KITSCH de F1

F1徒然日記。

アメリカGP〜待ってました、ライコネン優勝!

20181027

ライコネン、約5年ぶりの勝利! どれほどの人が、この瞬間を待っていたことか。これまで届きそうで届かなかった表彰台の頂き。これまでチーム戦略や自らのドライビングなど、いろいろな要因で悔しい思いをしてきましたが、今はそんなことはどうでもいい。ライコネンや彼を応援する人たちと共に喜びを噛みしめたいと思います。
今回改めて感じたのは、“みんなライコネンが好き!”ということ。パルクフェルメでマシンから降りても、他のドライバーのようにチームスタッフのところに駆け寄って抱き合ったりはしない。ただ照れくさそうにサムアップするだけ。それなのにスタッフはみんな喜びを爆発させ、ライバルたちも「今日はキミの日だ」と祝福する。それは、彼の才能へのリスペクトと、愚直なまでに真っ直ぐでウソのない人柄に対する親愛があるから。
マクラーレン時代の速さをリアルタイムで見た人は、フェラーリ移籍後のどこか吹っ切れない走りにもどかしさを感じたこともあったでしょう。またフェラーリ復帰後の走りにガッカリしたこともあるでしょう。僕がそうでした。でも、何か応援したくなるんですよね。この感覚は、同郷の先輩、ミカ・ハッキネンに対する想いと似ています。

今回のライコネンの走りは、人並みはずれた感度でタイヤの状況を見極め、スムーズにマシンを操るという彼の持ち味を、”今“できる最高のかたちで披露してくれたように感じます。純粋な速さにおいてはハミルトンやフェルスタッペンが上回っていたかもしれません。でも、それをテクニックと経験でおさえきった。これこそが、レースの醍醐味。
イタリアGPで優勝を逃した時に、必ずもう一度チャンスが訪れると書きました。そして、その通りになり、彼がチャンスをものにしてくれたことが最高にうれしい。もしかしたら、もう1回くらい勝つかもしれませんね。お祭りということで、思いきり期待しましょう!

行く人、来る人

20180913

フェラーリが思いきった決断をしました。
来シーズンは元ワールドチャンピオンで人気者、そして今シーズンは優勝こそないものの好調なキミ・ライコネンに代えて、まだ1年しか経験のないシャルル・ルクレールを迎えることに。フェラーリは基本的に“今”最高のドライバーを使うチーム。これまで若手を起用したり、育成ドライバーがF1にステップアップしてきたことはありますが、大きな成果は挙げていません。そういった面から考えても、自チームで次世代のエースを育てるのはレアケースであり、大きな賭けといえるでしょう。
今回の起用は、最近の例でいえばフェルスタッペン、フェラーリの歴史を遡ればアレジを抜擢した時に似た期待感があるように思います。

今回の大抜擢は、最近トップチームのラインナップに新鮮味がなかったので大歓迎。しかもイケメン枠もキープできるので、チームとしてはマーケティング面でも期待しているのは間違いありません。もし、ビアンキとコンビを組むことになっていたら、最強の顔面偏差値でした。

肝心のルクレールの実力はというと、ジュニアカテゴリーの成績は非の打ち所がないほど。F1に上がった今シーズンは、チームメイトがエリクソンだけに評価しづらいところですが、現時点での予選の勝敗は10勝4敗(グリッド差は約2グリッド)。決勝の勝敗は両者リタイヤのレースを除いて7勝6敗(獲得ポイントはルクレール12ポイント、エリクソン6ポイント)。
決勝での安定感はまだまだですが、予選に関しては4戦目から圧倒していて、ポテンシャルの高さを感じさせてくれます。が、あくまで比較対象がエリクソンなので、本当に読みにくい。ただ、エリクソンは一部で揶揄されているほど遅いドライバーとは思っていないので、ベッテルを焦らすくらいの走りをみせてくれることを期待しています。


