2019年12月

2019年12月31日

1年間ありがとうございました

2019年はあいの会活動7年目の年でした。

多くの方から助けられ、声をかけられ、
小さいながらもあたたかいつながりを作り、
活動を続けられてきました。

今年は悲しい交通犯罪も重なりました。

そのなかでも第三次犯罪被害者基本法の見直し、
第11次交通安全基本計画の検討
国土交通省、国土交通大臣への要望書提出、
などを振り返ると、今年は決して小さくない動きを
することができたのではないかと思っています。

そのそれぞれの機会で提出した文書は、
あいの会のなかでも議論に議論を積み重ねて、
会員のできるだけ多くの思いを詰め込んだ、
とても思い入れの深いものばかりになりました。

すべてを詰め込むことはできませんでしたが、
いまの現状をで、私たちにできる発信は、
することのできた1年になったと思っています。

そしていつも発信するときに思うことは、
本当なら遺族としてこんな発信をする立場など、
誰にもなってほしくないということです。

例えば10年前に比べたら、
被害者・遺族の置かれた立場も、その支援も、
大きく変わっていると感じています。

それでも足りないと感じているものは、
同じ悲しみを抱えた遺族同士が、
思いを伝えあう機会や時間だと思っています。

あいの会は、遺族同士が顔をあわせ、
思いを伝えあう時間を共有することによって、
遺族が少しでも明日を生きやすくなるように、
そんな願いを込め立ち上げた会です。

その思いは7年経っても変わることはありません。

この7年間、接してきたご遺族の方の何人かでも、
あいの会で話して涙され、時に笑顔になったことで、
明日へつなげる希望になっていたらと思っています。

刑事裁判でも、遺族は被害者参加できるようになり、
裁判員制度も10年の節目を迎えました。
裁判のあり方も、警察や検察の方々の対応も、
被害者・遺族に寄り添うものになっていると思います。

しかし裁判員裁判で民意の反映された判決が、
高裁で理不尽な理由で覆される事例も目立ちます。
後から民意が覆されてしまう裁判員制度であれば、
今のままでいいはずがなく、変えてほしいと思います。

また今年は、ながら運転、高齢者問題などが話題になり、
それがきっかけで大きな動きもありました。

今年のあいの会では高齢者問題に取り組んできましたが、
やはり今の時点で問題は山積していると感じています。

決して簡単に高齢者問題を解決できるとは思っていません。
迂遠な話になりますが、世の中が変わるためには、
やはり一人ひとりの意識も変わる必要があると思います。

小さな頃からの相手を思いやる心、安全を慢心しない心、
それを育んでいくことが未来を明るくすると思っています。

私たちの声は小さい会のわずかな響きかもしれません。
しかし生活のための道路が、本当に安全な道路で、
悲劇の場所ではなく、楽しい思い出の場所であるよう、
そのため国が動き、社会が動き、地域が動き、人が動いて、
安全な社会になるよう、来年も発信していきたいと思います。

関東交通犯罪遺族の会(あいの会)
代表  小沢 樹里

あいの会1231年末挨拶


i_nokai0708 at 17:15|PermalinkComments(0)想い 

2019年12月30日

あいの会忘年会(2019.12.29)

12月29日は、あいの会の忘年会でした。

一次会、そして半分くらいは二次会も行き、
さらに何人かは三次会まで行ったそうです。

あいの会1229忘年会001

あいの会1229忘年会002

クリスマスから年末にかけての今の時期は、
自殺者の数も突出する時期だとも聞きます。

世の中全体が浮かれて、華やいでいる分、
自分の孤独、寂しさ、貧しさ、無力、絶望などなどが、
それを抱えている人を責める時期なのだと思います。

私たち遺族も、状況や心情は各々さまざまですが、
家族を奪われたという一点では共通しています。
全員大きな空洞を抱えているのは事実だと思います。

最近のある有名な性犯罪の訴訟判決報道をめぐり、
被害者が笑うなんてことはおかしい、
被害者は常に下を向いて、悲しい顔でいるべきだ、
それが被害者としてのあるべき正しい姿だ、
という意見が一部から出ていたようです。

もちろん、そんなことは間違った意見です。

被害者、さらに大切な家族を奪われた遺族だって、
時には笑うし、時にはお酒だって飲みます。
遺族となった空洞を抱えて続けていたとしても、
笑顔まで奪われなければならない道理はありません。

