2021年09月19日

『ペパーミント・キャンディー』これはもう本当に傑作すぎて言うことない



キム・ギドクがこの『ペパーミント・キャンディー』をものすごく褒めてたんですよね。でも、キム・ギドクに限らず、韓国映画の一つのエポック・メイキング的な作品として取り上げられることも多い作品ですね。何となく文芸っぽい作品なのかなと思い、いいのだろうけれどもそこまで期待せずに見始めると、うわ、めっちゃくちゃいい。確かにこれはすごい傑作だ。あんまりいい映画過ぎて、なんだか何がいいのか説明ができるような気がしない。ものすごく緻密に作られている素晴らしい作品なんですよねぇ。韓国の歴史、そして、その中を生きた人の歴史が刻み込まれた作品。僕はずいぶん見るのが遅れてしまったけれども、韓国映画が好きな人なら誰もが観るべき映画ですねぇ。




i_cinema at 22:30|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック イ・チャンドン 

2021年09月18日

『ジェーン・ドウの解剖』どざえもんとかみたいな言い方なんだねぇ。



これはアメリカのホラー映画なんだけれども、設定がちょっと工夫されている感じ。ジェーン・ドウって、身元不明な女性の死体につけられる名前なんですねぇ。たとえば日本では水死体はみんなどざえもんって言われるようなもんなのかなぁ。その身元不明の女性の死体が検死官のところに持ち込まれるんだけれども、解剖を始めると何か奇妙なことが次々と怒り始めて・・・っていうような感じ。まぁ、こういう面白そうな設定のホラー映画にありがちな感じで、設定はすごいけれども、だんだん尻すぼみになっていってしまっている気もしないでもないのだけれども、それでも楽しめる作品にはなっています。



i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック その他のアメリカ映画 

2021年09月17日

『ドゥームズデイ』ウィルス蔓延後のマッドマックス的な?



ウィルスがイギリスで蔓延してスコットランドが城壁で封鎖されるんですね。しかし、そうして封鎖された地区に生き残りの人がいたらしいという話があり、最強の女性兵士がそこに送り込まれる。そして、文明が崩壊して生き残った人たちが住む世界は、けっきょく、パンク野郎たちが戯れるマッドマックス=北斗の拳的な世界になってましたって感じ。なんで文明が崩壊すると人はパンクファッションになるんだろうねぇ。まぁ、気軽に楽しめるっていう感じの映画かな。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック ゾンビ 

2021年09月16日

『AWAKE/アウェイク』みんな眠れなくなる〜



これもNetflix作品。いきなり理由もわからずに人類がみんな眠れなくなってしまったらという設定のディストピアSF。けっこう硬派な感じで作られていて、けっこう渋い感じなのだけれども、うん、こういうのは好き。主演はジーナ・ロドリゲス。不眠症の人たちと同じで、眠れなくても平気っていうのではなくて、眠らないとそれだけ身体的な疲労がたまってくるし、だんだん意識レベルも下がってきちゃうのですよね。そのあたりの設定も妙にリアルで面白い。まぁ、最初の設定が面白いだけに、最後はもう一歩盛り上がりに欠けたなぁと思わないこともないのだけれどねぇ。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック その他のアメリカ映画 

2021年09月15日

「湖へ」感染者よりも出てくる人間たちがみんなしてダメ人間なところが気になる…

これはNetflixのドラマ。ロシアで作られた作品です。ゾンビドラマかなと思ったけれども、ゾンビというよりも、レイジウィルスなのかな。ロシアのゾンビと言えば、「デイ・アフターZ」が有名で、あれはあれで、なかなか独特な感じで面白かったので、こっちも面白いかなと。ただ、こちらはゾンビそのものはあんまり出てこなくて、そのウィルスパニックにまつわる人々の衝突みたいなものがメインになってる。っていうか、出てくる人たちみんなそれぞれダメ人間。そのダメ人間っぷりが面白かったりする。あとは、ロシアのドラマって独特の緩さがある気がするんだよなぁ。風景とか画面からくる雰囲気は北欧に近いのだけれども、北欧のドラマの方が細部まで硬質な感じなんだけれども、ロシアの方はどことなく緩いところがある。まぁ、僕が観た数本の中でということなのだけれども。さて、このドラマはちゃんと更新されるのかな。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック ゾンビ | 海外ドラマ

