タワキペンギンに会いに

メイン


ニュージラーンド南島では、3種類のペンギンに会うことができる。世界最小のブルーペンギン、孤独を愛するイエローアイドペンギン、そして黄色い眉毛がチャームポイントのタワキペンギン(フィヨルドランドクレステッドペンギンともいう)だ。

南島の西海岸、レインフォレストにあるウィルダネスロッジ レイクモエラキ が提供するツアーでは、シークレットビーチと呼ばれる場所でタワキペンギンを観察できる。
この周辺には3つのコロニーがある。ひとつは100メートルの崖の上にある。海へのアクセスは悪いが、住み心地がいいのだろうか、界隈最大のコロニーである。もうひとつは、ビーチからほど近い森の中、そして3つ目はビーチを横切る川をさかのぼった場所にある。
ロッジのオーナーでペンギンの保護活動家でもあるジェリーは、この周辺には約80ペアがいると見積もっている。

3人衆


7月、タワキペンギンは繁殖のためにこの界隈にやって来る。子育て中は毎朝、育ち盛りのヒナのエサを獲るために海へ繰り出す。この日、ガイドをしてくれたパトリックは言う。
「魚を獲るのがうまいペンギンは昼ごろには帰ってくる。でも、漁が下手なペンギンは夕方近くまで海で漁をしているんだ」

岩場2


森とぺん


ペンギンが海から上がり、森へ帰って行く。その様子を見られたのはラッキーだが、ペンギンたちにとっても海から無事帰ってこられたことは、この上なく幸運なことに違いない。

この日、波打ち際では数頭のアザラシが顔を出し、ビーチの様子をうかがっていた。
アザラシはペンギンの天敵である。漁へ出るために連れだって崖から降りてきたペンギンたちは、岩場から動こうとせず、しばらくの間、首を伸ばして海を見、警戒していた。そして、岩の間を縫うように波打ち際へ進み、泡立つ荒波へ飛び込んだ。

岩場


波打ち際


夕方、海から帰ってきた1頭のペンギンを見つけた。森のコロニーの住人らしいが、森へ帰ろうとせず、波打ち際を行ったり来たりしていた。どうやら、一緒に漁に出たペンギンを探しているらしい。海にはアザラシがいる。もしかして……、と不安が彼の脳裏をよぎった。友人の安否を気にして、探しに行こうかどうしようかと迷っている。

ふと彼は、羽づくろいをしている2羽のオイスターキャッチャーを見つけた。ひょっとして……と、彼はよちよちと駆け寄っていき、オイスターキャッチャーにたずねた。
「僕の友だちを見かけませんでしたか」

オイスターキャッチャーは羽づくろいを止めて首をかしげたが、気の毒そうに首を振り、羽づくろいを続けた。友を見失ったペンギンは森へ向かってよちよち歩き出したが、踵を返し、再び波間に消えていった。

オイスター


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羽を泥だらけにして崖から降りてきたタワキペンギン


小鳥の水浴び

やや汗ばむ陽気になると、水辺に小鳥たちが集まってくる。もっとも、小鳥たちは真冬でも水浴びをするけれど、暑い日は気持ちよさそうな顔をする。

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小鳥たちは表情が豊かで、水浴びの仕方もそれぞれだ。シジュウカラは、首を左右に激しく振りながら水浴びをした後、木の枝で羽づくろいをしてまた入浴する、ということを何度も繰り返す。

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ヒヨドリが水に入るのは、ほんの一瞬だ。頭からザブン!と入ることも多いが、すぐに水から飛び出てしまう。そしてメジロは、ほかの誰かと一緒に入るのが好き。

この1年ほど、うちの庭には、毎日シジュウカラが水浴びに来てくれていた。やって来ると「ジジジ、ジジジ」と鳴くのでよく分かる。そのシジュウカラがお風呂に入った後は、周囲の石がビショビショだ。気持ちよくて、うれしくて、というのが濡れ具合で伝わってくる。

それが、秋ごろからぱったりと姿を見せなくなってしまった。
馴染みの客がひとり減り、寂しい気持ちになった。


疲れた母、健気な母

ゴールデンウィーク前後、小鳥の母たちは子育てに追われて大忙しだ。スズメは、人間が落とすご飯粒やパン屑を拾っても、いつものように飲み込まず、もう2口、3口くわえて、ヒナの待つ巣に一直線に飛んで行く。人がエサをくれるとわかれば、巣と人の間を何往復もし、子育ての効率化を図る。

