2018年05月10日

約一週間、iPhoneのない生活を送ってみる

先週の土曜日の午後にですね、iPhoneが壊れちゃったんですよ。全然電源が入らなくなっちゃって。で、まぁ、あれこれとしたわけですが、その過程で時代は変わったんだなぁと、当たり前のことながら実感したというような話。

月曜日に近所にiPhone修理って看板が出てるスマホや携帯の小物とかも売ってる小さな店に持っていったわけです。ただ、そこの受付をした恐らくはアルバイトの子がやたらに頼りない感じで今修理の担当のものがいないから分からないの一点張りで、大丈夫かなぁと思いつつ、修理出来る人が戻ってくる時間に行ってみて話を聞くと、要するに、中を開けて埃とか掃除をしてみたけれど動かないのでこちらでは修理できないという答えで。う〜む、どうやら街でやっているような小さなところは、割れたガラスを直したり、バッテリーを代えたりはしてくれるけれども、中の細かいところは直してくれないらしい。それじゃ、高いかもしれないけれど、もうちょっとちゃんとしたとこにいかないといけないと思って調べてみると、カメラのキタムラがなぜだかAppleと契約した正規の修理の代理店なんですね。

ってことで、月曜日の仕事帰りに横浜のカメラのキタムラに持っていったわけです。しかし、これがとんでもなく混んでるみたいで、整理券を取らないと当日受け付けはしてもらえない状態で。予約をすればいいのだけれど、予約も一週間先までかなりいっぱいな状態らしくて。

しかたなくこの日は諦めて返ってきて、一週間先になってしまうのだけれど、どうせ僕に急いで用事があるやつなんていないし、e-mailはパソコンで使うからいいやと、HPから一週間先の予約をしようとすると、まずはAppleIDを入れたりとかするんですが、そうするとiPhoneの方にコードが送られて、それを入力すると予約画面にうつれるようになっていて、おいおい、そのiPhoneが壊れてるから、修理を申し込もうとしてるのに、iPhoneに送って来るなよと。こりゃ、予約は無理だと思って考えたのが、横浜だから混んでるんじゃないの? ってことで、他に仕事帰りに寄れそうなところを調べると、京急蒲田にあるじゃないか。蒲田でも横浜と比べるとかなりマイナーだけれど、さらに京急蒲田なら、大して人もいないんだろうと。

そういうわけで、火曜日の仕事帰りには京急蒲田のカメラのキタムラに寄ってみることに。作戦は成功でこちらは数人待ちとかで当日にみてもらえそうということだったのですが、話を聞いてみると替えの機種を用意するのに4万円くらいになってしまうけれど、4万出して古い機種(iPhone5s)にするなら同じくらいかもっと安く新しいiPhoneが手に入りますよという答えが来て。ただ、ここでも、今の端末を基本的に「直す」っていうイメージの発想は出てこないんですよね。

そうしたやりとりをしていてはっと気がついたわけです。子どもの頃とか、たとえばカセットデッキとかが壊れたら、親父のところに持っていき、親父は工場で働いていたことがあるから、中身を空けて調べたりしてくれていたんです。もちろん直してくれるときもあったし、直らないときもあったけれど。どこまで電気が通ってるか調べたりとかしててさ。どうも僕にはそのイメージがあったんで、機械は中身を開けて調べて直せるものだっていう気がしていたのだけれど、そんな30年以上前のアナログな機械ならまだしも、現代のIT機器はもういったん壊れたらどこが故障しているかを調べてその部分だけ部品を変えたりするとかっていうような話じゃなくなっているんですね。ちょっと壊れてしまったら、そこだけ直してどうにかなるというような単純な作りではなく、もう一度動かなくなって、本当に初歩的なものではないと分ったら、あとは全部代えるってことで。なるほどなぁ、気に入ったものをボロボロになっても直しながら使うっていう時代ではなくなっていたのか・・・

ただ、カメラのキタムラはキャリアはソフトバンクだけで、僕はドコモだったので、キタムラの人にはお礼を言って、蒲田のドコモショップへ。すると、新しいiPhone召箸iPhone8とかを説明してくれたのだけれど、もっと安いのないのって顔をしたら、今の端末が壊れたときに同じ機種と交換してくれるというサービスがあって、それが8000円くらいと教えてくれて。なおかつ、溜めた覚えもないしどうやって溜まって来たのかよく分からないドコモポイントなるものがあるので、それを使うとその半額くらいになるみたいで。

じゃ、別に今のiPhone5sに不満があるわけでは全然ないから、その交換でお願いしますというと、どうもその手続きはドコモショップでは出来ないようで、電話を持ってきて渡してくれました。このやり取りも、そういうシステムだからって言われるとそうなのかって感じがするけれど、目の前にドコモショップの人がいて、それでその人とのやり取りで申し込めずに、その人が持ってきた電話でドコモの人に申し込むっていう妙なややこしい話だなぁと思わないこともない。

さて、そこで自分の生年月日を言ったりとかして身分確認をしたりして、端末を変えてもらう申し込みをしたわけなのですが、iPhone5sの在庫がもうないので、iPhoneSEでよろしいでしょうかと言われる。僕はiPhoneユーザーのくせに端末の機種に全然詳しくないので、それってどう違うんですか?と尋ねると、iPhoneSEの方が5Sの3年後に発売された新しい機種で、形はまったく同じなのですが、SEの方が重さが1グラム重くなりました、機能はまったく同じですと説明をされて。ん?3年後に発売された機能がまったく同じ機種なのに、何で重くなってるの? ダメじゃん。退化してんじゃん?と疑問を抱かざるを得なかったのだけれど、まぁ、おそらくは細かなスペックが上がっているところはあるのだろうけれど、どうせ僕に説明しても分かんねぇだろうと、電話口のお姉ちゃんが省略したのだろうと思い、その疑問はぐっと飲み込むことに。

機種交換をする場合には、送られてきた新しい機種の代わりに古い機種を送り返すらしいのですが、その前に古い機種のデータ消去をして下さいと。電源がまったくはいらないことを言うと、それなら新しい機種からデータ消去をして下さいと言って来たんですが、これが僕の頭が古いのか全然想像がつかなくて、何回もどういうことか聞いちゃいました。だって、僕の5Sは全然電源が入らないんですよ。その全然電源が入らない5Sのデータを他の端末から消去することが出来る? 電源が入っている状態だとしても、そんなことが出来ることは驚きなのに、電源が入ってないiPhoneを外から操作することが出来るのか!! 