2021年09月14日

「華麗なる追跡 THE CHASER」おいおい、ジョイナーと松田優作の共演って



香川照之がよく、トーク番組でめっちゃくちゃ嬉しそうに松田優作との共演の思い出を話したりするんですよね。でも、僕はその松田優作の最晩年の、まだ新人の香川照之と共演したドラマは見たことがなかったんです。でも、観たいなぁとは思っていて、それで何となく調べたら、DVDが出てて、観てみたんだけども、なんと、フローレンス・ジョイナーと共演してる!! ジョイナーと優作の共演って、どんな企画なんだよ。そして、最後はジョイナーがすんげぇ走るんだろうなぁと予想していたのだけれども、ネタバレになってしまうけれども、予想通り、すっごい走ってる(笑)

まぁ、ドラマそのものとしては、けっこう雑なところがあったりして、晩年の優作の作品にはもっといいやつがたくさんあるとは思うのだけれども、それでも若々しい香川照之が見られたり、優作の最後の姿が見られたり、優作好きには楽しめる作品になってるって感じかな。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック その他の邦画 

2021年09月13日

『スプートニク』何とも言えず陰鬱で気持ちが悪い。でもそれがいい。



これはロシア映画なんですね。帰還した宇宙船に得体のしれない生物が乗っていて、ロシア政府はそれを捕獲して研究しているのだけれども・・・という感じなのだけれども、全体として何かこう陰鬱で息苦しく救いのない空気が漂っているのですね。そして、その空気感がこの作品の魅力だったりするのです。そして、話は単にエイリアンの恐怖っていうだけでなく、様々なことを隠ぺいする政府たちも恐ろしい。展開もかなり救いがない感じ。いや〜、この映画、そんなにものすごくどうっていう感じではないのだけれども、僕はかなり好きです。



i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック その他のヨーロッパ映画 

2021年09月12日

『キャスト・アウェイ』戻ってからがいいんだよな



今さら観たのかってくらいに有名な映画なんだけれども、今さら観ました。ロバート・ゼメキスとトム・ハンクスが『フォレスト・ガンプ』以来手を組んだ作品です。うん、まぁ、外すわけはないよなぁ。期待通りに面白い作品。飛行機事故で無人島に漂着した主人公がたった一人で生き抜いていくっていう話なのだけれども、それはそれで「ロビンソン・クルーソー」みたいで面白いのだけれども、本当にいいのは、アメリカに戻ってからなんですよねぇ。戻ってからの、自分が取り残されてしまって、他の人の人生の時間は取り返しがつかないくらいに進んでしまっていたということに対する、何とも言えない寂しさと、それでも希望をもって生きていこうとする主人公のあの感じがねぇ。あとは、それ以外だと、バレーボールにウィルソンって名前を付けて、なくなってしまうと、とんでもなく取り乱してしまうところなんかもいいなぁ。

キャスト・アウェイ (字幕版)
ニック・サーシー
2013-06-15



i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2021年09月11日

『ブラッド・レッド・スカイ』母ちゃん実は吸血鬼



まず、プロットが、おぉ? 面白そうじゃんって思わせる感じ。ある飛行機がハイジャックをされるのだけれども、そこには病気の母親とその息子がいて、実はその母親の病気っていうのは、普通の病気じゃなくて、ヴァンパイアになっちゃうっていうもので、お母ちゃんは息子を助けるために、自らヴァンパイアになって戦う。ね、楽しそうでしょ。ただ、見終わってみると、そのプロットの面白さ以外は、そこまで記憶に残るところはないなぁ。まぁ、アイディア一発な感じの作品かなぁ。全体的なトーンはけっこう暗くて、結末もペシミスティックなんですよね。それはそれでアリなのだけれども。ただ、もうちょっと、予想外のはじけ方をしてほしかったような気もするところでした。すごくまじめに作ってあって、そこは好感が持てるのだけれどもね。

i_cinema at 22:38|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック その他のヨーロッパ映画 

