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気温が20℃にもなるとの予報なのに、朝はひんやりする。
「これからだんだん暖かくなってくるのよ」
とち絵さんは言うのだが。

間もなく春分の日だ。
ち絵さんには気になることがある。
ジャガイモの植え付けだ。
「そろそろホームセンターに行って種イモを買ってこなけりゃね」
わたしが水を向けると
「もう1月頃から売ってる」
とのこと。

畑の準備(耕し)のことを訊いてみた。
「もう畑はできてるの」
ち絵さんは口元によじれた笑いを作って
「まだなのよ」

何の植え付けでもそうだが、事前に畑を耕さねばならないし、それが一番のしんどい仕事だ。
ち絵さんは力が無いから深く耕せないことを嘆いていたが、ダイコンの生育はとても良かった。
──まだまだ大丈夫

畑で穫れる作物のなかでわたしが一番うれしいのはジャガイモだ。
形が不揃いでも肌が汚くても、貴重な食材だ。
一番の利用価値は、もちろんポテトサラダ。
でも何とかの一つ覚えで使う食材は同じでも、味は作るたびに微妙に変えている。

作りたてを食べたち絵さんに訊いてみる。
「今回はちょっと甘いでしょ」
すると意外な返事。
「最近甘くするのが好きになったようね」
──ナルー

確かにそうかもしれない。
甘酸っぱいのが好きになった。
以前のわたしには考えられないことだが。