2017年03月13日

『そして父になる』映画の記憶は小津へとつながる



これは劇場に行って、素晴らしく感動して、感想を書きはじめたのだけれど、しっかり書こうと思った分、筆が止まってほったらかしにされてしまった記事です。後半はさっき書き足したから、けっこうグダグダにまとめちゃってますけど。

是枝裕和監督の新作で、主演は福山雅治。最初、是枝監督がそんなにメジャーな人を起用することが意外な感じがしたんですよね。それに福山雅治はそんなに演技が上手いわけでもないので。しかし、心配はご無用、福山雅治の使い方も非常に巧みで、これはかなり質の高い映画に仕上がってました。僕がこの年に劇場で観た中では一番面白かったかも。

この作品は実際にかつて起こった病院での新生児の取り違え事件を参考に作られた作品のようです。映画の最初の方で福山雅治と尾野真千子の夫婦が病院に呼ばれて、6年間育ててきた息子が本当は自分たちの子どもではなかったということを告げられます。この非常に衝撃的な事実を知らされるときの彼らがとても淡々と話を聞いているんですね。このあたりが上手い。観ている我々も、6年間育てた自分の子どもが別の人の子どもだったと聞かされたということが、どのような体験なのかについて、そんなに簡単に実感を持って想像することなど出来ないわけです。そして、この映画が進行していくにつれて、それがいかに重大なことであるかが、徐々に登場人物たちにも、観る側にも実感されていく。

子どもを取り違えられた二組の夫婦は非常に対照的に描かれています。福山雅治はエリート社員で社会的に成功して自分の能力を示すことに重きを置いた生活を送っています。高級な「ホテルのような」マンションに住み、一人息子にはピアノを習わせて、私立の小学校に通わせようとしている。しかし、自分は仕事に追われていてあまり家には帰れずに、子どもと一緒に遊びに行くことなど殆どない。そして、息子には自分の息子としてふさわしいような選ばれた人間としての才能を発揮してほしいと感じているが、実際の息子が優しく競争心がないために、物足りなく感じている。尾野真千子はそんな福山雅治の言うことに従って、セレブな奥さんをやりながらも、どこかで彼のことを冷たい、人を見下すようなところがある人だとも感じている。

もう一方のリリー・フランキーと真木よう子の夫婦はまったく違っていて、リリー・フランキーは貧乏な田舎の電気屋で近所の住民たちに親切に対応はするものの、働く意欲が低く、客が来ないと家でずっと子どもと遊んでいるような人であり、生計を立てるために真木よう子はパートにいかなければならない。そして、貧乏なんだけれど子だくさんで、三人の子どもがいて、家の中はいつも大騒ぎで、リリー・フランキーはいつも子どもたちと一緒に騒いでいて、まるで四人目の子どものようである。また、社会的な地位は低く収入も少ないけれど、電気屋だけあって、子どもがおもちゃを壊してしまったら、すぐにそれを直してくれたり、休日には色々なところに連れて行ってくれる。また、真木よう子が気風がよくって江戸っ子っぽい感じなんだけど、頼りない夫を尻に敷いて、うるさい子どもたちを叱り飛ばしながらも、強い愛情で彼らを見守っているし、実は散々文句を言いながらも、そんな子どもみたいだけれど誠実な夫を愛しているんです。

初めに福山雅治はリリー・フランキーの家族と自分の家族の生活水準の差に驚き、彼らを見下すんですね。一方で、リリー・フランキーの方は福山が子どもに対して冷たいと感じるんです。子どもと接する時間をもっと増やしてあげた方がいいとリリー・フランキーに言われた帰りの車の中で福山は「何で電気屋にそんなこと言われなきゃいけないんだ」といら立ちを隠せない。そんな福山に奥さんは違和感を覚えたりするんです。一方で福山雅治は向こうは貧乏で子どもが沢山いるのだから、子どもを二人とも引き取ってしまおう、それなりの金を積めば、向こうも納得するのではないかと考えます。

このように福山は自分が何かを得るということしか考えられない。だから、当然、子どもに対してもそのように扱うわけです。しかし、それだけでは上手くいかない部分がどんどん出てくる。こんなはずではないと思っても、むしろ、しょぼい田舎の電気屋のおじさんのリリー・フランキーの方が子どもや奥さんから愛されていたりするんです。ここで生じる葛藤、このあたりの、ナルシスティックな人の孤独の表現がさすがなんですねぇ。子どものとり違いの話なんですが、実のところはそうした社会問題というよりも、他者と本当の意味で関わりを持ってこなかった、何でも出来てしまってきた男の孤独がこの映画のテーマになっているのだと思います。最後の息子とのやり取りは泣けますねぇ。