それって、なかなかすごいっていうか、恐いことじゃないですか? あぁ、考えてみたら、前にASKAが電源を落としているPCやスマホでも乗っ取られることがあるって言ってたような気がするけれど、それって本当にあることなのかもしれないなぁとちょっと思ってしまいました。う〜む、ここでも世の中はやっぱりいつの間にかすごい進んでいる。電源切ったらオフラインなんて思っていられないのか。

で、まぁ、送られてくるまでに二日かかるみたいで、僕はおかげ6日間はスマホなしの生活をしているわけです。GW前じゃなくってよかった。GW中だったら友達との待ち合わせとかが難しくなっちゃうところだった。でも、案外、周囲と繋がらなくても平気な生活してるもので、特に困ったってことはないですし、本当に大事な用事だったら、Lineや携帯のメールに返事がなければPCのメールの方に連絡が来ると思うので、かまわないかなと思っているのですが、実際のところ、スマホがない生活をしてみると、人間って案外、暇な時間があるんだなというか、余白の時間があるんだなってことを改めて感じます。あれ、僕、今何もしてないや、みたいな。

そう、最近見た『ラブレス』という映画がとても面白かったんですが、その映画では登場人物たちが、何かあるとすぐにスマホをいじるんですよね。そして、僕らの生活はまさにその通りで、何かあると、電車を待っていると、夜布団に入る前に、トイレで座ったら、ことあるごとに何となくスマホをチェックする。それが露骨に描かれるとものすごく奇妙で醜悪にみえるわけなのですが、自分でスマホを持ってしまうと、その奇妙さに気づけなくなってしまう。

iPhoneが壊れたのをきっかけに約一週間スマホなしの生活を送ってみると、スマホのためにこういう人生の余白がみんな吸い取られてるんだなぁと思うと、そして人間はそうした人生のふとした余白に色々と考えたり思いついたりするんじゃないかと思うと、何だか逆にスマホのためにアホにされているような気がしちゃってきます。

だから、代替えの機種が来ても、あんまりiPhoneばっかりみないようにしようっと、と今は思えるんですけれど、実際にまた手元にiPhoneが来てしまうと、やっぱりいつの間にかに大した用もないのにすぐにスマホをチェックしちゃうような生活に戻っちゃうのかなぁ。

何はともあれ、iPhoneが壊れたせいで、色々な気づきがありましたという話でした。バイバイ、僕のiPhone5s! これまでありがとう!

i_cinema at 23:27|PermalinkComments(0) 近況 

2018年05月03日

ベースを変えるべきなんだよ。と聞いてTOKIOの話かと思ったら大谷くんの話だった…

今日はホントにどうでもいい話なんだけどさぁ、YAHOOニュースで、アメリカの評論家が「ベースを変えるべきだ」と言っているというニュースのタイトルを見て、勝手にTOKIOの話だと思ってしまって、そうだよなぁ、ライヴを続けるんだったらベースを変える必要があるよなぁと勝手に一人合点して、クリックしてみたら、大谷くんが足をくじいちゃったからホームベースをもっと低くしろって話だった・・・ ま、どうせならどっちのベースも変えてしまえってことで。ちゃんちゃん。

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2018年04月30日

『ジオストーム』これは決して文句を言っているわけじゃないんですよ。



えぇと、何か軽く悪口のようになってしまいそうな気がするのだけれど、最初に言っておくと、僕はこの映画はなかなか楽しんだんですよ。まぁ、テレビでやってたりしたら、もう一回観てもいいかなってくらいに。以下は、その上でのコメントってことでご理解ください。

全体としては、ディザスター物+宇宙物+ホワイトハウスの陰謀物って感じ。何よりも売りは津波やら竜巻やら噴火やらの災害シーンの迫力ってことになるかと思います。3.11後の日本人の我々からすると、ド迫力のディザスター映画を素直に観るのが難しくなってきているってところは確かにありますけれど、そこは目をつぶりましょう。そこは置いておくと、やはり目を見張るものがある映像です。

さて、その上で、この映画、もちろんたとえ話で実際そうしたわけじゃないかも知れませんが、ここ何十年かの大ヒットした映画を要素分析して、その中で特に共通した項目を抜き出して、それらをすべて盛り込んで作りました、とでもいうような、盛り沢山加減なんです。たとえば、仕事に明け暮れていた父とそれを淋しく思っていた娘が心を通わし始めたり、ずっと葛藤的だった兄弟が実は心の中ではお互いに誰よりも信頼しあっていることが分かったり、主人公は才能がありながらも周囲から理解されない不遇な扱いを受けていたり、最後は英雄的な自己犠牲精神を見せたり、でもやっぱりハッピーエンドだったり。まだまだありますよ、主人公は科学者だけれど、最近のハリウッドのヒット作はみんなそうだから、とりあえず腕っ節は強くて殴りあうシーンがあったり、気象映画だからそういうシーンは要らないはずだけれど、やっぱりみんな大好きだから、とりあえず一応派手なカーチェイスはさせてみたり、無敵の女ヒーローみたいなのを時代は求めている感じだからそういうの登場させてみたり、でもやっぱり脇役に演技派を揃えないと全体がしまらないから、エド・ハリスとアンディ・ガルシアを呼んできてみたり。ねぇ、何か流行った映画ってこんなんだったじゃないのっていうのを何でもくっつけた作りになってる。ただ、それが見ていてそこまで無理やりでもなく、それなりにまとまりがあって、割とうまく言っているので、すんなり見れて結局楽しめてしまう。

いや、いいんですよ、それで。面白いから。いいんだけど、根がひねている僕としては、何だか、いいんだろうかと思ってしまうような気もする。う〜む。

あ、あと、ひとつだけ、これは明確に不満。だって、竜巻が起こったり、津波が起こったり、あんだけすさまじい気象異変を起こしたのだから、それが最後にボタンひとつで、いっきに、まるでテレビ消すくらいの感じで、しゅんっておさまってしまうっていうのが、おかしくないか? 一度あがった気温はそんなに簡単に下がらないし、一度津波が起きたらそんなに簡単におさまらないだろ!! そのへん、科学的な検証がルーズな感じがするところが、不満っちゃ不満かなぁ。

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2018年04月29日

『AIR/エアー』ダリルが出てる映画です。まぁ、それだけかなぁ。



「ウォーキング・デッド」のノーマン・リーダスが出演している、というだけではそこまで観ようとは思わなかったですが、この作品はそれだけではなくて、スタッフにも「ウォーキング・デッド」のロバート・カークマンが関わっているらしいと聞き、それなら面白いかもと観てみることに。

物語は大気汚染によって生きられなくなった地球でスキルの高い人々を人口冬眠状態で保存している地下施設を管理している二人の人物を中心に進んでいきます。起きている人間が二人だけしかいない状態で、この二人の心理劇が交わされていくという展開なわけなのですが、う〜ん、ちょっとこれは微妙だったなぁ。もう単純に二人の会話による込み入った関係を描く作品だとしたら(それはそれで二人の演技が上手ければ面白い映画になる。たとえばピーター・フォークとカサヴェテスの『マイキー&ニッキー』のような)、それにしては会話が弱いし、演技もそんなでもない。じゃ、SF的な設定の面白さで見せるのかと考えると、そこまで斬新な話でもない。なおかつ映像もそんなにすごいわけではないというか、どちらかというと低予算SF。むむむ、見どころが分からない。

