2017年09月24日

『エイリアン:コヴェナント』これ、好きだなぁ。『エイリアン』に『ブレードランナー』『ハンニバル』を加えたリドリー・スコットの集大成じゃないか。



仕事帰りに川崎チネチッタによって、『三番目の殺人』とこの『エイリアン:コヴェナント』のどちらを観ようか迷った挙句、エイリアンを選んでしまいました。

いや〜、予想以上によかった。話としては『プロメテウス』の続編ってことなんだけれど、『プロメテウス』よりも僕はこちらの方が断然好き。

来月に『ブレードランナー2049』が公開になりますが、つまりリドリー・スコットが監督した金字塔的なSF映画の2本の続編が並んで公開されるわけです。ただ、「エイリアン」の方は自分で監督をしてますが、「ブレードランナー」の方は若い監督に任せてるんですね。これ、なぜだろう?と。もう今年で79歳になるリドリー・スコットは残り何本も撮れないと思ったために、「エイリアン」か「ブレードランナー」のどちらを自分で撮るかの究極の選択に迫られたのだろうか?とか想像をしてしまって。

普通に考えたら「エイリアン」の方が有名な作品だし、観る人も多いかもしれないけれど、ただ本当に作家性に対しての評価が高いのは「ブレードランナー」の方なんじゃないかなと思ったりもすると、「ブレードランナー」を自分で撮るっていう気もしてくる。僕がリドリー・スコットなら死ぬほど悩んだ挙句に『テルマ&ルイーズ』の続編を作ったりしてしまいそうだ。あれも、何気にいい映画だった。あるいは松田龍平で『ブラックレイン』の続編を撮りたい。

まぁ、映画の製作はそれぞれ色んな事情があると思うので、本人の一存でどうにかなるというもんでもないかもしれないですが、今回、『エイリアン:コヴェナント』を観て、あ、この映画に出てくるアンドロイドのマイケル・ファスベンダーは、『ブレードランナー』のレプリカントのルトガー・ハウアーの子孫なんじゃないか!と思えてきました。そう考えたら、この映画は実は『ブレードランナー』の精神的な続編でもあるようなものなのではないかと。だとしたら、別に「エイリアン」でも「ブレードランナー」でもどっちの続編を撮っても、本当に撮りたいテーマのある監督に撮ってみたら、同じことだ!と妙に納得をしてしまった。

さらに言えば、ネタバレになってしまうのですが、何気にかなり猟奇的な部分が出てくるのですが、この硬質な画面に猟奇的な映像が美しく流れるこの感触はどこかで味わったことがあるぞと思ったら、『ハンニバル』だった、そうだ『ハンニバル』もリドリー・スコットなんだった。

となると、この作品は『エイリアン』で描かれた宇宙空間の中の恐怖のみならず、『ブレードランナー』で描かれた人造人間のアイデンティティの苦悩、『ハンニバル』で描かれた猟奇的な映像美が混ざり合った、まさにリドリー・スコットの集大成的な作品なんじゃないかと! 

ただ、相当に倒錯的な世界が展開されていきますし、いわゆるエンターテイメントな爽快感のある話ではなく、オチなんかも分かりやすいから、好き嫌いは分かれるかなぁ。しかし、僕はこのリドリー・スコットのテーマや世界観が大好きだなぁと改めて感じた一本でした。79歳にもなって、こんな混とんとして倒錯的な映画を作ってしまうリドリー・スコット。すごいなぁ。

ところで、前作『プロメテウス』で最期まで頑張って戦ったエリザベス・ショウ博士のこの映画での扱いがあまりにもひどすぎて、むしろ笑ってしまった。そう、全然気が付かなかったんだけど、『プロメテウス』でエリザベス・ショウを演じていた女優さんノオミ・ラパスって『ドラゴン・タトゥーの女』のリスヴェットだったんだねぇ。新ヒロインのダニエルズに扮したキャサリン・ウォーターストンは、最初やぼったい感じの人だなぁと思っていたけれど、映画が進むにつれてだんだんかわいく見えてくる。でも、そのくらいの人の方が圧倒的な美人よりも「エイリアン」のヒロインには向いている。


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2017年09月21日

『シアター・プノンペン』途中、ちょっとだれるけれど、前半のプノンペンの風景はとても生き生きとしている



10月の頭に、カンボジャに行くことになったんですよ。あれ、前にも話したかな? それで、カンボジャの映画をみつけたから借りてみることに。プノンペンが舞台なんだけれど、まぁ、僕が行くのはシェムリアップだというところはあるのですが。

この映画は現代のプノンペンに生きる大学生の女の子がふと紛れ込んだ閉鎖した映画館で自分の母親が出ている映画を見つけ、それをきっかけにクメール・ルージュの時代に運命を引き裂かれた親の世代のことを知るようになっていくという話です。基本的にはいわゆるメロドラマ的な展開をしていって、真ん中くらいからはちょっと退屈になってきてしまうのですが、この映画は前半の、というか冒頭のあたりのプノンペンの様子がとても生き生きとしていて、素晴らしいんです。後半は演出がまったりになっちゃうんだよなぁ。出だしが期待させる感じだったので、ちょっと残念。

ただ、自分の中のカンボジャ気分を高めるという目的は十分果たしてくれた作品でした。そして、やっぱり現在でもクメール・ルージュの傷跡というのは大きく残っているということも実感させてくれます。

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2017年09月20日

『愛の新世界』鈴木砂羽は絶対土下座させてるよ!と思えてくる映画。それにしても片岡礼子は素晴らしい。



この間、鈴木砂羽さんが主演と演出をする舞台で、出演女優の二人が突然降板したって騒動があったじゃないですか。稽古で罵声を浴びせたり、土下座をさせたりしたって。本人は否定をしていましたが。そこで、そう言えば鈴木砂羽さんって、もともとはこの高橋伴明の『愛の新世界』で有名になった女優さんだよなぁと思い出して。

『愛の新世界』は当時色々なところで話題になっていて、僕が映画を沢山見始めたのもちょうど90年代半ばだったので、観た方がいいのかなぁとは思っていたんです。ただ、アラーキーの写真を作中で大胆に使ったSM嬢が主人公の映画らしいってことで、当時の十代の僕には、何だか怖くて気持ち悪いかもしれないぞ、という気がしてしまって、手が伸びなかったのでした。

ただ、今回のワイドショーの話を聞いてふと思い出して、今さらながらに観てみることにしました。そうしたら、罵声を浴びせたり、土下座させたりってニュースが出てるから、彼女がSM嬢として男どもに罵声を浴びせているシーンとか、何だか笑っちゃうよなぁ。この映画を観ると、絶対にこの人はやってる! 罵声浴びせて土下座させてる!っていう気がしてきてしまう。ま、真相は分からないけれど。

そして、映画自体は、予想以上に面白くて惹きつけられて一気に観てしまった。鈴木砂羽もそうだけれど、片岡礼子が実に魅力的だった。そして、当時の僕が何だか怖そうだぞと思っていたのは全くの見当違いで、実はSM嬢やホテトル嬢が登場するのだけれど、実はかなり爽快感がある青春映画だった。劇中に挿入されるアラーキーのヘアヌード写真も、何かあまりいやらしい感じはしなくて、晴れやかで解放的な印象でした。こんなに面白いなら、もっと早く見ればよかった。

そうそう、主人公の鈴木砂羽が演じるSM嬢は実はアングラ演劇の女優をしているんだけれど、その劇団の座長が松尾スズキなんですよね。そして、若い頃の松尾スズキ、実はけっこうカッコいい! これは意外だった。さらに、同じ劇団員のメンツをよく見てみると、あれ、これって阿部サダヲじゃないか? こっちは宮藤官九郎じゃないか? なんだ、この劇団って大人計画のメンバーじゃん! と。そういうわけで、今の視点で見てみると、大人計画のメンバーの若き日のはしゃぎまわる姿がみられるという点でも、この映画は貴重なのでした。

追伸:最近、Yahooの記事とかでよく薄幸そうな役の女優は木村多江の一人勝ち状態だみたいなのを何度か読んだんだけれど、そういうのを読むたびに僕はもっと片岡礼子を使ってやれ!と思うのでした。片岡礼子も薄幸な役が上手いから!