そして、映画の記憶のつながりとして指摘したいのが、ここで福山とその息子のやりとりの中で、小津安二郎の『父ありき』が引用されているところでしょう。川のシーンですねぇ。ここで是枝さんは日常生活の中の些細な場面を非常に繊細に描き出す、日本映画の一つの伝統を引き受けていることを明らかにしているんだと思ったりなんかしましたねぇ。


i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)是枝裕和 

2017年03月12日

『マザー』楳図かずおのボーダーシャツは気分で太さが変わるのだ



この映画も感想を書いてなかったですね。どうも劇場に行った映画の方が感想を書き忘れていることが多いな。楳図かずおが監督して自らを主人公にしてホラー仕立てで作り上げた作品です。楳図かずお役は、なんと片岡愛之助。なんかこれはビックリ。ビジュアル的にはぜんぜん似てないから。ただ、楳図先生の中の自己イメージは愛之助らしい(笑)

映画自体としては、やっぱりちょっと、作りはしっかりとした映画監督が撮ったものと比べると、ところどころで荒が目立ったりしないことはないです。なので、映画としてすごいお勧めかというと、そうも言えない。ただ、仮にあなたが楳図かずお好きであるのなら、そりゃ、面白くてしょうがない映画に違いないので見た方がいいでしょうよ〜と。

だって、愛之助が赤白ボーダーのTシャツを着て楳図かずおの役をやってて、それを演出しているのが本人だというだけで、これはもうとんでもなく面白い話なわけで。さらに、その赤白ボーダーが、その場面場面での楳図先生の気持ちの揺らぎによって太さが変わるんだから、もうどうなっちゃってんだか!!

この作品自体は普通にB級ホラーとして楽しんだらいい映画なのだけれど、ただこれを観ると、楳図先生について理解する上では、その母親との関係が非常に重要になってくるということを再確認させられましたね。はい、楳図先生の母親が実際にどのような人であったのかについて、とても関心がくすぐられてきますねぇ。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)その他の邦画 

2017年03月11日

リッツvsルヴァン食べ比べ、そして、沢口靖子vs長谷川博己のゴジラ対決!

職場のビルに入ってる売店で、なんかお菓子買おうかなぁってウロウロとしてたら、なんか妙にリッツみたいな感じのビスケットを見つけたわけです。その名も「ルヴァン」。ん、でも、妙にリッツっぽいぞ。会社を見ると、ヤマザキビスケットと書いてある。えっ、山崎じゃんと。

そう、少し前に、ヤマザキナビスコが、ナビスコの商品であるリッツやオレオを販売できなくなるっていうニュースが流れましたよねぇ。ヤマザキナビスコっていうのが、アメリカのナビスコと山崎が共同で作った子会社で、どういう事情なのかはよく分からないけれど、ナビスコ側がヤマザキナビスコとの契約を切ってしまった。えぇっ、リッツやオレオが食べられなくなるのか! と、日本中がショックを受けたと思うんだけども。

ただ、今度はリッツやオレオはモンデリーズ・ジャパンっていうところが引き継いで生産をしてます。さらに言うと、ずっとリッツパーティーと言えば沢口靖子だったんだけれど、会社が変わったから当たり前だけれど下ろされちゃって、長谷川博己がCMでリッツパーティーをしてるし!! ボーノとか言ってるし!!



しかし、どうやらリッツを取り上げられたヤマザキナビスコはヤマザキビスケットと名前を変えて、ビスケットの形を四角形にしてリッツとは少しだけ違くして、リッツのようなビスケット「ルヴァン」を発売し始めたというわけのようです。そ、そしてなんと、ヤマザキビスケットは新しいCMキャラクターに沢口靖子を使っている!!おぉ、義理堅い!! リッツと言えば沢口靖子、チップスターと言えば木村佳乃!!



さてさて、それじゃ、モンデリーズ社が作ってる新しい、正当にナビスコと契約をしている新リッツと、これまでリッツを作って来たヤマザキが作ったルヴァン、どっちが美味しいの? あるいはどっちが本当にリッツなの? という疑問がわいてくるので、実際に両方勝手試してみました。

リッツ1


うむ、見た目はこんな感じ。職場のデスクで何やってんだって話だけど。ちなみに、僕は昔からリッツのチーズサンドをこよなく愛する人間だったので、今回もどちらもチーズサンドで試しています。新リッツは今はインドネシアで作ってるみたいですねぇ。ヤマザキの方は国産です。中を開けると、

リッツ2


ま、こんな感じで入ってます。さらに開けると、

リッツ3


おぉ、形が違う。丸いのがリッツ、四角いのがルヴァン。ただ、色がルヴァンの方が濃くって、昔ながらのリッツに近いのはルヴァンなのかなぁって気がするかな。

さて、肝心の味の方だけれど、いや〜、これはもう、全然、ルヴァンの方が昔ながらのリッツの味に近いです。新リッツは、ちょっとパサパサとしていて、塩見も薄いんですね。なので、全体に味がしまってない。ルヴァンの方がガツンとしっかりと整った味がする。

ま、そんなこと言いましたけど、両方並べて食べ比べたから気が付きましたが、僕は相当に味覚には自信がないので新リッツだけ出されたら、前と全然変わんないじゃんとかっていって、美味しい美味しいってモグモグ食っちゃうかもしれないですけどねぇ(^_^;)

で、そうそう、これだけは言っておきたいと思ったんだった。旧リッツの沢口靖子に対して、なぜ新リッツは長谷川博己で対抗したのかって話ですよ。よく考えてみてくださいよ、沢口靖子と言えば? 