まぁ、こういう作品もありますね、というくらいにしておきましょう。



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2018年04月28日

『それでも夜は明ける』ブラット・ピットがいい役過ぎる気はする。



スティーヴ・マックイーン監督が『シェイム』の後で撮った作品で、彼は本作でアカデミー作品賞を見事に受賞しています。いやいや、これは確かになかなか骨太な作品ですね。物語はまだアメリカに奴隷制度があった頃、自由黒人であったはずの主人公が、奴隷商人に誘拐されて、奴隷として売られてしまいます。そして、想像を絶するような悲惨な体験をしながらも主人公は生き続け、ついに12年後に自由を手にするのです。これは実在の人物の手記をもとに作られた作品とのことでした。

実際のところ、現在の私たちにとって、奴隷制度がいかにひどいものであったのかということは、想像することも難しいように思います。この作品は自由白人が奴隷になるという立場の大きな変化を描くことで、観ている私たちも現代から奴隷制度のあった時代へと移っていけるというところがあるような気がしました。そのため最初から奴隷だったものが主人公となるよりも主人公の心情に感情移入しやすくなっている。すごくよく出来ているわけです。

そして、マイケル・ファスビンダーは相変わらず、すごい演技をみせてくれます。製作に加わったブラット・ピットが、何だかやったらと理解のある白人として最後に登場するのは、ちょっと何だかいい人の役を取り過ぎなんじゃないかという気がしないでもないけれど・・・ベネディクト・カンバーバッチのいい人だけれど、弱腰だったりする白人の役はなかなかよかった。

いずれにせよ、見応えのある力強い作品になっています。



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2018年04月25日

鉄人衣笠祥雄よ、永遠なれ!

衣笠祥雄2


何だかもう、最近は訃報についての話ばっかりしているような気がしてきます。自分が子どもの頃のヒーローだった人が次々に亡くなっていくと、自分も年を取ったなぁと、感傷的な気持ちになってきます。

小学校の頃から広島ファンだった僕にとっては衣笠祥雄は本当にヒーローだったなぁ。ただ僕がプロ野球を観るようになったときには、現役時代の終わりを迎えようとしていた頃で、打ちまくっているというよりも、耐え忍びながら毎試合出場し続けている凄い人というイメージでした。

だけど、今回亡くなったのをきっかけに生涯成績を調べてみると、2215試合連続出場だけではなくて、とんでもなく沢山のホームランやヒットを打っている人なんですねぇ。2543安打!(←これは歴代5位で例えば落合や長嶋よりもすごい) 504本塁打!(←これも歴代7位で長嶋よりすごい)、山本浩二が隣りにいたのでその凄さが目立たなかったってところがあったのかもしれません。

晩年の写真は頭をスキンヘッドにしていましたが、ジャズのジャイアントか、プロボクシング界の重鎮かみたいなド迫力の風貌だったですねぇ。でも、笑うと笑顔はとても愛嬌があって。上に貼った写真も、いい顔してるんだよなぁ、本当に。

下には数年前にアマゾンで見つけて、何てカッコいい!! って買ってしまった衣笠のレジェンドTシャツの写真を添付します。

今日は衣笠を追悼するためにこのTシャツで職場に行って、帰りは衣笠が大好きだったというステーキを食べました。そう、衣笠はステーキが大好きで、すし屋でさえステーキを食べていたらしいです。衣笠クラスのレジェンドになると、何でか全然理由は分からないですが、すし屋でもステーキが出てくるらしい。達川が言ってたからホントの話で。もう、すごいとしか言いようがないですね(^_^;) ってか、すし喰えばいいのに(笑)

衣笠Tシャツ


ただ、ごめんなさい、カープの帽子を横において、さらに野球ボールを置いたら、いい感じかなと思ったのですが、残念ながら衣笠のサインボールは持っていなかったので、上に載っているのは盟友にしてライバルの山本浩二のサインボールだったりして…


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2018年04月22日

『ゲットアウト』コメディアンが撮った映画なのか・・・



これは正直、そこまで期待していなかったんですが、予想以上のあたりでしたねぇ。何とも不気味な気味が悪い映画ですねぇ。私はよく知らなかったですが、監督のジョーダン・ピールという人はコメディアンみたいですね。そのコメディアンの人がホラー映画を撮ったのでみんな驚いた、というような。この映画を観る限りでは、コメディアンだから、と言っていいのか分からないんですが、人間関係の微妙な食い違いみたいなところに鋭い人というのは間違いないですよね。

話は黒人の主人公が白人の彼女の実家に行くというところから始まります。主人公は白人の家族に自分が受け入れてもらえるのか不安に感じるのですが、彼女はうちの家族はレイシストではなくオバマ支持者だから大丈夫だと言うのです。そして、実際に家に行くと、どことなく変なんですよね。黒人の彼氏など認めないと言ったりとか、そういう直接的な非難はないのですけれど、どことなく変な空気が漂っている。それだけではなくて、そこにいる黒人の使用人たちもどことなく変な気がして、主人公は不気味に思うんです。でも、何が変なのかは分からない。

このどことなく変だという雰囲気がよく出来ているんですよね。これだというものがないから声高に主張も出来ないけれども、何かこの場はおかしいという、とても気持ちの悪い感覚が。後半はその家族の秘密は明らかになって、それはそれでかなりおぞましい展開になっていって、そちらでも楽しめるんですが、やっぱり見どころは前半の真綿で首を絞めるような気持ちの悪さでしょうか。おすすめです。



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2018年04月21日

伊藤潤二「人間失格」トラウマの観点からみた太宰治



「富江」やら「うずまき」やらで有名なホラー漫画家の伊藤潤二が、太宰治の「人間失格」をマンガ化している!! いや〜、LINEで伊藤潤二スタンプを使ったりしている僕としてはそんな話聞いたら読まざるをえない。

これ、かなりの傑作ですよ。最初は、まぁ、年を取ってきて、落ち着いてちょっと文学っぽいことをやってみようかなと思ったくらいの感じかなと、作品も単なる小説のマンガ化という域をでるものではないかなと思ったりしていたのですが、すいません、全然違いました。これはなかなか踏み込んだ太宰治論でしたねぇ。とても興味深い。

太宰治については、あ、こう書くと、「人間失格」の葉蔵と太宰自身が混ざってしまっていますが、そうしてそこを混ぜてしまうところが太宰治の戦略みたいなところもあるのだと思いますが、あえてここでは混ざった感じのまま進めさせてもらうと、太宰治自身についての病跡学的な研究では、境界性パーソナリティ障害とか、自己愛パーソナリティ障害など様々な意見が出たりしていますよね。単にうつや不安の問題ではなく、パーソナリティについて言及する先生方が多い。

