三審制の意義を守ることが被害者救済につながる理由刑事司法における「科学的知見の欠如」について ーー 一般社団法人関東交通犯罪遺族の会 代表顧問 高橋正人弁護士の見解

2025年03月31日

目撃者になった場合の三審制の意義について考える

事件の“目撃者”になることは、誰にでも起こり得ることです。
ふと通りがかった道、電車のホーム、日常のどこかで──。
「もし自分が、事件の目撃者になったら...」と想像しながら、読んでいただけたらと思います。

三審制とは、地方裁判所・高等裁判所・最高裁判所という三段階で審理を行い、慎重に事実を確認し、最終的な法的判断を下す仕組みです。

この制度には、以下のような意義があります。
1.法的安定性の確保
判決を最終的に確定させることで、被害者や関係者が事件に一定の区切りをつけられるようにする。
2.慎重な審理による冤罪防止
二度の上訴機会を通じて、誤判の可能性を減らし、より正当な判断に近づける。
3.社会的決着をつける役割
無限に裁判を繰り返すことなく、一定の段階で法的判断を確定させ、社会全体としての安定を図る。

再審が無制限に繰り返される場合、被害者だけでなく、目撃者や関係者にも大きな負担がかかります。
・目撃者への影響
何年も前の出来事を、何度も思い出し、同じことを話さなければならない。
何度も同様の供述を求められることで精神的な負担が増し、日常生活にも支障が生じる可能性があります。
たとえ事件を「たまたま目撃しただけ」の人であっても、再審が繰り返されれば、長期にわたり裁判に関与せざるを得ません。
・暴力団など関係者に関する恐怖
事件に暴力的な人物や組織が関わっていた場合、目撃者や被害者は報復や脅迫といった危険にさらされる可能性があります。
再審が続くことで、こうした恐怖や不安が終わりなく続いてしまうおそれがあります。

三審制は、このような被害者や目撃者の負担を軽減し、法的な終結を図るために存在しています。
再審法の見直しにあたっては、被害者だけでなく、目撃者や関係者の視点も十分に考慮することが重要です。

i_nokai0708 at 22:55│Comments(0)その他 

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三審制の意義を守ることが被害者救済につながる理由刑事司法における「科学的知見の欠如」について ーー 一般社団法人関東交通犯罪遺族の会 代表顧問 高橋正人弁護士の見解