さて、ルクレールのフェラーリ加入より驚いたのが、ライコネンのザウバー復帰。しかも2年契約。ライコネンの走りをもう少し見られるのは嬉しいものの、「今さら何で?」という思いの方が強かったのが正直なところ。でも、シンガポールGP前に開かれた記者会見での、超シンプル&明瞭な回答を見たら、「やれるところまでやりきってください」という気持ちになりました。若手の頃はさっさとF1に見切りをつけるタイプだと思っていたので、まさかここまで長いキャリアになるとは思いませんでした。ロータス時代のようにザウバーでもトップチームを食う走りをしてほしいものです。

最近取り沙汰されている“若手のシートがない問題”については、需要があるからシートをゲットできるワケで、ライコネンをどうのこうの言うのはちょっと違うと思います。問題は、チーム数が少ないこと。しかも大半のチームが財政難を抱えていて、特定のスポンサーの意向を汲まなければならないこと。こういう状況をみると、予算枠の導入は不可避じゃないでしょうか。

また、ライコネンとルクレールがスワップしたのは、万が一ルクレールが期待外れだった場合にライコネンを呼び戻すためなんてことも言われているみたいですが、個人的にはそれはないと思います。そんなことをしたら、あまりにもライコネンに対してリスペクトがない。それにチームの将来を考えるなら、それこそ他の有望な若手に託すべきでしょう。

バンドーン、マクラーレン離脱

20180911

こんなもんだったっけ……。
大型ルーキー、もしかしたら将来のワールドチャンピオンと期待され、F1デビューを飾ったストフェル・バンドーンの(今のところの)感想を一言にまとめると、こうなります。
しかしこれは、期待していたファンや関係者よりも本人の方が強く感じていることでしょう。なにしろ、あれよあれよという間にF1ドライバーとしてのキャリア終了の危機に瀕しているのですから。

彼は下位カテゴリーで着実に結果を出してマクラーレンの育成ドライバーとなり、GP2でタイトル獲得してF1にステップアップした、いわゆるエリート。しかし幸か不幸かマクラーレンからF1デビューしたことがキャリアを左右するポイントとなりました。かつての名門チームの状態は、整体師に診てもらった方が良いくらいの右肩下がり。マシンはクソがつくほど遅く、首脳陣は取っ替え引っ替え、そしてチームメイトはアロンソと、なにひとつ良いことなし。最悪のタイミングでデビューしたといっても過言ではありません。これならザウバーあたりでペイドライバーといわれるチームメイトにそこそこ勝って、何度かポイントゲットした方がよっぽど良かったでしょう。

出だしはアロンソの代役でスポット的に出場し、いきなり予選で元ワールドチャンピオンのバトンを上回るという最高のスタートでした。しかし、それが(今のところ)最初で最後の見せ場となっています。
フル出場を果たしてからは、アロンソのちょっと下あたりをウロウロする安定ぶりを発揮。昨シーズンの中盤はポイントでアロンソを上回り、ここから本領を発揮するのかと思っていたら、逆に手も足も出なくなってしまいました。それでも今年の序盤は地味ながらもポイントを取っていたのに、第4戦のアゼルバイジャンGPからは坊主状態。完全に自信を失っていることが、表情やコメントから伝わってきて可哀想になるくらいです。推定7億円という破格のギャラを思い出すと、そんな想いも吹き飛びますが。

チームスタッフやドライバーからの評価は高く、才能・実力があるのは間違いないのでしょう。ただ、F1での走りを見る限り、まったく覇気を感じないんです。大きなミスはしでかさないけれど、コイツはタダモノじゃないと思わせることもない。(今のところ)彼の走りにまったく魅力を感じません。
これまでトップにのぼりつめたドライバーは必ずといっていいほど衝撃的な走りを見せてくれたし、同時に信じられないポカをして呆れさせてくれました。最近ではフェルスタッペンや、ガスリー、ルクレールもそういった走りをしているのに、バンドーンは大人しくまとまってしまっている。ミスをしたところでどうってことのない状況なのに。若手なんだから、はっちゃけろと言いたい。