ただ、たとえば、それでは境界性パーソナリティ障害だろうとしたとき、だとしたら、生まれたときからそうであったわけではなくて、生育歴上での本人に大きな影響を与えた体験がなければ説明がつかなくなるわけです。しかし、どうも一般的に伝わっている自伝的な事実だけでは特に太宰治が不安的な環境で養育をされたと主張できるほどでもないような気もする。急に普通の家に、兄弟はいたって普通の中で太宰治みたいのが生まれてくるのは不思議な感じです。

さて、この伊藤潤二の「人間失格」では、そこで幼少期のトラウマがはっきりと、しかも非常に恐ろしく描写されているんですね。僕は「人間失格」は何度も読んだはずなのですが、さらりと読み飛ばしていた、下女だけでなく下男にも犯されていたという箇所ですよね。これ、なぜか昔の田舎だからそんなこともあるかなと読み飛ばしてしまっていたのですが、普通に考えてみると、まだ幼い少年が粗野な中年男に犯されていたと考えると、かなり深刻なトラウマ的体験と言えるでしょう。伊藤潤二は、そこを非常に生々しく恐ろしい描写ではっきりと強調して描いています。私がまずこのマンガではっとさせられたのはこの箇所を見逃さずに、さらには大きな意味付けを与えたことでした。

そこから、少しずつこのマンガは原作に沿いながらも独自の場面も挿入されるようになっていきます。そして、その独自の場面は、たとえば「わざわざ」といった竹一の死や、心中する場面での相手の女の様子など、いずれも非常にトラウマ的な体験なのです。そうして見ていくと、「人間失格」がトラウマを受けた人間の不幸として読み取れるようになってくる。さらには、太宰治をトラウマの観点から読み直すといったことを、読者にさせるようになっている。

さすが、ホラー漫画家ですねぇ。まだ完結していないので、このへんにしておきますが、三巻がかなり待ち遠しい状況です!

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) マンガ 

2018年04月17日

『死霊のえじき:Bloodline』ここまで主人公に腹が立つゾンビ映画も少ない



あれ、ジョージ・A・ロメロのゾンビ三部作の最終作の『死霊のえじき』(原題はDAY OF THE DEAD)と同じタイトルがついた作品がまた出てるぞ、と。

この『死霊のえじき』はその後が不遇な作品で、ロメロがノータッチで作られた続編『デイ・オブ・ザ・デッド2』、さらにこれまたロメロがノータッチのリメイク作品『デイ・オブ・ザ・デッド』が作られていて、いずれも酷い作品で、おいおい、仮にもリメイクとか続編とか主張するんだったら、もう少しオリジナルをよく観て、それを踏まえて作れよ、ってか、お前ら、オリジナルを観たことないんじゃないか? と突っ込みたくなるような作品で。

今度のはどんなのか、もう不安でしかたない。

そして、不安的中でまた酷い。

一応、これリブート作品と言っているのだけれど、まぁ、軍の施設が出てくるのと、主人公が女なのと、人間にちょっとだけ近いゾンビが出てくるの、このくらい抑えれば、『死霊のえじき』なんじゃね? というくらいのいい加減さで、少しもロメロゾンビの深遠が分かっていない! あぁ、もう腹が立つ!

しかし、この映画のすごさはですね、もう、まったく主人公の女に共感できないんです。ってか、この主人公の女に対して、見てるものはめちゃくちゃ腹が立ってくるんです。うわ〜、こいつみたいな女が職場にいたら最悪だなとか、お前、自分がどんだけ周りに迷惑をかけたか全然分かってないだろとか、そのくせなぜそんなに自分だけが正しいような顔ができるんだとか。さらに、これ作ってる側が、この女が観客から見て腹が立つということに気がついていないんじゃないかと感じさせるところが、実はこの映画の中で一番怖いところだったりするのではないかと・・・

まぁ、ゾンビというよりも、どれだけ主人公の女がむかつくかを確認するためにというのなら観るべき作品かもしれない・・・

そうなんですよ、『死霊のえじき』はDVDの特典で邦訳とかもついているのだけれど、最初にロメロが書いた脚本はもっとかなり派手なもので、それをお金がないからと言って、縮小させたのが、実際に完成されたやつなんです。個人的には現在の『死霊のえじき』の陰鬱で世紀末的な雰囲気が大好きだけれど、派手な最初の脚本版のも観てみたかったなぁと思ったり。なので、次にもし誰かが『死霊のえじき』に手をつけるとしたら、ロメロの最初の脚本を忠実に映像化するっていうのをやってほしいなぁ。



i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) ゾンビ | ジョージ・A・ロメロ

2018年04月16日

『ジャスティス・リーグ』バットマンのおっさんくささがわりといい味だしてる。



「アベンジャーズ」と区別つかないよぉ、と嘆いている方に説明。「アベンジャーズ」はマーベルコミックのヒーローたちが大集結した作品で、「ジャスティス・リーグ」の方はDCコミックスのヒーローが大集結した作品。う〜ん、言わば、少年ジャンプのヒーローが集結した作品と、少年マガジンのヒーローが集結した作品、みたいな違い?

どうもコミックスの方だと「ジャスティス・リーグ」の方が先らしいし、何と言ってもアメリカのヒーローはスーパーマンとバットマンだから、こっちの方がすごいはずだけれど、まぁ、映画の方は「アベンジャーズ」の戦略がヒットしたから、その真似をしているという感じがしなくもないし、それでもちょっと後れを取っている感じもある。

ただ、個人的に言えば、一応この「ジャスティス・リーグ」シリーズの前作の『バットマンvsスーパーマン』は特に前半部分はとてもよくできた作品だったと思うんですよね。それこそ現代における「正義」とは何なのかを問うているような。詳しくはそっちのことについて書いた記事を読んでもらいたいのだけれど。

ただ、今回のやつはそうした政治的な問題として読めるような現代性が全くなくなって、おかげで大人が観てスリルを感じるようなところはなく、敵はもうただ敵ってだけの人で、何だかちょっと拍子抜けになってしまった感じはする。

そう、「アベンジャーズ」との中身的な大きな違いは、パワーの不均衡だよな。こちらはバットマンが圧倒的に弱い。だって、普通の人だからね。そしてスーパーマンが圧倒的に強すぎる。このスーパーマンが強すぎるところが、作品を作るのを難しくしている面がありますよね。つまり、結局、何でもスーパーマンがやっつけちゃえばいいんじゃないのって話になるから。だから、いったん死んでもらう必要があったってもんで。逆に、スーパーマンがてこずるくらいの強敵を作ってしまったら、今度はバットマンと絡むのが不自然になっちゃうしな。今後、「ジャスティス・リーグ」が続く場合に、どうやってこの力の不均衡を上手く利用していくかが脚本家の思案のしどころだねぇ。

あと、キャラクターの中で言えば、ベン・アフレックのバットマンはだんだんいい味出してきたなぁ。なんか、すごいおっさんぽいんですよ。かなりさえない感じ。そのおっさんっぽい、しかも、ほかのヒーローたちよりも圧倒的に弱い、だけど何だかリーダー的なことをやっているというのが、職場での役職がついたけれども優秀なわけではない上司みたいな感じがして、悲哀を感じさせていい味出してるんだよなぁ。

そう、次回はこのベン・アフレック版のバットマンの単独作品ということで、むしろそちらの方が楽しみかもしれない。

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2018年04月15日

『クローバーフィールド パラドックス』チャン・ツィイーの扱いがひどくないか?