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人にエサをねだる母


元気なスズメは1シーズンのうちに2回以上産卵し、子育てをするという。母の中には若くてキレイな羽のものもいるが、羽が薄汚れていたり、寝ぐせがついて取れない母もいる。おそらく、今年すでに何度目か産卵と子育てを経験したのだろう。見るからに疲れきっているから、それが性とはいえ気の毒になる。

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疲れた母

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寝ぐせが取れない疲れた母

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大食漢のヒナを育てるのに必死の母その1

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大食漢のヒナを育てるのに必死の母その2

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疲れきった母

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それでも子育てを頑張る母


去年見たこの健気な母には、今年はもう会えないだろうな。





観光もしました in NZ

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オタゴ半島上空を舞うオオアホウドリ、多分


東海岸のペンギンプレイスから西海岸のレイク・モエラキへは、車で移動した。途中、内陸部に位置するワナカ湖畔の町で一泊することにしていたが、ペンギンプレイスで合流したあずさんやマリさんたちと一緒だと、旅行はアクティブになる。

まず、ワナカへ向かう前に、ロイヤルアルバトロスセンターに立ち寄った。ここは前夜に参加した、ブルーペンギン観察ツアーの開催場所であるとともに、アホウドリの一種である希少種、ロイヤルアルバトロスの保護区でもある。間近で見られるかな、と期待していたが、この時期は子育て期間のため巣のある場所に近づくことはできないらしい。空高く舞うロイヤルアルバトロスを「あれ、ロイヤルかな」「カモメちゃう?」と言いながら眺めた後、一路、ワナカへ! 
――と思いきや、あずさんとマリさんが「その前にモエラキ・ボルダーズに立ち寄りたい」と言うので、ダニーデンからさらに1時間ほど北上したこの場所に足を伸ばすことにした。

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この時期のNZには花がいっぱい! おとぎの世界のようです


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せっせと蜜を集めるミツバチ。細いあんよの花粉ポケットには大量の花粉が


モエラキ・ボルダーズは、直径1メートルほどの巨大な球状の岩が砂浜にゴロゴロ転がっていることで知られている。日本では亀甲石と呼ばれるそうだが、そもそもは火山から噴出した溶岩に粘土状の堆積物が付着しながら結晶化した石だという。乾燥や不純物の影響で不均等に結晶化が進むため亀甲模様になるのだそうだが、そういう説明を聞いても岩ができる過程をイメージできない、というのが正直なところ。そのせいか、青く美しい海に得体のしれない丸い巨岩が転がる様子は、別の惑星の光景のように見える。

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モエラキ・ボルダーズの不思議な光景。SF映画の舞台になりそう


ここはガイドブックにも掲載されている観光スポットなので、お土産屋さんもあればちょっとしたカフェもある。が、昼食は駐車場のそばで、PAK’n SAVEで買ったパンで済ませ、今度こそ、一路、ワナカへ!

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途中、立ち寄った湖畔のキャンプ場。
赤い車はあずさんが運転するホンダのナントカ。
レンタカーは、日本語のナビ付きもあります



ワナカには日暮れ前に到着した。雨が降っていたせいもあって、暦の上では初夏のはずなのにとても寒かった。10℃もなかったのではないかと思う。なのに、テラスで食事をしているグループが何組もいた。何かの罰ゲームに違いない。

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ワナカ湖畔で戯れていた小鳥。日本で見られるアオジのような小鳥でした


夕食を食べる店を探して町中をウロウロしていたら、すっかり体が冷えてしまったので、何か温かいものがありそうなインドカレー屋に入ることにした。スタッフのアジア人は同じアジア人が来たことをたいそう喜び、カレーを溢れそうになるぐらい入れてくれた。いや、実際は日本酒かと思うほど、溢れた。
このサービスはマニュアル通りなのだろうと思っていたら、隣の白人男性客の器のカレーは溢れてない! NZでも密かに人種差別があるようだが、こんな風に日本人にとってはちょっと嬉しい逆差別もある。

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ホテルの部屋からの眺め。中心街のワナカ湖畔から外れた場所に位置しているせいか、
お値段以上の贅沢な雰囲気