沢口靖子と言えば、リッツ、科捜研の女、かぐや姫、痛快!ロックンロール通り… あと、ゴジラ?

でででで〜んっ



そう、1984年のゴジラのヒロインを演じてましたよね。そして、長谷川博己と言えば? ん、ん、シンゴジラ?



ま、まさか、沢口靖子のゴジラに対抗しているから、新リッツはシンゴジラの長谷川博己なのか!?

ってことはですよ、ってことは、皆さん、これからは、新リッツのことは、「シンリッツ」と表記しましょう。

シンリッツ!!


i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)近況 

2017年03月10日

『僕と彼女とオーソン・ウェルズ』オーソン・ウェルズ特集その13



こちらは、オーソン・ウェルズのマーキュリー劇団に所属したことがある高校生が後に書いた原作を映画化した作品。俳優を夢見る少し傲慢だけれど希望を胸に抱いた青年が、ある圧倒的な才能のある人物と出会い、感化されて、やがて失望し、そして少しだけ人生を知って大人になって、また別の人生を進もうと決めるという、青春の一時の夢のような体験を描いた映画です。監督はリチャード・リンクレイター。彼は調べてみたら『スクール・オブ・ロック』を撮った人なんだね。あと、『ビフォア・サンライズ』とかも。

ただ、この映画を今の僕が正当に評価するのはすごく難しいと思うんですよねぇ。なぜかというと、もう完全に、オーソン・ウェルズへの関心から入ってるから。オーソン・ウェルズに扮しているのは、クリスチャン・マッケイ。彼のこの映画での演技を評価されたようなのだけれど、確かに劇団の独裁的なカリスマ演出家を好演しているのだけれど、この時期のオーソンのことが知りたいという関心から入った僕としては全然違う。何がって、この時期のオーソン・ウェルズはまだ21,2歳だったんですよ。これって、相当に驚異的なことですよね。まだ21,2歳の、そしていかにも生意気そうなふてぶてしいけれど童顔の若者が、誰よりも自分が偉大だという顔をして劇団の主宰をしていたんです。この驚くべき事実を抜きにしたら、何か別のものになってしまう。クリスチャン・マッケイはおそらく三十代なのかなぁ。劇団の主催者としては若いかもしれないけれど、圧倒的な若さではないし、十分経験も積んで貫禄がある感じがしてしまう。

そこで、何だかなぁと思いながら観てたから、十分楽しめたとはいいがたいかなぁ。最初からさわやかな青春物を見るつもりで見てたら違ったかもしれないけどねぇ。

i_cinema at 22:47|PermalinkComments(0)TrackBack(0)オーソン・ウェルズ 

2017年03月07日

『NIGHT HEAD 劇場版』小島聖と奥菜恵の姉妹!



この原稿、大分前に書きかけていたのをずっとほったらかしてしまっていたので、完成させてアップします。

さて、TV版の感想を書いてから、大分時間が空いてしまいましたけれど、和製スキャナーズとも言える「NIGHT HEAD」の劇場版の感想を書きたいと思います。これ、なかなかよく出来てるんですよね。面白いです。ただ、TV版とは雰囲気が微妙に違うんだな。どんなふうに違うかっていうと、映画版の方が全然洗練されてる。それは演出面にも言えるし、役者たちにも言えます。TV版のトヨエツと武田真治の方が、これまでのTV俳優さんたちとは明らかに異質な雰囲気が漂ってたんですよ。素人くさいっていったらそれまでかもしれないけれど、何かこの人たちは今のTV界の中で明らかに異物だ! というような感じが。けれど、TVが話題となり、ビデオやノベライズが売れて、2年後に映画化となるまでに、トヨエツも武田真治もそこら中で引っ張りダコの人気俳優になって、髪型も顔つきや表情なんかもカッコよく美しくなったんだけれど、芸能人的なお洒落な感じになってしまったような感じはする。演出も素人っぽい生々しさがTV版の売りだったけれど、映画版の方ではそれがかなり洗練されたって感じだなぁ。でも、それはそれでカッコいいからいいんだけどさ。

さて、物語はTV版の謎のラストのその後になります。ただ、TV版を見ていない人たちでも、霧原直人と直也っていう兄弟がいて、超能力があったために、子どもの頃から森の中の超能力研究所に閉じ込められていて、それが最近世間に出てきたってこと、超能力を使って世の中を支配しようと考えるアークという秘密組織があること、人間の持っている潜在的な超能力が今後どんどん覚醒していき社会のあり方そのものが変わっていくという「変革」と呼ばれることが、この先起きるかもしれないし、もし起きたときに霧原兄弟は重要な役割を担うことになるかもしれないという予言があること、と、そのくらいを把握しておけば大体大丈夫です。うん、かりにTV版を観てたところで、わけが分からないところはわけが分からないから同じです。