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2017年09月17日

『HiGH & LOW THE MOVIE』う〜む、誰が誰やら分からん



「HiGH&LOW」が面白いと友だちに薦められたのだけれど、僕はエグザイルにはまったく関心がないので、どんなもんだろうと思っていたものの、どうも「HiGH&LOW」を褒めている人は結構みるみたいな感じで、ひょっとしたら、エグザイルに関心がないから観ないというのはもったいないというような作品なのか?という気もしてきたので、とは言っても劇場に行くほどのモティベーションはないので、一作目の映画を観てみました。

う〜む、登場人物が多すぎてよく分からない。これ、TVドラマが最初なのですね。まぁ、ヤンキーたちが沢山出てきて抗争するっていう話なんだけれども。TVドラマを観てからみたらもうちょっと感情移入が出来るのかもしれないけれど。ただ、どうもよく分からないのだけれど、この映画だけではどうもそこまでよく出来たエンターテイメントとも思えない。同じような不良たちの群像を描いたアクションなら、『クローズZERO』の方がよっぽど人物描写も話の展開も面白かった。なぜ、エグザイルのファン以外で誉めている人がいるんだろう?

ただ、どうもウィキペディアを観てみると、ドラマと何本かの映画と、さらに本人たちのライヴと全体を展開させた話みたいなんで、もっとどっぷりとつからないとよさが分からないのかなぁ。しかし、何て言うか、齋藤環先生が言うところの、ヤンキー文化が全開な感じだよなぁ。この世界観にはまれない人には合わないのかなぁ。

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2017年09月12日

『霊幻道士 こちらキョンシー退治局』まさかのラブコメ!?



少し前に『キョンシー』というタイトルで、かなりスタイリッシュになったJホラー調のキョンシー映画のリブートがありましたが、今度はパッケージを観ると、いかにも香港らしいホラー&アクション&コメディという感じなのかなと思わせる感じ。サブタイトルからは「霊幻道士」+「ゴーストバスターズ」って感じなのかなぁと思いながら、さっそく観てみました。

途中まではホントにそんな感じかなと思ってたのですが、いや〜、まさかのラブコメ。やられました。う〜ん、何だろ、この不全感。もっとホラーを!もっとアクションを!と心が叫びたがってる感じ。

ある星野源風な青年がひょんなところから政府のキョンシー退治係を手伝うことになり、実は自分の父親もその仕事をしていてキョンシーに噛まれたことを知ります。そこで彼は先輩たち(これが往年のキョンシーファンには大喜びな俳優たちが演じてるわけです。リチャード・ンとかチン・シュウホウとか)に指導されながら、キョンシー退治を学んでいくわけですが、ある女キョンシーにあって、そのキョンシーが可哀想になってかくまってしまうんですよね。これ、もとの「霊幻道士」や『チャイニーズゴーストストーリー』の流れでは絶対に次第に生気を吸い取られて自分も死人みたいになってちゃったりするっていう展開のはずが、むしろほほえましい二人になっちゃってて。

そして、「しょこたん+若い頃の片平なぎさ」みたいなその女性キョンシーは確かに可愛い。いやいや、もうそれキョンシーじゃないじゃんってくらい可愛い。うむ、むしろこの映画の見所はほとんどそこなんじゃないかと思うくらいに。

そうこうしているうちに、そのしょこたん+片平なぎさキョンシーが星野源風香港男子のピンチを助けたりし始めて、いやいや、お前もキョンシーだろと。そもそも、何で二人で同じ部屋にいて噛まないんだよと。

ま、そんなわけで、キョンシー大好きでアンチラブコメの僕としてはなんとももどかしい作品になっていたわけですが、ただ偏ったキョンシー愛があるわけじゃない人が、何も考えずに観たら、それなりに楽しめる作品なのかなぁという感じはしたりはしますねぇ。



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2017年09月11日

『新感染 ファイナル・エクスプレス』韓国ゾンビは急行列車に乗る



韓国発のゾンビ映画。これまで韓国にまったくゾンビ映画がなかったというわけでないのだけれど、大規模にロードショー公開されるそれなりにお金のかかった映画の中では初めてと言えるでしょう。日本で言えば、『アイアムアヒーロー』みたいな感じですかね。さて、この「新感染」ってタイトル、当然、邦題。原題の直訳は、釜山行き、とかそんな感じです。まぁねぇ、特急列車が舞台だから、「新感染」にしたんだろうが、しかし、韓国を走ってる電車「新幹線」じゃないからねぇ。台湾映画ならまだしも。ま、邦題の是非はおいておこう。

作品としては、実のところ、不満は色々とあるんです。たとえば、感動物にしようとしすぎてところどころ暑苦しいというところやら、マッチョな男がゾンビをなぎ倒していくような場面ってゾンビ映画的にどうかと思うというところやらね。

ただ、それでもなおかつ、この映画はよく出来ていると思うのは、ゾンビそのものですね。この映画のゾンビは「走るゾンビ」なわけなんだけれど、かなり身体能力の高い役者たちによって演じられているような気がします。動きが複雑なんですよね。単に素人がぶらぶらと動いているわけではなくて、モダンダンスのような不自然な動きをしてくれていて、それが観ていて気持ちがいい。特殊メイクもなかなかのもので。いや〜、ゾンビ映画は、ゾンビの動きとメイクで七難隠しますよ、実際のところ。

話全体はちょっとまごつくし辻褄合わせも微妙なところがあるものの、ラストの歌を歌っていて子どもが助かるというところは、なかなか上手くまとまっていて、そこに関しては感動的なので、終わりよければすべてよしって気もしてくる。

そういうことで、大満足というわけではなかったし、韓国映画の近年のレベルの高さを考えると、もっともっとすごいゾンビ映画が作れそうな気がするのだけれど、それでもしっかり及第点には達している作品と言えるでしょう。

ちなみにこの映画の前日譚を描いた『ソウルステーション/パンデミック』っていう作品も公開されるようです。そちらの方が、実はちょっと楽しみかも。



あ、あと、そう、北朝鮮問題が連日報道されているとどうしても、韓国でゾンビ映画を作るなら、北朝鮮が崩壊したら大量のゾンビが非武装地帯を越えて押し寄せてきたとか、そんなストーリーはどうだろう?とか不謹慎なことを考えてしまうな。

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2017年09月10日

『ディストピア パンドラの少女』今年一番のゾンビ映画だな



小説が原作のゾンビ映画。僕のイメージ的には「ゾンビ」+カズオイシグロ原作の「わたしを離さないで」+コ―マック・マッカーシー原作の「ロード」って感じで、うわ〜、僕が大好きな世界観がみんなつまったような作品じゃないか!と。抑制のきいた演出とそれでいて全体を漂う感傷的な雰囲気がたまりません。この映画も原作があるんですよね。まず設定が上手いもんな。原作も面白いんだろうなぁ。

物語は拘束された子どもたちが授業を受けているところから始まります。どうも、その子どもたちは半分ゾンビなんだけれども、自分で思考することが出来る存在で、研究のために管理されて生かされているような感じらしくて。その子どもたちを人道的に育てようとする先生もいれば、化け物は化け物だと思っている人もいて。やがて、その軍事施設全体がゾンビたちに襲われて、軍人と研究者たちは、一人の少女を連れて、移動をしなければならなくなって…

これはもともとゾンビ映画が好きな人ではなくても、見応えのある映画になっていると思います。ただ、一方で、普段、ゾンビ映画、あるいはハリウッドのエンターテイメントしか観ていない人だと、演出が渋すぎて刺激が足りないって思うかもしれない作品かなぁ。僕の中では、今のところ本年度No1のゾンビ映画。


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2017年09月08日

電磁波が来たらどうなるの?