そうして寒いワナカに泊まり、翌日は、レイク・モエラキへ。道中、通り過ぎた湖はグレイシャーブルーのような青い水をたたえていてとても美しかった。が、ぐるりを取り囲む山々はほとんど禿げている。ぐるりだけでなく、NZ南島の山々はほとんどが禿げている。内陸は乾燥しているから樹木が育ちにくいのかな、と思っていたら、実は牧場をつくるのに木々を伐採したからだそうだ。NZでは酪農だけでなく農業も盛んなので水は必要不可欠だ。しかし、水源涵養機能となる森は禿げ散らかっている。何が森の代わりとなって水源を確保しているのだろうか、と不思議に思った。

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この時期はどの動物も子育てシーズンなのでしょうか。仔羊もたくさんいました


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キーウィの置物は私たちの間で人気のお土産。
両端の大きいのは4年ほど前にマウントクックで購入。
真ん中の赤ちゃんキーウィは、今回の旅行で仲間入りしました。
実はマグネットとしても使える優れモノです、小さいくせに



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ニュージーランド航空の国内線飛行機。
日差しのせいか、ギラギラ黒光りした機体がいかつくて、
戦闘機みたいだと思いました



ペンギンプレイスに泊ってみた

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ペンギンプレイスは、ペンギン観察ができるとあって多くの観光客が訪れるが、宿泊施設を利用する人はほとんどいない。夜になるとスタッフもいなくなる。だから、静かに過ごせるし、さらに嬉しいことに宿泊料金は一泊3千円程度! 穴場なのだ。
設備は、ベッドルームと、共同のシャワーとトイレ、キッチン、リビングがある。キッチンでは冷蔵庫をはじめ、調理器具、食器、コーヒーメーカー、トースター、電子レンジなどは自由に使うことができる。

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体長は約26cm。世界最小のペンギン、ブルーペンギンは、ペンギンプレイスでも見られる。
11月は抱卵したり子育てしたり、と忙しい様子



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ペンギンプレイスにほど近い「ロイヤルアルバトロスセンター」でもブルーペンギンを観察できる。
夜9時を過ぎてから群れをなして海から帰ってくると、
ペタペタとものすごい音を立てて崖をのぼって家路についた



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ペンギンプレイスのリビング。割とこぎれい


タオルは頼めば無料で貸し出してもらえるが、ドライヤーはない。シャンプーや歯ブラシといったアメニティはなく、もちろん食事は出ない。近辺に飲食店やスーパーがないので、ここに泊まる場合は車で30分程度走って市街地で食べるか、スーパーで食糧を調達するか、のどちらかになる。
私たちは、食事ごとに外出するのが面倒なので、最寄の空港、ダニーデン空港からペンギンプレイスに向かう途中、市街地に立ち寄って食糧を調達した。

ニュージーランドは、どの店がどういう店なのかわからないので注意しなければならない。日本だったらいかにもスーパー! いかにもパン屋! いかにも八百屋! という雰囲気を醸しているけれど、NZの店構えはわかりにくい。薬屋のように見えて、実はコンビニという場合も多い。しかも、日本で大量発生したスタバがない。驚いた。

ちなみに、賢く買い物をするなら、黄色い看板が目印の「PAK’n SAVE」がおすすめ。その名の通り、節約したい人たちの強い味方。ペンギンプレイスで合流したazuさんとmariさんが言うには「ここが一番安い」のだそうだ。

とはいえ、日本に比べると、NZの食料品は高い。お弁当のようなものは約600円、ガリガリ君のようなアイスバーは1本300円前後。極めつけは、ペットボトル入りジュース500mlが400円。ここはikariスーパーか、さもなければ「インフレ?」と疑ってしまうほど高い。日本のコンビニ弁当がいかに値段を勉強しているかがよくわかる。

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一番安いアイスバー。味はガリガリ君だけど、お値段は250円、とプレミアム並


だが、その値段は、高い品質のあらわれだろうとも思う。牛乳らしきもの、バターらしきものではなく、ちゃんとした本物を使っていると感じた。安い食品に慣れているので懐がさみしくなったが、値段、品質ともに健全だとも思った。

