レインフォレストでファンテイルに会う


2016年11月18日

ウィルダネスロッジ・レイク・モエラキに滞在するのは三度目になる。ロッジ周辺は、散策路が整備されており、ニュージーランドの固有種のリムやカヒカテア、巨木と化したシダ類の森を歩くことができる。いくつかルートはあるが、何度歩いてもいつしか道なき道を歩くはめになり、引き返すことになるルートがある。少しの勇気と細い道を見つける力があれば踏破できるのだろうが、今回も途中で道を失い、引き返すはめになった。

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モエラキ川の橋の上から見たロッジ


滞在中は晴天が続いたが、それでも森の中はいつもぬかるんでいる。雨がシトシト降るのは降り始めか終わりで、豪雨が常だ。ひとたび雨が降ると遊歩道は川になり、川に架かる吊り橋は水に隠れて見えなくなることもある。ロッジは川沿いにあり、川面はそれほど低くはない。海も近いので満潮時に大雨が降ると、浸水するのではないかと不安になるが、今まで一度も浸水したことはないそうだ。

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ニュージーランドのレインフォレストはこんな感じ


雨上がり、森の中を歩いた。急な雨で、水たまりがいくつかできていた。その水は鏡のように澄んでおり、水底に重なる落ち葉がきれいに見えた。一緒に散策していたロッジのオーナー、ジェリーは「水がきれいだろ!飲めるんだよ!」と水たまりの水をすくって、美味しそうに飲んでみせた。彼はこの美しい自然をいつも自分のことのように自慢する。

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庭のあちこちで見られたニュージーランドミツスイ


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そして、森の住民を紹介してくれる。おもむろに空きビンを取り出すと、ベロッと舐めて発砲スチロールをこすりつけた。キュキュキュ! 鋭い音が森の中に鳴り響いた。と、ものの数秒で、トムティットという白黒の小鳥が慌てた様子で飛んできて、近くの枝にとまった。自分の大切な縄張りに侵入したヤツは誰だ、とでもいうようだ。枝から枝へ行ったり来たりしたが、人間しかいないと知ると安心したのか、森の中へ姿を消した。

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蝶のように舞うファンテイル。都市部の公園でも見られる


今回は、もう1種のかわいい小鳥に会うことができた。ファンテイルと呼ばれる小鳥で、尾羽を扇のように広げることから、その名がついた。
その小鳥は、夕食を摂ろうとレストランへ向かう途中、ロッジの庭で蝶々のようにヒラヒラと舞っていた。3羽おり、1羽はメスで、2羽がオスのようだ。人懐っこいというのは本当で、人間がいるのを気にもせず、近くまでやってきてくれた。恋の季節なのか、オスはしばしば、パッと尾羽を広げる。その瞬間、“ドヤ顔”になる。眉がキリッとしているせいだろうか。小さいくせになかなか勇ましい顔になり、そのアンバランスさがよりこの小鳥を可愛く見せていた。

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こちらも、ファンテイル


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「ツイ」と鳴くことから「Tui」と名付けられている。蝶ネクタイがポイント


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ニュージーランドバト。こんなに羽がきれいなハトがいるなんて!


フィヨルドランド・クレステッド・ペンギン(タワキペンギン)


2016年11月17日

3度目のフィヨルドランド・クレステッド・ペンギン(タワキペンギン)観察は、いつになく暑かった。タスマン海を渡る風は冷たいだろうとタカをくくって厚着をしていったというのに、ビーチは初夏の陽気。雨も降らず雲もほとんど出ない。温帯雨林で緯度の高い地域だというのに、汗をかきながらの観察となった。

