2020年03月
2020年03月24日
国土交通省の注意喚起施策(運転支援システムの過信防止)
運転支援システム過信防止の注意喚起施策の進捗連絡でした。
私たちの要望が身を結んだ一つになりますので、報告いたします。
昨年11月20日、赤羽一嘉国土交通大臣への要請書提出を行い、
そのなかで、各種運転支援システムの推進にあたって、
過信防止のための対策も行ってほしいという要望を行っていました。
そして赤羽大臣からも「過信防止が大切だ」と当時お答えいただき、
その重要性について、双方の認識の一致を見ていたところでした。
※参考 赤羽大臣面会報告時のあいの会ブログ記事
http://blog.livedoor.jp/i_nokai0708/archives/56105475.html
その時のやり取りを踏まえ、国土交通省でもその後施策を進められたそうで、
同省の自動車局審査・リコール課というセクションにおいて、
運転支援システム過信防止の注意喚起動画を作成したとのことです。

YouTubeにも動画をアップしたとの話ですので、ここでも紹介いたします。
国土交通省の啓発ページ
「「運転支援システム」を過信・誤解しないでください!」
http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha08_hh_003668.html
YouTubeページ
運転支援システムがあるから万事OKということではないこと、
どこまでも主体は運転者にあり、無理な乗り方をした結果の責任は、
あくまで運転者にあり、運転者の自覚が必要なことに変わりはない。
私たちはそう訴えてきましたが、国土交通省よりその訴えを受けた啓発を、
正式に進めていただいていたという今回連絡は大きな励みになりました。
サイトや動画は連休前の3月19日から公開しているようです。
できるだけ多くの人に知ってほしい啓発内容だと考えています。
2020年03月23日
テレビ東京「ザ・ドキュメンタリー」の視聴報告(2020.3.19深夜放映)
前回、テレビ東京「ザ・ドキュメンタリー」において、
池袋高齢者暴走事故の特集が放映されると予告しました。
その番組を観ましたので、簡単ですが内容を報告します。
放映日時:3月19日(木)26:35~27:05
放送系列:テレビ東京
番 組 名 :ザ・ドキュメンタリー
タイトル:「池袋暴走事故」から1年…遺族と被告の今を追う
番組ではまず事故の時の様子とあわせて、
松永さんの家族の思い出がいくつも紹介されていました。
松永さんがいかに幸せな家庭を築いていたか、
失われた存在の大きさが伝わってくる内容でした。
今回私たちは加害者のインタビューが取れたと聞いていました。
果たして何を話すのだろうと大きな関心がありました。
しかし内容を見ると、加害者は決して取材に応じたわけではなく、
逆に取材拒否という態度をずっと貫いていることがわかりました。
テレビ東京が手書きで取材依頼の手紙を送っていましたが、
加害者はそれを無視していたので、突撃取材の格好で、
「手紙の返事を聞かせてほしい」と問いただす内容でした。
結局、加害者は、空疎な謝罪定型文を口にするのみで、
自身の運転ミスの認識については回答拒否。
「フレンチレストランに急いでいた」との報道については、
「ただの街のビストロだ。大袈裟だ」と逆切れしていました。
映像というのは恐ろしいものだとあらためて感じましたが、
加害者に謝罪の気持ちがあるかよくわかるやり取りでした。
また、あいの会の活動の様子や、国交相への陳述後、
道交法改正となった流れにも触れられていました。
そして4月に慰霊碑が建てられることに触れて、
番組の全体が締めくくられていました。
全体的にとても丁寧に伝えていただいたと思っています。
松永さんも自身のブログで報告をしていますし、
テレビ東京も放映後YouTubeに出していますので、
あらためてここでもそのリンク先を共有します。
松永さんの報告ブログ
https://ameblo.jp/ma-nariko/entry-12583518116.html