アロンソとのタイム差はそれほど大きくないのかもしれません。でも、中団がひしめき合っている今の状況では、コンマ2秒を引き出せるがどうかが勝負の分かれ目になり、それがアロンソとの差になっているのだと思います。
残念ながら彼には自分が感じる限界からさらにコンマ2秒を削る才能がないのかもしれません。でも彼に注目した者としては、それは(今のところ)であってほしい。マクラーレンを離れ、のびのび走れる環境に出会い、秘めている力が覚醒することを期待しています。

話は変わりますが、デビュー1年目で当時ワールドチャンピオンだったアロンソと互角以上の戦いを繰り広げたハミルトンって、やっぱりバケモノですね。
バンドーンに代わって抜擢された、これまたマクラーレン育成ドライバーのランド・ノリスは活躍できるのか? こちらも注目です。

イタリアGP〜さすがのハミルトン

20180905

いや〜さすがです、メルセデス〜ハミルトン。アッパレ! フェラーリがまんまとブラフに引っかかったとか、ソフトタイヤのシミュレーションをサボったとか言われてますが、そんなこととは関係なく、メルセデス〜ハミルトンが勝つべくして勝ったレースでした。
勝因は何と言っても、第一スティントでハミルトンがトップのライコネンに食らいついたこと。途中ライコネンががんばってDRS圏外まで引き離したかと思ったら、すぐに1秒圏内に差をつめる。こんな状態がつづけば、前を走るドライバーやマシン、そしてチームには大きな負荷がかかってしまう。こうしたハミルトンのプレッシャーがブリスターの要因になったと考えられるし、メルセデスがタイヤ交換のブラフを仕掛けた時、フェラーリはアンダーカットを防ぐために動かざるを得なかったことは間違いありません。そういったところを突いてくるメルセデスのいやらしさは、フェラーリより一枚も二枚も上手。
ハミルトンがタイヤ交換を終えた後、ボッタスにしっかりと抑え役をさせるところも隙がありません。これがフェラーリだったら、エンジニアが無線で「君の後ろで君より速いペースで走っているチームメイトがライバルを追い上げている。できれば、チームメイトがオーバーテイクするための援護をお願いしたいけど可能か?」というような回りくどい指示を出して、ドライバーから「だから、どうしてほしいのかはっきり言え」と一喝されるお決まりのネタを披露していたでしょう。
ライコネンは予選を含めグッジョブ! ! やっぱりこの人が活躍すると盛り上がります。ただ、いつものこととはいえ、セーフティーカーが引き上げた後のリスタートはあまりにも愚直過ぎます! ハミルトンやベッテルの“えげつなさ”の半分でもいいから取り入れてと、歯ぎしりをしてしまいます。
残念ながら今回はハレの姿を拝むことはできませんでしたが、この調子でいけばもう1回くらいはチャンスがありそうな気がします。

さて、ベッテルさんです。結果論ではありますが、予選のラストアタックが終わった後、ポールをとったと勘違いして「グラッチェ、グラッチェ」とご機嫌にメッセージを送り、エンジニアから「2位なんだけど……」と突っ込まれてた時から、イヤな予感はしていました。
その後もインタビューで負け惜しみ的なコメントをするなど、完全に「やり返したろモード」。それが良い方向にはたらけばいいんですけど、この人の場合はカッなって、相手が見えなくなってしまうのが特徴。
今回も案の定オープニングラップでハミルトンと強引に競り合い、自分のレースを台無しにしてしまいました。フェラーリのマシンならあそこで無理をしなくても、後でオーバーテイクするチャンスはいくらでもあったし、今回メルセデスがライコネンを攻略したように、チームでハミルトンを攻め落とすことも可能だったのに。……フェラーリの戦略陣ではちょっとむずかしいか。とにかく、こういうことを繰り返していては絶対にハミルトンには勝てません。というか、今回のミスでタイトル争いは終了したんじゃないでしょうか。