何だか太陽から電磁波が来るみたいですねぇ。もう来てるのかな? 太陽フレアなんて聞いたことがない言葉ですが、何だか太陽の表面の爆発ってすごいですね。太陽から電磁波が来たらどうなっちゃうのかなぁ。死人が墓場から甦る? 仮面ライダーBlackがRXになる? デンジマンが再放送される? こんなことを言っては不謹慎なんですが、何だかとてつもなくスケールのデカい話なのでワクワクしてしまうなぁ。

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2017年09月04日

『私の男』近親相姦を描かせるなら熊切和嘉監督だろう



『ディアスポリス』がなかなか面白かったので、そう言えばずっと観ようと思ってた熊切さんの『私の男』をまだ観てないじゃないかと思い出して、続けて熊切和嘉作品を。それにしても、昔、学生時代に友だちと熊切監督の『鬼畜大宴会』をどう評価するかについて議論した記憶があるんだけれど、僕は確か、好きか嫌いかはさておきすごい、とかって言ったような気がするんだけど、あれからもう20年くらい経って、気が付いたら熊切監督は日本でもっとも実力があって評価も高い監督の一人になっているなぁ。熊切、是枝、橋口と、自分が若い頃にこの人はすごいんじゃないの!と、半ばはマニアックな若い監督を知っているという自慢もあって話していた人たちが、日本を代表する監督になっていて感慨深い。

で、『ディアスポリス』は確かに面白かったのだけれど、この『私の男』を観たら、あぁ、やっぱり、熊切監督が本当に力を発揮するのは、変態映画だ、ということを改めて思い出しましたね。「ディアスポリス」を面白く映画化出来る監督は他にも沢山いるかもしれないけれど、この近親相姦がテーマの「私の男」を映画化するなら熊切監督しかいないだろうと。熊切監督の作品『冬の花火編〜妹の手料理』は近親相姦の話だったし、『海炭市叙景』は近親相姦ではないけれど密着した兄妹の話だったし、彼の作品には何かそうした倒錯的なものがつねに入り込んでいて、得体のしれない力を発揮している気がするんです。この作品も二階堂ふみと浅野忠信の好演ももちろんあって、北海道の美しい雪景色の中で展開される、閉鎖した世界の中での倒錯的な性が、非常に生々しく描かれている。少女は震災で全てを失い、そこで男のもとに引き取られる。トラウマを抱えた少女は対象との強い結びつきを求め、境界意識の緩い、集団から外れがちな孤独な男はそれを性的に利用して、二人だけの性愛の世界にのめり込んでいってしまう。

おそらく、これがよいか悪いか、望ましいか望ましくないか、という問題ではないのだと思います。よいか悪いかで言ったら、よくはないかもしれない。その基準で考えると、この映画は不愉快なだけの作品になってしまう。ただ、そうした倫理的な善悪の判断をとりあえず横において、しかし、こういうことは人の人生の中で起りうることなのかもしれないと思ったとき、この子にはこういう生き方しかないんだろうと思ったとき、何とも悲しく、やるせない気持ちになってくる。

やっぱり、こういう作品の方が熊切監督の本領発揮だなぁと思ったわけです。ただ、一つ不満なのはラストで、これは僕が読み取れていないということだけかもしれないですが、彼女が倒錯的な関係を離れて別の男と結婚するに至った経緯が、もう少し知りたかった。ただ、足をからめる描写からは、彼女は相変わらず倒錯的な心性を残したままだということがうかがわれるのだけれど、それならなぜ別の男と結婚するのか、どのような心境の変化があったのか、そのあたりが、倒錯的な関係性の中に入り込んだ人間が、そこからどうやって抜け出せるかとことに関心のある僕としては、気になってくるところです。

となると、桜庭一樹さんの原作を読まないとって気がしてくるなぁ。

追伸:ところで、実は一番面白かったシーンは、二階堂ふみを家までタクシーで送ってきた高良健吾に対して浅野忠信が何を思ったか裸になれと言ってきて、それに対して高良健吾がかなり戸惑って混乱して「上半身だけですよ」って言って脱ぎだすところですね。いやいや、上半身だけとかそういう問題じゃないでしょ! あと、ふと思ったのが、浅野忠信ってだんだん演技がビートたけしに似てきた気がするのは僕だけかなぁ。

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2017年09月03日

『ディアスポリス -DIRTY YELLOW BOYS-』真木蔵人がいい味出してるんだなぁ「ちがうよ」



熊切和嘉監督によるTVドラマ「ディアスポリス」の劇場版。しかし、TVドラマの劇場版と言っても、そこは熊切監督で、しっかりと映画として成立させてくれています。そして、マンガもそう言うところがあるのだけれど、闇警察の久保塚の活躍が描かれるという話よりも、むしろ、そこに関わってくる犯人や被害者たちの悲哀みたいなものが中心になっていっている。この映画も松田翔太を目当てに観たら、むしろドラマと比べて物足りないかもしれない。犯人の中国人二人組に焦点があてて作られた作品になってます。そこに徹することが出来ているところが大事で、これをヘタにラストで松田翔太を大活躍させちゃったりしたら、全体のバランスが崩れちゃうからねぇ。松田翔太は相変わらず、それ、松田優作だろ!と言いたくなるような演技を見せてくれます。個人的には、ヤクザの親分役の真木蔵人がいい味出してたなぁ。部下に松田翔太を「泳がせておけ」と言ったら、馬鹿な部下たちが翔太を川の中に放り込んでしまって、それを見て「ちがうよ」というシーンの言い方が絶品だった。

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2017年08月28日

『ローガン』まさに王道のおじさんと少女のロードムービー



正直なところ、「勝檻唯釘痢廛轡蝓璽困呂修譴曚匹北滅鬚い箸盪廚辰討い覆ったんですよね。だから新三部作に至っては観てもいないし。ウルヴァリンのスピンオフは日本が舞台のやつは真田広之が出ていたので一応は観たのだけれども、期待していたほどではなかった印象でした。しかるに、しかるに、この新作『ローガン』は面白い。全部観たわけではないけれども、今まで観た「X-MEN」シリーズの中では群を抜いて面白いですし、「X−MEN」を観ていない人でも十分に楽しめる作品になっています。

話はX−MENたちの戦いが終わり、誰もミュータントなど思い出さなくなった未来の話。ウルヴァリンはかなりしょぼくれた感じでハイヤーの運転手なんかをやっていたりします。そして、そのウルヴァリンは案外に義理堅いんですが、認知症になりかけたプロフェッサーXのお世話をしてたりもする。

