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      〈それ、逃げろ〉

ち絵さんが朝早く畑に出かけた。
朝摘み野菜を食卓に出そうとしたのだろうか。
戻ってきて、下唇に指をあてて言った。
「ここを蚊に刺されちゃった」
ありゃりゃ、たらこ唇になっている。
「顔にスプレーしたけど、唇にはしないでしょ、普通」
なるほど、虫よけスプレーが掛からなかったところを食われちゃったわけか。
──"耳なし芳一"だな
「くちびるにむひを塗っていいかしら」
それは止めたほうがいいんじゃないかな。アンモニアをなめたらおいしくないよ。

それにしても虫に刺されるのは嫌なものだ。
何の虫か判らないが赤く腫れて痒く不快な思いをすることがある。
そんな状況が起きやすい今の時期、部屋の消毒をすることにした、
「煙が出ないナントカ」という名前のもの。
水で化学反応を起こしてガスを出し、部屋中の虫を退治する。
2部屋を実施した。

今年はこれで済むかな。
家の中全体をいっぺんにやったほうがいいのだろうけど、それは出来ない。
(家族がうちを空けて出かけるのは自粛しなければならないし)
以前毎年帰省していた時にはやったのだけど。
車に荷物を積んで雨戸も閉めて「さあ出発するぞ」となったときに、1階と2階の部屋全部にパルサンを焚いた。
それはわたしの役だった。