2008年10月02日

Q14.CDSの売り手とは誰か?

昨今のサブプライムや金融危機関連のニュースの中で、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)という言葉を耳にする機会が増えました。企業のデフォルトリスクを取引するクレジットデリバティブの一
種で、この買い手は定期的に保険料を支払う代わり、売り手はある企業(買い手が貸付債権を保有している相手等)がデフォルトしてしまった場合に買い手に損失補償をする、といったもののようです。

それでこれはウィキペディアからなんですが、「一旦結ばれたCDS契約は長い期間続く。破綻時以降の支払いは金利部分だけであり、元金を返却するのはずっと後の元の保証した債務の契約終了時」との事。つまりデフォルト時の損失補償が長期間に渡り、その間元金償還に備えるための資金蓄積が必要になる為、それに付随する売
り手のリスクも懸念されているようです。そこから今日の質問です。

【管理人aoiの質問
CDSの売り手には、どんな組織(業者)があるのでしょうか?


【H氏の回答要旨
CDSというのは少々乱暴に言えば、交通事故に遭った場合に保険会社が契約者に対して保険金を支払うことになるのと同じ様な仕組み。「交通事故」が「ある企業のデフォルト」、「契約者」が「CDSの買い手」、そして「保険会社」が「CDSの売り手」に該当する。つまり“保険商品の売り手”のような理解でいいと思う。

ただしCDSの取扱いには専門性を要する為、売り手に対し法規制がかかり、国によって一定の管理がなされる者にしか取扱いが認められない。現在のわが国においては、金融商品取引法に規定する第二種金融商品取引業の登録をした金融商品取引業者に限られる。

なお「交通事故」が多発すると「保険会社」は多額の保険金支払いにより経営が圧迫されるように、「企業のデフォルト」が増加すれば「CDSの売り手」の経営にも大きな影響を与える。最悪の場合「CDSの売り手」が破綻すれば「CDSの買い手」も保険金が受け取れなくなり、「ある企業のデフォルト」で被った損失をカバーする事が出来なくなる事態も想定される。

―――――――――――――――――――――――――――

このような手法のビジネスを一民間企業が行っているのかと率直に驚きました。同時に自分の知らない所でデリバティブが複雑化しているんだなぁとも。元々はリスクヘッジの為に開発されたものなのでしょうけど、お話を聞いていると、モノラインに似たある種の危うさも感じました。日本では“売り手”として損保ジャパンなどが事業を展開しているそうです。

デリバティブ関連ではまだまだ分からない事がたくさんあります。今後も質問する機会がありそうです。今日もありがとうございました。

テクノラティ

ichinichiichimon at 04:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2008年09月29日

Q13-β.過去の日本における銀行国有化の方法は?

Q13-αで国有化と保護政策の違いは分かりました。では国有化が決定した後、国は具体的にどのような手続きをとるのでしょうか。
なおこれについては国により、又個々の状況により様々だと思いますので、今回は日本で過去に行われてきた実例をお聞きしました。

【管理人aoiの質問
日本において、銀行国有化はどのようになされてきたのでしょうか?


【B氏の回答要旨
近年の日本では特別公的管理という方法が採られた。
その手順は以下の通り。

(1)特別公的管理命令
金融再生法に基づく。銀行側に申請を指示する場合もある。

(2)検査
資産算定を行う。

(3)株式買取価格の決定
債務超過だった場合0円となる。なお株式は特別公的管理開始決定の公告時に、政府ではなく預金保険機構が取得する。

(4)経営陣の退陣

(5)継承先の決定
新経営陣の下適切な業務運営を行わせつつ、各金融機関に再生計画と価格を競わせて入札を行う。過去日本長期信用銀行の場合はリップルウッド、日本債権信用銀行の場合はソフトバンクを始めとする三社、足利銀行の場合は野村グループが継承した。

―――――――――――――――――――――――――――

以上でQ13完結です。あまり健全な言葉ではないですが、これから先“国有化”関連のニュースの見方が変わりそうです。

テクノラティ

ichinichiichimon at 16:38|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2008年09月28日

Q13-α.銀行の国有化と、保護政策との違いは?(再修正版)

昨日の夜ですが、英中堅銀行のブラッドフォード・アンド・ビングレー(B&B)が国有化される可能性が浮上したとの記事を日経ネットで読みました。イギリスでは今年初めにもノーザン・ロックが一時国有化される事態が起きましたが、昔日本が行った護送船団方式のように「銀行は絶対に潰さない」という“政策”を採ることとはどこが違うのか気になりました。

【管理人aoiの質問
銀行の国有化(B&Bのケース)と、護送船団方式のような保護政策の実質的な差異は何でしょうか?


【N氏の回答要旨
今回のようなケースでの国有化は、自由競争の果てに銀行の自己資本が基準を下回った場合に、経済及び預金者を保護する為に行われる。ポイントとして銀行の株式を0円と評価すること、株主の意向と関係無く行われる事が挙げられる。

護送船団方式では、弱小銀行が潰れないよう競争を抑制し、それでも危なくなった場合には旧大蔵省が他大手銀行に合併や買収を働きかけた。つまりそこでは吸収される側の株にも何円かの価値があるものとして処理されている。なお、護送船団方式において大手銀行は制限競争による利潤の事実上の保証と引き換えに、大蔵省の言うことを聞いていた(救済合併等)と解釈出来ると思う。

―――――――――――――――――――――――――――

株式を0円と評価すると聞いてかなりの大ごとだと感じたのですが、B&Bは今年に入ってから既に株価を90%も下落させていたとの事。逆に言えばそこまで酷い状況に陥ったからこその国有化なんですね。今回は非常に簡潔で分かりやすい言葉で解説して頂きました。ありがとうございました。

★なおQ.13は質問がごちゃごちゃしてしまったので、後から二つの記事に分けました。後半は次回アップします。

テクノラティ
ichinichiichimon at 04:07|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2008年09月26日

Q12.サービス収支とは何か?