ベルギーGP〜ベッテル踏みとどまる

20180831

リカルドのルノー移籍の影響で急に慌ただしくなってきたシート争い。しかもストロールパパがフォース・インディアをお買い上げになったことで、状況はさらにややこしいことに。
そんななか行われたベルギーGP。去年はここからメルセデス〜ハミルトンが独走。またまたその再現になってしまうんじゃないかと心配してしたのですが、何とかフェラーリ〜ベッテルが踏んばってくれました。念のため申し上げると、僕はフェラーリのファンでも、メルセデスのアンチでもなく、単にメルセデス〜ハミルトン無双状態に飽きているだけです。

フリー走行から予選Q2にかけてはライコネンが好調で、「久々にポール・トゥ・ウィンが見れるかも」と期待していたものの、お約束通りチームがラストアタックをする燃料が足りないというポカをしでかし、せっかくのチャンスが台無しに。フェラーリはいつになったらこういうミスをなくすことができるのか。というか、降水確率90%という予報が出ているに、どうして雨が降ってきたら慌てふためくのか……。今さら言っても仕方ありませんが、こんなことはトッド・ブラウン・シューマッハ時代にはありえませんでした。
その点メルセデスはしっかりしている。目まぐるしく変わるコンディションを読みとり、ハミルトンがポール。
フェラーリにとってはイヤな雰囲気でむかえた決勝。1コーナーで2番手のベッテルが並びかけるかと思ったら、無理をせずに程よい距離感で後ろについて、ケメルストレートでズバッとオーバーテイク。高速でベッテル、ハミルトン、フォースインディア勢の4台が横並びになったシーンはしびれました。
ベッテルは多重クラッシュでセーフティカーが入った後の再スタートもしっかりとハミルトンをおさえて、そのままチェッカー。ポイント的にはまだハミルトンが有利ではあるものの、マシン性能的にはフェラーリの方が上。メルセデス陣営は、パワーサーキットのスバで力負けし、かなりのショックだったことは間違いありません。といってもフェラーリは絶対にまたポカをするので、これくらいのハンディがあって丁度いいくらいです。

オープニングラップのクラッシュはかなりヘビーでした。一刻もはやく消えてほしいと思っていたハロがこんなに活躍するのを目の当たりにしたら、簡単に取っ払ってとは言えなくなってしまいました。……でも、カッコ悪いわ……。
クラッシュの原因をつくったヒュルケンベルグの影に隠れてますが、ボッタスも危ないミス多くないですか? 最近は速さでもまったくハミルトンにかなわない状態。このままだと来シーズンもチームメイトバトルという楽しみがなくなるので、気合いを入れ直して発憤してほしい。オコンがネクストレベルに上がったらおもしろくなるんですけどね。

吉と出るか、凶と出るか? リカルドのルノー移籍

20180808

意外を通り越して衝撃。まさかルノーに移籍するとは思いませんでした。リカルド移籍のニュースを見て真っ先に頭に浮かんだのは、「微妙」という言葉。そしてしばらくして、彼が望んでいたベストとはほど遠いものの、いま現在彼が置かれている状況ではベターな判断だと合点がいきました。

