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「お父さん、ふっくらしたね」
病院を退院してしばらくしてから、わが家を訪れたK子がわたしを見てそんなことを言ったそうだ。
ち絵さんが話してくれた。

2週間ほどの入院だったが、正直のところ病院食には参ってしまった。
高齢者用に作ってあるから、おかずは全てが柔らかく薄味なのは致しかたないことで、それはきちんと食べたのだが、問題はお米のご飯だった。
もちろん、ちゃんと茶碗一杯出る。

わたしは以前から胃の具合が悪くでんぷん質のものを摂ると胸やけを起こす。
だから、食べるのはほんの少しなのだ。
茶碗一杯はとても食べられないから、ほとんど手付かずの状態で残した。

退院するころにはかなり体重が減っていることは予想したが、顔にまで現れていたとは知らなかった。
ち絵さんに確認してみた。
「そんなに痩せてたかい」
ち絵さんは「今だから言うけど」と断りを入れてから、頬がごっそりこけていたと言った。
確かに体重は自分でもびっくりするほど減ってしまっていたから、退院してからは回復を心がけてきた。
いまはほぼ以前の状態に戻っている。

この体重減の原因となった病院食が、健康に悪い影響を与えたかといえば、実はそうでもない。
むしろ結果的に良い状態になったのだ。
食後の胃の具合がすこぶる良いのだ。
長いこと気にしていた「胸やけ」を、忘れさせるほどになった。
胃に負担をかけない食事を続けたせいだと思う。

常用していた食後の胃の薬をやめるまでになった。
スイーツや煎餅も少し食べられるようになったのは嬉しいこと。
「健康メニューの病院食をもう一度」と誘われたらご遠慮したいが、栄養バランスを充分考えて作ってあるわけだから、決して非難しているのではない。
お米のご飯は
「主食と言うほどだからね」
とち絵さんが言うように重要な栄養源だから、非難されるべきは自分の好きなものだけ食べたわたしの方だ。