2021年09月10日

『トゥモロー・ウォー』わりと、クリーチャーがいい感じなんだよね。



クリス・プラット主演のSFホラーアクション。突然未来人が現れて、未来の戦争を手伝ってくれと言われて、現代人が未来に転送されるのだけれども、そこではエイリアンとの闘いが繰り広げられているのです。そんなにとんでもなく真新しいという感じの作品ではないのだけれども、でも、なかなかうまくまとまっていて、それなりにおバカな感じもあって楽しめる娯楽作品になっていました。そう、クリーチャーがなかなかいい感じなのですよねぇ。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック その他のアメリカ映画 

2021年09月09日

さらば、小林次元。いつかこの時が来ると分かっていたけれど。

jigen1


悪りぃなぁ、ルパン。俺はもう行くぜ。
ホントか?次元よ、さぁみしくなるなぁ。


声優の小林清志さんが次元大介を引退することになりましたねぇ。
なんともう88歳だったのですね。まだお仕事を続けられていたことがビックリですが。
確かにもうここ最近は次元の声が年を取った印象は否めず、他のメンバーが若返っただけに、ちょっと目立ってしまっていましたが、しかし、次元だけはまだオリジナルメンバーのままだというのが、妙にカッコいいというか、すごいというか、牙城というか、そんな気がしていたので、いつかはもちろん引退するのだろうけれども、まだ先の話だっていう気もしていました。
しかし、このときが来ちゃったんだなぁ。

僕はルパンの中で次元が一番好きなんですよ。そして、小林清志こそが次元だった。
あぁ、さらば、次元よ。

次の次元はバトーさんなんですね。「少佐!」という代わりに「ルパン!」っていうのですね。次元が代わってしまって淋しいけれども、次も好きな声優さんになったのが救いです。ちょっとガタイがよい人っていうイメージの声なのだけれども。

そういうわけで、今まで本当にお疲れさまでした!!
素晴らしいお仕事をありがとうございました!


jigen2


i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック アニメーション 

2021年09月08日

『ライフ』これにも真田広之が出てるぞ!



まぁ、これは『エイリアン』の子孫というか、宇宙戦の中で得体のしれないエイリアンと戦わなければならなくなった宇宙飛行士たちの話。そんなにめちゃくちゃ斬新なわけではないけれども、丁寧にしっかり作ってあるので、なかなか楽しめる。あと、何気にキャストが豪華。ジェイク・ギレンホール、ライアン・レイノルズ、そして、我らが真田広之! なんか、真田広之、めちゃくちゃたくさん映画に出てるなぁ。この映画での真田広之は好感の持てるよい人な役ですねぇ。ただ、アクションはないけれどもさ。


i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック その他のアメリカ映画 

2021年09月07日

『アーミー・オブ・ザ・デッド』これにも真田広之が出てるぞ



ザック・スナイダーが『ドーン・オブ・ザ・デッド』以来、久々に手掛けたゾンビ映画。そう、これにも真田広之が出ているんですよねぇ。でも、残念ながら直接真田広之が戦ったりする役ではないのだねぇ。もうちょっと活躍するかと思ったら。さて、『ドーン〜』と比べたら、残酷さはあるけれども、全体的にはライトなムードで進む映画かなぁ。主演は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のドラックスだね。個人的にはもうちょっとシリアスなゾンビ物が好みであり、せっかくザック・スナイダーが作るのだから、『ドーン〜』みたいなのを作ってもらいたかったところはあるけれども、まぁ、まったくつまらないというわけではなく、楽しめる映画にはできている感じ。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック ゾンビ 

2021年09月06日

『モータル・コンバット』(2021)真田広之がやばいくらいにカッコいい!



これはゲームがもとになった映画で、90年代にも一度映画化されているんですよね。まぁ、何ていうか、全体的にバカ映画ではあるんです。そこは否定しても仕方ない。しかし、それにしても、真田広之がカッコよすぎる。この作品、主人公がけっこう微妙な感じなんで、これ、むしろ真田広之が事実上の主役なんじゃないかっていうくらいの作品です。見せ場もすごく多い。何かもう、久しぶりに、アクションシーン中のセリフ回しのカッコよさで痺れましたねぇ。そして、決して若くはない年齢ですが、まだまだ体もキレッキレです。いや〜、これ、絶対シリーズ化してほしいですね。そして、もっともっと、真田広之をフューチャーした展開にしてほしい! この作品を観たか観てないか分からないけれども、きっと観ていたら、日本人のアクションスターがこんなに活躍をしていて、千葉真一も感無量だったろうと思ったりするねぇ。真田広之の真は千葉真一の真なんですよね。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック その他のアメリカ映画 

2021年09月05日

月曜ドラマスペシャル「不連続爆破事件」 今度のタモリは刑事だ!!