そんな彼が事件に巻き込まれてある少女と出会うわけです。このスパニッシュ系の少女が、やたらにカッコいい!! あんまり言ってしまうとネタバレになってしまいますが、ウルヴァリンはこの少女と一緒に旅をすることになるのです。

この作品が面白いのは、様々な映画の血を引き継いでいるからですね。たとえば、これは実際に劇中でも『シェーン』を観てるシーンが出てくるのですが、西部劇の影響を色濃く受けている。『シェーン』などの全盛期の西部劇もそうですし、やはり、ウルヴァリンに扮するヒュー・ジャックマンが若い頃のイースト・ウッドに似てるからというところもあるのですが、私はどうしてもイーストウッドの作品を連想したりしてしまいます。

それに加えて、少女とおじさんが荒野を旅するロードムービーは、アメリカでは『ペーパームーン』、ヨーロッパでは『都会のアリス』などの傑作がある、ある種の王道パターンですよね。もっと濃い話なら、ナボコフの「ロリータ」を映像化したキューブリックやらエイドリアン・ラインやらの話もありますしね。おじさんとは少女と旅するために生まれてきたのではないかと思ってしまうくらいにはまる状況です。日本で言えば、タモリが少女を誘拐して旅する『キッド・ナップ・ブルース』が妙に記憶に残ってるなぁ。この『ローガン』もそのパターンをしっかりと踏まえている。

そして、この映画は、アメリカの大地の美しさが描かれている。このこともとても印象深いです。映画の描写そのものはかなり殺伐として残酷なシーンがあるものの、全体としては静謐なイメージも持っていて、孤独に生きてきたおじさんと、野生児のような凶暴な少女との旅が描かれた、エンターテイメント作品の枠を超えて心に残る作品になっていると思います。うん、面白かった。


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2017年08月27日

『哭声/コクソン』あまりに怪しい國村隼の魅力に酔いしれる



これは本当に、絶対にお勧めです。ビックリするくらい面白い。後で調べてみたら、監督は『チェイサー』『悲しき獣』のナ・ホンジンだったんですね。どっちももかなり面白かった記憶があります。國村隼がパッケージの表紙に出てる韓国映画なんもんで、珍しいなぁと思って借りてみたら大正解でした。

正確にはゾンビじゃないけれど、ゾンビっぽいのも出てくるし、この映画はゾンビ好きも國村隼好きも満足できる作品に仕上がってるんじゃないですかね。うん、大体その二つをカバーしていれば、平均的に日本人の大半が含まれる気がしますね。

舞台は韓国の田舎の村。平和なはずの村に次々と殺人事件が起こります。犯人は放心したような状態で頭がおかしくなっていて。そして、その一連の事件がふらりと村にやってきたある怪しい日本人の仕業なんじゃないかという噂が流れていて。

その日本人が國村隼なわけなんですが。この映画、けっこう長い映画で、最初は普通に刑事物なのかと思ったり、案外、日本人に対する恐怖を描いた映画なのかなと思ったりしながら見ていったんですが、後半ではどんどん話が展開していって、すごいことになってます。何より、國村隼の不気味さが半端ない。ラストのところなんて、もう怖くて怖くて、痺れます。

韓国の田舎の風景が美しく、全体的に非常に緊迫感を保った映像で、硬派な演出だけれども、決してテンポが悪いわけではなく、さらにあっと言わせる展開もあったりする、言うことなしなおすすめ作品でした。



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2017年08月17日

「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド2」本家に迫る勢いか!

フィアー・ザ・ウォーキング・デッド2 Blu-ray-BOX
キム・ディケンズ
KADOKAWA / 角川書店
2017-09-08



「ウォーキング・デッド」のスピンオフ、「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」のシーズン2の後半がレンタル開始していたので観てみました。いや〜、シーズン2になってどんどん面白くなってきたなと思っていましたが、この後半部分は本家の「ウォーキング・デッド」に迫る勢いですね。本当によく出来ている。

トラヴィスの息子クリスのその後についてのエピソードとか、きっついんですよねぇ。トラヴィスはクリスと別れるとき、クリスに「バカ野郎」って怒鳴ってしまって、そのことでトラヴィスはもう再会できないかもしれないのに、あんな言葉を言ってしまったと後悔するんです。でも、その気持ちは見ている側も一緒で、こっちも見ながらクリスに対して、「バカ野郎」って思ってたわけです。さらに言えば、絶対にクリスはあんな男たちと一緒に行ったら酷い目にあって後悔するに決まってる! いやむしろ酷い目にあってしまえ!と。そうしたら、後悔するどころか、それ以上の最悪の結果が待っていて、観ているこちら側も、クリスに対して「酷い目にあってしまえ」と思っていた自分を思い返して、何だかもう、どうしようもなくやるせない気持ちになってしまう。

クリスはどうしようもないやつでしたが、逆にむしろ最初どうしようもないやつだったけれども、成長が著しいのがニックですね。これはシーズン3以降のテーマとなるのかもしれませんが、クリスがあまりにも成長してしまったために、もはやマディソンと再会出来たとしても、一緒に行動するのは難しいんじゃないかという気がしてきました。もしニックと再び共に暮らすとしたらマディソン側も変わらないといけなくなる。う〜ん、どうなるんだろう。

本家の「ウォーキング・デッド」がシリーズが続いてくるにつれて、だんだんキャラがどんどん固定化してきて、リアリティっていう意味では乏しくなってきているところもありますよね。たとえばキャロルが無敵とか、ダリルがずっとボウガンとか。その点で、まだ登場人物も真新しい「フィアー〜」の方がより現実と地続きな感じがして、本家にとっても手ごわいライバルになってきたような気がしますね。アメリカではすでにシーズン3が放送中みたいなので、あぁ、早く続きがみたい。

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2017年08月16日

『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』ゾンビってか、ミイラだなぁ



トム・クルーズ主演のミイラ映画。どうも、マーベルのアベンジャーズやらDCコミックスのジャスティス・リーグやら、このところセットで関連づけて映画を作って、全部観させるみたいな戦略が流行ってるじゃないですか。これもそんな感じで、ミイラ男やフランケンシュタインやドラキュラ、そのあたりの昔のホラー映画をユニバーサルがシリーズ化してリブートしていくシリーズであるダーク・ファンタジーの第一作目ということです。1932年の『ミイラ再生』という映画のリブートらしい。ラッセル・クロウ扮するジキル博士が狂言回し的な人物をやるようです。次回作はハビエル・バルデムのフランケンシュタインとのこと。

ただ、映画全体の出来としては中途半端な気がしたなぁ。まぁ、これからシリーズが続いていくっていう話だからということかもしれないけれど、変な秘密結社を率いるラッセル・クロウの存在は説明不足というか、バランスを欠いて突っ込まれている気がするし、たとえば同じミイラ話を現代の復活させた『ハムナプトラ』の方がかなりエンターテイメントを前面に打ち出していたのに対して、こちらの方がよりダークな面が強調されているのだけれど、その部分が半端な気がして。やるなら、もっとダークな映画にすればよかったし、でもやっぱり家族で楽しめるエンターテイメントにしたいなら、もっと楽しい映画にすればよかったかなぁと。怨念が中心の映画でも、ホラーが中心の映画でも、家族で楽しめるエンターテイメントでもどれでもいいのだけれど、どれにも焦点を当てられずに、微妙な感じの仕上がりになってるかなぁ。すごくつまらない、というほどではないのだけれど。

ただ、そんな中で王女アマネット役に扮したソフィア・ブラテはよかった。彼女の怪しい魅力が映画をもたせたって気がします。あと、関係ないけど、ラッセル・クロウって役作りなのか、現実でもそうなのか、太って年取ったなぁ。トム・クルーズに向けて、若いから平気だと思ってるだろうみたいなことを言うシーンがあるんだけれど、(もちろんハイド博士の過去は明らかになってないから本当はとんでもなく年を取っているのかもしれないけれど)、あれ、実際はラッセル・クロウよりもトム・クルーズの方が年上じゃないか?と思い、ウィキペディアで調べてみたら、確かにトム・クルーズが55歳、ラッセル・クロウが53歳とちょっとだけだけどトムの方が年上だった。ただ、ラッセル・クロウが年を取ったというよりも、トム・クルーズが年を取らな過ぎ?