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水を飲むカモメ。日本名はギンカモメ、英名ではRED-BILLED GULL。
嘴と目の周り、脚が真っ赤。若いのはそれが黒いそうです



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水をめぐって小競り合いが勃発。次の戦争は石油ではなく水が原因で起こるといわれている。そのきな臭さを感じる一場面


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鳥がいっぱいのNZ。機内でいただける飲み物のカップには、いたずら好きのケアが描かれている。
その下には「PLEASE TAKE CARE……」と書かれている。
鳥のケアとかけまして、熱々のコーヒーカップとときます、その心は……って感じでしょうか



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ダニーデン市内のBaldwin Streetは、「World's Steepest street」と呼ばれるギネス認定の世界一級な坂道。
勾配は40度ぐらいと、すごく急! 坂の上からオレンジを転がしたら……と
考えてゾッとしたい人におすすめ




ペンギンプレイス

ニュージーランドの沿岸部では、3種のペンギンを見ることができる。そのうち1種は南島の西岸部にいるフィヨルドランド・クレステッド・ペンギン(タワキペンギン)、残り2種は南島東岸部に生息するイエローアイド・ペンギン(キガシラペンギン)とブルーペンギン(コガタペンギン)だ。

後者2種は観察ツアーに参加すれば、簡単に出会うことができる。そのツアーを提供しているのが、ダニーデン市の郊外、オタゴ半島にあるイエローアイド・ペンギンのサンクチュアリ「Penguin Place」だ。
ここはもともと広大な牧場だったが、ペンギンの生息地だと気付いたオーナーは1985年、ペンギン保護プロジェクトを創設。ペンギン用巣箱の設置や植樹を行い、ペンギンの生息環境の再生に尽力してきた。

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夕暮れ時、丘の上でたそがれていたペンギン

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ペンギンを保護するには、人々の理解と協力が必要であり、そのためにはペンギンをよく知ってもらうことが重要だ。そこで彼は、敷地内に人が身を隠しながら通れる溝のような通路やペンギンの観察小屋を設置し、観察ツアーを提供するようになった。

ツアーは1回1時間半で、一日に何度か実施されている。子育て期間中は、巣箱内でヒナや卵を抱く様子が見られるが、ペンギンが歩いている様子を見たいのであれば、エサを獲りに海へ出勤する朝、もしくは、海から帰ってくる夕方に実施されるツアーに参加するのがおすすめだ。

ツアーの流れは、まず受付を済ませ、ペンギンとPenguin Placeについて15分程度、説明を受ける。その後、バスでペンギンたちの保護区へ移動する。
保護区内では、ガイドさん同士がトランシーバーで連絡を取り合っており「ペンギン出没!」の連絡を受けると、そこまで案内してくれる。

しかし、サンクチュアリ内の移動は大変だ。なぜなら、通路は狭く勾配がある上に、ガイドさんも参加者も足の長い外国人。我々足の短い日本人は、彼らについて行くのに必死だ。しかも、通路は迷路のようになっているため、ひとたびグループからはぐれると迷子になるかもしれない。意外とタフなツアーである。

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夕方、ペンギンがひとりで帰ってきた。やはり非社交的なペンギンの代表だ


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観察小屋では、高さ30センチぐらいの窓からペンギンを観察できる。ペンギンは私たちに気づいても、気にする様子もなく、むしろ機嫌よく目の前を通り過ぎていく。ガイドさんは、私たちを30センチ程度の小さな生き物だと思っているからだと言うが、ペンギンの思考回路はそれほど単純なのだろうか。


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タワキペンギン同様、イエローアイド・ペンギンもこの時期は子育て期間中だ。三角屋根の巣箱の中には、短い足の間に卵を寄せたり、寝そべってお腹の下に卵を入れたりしてヒナの孵化を待つペンギンの姿があった。
ただ、ヒナはまだ孵っていない様子。ヒナを見るのなら、12月上旬が狙い目かもしれない。


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海から上がり、ほっとしているイエローアイド・ペンギン。
もうこのまま眠りたい、というような顔をしている


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観察小屋にはツバメの巣が。私たちがいる間、ヒナは沈黙を守っていた

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岩場ではアザラシが寝そべっている。ペンギンを襲わないのか心配になったが、
ガイドさんが言うには「ペンギンは泳ぐのが早いから襲われる心配はない」とのこと