昨日、「自主退学」ってタモリが学校の先生を演じるドラマがいいって話をしましたが、どうも調べていくと、この時期にタモリは、「自主退学」「代議士秘書の犯罪」、そしてこの「不連続爆破事件」と同じ月曜ドラマで同じ佐藤健光っていう演出家のもとで三本のドラマに出ているみたいなんですよね。そして、この「不連続爆破事件」もYOUTUBEにあったので観てみました。1991年のドラマですね。今度のタモリは刑事。時期的に「東京ラブストーリー」のすぐ後なんで、大人気だったに違いない江口洋介が後輩刑事に扮しています。テーマとしては、全共闘の傷跡みたいなところなんですね。今ではかなり渋い役者になっている江口洋介の当時のやんちゃな感じもいいですが、上司役で出てくる根津甚八がまたいいんだよねぇ。しかし、こんな暗くて重いドラマを、当時、トレンディドラマの全盛の時期にやってたんだなぁ、TBSは。そう、「代議士秘書の犯罪」だけが上がってなかったんですよねぇ。くそう、それも観たいなぁ。ずっと昔にVHSでは出てたみたいなのだけれども。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック テレビドラマ 

2021年09月04日

月曜ドラマスペシャル「自主退学」 タモリがサングラスかけてない!!

これは、ホント、もうずっと昔に再放送を途中から見たことがあって、なんかすごい印象的で、最初から観たかったなぁと思ったんだけれども、ビデオやDVDにもなってないし、結局、観られないでいたドラマなのだけれども、偶然、YOUTUBEに上がっているのをみかけてしまう。当時面白かったものが今観て面白いかどうかというのは、かなり微妙なところもあるだろうと思いながら観始めたけれども、今観てもかなり面白かった!! 学校の先生の無力さや、聖職というよりも、普通の勤め人としての学校の先生を描いた作品という意味では、この後の「高校教師」なんかにもつながってくるような視点な気がしますねぇ。タモリはホントにいい役者さんなんですよねぇ、サングラスを外したとしても。隠れた名作ドラマです。

いつまであるかわからないけれどもリンクもしておこうかな。苦情があったらすぐ外します。



i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック テレビドラマ 

2021年09月03日

『人間の時間』キム・ギドクの映画を振り返るその22



日本で公開された中では最後の作品。ただ、この後でカザフスタンで『Dissolve』って作品を撮っていて、それは日本未公開。この『人間の時間』は日本からオダギリジョーと藤井美菜、そして、韓流スターのチャン・グンソクを迎えて作った作品で、さらに原題は英語に訳すと『Human,Space,Time,and Human』となっていて、これは『春夏秋冬、そして春』へのセルフオマージュであることは明らかで、本人としてはかなり気合を込めた作品なのかもしれないですねぇ。ただ、やっぱり、今回、彼の作品を一気に通してみてみるとつくづく感じるのだけれども、晩年の作品には全盛期の美しさがなく、ただただ露悪的に感じてしまう。この作品もかつてのキム・ギドクの圧倒的な作品たちには遠く及ばない。あと、これは関係ないけれども、チャン・グンソクはチャン・グンソクで、もう中性的な美少年という感じではなくなって、どっちかというと、一文字隼人みたいな感じになっているなぁ。まぁ、僕は本郷よりも一文字が好きだけどさぁ。

