2013年10月
2013年10月25日
「支援する」ということについて
あいの会代表・小沢樹里より想うこと
(東光宏 代わりに記す)
いま何ができるかを考えたところ、こんなことを思い、
少しでも多くの方の目にとまってくれることを願って書いてみます。
みなさん、拡散のほどよろしくお願いいたします。
もし仮に埼玉県で何らかの犯罪被害に遭った場合、
サポートを受けることのできる窓口がいくつかあります。
埼玉県警察本部・犯罪被害者支援室(犯罪被害者相談センター)
0120-381858
http://www.police.pref.saitama.lg.jp/kenkei/hanzai-bouhan/hanzaihigai/soudan-hanzai-higai.html
公益社団法人埼玉犯罪被害者援助センター(彩の国サポートセンター)
048-865-7830(ナヤミゼロ)
http://www.svsc8080.jp/
※埼玉県では、上記いずれでも無料で相談を受けることができます。
残念ながら全都道府県で完備とまではいっていないかもしれません。
あっても、機能しているかあやふやなところもあるかもしれません。
しかし埼玉県だけに限ったものではないはずです。
他の都道府県や自治体でも必ずサポートする窓口はあるはずです。
こうした窓口の存在を少しでも多くの人が知っていたら・・・
そして犯罪被害に巻き込まれた人が、もし目の前にいた場合、
そうした窓口の存在を教えてあげることができたら・・・
犯罪被害者、そしてその家族を少しでも助けることにつながります。
裁判の付き添い支援、心理カウンセラーの紹介、無料弁護士相談・・・
窓口によっても、受けられるサポートの内容に違いはあります。
また、子供がいるご家庭が犯罪被害に遭った場合、
埼玉県では「ファミリーサポートセンター」というものもあります。
有料のサポートですが、どうしても必要な場合に備えて、
早い段階で申請し、サポートを受けられるようにするのは得策です。
小沢家も活用させていただきました。
また各自治体にはそれぞれ被害者支援窓口の担当者がいます。
そうした担当者に相談し、サポートを求めることも効果的です。
また被害にあったその日から日記かノートをつけることも大切です。
どんな些細なことでもいいから、記録を取ることにこだわること。
毎日、簡単でもいいので、いつ、どんな状況で、誰に会ったか、
(警察官、検察官、保険会社担当者、加害者家族・・・など)
いつでもすぐ記録できるように、ノートを持ち歩くようにしてください。
気が付かないうちにたくさんの情報が入り、それが蓄積されます。
それを記録しておかないと、後々必ず混乱してしまうことになります。
出来事の整理がつかず、適切な対応ができないことも起こりえます。
後日、裁判(刑事でも民事でも)でも有用なものになります。
だから記録を取ることはとても大切なことです。
また身近で犯罪被害に遭った人がいる方にもお願いです。
その方の被害がマスコミ報道されるような場合、
できるだけニュースを録画したり、新聞の切り抜きを取ってもらえると、
その被害者や家族にとって、後日大変な助けになります。
被害者やその家族は、なかなか報道をチェックできません。
そのような時間も精神的余裕もありません。
だから周りからサポートして、報道記録を後日まとめて渡してもらう。
それだけでどれだけ大きなサポートになるかわかりません。
また仕事をしている中で犯罪被害にあった場合、
「犯罪被害者のための休暇」を利用できる場合があります。
厚生労働省から提案がなされていて、
現行でも病気療養などに乗せて休暇制度活用できる場合があります。
また報道関係者の無遠慮な取材を拒否することもできます。
そうした貼り紙を各自治体の被害者支援室でもらうこともできます。
玄関先に貼ることで、マスコミに囲まれる騒ぎを回避することができます。
ですが報道関係者は、敵ではなく、実は強い味方にもなりえます。
警察は一番情報を持っていますが、公に出すまでには時間がかかります。
(※警察官個人々々の大半は、被害者を本気で助けたがっています。
しかし公の立場上、その個人的心情を出せない場合がほとんどです)
その分、警察の周りにいて、警察の動向を知っている報道関係者は、
頼りにすることができる存在でもあります。
本当に信頼できると思える記者さんに出会えたら、話してもいいこと、
いまは話したくないことを分けながらも、話すとよい場合もあります。
また、記者さんからいただいた名刺はしっかりと管理しておくこと。
その記者との繋がりが、その先も役立つことも少なくありません。
学校や地域の分担業務(PTA、地域作業、ゴミ当番など)も、
しばらくは免除してもらったり、あるいは軽減してもらうなど、
地域の方に助けてもらうことも躊躇しないで考えるべきです。
しかしこれも被害者・家族・遺族からは言い出しにくいことです。
だからもし身近で犯罪被害に遭った人が出てしまった場合、