ビーチ2
タスマン海に面したシークレットビーチ


このビーチは、生物学者であり環境学者でもあるジェリーが開拓したフィールドで、ロッジの人々は「シークレットビーチ」と呼んでいる。ジェリーは約30年前にこの地に移り住みロッジを開いてからというもの、ペンギンの天敵となる犬などを遠ざけるなどし、絶滅危惧種であるタワキペンギンの保護に力を注いできた。その甲斐あってか個体数は回復しつつあるが、それでも現状はわずか2500〜3000ペアとされており、絶滅の危機にさらされていることは変わりない。

いわばにて
「今日はイカが食べたいわ」


しばし休憩
「私、今日はタコの気分なの」


いざ海へ2
ご近所を誘い合わせて漁へ出るペンギンたち


最初にカメラを構えたのは、岩がゴロゴロ転がるいつものビーチ。そこから急峻な崖が切り立っており、タワキペンギンたちは短い肢と爪を駆使して、100メートルほど上の崖の上からからどうにかこうにか滑り降りて、海へ繰り出す。

滑るんだよね2
ここ、すべるんだよね


すべったー
ほら、すべったー


もう一つのコロニーは森の中にあり、私たちが陣取った場所とは、ビーチを流れる川で隔てられている。午前中は、崖の上の住人よりも森の住人の方が多くビーチを行き来していたが、写真を撮るには遠すぎる。そこでガイドのパトリックに「向こうのビーチで観察したい」と頼んでみたが、「いやぁ、それは難しいと思うよ〜」とやんわりと断られ、仕方なくゴロゴロビーチに居座ることにした。ジェリーとの間に何か取り決めがあるのだろう。

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ビーチに降りてきて、ホッとするペンギンたち


崖とペン2
ポーズをキメてみた


だから、ジェリーがやって来ると事情は変わる。午後、別のお客を連れてビーチにやって来たジェリーに森に近いビーチに行きたいと言うと、「よし、わかった」とすんなり了解してくれたのだ。そして、ビーチに大きな流木を並べると「ここに隠れて。動かないようにね」と言って、また崖の下のゴロゴロビーチへ戻って行った。

ぽんぽんです
食べ放題に行ってきました


流木は大人が身を隠せるほど大きくはなく、ペンギンからは丸見えのはずだ。「ペンギンたちは、バカにするな、と言っているに違いない」と思ったりもしたが、動かずにいればペンギンの目には人が木に同化して見えるのだろう。しばらくして数羽のペンギンが海から姿を現すと、こちらを警戒することなくヨチヨチ歩いてきた。そして、立ち止まり、体を震わせたり尻尾をブルブルッと左右に振って、羽についた水滴を飛ばし始めた。お腹は、重かろう、と言いたくなるほど、ふっくら丸くなっている。あの中にはイカやタコや小魚がたっぷり入っていて、巣で待つヒナたちのエサになる。

体ブルブル
ゴロゴロビーチで見たふくらペンギン


ペンギンは、念入りに羽づくろいをして身なりを整えると、また、ヨチヨチと歩いて薮の中へ消えた。巣で待つヒナはだいたい2羽だが、そのうち1羽は片方のヒナに巣から追い出されたり、エサを十分に与えられなかったりして、小さいうちに見捨てられ死んでしまう運命にある。

崖とペン
こちらは大人のペンギンたち


無事、生き延びたヒナは、羽が生え揃い、大人と同じぐらいの体格に成長すると、ある日突然、巣立ちを強いられる。親が帰って来なくなるのだ。お腹を空かせた少年少女は、本能のままに波の音のする方向へ歩き始め、途中、同じように巣立たざるを得なくなった少年少女とともに、ひたすら海をめざす。

泳ぐ
海の中の方が動きやすいです


お腹を空かせた彼らにとって、最初の海水浴は命をかけることになるだろう。最初の海水浴でうまく漁ができるよう、森の中の川の浅瀬で泳ぎの練習をする少年少女もいるそうだが、いつかその素晴らしい光景を見てみたい。