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2017年08月15日

お誕生日に自分へのご褒美

実はこの連休中に誕生日がありましてね。ちょうど夕方まで新宿に用事があったので、何かこう、贅沢の限りを尽くして最大限に自分にご褒美をあげようと思いまして。そこで思いついたプランが、銭湯 → ステーキ → 映画!! と。

調べてみると新宿に「東宝湯」っていう銭湯があるんですね。東新宿の方なんですが。あれ、これって映画の東宝と関係あるのかな?って思ったり、しかし、東宝の本社って確か銀座だよなとも思ったり。この日はTOHOシネマズに行こうと思っていたので、東宝から東宝だな、割引とかにならないかなと思ったり。ただ、行ってみると、まぁ、全然、映画とは関係がなさそうな、昔からある庶民的な銭湯なんですが、うん、こういうところ好き。銭湯の前が階段になっていて、何とも言えない味わいのある街並みが残されています。

東宝湯


そこでひとっ風呂浴びて気持ちよくなって、タンクトップにタオルを首からぶら下げたまま、地下鉄の東新宿駅のすぐ側にあるペッパーランチへ。そう、庶民の味方ペッパーランチ。お祝いだからビールもつけてしまう。それでも、1500円いかないというお手頃さ。素晴らしい。なんだかんだ言って、いきなりステーキはそれなりに高いんだよねぇ。

ステーキ


久しぶりにステーキを食べてテンションが上がり、そこからTOHOシネマズへ。ゾンビが出てくるという噂を聞いたのでトム・クルーズの『ザ・マミー』を観ることに。映画自体の感想は別の記事で書くとして、ただ、この日僕の隣に座った中国系の若い女性が、ずっとスマホをやってるんです! そういうの一度気になり出すとついつい目が行ってしまって、どうもLINEやAMAZONやYAHOOの画面を行ったり来たりして、どのTシャツを買うかを友達と相談したりしているみたいな感じで。あ、中国系だって分ったのはLINEの会話が漢字ばっかりだったからなんだけど。

スマホの画面てかなり光るから気になるじゃないですか。でも、こういうの注意するのって勇気がいるよなぁ、どうしようかなぁと思いつつ、すぐ終わるならいいやと思ったら、本当にずっとやってるんで我慢できずに耳元で小声で「まぶしいです」って言ったら、分ってはくれたみたいで。でも、その後もハンドバックで僕の方を遮って光が漏れないようにして、それでもずっとスマホを続けていて。まぁ、こちらにあんまり光が来ないなら、いいんだけどさ。

う〜ん、しかし、彼女は何で映画に来たのだろう? 日本は普通のロードショーの映画は定価なら1800円で、そこそこの値段するのに、なぜ映画を観ずにずっとスマホで友達と買い物する会話をしてるんだ、それなら喫茶店でコーヒー飲みながらやれば、ずっと安上がりじゃないか?

どうなんだろうなぁ、中国では劇場でスマホをやるのは割と普通なのかなぁ。あるいは、推測だけれど、彼女は日本語も英語もそれほどには得意じゃなくて、僕が「まぶしいです」って言って分かったのは、一緒にスマホを指さしたからで、英語の映画を日本語字幕で観たら、思ったよりも訳が分からなくて、もう爆発したり怪物と戦ったりする言葉関係ないところ以外の会話をしているところは、わけわかんなくてつまんないからいいやっていうような気持ちになってたのか…

そんなわけで極上の贅沢コースを用意したのだけれど、劇場の隣の人のスマホのために微妙にもやもやした気持ちになってしまったのでした。ただ、それはそれとして、映画の出来もそこまでではなかったものの、それでも全体としてとても心地よい誕生日を過ごせました。

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2017年08月11日

『セル』ゾンビ+キング+電話!



スティーブン・キングが原作で、正確に言ったらゾンビではないのかもしれないですが、一応、ゾンビ物の亜流作品と考えていいでしょう。そして、携帯電話がキーになっているんですよね。携帯電話をかけている人がみんな苦しみだして、ゾンビみたいになって人を襲うようになってしまう。人々がみんなゾンビ化した街を、ジョン・キューザックやサミュエル・L・ジャクソンが旅をしていくわけです。荒廃した世界の雰囲気は悪くなくて、役者たちは当然キャリアのある人たちなのでしっかりとした仕事をしてくれていて、携帯電話が発端というのも面白い。ただ、話がどんどん広がったわりには、終わり方は何だかよく分からない感じのままなんだよなぁ。これは原作を読んだらもう少しすっきりするものなのだろうか。このままだと何がどうなったのかも分からないし、誰がどうしようとしているのかも分からないし。最初、面白いかな? と期待したものの、最後まで観たら妙にフラストレーションがたまってしまう感じでした。う〜ん、期待しただけにちょっと残念。

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2017年08月10日

「フリーキッシュ 絶望都市」ゾンビ+ハイスクール物



これまたゾンビ物の海外ドラマの新作。「ウォーキング・デッド」に始まり、そのスピンオフの「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」、「Zネーション」、「ヘリックス」、さらには「ザ・ストレイン」とかなりゾンビ物のドラマは量産されてますねぇ。これはもうゾンビドラマという一つのジャンルとして定着したと言っても過言ではないですね、はい。

まぁ、量産されたらそれだけ差異化をさせる必要があるわけで、この「フリーキッシュ」は他のゾンビドラマと比べてどこが特徴なの? と言えば、ハイスクール物であるってことなんですね。ただなぁ、実は僕はあんまりこのアメリカのハイスクール物がしっくりこないようで、イマイチのれない。キャラクターもそれぞれステレオタイプな気がしてしまって。やっぱりねぇ、『ハザード・オブ・ザ・Z』の感想でも書きましたが、以前ならゾンビが出て来るだけで、もうそれだけで喜びを感じられたものでしたが、こうも質の高いゾンビドラマが街にあふれてしまっている現在では、この「フリーキッシュ」くらいだとインパクトが弱いなぁ。なので、せっかくのゾンビドラマの新作だけれど、今一歩印象に残らず。ただこの先も続きそうなので、今後に期待というところか。

i_cinema at 21:48|PermalinkComments(0)ゾンビ | 海外ドラマ

2017年08月09日

そう言えば、今日は

そう言えば、今日は、ムーミンの日みたいですね。
ま、だから、どうだってことはないんですが。

スナフキンの本

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2017年08月08日

フジロックフェスティバル 2017年7月30日 この日は水曜日のカンパネラだなぁ。

さてさて、フジロック最終日の感想です。実はこの三日目の午前中は、特にこれが!! というものがなかったために、フジロックに毎年行っていて、いつかは乗りたいと思っていたドラゴンドラに乗ったんですよね。ドラゴンドラって何だ?と言われると、レッドマーキーの少し奥の方から出ているロープウェイですね。もともとフジロックのためのものというわけではないのだけれど、そしてドラゴンドラっていう名前でもないのかもしれないけれど、フジロック期間中はドラゴンドラという名前になって、フジロックの施設のひとつと化してしまうわけです。このロープウェイ、すごい長くて、全部で20分以上乗っていて、本来ならなかなかの長めなわけだと思うのだけれど、この日はあいにくの雨や曇りでちょっと残念だったわけですが、そのドラゴンドラでたどり着いた先の高原ではDJブースがあって、ガンガン音楽がかかっていて、なぜかハイジの着ぐるみを着た人が走り回ってたり、ドラッグクイーンみたいな格好のお姉さんがLOVE&PEACEな旗を振ってたりと、なかなかの空間になっているわけです。