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タワキペンギンに会うの巻3

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山から下りてきたところ。
その道のりがいかに険しいかは、お腹周りの汚れ具合から察することができる



タワキペンギン観察ツアーは朝9時頃から夕方5時半ごろまで続いた。途中、雨が降ってきたが、この地に着いた日、30分ごとに晴れたり土砂降りになったりしたことを思うと、決して悪くはない。これぐらいの雨は慣れているし、サンドイッチだってうまく食べられる。こういったツアーを経験するたびに、できなかったことがひとつずつできるようになる、という手ごたえがある。

そんな一日がいよいよ終わりに近づいた時、ロッジのオーナーでタワキペンギンの保護活動にも従事するジェリーが、ツアー客を連れてビーチにやって来た。その時私たちは、海から上がったペンギン3人衆が森へ入るのを間近で見るために、藪の影で待っていた。しかし、3人衆は私たちが気になるのか、10メートルほど離れた場所でモジモジするばかりで、こちらに歩いてこようとはしない。

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漁から戻り、藪の前でモジモジする3人衆


見かねたジェリーが、ビーチからガイドのニコに指示をする。
「もう少し離れたらどうだ」
私たちはズルズルと後ずさりし、再び3人衆を待った。しかし、それでも彼らは私たちが気になって仕方ないらしい。やはりモジモジして、藪から顔を出したり引っこめたりしている。

かれこれ30分ほど待ったが、夕食の時間も迫ってきたので重い腰を上げ、ジェリーのいるビーチへ向かった。その途中、遠巻きに3人衆をチラリと見てみると、モジモジしていたのは彼らだけではなく、その後にさらに数羽のペンギンがモジモジしていたことに気づいた。私たちがいたせいで、帰宅ラッシュを引き起こしていたのだ。

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「あの人間、まだいるね」「早くどっかに行ってくれないかな」
「後ろも詰まってるしね……」というような会話をしていたようだ


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胸の傷はアザラシか何かに噛みつかれたのだろう、とニコは言う。
傷を負ったペンギンは意外と多かった



なんだか悪いことをしたなぁ、と一同ショボンとしてしまったが、ジェリーは珍しく上機嫌だった。
「観光客はペンギンを追い回すけれど、君たちはじっと待っていたから」
ということらしい。そして「この岩場にウニがいるんだ、食べるか?」と言うが早いか、長靴をはいたまま浅瀬にジャブジャブと入っていき、岩の匂いでも嗅ぐかのように念入りにウニを探してくれた。しかしウニは見つからず、「長靴に水が入ったぁ!」とはしゃいで海から退散、ウニの代わりにグニョリとしたヒトデを見せてくれた。

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その後、私たちはジェリーと一緒に少しだけビーチを歩いた。砂の上には、波に磨かれた白い石ころがたくさん転がっていた。この一帯がマオリ族の言葉で「テワヒポウナム(翡翠の土地)」と呼ばれている通り、ここでは翡翠が見つけられるという。

緑の石を手当たり次第に拾い上げ、ジェリーに尋ねる。
「これは翡翠ですか?」
「ノー」
「じゃぁ、これはどうでしょう?」
「ノー」
こんなやり取りを数回した後、ジェリーはようやく首を縦に振った。
「イエス」

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ビーチで見つけた翡翠(らしきもの?)。
きれいだけれど、やはり元の場所で見るのが一番いい
(これだから何でも欲しがる観光客は困る)



ジェリーはここで拾った翡翠は持ち帰ってもいいと言ってくれた。貴重な石を自分のものにできるなんてラッキー! 大喜びで日本に持ち帰ったが、マオリ族には最初に見つけた翡翠は持ち帰らないという習慣があると知ったのは、帰国してからずいぶん後のことだった。

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足は短いが、鋭い爪を使って、岩も崖も器用に登る


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増水した川はペンギンにとっての高速道路。歩くよりも早く森に戻ることができる。
川で泳ぐ様子を見られるのは珍しく、研究者の間でも貴重なシーンといわれている



タワキペンギンに会うの巻2

ロッジが提供するツアーは半日、一日コースがある。私たちは丸一日、ペンギンを見たかったので、ガイドさんが一人つき、リクエスト通りのコースを案内してくれるというオーダーメイドのツアーを選択。朝9時ごろから17時半ごろまでビーチでペンギンを見ていた。

