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「美味しいものを美味しく食べられることほど幸せなことは無い」と祖母が言った。
わたしが子どもの頃の話。
その頃のわたしは
「あたりまえのことがなんでそんなに幸せなんだろう」
と思っていた。
でも今はそれが理解できる。

たとえばリンゴを食卓に出すとき、ち絵さん用には多少薄く切る。
しかしわたしが意地悪に
「薄く切るとリンゴの味がしなくなる」
と言うと、ち絵さんは
「分かるわ。リンゴは丸かじりするのが一番おいしいのよね」
と言う。
歯の頑丈さが無くなると、美味しいものを美味しく食べられなくなるのだ。

お彼岸に食べるおはぎ。
義母がいたころは昼食に良く食べた。
わたしもいっしょに戴いたのだが、実はわたしは遠慮したかった。
胸やけがひどくなるから。

もちろん若いころはそうではなかった。
幾らでも食べられた。
もう胃袋が甘いものを受け付けなくなったようだ。
これも美味しいものを美味しく食べられなくなったことの一つ。

タバコ・・・
食べ物の美味しさとはちょっと違うけれども、"おいしい"と思った時があった。
もうやめて久しいが、今は「おいしくタバコを喫えるようになりたい」とは思わない。
禁煙したいができない人は「おいしいとは思わないが止められない」のだろう。
食べ物と一緒にしちゃいけない。