検事長

2014年12月14日

2014年10月21日付最高検通達(その内容と使い方)

ハートバンドの報告ブログでも触れた今年10月21日付の最高検通達について、
詳細がわかりましたので、ここであらためて共有させていただきます。

ここでもPDFデータをアップしておきました。
(436号通達と437号通達の2つ)

http://blog.livedoor.jp/i_nokai0708/SPOnotification436-20141021.pdf
http://blog.livedoor.jp/i_nokai0708/SPOnotification437-20141021.pdf

なお(当然ながら)ダウンロードも拡散も自由です。

436号通達は、次長検事から全国の各検事長と各検事正にあてたものです。

「検察の理念が「犯罪被害者等の声に耳を傾け、その正当な権利利益を尊重する。」
ことを基本姿勢の一つとしていることに思いを致し、被害者参加制度の対象となる者を
含め広く犯罪被害者等に対してなお一層の配慮に努め」るべきと言明しています。

そして下記の10項目にわたり、それぞれの場合の履行すべき内容を明文化しています。

1.事件の捜査・処理に当たっての対応について
2.被害者等のための制度等に関する情報提供等について
3.公判における検察官の主張・立証の内容に関する説明等について
4.公判において主張・立証する事項に関する要望に対する配慮について
5.公判前整理手続等の結果等に関する説明について
6.刑事裁判の公判期日等の指定に関する要望に対する配慮について
7.被害者参加人等の行う訴訟行為に関する助言等について
8.判決を踏まえての対応について
9.事件の処理、公判における主張・立証又は上訴に関する判断についての
     不服申立てへの対応について
10.上訴審における対応について

そして同日付けの437号通達は、最高検察庁総務部長と最高検察庁公判部長から、
最高検察庁次席検事と地方検察庁次席検事に宛てて、その趣旨を詳述する内容で、
その背景説明も含めて、あるべき検事の姿について明文化する内容になっています。

この最高検通達の出されたことがどういう意味を持つのか。

各検事が、被害者に寄り添う意義を再認識し、それを実践することは当然ですが、
被害者側でも、この通達を「使いこなす」ことが可能になることを意味しています。

例えば、どこの会社でも、社長通達なるものは出されると思います。
しかしえてして「なんか上が言ってるな」だけで終わるケースも皆無ではありません。
今回の通達にしても、軽視したり、心に響かないままの検事はきっといると思います。

私たちも訴え続けていて、多くの被害者・遺族も声を上げている問題として、
副検事の問題、検事や地域による当たり外れの問題などがあります。
そして「ハズレ」を引いてしまった場合、これまでの多くの被害者・遺族は、
なすすべもなく、ただ泣き寝入りをして、後悔を後々まで残してしまいがちです。

しかし、沈黙したり我慢をする必要など本当は全くないのです。
そしてそのためこそ、今回の通達は、被害者・遺族にとって、強い武器となります。

仕事をしない検事ややる気のない検事に当たってしまった場合はどうすればいいのか。
この通達を印刷して、目の前に突きつければよいのです。

「最高検通達でこう出ていますよね。ちゃんと通達に従って仕事をしてください」

そう言われれば、いやでもまともな仕事をせざるをえなくなります。

もしそれでも仕事をしようとしない検事だったら、
「この検事は最高検通達に従いません。指導するか、担当を替えるかしてください」
とその検事の上に訴えればよいのです。

上への訴え方は、まずは次席検事宛、それでもだめなら検事正宛、
まだだめなら法務省検事局長宛、さらに検事総長宛・・・と文書要望が効果的です。

以前も触れましたが、「検事は上に弱い」ので、その特性を活用するのです。

突然、被害者・遺族になってしまった。その上で、さらに運悪く、
一緒に戦ってくれそうにない検事や、思いを共にできない検事に当たった場合、
今回の最高検通達は、遺族として検察を動かす力強い武器になります。

不起訴や、起訴猶予や、執行猶予付き判決が出てしまってからでは遅いのです。

そもそも最高検通達など、かざさなくても済む検事ばかりであればよいのですが、
そうでなかった場合、早い段階で、こうした通達も活用して、状況を変えられる。

そのことを一人でも多くの被害者・遺族に知ってもらいたいと思っています。

prosecutor



i_nokai0708 at 22:16|PermalinkComments(0)