ペンギンばかり見ていると、いい加減、飽きそうな気もするが、そうでもない。むしろ、「ペンギンだけを見ていたい」という気分になる。少し前までなら、姿を見ただけで興奮したアザラシも、この時だけは興味がわかなかった。
「見て、あそこ!」
とガイドのニコが興奮気味に言っても、
「え、何?!」
「アザラシだよ!」
「あー……」
と急激にテンションが下がる始末だ。

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飛び移るべきスポットをじっと見つめ、神経を集中させる


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先に下りたペンギンが、後に続くペンギンを見守る光景はよく目にする


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ペンギンたちは足場を確認しながら慎重に崖を下りるが、こんな風に滑ってしまうこともある




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後から見ると、黄色い眉が御茶ノ水博士っぽい


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ようやく海に到着し、ホッとする2羽


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巣に戻る途中、森の中で一休み?


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気に入らないことがあったら怒ります、ペンギンだもの


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葉が傘のように見えることから、アンブレラモスと名付けられた植物


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タワキペンギンに会うの巻

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この丸いお腹、見たって


多雨林と氷河、そしてニュージーランド最高峰マウントクックを抱く南西ニュージーランド。南北450キロにも及ぶこの一帯は、先住民マオリ族の言葉で「テ・ワヒポウナム(翡翠の土地)」と呼ばれ、世界遺産に登録されている。その面積は広大で、国土全体の約10%を占める。

テ・ワヒポウナムは、翡翠だけでなく豊かな自然にも恵まれており、さまざまな動植物が生息している。フィヨルドランド・クレステッド・ペンギンもその一種だ。
マオリ語で「タワキペンギン」と呼ばれるこのペンギンは、1月から6月はタスマン海で過ごし、7月〜12月はテ・ワヒポウナムの森の中で子育てをする。

繁殖期間中は、ウィルダネス・ロッジ・レイク・モエラキ周辺のモンロービーチやジャクソンベイで彼らに会うことができる。特に11月は遭遇率が高い。というのも、ヒナの旺盛な食欲を満たすために、オスとメスがかわるがわる森から海へ出て漁をするからだ。
「ビーチにいればほぼ確実に彼ら会える」というロッジのオーナー、ジェリーが教えてくれたので、ガイドのニコの案内で、彼らが“シークレットビーチ”と呼ぶ砂浜へ繰り出した。

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ペアのように見えるが、だいたいはご近所さん同士


と、早くも1羽のペンギンを発見! ちょうど漁を終え、崖の上にある巣へ帰ろうとしているところだった。しかし、ビーチには岩やタスマン海の荒波が運んできた大木がゴロゴロ転がっている。ペンギンの短い“あんよ”では、巣へ帰るのも一苦労だ。小魚やイカなどで重くなったお腹を抱えて、ヨチヨチと懸命に歩く姿がたくましく、愛らしい。

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滑る岩の上に登ろうと、何度もトライするタワキペンギン


一目、ペンギンを見ることができて満足だったが、この日はこれだけでは終わらなかった。砂浜でじっと座っていると、海から森からペンギンたちがひょこひょこと姿を現してくれたのだ。野生動物観察は、待ち時間の方が圧倒的に長いが、ここでは待っている時間などほとんどななく、かなり多くの個体を観察することができた。

ここにいるとタワキペンギンが絶滅危惧種であるとなかなか実感できないが、彼らは世界で2番目に絶滅が危惧されているペンギンといわれており、生息数はわずか2000ペアと推定されている。その約10%がロッジ周辺で見つかっているのだから、この一帯は彼らにとって絶好の子育て環境なのだろう。

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荒波躍るタスマン海へ、いざ!