あいの会では笑顔を大切にしたいと思っています。
だから笑顔、思いやり、情報共有をモットーにしています。

なので年末の忘年会も明るく楽しく行いました。
それが遺族の会にとって大切なことだと考えています。



i_nokai0708 at 23:30|PermalinkComments(0)定例会 

2019年12月28日

TBS報道特集のfacebookまとめ映像(2019.11.16放送分)

毎週土曜17:30放送のTBS報道特集で、
池袋高齢者暴走事故遺族の松永さんが取材を受け、
その内容が11月16日に放送されていました。

そのfacebook用まとめ編集映像が、
前半・後半に分けて各5分でアップされましたので、
ここでも共有させていただきます。


【前半編集分】

【後半編集分】

TBS報道特集でも、松永さんの言葉を真剣に聞き、
松永さんの思いを丁寧に拾い上げ、
現状について問題提起をしてくれたと思っています。

高齢ドライバーをめぐる問題が一過性に終わらず、
将来的な改善に結びついていくことを願っています。


i_nokai0708 at 23:55|PermalinkComments(0)取材&報道 

2019年12月26日

スポーツ報知記事(2019.12.26)の紹介 ~池袋高齢者暴走事故~

池袋高齢者暴走事故ご遺族の松永さんの記事が
12月26日のスポーツ報知でも出たので報告します。

あいの会1226スポーツ報知

【令和元年 回顧】
「いつもは自転車で行かない場所 なぜあの日だけ」
池袋暴走事故で妻子失った松永さんの思い
https://hochi.news/articles/20191225-OHT1T50218.html

スポーツ報知からも、以前取材を受けていて、
やはり一年を振り返る内容の記事になりました。

前半は松永さんの真菜さんと莉子ちゃんへの思い、
後半は事故や課題についての言及となっています。
記事は、松永さんの言葉を丁寧に拾い上げ、
記者の気持ちも伝わってくる文章だと感じます。

事故の夜、「守れなかったけど出会えてよかった。
ありがとう」と言って二人の手をつないで寝たこと。
真菜さんとの一目ぼれの出会いから結婚まで、
そして莉子ちゃんが生まれてからの育児の日々。
真菜さんに「愛してる」と伝えない日は一日もなく、
莉子ちゃんに「大好きだよ」とハグしなかった日も
一日もなかったことだけは後悔していないこと。
交通事故の現状、そして加害者への心情。
そのために動き「お父さんは誰かの命を救ったんだよ」
と胸を張って二人に会うのがプライドだとの思い。

そうした松永さんの言葉が掲載されています。

心ある人が読めば、きっと胸に突き刺さる記事です。
日刊スポーツと同じく、記事が多くの人の目に留まり、
命の大切さへの振り返りになってほしいと思います。



i_nokai0708 at 23:55|PermalinkComments(0)取材&報道 

2019年12月25日

日刊スポーツ記事(2019.12.25)の紹介 ~池袋高齢者暴走事故について~

池袋高齢者暴走事故ご遺族の松永さんの記事が
今日12月25日の日刊スポーツに出たので報告します。

2019あいの会1225日刊スポーツ

日刊スポーツからは以前より取材を受けていて、
今回は、一年の振り返りとして記事になったものです。

私たちが、とりわけ高齢者事故遺族の松永さんが、
問題提起している内容がしっかり盛り込まれていて、
とても丁寧に書かれている記事だと感じています。

記事にある「大きな事故なのに軽い罪になったのは、
池袋の事故の前例があるから」などと言わせたくない、
それで後の遺族に苦しい思いなんかさせたくない、
という松永さんの言葉は、多くの遺族が感じることを
代弁している共通項の強くて深い思いでもあります。
多くの遺族はそんな思いで、自分の裁判を闘っています。

冒頭の夢の話は、読むだけで辛いエピソードでした。
きっと子供を亡くした親であれば、
あるいは失いたくない子供のいる親であれば、
「自分だったら」と感情移入してしまう話だと思います。

私たちは、こうした悲しい話を少しでもなくしたい一心で、
例え地道であっても活動を続けたいと思っています。

スポーツ紙は全国紙と読者層も異なるかもしれませんが、
だからこそ、全国紙だけでは届かない読者層の心にも、
松永さんの語ったエピソードが、気持ちが、そして問題提起が、
今日の記事を通じて、突き刺さってほしいと思っています。


i_nokai0708 at 20:52|PermalinkComments(0)

