2007年03月04日

ヒステリア あるいは、ある強迫神経症の分析の断片

世田谷のシアタートラムで、
「ヒステリア あるいは、ある強迫神経症の分析の断片」
っていう演劇を観てきました。
↓↓↓

 ヒステリア

これ、晩年のフロイトをサルバドール・ダリが
訪ねるという話。観たいなって思ったときには
すでにSold Outされていて、しょうがない
からヤフオクで探したら、定価の倍以上の値が
ついていて、こりゃダメだなと思ったので、
貧乏人は体力と時間で勝負ってことで、
開演の2時間半前に行って並んで、立ち見の
当日券をGetしてようやく観ることが出来ました。



今週、僕はアーネスト・ジョーンズの
「フロイトの生涯」の晩年の部分を読んでいた
のですが、フロイトは実際に死ぬ間際に
ダリと会っているんですねぇ。なおかつ、
結構ダリを評価したようなことを友人への手紙に
書いたりしているんです。

で、この演劇はそうした史実を元にしつつも、
フィクションとして脚色された物語でした。
オリジナルの脚本はテリー・ジョンソンという
イギリスの人で、それを元に白井晃(えぇと、
三谷幸喜のドラマによく出てる俳優さんで、
この舞台の演出もやっています)

冒頭、若い女性が(荻野目慶子、若いっ!)
老いたフロイトの書斎に突然あらわれて、
フロイトを振り回します。そこにダリも加わって
わけのわからないことを言って、しっちゃかめっちゃか
になります。コメディなんですよね、基本的に。

ダリがフロイトの自分の絵画を批評するように言うと、
フロイトはダリは意識の世界しか表現していないと
一刀両断しちゃったりしています。う〜ん、フロイトの
言いたいことは分るけれど、ちょっとダリの肩も持ちたくなり
ますけど。

そして後半、ややシリアスな展開になっていき、
荻野目慶子扮する女性が実はかつてフロイトが
治療した女性の娘だと分ります。「ヒステリー研究」に
書かれている女性だって。だけど、知らない名前だったな。
フィクションなのかな。フロイトはそのときの治療中に
その女性のヒステリー症状には幼い頃に父親から受けた
性的虐待がかかわっていることをつきとめ、やがて
彼女は軽快していきます。

しかし、フロイトは知らなかったのですが、その後
彼女は精神病院に入院して、浣腸用のチューブを口から胃の
中にまでつっ込んで水を流して自殺していたんです。
(劇中ではそこまで解釈されていなかったけれど、これは
明らかに強制的な性行為の反復になってるんですねぇ)

その患者の娘ジェシカはフロイトが後に外傷論を破棄して、
ヒステリー患者の過去に実際に性的な虐待はなく、患者の
願望がそう思わせたのだと理論を変えたこと非難します。

そして祖父からの母親への虐待は確かに事実だったと
フロイトに主張します。何故なら、彼女自身が祖父から
性的暴力を受けたことがあったからです。

さらにジェシカはフリース・レターに書かれた
外傷論を棄却した当時のフロイトの文章から、
フロイトが外傷論を捨てたのは、フロイト自身の
父親が妹を虐待していたかもしれないという
疑いを持ったから、そしてフロイト自身にも
娘に対して性的な欲望を持っていたからだと
彼を責め立てます。

やがて舞台はダリ的に歪んだ世界になって
いきます。ゴムのように伸びるドアや、
エビ電話(僕、エビ電話大好き)、歪んだ
時計、刃物で目を切ろうとする描写
(「アンダルシアの犬」だ!)などなど。


と、そんな感じの舞台でした。もうちょっと
気楽なものかと思っていたら、思ったよりも
しっかり調べられていて(「フロイトの生涯」に
書かれているのと全く同じ台詞をフロイトが
言ったりしてた)、テーマも何故フロイトが外傷論を
放棄したのかという、精神分析の世界で議論されて
きたことだったりして、けっこう楽しめました。

まぁ、決して斬新な切り口ではないし、フロイトが
外傷論を放棄したことには、この舞台で語られている
以上に大きな意味があると思いますし、思想的な深みには
かけるところがあるので、ものすごく素晴らしい舞台とは
言いませんけれど。

だけど、舞台装置とかもなかなか凝ってたしね。

i_cinema at 16:58│Comments(2)TrackBack(0)演劇・オペラ 

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この記事へのコメント

1. Posted by K.   2007年03月05日 20:26
これおもしろそうですね!!!
み、見てみたくなった!!
2. Posted by かぐらざか   2007年03月06日 00:39
ジェシカがフロイトに
「私はあなたのアニマなの」
と言ったらフロイトが不機嫌に
なっちゃったりするシーンとか、
分析系の本読んでる人しか分らない
ギャグが出てきたりするんだよねぇ〜。

しかし、残念、東京はすでに楽日でした。
再演があったときには是非!!


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