テレビ東京がアップロードしたYouTube動画
松永さんが取材を受け続ける理由については、
松永さん自身がブログで繰り返し書かれているので、
ぜひできるだけ多くの人に読んでほしいと思っています。
こうした悲劇は二度と繰り返してはいけないということ、
そのためにもたくさんの人に関心を持ってほしいこと、
映像を観て多くの人にそれを感じてほしいと考えています。
2020年03月19日
テレビ東京「ザ・ドキュメンタリー」での松永さん取材放映のお知らせ
全体的に報道各社は丁寧に伝えてもらえています。
(「これはちょっと・・・」という報道が、管見の限りでも、
一つもないというのは稀有なことだと感じています)
そのなかでもテレビ東京は、各テレビ局のなかでは、
その密着ぶりや継続性が突出していると思っています。
あいの会の会合にも何度か取材に来られていて、
とにかくスタッフの方々の熱意と使命感を感じています。
そのテレビ東京の「ザ・ドキュメンタリー」という番組で、
ご遺族の松永さんを取材した特集を行うとのことです。
これを書いている日の深夜の放映となりますので、
直前になりますが、ここでもお知らせいたします。
日時:3月19日(木)26時35分~
放送局:テレビ東京
番組名:ザ・ドキュメンタリー
タイトル:「池袋暴走事故」から1年…遺族と被告の今を追う
松永さんも、ご自身のブログで報告していますので、
ここでもそのリンクを貼らせていただきます。
松永さんのブログ
https://ameblo.jp/ma-nariko/entry-12582913054.html

テレビ東京なので、関東以外のところでは、
どのような系列局や日時で放映されるか不明です。
ただ松永さんもブログで書かれていますが、
仮にリアルタイムでテレビで見ることはできなくても、
後日YouTubeにアップするとのことですので、
その内容もわかり次第、後日報告いたします。
同じ思いをする遺族を減らすために必要なこと。
それは地道で迂遠であっても、一人でも多くの人が、
松永さんが遭ったような交通犯罪に関心を持ち、
許されないし、変える必要があるという意識を持ち、
それが社会の基本的なコンセンサスになることで、
法律や制度を現実に変えていくことにあると考えます。
今夜のテレビ東京の特集番組の放映も、
そうした動きを後押しする力になると思っています。
2020年03月15日
毎日新聞の松永さん特集記事(2020.3.15付)
一面を使った特集記事が出ましたので報告します。
これを出す今日2020.3.15付の記事となります。

あいの会の2月定例会にも取材に来られた
社会部の山本有紀記者の手による記事です。
ただあった事実をそのまま並べるだけでなく、
松永さんの幸せだった3人での家庭や、
真菜さんや莉子ちゃんをどれだけ大切にしていたか、
二人が奪われた重みがどれだけのものだったか、
松永さんの気持ちに寄り添った記事だと読みました。
タイトルの通り、事故のない世の中にしたい使命を、
松永さんとわかちあっている文章だと感じました。
この記事に触れることで、あらためて交通犯罪の悲劇、
持つべきでない者に免許が交付される現実について、
考えてくれる人が一人でも増えてほしいと考えています。
2020年03月12日
前橋地裁での87歳男性への無罪判決について(2020.3.5判決)
現在87歳の加害者が一昨年(当時は85歳前後?)、
女子高生2人をはね、1人の命を奪った交通犯罪で、
驚くことに無罪が言い渡される判決がありました。
(前橋地方裁判所、國井恒志裁判長)
朝日新聞 2020.3.6朝刊
高校生死傷事故87歳男性に無罪
https://www3.nhk.or.jp/lnews/maebashi/20200305/1060006440.html
前橋・女子高生2人はねた85歳、暴走のワケ
https://www.sankei.com/premium/news/180120/prm1801200011-n1.html
私たちはこの報道を知り、衝撃を受けました。
この日の判決言い渡しの中で、
「薬の副作用での血圧低下が原因の可能性が高く、
