一年半遅れですが…

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My Chemical Romance「Black Parade」06年作品

受験勉強に集中した二年間聞き漏らしたものは数多いのですが、これから少しずつ追いついていきますよっと。

最初に試聴した時は、前作とのあまりの違いに戸惑って全く聞けませんでした。
三、四曲目のThis is how I dissapearやThe sharpest livesなどは前作と同じ路線の劇泣セツナイ系メタル・パンク風で即効性も申し分ありませんが、他の曲の雰囲気が随分変わりましたよね。
前作の曲で言うなら「ゴースト・オブ・ユー」の演劇のような大仰さと「アイム・ノット・オーケイ」のポップさを合わせた感じでしょうか。それらをクイーンのようなドラマチックさで全体的にコーティングしたような作風が中心です。一曲目のDead!などはまさにクイーンのエモ仕立てといった具合の仕上がりですね。

Mステでのステージや、夏フェスでのパフォーマンスを見る限り、ライブは弱そうです。ボーカルがあまりに酷く、メロディを殆ど歌えずシャウトで誤魔化す場面が目立ちましたし、マイクを客席に向けて苦しいところを避ける、所謂フェイクも聞き手を満足させるものではありませんでした。
この点からか、マイケミ・アンチが多く生まれたようです。
実際、僕も嫌いとまでは言わなかったものの、あまり好きではないという感想を持ったのは事実です。
でもですね、こうしてスタジオ盤を聞く限りでは、非常に出来が良く、好き嫌いはともかくとして、取り立てて批判するようなところは見当たらないように思います。
タイトル曲なんて、年間ベスト曲に選ぶ人が100万人いたっておかしくないくらいのキラー・チューンですよ。「ポップでキャッチーでシンプルなロックなんて退屈で聞けたもんじゃない」なんていう真性プログレッシャーさんやブラックメタラーさんでもない限りは一度くらい聞いてみて欲しいものです。

クイーンのエモ仕立てという新たなマイケミ・スタンダードも、前作の流れを組む哀メロ・メタル・パンクも、定番曲になり得るほどに仕上げて来ながら、全くの新路線も開拓。
house of wolvesはエモmeetsバッド・ボーイズ・ロックンロールといった風合いの曲で、なかなか良いスパイスになっています。

年間ベスト・アルバムじゃ褒め過ぎだし、全ての曲が素晴らしいってわけじゃあありませんけれど(後半若干ダレます…)、聞かず嫌いでスルーしてしまうには勿体ないアルバムだと思います。
何より、ロックは新鮮さが命ですからね。歌詞を見る見ないに関係なく、時代を切り取るサウンドというのは確かにあるものです。
マイケミのこのアルバムは、話題性や加熱し続けた人気というごく一面だけを見ても、時代の象徴として確かな存在感を放っているのではないでしょうか。