もう一ヶ月以上前になりますが、日本の貿易黒字が数年ぶりに減少に転じたというニュースがありました。経常収支というのは大まかに言えば「モノ+サービス収支」と「所得収支」の二つから成り立っているわけですが、ここでいう“サービス収支”というのが何を指しているのか、きちんと認識していませんでした。そこで今日の質問です。

【管理人aoiの質問
モノ+サービス収支におけるサービス収支とは、具体的にどういったものを指すのでしょうか?


【O氏の回答要旨
まず用語解説からすると、サービス収支というのは各国のサービス産業によりサービスの貿易が行われた時の収支をいう。例えば日本人が電車などの運送、電話などの通信、デパートなどの流通サービス等を、何らかの方法で日本の会社以外の業者を利用した場合、サービスの貿易が行われた事になる。ただサービスの場合、モノと違い製品が国境を越えてくるのが明確に分かるものではないため、WTOにおいてはサービス貿易の形態を以下の四つに分類している。

(1)第1モード:越境取引
ある国のサービス事業者が、自国に居ながらにして外国にいる顧客にサービスを提供する場合

(2)第2モード:国外消費
ある国の人が、外国に行った際に現地のサービス事業者からサービスの提供を受ける場合

(3)第3モード:拠点の設置
ある国のサービス事業者が、外国に支店・現地法人などの拠点を設置してサービスの提供を行う場合

(4)第4モード:自然人の移動
ある国のサービス事業者が、社員や専門家を外国に派遣して、外国にいる顧客にサービスを提供する場合

更にサービス収支は旅行収支、輸送収支、その他サービス収支の三つに細分化される。

旅行収支は外国を訪れた&外国から来たヒトの分の収支で、日本は06年度184億ドルの赤字(赤字額世界3位)を計上した。輸送収支は国家間の輸送の絡むもので、その他サービス収支は、建設・金融・保険・通信・情報・特許等使用料・その他営利業務・文化興行・公的その他サービスの収支から構成されている。

[式]
経常収支=モノ収支+サービス収支+所得収支+経常移転収支

―――――――――――――――――――――――――――

以前「日本はモノが黒字、サービスは赤字の状態なのに貿易統計を合算で発表してしまう為、未だに貿易立国だと思っている人が多い」と、元JPモルガンの藤巻氏が仰っていたのを思い出しました。既に所得収支で賄っている国だと。

この記事を書いている最中に最新の貿易収支の発表があり、なんと26年ぶりに赤字に転落したそうです。WBSでは「一時的なものだろうと」とのコメントがありましたが、特にサービス収支は今後拡大が予想される分野でしょうし、注意深く見ていきたいとと思います。

テクノラティ

ichinichiichimon at 00:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!

2008年03月13日

Q11.非弁行為の依頼者に罰則が無いのはなぜか?

先日のスルガコーポレーションの問題で、相手側反社会的企業の幹部が弁護士法違反(非弁行為)で逮捕されましたが、一方でこれを依頼したスルガ側には罰則が与えられませんでした。スルガの社長は代表権を返上しましたし、一部役員は辞任、又株価の暴落等、社会的責任は追及されているものの、非弁行為の依頼側に法的責任が問われないことに違和感を感じました。

例えば「○○をケガさせろ」なんてことを依頼して実際に行動を起こさせれば、依頼者は処罰される可能性がありますよね?それと構図は一緒なのではないかと。

【管理人aoiの質問
弁護士法において、非弁行為の依頼者に罰則規定を設けていない根拠は何でしょうか?


【W氏の回答要旨
そもそも弁護士の活動は“依頼者”のためにするものであり、弁護士以外にそれをさせない最大の理由は「依頼者が不利益を受けるおそれがあるから」である。そのため依頼者が非弁行為を依頼したとして、不利益を受けるおそれがあるのは依頼者自身であるから、刑事罰則をもって禁止する必要はないと考えられている。

「○○をケガさせろ」と構図が一緒ではないのは上記に示した通り。「ケガさせろ」は被害者に対し加害者と同じような立場にあるが、非弁行為の場合は被害者はそもそも存在しないケースもあり、いたとしてもそれは一義的には依頼人である。

又「ケガさせろ」にしても“それ自体”が直接に犯罪として規定されているものではなく、教唆犯となるから処罰を受けるのであり、非弁行為において他の犯罪により交渉相手が被害者となったとしても、それは「非弁行為それ自体の被害者」ではない。
       
弁護士法違反についても教唆は認められており、適用が「絶対にないことはない」が、傷害罪等の教唆と同じとはおよそ言えない。

―――――――――――――――――――――――――――

前にも書きましたが、自分は将来の進路として不動産業界にとても興味を持っているので、この事件はひっかかりました。未だにあるんだなと思ったんですが、スルガ側の急激な業績悪化が非弁行為依頼に至った根底にあったようですね。ところでスルガの代表取締役社長は代表権のない会長となり、再発防止策に目途をつけられた段階でしかるべき責任を取るとの発表がなされていました。

責任の取り方というのは様々だと思いますが、今回のように経営陣が当事者ともいえる事件において、問題を精査する間トップが会長職に留まり、真相究明に支障をきたすようなことは起こりえないのだろうかと、少し感じました。元警視庁生活安全局長を専務取締役兼チーフコンプライアンスオフィサーに、元浦和地検の検事正を社外取締役に迎えるなど早速動き出していますが、今後の不動産業界を見つめるためにもこの推移を見守りたいと思います。

テクノラティ

ichinichiichimon at 16:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0)clip!