夜空
ロッジの庭から見た星空。これほどの星を、雨の多い西海岸で見られるのは珍しいと思う


タワキペンギンに会いに


2016年11月17日

メイン


ニュージラーンド南島では、3種類のペンギンに会うことができる。世界最小のブルーペンギン、孤独を愛するイエローアイドペンギン、そして黄色い眉毛がチャームポイントのタワキペンギン(フィヨルドランドクレステッドペンギンともいう)だ。

南島の西海岸、レインフォレストにあるウィルダネスロッジ レイクモエラキ が提供するツアーでは、シークレットビーチと呼ばれる場所でタワキペンギンを観察できる。
この周辺には3つのコロニーがある。ひとつは100メートルの崖の上にある。海へのアクセスは悪いが、住み心地がいいのだろうか、界隈最大のコロニーである。もうひとつは、ビーチからほど近い森の中、そして3つ目はビーチを横切る川をさかのぼった場所にある。
ロッジのオーナーでペンギンの保護活動家でもあるジェリーは、この周辺には約80ペアがいると見積もっている。

3人衆


7月、タワキペンギンは繁殖のためにこの界隈にやって来る。子育て中は毎朝、育ち盛りのヒナのエサを獲るために海へ繰り出す。この日、ガイドをしてくれたパトリックは言う。
「魚を獲るのがうまいペンギンは昼ごろには帰ってくる。でも、漁が下手なペンギンは夕方近くまで海で漁をしているんだ」

岩場2


森とぺん


ペンギンが海から上がり、森へ帰って行く。その様子を見られたのはラッキーだが、ペンギンたちにとっても海から無事帰ってこられたことは、この上なく幸運なことに違いない。

この日、波打ち際では数頭のアザラシが顔を出し、ビーチの様子をうかがっていた。
アザラシはペンギンの天敵である。漁へ出るために連れだって崖から降りてきたペンギンたちは、岩場から動こうとせず、しばらくの間、首を伸ばして海を見、警戒していた。そして、岩の間を縫うように波打ち際へ進み、泡立つ荒波へ飛び込んだ。

岩場


波打ち際


夕方、海から帰ってきた1頭のペンギンを見つけた。森のコロニーの住人らしいが、森へ帰ろうとせず、波打ち際を行ったり来たりしていた。どうやら、一緒に漁に出たペンギンを探しているらしい。海にはアザラシがいる。もしかして……、と不安が彼の脳裏をよぎった。友人の安否を気にして、探しに行こうかどうしようかと迷っている。

ふと彼は、羽づくろいをしている2羽のオイスターキャッチャーを見つけた。ひょっとして……と、彼はよちよちと駆け寄っていき、オイスターキャッチャーにたずねた。
「僕の友だちを見かけませんでしたか」

オイスターキャッチャーは羽づくろいを止めて首をかしげたが、気の毒そうに首を振り、羽づくろいを続けた。友を見失ったペンギンは森へ向かってよちよち歩き出したが、踵を返し、再び波間に消えていった。

オイスター


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羽を泥だらけにして崖から降りてきたタワキペンギン



テカポからモエラキへ

11月16日

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テカポのロッジ。トイレとシャワー、ベッド、キッチン付き。
食事付きではないので、安く泊まれた


翌日は9時頃にテカポを発ち、モエラキロッジへ向かった。モエラキロッジへ行くのは今回で3度目だが、テカポから行くのは初めてだ。
途中、「Mount Cook」の標識を通り過ぎ、山岳リゾートといった雰囲気の高原地帯を通過した。パラグライダーが青い空を舞っていたので、きっとスカイスポーツのメッカなのだろう。私はきっとやらないけれど、モエラキロッジで合流する予定のazuさんは、今度はこの地をめざしてニュージーランドへやって来るかもしれない。

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ロッジの隣はバーベキュースペース


お馴染みのワナカを通過すると、いよいよレインフォレストエリアに突入する。ものすごい雨を期待していたが、異常気象はここにも影響を及ぼしているようで、曇天ではあるものの雨が降ることはなかった。