2019年12月23日

BS朝日「日曜スクープ」(2019.12.22)の視聴報告

先週末に告知したBS朝日・日曜スクープですが、
筆者(中の人担当)がリアルタイムで視聴しました。

2019あいの会1222日曜スクープ001

2019あいの会1222日曜スクープ002

2019あいの会1222日曜スクープ003

番組内で細かく語られた犯行前の卑劣な行為や、
残忍極まる殺害方法が、筆者の知っていた内容を
はるかに超えていて、慄然たる思いに襲われました。

あまりにショックな内容ですので詳細は触れません。
ただ犯人が民家に押し入り、家族を次々に刺し殺した、
というイメージを抱いているとしたら(筆者もそうでした)
そんな想像を飛び越えていることだけ書いておきます。

裁判員裁判が死刑という判決を出したにも関わらず、
そんな凄惨な事件について、東京高裁は死刑を破棄し、
さらに東京高検は上告断念という決定を行いました。

あいの会顧問もお願いしている高橋正人弁護士は、
(犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長として出演)
今回の東京高検の上告断念について、

「上告の断念ではなく、負け犬根性での上告権放棄」
「高裁判決では重要な論点が全く無視されているのに、
 高検もその点はお茶を濁して説明すらしようとしない」

と厳しい口調で批判していました。
(重要な論点は想像を凌駕するところとも関わります)

筆者もあくまで遺族であり、専門家ではありません。
なので法律の細かい議論には踏み込みませんが、
確かに闘える闘いを避けたという印象を受けます。

同じ言葉を繰り返しますが、私たちあいの会は、
どこまでも交通犯罪被害者遺族の集まりです。
殺人事件をメインに議論することはしていません。
しかし家族を無惨なやり方で奪われた遺族を前に、
素通りする気持ちには到底なれないのも事実です。
家族を奪われた遺族の気持ちに壁はないはずです。

何よりも理不尽に奪われた命を尊ぶのであれば、
今回の高裁判決、そして高検判断はないはずです。
今回の判決・判断が、過去の遅れた時代の遺物となり、
将来は根絶されることを願わずにはいられません。


i_nokai0708 at 19:27|PermalinkComments(0)取材&報道 

2019年12月21日

BS朝日「日曜スクープ」(2019.12.22)の予告

高齢者実車試験導入の報道があったのと同じ日、
もうひとつ非常にショックな報道がありました。

2015年9月のペルー人による熊谷市6人殺害事件。

東京高裁の控訴審判決は、被告心神耗弱を理由に、
裁判員裁判での一審の死刑判決を破棄しました。

「ええっ!」としか言えないショックな報道でしたが、
さらにその衝撃に追い打ちをかけるように、
冒頭と同じ木曜日、東京高検が最高裁上告を見送り、
被告死刑の可能性が途絶えることになりました。
私たちの多くも愕然とした思いで報道に接しました。

2019あいの会1221日曜スクープ告知
朝日新聞 2019.12.20朝刊

遺族は納得できるはずもない今回の動きについて、
犯罪被害者支援弁護士フォーラムの事務局長で、
あいの会でも顧問をされている高橋正人弁護士が、
明日12月22日放映のBS朝日「日曜スクープ」に、
ご遺族と一緒に出演し、話をする予定です。

50分間の予定で、突っ込んだ議論があると思います。

交通と殺人で事件は異なるかもしれませんが、
大切な家族を奪われた遺族としての思いは同じです。
あいの会顧問が出演するということもありますので、
今回、明日の番組の告知をさせていただきます。

BS朝日・日曜スクープ
12月22日(日)18:54~21:00
(出演は20:00頃からの予定です)
https://www.bs-asahi.co.jp/sunday_scoop/

※スポーツ中継が延長の場合は変更の可能性あり


i_nokai0708 at 22:25|PermalinkComments(0)取材&報道 

2019年12月20日

朝日新聞記事(2019.12.20朝刊) ~昨日の高齢者実車試験導入の動きを受けて~

昨日、警察庁の有識者会議の中間報告で、
過去一定の違反歴のある高齢ドライバーに、
実車試験を導入する方針との報道をお伝えしました。

その動きに関連して、昨日の松永さんと同じく、
高齢者暴走で娘様を奪われた稲垣智恵美さんが、
昨日、朝日新聞より取材依頼を急遽受け、
その取材内容が今朝の朝日新聞に掲載されました。