医学的知識のない被告は事故を予見できなかった」
との理由説明がされたそうです(各報道より)
実刑を想定した禁錮4年6ヶ月が求刑されていますし、
検察としても全く予想外の判決だったと想像します。
判決言い渡し後の法廷で、傍聴席にいた遺族は、
「人を殺していいというのか!」と声を上げたとのこと。
遺族の悲痛は察するに余りあります。
報道されて知りえた限りで言えば、
無罪となった加害者の日常の態度には愕然とします。
加害者の家族が、常日頃から加害者に対して、
運転しないように訴えていたにも関わらず、
その日、加害者は家族の目を盗んで車に乗り込み、
気付いた家族が駐車場まで急ぎ追いかけたけれども、
結局引き離されて、そのまま今回の事故に至りました。
加害者の親族からも、「無罪はあり得ないと思う。
被害者の方には申し訳ないの一言。
親御さんの気持ちを思えば許せないと思う」
という言葉が語られたという報道もありました。
先週のこの判決について考えてみましたが、
私たちは以下の2つの問題点があると考えます。
①現在の運転免許制度が抱える根本的な瑕疵
②裁判官の資質の問題
薬の副作用とそれへの加害者自身の自覚有無が
今回の公判の争点になっていたようですが、
どんな薬を服用して、どんな副作用があったとしても、
免許を交付したのは各都道府県の公安委員会です。
つまりそうした副作用を伴う薬を飲んでいる者にも、
交付されてしまう免許制度自体に瑕疵があると考えます。
車の運転という死傷事故も起こしうる資格を認める以上、
その技能と適性を厳密にチェックする責任があるはずです。
免許を取得した運転者の服薬事情や身体能力によって、
起きてはならない悲劇の起きる可能性があるのであれば、
免許制度は、自動車学校が実技と学科は徹底して担保し、
実際の免許交付の適否は厚生労働省も関与しつつ、
その指定医療機関で医師判断を通すことも検討すべきです。
また②の裁判官の資質の問題も重大だと考えています。
当然の話ですが、今回の判決は明らかに間違いです。
報道の内容からわかる範囲で書けば、
裁判長は決して遺族を無視する態度を取ったのではなく、
抗議の声を上げた遺族に対し、時に声を詰まらせながら、
「同じ悲劇を繰り返さないための無罪判決です」
と理解を求める説明の努力を行おうとした様子です。
①で上げた現在の免許制度が抱える瑕疵については、
おそらく裁判長もわかっているのだろうと推察します。
ただ「同じ悲劇を繰り返さないための無罪判決です」
の真意は不明ですが、これだけ証拠が揃いながら、
予見可能性がなかったと判断した点は明確に誤りです。
これはひとえに裁判官の資質の問題だと考えます。
問題提起のために、人ではなく制度を裁こうとし、
公正とは言えない判決が許されることがあっては、
命や安全が守られない社会になってしまいます。
被害者・遺族の心情が踏みにじられないための
裁判官人事制度の必要性も強く感じました。
運転免許制度と裁判官の資質の問題を何とかしたい。
それが今回の判決に感じた考えです。
いつまでも続く悲劇を二度と繰り返してほしくないと思い、
同じ被害者遺族として、意見を発信したいと思いました。
2020年03月05日
道路交通法改正案の閣議決定(2020.3.3発表)
既に各紙で報道されていますが、
(テレビはコロナ一色で報道もまばらですが・・・)
3月3日、道交法改正案が閣議決定されました。
政府より今年の国会に提出予定とのことです。
あおり運転を新たに定義付けた上で罰則化し、
高齢運転者対策でも、75歳以上の有違反歴者に、
免許更新時の運転技能検査を義務づける内容です。
※朝日新聞 2020年3月4日朝刊
私たちの意見から言えば、前進は歓迎したいが、
大きな懸念もあり、注意深く見守りたい考えです。
今回改正案の詳細は下記の内容と伺っています。
(少々長くなりますが、できる限り書き出します)
***
【道交法改正案の概要】
①高齢者運転対策
→75歳以上は運転技能検査を導入
②第二種運転免許の受験資格の見直し
→受験資格を21歳・3年以上⇒19歳・1年以上
③あおり運転対策