i_cinema at 19:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック キム・ギドク 

2021年09月02日

『Amen』キム・ギドクの映画を振り返るその21



いや〜、また随分とほったらかしにしてしまった。えぇと、映画やドラマを見てなかったわけでは全然ないのでレビューしようと思う作品は溜まりにたまっているので、もうごく簡単に毎日、一作品一言ずつくらいな感じで言ってこうと思います。こちらは、日本未公開のキム・ギドクの作品。主演の女の子と二人だけで撮影して、キム・ギドクが手持ちカメラでヨーロッパをさまよう彼女の姿を追って行っています。これは『アリラン』の後で、『嘆きのピエタ』を撮る前の作品。『アリラン』ですべて自分で撮影する疑似ドキュメンタリー風の作風を覚えたキム・ギドクが次に撮った作品で、この映画を見ると、『STOP』とかの後の手持ちカメラを使った作品群とのつながりが見えてくる感じがする。ただ、ときどき美しい場面が出てくるものの、全体としては実験的な作品の枠を出ていないかな。そして、話の内容も主人公の女の子をガスマスクをかぶったストーカー男が追い回したり、寝ている間にレイプしたりするという展開で、しかも、そのガスマスク男は髪形や体形からどう見てもキム・ギドク自身なことはバレバレで、後の彼のスキャンダルを考えると、やっぱりちょっと不気味な内容で、この主演の女の子は大丈夫だったのだろうかと心配になってしまったりする。日本語版はないのだけれども、会話がほとんどない作品なので、十分観られる感じ。キム・ギドクにはもう一本、日本未公開作品があるのだけれども、そちらの方は会話が多いから、訳がないと話についていけないかなぁ。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック キム・ギドク 

2021年05月10日

『レッド・ファミリー』キム・ギドクの映画を振り返る番外その5



こちらはキム・ギドクが製作脚本を担当し、若い監督に撮らせた作品の一つ。『映画は映画だ』『プンサンケ』『俳優は俳優だ』『鰻の男』、そしてこの『レッド・ファミリー』と、キム・ギドクは本当に若い助監督たちにチャンスを与えることに対して、とても熱心な人だったと言えますよねぇ。もちろん、その中で『映画は映画だ』のチャン・フン監督について『アリラン』で、自分が監督にしてやったのにちょっと有名になると大会社と契約をしてしまって裏切り者だと言ったようなことをぼやいていたりしますが。ただ、これも自分が熱心に育てようとしていたからこその憤りだと言えないこともないので、まぁ、後進の支援について、非常に熱心だったということは言えるのでしょう。

しかし、ここにまた一つ不思議があります。単純に考えてみると、キム・ギドクが好きでキム・ギドクの助監督になった人だとしたら、キム・ギドクのような映画を撮りそうなものじゃないでしょうか? しかし、この『レッド・ファミリー』も含めて、彼が製作して若い監督たちに撮らせた映画は、みんなキム・ギドクのようにイメージ優先で観念的で、独自の美意識に貫かれているようなタイプのアート系の映画ではなく、エンターテイメント的であり、さらには、平均的な韓国映画に近い作りになっているんです。キム・ギドクに倣ったとしても、キム・ギドクみたいにはならない? キム・ギドクの助監督になるくらいだから、『受取人不明』のような映画、『魚と寝る女』のような映画が撮りたかったわけじゃないのでしょうか?? 

あぁ、全然『レッド・ファミリー』についての感想を書いてなかったですね。この映画は韓国の一見するとごく普通の幸せな家族なのだけれど、実は全員本当の家族ではなく北朝鮮のスパイという一家が登場します。そこと対照的に描かれるのが隣の家の普通の韓国の家族で、こちらは逆にとても仲が悪くて、何だか生活もいい加減なんですね。その隣の韓国の家族たちを北朝鮮のスパイたちは最初は堕落した資本主義者たちだと思うのだけれども、しかし、文句を言いあうこと、だらしない自分を見せ合うことができていることに、逆に人間的な関わりを感じていったりするのです。そして、だんだんミッションへの忠誠心が揺らいでいったりしてしまう過程が描かれています。まぁ、『The NET』同様に本物の北朝鮮の人たちはこんなじゃないだろと思わされますが、一方で、こちらは半ばはコメディとして機能しているので、そうした誇張が違和感なく受け止められるところがあります。全体として、後半のキム・ギドクの作品の破綻の多さを考えると、自分が監督をしなかったこの作品はとてもうまくまとまっている感じがしますねぇ。見ていてシンプルに面白いというか。