一時期は引く手あまたと思われていたリカルドですが、あれよあれよという間に潮目が変わり、行き場を失ったというのが正直なところ。
メルセデスは、そこそこの結果を持ち帰り、ハミルトンとも問題を起こさないボッタスの続投を決定。もちろんその背景には、ハミルトンvsロズベルグのカオスが未だにトラウマになっていることは間違いありません。また、育成ドライバーであるオコンの実力が、ワークスチームに昇格させて良いのかどうか確信をもてなかったことも少なからず関係しているでしょう。要するにリカルドはハミルトンの力と近過ぎ、オコンは離れ過ぎているかもしれない。その間にボッタスがハマっているという感じです。
フェラーリも今のところベッテルのチームメイトは未定ですが似たような状況。(今の)ライコネンでは物足りなさを感じなくもないけれど、ボロボロというワケでもないし、何よりもベッテルがご機嫌なのが大きい。一方、育成のルクレールを次期エースとして育てたいけれど、まだ1年目。それに比較対象がエリクソンだけに実力が読みづらい。上げたはいいけどバンドーンみたいだったらイヤだし、逆にベッテルに喰ってかかられても困る。どっちにしてもリカルドではないなといったところでしょう。

となると、レッドブル残留が堅い選択となるところですが、そうならなかったのは、よほど来シーズンからパートナーとなるホンダが不安だったのでしょう。確かに昨シーズンの後半から大幅に改善されてはいるものの、来年勝てるかどうかは分からない。というか、勝つにはちょっと厳しい。レッドブルはホンダの開発ブログラムを吟味して飛躍を確信したといってますが、一方でルノーとの関係をこじらせ、メルセデスやフェラーリからもPU提供を拒否られ、ホンダと組まざるを得ない状況であることも確か。この辺がリカルドはモヤモヤしたのでしょう。
もうひとつ、チーム内の待遇も大きなネックになったと考えられます。レッドブルは建前上どちらも平等に扱う姿勢ですが、フェルスタッペンに肩入れしているのは明らか。去年にフェルスタッペンと交わした契約にナンバーワン待遇が盛り込まれている可能性も十分に考えられます。そんな状況で後塵を拝することになれば自分の商品価値を損ない、トップチームへの移籍がさらにむずかしくなってしまう。それなら対等に扱ってくれるルノーに移り、2年後にベストのポジションをゲットする準備をした方が賢明と考えたのではないでしょうか。まさに“二歩下がって三歩進む”チーター式キャリアメイク。このようにリカルドがチーム離脱へ傾いたのは、アゼルバイジャンで同士討ちとなった後のチームの対応が大きなきっかけになったように思います。

ただ、簡単にはリカルドの予定通りいかないでしょう。新たなチームメイトとして待ち受けているのはヒュルケンベルグ。数字だけみれば一度も表彰台に登ったことがない中堅ドライバーですが、実力はかなりのもの。これまで評価が高かったサインツも苦戦しています。来シーズンは、一発の速さがあるヒュルケンベルグを、リカルドがレースでどう攻略するかが見どころになるんじゃないでしょうか。

さて、リカルドのレッドブル離脱によって注目さされるのが、フェルスタッペンのチームメイト。サインツか、ガスリーか……。どちらにしても自分の力を証明するために、“打倒フェルスタッペン”の狼煙をあげてやってくるでしょう。特にガスリーは血の気が多そうで、いろいろやりそうな予感がします。

話はリカルドに戻り、彼は移籍前、自分の年齢を考えて、次の契約で“勝てるチーム”に行きたいと発言していました。しかし、ルノーは明らかにまだ勝てるチームではなく、今と比べても後退ととらえられて仕方ありません。何かアロンソがフェラーリからマクラーレンに移った時とよく似ていて心配になりますが、彼と異なるのはチームとケンカをして去るのではないこと、そしてもう少し残された時間があること。リカルドは一度はチャンピオン争いをしてほしいドライバーなので、良い流れになることを期待しています。

ハンガリーGP〜一枚上手のメルセデス

20180806

人をけなすことは簡単ですが、人をほめるのはなかなかむずかしい。でも、どうせなら“できなかったこと”を非難するより、“できたこと”を讃える方が気分は上がる。これはF1観戦でもいえること。ということで、私も考えを改めたいと思います。
これまでフェラーリがしくじり、自ら墓穴を掘っていると思っていましたが、メルセデスが“できる人たち”だったんですね。ようやくそのことに気づきました。
フェラーリが結果を残すべきレースだったハンガリーで、メルセデス〜ハミルトンに勝ち星をかっさわれたのも、メルセデスの鉄壁の戦略と状況判断、そしてハミルトンの卓越したドライビングによるものだったのです。

