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●ダルビッシュの投球術は群を抜いている●
 私はダルビッシュ投手を一目見て,そのかっこよさに悩殺された。そして,私のこのゲームの目的は美しきボールパーク・カムデンヤーズ巡りからダルビッシュ投手の追っかけと転じてしまったのだった。
 もし,ダルビッシュ投手が先発でなければ,私は見晴らしのよい4階席でこのゲームをゆっくりと楽しむはずであったが,方針転換である。

 アメリカのボールパークは1階席を取り巻くように広いコンコースが一周している。
 これは,どのボールパークも同じ作りになっているが,ボールパークに限らず,バスケットボールなどの室内競技場もまた同様である。そして,そうしたコンコースには売店が並んでいる。アメリカのこうした施設が日本と決定的に違うのは,そうしたテレビに映らない場所の豪華さにある。
 1階席のスタンドに降りるには,コンコースから自分のシートのある通路口に係員がいて,そこでチケットを見せるという仕組みになっている。また,2階席以上はコンコースから階段やエスカレータ-があって上がっていくと,その階にも広場がある。
 係員は大概地元のお年寄りの場合が多く,アメリカのことゆえ,その仕事ぶりはものすごく厳格な人からまったくやる気のない人まで非常に個人差がある。さらに,そうした係員の対応はボールパークによっても程度の差がある。
 カムデンヤーズはゆるゆるであった。係員が別の客の接待に追われていたり,あるいは,どういうわけか係員が不在の通路が結構あって,そうした通路からは,いくらでも1階席に降りていくことができるから,グランドにいるプレイヤーを近くから写すことができるのである。

 私は,こうして,さまざまな席の間を移動しながらダルビッシュ投手の写真を撮りまくっていたのだが,ちょっと調子に乗りすぎて,バックネット裏にの最上級席まで降りていったときだけは係員がやってきて「チケット見せろ」と言われて困ってしまった。
 ちょっと写真を撮りに来ただけだ,とかいって潔く退散することになったが,罰金でも払わされたらどうしようかと一瞬凍った。

 このボールパークもまた,食事は大したものがない。ほかのボールパーク同様,ホッとドックやハンバーガーとコーラ,これだけで1,000円以上もする。しかも量が少ない。今回もそれで我慢をしてそこそこに平らげ,食事をする間も惜しんでダルビッシュ投手の一挙手一等足を観察していた。
 ダルビッシュ投手の投球ほど面白いものはない。彼は,テレビで見ていても投球術は群を抜いている。それをナマで見られるのだからなおさらである。しかし,どういうわけか,復帰後の彼は,球威が増して三振の数は以前よりもさらに増したのに,やたらとホームランを打たれてしまうのが不思議なことだった。
 どうしてなのだろう?
 この日のダルビッシュ投手もまた,6回と1/3投げて9三振を奪った好投だったが,なんとシングルホームランを3本も浴びて降板し,敗戦投手になってしまった。
 私は,ダルビッシュ投手が降板したのでもう用がなくなり,治安も心配だったので,セブンスイニングストレッチまでボールパークにいて,早々にホテルに引き上げることにした。