「クローバーフィールド」シリーズの新作で、どうも前日譚にあたるらしいけれど、まぁ、そのあたりはまったく気にしなくてもかまわないし、気にしてもよく分からない。話は基本的には宇宙空間でのSF物。どこが「クローバーフィールド」なの?と思いながら見ていくしかないけれど、まぁ、そこまでおすすめなわけでもないからネタばれしちゃうけれど、最後に化け物が出てきて、はい、クローバーフィールド、みたいなオチになってる。しかし、ぶっちゃけ、それが上手くいっているかどうかは微妙だなぁ。その前のSF的なところも、まぁ、なんとなくありそうな感じで終始してるかなぁ。「クローバーフィールド」シリーズは毎回ぜんぜん違うことをやろうという気概があるのは分かるけれど、だからといって、成功しているとは限らない。それよりも、この映画、チャン・ツィイーの扱いがひどすぎない! 『初恋のきた道』とか、この娘はアジアで一番可愛いのではないか!! と言うくらいに輝いていたのに、こんな微妙なすぐ殺されちゃう脇役になっているなんて・・・

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2018年04月14日

三遊亭円丈「落語家の通信簿」おぃ、円丈、それは違うだろ!と言いたくなるのもこの本の魅力。



「師匠、御乱心!」がやたらと面白かったので、その勢いで円丈の本をもう一冊読んでみました。こちらは「御乱心!」とは違って、鬼気迫る感じがあるわけではなくて、ゆったりと出てくる落語家をyoutubeで探したりなんかしながら、読んだりすることが出来るような、新旧の様々な落語家について円丈が語った本です。

円丈師匠はやっぱり思い込みが強いところがあって(思い入れと言ってもいいけれど)、おまけに嫉妬深いところもある人なのだと思うんですね。そして、それを少しも隠さないで、大っぴらに出してしまう強さがある人と言うか。だから、この通信簿もやたらと主観的だし、おまけに色んな愛憎が渦巻いてこういう表現になってるんだろうと思わせるところがあったり、逆にお世話になったから甘くしてるんだろうというところもあったりして、自分が落語家を評価する上での参考にはあんまりならない(笑)。ただ、自分が落語家を評価する参考にはならないのだけれども、一方で、そんな落語家を評価する物差しなんてものはひとそれぞれで、自分が好きなように評価して何が悪い、というような気持ちにもさせてくれるんです。

いや〜、やっぱり、文章上手いんですよね。美文っていうわけではなくて、ぐっと惹きつけて読ませる文章になってる。円丈師匠が好き勝手に言っているので、こちらも好き勝手に言わせてもらうと、読んでいて、そこはその通りだなぁと思わせるところもあれば、円丈、それは違うだろと言いたくなるようなところがある。そして、それは違うんじゃないかとぶーぶー文句を言ったりする読み方こそ、この本に相応しいような気がするんですよねぇ。

個々のところを言うと、僕としては喬太郎と志の輔の評価が低いような気がするなぁ。特に喬太郎の実力は、僕の中ではSWAの中で頭一つ抜けてたと思うんだな。志の輔も映画化されたことからも分かるように、創作落語の話の作りの上手さはもっと評価していい。

あと、そもそも載っていない人で、昇太の師匠の春風亭柳昇は同じ新作の人だし書いてあげて欲しかったなぁ。「課長の犬」とか「義理堅い男」とかいいと思うけどなぁ。

一方、そこはそうだと思ったところは、まぁ、ちょっと談志を低くし過ぎな面はあると思うけれど、亡くなってみて最終的に芸という点では志ん朝に軍配だったのではないか、というのは、言われてみたらそうかもしれないと思った。もちろん、談志はそれ以外のところで異常なまでに影響力があった人だから、なかなかそうした全体像を抜きにしてなかなか見られないというところがあったけれども、単純に落語の芸という点では最後は志ん朝かもしれない。ただ、談志が今なおすごいなぁと思わせるのは、弟子が粒ぞろいだってことですよねぇ。談春、談笑、志の輔などなど、すごい個性的な人たちが揃ってる。

それともう一つ、これ、何となく頑張ってる姿を見ると、そしてTVとかでもかなり最近大物扱いをするようになったので、言いづらかったのだけれど、歌丸さんの圓朝噺って、何かイマイチじゃないかと。円丈師匠もイマイチとまでは書いてなくて「違和感がある」と書いてるだけなのだけれど。僕も歌丸さんは昔の滑稽噺の方が面白かったと思うんだなぁ。まぁ、円丈は圓朝の怪談噺は師匠の圓生のものを聞いているだろうし、歌丸さんは圓生を引き継いだかのように真景累ヶ淵などをやってるから、必然的に見る目が厳しくなるのは当然かもしれないけれど、そして僕自身もいつの間にか圓生と比べてしまっているところがあるのかもしれないけれどねぇ。でも、やっぱり僕は歌丸さんはおすわどんとかのがいいなぁ。

などなど、いつの間にか、自分も落語家について語りたくなってしまうような本でした。落語を聞くときに手元において、あれ、この人のこと円丈師匠は何て言ってたっけ? みたいなかたちで使うといいかも。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) 読書(小説以外) 

大谷翔平くんの野球カードが72万円だって、うちにも大谷くんのカードがあるんだけど!!

今週、大谷翔平くんの野球カードがオークションで72万円になったってニュースが流れましたねぇ。

それを見て、思わず、えぇ! まぢか!! となりました。

うちにも大谷くんの野球カードがあったじゃん!! って。ほら。

大谷



72万円ですよ、72万円! どうします? 何します? あぁ〜、インド行こうかなぁ、チベット行こうかなぁ。

とか思って、じっくりと記事を読んでみると、直筆サイン入りなんですねぇ、72万は。ためしに僕が持っているのと同じ野球チップカードをヤフオクで探してみたら、せいぜい二千円か三千円くらいですね。ちぇ、つまらない。

ただ、それをきっかけに、うちにある野球チップカードを見てみたら、いや〜、懐かしい選手ばっかりだなぁ。大谷君はたまたま気が向いて買ったときに当てたんだけど、それ以外はとんでもなく古い人たちばっかりです。ということで、野球チップカード自慢を。

怪物江川!! 僕が野球を見始めたときには引退間際でよく打たれてた印象があるなぁ。

江川



桑田!! 今はちょっと不気味な息子が話題ですねぇ。

桑田



西武黄金時代からは、工藤!! なんかこの写真、可愛いぞ!!

