【近ごろ都に流行るもの】

 商業地の衰退が危ぶまれるなか、にぎわい創出策として素朴な“青空市”が注目されている。

 東京・吉祥寺。3月に閉店した伊勢丹吉祥店跡を訪ねると、閉鎖された百貨店前に「青空マーケット」ののぼり。アクセサリーや小物を販売する露店が並び、通行人が品物をのぞき込んでいた。

 蝶モチーフの古風なネックレスにひかれ手に取ると、露店の女性が「ロンドンで買い付けてきたもの。半額にしますよ」とあっさり値引き。「いいんですか!?」「気に入ってもらえてうれしいので」

 別の雑貨店では無数の小熊のバッジに目がとまる。1980年開催モスクワ五輪の「ミーシャ」だ。ソ連の軍事侵攻に抗議し西側諸国がボイコット。日本でも幻のキャラとなっていたが、「純粋にかわいいので政治とは無関係に今も人気」(店主)なんだとか。

 予測不能の品ぞろえと価格設定に、買い物好きの血が騒ぐ。この青空市は長年フリーマーケットなどを運営してきた戸田昌征さんが「伊勢丹撤退後の空洞化を食い止めたい」と企画。伊勢丹が核テナントだった吉祥寺エフエフビルに持ち込んだ。

 週がわりで着物&アンティーク、古本、古着などの業者が10店ほど並んでいる。アンティークショップ「sweep」の木坂貞子さんは「なじみの伊勢丹が突然なくなりさみしい。街のために何かしたいと参加したが、新たなお客さんがつくなど私も恩恵を受けています」。

 吉祥寺エフエフ商業協同組合の近藤泰博事務局長は「4月は寒い日が多かったにもかかわらず、伊勢丹通常営業時と変わらぬ人出が維持できた。営業を続ける飲食テナントの集客・売り上げも落ちていない」と青空市を評価する。

 「路地とサブカルの街という吉祥寺の魅力を強めることができる手段」と、街ぐるみの青空市構想を語るのは吉祥寺活性化協議会の本田拓夫会長だ。「脅威に感じる既存店もあるだろうが、街全体の集客アップは個々の店が発展するチャンスになる」。この夏には、街の青空空間の可能性を探る催し「NEXT-吉祥寺アートピクニック」で盛り上げるという。

 伊勢丹跡地の反対側、吉祥寺駅南側の丸井の前にも、色鮮やかな野菜の露店が並んでいた。

 昨年、農水省の支援でスタートしたマルシェ・ジャポン・プロジェクト「ハピ・マルシェ」だ。農家など地方の生産者が都会で直売できる場を設けることで、農業者の所得向上や都市コミュニティーの活性化を目指す試みという。

 現在、全国8都市20カ所で定期開催。そのうち半数が東京で開かれている。六本木や青山などの一等地で、流通にのらない規格外の野菜が安く買えたり、珍しい特産品に出合えたりという目新しさが評判を呼び、主催者によると30~40店規模の出店で、1日5000~1万人もの集客力を誇っている。

 「活気のある野外だとサイフのひもが緩む」とは30代主婦。事務局広報の川久保篤さんは「自治体や商店街、ビル、デベロッパーなどから開催の引き合いが多数寄せられています」。

 評判も上々のようだが、事業仕分けの対象となり昨年度は6億1000万円あった補助金は今年度は0円になった。「出店料値上で対応。土地代無料の場所で優先開催するなど、採算を取れる仕組みを模索している」と川久保さん。

 本当の農業の自立や街の活性化は補助金頼みではなく、収益を自ら生みだしてこそ実現するもの。今こそ青空市の真価が試されているのか。(重松明子、写真も)

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