地域の方から率先して、そうするように声をかけてほしいと思います。
被害に遭うと、食事や買い物、育児など、当たり前の生活が崩れます。
最初は温かいものを食べることもままなりません。
小沢家でも、買い物にも行くことすら大変でした。
中心となるべき母や妻という存在も、普段通りには機能しません。
だからこそ特に被害にあった最初の頃は、おにぎりや味噌汁、
お茶やコーヒーなど、コンビニで買ったささやかなものでいいので、
近所や身近な方から差し入れて支えてもらえると、とても助かります。
また子供の送り迎えなどの日常の行動もなかなかできません。
だから犯罪被害者の学校の先生や近所の方にお願いです。
できるところからでいいので、サポートしていただけると助かります。
特に事件から1ヶ月の間は、すべてが尋常ではありません。
ですが、子供は毎日成長します。
そして、その成長している途中の子供も戸惑っています。
小中学生など多感なお子さんのいる家庭で犯罪被害に遭った場合、
身近な方が、付き添いや見守りをしていただくだけで支援になります。
学校の先生からのサポートや、スクールカウンセリングなど、
受けられる支援がもっとわかりやすいとよいなとも思っています。
学校の先生は、子供の一番身近な支援者になると思います。
犯罪被害の直後は、自分の子供であってもなかなか目が行き届きません。
そんななか、子供もショックを受けてうまく言葉で伝えることができないこと、
困っていることをたくさん抱えることになります。
それを上手に引き出して、支えてあげることも、
普段から日中一緒にいる学校の先生こそ、冷静にできることだと思います。
また学校の先生には、学校の配布物などで重要なものには、
赤線など引いてフォローしてもらえると嬉しいと思います。
それと給食の食べ残しなど、健康・メンタルチェックについても、
スクールカウンセラーに伝えて、連携を取ってもらいたいと思います。
また犯罪被害という特殊な事態に、自分の教え子が巻き込まれた場合、
先生から率先して、自治体の被害者支援室や援助センターなどに連絡し、
サポートの支援をしていただくことで、
より早い段階での、適切な被害者支援につながると思います。
知っている限り、いろいろなところに連絡を取ってください。
身近な人が代わりに連絡してもらうだけで、どれだけ力づけられるか。
それが必要なところにつながっていくこともあります。
埼玉県には、自助グループ「彩の樹」(あやのき)という団体もあります。
また関東全般では、私たち関東交通犯罪遺族の会(あいの会)もいます。
他の団体やグループ、窓口もたくさんあります。
声を発して、動いてくれれば、必ず必要なところにつながっていきます。
犯罪被害に遭うとはどういうことか振り返ってみますと、
その受けた衝撃により、感情や感覚の麻痺があったと思います。
放心状態がずっと続くなど、喜怒哀楽の表現も自由になりません。
私(小沢樹里)の場合、寒気や震えがあり、感覚の麻痺を感じました。
それも被害という異常な体験がもたらす正常な反応だと後で知りました。
数ヵ月経っても、地域や社会への復帰にはとても時間がかかります。
不安にも悩まされます。
小沢家でも、誰も分かってくれないという孤独感もありました。
家族同士で、怒りやイライラ、不安をぶつけ合うこともありました。
食事も睡眠も十分には取れませんでした。
もしそんな状態が1週間続く場合には、
近くの医療機関に通って相談してみるといいと思います。
時間が経ってもそういう状態が続く場合、PTSDの可能性があります。
専門医による治療が必要になることがあります。
早めに相談を受けるほうがよいと思います。
各自治体の支援センターにもカウンセリング場所の案内があります。
たいていの場合、少なくとも数回は無料で受けられます。
みなさんに知ってもらいたいこと。
(ある自治体の勉強会に参加し続けて学んだこと)
<被害者の 回復につながること>
・そばに寄り添い話に耳を傾けること
・買い物など、現実に困っていることのお手伝い
・怒りや悲しみなどの感情を否定することなく受け止めること
・体調不良が長引く場合は病院や相談窓口に行くことを勧めること
<被害者の回復を妨げること>
・興味本位で事件の話を聞き出そうとすること
・被害当時の被害者の行動を非難すること
・知り合いや報道関係者へ無責任なウワサ話をすること
・自分の価値観だけで励まそうとすること
(「時間が解決するよ」「前向きに行こうよ」「過ぎたことは忘れなよ」など)
最後に、参考図書を書かせてください。
『被害者のための刑事裁判ガイド』柳沢智子著、リベルタ出版(2010年11月)
『PTSDとトラウマのすべてがわかる本』飛鳥井望監修、講談社(2007年11月)
『交通犯罪~悲しみの先に見えた家族の光~』小沢克則・樹里著、リベルタ出版(2013年7月)
(3冊目は私たち(小沢家)の手前味噌な書き方ですが、
少しでも被害に遭った方々の助けになりたいと思って出版しました)
