったため、血が手からポタポタと滴り落ちていた。
「了解ニャ…」
レデンの頬には冷や汗が流れていた。すまないレデンよ。こうでもしなければ…、ヤツを倒すことはできん! 俺はお前を信じているぞ! お前ならできるッ!!

そうしてレデンは、激戦の最前線へと向かって行った。

「ご主人様、お水をお持ち致しましたニャッ」
元気のいいレデンの声が店内に響いた。
「ふむ、ありがと…ッ?」
ここでお水をテーブルに置く際、お客さんに自分の胸の谷間が見えるようにする。裏メイドの極意:初極
よし、まず初めの軽いジャブはいい感じだぞ。レデンにはほとんど胸は無いが、あのクソジジィは反応したな…。ちっ…、あのクソジジィ…、ロリコンの属性も持っていやがるとは…。

「って何で御礼なんて言っているのニャッ!? べ…別にあなたのためにお水を持って来てあげた訳じゃないんだからニャッ! し…仕事だからっ、しょうがなくニャァァァ〜!」
「す…すまない…」
よし、ここでツンデレキャラのスイッチが入ったな。このレデンの態度には、流石にあのクソジジィもタジタジだな。

「そ…それじゃあ早く注文するニャッ、まだ決まらないニャッ!?」
「うっ、すまない。まだ決めておらんわい…」
よし、この焦らしもいい感じだぞ。
「全く、しょうがないご主人様ニャ…、じゃあ注文が決まったら呼んでニャ。すぐに駆けつけてあげるニャ」
「うっ、うぅ…、申し訳ない…ハァハァ…」
よっしゃ〜! 絶妙なタイミングでデレがきたぞ!
「では、失礼しますニャ」
「うむ…ぅッ!?」
お客さんの席から離れる際、軽くジャンプ気味にUターンし、スカートがヒラリと舞い上がるようにする。裏メイドの極意:次極

ここで綺麗に右ストレートが入ったな。男は誰もが、パンチラという誘惑には勝てないのさ…。くっくっくっ…、おいクソジジィ…。言っておくがココからが本番だぞ。ココから先は俺も何が起きるか予測は不可能だ。だがしかし…、俺が育て上げたレデンが貴様を萌え死させるという事実だけは限りなく100%に近いがなッ!

――――――ガシャンッ

「ニャッ!?」
「えっ?」

おぉっとう…、言っているそばからアクシデントだぜっ! レデンが回転した際にレデンのしっぽがグラスにぶつかってしまい、グラスが倒れてしまったじゃないかっ! しかも、こぼれた水がクソジジィの下半身の急所にかかってしまったぜ! いやっほ〜い!
 
「も…申し訳ございませんニャ、ご主人様ぁ!」
レデンはこの状況をどうすればいいか、ただオロオロしている。しかし…、う〜む…、ドジなメイドさんというものも、なかなかいいな。 

「いや、この程度の濡れは何も問題ないわ。気にするな」
「にゃぁ〜…」
落ち込むレデン。しかし良く考えてみると、これはもしやレデンの作戦なのか?
「ご主人様…」
「うむ、どうした?」
レデンの手には白いタオルが。

「拭かせてもらいますニャっ!」
決意に満ちたレデンの声が店内に響いた後、タオルを握り締めたレデンの手が、クソジジィの魔の巣窟に触れようとしていた。
「い…いやっ! 自分で拭くから気にしなくてよいわい!」
クソジジィは迫り来るレデンの手から自分の聖域を必死で守ろうとしている。
「何を言っているのニャッ! ご主人様に御奉仕するのがメイドの最上の喜びニャッ! 邪魔するニャ〜!」
クソジジィはこのレデンの強気の態度に一時ひるんだが、
「じゃあドライヤーで乾かしてくれい! それなら何も問題ないわい!」
「ドライヤー…、了解ニャッ! 今すぐ持ってまいりますニャッ!」

――――――ヒュンッ…、ヒュンッ

「持ってきたニャ!」
「はやっ…、じゃあそれで乾かしてくれい」
「了解ニャッ!」

――――――ブォォォォォ…

暖かい熱風が濡れた場所に当たり、クソジジィは何とも言えない心地良い顔をしている。ふっ、これぞ裏メイド技外伝:ご主人様の体も心も温めます だ!

「は…くしゅんッニャッ」

――――――カポッ

「ノガァァァ〜!」
おぉっ、レデンがくしゃみしたその反動で、レデンが持っていたドライヤーがクソジジィの股間にジャストミートしたぜっ!
「あぁっ、ごめんなさいニャッ…、でもこっちの方が早く乾くニャッ! ウリャリャ〜」

――――――グリグリ…

「ノォォォォ〜! こんな…こんな馬鹿なぁ…!」
クソジジィは両手で頭を抱え込み、悶絶している。ちっ、お…俺もされたいぜ。くっそ〜! だからイヤだったんだよっ。

「乾いたニャ」
クソジジィからドライヤーが離れていく。
「うむ、ご苦労だった」
心なしか、クソジジィの顔色は先ほどよりはキラキラと光沢を放っているようだ。
「注文決まったわい。この“アツアツメイドスープ”をもらえるかな?」
「了解ニャッ!」

そして第一回戦を終え、俺の元に戻ってくるレデンの表情は、何かを成し遂げたようにイキイキとしていた…。



(次回予告)

裏メイドの極意:終極 が炸裂します。

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