工藤



そして秋山!! 日本シリーズのバク宙ホームインがカッコよかったぁ!

秋山



これはマニアックだぞ、松沼博久、というよりも、松沼兄やん!!

松沼



ヤクルトの安打製造機、若松!! 渋いねぇ。

若松



そう、お前は広島ファンだろってことで、最後は広島の往年のスター三連発!

脅威の六試合連続本塁打、ランス!! ランスにゴン!

ランス



通産213勝の精密機械、北別府学!! あだ名は、ぺー、だ!

北別府



いわずと知れたミスター赤ヘル、山本浩二!!

山本



いや〜、ホント、懐かしい。

よく取ってあったよなぁってことで、年甲斐もなく野球カード自慢でした。

i_cinema at 12:00|PermalinkComments(0) 近況 

2018年04月13日

老人と胸を失った風俗嬢。街で偶然耳に入ってきてしまった話。

街で偶然耳に入ってきた会話の話をネット上で話すのって、やっぱりプライバシーの侵害になるのかなぁ。何だかとてもインパクトがある話だったので書きたくってさ。ただ人物が特定されるようなことはないと思うのと、場所的なこととか人物の見た目は書かずに匿名性を高めて話すことにしよう。

先日、ある大きな街で用事があって、ただ前後の予定の関係で早く着いてしまって、お茶でも飲みながら作業をして時間を潰そうと思ったわけです。大きな駅ってあんまり中心部は喫茶店もファーストフードも込み過ぎてて少しも休めない感じじゃないですか。だから、少しだけ外れたところの、微妙に空いている喫茶店に入ったわけです。大都市の中心から少し離れたところって、ラブホテルがあったり、風俗があったりとかってすると思うのですが、そうしたエリアに近いところだったのかもしれません。

すると、隣の席に、八十代くらいなのかなぁ、少し態度のでかそうなおじいさんがいて、その前に若い、と言ってもそのおじいちゃんと並ぶとということで、実際はもう四十過ぎているかもしれない少し派手な女性が座って話していて。

僕は自分の仕事の原稿の修正をしようと思ってその店に来たものの、自然とその二人の会話が耳に入ってきてしまいました。どうも風俗の話をしているみたいなんです。その女性も風俗の女の人みたいで。お客さんと風俗の女性がなぜ喫茶店でお茶をしているのかは分からないのですが。

そのおじいさんはこれまでに自分が入った風俗嬢の話をしているんです。その中で一番きつかったのが、乳癌の手術を受けて、乳房の中身を切除してしまって、おまけに再建手術もしなかったようで、その痕が皮膚病みたいに爛れた感じになっていた人だったと言うのです。その女の人からはうつったりするものじゃないと言われたんだけれど、それでも気持ち悪かったから別の人に変えてもらった、あれは酷かったと、本当に不愉快そうな声で話していました。

話を聞いている女性の方は興味津々で「その人ってまだうちのお店にいます?」など質問していました。おじいさんは「いると思うよ」と答えていたので、わりと最近のことのようで。おじいさんはあの店はそういうチェックを全然していないんじゃないかと文句を言い、女性の方はそうなのかなぁ、選んでいるとは思うんだけどとか、お店をフォローするようなことも言ったりしていて。

僕は横でその話を聞いていて、乳癌になって手術をして自分の乳房を失い、しかも再建手術が出来ないというくらいなので、おそらく経済的にも非常に貧しくて、言わば大事な商売道具の乳房を失って、皮膚が爛れていたらお客さんに嫌がられるなんてことは分かっていながらも、お店の人を騙したのか、まったく黙っていたのか、それとも頼み込んだのか、風俗の仕事を続けている女性の気持ちはどんなものなのだろうと想像をしてしまいました。たとえば、スーパーのレジ打ちでもいいし、ヤクルトの配達でもいいけれど、これまで特定の仕事に就いていたわけではない中年にさしかかる女性が就ける仕事は他にもあると思うんですよね。そうした仕事なら、当たり前の話ですが、胸を見せる必要はないから、体調管理さえ出来たら、普通に働けるはず。もちろんそれでも病気の後で働くのは大変なことだと思いますが。でも、彼女はそれまで風俗でしか働いて来なかったからなのか、多額の借金があって普通のパートではとても返せないと思ったのか、そもそも混乱して色々なことを考えられる状態ではなかったのか、理由はまったく分からないのだけれど、そこで一番不利な、裸を見せる仕事で働こうとしてしまった。

そして、その場に現れたのが八十を過ぎたようなおじいさんで、どうやらかなり頻繁に風俗に通い詰めている人で。その人はその人で、どうして八十過ぎて(多分)そんなに風俗に通い詰めて、そして風俗嬢とお茶をして、これまで会った様々な風俗嬢の話を自慢そうに嬉しそうにしているのか。家族はいないのだろうか、奥さんはいないのだろうか、どんな仕事をしてきた人なのだろう。

その胸を失った風俗嬢が、お客に気持ち悪いからとチェンジされるのが、若くて元気なチンピラ風の人とかではなく、八十過ぎの老人だったということを、その女性はどんなふうに感じたのか。横で話を聞いている感じでは、思ったことを何でも乱暴な口調で言ってしまいそうな人だったので、優しい婉曲な言い方ではなく、かなりストレートに言ってしまったんじゃないかと思うんです。自分はこんなおじいちゃんにも拒絶されるような体になってしまったのかと思ったかもしれないし、もう自分には行き場所がないと思ったかもしれない。

その二人が出会って彼女が服を脱ぐまでの場面が、二人の色々な人生が凝集された空間だったような気がして、何だか聞いていてだんだん居た堪れないような気がしてきました。

この話は別にこれ以上にオチがつくわけではなく、やがて僕は時間になったので、まだ話し続けている隣の二人を後にして、その喫茶店を出ていきました。なんだかやるせない気持ちになりながら。そして、こういう大きな街に出てくると、本当に色々な人生を送っている人たちがいるのだなと、当り前のようなことを思ったりしたのでした。


i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) 近況 

2018年04月12日

『ロブスター』これは本当に風変わりな映画だ。だけど気になる映画だ。



これは変な映画なんですよねぇ。ギリシャのヨルゴス・アンティモスという監督の作品です。ギリシャで映画監督と言えばすぐに思いつくのがテオ・アンゲロプロスですが、作風はまったく違う感じ。そうだなぁ、異論はあるかもしれないけれど、僕の中ではイメージが近いのはミヒャエル・ハネケとかかなぁ。かなり硬質な映像で、残酷で、シニカルで。