2019あいの会1220朝日新聞001

2019あいの会1220朝日新聞002

稲垣さんは、4年前の2015年12月23日、
家族で楽しみにしていたクリスマスの直前に、
当時高校1年生の長女である聖菜さんの命を、
当時80歳の高齢者の暴走により奪われました。

seina.jp(稲垣さんのブログ)
https://seina.jp/

今朝の朝日新聞の記事は、
↑の稲垣さんのブログでも紹介されています。

稲垣さんの思いも、昨日の松永さんの思いも、
遺族なら当然感じる問題に行き着くことになります。

稲垣さんも「一歩前に進んだ」ことは認めています。

しかし違反歴のある者に対象が限定されることで、
結局たまたま過去に事故を起こしていないだけで、
自身の運転能力を過信する者が放置されることは、
遺族としては到底受け入れられないものです。

松永さんも、稲垣さんも、違反歴のない加害者に、
大切な家族の命を奪われています。
「全員に受けさせなければいけない」
という稲垣さんの言葉が記事には載っていますが、
それは遺族として当然行き着く切実な実感です。

「命を守ることを最優先に議論」してほしいと、
記事の中でも稲垣さんは訴えています。
しかし結局のところ、事故歴の有無での線引きは、
命が最優先でない証拠ではないかと危惧します。

昨日のブログと同じ考えを繰り返しますが、
私たちは高齢者から車を取り上げろとは考えません。
しかし車を運転してはいけない人には、
それが高齢者であろうが、誰であろうが関係なく、
ハンドルを握らせてはいけないと考えています。

そうした実効性の伴う制度に結び付いていくか、
チェックし、声を発していきたいと思っています。


i_nokai0708 at 22:12|PermalinkComments(0)取材&報道 

2019年12月19日

高齢運転者への実車試験導入の動き(2019.12.19)

既に報道で知っている方も多いと思いますが、
今日高齢運転者問題で大きな動きがありました。

警察庁の有識者会議が出した中間報告で、
過去一定の違反歴のある高齢ドライバーに、
実車で運転技能を試験する方針との報道です。

それだけでなく、他もいくつかありますが、
来年の通常国会提出の道路交通法改正案に、
まとめて盛り込まれる予定とのことです。

今年4月の東池袋高齢者暴走事故のご遺族で、
当会に入られた松永さんも、今日の動きについて、
自身のブログで書かれています(下記リンク参照)

実車試験導入について
(「東池袋自動車暴走死傷事故 遺族のブログ」より)
https://ameblo.jp/ma-nariko/entry-12560833621.html

松永さんは今日急遽インタビューを求められました。
日本テレビ系のニュースでその映像が出ていますが、
映像で取り扱われた松永さんのコメントは一部なので、
上のブログもあわせて読んでほしいと思っています。

2019あいの会1219NNN報道001

2019あいの会1219NNN報道002

2019あいの会1219NNN報道003

しかし確かに前進ですが、手放しで評価はできません。

松永さんもブログで書いていますが、
過去違反歴のあるドライバーに限定されるのは、
結局違反歴がないまま、自信過剰にハンドルを握り、
悲劇を起こす高齢者の出現を防げないからです。
松永さんの奥様と娘様の命を奪った容疑者も、
違反歴のない(そして多分運転に自信のある)者でした。

また合格するまで繰り返し受験できるのも問題です。
繰り返し受験すれば、自然と「傾向と対策」を会得し、
技能に問題を抱えても合格しやすくなるからです。
せめて再受験可能回数は制限すべきだと考えます。

私たちは高齢者から車を取り上げろとは思いません。
足として車が必要不可欠な地域もあると思います。
ただ運転能力に問題を抱えた高齢者が、
自分の運転が人の命を奪う可能性を想像できないまま、
自覚なく運転を続けてしまう現状が問題だと考えます。

今日報道された動きがこれからどういう経路を辿り、
来年の道路交通法改正にどのように結実していくか、
これからも注意深く見守っていきたいと考えています。


i_nokai0708 at 20:25|PermalinkComments(0)取材&報道 

2019年12月06日

埼玉犯罪被害者援助センターでの講演活動(2019.12.6)

埼玉県比企郡の吉見町民会館で12月6日(金)、
埼玉犯罪被害者援助センターのセミナーがあり、
中村正文が招かれて、講演活動をしてきました。

2019あいの会1206吉見町講演001

被害者支援に関わったり、関心を持たれている
警察官、保護司、役所窓口の方々が約30人近く、
この日のミニセミナーに集まっていただき、
みな身じろぎもせず話を真剣に聞いてくれました。

2019あいの会1206吉見町講演002

2019あいの会1206吉見町講演003

中村は奥様と子どもたちの写真もスライドで見せ、
その幸せが奪われてしまった事件を振り返り、
こうして講演を聞きにきてくれている方々の力も借りて、
安全な世の中を作りたいとの思いを伝えてきました。

