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ち絵さんが突然訊く。
「『もしもし ベンチでささやくおふたりさん』って歌知ってる?」
その歌は良く知っている。
ち絵さんが歌い始めた。
でも、どうも歌詞が良く分からない。
「違うよ、『日が暮れる』だよ」
などと私が知ったかぶりをしたのだが・・・。

歌っているのはだれだったろう。
「三橋美智也かな」
「曽根史郎だったと思うよ」
YouTube で調べてみた。
私の記憶はてんであやふやだった。

‟若いお巡りさん”(昭和31年)
制服姿で曽根史郎が歌っている。
やさしいメロディと語りかけるようで自然な歌詞がとても心地いい。
「懐メロだね」
「こんな歌は全く出てこなくなったね」

いまメディアを通じて聞こえてくる歌のほとんどはメロディがあるようで無いような、歌詞は‟こころ”を伝えようとしているが、悲しみも苦しみも孤独も、どこか乾いていて潤いが無く感じられる。
そんな風に感じるのは自分が‟古い人間”であることは百も承知している。
しかし、どんなに歳を重ねても、時代が変わっても、心打つ音楽がある。

私にとってヴォーカルは数年も聴いていると飽きが来てしまう。
半世紀を過ぎているにも関わらず、聴くたびに心が和むのはシンセサイザーだ。
一日とて聴かない日はない。
その曲に出会えた幸せを感じながら、今日も聴こう。