そんなドラゴンドラ体験をして、そして、この日はフィールド・オブ・ヘブンのLOVE PSYCHEDELICO始まり。デリコも結構前で観られたんですよね。初めて観たのだけれど、やっぱりいい声だなぁと実感。そこで、僕はレキシを観にホワイトへ。ちなみに僕の友達は戸川純を観に行ってましたねぇ。戸川純に関心がないわけではないけれども、最近そこら中でレキシが面白いっていう評判を聞くので見ておきたいなぁと思っていたので、ホワイトの方へ。いや〜、そしたら、やたら込んでました。ヘブン側からホワイトへは入場規制がかかって、まったく入れないわけではないのだけれど、少しずつしか入れない感じで。ただ、山の上から待っているときも、演奏は聞こえていたので、まぁいいかなと。やっぱりMCが抜群に面白かったですね。なんでもフジロックへは5年前に出たいって言ったら、コミカルすぎるから駄目と断られてしまったとか。それで腹いせに「武士ロック」っていう曲を作ったらしいです。その武士ロックをフジロックにして歌ったりしてましたねぇ。なんとも楽しいステージでした。

そして、グリーンでYUKIを観ました。いや〜、いくつだ? っていうような可愛らしい格好であらわれて可愛らしいダンスをしてましたねぇ、なんでYUKIはいくつになってもあんなに可愛いんだろう?? 結婚して子どもがいるんですよね。う〜ん、想像がつかない。

で、YUKIを途中で切り上げて、レッドマーキーのGRAPEVINEへ。GRAPEVINEは昔よく聴いていたんですよね。「羽根」やら「光について」やら、いい曲だった。ところで前の日にテントで寝る前に友達とビールの見ながら話していて、僕が明日GRAPEVINEに行くといったら、友達がGRAPEVINEを検索エンジンで調べようとしたら、「売れない」「なぜ売れない」「永遠のブレイク寸前」とか、そういうページがいっぱい出てきたと言っていて。確かに、GRAPEVINEって20年くらい前にこのバンドすごいなぁ、いつか売れるんだろうなぁと思っていたものの、もちろん売れてないことはないんだろうが、思ったほどメジャーにはならなかったですよねぇ。もっと人気があってもいいのになぁ。まぁ、しかし、ステージを見ると、そんなネット上での噂話はどこ吹く風で、やっぱり思ったとおりにかっこいいステージを見せてくれましたね。最近のアルバムも聴いてみたくなったな。

それからオアシスでカツカレーを食って、再びレッドマーキーへ。THE STRYPESですね。今回はなんだか邦楽ばっかりで、さらに言ったらキャリアの長い人たちばっかり見ていたけれども、このTHE STRYPESは洋楽だし、さらに若い! みんな二十歳くらい! ちょっと信じられないですが、16歳くらいからやっている連中で、フジロックも2回目だったりします。やっぱりねぇ、若いだけに意気がいい。そして、いかにもロックンロールな曲をハイテンションで聴かせてくれて、もう年が半分くらいの小僧たちの演奏だけれどもすごく楽しませてもらった。これは最後まで聴きたいなぁと思いつつ、しかし、Bjorkは見逃せないしなぁと思いつつ、後ろ髪をひかれる思いで、途中で抜けて、グリーンへ。

三日目のヘッドライナーはBjorkでした。実はビョークは僕は以前に日本科学未来館で最前列で観たことがあって(多分、目が合った)、そのインパクトがものすごく強いんですよねぇ。それがあるので、しかもちょっと後ろの方から見たので、やや刺激は薄かったような気はしたのですが、ヒット曲も盛り込んで、そして映像がすごく凝っていて、最後には花火が打ちあがって(雨が止んでいてよかった)、ゴージャスなステージでした。それにしても、林家パー子みたいな派手なピンクの服を着て、ケーキの下についてる紙みたいなのを被ってて、目にも謎の透明な仮面をつけてて、相変わらず、訳が分からない格好をしてたなぁ。

で、ビョークを観たらテントに帰ろうと思っていたんですよ。いや〜、今年のフジロックも終わったって。ただ、友達が水曜日のカンパネラに行きたいといっていて、そしてフジロックに来ているってメールのやりとりをしていた別の友達からも水曜日のカンパネラ観た?って聞かれて、何だこれは全然よく知らないけれど、ヒカシューの方が知ってるんだけれど行った方がいいのか? って思って、ちょっと疲れた体を引きずりつつ、レッドマーキーで水曜日のカンパネラを。その友達に水曜日のカンパネラってどんな音楽?と聞いたら帰って来た答えが、「女電気グルーヴ」だったんだけれど、実際に聞いてみたら、全然そんなんじゃない!! うーむ、強いて言えば、「テクノ椎名林檎」か? 

しかし、パフォーマンスはすごかったですねぇ。かなり度肝を抜かれました。でっかいゴムボールみたいなものの中に入って、そのボールごと客席の中に放り出されるんですよね。そうして、客がそれをどんどん大玉ころがしのように転がしていって、本人はその中でぐるんぐるんに回転しながら歌い続けている。そして、レッドのもう真ん中くらいまできた客席の中心で、あれは台車みたいなのに乗ってるのかなぁ、頭一つ出して歌っていて、そうすると当然周りはスマホで写真を撮るわけだけれど、彼女はその客のスマホを奪い取って自撮りをして返したり、子どもを抱きかかえて持ち上げたり、何かもう、そんなことまでしてしまうのかと! ここは、ちっちゃな自分のファンだけが来るライヴハウスじゃないんですよ。どんなやつらがいるか分からない、大型フェスの会場で、レッドマーキーは5000人以上入るハコなわけですよ。そんなところで、ここまでしてしまうのかと! さらに水曜日のカンパネラ、コムアイはどんどん客席に降り立って、すると客席がモーゼの十戒のように開いて、そこから歩いて結局、レッドの外まで行ってしまって。えぇ! まさか会場に入りきらずに外から覗いていた人たちは、こんんな側までコムアイが来るなんて絶対思ってなかっただろ! そして、そのまま彼女はどこかに消えていってしまいました。う〜ん、驚いた。正直なところ、歌詞が面白いらしいのだけれど、あんまりはっきり聴き取れなかったのでそれは残念なのだけれど、このパフォーマンスにはやられました。いや〜、いつ死んでもかまわないって思ってそうな人でした。それにしても、友だちから昨日が戸川純を観たって言ってた話を聞いていたから、なんかこう、新旧のエキセントリックな女性アーティストの系譜を感じさせられたなぁ。

ということで、今年のフジロックは過ぎていったのでした。誰がよかったかって? 個人的には思い入れがあって目の前で観たCoccoが一番なのだけれど、会場の盛り上がり的には小沢健二がすごかった。パフォーマンスのとんでもなさでは水曜日のカンパネラが印象的だったですね。あと、MCはグループ魂? そう、邦楽ばっかりになってしまった。来年はもっと洋楽も聴きたいな。そして、初日の感想の最初にも書いた通り、やっぱり今年は20年前の大学生の頃のことを色々と思い出したフジだったかなぁ。

i_cinema at 22:23|PermalinkComments(0)フジロックフェスティバル 

2017年08月03日

フジロックフェスティバル 2017年7月29日 Coccoは今でもこんなにも真っ向勝負なんだ!