勝負は予選でほぼ決まったといってよいでしょう。金曜のフリー走行では大方の予想通りにフェラーリが速さをみせ、一方のハミルトンは大苦戦。フェラーリ陣営はドイツでのポカを帳消しにできると思ったに違いありません。しかし予選で雨が降ったり止んだりする、適切な状況判断が求められる状況になると一気に形勢逆転。リスクを避けて早々にタイムを出すメルセデスに対して、フェラーリは「もうちょっと待ったら雨止むかも……」「そうなればいいけど、そうならなかったらどうするの?」「それは俺が決めることじゃないので何とも……」とグズグズしている間にタイミングを逃して、2列目にとどまることに。
いや違った、フェラーリの判断がマズかったのではなく、セオリーをきちんと守ったメルセデスが偉いのです。

決勝も序盤はボッタスにおさえられ「どうにも抜けない」と困っている間に、どんどんギャップを広げられる展開。しかもタイヤを労りながら。“ボッタス蓋”を取り除くためにライコネンをタイヤ交換させて「アンダーカットしますよぉ」と撒き餌をするものの、完全に見透かされていてメルセデス陣営はピクりとも動かず。テレビで見ていても気まずい空気が漂ってきました。
いやいや、これも違う。フェラーリがスベッたのではなく、メルセデスが冷静沈着にレース展開を把握していたのです。
こういうことをされるとフェラーリとしてはかなり厳しい。ベッテルはますます焦るし、ハミルトンは余裕ができる。本当は追い込まれて焦りまくるハミルトンが見たいのですが、そうするとまたネガティブ視点になってしまうので、ゆとりがある状態で洗練を極めた彼のドライビングを拝めるよろこびを噛み締めたいと思います。

ドイツGP〜怒るでしかし

20180724

アカン、アカンですよ! そう叫びたくなるレースでした。
ひとつは、ベッテルが犯した痛恨のミス。ポールからぬかりなくスタートを決め、その後も順調にマージンを稼ぎ、雨乞いをするハミルトンの奇策も防いで、後はチェッカーを受けるまでマシンを走らせるだけという状況で(それが簡単じゃないんですけどね)、まさかのオーバーランからのウォールに当り〜の、クラッシュ! 
このリタイヤはフェラーリ〜ベッテルにとっては本当にイタい。本来なら自分が手にしていた25ポイントをまるまるハミルトンに献上し、自分は坊主ですから。ドライバーズタイトルを決める大きな節目になったことは間違いありません。ベッテルは観ていてしびれる走りをするのに、時々こういうポカや信じられない行動にでることがありますよね。同郷の先輩、シューマッハもそういう面があったような……。
チームの対応も良くなかった。戦略の違いでライコネンがベッテルの前に出たのは良いけれど(最初はハミルトンをおさえるいい作戦だと思ったのに)、その後ペースが上がらないライコネンを長々と前に留めておいて、結局はエンジニアが「申し訳ないのですが、もし良ければベッテルさんと順番を入り替わっていただけると幸いに存じます」と、日本の会社員みたいなモジモジ君ぶりを発揮。どうせ譲らせるなら、さっさと優先する方を前に出さないと。こんなことをしているからベッテルがイライラを募らせ、平常心を失ってしまうんです。それくらいのことは何年も一緒に仕事をしていたら分かるでしょ。数字ばっかり見て、人を見ていないからこういうことをしてしまうんだ! もっと人としての基礎力を養う必要があるだろがッ! ハァ、ハァ〜……すみません、半分以上は日頃のグチです。