タワキペンギンは多くの場合、2〜3羽で行動する。漁からの帰り、誰か1羽が海岸の荒い波にもてあそばれて上陸が遅くなると、仲間たちは心配そうに岩の上で海を見渡したり鳴き声をあげたりして、消息を確かめる。

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漁を終えた3人衆。この後、川をスイーッと泳ぎ、巣のある森の中へ消えていった


だからといって、みんながみんな仲良しというわけでもなく、漁に出る集団と帰ってきた集団が森へ続く小道で鉢合わせになると、小競り合いになることもある。
ニコは言う。
「タワキペンギンは社交的ではないけれど、非社交的でもない。ちょうど中間だね」

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どちらの集団も道を譲らず、しばらくにらみ合いが続いた。ピンクのあんよがかわいい


ちなみに、ニュージーランド沿岸部には、タワキペンギンのほかに、ブルーペンギンとイエロー・アイド・ペンギンの3種が生息しており、ブルーペンギンは集団で行動する。
一方、イエロー・アイド・ペンギンは、自分の視界にほかのペンギンが入ることすらイヤがる人嫌い(ペンギン嫌い?)が特徴。ほかのペンギンとばったり出くわしたら最後、ひどく厭世的な表情をするに違いない。

ペンギンまみれのツアーを終えると、ニコは興奮気味に言った。
「今日、観察できたペンギンは95羽! 一日でこんなにたくさんのペンギンを見たのは初めてだ!」

ニコが言うには、私たちはタワキペンギン総個体数の約2%を観察した計算になるという。これはニコ史上、新記録だそうだ。

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太古の森のウィルダネスロッジ

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ニュージーランドの南島の小さな村、マカロラを過ぎてしばらくすると、車は背の高い木々が鬱蒼と茂る緑のトンネルへ吸い込まれるように入っていった。と、先ほどの乾いた晴天が嘘のように、雨が激しく降りだした。はげ山が連なる湖畔地帯からレインフォレストへと突入した証である。これほど急激な天候と景色の変化を目の当たりにすると、まったく別の世界にやって来たような気持ちになる。






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車窓を流れるのは、恐竜とともによく描かれるような大きなシダをはじめ、コブのある枝をあちこちに伸ばす奇妙な樹形の木々など、馴染みのない植物がかたちづくる薄暗い森だ。そんな光景を楽しみつつ緑のトンネルをひた走れば、タスマン海を望む海岸にたどり着く。
と書くのは簡単だが、レインフォレストを縦走するこの国道6号線が、めざすモエラキ渓谷とつながったのは1965年、とそれほど遠い昔ではない。深い森と深い谷、そして天候に阻まれたせいもあり、この道の建設はニュージーランド開拓史上、最後の砦だったようだ。




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森の中から見たWilderness Lodge Lake Moeraki

6号線を西へ走り、ハーストいう小さな町を過ぎると、ようやくウィルダネスロッジ・レイク・モエラキに到着する。このロッジはレインフォレストの只中にあり、周囲20数キロに村もなければ人家もない。
陸の孤島ともいえるロッジはそもそも、国道6号線建設の作業施設とモーテルだった。それらを生物学者のジェリー・マックスウィニーとその妻、アンが買い取って長い年月をかけて改修し、ロッジ開業へとこぎつけた。周辺に残る太古の森を保護するとともに、訪れた人々とその豊かな自然を共有したかったからである。

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この川に生息する大ウナギ探しは、モエラキロッジが提供する魅惑のツアーのひとつである

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ゴンドワナ大陸の姿を今に伝える太古の森

森に埋もれるように佇むロッジのダイニングルームは川沿いにあり、窓越しに独特の樹形のカヒカテアなどが形成する森が見える。熱帯のジャングルや北半球の多雨林とは異なる森林の様相は、とてもエキゾチックだ。欧州からの開拓者がこの自然を手なずけようという気を失ったのなら、それは幸いなことである。
何しろニュージーランドは、オーストラリアから分裂して約8000万年もの間、孤立し続けた島である。そのため、この多雨林はかつて南半球にあった超大陸、ゴンドワナ大陸の姿を留めており、太古の動植物を研究するにはうってつけの場所なのだ。

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ニュージーランドの国鳥、トゥイ。首元に白いポンポンをつけたオシャレさんだ

森を歩けば、地球に最初に現れたシダにも出合えるし、樹齢1千年を超える木々も茂る。時折、ファンテイルやロビンが興味津々、といった風にやって来て枝から枝へ飛び移りながら歓迎してくれる。その人懐こさも、動物と人間が未分化だった遠い昔の姿なのかもしれない。

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緑の羽と赤いくちばしのコントラストが鮮やかなニュージーランドバト


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人懐っこい小鳥。尾羽を広げた姿が扇のようなことから、ファンテイルと呼ばれている







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