物語を説明するのはなかなか難しいのだけれど、どうもカップルを持つことが義務づけられている世界で、伴侶のいない人は、どっかのホテルに隔離されるんですよね。そしてそこで一定の期限以内に自分の配偶者となる人を見つけられないと、動物に変えられてしまうらしい。もうそれを聞いただけでも、相当にシュールな展開ですよね。そこでコリン・ファレル扮する主人公は配偶者を見つけようとするのだけれど上手くいかずに、独身者たちがゲリラのような生活をしている森の中に逃げ込むんです。すると、今度はその森では恋愛禁止のルールがあったりして。しかし、主人公は逆にそこで恋に落ちてしまう。

独特の寓話的な世界の中で奇妙で残酷な話が展開されていきます。伴侶がいなければならないという社会的なプレッシャーに対するアンチテーゼでもあるが、一方で、それでは独身がよいと主張することに対しても、逆な意味で不自由さがあり、一人で生きることも誰かと生きることも、いずれにせよ、社会的にしなければならないという重圧のもとで決定しなければならないという息苦しさみたいなものが、語られているわけかなぁ〜。う〜ん、一回観ただけじゃそれ以上は分かんないや。

けれど、しばらくしたらまた観てみて、もう一回考えてみたいと思わせるような作品。

しかしなぁ、僕もこのまま独身だと動物にされちゃうぞ、まずいなぁ。



i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) その他のヨーロッパ映画 

2018年04月11日

『メカゴジラの逆襲』重い、暗い、おっぱい…



この間写真を載せたガラモンを作るために参考にしようとネット上をウロウロとしていて、何気なく実はゴジラシリーズで『メカゴジラの逆襲』が一番好きなんだけどと言っている人の文章を読んで。ん、ん、随分とマイナーな映画をあげるなぁと。『メカゴジラの逆襲』と言ったら、昭和のゴジラ・シリーズが終わることになった映画で、どちらかというと斜陽期の怪獣映画という印象なのだけれど。そう思ってさらにネット上でこの映画について調べてみると、この時期のゴジラ映画にしては、暗く重い人間ドラマで、ゴジラ映画で初めておっぱいが出てきた作品で(それ重要か?って気もするけど。あとサイボーグの手術中に出てくるだけで本物の女優さんの胸ではない)、一作目の『ゴジラ』と同じく本多猪四郎監督で平田昭彦が出演しているなどなど、言われてみると面白そうな気がしないでもない。そう言うわけで、三十年ぶりとかそのくらいに観てみることに。そうしたら、確かに暗い、重い、地味だ。そして、それが好きだという人がいるのも分かる。何だろうなぁ、こうした作品にも七十年代の学生運動に敗れて虚無的になった社会背景が現れているのかなぁ。何も子どもの映画なんだから、そんな怨念とか、悲惨な話にしなくてもいいのにと思えるほどに、陰気な映画でした。あと、メカゴジラはやっぱりかっこいいんだけども、印象としてはメカゴジラもゴジラもこの映画では本当の主役ではないなぁという気がする作品でした。主役はチタノザウルスと平田昭彦の怨念です。





i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) その他の邦画 

2018年04月10日

『マイティ・ソー バトルロワイヤル』結局、宇宙最強なのはレッド・ツェッペリン!



マーベルのアベンジャーズシリーズに、さらにDCコミックのジャスティスリーグも加わって、何だかもう、こういう数珠つながりのヒーローシリーズが飽和状態な現状じゃないですか。そうやってどんどん観させようっていうことなんでしょうけれどねぇ。と、不満を感じつつ、マイティ・ソーの最新作を観てみることに。どうも主演のクリス・ヘムズワースはこれまでのソーのキャラクターに限界を感じていたみたいなんですよね。それで、この映画で新たなソーのキャラクターを作ることが出来たとどっかで言っていた。そうして見てみると、これまでのアベンジャーズでのソーのキャラクターってむっつりしてて怒ると大暴れな感じで、さらに言えばあんまりユーモアも通じない感じの人でしたよね。しかし、この映画ではむしろ小粋な冗談を言いつつ軽やかに難局に挑んでいって、本気を出すとすごい、みたいな人になってます。ただ、そういう軽い男のスーパーヒーローのキャラって、すでにアイアンマンがいるからなぁ。多分、演じている方はむっつりして頑固な人よりも、軽口を叩くヒーローの方が楽しいんだろうけれど、なんか最近のありがちなヒーロー像になっちゃったなぁと思わんこともない。映画の内容自体はマーベルの多くの映画がそうであるように、つまらなくはないけれども、もの凄く面白いというわけでもなく時間がつぶせる感じ。ただ、一番思ったのが、今の時代であっても、レッド・ツェッペリンは最強。この映画でいきなり戦闘シーンで「移民の歌」がかかったときには鳥肌が立った。そういうわけで、最強ヒーローはむしろレッド・ツェッペリン!

ところで、浅野忠信がほんのちょっとだけ出てましたね。浅野忠信はハリウッド映画に出る意味はぜんぜん分かんないよなぁ。恐ろしいほどに彼の持ち味が出ていない。もったいない。




i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) その他のアメリカ映画 

2018年04月09日

「師匠、御乱心!」三遊亭一門の脱会騒動の内幕!こんなにすごい本があったとは知らなかった。



その昔、落語協会から真打ちの大量生産を批判した三遊亭圓生一門らが脱会したという騒動があり、現在は圓楽一門をのぞいて落語協会に復帰をしたのですが、その問題は落語界とって大きな衝撃だった、ということだけは、落語ファンを自称する身として知っていたわけなのですが、細かいことまではよく知りませんでした。

この「師匠、御乱心!」は三遊亭円丈が騒動があった8年後に出版した当時の三遊亭一門の内幕を描いた本で最初に出版された当時は非常に大きな話題となったようです。それが今回、長いときを経てなのですが、文庫化されるということになって、Amazonからそのお知らせが来ちゃって、読んでみることに。

いや〜、すごいですね。ここまで書いてしまうとは。三遊亭一門が出ていくことになり、しかし真打ちになったばかりの円丈は寄席に出たいという気持ちが強く、さらに何でも弟子に相談せずに圓生と先代圓楽が勝手に決めてしまうということに強い反感を覚えて、師匠に逆らって協会を出ようとする。しかし、そこで圓生から激しい恫喝を受け、逆らうことが出来ない状態になって、一門と一緒に協会に出ることになるんです。ただ、その圓生をそそのかしたのは圓楽なんじゃないかと円丈やその他の兄弟弟子たちは考え、策士でマスコミ好きな圓楽に非常に強い憤りを覚えるんですよね。このあたりの描写が本当に生々しい。

人それぞれ社会に生きていくと色々な集団の仲間割れとか癒着とかを見なきゃいけなくなるんだと思うんです。今の話題で言ったら相撲協会もそうかもしれないし。そして、落語の世界もまた例外ではなく、人と人が集まって何かをするということになると、必ずこうした確執が生まれてくるものだということを改めて実感させられる本でした。

ただ、これ、今読んでよかった。ある程度年を取った今であれば人には色々な面があると受け入れられますが、もしこれをもっと素朴な落語ファンだった十代の頃に読んだとしたら、僕は圓生のことを嫌いになっていたかも知れないし、そのためにあの数ある素晴らしい芸を十分に味わうことが出来なかったかもしれない。それくらい影響力のある本だと思います。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) 読書(小説以外) 

2018年04月08日

『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』どうしてあんなにジョジョ顔の北村一輝を出さないんだ!