気を取り直しまして、もうひとつのアカンやつはといいますと、ハミルトンがピットレーンの白線をまたいだことに対するスチュワードの対応です。誰が見ても白線をまたいでいるのに、一切お咎めなし。審議すらされないのはどういうことか。常々スチュワードのペナルティに一貫性がないと批判されていますが、僕は「それもひっくるめてレース」と思っていたクチなのですが、今回は酷い。
マシン同士の接触であれば、その時の状況を考え合わせる必要があり、多少のブレが生じることもあるでしょう。しかし、今回は単純に“越えたか・越えていないか”の問題であり、ハミルトンは明らかに単独でラインを越えている。この時点でペナルティを科せられるのが当然。なのにスチュワードは「ドライバーではなくチームが混乱していた」「ラインを越えた時は危険性はなかった」「本人たちはミスを素直に認めている」から、「次から気をつけろよ」で済ませるって、どういうこと?! 
ペナルティというのは結果ではなく、決められたルールを破ったことに対して科せられるものでしょ。これって極端にいうと、誰もいない道路で200キロ出して捕まっても、「ごめんなさい」と謝れば許されることになります。百歩譲ってスチュワードの言い分が通るなら、PUなどの交換で予選ポジションを降格させるのは矛盾するでしょ。こんな認識の人がスチュワードをやったらダメ。
しかもメルセデスのお膝元ということで、イヤでも忖度オーラを感じてしまう。タイトル争いだけでなく競技そのものにケチがつくので、FIAはこんなことが起こらないよう、何らかの対応をしないと。少なくとも、1年間は同じ人が務めるとか、すぐできることはあると思います。

オーストリアGP&イギリスGP

20180711

F1史上初となる3週連続開催。終わったと思ったら、すぐに次のレースのフリー走行がはじまる。ボケ〜っと観てるだけの者がこれなんだから、実際にレースをしているドライバーやスタッフは忙しさのせいで、いろんなものが溜まる状況だったことでしょう。F1観戦の楽しみは実際にレースを観るだけでなく、終わってから頭の中であれやこれやと反芻することも大きな位置を占めているので、早くても隔週ペースが良いところ。年間21戦というのも、ちょっと多い。個人的には17戦〜18戦くらいがちょうどいい塩梅です。

さて、まずはオーストリアGP。ここはPUの依存度が高いためメルセデスが有利と予想されていましたが、結果はまさかまさかの2台揃ってリタイヤ。メルセデスの無双時代がながかったせいで、トト・ウォルフさんの苦虫を噛みつぶす顔を拝むのが楽しみになってます。
優勝したのは、勝ち目はなしと考えられていたレッドブル〜フェルスタッペン。バーチャルセーフティーカーのあやでトップに踊りでた運はあったものの、レース終盤にブリスターが出たせいでライコネンの追い上げを食らいながらも冷静にポジションを守るところはさすが。モナコ以降、落ち着いてレースをして結果につなげている。彼が余裕をもって走っても勝てることを知ってしまったら、ライバルにとっては厄介な存在になることは間違いありません。そのことをいちばん肌で感じているのは、間違いなくリカルドでしょう。

その他では、ようやくハースがダブル入賞。今年のグロージャンは、マグヌッセンがシュアなドライバーに見えるほどのとっ散らかしぶりで、これまでノーポイント。今回のポイントゲットで波に乗れるか。カイロ・レンみたいに癇癪もちなところがキュートなので、これからもちょこちょこ、とっ散らかしていただきたい。たぶん期待に応えてくれると思うけど。