振り返ってみると、友人知人のサポートをとてもありがたく感じました。
被害に遭った事件当時は、精神的にもとても波があり、
周りの方にもたくさんの迷惑をかけてしまいました。
しかしそんな私たちにかけ続けてくれた周りのサポートがあって初めて、
私たちは一歩一歩前に進むことができました。
感謝の気持ちと共に、少しでもこうした情報が周りの方への恩返しになり、
被害者になった方、その家族の方のために役立てることを願っています。
2013年10月23日
【延期のお知らせ】あいの会「グリーフケアの集い」(10/26土)
10月26日(土)にあいの会で「グリーフケアの集い」を行う予定でした。
しかしその当日に、台風27号の直撃がほぼ確実な状況になっています。
交通網の大規模な麻痺も予想されます。
そのため今回は大変残念ですが、開催を延期することといたしました。
今回関心をお持ちになり、ご参加を考えていただいていた方々には、
大変申し訳ございませんが、ご理解いただけますようお願いいたします。
なお今回予定していました「グリーフケアの集い」は、
また日をあらためまして開催したいと考えています。
また11月16日予定の意見交換会は、予定通り行わせていただきます。
こちらにつきましても、多くの方々のご参加をお待ちしております。
今後ともあいの会をよろしくお願いいたします。
2013年10月19日
【お知らせ】10月26日(土)あいの会「グリーフケアの集い」開催
【※大型台風直撃のため、今回「グリーフケアの集い」は延期を決定しました】
直前になりますが、あいの会の今月行事をお知らせします。
テーマ:「グリーフケアの集い」
日 時:10月26日(土)14:30~16:30(2時間)
場 所:京王プレッソイン池袋
http://www.presso-inn.com/hotel/ikebukuro/equip.html
池袋駅東口から徒歩4分(経路は上記を参照してください)
備 考:よろしければ懇親会も準備しています。
ビヤホールライオン池袋東口店(17:30~)
http://r.gnavi.co.jp/g455200/map/
9月にグリーフケアのワークショップを行いましたが、
前半1時間はその続編として、振り返りのワークを行います。
ただし今回初めて参加される方にも、参考にできる場にします。
そして後半1時間では、被害者や遺族になってしまったことで、
何らかの傷を負ってしまったことについて、各々の報告や相談、
それについての振り返りやアドバイスを行う場にします。
これは前回ワークショップと切り離してのフリートーク形式です。
私たちあいの会は、交通犯罪遺族のグループです。
しかし今回参加者は交通犯罪遺族ということに限定はしません。
「傷を負う」
「負ってしまった傷と向き合っていく」
このことに軽重やレベル分けをする必要はないと考えるからです。
よって、交通犯罪遺族はむろんですが、直接人身被害に遭った方、
殺人や交通犯罪などの生命に関わらない犯罪被害に遭った方、
あるいは犯罪被害ではない形で大切な方の喪失を経験された方、
そういう方も、グリーフケアに関心があれば、ぜひご参加ください。
また看護や医療、カウンセリングなどに従事する方にも、
お越しいただき、ご意見を聞かせていただけたら嬉しく考えます。
ただし意見や発言を強制することは一切ありません。
お話を聞きたいという方もお気軽にご参加いただけます。
なお今回も、前回ファシリテーターとしてお越しいただいた
支援者の方に来ていただきます。
(ご本人のご希望により、ネット上ではお名前は伏せています)
今回ご参加にあたり、事前のご連絡は不要です。
参加無料です。
(ただし懇親会ご参加の方はその分だけいただきます)
ただもし差し支えなければ、全体の人数把握のためにも、
あらかじめご連絡だけいただけるようでしたら大変助かります。
念の為、連絡先は下記になります。
あいの会メールアドレス
i.nokai0708@gmail.com
(迷惑メール防止のため@を全角にしています)
あるいはあいの会のFacebookメッセージ宛、
または小沢、中村、東宛に個別でも構いません。
私たちの行事は、ゆったりと、リラックスして行っています。
なのでお時間のある方は、どうか気軽にご参加ください。
2013年10月14日
ほのぼの運動に当選しました
さらに10月17日にも、この運動の協議会において、
2013年10月04日
さいたま家庭裁判所・交通講習会での講演活動(2013.10.4)
裁判所では交通講習会というものが実施されています。
自動車運転過失傷害事件を起こした未成年者とその保護者が対象の
安全意識向上の教育的措置を目的とした交通講習会です。
先日10月4日(金)、さいたま家庭裁判所でその講習会があり、
お声掛けがあって、あいの会の中村正文が講演に行ってきました。
今回は計18組の親子が対象でした。
受講者一人ひとりの表情もよく見えるなかでの講演になりました。