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ゴシキヒワ(Gold Finch)。イギリスなどヨーロッパに広く分布する。
入植者が持ち込んだのだろう


ハースト川の河口周辺に広がる、だだっ広く平坦なハーストの町を抜け、タスマン海沿いの国道6号線を走ると、モエラキロッジに到着する。
多雨林のジャングルと海と湖に囲まれたこのロッジは、まさに陸の孤島で、周囲20数km内には村も人家もない。
ただ、国道6号線をさらに北上すると、美しい氷河で知られるフォックス・グレイシャーがあるので、ロッジ前を通過する観光バスや車は多いようだ。なかには、自転車旅行をしている人もおり、フォックス・グレイシャーからこのロッジ経由で、クイーンズタウンをめざす人もいる。クイーンズタウンまでは車でも6時間ほどかかる上に、途中、山を越えなければならないので相当ハードな道のりだ。

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クイーンズタウンを見下ろす山上。本当に山のすぐそばを飛んでいくのですね


ニュージーランドはトンネルがほとんどないので、直線距離ならものの1時間程度で行ける場所も、山を迂回して行かなければならない。時間はかかるが、それで水脈が守られているのかもしれない。

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安定して飛行しているように見えるが、機内では相当な揺れを感じます


ただ一度のニュージーランド・トンネル体験は、ミルフォードサウンドへのツアーだった。トンネル内は薄暗く、バス1台がやっと通れるぐらいの狭さで、油断すると車体を擦りそうだ。つまり、ドライバーの腕の見せ所というわけだ。

トンネルは中も外もまるで鉱道を再利用したようなしつらえで、壁面も荒削り。掘りっぱなしの感が否めないが、それもニュージーランドのいいところかもしれない。

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モエラキのロッジ周辺の川。ジャングルはアマゾンと東南アジアにしかないと思っていました


テカポ

2016年11月15日

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テカポ湖畔。美しい星空で知られている。


地震発生の翌朝、コミュニティーセンターには大勢の観光客が押し寄せた。NZの空軍のヘリコプターが、観光客をクライストチャーチまで輸送してくれることになったからである。前日の夕方までは、名前を書いた者の順番にヘリに乗せてもらえることになっていたが、あまりにも人数が多いため、病人、老人、妊婦、子どもを優先して輸送し、夕方までに町を脱出できなかった人たちは、海軍の船で全員クライストチャーチに輸送されることになった。

運よく、私たちはヘリコプターに乗ることができ、クライストチャーチを経て、車でテカポへ向かった。

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NZ空軍のヘリコプター。世話をしてくれた兵士は若い美男美女揃いでうっとりした。


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テカポ湖畔のキャンプサイトで泊まったロッジ。


テカポは365日中、360日が晴れで美しい星空で知られている場所だ。友人いわく、その星の多さは「吐きそうなほど」と身も蓋もない表現をしていたが、それほど凄まじい星空を一度は見てみたかったので楽しみにしていた。

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全室レイクビュー。シャワー・トイレ付きで、4人まで泊まれる。


が、テカポへ向かう道中から雲行きは怪しくなり、予約していたテカポ湖畔のキャンプサイトに着くと、湖の上は分厚い雲で覆われ、小雨までパラついていた。明日の朝にはテカポを出発する予定だったので、着いてそうそう、星空を見ることも吐くことも叶わないとわかってがっかりしたが、その落胆を補う出来事はこういう場所では起こるものだ。ロッジに入ろうとするとカモがお尻を振って近寄ってきてくれたのだ。いつも、こうして人間に愛嬌をふりまいてエサをもらっているのだろう。

