国民が刑事裁判に参加する裁判員制度は、施行から1年を迎えた。

 読売新聞が裁判員・補充裁判員経験者252人から回答を得たアンケートでは、評議で示された過去の事件の量刑データや守秘義務の範囲などを巡って悩んだ裁判員たちの姿が浮かび上がっており、こうした市民の疑問にどう対応するかも2年目以降の課題となりそうだ。

 ◆「相場」頼み 

 「量刑を決める時に最初は意見が分かれたが、最終的に裁判長が、過去の量刑データに合わせるような方向に持って行った。言いくるめられたかな、と思った」。アンケートに答えた千葉県内の裁判員経験者の女性は、評議をそう振り返る。

 裁判員裁判の評議では、最高裁が作成した「量刑検索システム」で類似事件の量刑一覧を見ることができる。アンケートでは、量刑データをどの程度参考にしたか尋ね、この女性は「まあまあ参考にした」と答えたが、データ重視の評議への戸惑いを隠さなかった。

 アンケート全体では「大いに参考にした」「まあまあ参考にした」が合わせて77%を占め、裁判経験のない市民が量刑の「相場」を頼りにすることを示している。ただ、19%は「全く参考にしなかった」「あまり参考にしなかった」と答え、自由回答では「似ていても同じではない事件のデータを参考にすれば、市民参加の意味がない」(福岡県、男性)といった意見も寄せられた。

 あるベテラン裁判官は、「議論の土台にできる点で量刑データの意義は大きいが、裁判員がデータに引きずられないよう、裁判長が『事件の中身は一件一件異なり、データはあくまで参考資料に過ぎない』ということを説明しなければならない」と話す。

 ◆発言に慎重 

 「判決後に体験や感想を周囲に話した」という人が94%に達したが、話した人のうち、守秘義務について「非常に気をつかった」という回答が38%、「多少は気になった」も38%に上り、「気にならなかった」の18%を大きく上回った。

 また、守秘義務の範囲については全体の46%が「話してはいけないことの範囲が分かりにくい」としていて、守秘義務の範囲を十分理解できないまま、言葉を選んで話している人が多いことがうかがえる。

 裁判員法は、評議で出た意見の内容や多数決の結果などを外部に漏らした場合、「6月以下の懲役か50万円以下の罰金」を科すと定めており、重い罰則があることで裁判員経験者が過度に発言に慎重になる懸念も指摘されている。アンケートではこの罰則についても尋ね、「ちょうどよい」が51%と最も多かったが、「重すぎる」が25%、「必要ない」も17%に上った。

 白取祐司・北海道大教授(刑事訴訟法)は、「評議の経緯に関する情報は、後に裁判員制度を検証するためにも必要。罰則は、発言者が特定できるような形で他人の意見を公表するような悪質なケースに限るべきで、今後、法改正も含めて検討するべきではないか」と話している。

<データ誤消去>別の証拠も判読不能 福島地裁郡山支部(毎日新聞)
「出ると言ったことない」=政倫審への対応で小沢氏(時事通信)
裁判員裁判、通訳人の誤訳やはり頻発 外国人被告に「悪い印象」(産経新聞)
<詐欺容疑>アリコ流出情報を悪用 警視庁、男女逮捕へ(毎日新聞)
SAPPHIRE、Radeon HD 5550グラフィックスカード2製品を発売