ジョジョを実写化するにあたっては、なかなか賛否両論がありましたねぇ。っていうか、否の方がずっと多かったか。もともと、リアリスティックな絵柄じゃないから、実写化は難しいですよねぇ。アニメの方はかなりクオリティが高くて、おまけにジョジョへの愛が感じられて大満足だったのですが。そして監督が三池崇史ってことになって。三池で実写版っていうと、『テラフォーマーズ』が、こっちの方がジョジョよりもまだ実写に向いているんじゃないかという気もするが、かなり残念な出来栄えだっただけに、あれよりももっとひどくなるのかと思うと、僕は相当なジョジョファンであるにもかかわらず、恐くてとても劇場には足を向けられませんでした。

しかし、一生観ないわけにはいかないので(いや観なくてもいいか)、ようやく観てみると、何だろう、『テラフォーマーズ』が酷かったから、あれよりももっと酷いのを覚悟して、殴られる覚悟で歯を食いしばって観始めたのだけれど、不満はとんでもなく沢山あるものの、ただ『テラフォーマーズ』ほど酷くはなかったかなぁ。予想できる範囲の酷さっていうか(褒めてないか)。

やっぱりねぇ、『テラフォーマーズ』のときもそう思ったけれど、三池さんはジョジョにも何も思い入れとかなさそうですよねぇ。ただ仕事として作ってる。

個人的に一番マンガに似てたと思うのは観月ありさ扮する仗助のお母ちゃんだよな。そして、一番納得できないのは、伊勢谷友介の承太郎で。いや、別に伊勢谷友介が嫌いなわけではなく、むしろいい演技してるなぁと思うことも多いのだけれど、承太郎はちょっと違ったなぁ。まぁ、クリント・イーストウッドがモデルと言われるあそこまでのカリスマキャラクターだから、誰がやっても納得は出来ないのかもしれないけれど。むしろさぁ、伊勢谷友介は吉良吉影をやらせた方が合うんじゃないかなと思ったり。このシリーズが続くとしたら、誰が吉良をやるのかねぇ。あとは、億泰も違ったなぁ。

しかし、ちょっとフォローをしておくと、ジョジョの四部の冒頭って、実はまだ上手くキャラクターが出来ていなくて、原作自体が安定していないと思うんですね。四部が安定して、というか仗助のキャラクターが安定して、四部が面白くなっていくのは、仗助が億泰とつるんではしゃいぎはじめるあたりからで。だから、難しいところではあったんだろうけどねぇ。

あと、服装はもともと実写化は無理があるから、逆にリアリスティックなものに大きく変えちゃった方がよかったんじゃないかなぁと僕としては思ったり。承太郎の帽子とか、なぜわざわざあんな変なデザインの被っているのかわけが分からないしなぁ。あんな派手な格好をしながらも喋り方とかすごいクールだから、そんなにクールにしゃべるやつはそんなド派手な格好をしないだろと思えてしまう。

三池崇史がよく使ってきた俳優で言ったら、なぜ今回、北村一輝がいないのかということも不思議だよなぁ。だって、北村一輝って明らかに、ジョジョ顔じゃないです? せっかくジョジョ顔の俳優さんとのつながりがあるんだから、使わなきゃもったいなかったよなぁ。あ、まさか吉良の予定だった・・・? そんなことないか。

そんな中で、一番好感が持てたのは、岡田将生の形兆。ビジュアルはさておき、何かすごく生き生きと演じている気がする。勝手な僕の想像なんだけれど、彼はジョジョファン? 形兆への愛を感じたので、彼は許す!



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2018年04月07日

やることがなかったのでガラモンを作ってみる。でんでんでんでん、でで〜んででん。大人になって作る模型はやたらに楽しいなぁ〜

昨日、有給休暇をとって、何かすごい久しぶりに、丸一日なんにも用事がない日だったんです。

最近ようやく気がついたけれど、僕は貧乏性というか貧乏人の暇知らずというか、何かいつの間にかすぐに予定を入れちゃうたちで、なかなかゆっくりとする時間がなくて。

それで、暇になったので、少し前に表参道のビリケン商会っていう模型屋で、なんて素敵な!と思って購入してしまったガラモンを完成させました。でんでんでんでん、でで〜んででん。あ、これ一応、「ウルトラQ」のテーマのつもりね。

いや〜、大人になって作る模型ってやたら面白いだよなぁ。子どもの頃にプラモデルとか作っていたときには、ぜんぜん思ったようにならなくって、プラモデル屋とかにある見本ってすごい上手く作ってあるから、何で同じようにできないんだろうって思っていたけれど、大人になってみるとあの頃よりは出来ることが増えて、そして今はネットで色の塗り方の工夫とかたくさん調べられるから、かなり自分のイメージした通りの作品ができてしまう。

こんな感じっ!

ガラモン2



ね、なかなか可愛く出来ているでしょう。ガラモンは僕としてはたくさん出てくる「ガラモンの逆襲」が面白かった記憶があるのだけれど、今回は一回目のバージョンで作ってみました(胸にマークがないのが違う)。最後にゼリーみたいなのを口からドロッて垂らして死んじゃうところが可愛そうなんだよなぁ、こいつ。

骨みたいな手足の土で汚れた感じを出すのとか、目の玉を細かく塗るのとかがなかなか苦労したんですよねぇ。

あと、箱もいかした感じだったので、箱も一緒に記念撮影。

ガラモン



昔、僕が怪獣とか妖怪とかの模型を買ってくると、「ここはお前じゃまだ難しい!」とか言って、親父がみんなつくってっちゃったって記憶があるのだけれど(でも親父は僕よりも器用でなかなかの出来栄えになるからそんなに不満だったわけではない)、大人になってみるとその気持ちも分かるなぁ。


i_cinema at 13:08|PermalinkComments(0) 近況