で、この作品は今観ると、話自体が面白いのだけれど、もう一つ、キャストが豪華ですねぇ。まず、冒頭で超能力で殺されるさえないサラリーマンを演じているのは松尾スズキ!! そして、超能力に苦しむ女子高生に小島聖!その妹に奥菜恵! うわ〜、奥菜恵と小島聖の姉妹なんて、今から考えると、何て言うか、あの、その、雰囲気エロ過ぎる姉妹だ...その姉妹を巡って秘密結社と霧原兄弟が攻防をするわけです。見せ場としては幻想的な破壊シーンでしょうかねぇ。辺り一面が血塗れになってしまうところとか。ただ、結局、ラストはそんなにすっきりするわけでもなく、もう一歩もやもやっとした感じではあります。でも、あんまり、一番悪いやつが登場して、そいつをぶっ飛ばして終わりとかにしちゃうと、あまりにもヒーローもの過ぎるから、このくらいがいいのかな。

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2017年03月06日

『冬の花火編~妹の手料理~』まさかの変態兄貴!



今や現代の日本のトップを走る熊切和嘉監督の自主制作時代の作品です。いや〜、何だコリャって話ですねぇ。仲のいい兄貴と妹がいるんですが、実は兄貴は妹のことが好きで、いつもヌード写真に妹の顔を貼り付けて、マスターベーションをしたりしてるんですよね。もうこのあたりで、うわ〜という感じですが。もちろん、妹はそんなことは全く知らずに無邪気に兄貴になついているわけですが、あるとき、妹が兄のアパートに彼氏を連れてきて、みんなで鍋を食べるんですが、我慢できなくなった兄貴は妹の彼氏をいきなりビール瓶で殴ってしまう。もう、みんなわけが分からないです。そして、そのことで妹と喧嘩になった兄貴は勢いで妹のこと好きだと告白し、抱きつこうとして拒絶され、全裸で夜中の町を走っていってしまいます。うわ〜、何だそりゃ。ま、そういう話です。インパクトはあります。

で、この作品のインパクトはそれだけにとどまらず、熊切監督の『海炭叙景』っていう感動的な映画があるじゃないですか。あれに寄り添い合うように生きる兄妹の話が出てきたじゃないですか。この『冬の花火』を見た後に、『海炭叙景』の兄妹を想い出すと、何だかまた別の感慨があったりなかったり…


i_cinema at 23:31|PermalinkComments(0)TrackBack(0)熊切和嘉 

2017年03月05日

千眼美子「全部、言っちゃうね。」を読んでみる



先月は、ASKAの本を読んだり、この清水富美加の本を読んだり、金正男のインタビュー本を読み返したり、なんかそんなものばっかり読んでたなぁ。っていうか、普通に考えたら、村上春樹の方を読んだ方がいいんじゃないか? という気がしてきまする。

さてさて、出家から出版の期間が短すぎる!と世に驚きを与えた、清水富美加ちゃんの本です。ただ、読んでみると、医者の立ち合いのもとでインタビューをしたものを編集したと書かれていて、内容の中には出家騒動のことも書かれているんで、本当にすんごい急いで何時間かインタビューしてそれを編集した人が徹夜で必死でまとめて、超短期間で出したって感じなんですね。しかし、やっぱり口述を人が編集したものって、他人の手が入ってるから、騒動の渦中にいる人の生々しく混乱した思考っていうのはあんまり感じられなくて、何かちょっと整然としたところがある本になってます。その点は編集を通さずに自分でブログにアップしてしまったASKAさんの最初のやつの言葉の発する生々しいインパクトとは比べ物にならない。もちろん、言っちゃいけないことは言ってないような気がするし、そのあたりも考えている気がする。

っていうか、この本をもと不倫を暴き出したとしたら、むしろ日本の週刊誌のリサーチ能力の高さが恐ろしいなぁ。ただ出家のために好きな人をあきらめたってことしか書いてないじゃん。

あと、これはわざとなのか、彼女自身がいまそれほど込み入った話が出来ない状態だからなのか分からないですが、教義の詳しい話っていうのがほとんど出てこないんですよね。これを読んでも、幸福の科学の人たちとの実際の対人関係的な面で救われたという話が中心で、どんなどんな教義を持っているどんな宗教なのかという話は見えてこない。そこは急いで出した出版物だから触れられなかったのかなぁ。

とまぁ、相変わらず、こういう本にはすぐに手を出してしまうのでした。そう、彼女「バイプレイーズ」にゲストで出てたねぇ。特撮物の主人公役で田口トモロヲ扮するゲルゲと戦ってたよねぇ。

i_cinema at 22:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0)近況 

2017年03月04日

納豆ペヤングを食べてみる

もうこれ以上、

ペヤングに振り回される生活は嫌だと、

毎日のように思っていても、

変な味の新作が出るとまた買ってしまうのです。

これは私のせいなのでしょうか?

