2025年11月24日
「高校に行きたい」——交通事故に遭った女の子が直面している、未来をふさぐ社会の壁(2025.11.24)
■「事故に遭った子どもの未来が、高校受験の段階で再び奪われようとしています」
埼玉県に暮らす、ある中学1年生の少女の話です。
彼女は通学中、加害者の無謀な運転によって命に関わる重大な事故に遭い、犯罪被害者となりました。
現在は中学3年生。
事故の後遺症により車椅子で生活をしていますが、懸命なリハビリと家族の支えで、中学校には安心して通えるまでに回復しています。
ところが、今年度に入って高校受験の相談を何度も受ける中で、状況は深刻さを増し、
「このままでは高校に入学できないかもしれない」という現実に、母親は強い苦悩を抱えていました。
「娘には高校に進学してほしい。」
その願いは、事故に遭ったからこそ“同じような境遇の人を助けたい”という娘の夢を支えたいという、母としての切実な思いから生まれたものでした。
同じ年頃の子を育てる私自身、胸が締めつけられるような話でした。
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■ 同世代の母親から聞いた、あまりにも重い現実
突然の交通事故がどれほど人生を変えてしまうのか——
その事実を突きつけられる、緊迫した状況です。
彼女は今、中学3年生。
ただただ、
「高校に行きたい」
「勉強を続けたい」
そう願う、ごく普通の女の子です。
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■ 事故の後遺症として残っている障害
お母さんから伺った現在の状態は次のとおりです。
〈障害者手帳より〉
・脳梗塞・脳挫傷による左上肢機能全廃
・左下肢機能全廃
・高次脳機能障害
〈日常生活〉
・福祉車両(サイドリフトアップ仕様)を使用
・ゆっくり座る動作は改善
・左足を車内に入れるには補助が必要
・立てる時間も増えてきた
・中学校ではサポートを受けながら通常の生活が可能
これは彼女自身の努力と、ご家族の揺るぎない支えがあってこそです。

現在は中学3年生。
ただ、
「高校に行きたい」
「学びたい」
それだけを願っている、普通の女の子です。

■ しかし、高校側からは「受験すら拒否された」
2025年4月から早めに始めた受験準備。
滑り止めを含め、複数の私立高校に個別相談へ出向きました。
ところが返ってきた返答は——
・エレベーターがない
・移動教室が多い
・授業間移動が困難
・安全確保が難しい
そのうえ、
「受験は難しいです」
「察してほしい」
と、校長先生などから実質的な“受験拒否”を示す言葉が伝えられたのです。
障害者差別解消法があるにもかかわらず、
何度も足を運び、何度も断られ、親子は深く傷つきました。
「事故に遭っただけなのに」
「どうして進学すら許されないの…」
涙を流しながらそう語ったと聞きました。
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■ 県立高校にもある「制度の空白」
県立高校には「介助員制度」が存在します。
しかし、大きな問題があります。
介助員が決まるのは “入学後”。
つまり入学直後は、
・トイレ
・階段
・教室移動
すべてに補助がありません。
制度はあっても、子どもが安全に学校生活を送れる形にはなっていないのです。
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■ 健常な高校生ですら休めない現状
高校に通う私の娘を含め、多くの生徒が口を揃えて言います。
・休み時間はほとんどない
・移動教室がギリギリ
・トイレに行く時間すらない
つまり、
今の高校は健常な子どもでさえ“余裕がない構造”なのです。
そこへ麻痺や車椅子の事情が加われば、移動が困難になるのは当然です。
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■ エレベーターは「障害のある子だけのもの」ではない
今回あらためて痛感したのは、
エレベーターは“特別なもの”ではないということです。
・交通事故で後遺障害を負った子ども
・怪我や病気で一時的に移動が難しい生徒
・重い荷物を運ぶ部活動
・高齢や妊娠中の教員の安全
誰にとっても必要な設備です。
学校にエレベーターがなければ、
「働く権利」「学ぶ権利」が脅かされてしまいます。
バリアフリーは“福祉”ではなく、
教育現場の“土台”であるべきです。
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■ 学校教育のバリアフリー化は「急務」
社会全体がバリアフリーに向かっている中、
学校教育だけが昔の構造のまま取り残されています。
・エレベーターがない
・スロープがない
・時間割が移動前提
・施設設計が階段ありき
このままでは障害の有無に関係なく、
「学びたい」という子どもたちの権利が奪われてしまいます。
今回の相談で、私は強く痛感しました。
高校現場のバリアフリー化は、
もはや“特別対応”ではなく“必須の整備”です。
埼玉県に問い合わせた際も、
想像以上に多くの高校でエレベーターが未設置で、
その状況に愕然としました。
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■ 行政と教育現場に求める改善
① 私立高校にも介助制度を整備
② 障害を理由とした受験拒否の抑止ガイドライン
③ 合格段階での介助員申請を可能に
④ 時間割・移動教室の柔軟化
⑤ バリアフリー設備への助成
⑥ 学校ホームページへの設備状況の明示
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■ 事故に遭った子どもの“二度目の未来”を奪わないでほしい
事故は本人のせいではありません。
外側から突然ふりかかる、理不尽そのものです。
そのうえ、進学という未来まで阻まれる現実。
事故の苦しみは一度で十分です。
二度、三度と子どもを苦しめる社会であってはなりません。
私は、お母さんが震える声で語ったあの日の言葉を忘れません。
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■ 埼玉県に今求められていること
事故があったから進学を諦めるのではなく、
「事故に遭っても未来を奪われない県」であること。
高校が受け入れの判断をする前に、
県との連携や設備の確認などを行ってほしかった。
そのうえで判断されたのであれば納得もできたはずです。
私は、
・交通事故遺族として
・子どもを育てる母として
一人の子どもの未来が、社会の無関心や制度の隙間によって奪われていく状況に強い疑問を感じます。
この問題を知っていただくことこそ、
同じ壁にぶつかる子どもたちすべてを守る第一歩です。
来年4月、桜が咲く頃。
彼女が安心して笑顔で高校に通える日々を願って。
このブログをここに記します。
一般社団法人関東交通犯罪遺族の会
代表理事 小沢 樹里

i_nokai0708 at 12:49│Comments(0)│想い