→懲役刑を設定、悪質な場合は免許取り消し
④その他
→バス停に路線バス以外が駐停車可能に
車輪止め措置の削除
***
【道交法改正案の詳細】
①高齢者運転対策
・75歳以上で一定の違反歴がある場合は、
免許更新時に運転技能検査を受検必須化
⇒合格しないと免許更新できず
・安全運転サポート車に限定するなど
条件付き運転免許の交付
※「一定の違反歴」の詳細は未定だが、
速度違反や信号無視が適用となる見通し
(過去3年で違反歴のある人は全体と比べ、
1年以内に死傷事故を起こす確率が
1.8倍という調査結果もあることを踏まえる)
※運転技能検査は更新6か月前以内は何度も受検可
※従来の認知機能検査をリニューアルして運用
ただしこれまでの3分割するやり方ではなく、
認知症の恐れの有無での2分割法を導入予定
※更新時混雑緩和のため、高齢者講習時間を、
従来の2時間⇒1時間30分に短縮予定
※高齢者講習の実車指導に客観的評価を導入
その評価結果を本人に通知する予定
②第二種運転免許の受験資格の見直し
・特別な教習を修了した人は、
第二種免許・大型免許・中型免許の受験資格を
19歳・1年以上に緩和する
・21歳(中型免許は20歳)までに
違反歴が一定基準に達した場合は、
講習の受講を義務化(未受講者は免許取り消し)
③あおり運転に対する罰則の創設
・通行妨害目的で、交通危険の恐れのある方法で
一定の違反をすれば懲役3年・罰金50万円以下
・著しい危険(高速での停車等)を生じさせたら、
懲役5年・罰金100万円以下
・著しい危険の場合は即免許取り消し
そうでなくても一定数の違反点数で免許取り消し
※「通行妨害目的」か否かは行為から総合的に判断
(ドライブレコーダーなどで判断が好ましいとする)
※「一定の違反」は下記のケースを想定
★対向車線からの接近
★不必要な急ブレーキ
★車間距離の不保持
★前方で急な車線変更・割り込み
★左側からの追い越し
★パッシング
★不必要なクラクション
★前方での蛇行運転・幅寄せ
★高速道路上での最低速度違反
★高速道路上での駐停車
④その他
・関係者が合意した場合には、
路線バス以外のバスもバス停に駐停車可能
※現状の法律では、バス停から10m以内は
路線バス以外駐停車禁止
・車輪止めの装置取り付けの規定を廃止
***
以上の知りえた内容を踏まえて、
主に上記①の高齢者運転対策についてですが、
私たちあいの会としてはこう考えます。
①真剣に考えて国会提出まで進めてくれたことは
感謝しますし、相応の評価はしたいと思います。
②しかし運転技能検査が繰り返し受検可能な点には
強い懸念を抱きますし、要検討課題だと考えます。
③なぜならば何度も受検を繰り返していれば、
試験対策や勘だけでも合格してしまうからです。
④よって何回も受検して無理に合格した対象者が
その後死傷事故を起こさないか注視していきたい。
⑤しかし今回改正が前進であることは事実ですし、
今後の改正でのさらなる検証を期待したい。
ざっと意見を書けば、以上①~⑤となりますが、
やはり何度も受検可能な点には否定的になります。
試験慣れすれば、合格が容易なのは当然ですし、
それで合格して本当に安全な運転が担保されるか、
大いに疑わしいと考えるからです。
ですので、再受検可能な点は継続して検証いただき、
対象者が本当に必要な運転能力を有しているか否か、
正確に見極める基準を作ってほしいと考えています。
なお、あおり運転の厳罰化の早期実現については、
素直に評価されるべきことだと考えています。
ただ両者を比較すると、あおり運転については、
明確な施策を打ち出すことができているけれども、
高齢者運転対策には、歯切れの悪さを感じます。
高齢者運転対策をどうすべきかを考えた場合、
車に代わる移動手段の確保などのサポート面、
サポカーの技術的限界、高齢者個々の運転能力差、
などの課題が山積しているからこそ、
抜本的な改正を躊躇せざるをえないのかと感じます。
今回改定案は、さらに2年を目途に改定予定と聞きます。
であれば、不十分だったりザル法になったりしないよう、
私たちも運用実績を注意深く見ていきたいと思います。