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いや〜、今度は納豆ですよ。でも、納豆パスタは普通に定番化してきてますし、基本的に麺類とパスタって合うんじゃないの?って気はしますよね。少なくともチョコレートよりは。しかし、納豆って、生だからそれをどうやってカップ麺に入れるんだ?という疑問は残る。ふたを開けてみると、

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そう、乾燥された納豆です。これなら平気ですね。空けると軽く納豆の匂いがします。さてさて、さっそく作ってみると、

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うん、見た目は写真だとあんまり分かんないですね。納豆も茶色いし。ソースは普通の焼きそばのソースです。ただ、やっぱり納豆の匂いはするし、乾燥納豆も焼きそばと混ぜると糸をひきはじめます。ねばねば〜

で、肝心の味はというと、う〜ん、これがわりと普通なんですよね。チョコレートのようにすんごい不味くはないけれど、わかめのようにすんごい上手くもない。いや、別に食品としては普通にこれでいいのだけれど、微妙にガッカリ。すごい不味いかすごい上手いかの二択を期待してしまっている自分がいたことに気づいたよ・・・



i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)近況 

2017年03月03日

『審判』オーソン・ウェルズ特集その12



こちらはあのフランツ・カフカの「審判」をウェルズが映画化した作品。「審判」の映画化はソダーバーグとかもやってたよなぁ。主演は『サイコ』のアンソニー・パーキンス。脇にはジャンヌ・モローやらロミー・シュナイダーやら、そしてウェルズ自身やらが出演しています。

これ、なかなか面白かった。カフカの作品って、映画化も沢山あるけれども、基本的に暗くて難解なので、なかなかに見るのがしんどかったりしますよね。ただ、ウェルズは、基本的には視覚的な衝撃で人を楽しませたい人だと思うんですよ。世界の不条理を、、、人間の存在を、、、云々の先にまず目くるめく映像の幻想に観客を迷わせたい人で。そのウェルズのある種の「エンターテイメント性」がカフカの難解さ、とっつきづらさと上手くブレンドされて、なかなかに魅力的な作品に仕上がってる。やっぱり、映像はすごいですよねぇ。これは60年代なのでウェルズ作品の中では晩年に近い作品ですが、これを見ると、ウェルズが晩年に監督作品をどんどん撮れなくなっていったことが、残念でならないなぁ。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)オーソン・ウェルズ 

2017年03月02日

『マクベス』オーソン・ウェルズ特集その11



こちらはウェルズがお得意とするシェイクスピアの映画化。「マクベス」については、ウェルズは20才くらいの頃にオール黒人キャストで舞台化して話題をさらったことがあるんですよね。なので、もうかなりの持ちネタなわけです。今回は本人が主演をしています。

ところで、「マクベス」の映画化というと、どうしても日本人の僕としては黒沢明の『蜘蛛巣城』を思い出してしまいますよね。あの『蜘蛛巣城』はかなりのアクション映画だったような気がするけれども、こちらのウェルズの『マクベス』はアクションシーンよりもむしろ、ウェルズ扮するマクベスがずっと悩んでいるというのが印象的な作品になってます。まぁ、ウェルズの映画は大抵が面白いけれど、この『マクベス』はちょっと芝居が舞台っぽすぎて、『蜘蛛巣城』のが面白かったなぁという気がしたかなぁ。もちろん、狙っているところが全然違うんだろうけれどさ。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)オーソン・ウェルズ 

2017年03月01日

『オーソン・ウェルズのフォルスタッフ』オーソン・ウェルズ特集その10



フォルスタッフって知ってます? 僕は知らなかったのですが、シェイクスピアの『ヘンリー四世』などに登場する太って強欲で好色だけれど憎めない老騎士のことのようです。そして、このフォルスタッフはシェイクスピアの登場人物の中でもシャイロックと並んでことのほか人気が高いということらしくて。ウェルズはもともとは舞台をやっていた人でシェイクスピアが大好きで、『マクベス』や『オセロ』を映画化しているのですが、その彼が1966年に撮ったのがフォルスタッフを中心に『ヘンリー四世』を再構成したこの作品です。シェイクスピア好きの人にはひょっとしたら、うならせるような企画なのかもしれないなぁ、その辺の教養に乏しいために十分に楽しめたとは言えないかもしれないけれど。ただ、注目したいのが、これはウェルズの長編のしっかりした劇場作品の中では最後のものだけれど、国王ではなく、道化の老人に焦点をあてたということ。『市民ケーン』を撮った彼からすれば、道化の老人ではなく、王となった老人を描いてもいいはずだけれど、道化を取り上げた。それと、演出面では、やっぱり、戦闘シーンの迫力はかなりとんでもない。黒澤明に匹敵するほどの迫力のある戦いの場面になっている。さらに、ラストのフォルスタッフがこれまで仲良くしていた王子に冷たくされる場面のセットやカメラの構図などの不気味さも一見の価値がありますね。全体として名作かどうかは分からないものの、ウェルズの才能は至るところに示されている作品です。