朝は6時に起きて例年通りに掘っ建て小屋みたいなところでシャワーを浴びて、2日目の朝から来る知り合いと待ち合わせてテントまで連れて来たりしつつ、この日はグリーンのサンボマスターをちらりと。いや〜、やつらは相変わらず熱いねぇ。とんでもなく熱いねぇ。あんなそのへんの中華料理屋で炒飯食べてるような顔しているにもかかわらず、熱いステージを見ていると、だんだんカッコよく見えてきてしまう。

しかし、お目当てはサンボではなかったので、そこは途中までみて、ホワイトステージに異動。ところで、グリーンステージからホワイトステージの間に、去年あたりからだっけな、グッズ売り場じゃなくてトイレが出来たけれど、ここがトイレになったのは助かるよねぇ。

ではホワイトはH zettrioというピアノを中心としたトリオを観に行きました。実はこのピアノの人、ヒイズミマサユ機さんは、東京事変でキーボードをやってた人みたいなんですよねぇ。東京事変っていったら、みんな気持ち悪いくらいに上手いミュージシャンが揃ってたから、きっとすごいに違いないと。ピエロ姿で現れて、楽しそうに色々と弾きまくってくれました。鍵盤を叩きながらステップを踏むのとかすごいよなぁ。ただ、正直なところ、フェスは食い合わせ的なところもあって、その前にサンボの絶叫を見てから来てしまったので、ジャズのトリオの演奏は若干地味に感じたってところはあったかなぁ。もちろん上原ひろみくらいの派手さがあれば違うのかもしれないけれど。

そして、再びグリーンへ。グリーンではウクレレで超絶テクを披露する日系ハワイ人、ジェイクシマブクロが登場。いや〜、これは本当にすごかった。僕は実際のところ、ウクレレの上手い人なんて、高木ブーが上限だと思ってたんですよ。しかし、ジェイクシマブクロのウクレレはもうまるで別の楽器みたいですね。音だけ聴いたらウクレレだって分かんないくらいに。どうやったらウクレレであんなに速弾きが出来るのか、そしてどうしてウクレレでクイーンの「ボヘミアンラプソディ」をオペラパートまで含めてコピーしようと思ったのか。もう、あんまりすご過ぎて、今後は僕は「あ、ウクレレなら弾けるよ」なんて気軽に人に言えなくなってしまった。。。そして、ジェイクその人も、なんかすごく笑顔が爽やかで、おまけに今年のフジロックのオフィシャルTシャツを着てて(まさか、オフィシャルグッズ売り場の長蛇の列にジェイクシマブクロが並んでたり!?)、何だか海外ドラマに出てくる、頼りになるいいもんのアジア人って感じでイカしてるんですよ。これは観れてよかった。

その後、同じくグリーンステージで、Cocco登場。このブログでも何度か書いたかもしれませんが、僕は昔、Coccoがすごく好きだった時期があって。今ではあまり聴かないけれど、確実に僕の人生の一時期にCoccoは深く食い込んでいて、何かCoccoは他とは違うぞということを感じていて。このブログは映画がメインなので、さらに言うと、おそらくは是枝裕和も、塚本晋也も、岩井俊二もずっとそう思っていて、今がチャンス!と思って映画に使ったんじゃないのかなぁ。ジェイクシマブクロが終わり、ちらっとみるとモッシュピットはまだ空いていて、これは!?と、入れ替えですぐにモッシュピットに突入すると、なんと一番前の位置をゲットできてしまった。4万人以上入るフジロックグリーンステージの一番前の席!! いや〜、グリーンの一番前に陣取れたのなんて、ルート17での吉川晃司以来だ。そして、入れ替えで1時間をじっと柵に寄り掛かって待っていて、いよいよCocco登場。しかし、どんな感じで現れるんだろう? どんな曲をやるのだろう? と思っていると、しょっぱなからひたすら激しい曲をガンガンにヘッドバンキングをしながら絶叫して歌い上げて、間近で見たからというのもあると思うのだけれど、何だかもう鳥肌が立ってくるような感じでした。僕はCoccoはライヴを観るのは初めてなのですが、渋谷で演劇をやったときに一度見たことがあって、演技もかなり面白かったのだけれど、やっぱり、ライヴはすごい。Coccoは今でもこんなに全力勝負なのだ、というかこの娘は全力勝負しか出来ないんじゃないかと思うと、何か今にも死にそうな感じだったCoccoがこうして20年後にも、こんなにも真っ向勝負でライヴを行うことが出来ていることが、すごくありがたいことのような、大袈裟に言ったらCoccoがまだ元気で生きていてくれるから、自分も日々の仕事に追われながら生きていけるようなそんな気さえしてきたのでした。ライヴ自体はかなりベスト盤的な内容で、「強く儚い者たち」も「Raining」も「樹海の海」も「けもの道」もやっていました。バックの演奏もきっちり再現していて、かなり良かった。こんなに間近でこんなに全力のCoccoを観れただけでも、本当に今年のフジに来られてよかった。

そして、Coccoに打ちのめされて、オアシスで飯を食って、アヴァランチーズへ。アヴァランチーズは去年来る予定だったのが、来られなかったんですよね。その代わりにベンジー率いるSHERBETSが来て。ま、シャーベッツを観られたのでそれはそれでよかったけど。去年のリベンジに登場したアヴァランチーズ。何だか露出が多いセクシーなお姉さんが出てきて、陽気に華やかに歌い、ラッパーも登場して、にぎやかなステージでした。何かねぇ、さっき鬼気迫る顔で絶叫しているCoccoを観たばかりだから、セクシーに笑顔を振りまいて歌っている女性シンガーを観ると、現実感を取り戻すっていうか、まぁでも、女性シンガーの自己実現も色々なパターンがあるよねぇと。あ、そうそう、一緒に観た友達とも話したのだけれど、このバンド、ギターの音が全然聴こえなかったなぁ。白いSGを使ってたけど。

で、ここからグリーンのコーネリアス、ホワイトの小沢健二と続くわけです。しかしですよ、グリーンのコーネリアスが終わってから、ホワイトのオザケンが始まるまでの間に10分しか間がないんですよ。10分って言ったら、空いているときに早足で行ってたどり着けるかどうかっていう時間なので、どう考えてもコーネリアスを聴きたい人はオザケンも聴きたいに決まってるから、その10分での移動は不可能だろうと!! おそらく、みんなこのタイムスケジュールを恨みに思っただろうねぇ。

そうそう、もちろん、音楽好きの間ではコーネリアスはそうとう評価の高いバンドだし、さらには小山田圭吾も尊敬を集めるミュージシャンですよ。ただ、一般的な人気や知名度はオザケンの方がずっと高いというのもまた間違いないでしょう。どっちが集客する?って言ったら、そりゃオザケンじゃないかと普通に考えて思うわけです。しかし、コーネリアスがグリーンで、オザケンがホワイト。どんな理由なのかは僕は分からないけれども、でも、あえてそうしたとしたら、何となくむしろフジロックのカッコ良さを感じますね。コーネリアスはこれまでもフジロックに出ているし、小山田圭吾だったらYMOでも来てたし、何度も来ているはず。さらには音楽業界全体の貢献で考えても小山田圭吾の功績は絶大なわけです。そう考えると、今年人が入りそうなオザケンをグリーンにするのではなく、コーネリアスの方をグリーンにするという選択は、納得だし男前だ! って、勝手に僕が今想像しただけだから、そういう理由じゃないかもしれないですけどね。

