ブレーキ

2021年02月01日

池袋高齢者暴走死亡事故の第5回公判(2021.2.1)

池袋高齢者暴走死亡事故の第5回公判が、
今日2月1日(月)午後1時から行われました。

前回に引き続き機器に関する検証が行われ、
今回はかなり専門的なやり取りとなりました。

証拠や検証でどんどん明らかになりましたが、
仮に万一、電子制御に問題があったとしても、
人がブレーキを踏むことで車は止められます。
加害者が乗っていたトヨタ・プリウスにしても、
電子制御が故障しても油圧ブレーキは効きます。
そのブレーキを踏んで加速などありえないのです。

しかし加害者は電子制御の問題ばかり主張します。
そしてそれが加害者の主張のほぼすべてです。

「これが加害者のすべての主張ならやるせない」

松永拓也さんも公判後の記者会見で言いましたが、
公判を知る多くの人は同じ思いだろうと感じます。

2021あいの会0201第5回公判

一緒に会見に臨んだお義父様も、
亡くなった真菜さんが争い事の嫌いだったことに触れ、

「悔しさとか悲しみとか色々なものがこみ上げる。
 加害者には自分の罪を認めて償ってほしいだけ。
 責めたいわけではない。早く反省してほしい」

と話されていました。

一緒に会見の場に臨んだ当会代表の小沢樹里も、

「被害者と加害者の主張は食い違うものだけど、
 加害者には罪と向きあって「謝る力」が必要だ。
 これだけたくさんの証拠が揃っていても、
 罪と向きあわない加害者にもそれを求めたい」

と話しましたが、そんな加害者の罪を問う公判は、
これからも当面続いていきます。

この日も被害者参加を行った松永さんは、
午前中の厚生労働省訪問から始まり、
公判、夕方の記者会見まで一日走り続けました。
せめて今夜はゆっくり休んでほしいと思います。

次回公判期日は3月3日(水)13時からです。
次回は自動車メーカーのトヨタが証言する予定です。


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2021年01月19日

池袋高齢者暴走死亡事故の第4回公判(2021.1.19)

池袋高齢者暴走死亡事故の第4回公判が、
今日1月19日(火)午前10時から行われました。

松永さんも自身の下記ブログで報告していますが、
あいの会としても、今日の内容を補足して報告します。

松永さんのブログ記事
第4回公判を終えて(2021年1月19日)
https://ameblo.jp/ma-nariko/entry-12650877522.html

2021あいの会0119第4回公判_003

今回公判では警視庁の交通捜査部の担当者が証言に立ち、
主に速度についての鑑定結果について話しました。

防犯カメラ等の映像解析からわかったことですが、
当初は時速53キロで走っていた加害者の車が、
縁石にぶつかった時点で69キロ、
一人目の男性をはねた時点で84キロ、
そして真菜さんと莉子ちゃんをはね飛ばした時点では、
高速道路上限ギリギリの96キロまで上がっていました。

すべてがわずか数秒間の出来事です。
ものすごい勢いで加速していたことが今回わかりました。

これを踏み間違えではなく、車の故障だと言い張るのなら、
加害者は、車内電子記録も、ブレーキランプも、
(ブレーキランプが一切点灯していなかったことは、
 前回公判で目撃者の方々が三人揃って証言しています)
同時に壊れていたことを立証しなければなりません。

そもそもブレーキを踏んで加速することなどありません。

加害者側が今後どんな反論をしてくるのだろうと思うと、
ひどく荒唐無稽な主張をしてくることが予想されます。

ほとんど期待はしていませんが、そんな荒唐無稽ぶりが、
どれだけ遺族を苦しめ、悲しませ、憤らせるのか・・・
90年近くも人としての人生を生きているのですから、
加害者も少しは想像してほしいと思わずにはいられません。

今日わかった論点は、あまりにも急激な加速の事実です。

これはとても重要な事実です。

ブレーキを踏んだ記録はどこにもない。
ブレーキ履歴はなく、ブレーキランプも点灯していない。
アクセル全開の記録だけがある。
そんななかで加害者はブレーキを踏んだと主張している。

その結果が、高速道路上限レベルまでの急加速です。

加害者が踏んだのはアクセルだということは明白です。

次回公判期日は2月1日(月)13時からの予定です。

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2020年12月14日

池袋高齢者暴走死亡事故の第3回公判(2020.12.14)