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2017年02月28日

『オーソン・ウェルズINストレンジャー』オーソン・ウェルズ特集その9



ウェルズの第三作で、戦後初めての作品。しかし、46年の作品でさっそくナチスの残党の話を取り上げている。このウェルズのスピードの早さに驚かされます。あれ、ん? ってことは、『市民ケーン』は『偉大なるアンバーソン家の人々』って、第二次大戦中の作品ってことか!? うわ〜、戦争中でも国内ではこんな映画が撮れているんだぁ。いやいや、これは日本はアメリカに勝てんわけだねぇ。

さて、それで『ストレンジャー』。ナチスの話が出てくるものの、基本的にはサスペンス映画です。元ナチスであるという自分の素性を偽ってアメリカに逃げてきた男とそれを追いかける警察官、そして男に騙されていた女、みたいな感じ。とてもまとまりの良いサスペンス映画になっていて、さらにラストの時計台の使い方が面白い。ひょっとしたら、『ルパン三世 カリオストロの城』とかもこれの影響を受けているのかな? こうした内容の本筋というよりも仕掛けを使ってみているものを楽しませるっていうのは、後の『上海から来た女』のラストもそうだけれど、オーソン・ウェルズらしさであり、彼の舞台演出の経験ともつながっているんだろうなぁ。

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2017年02月27日

『偉大なるアンバーソン家の人々』オーソン・ウェルズ特集その8



これはウェルズが『市民ケーン』の次に監督した作品なんですけれど、観るとかなり意外な印象なんですね。『市民ケーン』では時間軸の交錯からしてそうですし、随分映画的に大胆で珍しい撮り方をたくさんしてましたし、テーマとしても大富豪の末路みたいな感じで派手な話だった。しかし、こちらは原作者がどれほど有名な人なのかは知らないけれど、雰囲気としては文芸作品なんですね。演出もかなりオーソドックス。恐らくはオーソドックスな演出である一族の盛衰をじっくり見せようとしたような作品なんです。あんなに新しいことをやった後で、今度はこういう映画を作るのか! と、成功した後でそういう全然逆のことをしてみるということ自体がウェルズ的と考えていいのかなぁ。ただ、もとは131分だったらしいのだけれど、長すぎると言って制作会社ともめて(そんなんばっかだけれど)、88分にカットをされてしまっています。なので、今見てみると、ちょっと一族の盛衰の話にしては駆け足の印象は否めないかなぁ。ただ、繁栄したものの末路という点では、前作の『市民ケーン』を受け継いでいるのですね。

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2017年02月26日

『アーカディン/秘密調査報告書』オーソン・ウェルズ特集その7



こちらは日本では劇場未公開の1955年のウェルズの監督作品。日本では『秘められた過去』というタイトルでビデオが出ています。ある青年が大富豪から自分の過去を探るように雇われるんですよね。記憶喪失だと言われて。そして、その青年がどんどんその富豪のことを追っていくんだけれど、その富豪自体が信じられるかどうか分からないし、何でそんなことをさせるのかも分からない。しかし、その過去にはやばいものがありそう。ビデオの邦題の通り、大富豪の「秘められた過去」をめぐる謎めいた話で、展開が全く読めない感じで、僕はなかなか楽しめましたねぇ。未公開だったのは、ウェルズ以外に有名な人が出てなくて、製作がヨーロッパだったからかなぁ(フランス・スペイン・スイス)。

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2017年02月25日

『黒い罠』オーソン・ウェルズ特集その6



こちらはわりと有名なオーソン・ウェルズの監督作。1958年のフィルム・ノアールっぽい作品ですね。冒頭の長回しがヌーベルバーグの人たちに気に入られてしばしば言及されたりしています。確かに、そうじっくり見てみると、セットやカメラの使い方が、当時の技術を考えると縦横無人に感じられます。相当に細かな練習を積まないとこうは出来ないよなぁ。あと、一切のセットの広さはどのくらいだったのだろう?

そして、この作品は他のウェルズ作品と比べると、キャストが豪華だっていうのがありますね。チャールトン・ヘストン、ジャネット・リー、マレーネ・ディートリッヒ。豪華スターがそろっています。もともとはウェルズは監督の予定ではなく俳優だけのはずだったのですが、主演のチャールトン・ヘストンがウェルズに監督をやらせたらどうかと言ってなったということで、ウェルズの企画ではなかったから豪華ってことなのでしょう。ただ、ウェルズはそんなエピソードばっかりだけれど、編集をめぐって制作会社ともめて、最初の劇場公開はかなり切り刻まれてしまったものらしい。ただ、今DVDが出ているのは、その後にウェルズのもとの編集をできるだけ再現したものになってます。

冒頭の長回し、ウェルズ扮する汚職警官が殺人をするところ、盗聴器の反響、ラストのマレーネ・ディートリッヒのセリフなど、なかなか見どころの多い作品。ただ、制作会社は最初難解だと言って編集しちゃったみたいだけれど、前半部分は誰がどうつながってるのか分かりにくいっちゃ分かりにくいかなぁ。


i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)オーソン・ウェルズ 

2017年02月24日

『テイキング・オブ・デボラ・ローガン』POV+悪魔憑き+認知症



古くは『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』から来ている手持ちカメラのPOV撮影を用いたホラー映画。

