2025年11月15日
豊島区犯罪被害者支援条例シンポジウムに参加して(2025.11.15)
——全国へ広がる“希望のモデル”として——
一般社団法人 関東交通犯罪遺族の会
代表理事 小沢 樹里
11月15日、「豊島区 犯罪被害者支援条例 制定記念シンポジウム」に参加いたしました。
会場には、被害者遺族、行政職員、支援者、専門家の皆さまが集まり、
これまでの歩みと、これからの未来を語り合う、大変意義深い時間となりました。


今回のシンポジウムで登壇した当会 副代表理事・松永拓也の講演は、
会場全体の空気を震わせるものでした。
突然最愛の妻と娘を失い、怒涛のような日々の中で味わった
“心の痛み・生活の困難・経済的負担・情報不足・二次被害”
そのひとつひとつが、今なお多くの被害者が直面している現実そのものです。
豊島区が今回制定した条例は、
その現実に、真正面から向き合った内容になっています。
⸻
■なぜ、このシンポジウムが「今」必要だったのか
犯罪被害者の現状は、いまだ社会に十分知られていません。
被害に遭ったその瞬間から、
遺族・被害者は
• 心身の不調
• 生活困難
• 経済的負担
• 裁判・捜査への対応
• 子育て・介護
• 感染症の再発や通院
• そしてSNSなどによる二次被害
こうした“複数の困難が同時にのしかかる”状態に置かれます。
しかし、従来の制度には
「犯罪被害者に特化した生活支援」
はほとんどありませんでした。
被害は突然、理不尽に起きるにもかかわらず、
被害者自身が行政の窓口を探し、何度も説明し、
自力で生活を立て直さなければならない。
その矛盾を、今回のシンポジウムでは
被害者・自治体・専門家が同じ視点で共有することができました。
⸻
■豊島区の条例は、全国のモデルになる
豊島区が制定した条例の特徴は明確です。
◎福祉部に窓口を設置
→ “聞く耳を持つ専門職”が最前線に立ち、
被害者の心情に配慮した対応ができる体制。
◎支援期間が長い・経済的支援が手厚い
→ 数ヶ月ではなく「長く寄り添う」姿勢が制度に明記。
被害直後の混乱時に申請できない人にも対応。
◎生活支援(配食・家事支援など)が制度化
→ 「生きるために必要な支え」を行政が明確に保障。
◎対象が広い(区外の遺族も支援の対象に)
→ 被害者を“線引き”しない、温かい支援。
◎犯罪予防(加害者を生まない教育)を条例に明記
→ 被害者支援条例に予防を明記したのは全国でも先進的。
これは、被害者支援の歴史の中でも特筆すべき条例です。

また、今回のパネルディスカッションでは、
この条例がどのような想いで生まれ、どんな支援が必要とされているのかが、
行政・遺族・専門家それぞれの立場から語られました。
区長からは、都庁時代の経験や、あいの会からの働きかけを受け、
「必ず条例を作る」と決意した経緯が語られました。
福祉部に窓口を置いた理由、区外の遺族も含めた対象の広さ、
遺族支援金と配食・家事・育児支援などの生活支援を組み合わせた制度設計、
さらには「加害者を生まない」ための教育・犯罪予防を
条例に明記したことも紹介されました。
被害者遺族からは、
事件直後に押し寄せる葬儀・捜査協力・裁判・報道対応・SNSの誹謗中傷など、
多数の負担がいまも多くの遺族の現実であること、
「もし当時、遺族支援金があればどれほど救われただろうか」という
切実な声が寄せられました。
また、配食や家事支援に税金が使われることについて、
「社会が『応援します』と言ってくれているようで、本当にうれしい」
という言葉も印象的でした。
専門家・支援者からは、
自治体間の支援格差、窓口体制の限界、職員研修や周知の重要性、
そして市民一人ひとりの関心が制度改善を進める力になる、
という指摘がありました。

⸻
■既存の条例も“アップデート”が必要な時代へ
現在、多くの自治体で犯罪被害者支援条例がつくられています。
しかし、その中には
• 生活支援がない
• 支援期間が短い
• 窓口が福祉部ではなく縦割りのまま
• 被害者の声が反映されていない
など、制度の“古さ”や“不足”が見えるものもあります。
今回の豊島区の取り組みは、
全国の条例が見直され、より実態に沿った制度へアップデートされる
大きな契機になると確信しています。
私は、全国の自治体に呼びかけたいのです。
「豊島区をひとつのモデルとして、
どうか条例の再構築を進めてください」
被害者支援は“更新”が必要な分野です。
現場のニーズは常に変わり続けています。
だからこそ、条例も時代に合わせて一緒に進化していくべきなのです。
⸻
■犯罪被害者が、一日でも早く回復へ向かえるように
被害者遺族は、ある日突然、
望んでもいないのに犯罪被害者になります。
生活は壊れ、心も体も疲弊し、
お金も尽き、仕事にも行けなくなり、
子育て・介護・家事が手につかず、
病院通いが続き、
それでも裁判は待ってくれない。
この“理不尽の連続”を前に、
どれほどの被害者が孤立し、声を失ってきたでしょうか。
豊島区の条例は、
その現実に、初めて光を当て、
「被害者が生きるための仕組み」を形にしたものです。
私は、この条例がきっかけとなり、
犯罪被害者が一日でも早く回復し、
心のケアへつながることを、心から願っています。
そして、今後も当会は国や自治体、議会に対し、
被害者支援の拡充・制度改善の働きかけを続けてまいります。
最後に、今回のシンポジウム開催に尽力された
豊島区長をはじめ、区議会、職員の皆様、関係者の皆様に
深く感謝申し上げます。
一般社団法人関東交通犯罪遺族の会
小沢樹里