池袋高齢者暴走死亡事故の第3回公判が、
12月14日(木)午前10時から行われました。
今回はわずか20分で終わりました。

この日は、加害者側が具体的主張を行う予定でした。
私たちもどんな論を展開してくるのか注視してました。

しかし読み上げられた冒頭陳述書を聞く限り、
松永さん本人も、同じ周りのあいの会メンバーとしても、
ただただ虚しく、嘆息し、脱力してしまう内容でした。

事件から1年半経ち、準備時間も十分あるはずなのに、
やっと出してきた内容がこの程度のものなのかと・・・。

冒頭陳述書はA4数枚だったと聞いています。
しかしその内容は数枚にも満たない実に薄い内容でした。

既にいくつかのメディアで報道されている通り、
「確かにブレーキを踏んだが減速しなかった」
「下を向いてアクセルを踏んでいないことを数秒目視した」
「だからパニックになった」
「車を制御する電気系統のトラブルがあった可能性あり」
「よって加害者側の過失はない」
これらが加害者側の主張でした。

実はこの日に加害者側が出してきた冒頭陳述書は、
本来であれば第1回公判前に出してくるべきものです。
それを出さず、前回第2回公判の最後に、
「(いい加減)次回までに用意できますか」
と裁判官から促されて、やっと出してきたものでした。

「電気系統のトラブルがあった可能性」を補強するために、
冒頭陳述書には「専門家」の調査書も添付されていました。
しかしこの「専門家」は証言には立たないようで、
おおよそどんな背景で出てきたか察することができます。

この日のやり取りを知った私たちが等しく感じたこと。
それはただひたすら虚しいという一言に尽きます。

世の中にはいろいろな人がいます。
立派な人格者もそうでない人もいます。
当たり前のことですが、あらためてその現実を突きつけられ、
語り続けることの無力さと限界を感じた日でもありました。

伝わらない人にはどんなに言葉を尽くしても伝わらない。
「罪と向き合ってほしい」
松永さんが繰り返してきた言葉ですが、
今日で加害者には期待できない言葉だと痛感しました。

この日の公判後、松永さんとお義父さんは、
司法記者クラブで記者会見を行いました。

2020あいの会1214第3回公判_001

2020あいの会1214第3回公判_002

松永さんは、記者会見の中でこう話していました。

「しっかり証拠を集めてくれた警察と検察には感謝している」
「冒頭陳述書は既にある証拠を超えない既知の内容だった」
「冒頭陳述書では「パニックになった」ことを認めていた。
 アクセルが戻らないことを目視したと言っていた。
 果たしてパニック状態でそんな確認ができるのか疑問」
「加害者側は「健康について何も問題ない」と言っていたが、
 普通の健康と運転に必要な健康は違う。
 あの状態で運転をしたことをどう思いますかと問いたい」
「10年以内に事故はないと言っていたが、
  2001年に人身事故を起こして罰金刑を受けている。
  その後、家族での話し合いはなかったのか問いたい」
「ブレーキやアクセルを踏んだ踏まないと述べていたが、
 そもそも二つの勘違いから始まっているとしか思えない」

また亡くなった真菜さんのお父様は、
毎回の公判のために沖縄から飛行機で来ているのですが、
「来るときに足が重くなり苦しくなる」
と記者会見で話す言葉がメンバーの旨に突き刺さりました。

お父様は20分だけの公判のために、沖縄から前夜入りし、
今夜も東京に泊まって、明日沖縄に帰ります。
宿泊費も飛行機代も全て自費負担です。
ひるがえって加害者はタクシーで20分くらいの距離で、
苦労せず行き来でき、人払いなどの配慮も受けている。

比べるものではないと過去ブログでも主張してきましたが、
加害者の人権と被害者の人権の格差を目の当たりにし、
加害者の人権って、被害者の人権って何だろうと思います。

そんなにも丁寧に守られてきた加害者は、
結局この日も自らの罪と向き合うことはしませんでした。

ここまでの公判を見てきて感じることは、
これはもはや弁護士の戦術というレベルの話ではなく、
加害者本人の人間性の問題であると考えます。

 *** *** ***

以下、いくつか気になった論点を書いておきます。

加害者側は「暴走」という言葉に過敏になっています。
「暴走した」と記載の証拠には全て不同意を貫いています。

「(電気故障で)パニックになったが、暴走はしていない」

これが加害者側の主張のようです。

しかし前回公判で、利害関係のない全くの第三者の証人が、
「かなり暴走していた」「あおっていると思った」と
異口同音に当時の目撃シーンを語ってくれています。

そんなスピードで走っている中で1秒でも目を離せば、
それ自体が人を轢き殺す前方不注意に他なりません。
わずか2~3秒で、数台の車やバイクを追い抜いていた間、
いつ足元のアクセルを見る時間があったのかと思います。

結局暴走を否定しつつ、暴走の自白に他なりません。

なお電気系統に故障が発生すれば、車は普通止まります。

ここまで冒頭陳述書を出さなかった、出せなかった理由にも、
厳しい意見を言わざるを得ないと考えています。
複雑で、時間のかかる内容なら仕方ないのかもしれません。
しかし今日読み上げられた冒頭陳述書の内容は、
あまりにも簡素で、あまりにもお粗末なものでした。