次は、イギリスGP。優勝候補は、ここで勝ちまくっているメルセデス〜ハミルトン。ところが予選ではフェラーリが食い下がり、ほぼ互角。ライコネンがあわやポールとザワつきましたが、お決まりのちょいミスで3位。それでもレースペースを考えると、スタートで前に出ることができれば勝機あり。そして決勝ではスタートの蹴りだしは良く、ポジションアップのチャンスでしたが、ハミルトンに接触していつも通りにポジションダウン。昔は1周目の駆け引きはうまかったのに……。この接触についてハミルトンとメルセデス首脳陣は「わざとじゃねえの」的なケチとつけ、両チームの間で緊張が走る。
素人の私が申し上げるのは恐縮ですが、あれはシンプルに“しでかした”系。第一、ライコネンがハミルトンを押し出したはずみでベッテルも巻き込む可能性だってある。そもそもライコネンはそんなことをするキャラじゃない。万が一チームから指示されたとしても、トボケけてスルーするでしょ。ベッテルも「愚かな考え」と一蹴してますが、バクーで体当たりしたあんたが言うとややこしくなるので、ここは黙っておきましょう。

最下位に落ちたハミルトンは怒濤のオーバーテイクショーを繰り広げるのですが、他のマシンとのスピード差があり過ぎて逆にシラケてしまう。この辺のところはレギュレーションで何とかしないとどうにもなりません。
レースは終盤にセーフティーカーが入ったことにより(その原因をつくったのはグロージャン! やっぱり自分の立ち位置を分かっていらっしゃる)、トップ3チーム〜6人のドライバーが僅差でポジションを争う展開に。こういうの、久々にお目にかかりました。セーフティーカーがお膳立てしたシチュエーションではありますが、それでもワクワクする。ファンはこういうのが観たいんです!

ところで、袂を分つことになったマクラーレンと(トロロッソ)ホンダは、シーズンが進むにつれ下位に沈んできましたね。それに代わって、ザウバーが上昇。フェラーリのBチーム化が進行しているということでしょうか。マクラーレンの低迷ぶりは特に酷く、ついに魔人ブーが事実上の更迭。そんなマシンでもきっちりとポイントを持ち帰るアロンソの腕は一級品。勿体ないッ!

フランスGP〜肩すかしを食らったような……

20180630

フランスGPとしては2008年以来10年ぶり、ポール・リカールでのレースでいうと1990年以来28年ぶりとなった今回のレース。第一印象は、「見にくいッ!!」 何ですか、あのエスケープエリアにあしらわれたトリコロールカラーは。マシンが走っているのを見ると目が回って気持ち悪くなってくる。しかも、イルな感じが漂ってきてコワい。企画した人も出来上がった景色を見て、「やってもおた……」と悪寒がしたことでしょう。

肝心のレースは、メルセデス〜ハミルトンの楽勝。オープニングラップでベッテルとボッタスが接触して優勝争いから脱落し、レッドブル勢にハミルトンに迫る速さがないことが早々に分かったため、後はチェッカーフラッグ目指して気持ちよくドライブという展開に。
ベッテルはまたオープニングラップでのアクシデント。彼の攻め姿勢は好きなんですが、何回もやってしまうのはマズい。こういうポイントの取りこぼしは後々響いてくるしょう。
ボッタスは悪くはないけれど、やっぱり物足りない。思えば、彼がメルセデスに入って、ハミルトンとハラハラするバトルをしたことって1回もない気がします。ハミルトンもそのことが分かっているから、多少の浮き沈みはあっても「マークするのはベッテルだけ」と余裕がある。メンタルに余裕があると走りが安定する。ボッタス的には敵に塩を送る状態。優等生キャラのロズベルグでも自分をすり減らしながらハミルトンに挑んだのだから、ボッテスも契約更新より打倒ハミルトンを目指してほしい。このままでは絶対にハミルトンには勝てません。

そして、ある意味もっとも残念だったのが、3人のフランス人ドライバー。オープニングラップでグロージャン、オコン、ガスリーが絡むというウソみたいな展開。原因となったグロージャンはチームメイトの活躍で焦りがあるのか、原点回帰を目指しているのか定かではありませんが、「オープニングラップの狂犬」に戻ってますね。

マクラーレンについては、ちょっと言葉が出ないというか、ひど過ぎる。このことについては、また別の機会に。

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