一度生命が奪われてしまったら、二度と取り返しがつかないこと。
どんなことをしても償うことなど決してできないこと。
そんな事件に巻き込まれてしまったら、
残された家族はとても普通の生活などできなくなってしまうこと。
話す内容は同じです。
私たちは同じメッセージを繰り返し伝えることが大切と考えています。
以前の講演でいただいたアンケートをふと思い返しました。
「被害者を増やさないためにどれだけ当たり前の安全確認が大切か」
「今までの運転に対する認識が甘かった」
「中村さんのような思いをする人を減らさなくてはいけないと思った」
そんな言葉が詰まったアンケートを読み、本当にありがたく感じました。
今回も真剣に聞いてもらっていることが伝わってくるし、
同じく思いを受け取り、安全を心がけてくれるだろうと感じました。
だから今回も、受講者に対して、この場限りで話を聞いて終わりにせず、
持ち帰って、家族や仲間で話し合ってほしいと伝えました。
この思いが、少しでも多くの人につながっていき、
起きなくてすむ悲劇がなくなっていくことを願っています。
そしてこのブログの記事を通じても、
同じように、多くの人に思いが伝わっていけたらと思っています。
2013年10月02日
さいたま市・安全運転管理者等講習での講演活動(2013.10.2)
あいの会の安全運転管理者等講習の講演活動の報告です。
10月2日(水)、安全運転管理者等法定講習の講演に行ってきました。
場所は、さいたま市産業文化センターで、
今回は中村正文が講演をさせていただきました。
講演の内容はいつもと変わりません。
毎回伝えたいメッセージは一緒です。
いつも伝えているメッセージを今回も伝えてきました。
妻・中村友美が巻き込まれた事件の内容・・・
事件後に一変させられた家族の生活の様子・・・
自分のような悲しい家族をこれ以上作らないでほしい。
そのために、基本的なルールを守ってほしい。
それだけで悲しい事件はなくしていけるはずだ。
そんなメッセージを伝えさせていただきました。
講演を聞いてくれた受講者の中には、
話を聞いて涙を流している方も何人もいらっしゃいました。
会場に来ている受講者の皆さんには、話の最後に、
講演を聞いて感じてくれたことを持ち帰ってもらい、
家族や仲間と安全について考えてほしいと伝えてきました。
講演活動は、地道な活動です。
しかし被害者遺族が経験したリアルな物語を聞くことで、
実際に遺族にならなくても、自ら遺族になった気持ちで、
経験したことのようにイメージはできるはずと考えています。
それを伝えられれば、真剣に交通犯罪のことを考え、
安全とはなにか、ルールを守ることがどれだけ大切か、
生命がどれだけかけがいのないものか、伝わると信じています。
1人の受講者から、また家族や仲間や同僚に話が広がり、
安全について、生命について、考えていっていただければ、
それがどんどん繋がっていき、いつの日か交通犯罪のない、
安心して生活できる世の中になるのでは・・・
そう思いながら、今回の講演をさせてもらいました。
【お知らせ】11/16(土)道路交通法と道路整備に関する意見交換会(オリンピック東京開催に向けて)
2020年のオリンピック東京開催が決まったことを受けて、
東京始め関東では大規模な整備が行なわれることは確実です。
そこでこの機会に、意見交換会を開催したいと考えています。
テーマは道路交通法と道路整備です。
道路交通法の運用のあり方を抜本的に見直したり、
より危険のない大規模な道路整備を実現するには今しかない。
予算を惜しげなく使って真剣に取り組んでもらえるのも今しかない。
私たちは、そう考えました。
そこで出来るだけたくさんの人で集まって、意見を出し合い、
その結果を持って、国土交通省に要望書を渡したい。
できれば直接、国土交通大臣に要望書を手渡したい。
そして、この何十年に一度あるかないかの機会を逃さず、
より強く交通安全につながる道路交通法の運用を実現させたい。
そして、より事故の起こりにくい道路整備を実現させたい。
そのように願って、下記の意見交換会開催をお知らせします。
【テーマ】 道路交通法と道路整備(オリンピック東京開催に向けて)
【日 時】 11月16日(土)14:30~16:30
【場 所】 ア―クホテル東京池袋(池袋駅東口より徒歩6分)
http://www.ark-hotel.co.jp/tokyo/
【備 考】 自由参加ですが、意見交換会の後は懇親会も予定しています。
また詳細が確定次第、追ってくわしくお知らせします。
関心のある方はどなたでもご参加ください。
どんなささやかな意見でも構いません。
持ち寄って、お話をきかせてください。
お話を聞くだけでも歓迎します。
できるだけたくさんの方に関心を持ってほしいと考えます。
一人ひとりのささやかな意見の集まりによって、
まずは関東から、そして全国にわたって、
悲劇を減らしていく動きを作りたいと願っています。