こんな粗末な、1時間程度で書けるものを用意するために、
被害者を待たせ続けたことを加害者はどう考えているのか。
罪と向き合うことも、遺族の気持ちを思うこともできない。
そんな加害者の姿には、ただただ嘆息しかありません。

またそんな加害者の姿を3回見てきたメンバーの実感として、
自分の裁判に来ている雰囲気は全くなく、
他人の裁判の傍聴に来ている様子でしかないこともあります。
表情、動作、その全てがあまりに軽い印象が強くあります。

この日の記者会見の最後に、松永さんの弁護士から、
「加害者は金属の経年劣化の可能性を言ってきているが、
  本人の経年劣化は考えなかったのか」と批判していました。

人は誰でも老い、いろいろな能力が劣化していきます。
それは仕方のないことです。責められることではありません。
しかしそれが我が身に起きるかもしれないことを理解し、
それによって他人を傷つけないように自覚することは必要です。

加害者は2001年に自転車を轢き、20万の罰金刑を受けています。
この時、既に70歳前後。
都心に住んでいて、どうしても運転が必要な状況でもありません。
ここで運転をやめようと内省することもできたはずです。

しかし加害者はそうしなかった。
そして昨年の事件を起こしました。

厳しい判決を望む以外にありません。

次回以降の公判期日は、
  1月19日(火)10:00
 2月1日(月) 13:00
 3月3日(水) 13:00
次回は、警察側証人が証言台に立つ予定です。
これは実況見分調書も加害者が不同意なためです。

※本ブログはできるだけ第三者としての視点を残すために、
  あえて松永さんには話を聞かず、傍聴支援メンバーから、
  また別のメンバー(筆者)が話を聞いて書いています。

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2020年12月04日

池袋高齢者暴走死亡事故の第2回公判(2020.12.3)

池袋高齢者暴走死亡事故の第2回公判が、
12月3日(木)午前10時から行われていました。

遺族であいの会会員の松永拓也さんも被害者参加し、
他の会のメンバーも数名、支援に駆けつけました。

今回は事件当時に現場にいた目撃者3名の方が
証言台に立ち、加害者の主張とは全く異なり、
加害車両にブレーキランプは点いていなかったことや、
そのあまりに危険な蛇行暴走ぶりが次々に語られました。

法廷での様子は松永さん自身や、
あいの会代表の小沢樹里がブログで報告しています。
ここでもリンクを貼って、紹介します。

松永拓也のブログ記事
https://ameblo.jp/ma-nariko/entry-12641815242.html

小沢樹里(あいの会代表)のブログ記事
https://ameblo.jp/kozaru5/entry-12641862307.html
https://ameblo.jp/kozaru5/entry-12641942719.html

その時の瞬間が生々しく語られたこともあり、
松永さんにとって聞くだけで辛い話でもありました。

ここでは法廷内の詳細には踏み込みません。
それは上のブログを読んでほしいと思います。

ここで書いておきたいことは2つです。

1.警察の初動捜査が丁寧でしっかりしていたこと。
2.被害者・遺族の人権をありのまま尊重してほしいこと。

以下補足します。

事件当初、加害者が逮捕されなかったことや、
その加害者が相応の経歴の持ち主だったことから、
「上級国民」という言葉が流行語にもなりました。

私たち被害者遺族は、ひどい事件だからといって、
必ずしも加害者が逮捕されるわけではないこと、
逮捕されないからといって軽い罪になるわけではない、
といった実際の事実を知っています。
しかし一般的には必ずしもそうした理解は及ばず、
感情的な憤激があふれる状況となっていました。

あくまで推測ですが、警察にももしかしたら、
世間の誤解に報いたい思いがあったのかもしれません。
実況見分の内容は驚くほど精緻なものでした。

そして事件の一部始終をしっかり見ていて、
証言を承諾してくれる証人が3人もいたこと自体、
警察の初動捜査がしっかりしていた証だと考えます。

また伝えたいこと2つ目の被害者・遺族の人権ですが、
決して加害者の人権と比較するものではありません。
そもそも次元の全く異なる話となりますし、
並列的に比較対象にするようなものではないのです。

被害者・遺族はゆえなく突然被害に巻き込まれ、
家族を奪われ、生涯癒えない苦しみを抱えます。
将来の更生であるとか、そんな救いもありません。
奪われた家族を生き返らせることはできないのです。

加害者やその家族の人権が時に言われるように、
大切な家族を永遠に奪われた被害者・遺族にも、
当たり前の人権と当たり前の生活がほしいのです。
そしてそれは当然あってしかるべきもののはずです。

それは多くの人に正確に理解してほしいと思います。

12月3日はやはり2時間に及ぶ裁判の閉廷後、
裁判所前でメディアの囲み取材を受けました。
次回期日は12月14日(月)10時からとなります。

2020あいの会1203第2回公判_001

2020あいの会1203第2回公判_002

2020あいの会1203第2回公判_003


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