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ち絵さんが台所のドアを開けた。
Fさんの何も植えていない畑の向こうに、几帳面なAさんの畑を見渡すことができる。
「ホラ、見てごらん」
ち絵さんがAさんの畑を指さして説明を始めた。
「ネギが1本残ってるでしょ。あれは種を取るんだね。その隣に引っこ抜いて横にしてあるのは、食べるやつよ」
私はあまりにも詳しいので感心して言った。
「まるで自分の畑みたいだね」
ち絵さんも畑にネギを植えているので、状況が良く分かるとのこと。
一方、花壇のチューリップ。
捨てるつもりだった小さい球根がいくつかあって、芽が出てきてしまってからあわてて植えたのだが、
ち絵さんは驚いた。
「球根が小さくても花が咲くんだね」
地中の球根の姿勢など考えずに適当に植えたそうで、花茎が地面を這うように伸びているのがあった。
可愛そうだからと切って一輪挿しに差したところ、横に伸びていた茎が立ってきて、花も上を向いてきた。
二人して
「良かった」
「良かった」
と言い合った。
花壇のチューリップは赤、黄、紫、赤に白の班入りなどあって、花の大きさは不揃いだが、陽光を受けて”それなりに”しっかりと咲いている。