胎児の命は、被害として扱われないのか ―― 一宮市で起きた妊婦死亡事故を受けて交通事故で家族を亡くしたこどもの支援を考える──盛岡シンポジウムに中村の長男が登壇しました(2025.12.2)

2025年12月01日

【公式声明】自動車安全特別会計の未返済分 5,741億円の一括返済決定について(2025.12.1)


2025年11月、財務省より、自動車安全特別会計から一般会計へ繰り入れられていた未返済分 約5,741億円の一括返済 が正式に決定いたしました。
当会としても、この決定を歓迎するとともに、これまで多くの関係団体と連携して働きかけを続けてきた経緯を踏まえ、ここに公式にご報告申し上げます。

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1.本決定の背景
■自賠責保険制度と「自動車安全特別会計」とは

自賠責保険は、自動車事故による被害者救済を目的とし、
保険料およびその運用益で

・療護・リハビリ
・重度後遺障害者への介護
・遺族支援
・事故防止対策

などを行う極めて重要な制度です。
この財源を管理するのが「自動車安全特別会計」です。

■なぜ 5,741億円 が一般会計へ「貸し出された」のか

平成6〜7年度、バブル崩壊後の深刻な財政難により、

・税収の大幅な落ち込み
・社会保障・公共投資の急増
・国債発行の限界

といった複合的要因から、国は一時的な資金確保を目的に
特別会計の資金を“返済を前提に一般会計へ繰り入れる” という措置をとりました。

■長期間返済されなかった現実

一部返済は平成15年度までに行われましたが、
平成16〜29年度の14年間、返済は完全に停止。

その結果、本来、被害者支援のために積み立てられた5,741億円が、長期間返済されない状態が続いたという非常に問題のある状況が続いてきました。

返済が滞ったことで、
本来であれば強化されるべき、
・重度後遺障害者の療護・介護体制
・被害者、遺族支援の拡充
・無保険車対策や事故防止事業

といった重要な領域への影響が懸念され続けていました。

■繰戻し再開と、今回の「全額一括返済」へ

関係団体による要望活動が続き、平成30年度から段階的な返済が再開。
そして令和7年度(2025年度)、ついに
残余全額の一括返済が実現する運びとなりました。



2.当会のこれまでの活動

当会は、交通死遺族の立場から、自賠責制度における被害者・遺族支援の充実を求め、継続的な働きかけを行ってきました。

主な取り組み:

・「自動車損害賠償責任保険制度を考える会」への参加
・財務省への要望書提出
・国土交通省関連委員会における意見提言
・自賠責審議会での被害者側意見の反映

国土交通省の委員の立場からも、返済ロードマップの必要性を繰り返し訴え、制度維持と被害者支援の安定性確保を強く求めてまいりました。
今回の一括返済決定は、被害者・遺族の声が正当に国へ届いた結果であると受け止めています。



3.返済決定の意義

今回の決定により、次の重要な効果が期待されます。

■ ① 被害者支援財源の安定化
療護施設、介護・リハビリ、支援員の確保など、
継続的に必要な被害者救済事業の基盤が強化。

■ ② 遺族支援体制の強化
従来手薄だった遺族支援(相談・心理ケア)の制度的後押しが可能に。

■ ③ 事故防止施策の継続
自動車ユーザーの保険料負担を抑えつつ、
事故防止・無保険車対策などの事業を安定的に継続できる環境が整備。

■ ④ 制度の持続可能性の向上
返済計画が明確になり、自賠責制度に対する社会的信頼が向上。



4.今後に向けて

一括返済は大きな前進ですが、交通事故被害者・遺族が直面する課題は依然として多く残されています。

・重度後遺障害者の生活支援の拡充
・介護者の負担軽減と人材確保
・遺族支援制度のさらなる強化
・無保険車・危険運転など再発防止対
・被害者が孤立しない相談体制の充実

これらの課題に対し、当会は今後も、被害者・遺族の実情を行政・立法機関へ届ける役割を果たし続けます。



5.結び

今回の返済決定に際し、財務省、国土交通省、関係審議会の皆様、
そして長年ともに要望活動を続けてきた関係団体の皆様へ、深く敬意を申し上げます。

すべての交通事故被害者・遺族が尊厳をもって生活し、
必要な支援に確実にアクセスできる社会の実現をめざし、当会は今後も活動を続けてまいります。

一般社団法人 関東交通犯罪遺族の会
代表理事 小沢 樹里

i_nokai0708 at 17:50│Comments(0)

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