まぁ、この手の映画は制作費が抑えられるというところがあってか、山ほど作られてきましたので、あとはどこに真新しさを見せるかってことですよね。この作品では認知症だと思ってドキュメンタリーを撮ろうと思ってたら、思ったよりもそのおばあちゃん(デボラ・ホーガン)の行動が不気味だぞとなってきて、実は悪魔に乗り移られてた、みたいな話になってきます。まぁ、言わば、組合せ(POV+悪魔憑き+老人)が勝負みたいな作品で、何かものすごく真新しいというほどでもないのだけれど、それはそれで楽しめて、恐かったりもする作品でした。もともとは認知症にかかった老人がこれまでだったら絶対にしないような行動をとったときに感じる、まるで別人になってしまったことへの、ある種の不気味さとか恐ろしさを表しているんだろうな。

このおばあちゃんの名前がねぇ、デボラ・ホーガンって、そういう人がいたら申し訳ないけれど、何かいわくありげな雰囲気が漂ってるよな。にしても、上のパッケージの写真恐いねえ。


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2017年02月23日

「700番 第二巻/第三巻」これ読んで実際のところ何が本当なのか分かんなくなってきたよ



今度は買っちゃいましたよ、ASKAさんの本を。
いや〜、何だかだんだん、分からなくなってきました。

前に急にネット上で公開された700番一巻と呼ばれるASKAさんの手記は、出たときにさっそく探して読んだのですが、率直な感想としては、ASKAさん自体にはそれほど悪い印象を持たなかったというか、ものごとにとても真剣に取り組む人で、自分なりの美意識や信念を強く持っている人で、手記についても、全力で人生をかけて書いているという気がしたのです。どんな内容であれ、才能のある一人の人間が全力で人生をかけて書いた文章には読む価値があるでしょう。ただ、それでもその多くのところは妄想なのだろうという印象を持ちました。ただ、本人に悪い印象を持たなかったのは、薬物の使用があり、また拘束された状態に長期間置かれて、精神的に追い詰められたために、そうした思考になってしまうということもあるだろうと思ったからです。もちろん、すべて嘘だとは思わない。本当の部分もあるだろうけれども、それでも妄想もかなり含まれているだろうと。

でも、今回の二巻、三巻を読んだとき、ちょっと待てよ、ひょっとしたら、僕が間違っていたかもしれない、僕が一巻を読んで思ったよりも、ずっと多くのことが事実なのかもしれないという気がしてきました。

もちろん、この二巻、三巻にしても100%事実かどうかというと、それは分からない。そして、人間のパーソナリティは表裏なので、想像力が豊かな人はその反面で猜疑的になりやすいし、信念の強い人は思い込みが激しいとも言える。ASKAさんはちょうど想像力が豊かで信念の強い人だと思うんです。ただ、ある事実に基づいて、こうではないかと考えて、それが外れているということは普通の人でも頻繁にあることで、それは妄想とは言わない。妄想はもともとの根拠のある事実がまったくないところで勝手に発展してしまっている空想のことで。この本を読んでいると、妄想だと言われているハッキングについて、すべてがASKAさんの考えている通りではなかったとしても、実際に起こった事実に基づいた推測であって、妄想とは言えないし、あたっているところも多いんじゃないか?と。

パソコンやスマホが簡単に乗っ取れるという話など、恐ろしいけれど、本当なんでしょうねぇ。週刊誌の記事などで絶対に漏れるはずのないLINEの会話が公開されていたりするのはハッキングじゃないかと書いてあったのですが、確かにLINEの会話なんて他に漏れるはずがないのに、それがはっきりと公開されてしまっている。それって、記事自体が嘘なのか身内の裏切りなのか、そうじゃなかったらハッキング以外考えられないですよねぇ。

そう、お茶問題ですね。あの尿検査にお茶入れた問題についても、解説していました。簡単に説明すると、もともと前の逮捕の際のことで警察に不信感があったために、そして理由もはっきりしないのに勝手に尿検査を求められて理不尽だと感じたというのがあって、検査に尿を入れたみたいなんです。奥さんが持ってきたお茶を、スポイトに入れてポケットに入れてトイレに持ち込んで。そしたら覚せい剤の陽性が出てしまった。お茶から覚せい剤がでるはずがないだろうと。これについてはASKAさんもずっと悩んでいて、ひょっとしたら、その家にあったスポイトが覚せい剤をやっていたとき使っていたものなんじゃないかって思って、それを警察に伝えたということでした。実際、スポイトが発見されてそこから覚せい剤が出たらしくて。

なるほどねぇ、これまでは何でお茶を入れて陽性になったのか、さらに陽性なのに釈放なのかと、すべてが謎でしたが、その説明だと、とても奇妙な話ですが、筋は通るわけです。ただ、だとしたら、やっぱり、ASKAさんはスポイトでお茶を入れて警察を騙そうとしたら、墓穴を掘ってしまったということなので、決してほめられたことではないのですけれどね。でも、少なくとも現在も薬を続けているということではないのかもしれない。