「ごはん、欲しいの?」
「ガァガァ」
「夜、食べると体に悪いから」
「ガァガァ」

人間にこびない野生動物が好きだが、人懐こい動物もそれはそれで可愛い。

翌朝は、笑えるほどの快晴だった。

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朝になると、この通り。ロッジは野鳥まみれになる。


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この時期はルピナスがきれいなのです。



カイコウラ

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2016年11月14日

今年もニュージーランドへ行ってきた。昨年は、ペンギン観察の初日、ビーチで大波に押し倒され、砂浜を横切る川へ転落してしまった。服はびしょぬれ、カメラは水没。それでもガイドのジェリーは、ロッジに引き返そう、なんてことは決して言わない。仕方なく濡れたまま、ビーチを行ったり来たりするペンギンたちをじっとただただ眺めていた。

海外では何が起こるか分からない。今年もそうだった。ニュージーランドに到着したその日の夜半過ぎ、大地震に見舞われたのだ。マグにチュード6だの8だのと情報は錯綜していたが、とにかく大きい地震だったことは間違いない。震源地はクライストチャーチの北90km辺りで、私たちがいたカイコウラという海岸の小さな町は、震源地から100kmもはなれていなかったようだ。

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海外の建物は造りが粗末だと聞いたばかりだったこともあり、木造2階建てのこの宿が大きな横揺れに耐えられるとは思えなかった。1分近く続いた最初の揺れが部屋の何もかもを振り落として収束すると、上着を羽織って靴を履き、部屋の外へ出た。扉が開いたのは幸いだ。宿のオーナーは、宿泊客に「外に出ろー!」と叫んでいた。よほど慌てたのだろう、パンツ一丁だ。そして、車に乗れ、と客を促した。宿の隣人も車を出してくれたので、私はトランクに乗せてもらい、建物を離れた。
海岸沿いにあるこの町は、いつ津波に襲われてもおかしくはない。道路はところどころズレや陥没が生じており、車が通れなくなっていたので、グルグル迂回した。ところどころ、丘の上へ避難しようとする人たちの車で渋滞していたが、ものの数分で無事、丘の上に辿り着くことができた。


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カイコウラではなく、クイーンズタウン付近の村


日本なら、地震が発生した時点で、津波の心配があるかどうか知らされるが、地元の人たちに尋ねると、「わからない」と首を横に振られた。車に乗せてくれた男性は、ケガをした母親を病院に連れて行くと言い、私たちを残して去って行った。いつ迎えに来てくれるのだろう、と途方に暮れていたら、通り沿いの家の主が毛布を与えてくれ、その後、親切にも家に招き入れてくれた。そこはディーとタイという名のご夫婦の住まいで、海に近い場所に暮らす彼らの友人、エレノアが避難していた。3人はクリスチャンで、聖歌隊のようなこともされているようだ。ディーがギターを弾きはじめると、美しいハーモニーで聖歌を歌ってくれた。ハーレルヤ、ハーレルヤ。もう、その美しい旋律を思い出せないが、彼らの優しさと明るさに触れ、地震も悪くないな、とのんきに思った。

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早朝、津波警報が解除された。ディーは私とエレノアをB&Bに送り届けてくれた。B&Bでは、オーナーがすでに掃除を始めていた。ディーはオーナーに言った。「うちに朝食を食べにこない? 庭でバービーをするの」。どの家も電気、水道が使えなくなっていたので食事をするならバーベキューが手っ取り早い。
しかし、いつまでこの状況が続くかもしれないので、食事まで甘えるのは申し訳ない。その日は、町に入る前に買ったパンとわずかな飲み物でしのぐことにした。人間、食べ物がないと、お腹が空かないものなのだ。食べなくても平気だし、飲まなくてもなんとか生きていられる。
とはいえ、お金は十分あってスーパーには物があふれているのに、食糧も水も買うことができないのは不自由だ。つまり、貨幣経済は不自由だ。それでも人々は、スーパーの前で大人しく開店を待ち、決して暴動を起こすことはなかった。


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ファンテイルのように尾羽を広げているが、ファンテイルではなかった。誰だろう?