しかし、キム・ギドクは日本で『STOP』を撮ったときもほとんど一人だったっていいますし、面倒を見てきたこうした助監督たちは、本当に晩年は彼を助けてくれる感じではなくなっていたのかなぁ。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック キム・ギドク 

2021年05月09日

『嘆きのピエタ』キム・ギドクの映画を振り返るその20



さて、今日はヴェネツィア映画祭金獅子賞の『嘆きのピエタ』の話です。キム・ギドクはそれまでも多くの国際映画祭の賞を取っていましたけれども、三大映画祭の最高賞は初めて。今調べたら、キム・ギドクだけではなく、韓国映画そのものが三大映画祭の最高賞は初めてだったみたいです。さて、この映画については結構長く記事を書いたのですね。前にちょっとだけ投稿をしていた映画批評サイトに乗せた関係もあって。なので、それなりに読み物っぽくなっている記事です。それを、転載しますね。実際に公開されたときに観に行ったときの経験を書いています。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

渋谷の文化村にキム・ギドクの新作を観に行ったわけですよ、日曜の夜に一人で。思ったよりも混んでいて、真ん中あたりを希望すると、隣に人がいる席しかなかったんですよね。

そうしたら、僕の隣にカップルが来たんですよね。僕のすぐ横に女が、その横に男がという感じで。始まるまでの間に、聞きたくはないんだけども、嫌でもそのカップルの会話が聞こえて来たんですよね。それが、やたら緊張感のない締まりのない会話で、お前ら、これから我々はキム・ギドクの映画を観るわけだよ、分ってんの!? と言いたくなるような感じだったんです。彼らは絶対、普段、映画をほとんど観ないだろうし、キム・ギドクがどんな監督なのかも知らないに違いないだろうって思って。人間の心の闇を見つめなければいけないとか、どこまで人間が残酷になれるのかを知りたいとか、そうした彼の映画をみる上で当然必要とされる覚悟が全然出来てなさそうだったんです。

そして、映画が始まったら、案の定、10分もしか経たないうちから、すでにスクリーン上で繰り広げられるあまりにも凄惨な場面に、女の方が両手で顔を覆ってぷるぷるしている感じになってしまって。ほらぁ、言わんこっちゃないでしょ、まったく(って、別に言ってはいないんだけどさ)。そして、映画開始から20分くらい経って、そのカップルは、ひっそりと劇場から去っていきましたとさ。うん、その後でさらに残酷になっていったから、あの女の人はいなくなってよかったね。

要するに、そういうことです。キム・ギドクの映画っていうのは観る者に覚悟を必要とさせる映画なんです。『魚と寝る女』(2000年)、『受取人不明』(2001年)、『悪い男』(2001年)、『春夏秋冬、そして春』(2003年)、『弓』(2005年)と、彼の傑作は沢山あるけれど、どれも観る者の胸をかきむしられるような強烈な作品たちなのでした。

オダギリ・ジョーが主演した『悲夢』(2008年)はとても美しい作品で僕のお気に入りの作品の一つなのですが、その作品の後で、それまで年間1本以上という量産体制で作品を作り続けていた彼がしばらく映画を撮らなくなってしまうんですよね。何していたんだろう? と思っていたら、2010年に『アリラン』という風変わりなドキュメンタリー作品が公開されました。この映画によると、『悲夢』の撮影時に主演女優が首を吊ろうとするシーンで間違って本当に首を吊ってしまって、慌ててキム・ギドク本人が助けるってことがあったらしいんです。女優の命に別状はなかったのだけれど、そのことでショックを受けてしまったギドクはそれから田舎の山奥に引きこもって一人っきりで隠遁生活を3年間も送っていたのだと。

『アリラン』はその隠遁生活の様子をひたすら自分で撮った作品でドキュメンタリーと言えばドキュメンタリーですが、後半では半ばフィクション的な要素も入ってくるという風変わりな作品になっています。しかし、延々と酔っぱらったキム・ギドクが自分のことを喋りまくってるっていう作品なので、キム・ギドクに関心のある人は観てもいいけれど、そうじゃない人だと、おぃおぃ、もうお前の話はどうでもいいよという気持ちになってしまうので、お薦めはしません。また、あれだけ人を人と思わないような残虐な人物が登場する作品を撮り続けてきたのにもかかわらず、実際に周りで人が死にそうになったら、ショックで山の中に閉じこもってしまうっていうのは、不思議なものですねぇ。狂暴な世界を描き続ける半面、本人は驚くほど繊細な人なのですね。