う〜ん、文章自体も、一巻の方が薬物を手に入れた経過や愛人のことなどがあったために、多少、読んでいてはっきり語っていないと思われるところが多かった気がするのですが、今回は何も配慮して隠そうとする必要がないということなのか、すごくすっきりした文章なんですね。そう、妄想的な人の文章ではない。

そっかぁ、検挙されたときには、もう絶対に再犯してただろうって思ったもんなぁ。何か、安易に芸能マスコミを信じてはいけないと、あらためて反省をいたしました。そのときも、やってることを前提で記事を書いちゃったしな。

実際ねぇ、ASKAさんが本当に再犯してたのかどうかとか、妄想の症状があるかどうかというのは、今後しっかりとした音楽活動を安定して続けていけるかどうかが証明をしてくれるのではないでしょうか。だから、それを見極めるまでは、もうよけいなことは言わないのです。

そう、本については内容は前よりもとてもクリアだけれども、インパクトの強さで言ったら、ネットに出ていた1巻の方がすごかったかな。どうやら一巻も書籍になるみたいですねぇ。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)読書(小説以外) | 近況

2017年02月22日

『容疑者、ホアキン・フェニックス』は「山田孝之の東京都北区赤羽」の元ネタなのかねぇ?



「山田孝之の東京都北区赤羽」の話をしたじゃないですか。あれって、話を聞いたときに、多分元ネタはこの『容疑者、ホアキン・フェニックス』なんだろうなぁと思ったわけです。ただ、実際のこの映画の方が、予告編やら見た人の感想やらでどんなのかは知ってはいたけれども、僕自身は観たことがなくて。で、「山田孝之〜」を観たのをきっかけに、元ネタと思われるこちらの方も観てみました。

しかし、「山田〜」と比べても、こちらがやたらに大がかりですね。ホアキン・フェニックスという若手演技派の俳優が突然俳優を引退するといい、さらにはラップミュージシャンになるって言うわけです。それを、彼は実際に世の中に言ったんですよね。このフェイクドキュメンタリーは、たんにドキュメンタリーの中だけではなく、実際に一定期間世の中全体を騙そうとして企画されたんです。そして、ラップミュージシャンを目指すホアキンの日々が描かれるわけなのだけれど、何かもう、彼は相当ダメダメなんですよね。髭もじゃで腹は出てるし、娼婦は呼ぶし、スタッフは怒鳴り散らすし、ドラッグはやるし、呂律は回らないし、なんだか、こいついいのかって感じで。

監督はケーシー・アフレック。そう、ベン・アフレックの弟で、ホアキンと同じように俳優一家で若い頃からやっている人なわけですよね。調べてみたら、ガス・ヴァン・サントの『誘う女』でケーシーとホアキンは共演してるんだね。かなり長い付き合いなわけだ。

そうして嘘と現実の区別がつかないままに映画は進んで行って、最後はちょっと青春映画っぽくなります。やっぱりねぇ、映画だけあって、「山田〜」よりもはっきり分かりやすく毒が出ていて、さらに騙すスケールも大きいですね。それと比べると、「山田〜」の方は山下監督の持ち味があるために、こちらよりもユーモアが全体に漂っていて、それが世の中をバカにしつつも、それらの対象を愛しているという感じもして、救いになっているようにも思ったりするかなぁ。

ともあれ、このモキュメンタリーもおすすめです。



i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)その他のアメリカ映画 

2017年02月21日

『上海から来た女』オーソン・ウェルズ特集その5



『市民ケーン』の次に有名な、というか世界に影響を与えたウェルズの監督作はこの『上海から来た女』でしょうかねぇ。何と言っても、ラストの遊園地に紛れ込んで、鏡の部屋に入り込むシーンは、ブルース・リーの『燃えよドラゴン』を初めとして、日本のアニメや特撮なんかも含めるともう本当に数え切れないほど真似をされたとても特徴的なシーンになってます。しかし、これって物語の流れ上は、あそこで遊園地に行く必要性は何にもないんだねぇ。ただあのシーンが取りたかったってことだろうねぇ。前半はいかにもハードボイルドな雰囲気を漂わせた謎を秘めた展開で、考えてみるとオーソン・ウェルズもとても色んなジャンルの映画を撮る人だったんだなぁという気がしました。ただ、色んなジャンルの映画を撮るけれども、彼の作品の多くに共通しているのは、謎、そして偽りっていう感じでしょうか。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)オーソン・ウェルズ 

2017年02月20日

『オーソン・ウェルズのオセロ』オ―ソン・ウェルズ特集その4

オーソン・ウェルズがカンヌ映画祭でパルム・ドールを撮った作品ですね。カンヌで賞を取るくらいだからこのへんまではまだまだ監督として頑張っていたわけですよね。僕はシェイクスピアはあまり詳しくないので、実は「オセロ」はこのオーソン・ウェルズのやつでしか知らないのですが、やはり特徴的なのが後半の緊迫感が強くなっていくところの演出ですね。今見てもかなり斬新な感じの映像になっています。そして、話自体はシェイクスピアだから普通に面白い。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0)オーソン・ウェルズ