地震が発生したその日の午前中には、スーパーの駐車場と病院前の広場に簡易トイレが設置された。トイレのために、わざわざ車を出さなければならない、この不便さ。手を洗う水もない、不潔さ。今年も日本各地で地震や洪水があったが、被災地の人々はこんな暮らしを何日も強いられているのだな、と身を持って知った。自然と飲食の量が減るわけだ。
そんな大変な状態であっても、鳥たちはいつものように空を飛び、道端でエサをついばみ、小競り合いをする。ある戦場カメラマンは「人々が殺し合っていても、野鳥は変わらずエサをついばみ、求愛行動をする」と記していた。災害で慌てふためくのは人間だけだ。鳥たちは、その様子を高みの見物とばかりに電線から見下ろしていたが、しばらくすると再びエサを探して飛び去った。
後で聞いた話では、地震発生後、1メートルほどの津波が起こり、オットセイやアザラシなどのいくつかのコロニーがその影響を受けたという。


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カイコウラではなく、クイーンズタウンの夕景










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小鳥の水浴び

やや汗ばむ陽気になると、水辺に小鳥たちが集まってくる。もっとも、小鳥たちは真冬でも水浴びをするけれど、暑い日は気持ちよさそうな顔をする。

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小鳥たちは表情が豊かで、水浴びの仕方もそれぞれだ。シジュウカラは、首を左右に激しく振りながら水浴びをした後、木の枝で羽づくろいをしてまた入浴する、ということを何度も繰り返す。

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ヒヨドリが水に入るのは、ほんの一瞬だ。頭からザブン!と入ることも多いが、すぐに水から飛び出てしまう。そしてメジロは、ほかの誰かと一緒に入るのが好き。

この1年ほど、うちの庭には、毎日シジュウカラが水浴びに来てくれていた。やって来ると「ジジジ、ジジジ」と鳴くのでよく分かる。そのシジュウカラがお風呂に入った後は、周囲の石がビショビショだ。気持ちよくて、うれしくて、というのが濡れ具合で伝わってくる。

それが、秋ごろからぱったりと姿を見せなくなってしまった。
馴染みの客がひとり減り、寂しい気持ちになった。


疲れた母、健気な母

ゴールデンウィーク前後、小鳥の母たちは子育てに追われて大忙しだ。スズメは、人間が落とすご飯粒やパン屑を拾っても、いつものように飲み込まず、もう2口、3口くわえて、ヒナの待つ巣に一直線に飛んで行く。人がエサをくれるとわかれば、巣と人の間を何往復もし、子育ての効率化を図る。

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人にエサをねだる母


元気なスズメは1シーズンのうちに2回以上産卵し、子育てをするという。母の中には若くてキレイな羽のものもいるが、羽が薄汚れていたり、寝ぐせがついて取れない母もいる。おそらく、今年すでに何度目か産卵と子育てを経験したのだろう。見るからに疲れきっているから、それが性とはいえ気の毒になる。

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疲れた母

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寝ぐせが取れない疲れた母

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大食漢のヒナを育てるのに必死の母その1

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大食漢のヒナを育てるのに必死の母その2

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疲れきった母

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それでも子育てを頑張る母


去年見たこの健気な母には、今年はもう会えないだろうな。





観光もしました in NZ

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オタゴ半島上空を舞うオオアホウドリ、多分


東海岸のペンギンプレイスから西海岸のレイク・モエラキへは、車で移動した。途中、内陸部に位置するワナカ湖畔の町で一泊することにしていたが、ペンギンプレイスで合流したあずさんやマリさんたちと一緒だと、旅行はアクティブになる。

まず、ワナカへ向かう前に、ロイヤルアルバトロスセンターに立ち寄った。ここは前夜に参加した、ブルーペンギン観察ツアーの開催場所であるとともに、アホウドリの一種である希少種、ロイヤルアルバトロスの保護区でもある。間近で見られるかな、と期待していたが、この時期は子育て期間のため巣のある場所に近づくことはできないらしい。空高く舞うロイヤルアルバトロスを「あれ、ロイヤルかな」「カモメちゃう?」と言いながら眺めた後、一路、ワナカへ! 
――と思いきや、あずさんとマリさんが「その前にモエラキ・ボルダーズに立ち寄りたい」と言うので、ダニーデンからさらに1時間ほど北上したこの場所に足を伸ばすことにした。