しかし、やっぱり、芸術家ですねぇ。映画を観る限りでは彼はこのとき、かなり抑うつ的な状態だと思うのですが、それを『アリラン』という作品を作ることによって克服していったのでしょう。復帰後のこの作品、『嘆きのピエタ』で彼は韓国の映画監督の中で初めてヴェネチア映画祭金獅子賞を取ることになるのです。

さて、その能天気なカップルたちを劇場から追い出すほどの威力のあった『嘆きのピエタ』の内容の話に入っていきましょう。物語はある孤独な借金取りの青年が主人公です。彼はソウルの清渓川と呼ばれる町工場の密集したエリアで工場の労働者たちから取り立てをしているんです。お金を回収するためには労働者の手足を機械で潰して保険金を出させるというような血も涙もないことを、表情一つ変えずにやっていきます。この辺りで隣のカップルが退場。そんな彼のもとに不思議な年上の女性が登場します。その女は自分が彼の母親なのだ、捨てたことを許してくれと言います。天涯孤独な身であった彼は、その女に対して、お前なんか知らないと追い返します。しかし、女はそれでも何度も何度もやってくるんですね。男は女を怒鳴ったり、叩いたりするんだけれど、女は諦めずにやってきて、あなたを捨ててごめんなさいと謝る。家に入って来て、料理を作ったりもする。

ここで、彼が洗面所にいって、何か黒いような茶色いような物体を持ってきて、本当に母親なら食えって言って、その得体のしれないものを喰わせちゃうですよね。しかし、これが何なのか、僕にはよく分からなかったんです。糞便なのかなぁ〜って気もするのだけれど、その後で彼の体からボタボタと血が流れている描写があったから、自分のどっかの肉を切った肉片なのかなぁとも思って。まぁ、糞便でも自分の肉でも、どちらにしても、母親なら食えるだろうって理屈は凄いよなぁ。普通のお母さんそんなもん食わないから。さらに、彼は彼女をそのまま犯しちゃうんですよねぇ。あちゃ〜、自分のお母ちゃんかもしれないのに。ダメだろ、そんなことしたら。この辺りは画面上から得体のしれないおぞましさが漂っています。あのカップルがいなくなった後でよかったよかった。

しかし、彼女がそれすら受け入れてじっと耐え忍ぶ姿に、彼はしだいに彼女に心を許すようになっていくんです。やがて彼女は普通に彼の家に寝泊まりして、毎日の食事を作るようになり、彼は彼女との生活に安らぎを感じるようになっていく。ここからがこの映画の本当に恐ろしいところなんです。これまで人を人と思わないような冷酷な男だった彼が、彼女との生活を始めたときから、今度は彼女を失うことを極端に恐れるようになってしまうんです。つまり、子どもの頃から両親に見捨てられて、たった一人で生きてきた彼は徹底して自分の感情を殺して生きてきたわけです。そうしなければ、生き残って来れなかった。幼い頃に経った一人で残されて感じたであろう、心細さ、孤独感、恐怖感と言ったものは、一切、自分とは無縁なものとして、機械のような心で生きてきた。しかし、そうした硬く覆った狂暴で冷徹な外皮の内側で、彼の本当の心の中は、まるで幼い子どものように繊細で傷つきやすく、大切なものを失って一人で取り残されてしまうことを極度に怯えている存在なのです。

この表面的には狂暴で残忍に見えていて、実は内面は驚くほどに繊細で傷つきやすいというのは、先ほどの『アリラン』に登場するキム・ギドク本人を連想させますね。

そして、主人公の男はどんどん母親だと名乗る女にのめり込んでいく。しかし、観ていて、どこかしら、おかしいような気がするんです。第一、女は彼の母親にしては若い感じがするし、レイプされそうになったところとかも、むしろ本当の母親ならもっと激しく抵抗をするのではないかという気もする。ここからが、ネタばれをしてしまうのですが、物語が進むにつれて、実はこの女は彼の本当の母親ではないということが明らかになるんです。それでは、何故、彼女はこんなに苦労をして彼に自分が母親だと信じ込ませようとしているのだろうか?