一般社団法人 関東交通犯罪遺族の会
代表理事 小沢 樹里
11月15日、「豊島区 犯罪被害者支援条例 制定記念シンポジウム」に参加いたしました。
会場には、被害者遺族、行政職員、支援者、専門家の皆さまが集まり、
これまでの歩みと、これからの未来を語り合う、大変意義深い時間となりました。


今回のシンポジウムで登壇した当会 副代表理事・松永拓也の講演は、
会場全体の空気を震わせるものでした。
突然最愛の妻と娘を失い、怒涛のような日々の中で味わった
“心の痛み・生活の困難・経済的負担・情報不足・二次被害”
そのひとつひとつが、今なお多くの被害者が直面している現実そのものです。
豊島区が今回制定した条例は、
その現実に、真正面から向き合った内容になっています。
⸻
■なぜ、このシンポジウムが「今」必要だったのか
犯罪被害者の現状は、いまだ社会に十分知られていません。
被害に遭ったその瞬間から、
遺族・被害者は
• 心身の不調
• 生活困難
• 経済的負担
• 裁判・捜査への対応
• 子育て・介護
• 感染症の再発や通院
• そしてSNSなどによる二次被害
こうした“複数の困難が同時にのしかかる”状態に置かれます。
しかし、従来の制度には
「犯罪被害者に特化した生活支援」
はほとんどありませんでした。
被害は突然、理不尽に起きるにもかかわらず、
被害者自身が行政の窓口を探し、何度も説明し、
自力で生活を立て直さなければならない。
その矛盾を、今回のシンポジウムでは
被害者・自治体・専門家が同じ視点で共有することができました。
⸻
■豊島区の条例は、全国のモデルになる
豊島区が制定した条例の特徴は明確です。
◎福祉部に窓口を設置
→ “聞く耳を持つ専門職”が最前線に立ち、
被害者の心情に配慮した対応ができる体制。
◎支援期間が長い・経済的支援が手厚い
→ 数ヶ月ではなく「長く寄り添う」姿勢が制度に明記。
被害直後の混乱時に申請できない人にも対応。
◎生活支援(配食・家事支援など)が制度化
→ 「生きるために必要な支え」を行政が明確に保障。
◎対象が広い(区外の遺族も支援の対象に)
→ 被害者を“線引き”しない、温かい支援。
◎犯罪予防(加害者を生まない教育)を条例に明記
→ 被害者支援条例に予防を明記したのは全国でも先進的。
これは、被害者支援の歴史の中でも特筆すべき条例です。

また、今回のパネルディスカッションでは、
この条例がどのような想いで生まれ、どんな支援が必要とされているのかが、
行政・遺族・専門家それぞれの立場から語られました。
区長からは、都庁時代の経験や、あいの会からの働きかけを受け、
「必ず条例を作る」と決意した経緯が語られました。
福祉部に窓口を置いた理由、区外の遺族も含めた対象の広さ、
遺族支援金と配食・家事・育児支援などの生活支援を組み合わせた制度設計、
さらには「加害者を生まない」ための教育・犯罪予防を
条例に明記したことも紹介されました。
被害者遺族からは、
事件直後に押し寄せる葬儀・捜査協力・裁判・報道対応・SNSの誹謗中傷など、
多数の負担がいまも多くの遺族の現実であること、
「もし当時、遺族支援金があればどれほど救われただろうか」という
切実な声が寄せられました。
また、配食や家事支援に税金が使われることについて、
「社会が『応援します』と言ってくれているようで、本当にうれしい」
という言葉も印象的でした。
専門家・支援者からは、
自治体間の支援格差、窓口体制の限界、職員研修や周知の重要性、
そして市民一人ひとりの関心が制度改善を進める力になる、
という指摘がありました。

⸻
■既存の条例も“アップデート”が必要な時代へ
現在、多くの自治体で犯罪被害者支援条例がつくられています。
しかし、その中には
• 生活支援がない
• 支援期間が短い
• 窓口が福祉部ではなく縦割りのまま
• 被害者の声が反映されていない
など、制度の“古さ”や“不足”が見えるものもあります。
今回の豊島区の取り組みは、
全国の条例が見直され、より実態に沿った制度へアップデートされる
大きな契機になると確信しています。
私は、全国の自治体に呼びかけたいのです。
「豊島区をひとつのモデルとして、
どうか条例の再構築を進めてください」
被害者支援は“更新”が必要な分野です。
現場のニーズは常に変わり続けています。
だからこそ、条例も時代に合わせて一緒に進化していくべきなのです。
⸻
■犯罪被害者が、一日でも早く回復へ向かえるように
被害者遺族は、ある日突然、
望んでもいないのに犯罪被害者になります。
生活は壊れ、心も体も疲弊し、
お金も尽き、仕事にも行けなくなり、
子育て・介護・家事が手につかず、
病院通いが続き、
それでも裁判は待ってくれない。
この“理不尽の連続”を前に、
どれほどの被害者が孤立し、声を失ってきたでしょうか。
豊島区の条例は、
その現実に、初めて光を当て、
「被害者が生きるための仕組み」を形にしたものです。
私は、この条例がきっかけとなり、
犯罪被害者が一日でも早く回復し、
心のケアへつながることを、心から願っています。
そして、今後も当会は国や自治体、議会に対し、
被害者支援の拡充・制度改善の働きかけを続けてまいります。
最後に、今回のシンポジウム開催に尽力された
豊島区長をはじめ、区議会、職員の皆様、関係者の皆様に
深く感謝申し上げます。
一般社団法人関東交通犯罪遺族の会
小沢樹里

i_nokai0708 at 22:00│Comments(0)