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この時期のNZには花がいっぱい! おとぎの世界のようです


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せっせと蜜を集めるミツバチ。細いあんよの花粉ポケットには大量の花粉が


モエラキ・ボルダーズは、直径1メートルほどの巨大な球状の岩が砂浜にゴロゴロ転がっていることで知られている。日本では亀甲石と呼ばれるそうだが、そもそもは火山から噴出した溶岩に粘土状の堆積物が付着しながら結晶化した石だという。乾燥や不純物の影響で不均等に結晶化が進むため亀甲模様になるのだそうだが、そういう説明を聞いても岩ができる過程をイメージできない、というのが正直なところ。そのせいか、青く美しい海に得体のしれない丸い巨岩が転がる様子は、別の惑星の光景のように見える。

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モエラキ・ボルダーズの不思議な光景。SF映画の舞台になりそう


ここはガイドブックにも掲載されている観光スポットなので、お土産屋さんもあればちょっとしたカフェもある。が、昼食は駐車場のそばで、PAK’n SAVEで買ったパンで済ませ、今度こそ、一路、ワナカへ!

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途中、立ち寄った湖畔のキャンプ場。
赤い車はあずさんが運転するホンダのナントカ。
レンタカーは、日本語のナビ付きもあります



ワナカには日暮れ前に到着した。雨が降っていたせいもあって、暦の上では初夏のはずなのにとても寒かった。10℃もなかったのではないかと思う。なのに、テラスで食事をしているグループが何組もいた。何かの罰ゲームに違いない。

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ワナカ湖畔で戯れていた小鳥。日本で見られるアオジのような小鳥でした


夕食を食べる店を探して町中をウロウロしていたら、すっかり体が冷えてしまったので、何か温かいものがありそうなインドカレー屋に入ることにした。スタッフのアジア人は同じアジア人が来たことをたいそう喜び、カレーを溢れそうになるぐらい入れてくれた。いや、実際は日本酒かと思うほど、溢れた。
このサービスはマニュアル通りなのだろうと思っていたら、隣の白人男性客の器のカレーは溢れてない! NZでも密かに人種差別があるようだが、こんな風に日本人にとってはちょっと嬉しい逆差別もある。

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ホテルの部屋からの眺め。中心街のワナカ湖畔から外れた場所に位置しているせいか、
お値段以上の贅沢な雰囲気



そうして寒いワナカに泊まり、翌日は、レイク・モエラキへ。道中、通り過ぎた湖はグレイシャーブルーのような青い水をたたえていてとても美しかった。が、ぐるりを取り囲む山々はほとんど禿げている。ぐるりだけでなく、NZ南島の山々はほとんどが禿げている。内陸は乾燥しているから樹木が育ちにくいのかな、と思っていたら、実は牧場をつくるのに木々を伐採したからだそうだ。NZでは酪農だけでなく農業も盛んなので水は必要不可欠だ。しかし、水源涵養機能となる森は禿げ散らかっている。何が森の代わりとなって水源を確保しているのだろうか、と不思議に思った。

sheep
この時期はどの動物も子育てシーズンなのでしょうか。仔羊もたくさんいました


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miyage
キーウィの置物は私たちの間で人気のお土産。
両端の大きいのは4年ほど前にマウントクックで購入。
真ん中の赤ちゃんキーウィは、今回の旅行で仲間入りしました。
実はマグネットとしても使える優れモノです、小さいくせに



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ニュージーランド航空の国内線飛行機。
日差しのせいか、ギラギラ黒光りした機体がいかつくて、
戦闘機みたいだと思いました