そして、そのコーネリアス。やっぱり、今聴いてもひたすらお洒落だなぁ。小山田圭吾のギターが上手いのはもちろん、とんでもない変拍子に完璧に対応しているドラムの人もすごいし。実は僕は20年前はコーネリアスはあまりピンと来なかったんですよね。音楽にやたら詳しい友人はすごく評価していたのだけれども、僕はそれほどピンときてなくて。っていうか渋谷系全般にピンと来ていなくて。ただ、今、20年経って改めてコーネリアスを聴いて、本当に面白いバンドだなぁと。まぁ、自分で言うのもなんだけれど、僕は地の音楽偏差値はあまり高くないから、コーネリアスのよさが分かるのには20年かかったということかもしれないし、ひょっとしたら自分が楽器を習い始めて、お遊びだけれどもバンドをやったりして、ようやくすごさが分かるようになったのかなぁと。

ただ、コーネリアスが予想以上によかったので、かなり後ろ髪をひかれる思いだったのだけれど、しかし、やっぱりオザケンも観たい! ということで、最後まで観ずにホワイトへ。結果的にはこの選択はあたりで、ホワイトは入場規制がかかったから、オザケン途中からでもいいやとコーネリアスを最後まで観てたら、ホワイトに入れなかったかも。だけどですねぇ、本当にとんでもなく混んでましたよ。ホワイトはときどきそうなっちゃうんですよねぇ。にしても、あそこまでもみくちゃな状態を経験したのはいつ以来だろう? もちろんモッシュピットの前の方に行ったらべつですけれど、ホワイト全体がモッシュピット状態の混みようで、僕は後ろの方にいたんだけれど、始まる直前とか「急病人がいますので道を開けてくださーい」とかって後ろから聞こえてきたりして。あんまりぎゅーぎゅーづめの満員電車状態、おしずし状態だったから、そりゃ、ぶっ倒れる人もいるよなぁと。そして、照明が消えて、何とラップが聞こえてくる。え、え、まさか、この曲から? この曲からってことは、やつらとの共演は!? そう、いきなり「今夜はブギーバック」で幕開け。もう周り中が大合唱でギューギューづめなのにみんな飛び跳ねるからもう押しつぶされて死にそう。だけど、僕もまさかいきなりスチャダラパーと一緒に出て来るとは思わなかったから、妙にテンションが上がってしまって、一緒に大合唱。そう、オザケンはステージのスクリーンに、ステージの映像を映さないで、ずっと歌詞を字幕みたいに映してたんですよね。だから、それを見ながらみんなも大合唱出来るわけで。

その後はヒット曲だらけで、「僕が旅に出る理由」も「ラブリー」も「強い気持ち・強い愛」もやってくれました。バックにはスカパラから何人も来て、ホーン隊が入ったとっても賑やかなバンド編成だった。何かねぇ、オザケンは一時期、世の中から遠ざかって隠遁していた時期があったから、おそらくみんなもまたこうして往年のヒット曲を大観衆を前にして熱唱する姿を見られるとは思っていなかったろうから、周りは異常な熱気に包まれていたわけなのだと。

しかし、実際のところ、やっぱりあんまりライヴをやってなかったっていうことがあるのか、オザケン自体は声が出てなかったですね。そうCoccoなんかはすごい出てたけど。あと、ギターに関しても、これは直前に小山田圭吾を観ちゃってるんで致し方ないが、そんなに上手くはなかったなぁ。ただ、別にそれはいいんです、声が出てなかろうが、ギターがそれほどだろうが、あの大観衆はオザケンがそこにいるというだけで、もう奇跡のようなことなのだから。

基本的には往年のヒット曲をサービス満点にやってくれたのだけれど、途中で「流動体について」というひとつ前のシングルをやり、そして最後に最新の「フクロウの声が聞こえる」という曲をやりました。MCで言っていたのはこの新しい曲をやりたいからここに来たんだと。オザケンっていうのは、とても不思議な人で、僕もよく掴めないのだけれど、以前のヒット曲は言葉の使い方はおしゃれでセンスがよかったけれど、基本的にはかなり能天気な恋愛話を歌っている人だったですよね。それが次第に非常に抽象的な内容を歌うようになっていって。そして、しばらく活動を休止して、たまにCDを出したと思ったら、ヴォーカルのないアンビエントミュージックだったりもして。今年の頭に出た「流動体について」がそういう抽象的な歌詞の曲なんだけれども、バブルっぽい華やかでおしゃれな恋愛話で人気になったオザケンが、この歌詞の曲じゃあ売れないだろうという感じがするし、別に観念的で哲学的な詩を表現出来るミュージシャンは他に沢山いるし(ただその多くは人気がない)、オザケンのよさは発揮されないなぁと。ただ、最後にやった新曲、僕自身はオザケンが往年の名曲をやってくれたことよりも、この新曲に感動したのだけれど、すごくいい曲だった。この20年の間のオザケンの思索が、「流動体について」のような抽象的な言葉ではなく、非常に具体的なイメージと結びついて歌われていて、分かりづらすぎない、しっかりと地に足のついたメッセージソングになっていたのです。やっぱり、オザケンがどんな人かは分からないのだけれど、おそらくはこの長い時間にオザケンの中でも色々な変化があり、悩みや試行錯誤があったんだろうなぁと思われて、きっとオザケンは深刻ぶってそんな話はしない人だろうけれど、そうした日々を実らせようとこの新しい曲を書いたんだろうなぁと。

そして、実はオザケンはこの日はホワイトステージだけではなく、夜中にピラミッドガーデンという苗場プリンスの奥の小さなステージでもう一回やる予定だったのですよね。ホワイトのステージの最後でそのことを宣伝して、「ここにいる全員来てくれ」と言ってましたけれど、いやいやいやいやいや、ホワイトがすしずめなんだから、あの狭いピラミッドに入りきるはずがない! 死人が出るぞ! ということで、これは無理だなぁと、実は本当に期待できるのはピラミッドで少人数相手に少人数のバンドでやるステージの方なんじゃないかという気もしたのだけれども、こちらは諦めることに。おそらく、ピラミッドでオザケンを観るためには、グリーンのヘッドライナーのエーフェックス・ツインを丸ごとすっ飛ばして、そのままピラミッドに向かうくらいじゃないと無理なんだろうなぁ。

さてさて、そこでエーフェックスツインを聴きにグリーンに行ったのですが、このあたりでもう雨がとんでもなくザーザーぶりになっていて。20年来使っている僕のレインスーツはちょっとくらいの雨ははじいてくれるけれども、とんでもなく降ってくると、すっかり役立たずで水を染み込んでしまって、おまけにオザケンのもみくちゃで体もヘトヘトになっていて、寒〜、冷た〜、腰痛〜っていう感じで、決してエーフェックスツインが嫌いなわけではないのだけれども、しばらくは浴びるように彼の音楽に身をさらしていたものの、もう無理、死んじゃうと思って、申し訳ないけれども、最後まで聴かずにテントに戻ったのでした。これはちょっと残念。雨が降っててもいいけれど、せめてあそこまで土砂降りじゃなかったらなぁ。

ということで、二日目のご報告でした。この日はCoccoとオザケンだなぁ。


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