講演後に、「がんばって!」「ありがとう!」と
中村に声をかけてくれた女性の方々もいました。

講演後の夜は、小沢克則・樹里の夫婦が駆けつけ、
近くの居酒屋で中村をねぎらうお疲れ様会をしました。
(これを筆者が書いている今も真っ最中だそうです)

2019あいの会1206吉見町講演004


i_nokai0708 at 22:18|PermalinkComments(0)講演活動 

2019年12月02日

ハートバンド2019(2019.11.30)

犯罪被害者週間全国大会(ハートバンド)が、
11月30日(土)に浅草で開催されました。

2019あいの会1130ハートバンド001

今回は第17回の全国大会とのことですが、
あいの会からは中村正文と東光宏が参加しました。
二人とも振り返ると10回近く出ている計算になります。

2019あいの会1130ハートバンド002

遺族講演では九州から二人の方のお話がありました。
話されたのは殺人遺族と交通犯罪遺族の二人でした。

誰の前でも笑顔でいること、人前で絶対泣かないこと、
この2つを自分ルールとして自分に課したという話。
事件後に家族間の会話が全くなくなってしまった話。
葬儀の翌日からつとめて笑顔で過ごすふるまいを通し、
悲しみのどん底で笑顔で必死で戦っていた家族の話。

ごく一部ですが、そんなエピソードが印象に残りました。

なお殺人ご遺族の話は、当時話題になりましたが、
『謝るなら、いつでもおいで』
(川名壮志著・集英社・2014年刊)
で取り上げられている事件です。

ご遺族からも、この本についても言及があり、
どうしてこのタイトルにしたかについて話がありました。
加害者の更生ばかりで、被害者が放置される
この国の司法に対する強烈な皮肉だと受け取りました。
加害者の更生ばかりを言うのであれば、
加害者が心から謝ることができるよう再教育する、
国からそう約束してもらったものだと理解している。
当然そうできるようにしてもらっていますよね?
という国・司法へのメッセージを込めたタイトルでした。
なお加害者は遺族に謝罪はしていないはずです。

これまで出てきたハートバンドの様子を振り返ると、
雰囲気もやり方も年ごとに変わっていくのを感じます。

遺族講演⇒リレートーク⇒懇親会の原則は同じですが、
今年はリレートークの方法をガラッと変えていました。

元々遺族や被害者が思い思いに語り合う場でしたが、
時に流れが止まったり、逆に進行表通りになってしまい、
ここ数年は課題も感じられなくもなかった面はあります。

しかし今年は少人数のグループでまず語り合い、
その結果を全体で発表する方法に変えていました。

参加した人は誰も沈黙の一聴衆として帰ることはなく、
「できるだけ多くの遺族・被害者の声を拾い上げたい」
という運営サイドの方々の強い意志を感じました。

そうした意志や試みはとても尊いものだと思っています。

多くの意見が出ましたが、やはり支援についての議論が、
一番熱く語り合われていたというのが全体の感想です。
「運がよければ支援に繋がるが、そうでなければ繋がらない」
「被害者・遺族が積極的に動かなければ支援に繋がらない」
そんな状況を変えたいという声が多く上がっていました。

また旧知のご遺族の方との交流の温め合いもありました。

1999年に起きた東名高速飲酒運転事故のご遺族である
井上保孝・郁美ご夫妻からは会への寄付もいただきました。

井上夫妻は、加害者への民事訴訟の訴えにあたって、
「いつまでも奏子と周子のことを忘れないでほしい」
「18歳・19歳になったはずの二人を思い起こしてほしい」
との思いで、3歳だった奏子ちゃんと1歳だった周子ちゃんが
生きていればそれぞれ18歳になっていたはずの年から、
毎年命日に一定額ずつ支払ってほしいと訴えていました。
それを判決で認められ、数年前から賠償が発生していました。

今回は、事故に遭わず生きていれば働いていたかもしれない
当時3歳だった奏子ちゃんの「お給料」の分から、
あいの会の活動に役立ててほしいという話をいただきました。

奏子ちゃんの命の重みを支援に繋げてほしいという
井上ご夫妻の強くてあたたかい気持ちを感じました。
私たちも預かった命の重みの代償に恥じることがないよう、
その気持ちを他の方への支援に繋げたいと思っています。

井上夫妻には、以前からずっとあいの会を応援していただき、
特に代表の小沢は事件当時からずっと助けてもらっています。
今回もお二人の気持ちを思い、その重みを噛みしめています。

2019あいの会1130ハートバンド004


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