ペンギンプレイスに泊ってみた

ID:qm38t4

ペンギンプレイスは、ペンギン観察ができるとあって多くの観光客が訪れるが、宿泊施設を利用する人はほとんどいない。夜になるとスタッフもいなくなる。だから、静かに過ごせるし、さらに嬉しいことに宿泊料金は一泊3千円程度! 穴場なのだ。
設備は、ベッドルームと、共同のシャワーとトイレ、キッチン、リビングがある。キッチンでは冷蔵庫をはじめ、調理器具、食器、コーヒーメーカー、トースター、電子レンジなどは自由に使うことができる。

bluepen
体長は約26cm。世界最小のペンギン、ブルーペンギンは、ペンギンプレイスでも見られる。
11月は抱卵したり子育てしたり、と忙しい様子



bluepengroup
ペンギンプレイスにほど近い「ロイヤルアルバトロスセンター」でもブルーペンギンを観察できる。
夜9時を過ぎてから群れをなして海から帰ってくると、
ペタペタとものすごい音を立てて崖をのぼって家路についた



living
ペンギンプレイスのリビング。割とこぎれい


タオルは頼めば無料で貸し出してもらえるが、ドライヤーはない。シャンプーや歯ブラシといったアメニティはなく、もちろん食事は出ない。近辺に飲食店やスーパーがないので、ここに泊まる場合は車で30分程度走って市街地で食べるか、スーパーで食糧を調達するか、のどちらかになる。
私たちは、食事ごとに外出するのが面倒なので、最寄の空港、ダニーデン空港からペンギンプレイスに向かう途中、市街地に立ち寄って食糧を調達した。

ニュージーランドは、どの店がどういう店なのかわからないので注意しなければならない。日本だったらいかにもスーパー! いかにもパン屋! いかにも八百屋! という雰囲気を醸しているけれど、NZの店構えはわかりにくい。薬屋のように見えて、実はコンビニという場合も多い。しかも、日本で大量発生したスタバがない。驚いた。

ちなみに、賢く買い物をするなら、黄色い看板が目印の「PAK’n SAVE」がおすすめ。その名の通り、節約したい人たちの強い味方。ペンギンプレイスで合流したazuさんとmariさんが言うには「ここが一番安い」のだそうだ。

とはいえ、日本に比べると、NZの食料品は高い。お弁当のようなものは約600円、ガリガリ君のようなアイスバーは1本300円前後。極めつけは、ペットボトル入りジュース500mlが400円。ここはikariスーパーか、さもなければ「インフレ?」と疑ってしまうほど高い。日本のコンビニ弁当がいかに値段を勉強しているかがよくわかる。

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一番安いアイスバー。味はガリガリ君だけど、お値段は250円、とプレミアム並


だが、その値段は、高い品質のあらわれだろうとも思う。牛乳らしきもの、バターらしきものではなく、ちゃんとした本物を使っていると感じた。安い食品に慣れているので懐がさみしくなったが、値段、品質ともに健全だとも思った。

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水を飲むカモメ。日本名はギンカモメ、英名ではRED-BILLED GULL。
嘴と目の周り、脚が真っ赤。若いのはそれが黒いそうです



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水をめぐって小競り合いが勃発。次の戦争は石油ではなく水が原因で起こるといわれている。そのきな臭さを感じる一場面


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鳥がいっぱいのNZ。機内でいただける飲み物のカップには、いたずら好きのケアが描かれている。
その下には「PLEASE TAKE CARE……」と書かれている。
鳥のケアとかけまして、熱々のコーヒーカップとときます、その心は……って感じでしょうか



slope
ダニーデン市内のBaldwin Streetは、「World's Steepest street」と呼ばれるギネス認定の世界一級な坂道。
勾配は40度ぐらいと、すごく急! 坂の上からオレンジを転がしたら……と
考えてゾッとしたい人におすすめ




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