2016年06月
2016年06月26日
6月度グリーフケアの報告(2016.6.25)
この週末の6月25日土曜日は、前回に引き続き、
グリーフケアのワークショップを行いました。
今回のテーマは境界線。
境界線を考えることは、自分を個として保つために大切で、
その中が良いもので満たされる必要があるという話でした。
またその境界線があいまいになることで自分が損なわれるし、
他人の問題で相談を受ける時も、
その人の境界線を意識することも大切だということです。
そうした境界線を強化する心の護身術として、
①自分の中で譲れない「ルール作り」
②すぐに対応するのではなく時間を置く「タイムアウト」
③きっぱりNOを伝える「アサーティブ」
④NOが通じない人には、
同じ言葉を同じトーンで繰り返す「壊れたレコード作戦」
⑤それでも境界線を無視しようとする人には、
感情的にならず「これ以上この話を続けるなら私は帰ります」
などと伝える「もし~なら、~します」という方法
という方法があることも学ぶことができました。
そしてグリーフケアの後は、これもいつもの流れですが、
場所を変えて懇親会も行いました。
今回は、それぞれの事情もあり、
グリーフケアで帰るメンバーもいれば、
懇親会から参加するメンバーもいました。
お互いに「無理せず無理させず」が大原則ですし、
そのあたりの自由さはとても大切だと思っています。
懇親会からは、話を聞きたいという記者の方も合流し、
また昨年家族を失って相談したいというご遺族の方も、
途中から参加され、話を聞かせていただきました。
BPOのことについても経緯報告がありました。
前回報告した後も、文書のやり取りは続いており、
これは区切りをみて、また追って報告する予定です。
こうした集まりは、毎月継続して続けています。
次回は7月9日(土)を予定しています。
話を聞いてほしいというご遺族の方がいましたら、
私たちはいつでもドアを開けています。
気兼ねなく、ご連絡いただいて大丈夫です。
ちなみに次回はご遺族の方の講演も準備しています。
こちらも追って詳細を掲載させていただく予定です。
2016年06月25日
群馬育英高校での講演活動(2016.6.20)
今回行ってきたのは、群馬育英高校。
そこの2年生の皆さんが話を聞いてくれました。

話をしてきたのは、小沢樹里と小沢恵生でした。
2年生全員が対象で、約500名の生徒さんたちが、
私たち2人の話を熱心に聞いてくれました。
ここ群馬育英高校では、交通教育の一環として、
交通遺族を招いての講演を継続して行っています。
私たちは、その4回目を担当させてもらいました。
事件当時のこと、その後も続いた日々の苦しみ、
突然両親を失った悲しみ、ダメージを受けた生活、
何件も同時に続いた裁判のこと、家族の絆のこと、
そして今の活動・・・などのこれまでの話に加えて、
今回は、友達と夢の大切さも話してきました。
恵生からは、事件の重傷でずっと苦しんでいた時、
友達がずっと支えてくれていた話をしました。
それによって、どれだけ救われたかを振り返り、
だから隣の友達を大切にしてほしいと伝えました。

群馬育英高校では1学年で80名が保育士になるそうです。
また恵生は、保育士になる夢を叶えたばかりの時に、
事件で続けられなくなり、叶えた夢を奪われました。
交通犯罪は、命が奪われるだけでなく、
生き残った被害者からも夢を奪ってしまう。
命が助かったからよかったねなんて単純な話ではない。
生徒さんたちにも、大切な夢をもってほしいし、
夢を奪うような加害者にも被害者にもなってほしくない、
そうした話もしてきました。
講演中、前方でお互いに手をつなぎながら、
じっと聞いていた2人の女子高生の姿が印象的でした。
真剣に聞いてくれる人の姿はすぐに目に入ってきます。
そんな人が1人でも増えていけば、
交通安全への理解は確実に広がっていくはずですし、
だからこそ講演を続けていく意味もあると思っています。

2016年06月17日
BPO決定通知後に届いたフジテレビからの書面
BPO決定通知後、フジテレビより非礼な書面が送られてきました。
受け取ることのできる内容では到底ありませんでしたので、
私たちはその非礼を指摘して、書面を返却させていただきました。
同時にBPOにもそうした書面が送られてきたことを報告しました。
受け取らなかったのでそのまま公開はしませんが、以下の内容でした。
【「お詫び」と題された書面の要旨】
・誰もが加害者になりうることを訴える再現ドラマを作ったつもりだった
・被害者を批判的に見る意図はなかった
・事前説明がなく、結果として不快な思いをさせたことは申し訳ない
・二度とこのようなことがないように再発防止につとめる
(なおバラエティ制作局長名の下にシャチハタが押されていました)
【「ご通知」と題された弁護士名の書面の要旨】
・BPO決定は「人権侵害なし」との判断だった
・しかし不快な思いをさせたので、敢えて謝罪文を出す
とても残念なことですが、今回の書面からは、
フジテレビの反省を垣間見ることはできませんでした。
表面的にであっても、反省の気持ちを示してほしかったのですが、
書面の内容やその提出方法から考えられる限り、
「真摯に受け止める」は偽りであると言わざるをえません。
文書返却にあたって、私たちは下記の意見および要望を行いました。
・謝罪文にシャチハタなど前代未聞であること、馬鹿にしている話だ
・最低限の事実相違箇所の修正
・バラエティ制作局長名ではなくフジテレビ代表者の署名捺印であること
・郵送ではなく、手渡しでの提出であることが当然であること
今後、フジテレビが認識をあらため、きちんとした対応をするか否か、
引き続き注視していきたいと考えています。
2016年06月06日
所沢市犯罪被害者支援推進協議会での講演活動(2016.5.25)
先月の報告になってしまいますが、5月25日(水)、
犯罪被害者支援推進協議会で講演してきました。
講師は小沢樹里と小沢恵生でした。
この協議会は、全国にある自治体組織ですが、
今回は所沢市の協議会からお招きいただき、
自分たちの経験を話す機会をいただきました。
講演の少し前にショックを受ける出来事がありました。
ある自治体に被害者支援の陳情に行ったのですが、
そこで「交通は犯罪被害者じゃない」と言われたのです。
その人は犯罪被害者支援窓口の担当者でしたが、
被害者支援の窓口に立っているはずの人から、
事務的に、そのような非情な言葉を言われたことに、
強いショックと怒りを感じつつ、講演に臨んでいました。
講演のなかでも、その時の話に触れました。
「私たちの話を聞いても交通は犯罪被害じゃないと言えますか?」
と聴いてくれている人たちにも問いました。
殺人は犯罪だけど交通は犯罪じゃない?
一人の尊い命が奪われている以上、
そして悲しみ苦しむ遺族や被害者が出ている以上、
そのように分け隔てをすることは間違っていると考えます。
残念な話ですが、所沢市は交通事故の多いところです。
ただ単に自分が交通事故に気を付けようというだけでなく、
家族にも事故に遭わせないようにしてもらいたいし、
そのためには加害者にもならないように気を付けてほしい。
そんな気持ちが所沢市にも根付いてほしいですし、
今回の講演が少しでもその機会になれたらと願っています。
被害者が理解されていないと感じることはまだまだあります。
裁判員制度の一例をあげると、託児施設の扱いもそうです。
裁判員は優遇されていますが、被害者は放置されています。
小さい子どもを抱えた裁判員は無償で託児施設が提供されますが、
しかし被害者は自力で自費で探さなければいけません。
まだまだそういうことが沢山残っていることを思うと、
被害者の苦しみをもっと知ってほしいと感じます。
1回1回の講演を繰り返すことで、
そんな理解を広げることに少しでも役立てたいと思っています。