実は、彼女は彼に足を折られて障害者にさせられて自殺をしてしまった若い男性の、母親だったんです。息子を奪われた憎しみから、彼に同じ苦しみを味わわせるために、孤独な彼の心に入り込み、そして、最後にそれを奪い去って、絶望させようとしたのでした。

よくそんな話を思いついたなと思うくらいに、とんでもなく恐ろしい話ですよね。そんな彼女の復讐の結末はどうなるのか。私の説明はこのあたりまでにしておいて、あとは皆さまが直接に目撃をしていただきたいと思います。

この文章の最後に、私自身でも結論が出ていない問いかけをして終えようかなと思います。それは、ラストで主人公は果たして罪悪感を感じたのだろうか? というものです。映画からはどちらとも取れると思うんですよね。見る側の解釈次第かもしれない。ただ、映画全体からみると、あくまでも喪失の悲しみや復讐心が前面に出ていて、罪悪感の話はほとんど出てこないんですよね。また、罪悪感なんかを感じてしまったら、この主人公は生きていけないような生き方をしてきてしまったというところもあるかも知れない。キム・ギドクが撮影中に女優に事故が起きて死にそうになったという事件をきっかけにうつ状態で田舎に引きこもってしまったというのは、明らかに罪悪感の問題だろうと思うんです。そして、戻ってきた彼が撮ったのが、罪を犯して人に恨まれながら生きていく男の話だった。にもかからわず、彼が罪悪感で悩むというシーンは、少なくとも表面上はほとんど描かれていないんです。これにはどのような意味があるのだろうか? キム・ギドクの作品は、女優を殺しかけてしまうということをきっかけに、何か変化をしたのだろうか、あるいは変わらなかったのだろうか?

こんなふうに、あれこれ考えていくと、この作品一つでも楽しめますし、ギドクの作品の流れの中で考えても楽しめる映画になっています。お薦め。しかし、観に行くには覚悟が必要!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そうですねぇ、自分で自分の記事を読み返してみて、確かに、あそこで主人公は罪悪感を感じていたのか? ということは問題となります。ただ、受賞後のインタビューで彼はこの映画は「お金」が三番目の主人公だ、というような言い方をしていて、資本主義について批判をしているという意識があったようなのです。そうなると、この主人公の男性の中の破壊的な部分というよりも、社会によって翻弄されたものの悲劇という面が浮かび上がってくる。となると、やっぱり、この主人公自身は罪悪感を感じていたわけじゃないのかなぁ。どうしてそれが気になるかというと、様々な訴えがあった通り、キム・ギドクが撮影現場やその他の場所で暴力的な行為や、性的な強要などを行っていたとしたら、彼自身のそうした破壊的な面について、本人はどう感じていたのだろうか? というところが気になってくるからです。『春夏秋冬、そして春』では自らの破壊性を主人公が年齢を経て、乗り越えていこうとする過程が描かれていたと思うんですね。ただ、それは半ば定型的すぎる感じもしないでもなく、しかし、映像の美しさで乗り切った感じもある。しかし、実際のところは『春夏秋冬〜』で描かれていた暴力へ向かう傾向を克服するといったことは、キム・ギドクその人の人生の中では起こらなかったということなのだろうか。

それともう一点、この映画で気になるのは、この映画が「母」について描いた映画だということですよね。この映画の一つ後の「メビウス」での母親は、いわば「メス」としての母親みたいな話になっているのだけれども、こちらの母親は実の息子のことはずっと変わらず愛していた人なわけなんですねぇ。そして、主人公のことも、憎しみを抱いていながらも、最後は葛藤するくらいに情が移ったりもしていて。さらに、主人公の男は実は偽物だったけれども、母親的な関わりに対して、実は非常に脆弱な面を見せるわけです。これも、単純って言ったら単純な、強がっているやつが実はマザコンみたいな話なんですが。この部分はキム・ギドク自身の、破壊的な面と表裏になっている、非常に脆弱な部分を表していると言えるのかもしれないですねぇ。

i_cinema at 21:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック キム・ギドク