首相の鳩山由紀夫さんが先日の衆院予算委員会で四字熟語を取り違えて話題になった。また、前首相の麻生太郎さんは漢字の読み間違いを連発して随分と批判された。麻生さんの場合、カネの問題と比べればマシで、批判はちょっと過剰だったような気もする。何しろ、漢字は途方もなく奥が深い「無限の文字」なのだから。

 誕生した場所が中国ということは間違いないが、いつ、誰が作ったかは正確には分からない。日本に伝来した時期も、紀元前、3、4世紀など諸説ある。一番の謎は総数だ。中国の代表的な字典で字体の規範とされる康煕(こうき)字典には、約5万字収録されているが、これで確定しているわけではない。8万語以上の字典もあり、異体字、俗字まで含めると何がなんだか分からない。20万語超説もある。新しい漢字も作ることができる。読み方も一つの字に何通りもあり、時代とともに変化していくものもある…と、いくら書き連ねてもきりがない。

 そんな「無限」の漢字をすべて完璧(かんぺき)に読み書きすることは、どんな人も当然、不可能だ。テレビのクイズ番組で漢字の問題が出題されるが、完璧にできる人がいないから漢字クイズも成立する。もっとも前首相が間違えたのは、基本的なものばかりで、クイズでいえば初級レベルだったが…。

 平成22年は漢字の世界にとって大きな節目の年となる。予定通りだと、秋に漢字使用の目安とされる新しい常用漢字表が世に出る。試案では、現在の1945字から使用頻度が減ったと思われる5字を削除、逆に頻度が高くなった196字を追加して合計2136字になる。前回の見直しが昭和56年だから、実に29年ぶりの改定だ。

 漢字を取り巻く状況で、前回と劇的に変わったことは、改定の大きな理由でもある情報機器の発達だ。56年当時、生活する上で漢字は「書く」ものだったが、現在では、「キーボードで入力する」ことが日常となった。書けなくても読めれば、パソコンや携帯電話で難しい字を簡単に使うことができる。今回の改定でも読めることが重要視され、「鬱(うつ)」や「蔑(べつ)」も追加されそうだ。

 しかし、それで常用漢字が完成するわけではない。何十年後かにまた改定しなくてはいけなくなる。それは時代を映す漢字の宿命だといえる。その時、漢字を取り巻く状況はどうなっているのか。常用漢字がもっと話題になるような余裕のある時代であればよいのだが。(校閲部長 深山茂)

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