KITSCH de F1

F1徒然日記。

ベルギーGP〜悲劇のラッセル

20240811

よく“もってる人”、“もってない人”なんて言い方をしますが(僕は完璧に“もってない人”です。キリッ!)、それはF1ドライバーにも当てはまります。
たとえば、“もってる人”は、派手に接触してもダメージが少なく走り続けられたり、スタートでリタイヤしても赤旗で復活できたりすることが多い。それはシューマッハやハミルトン、フェルスタッペンなど、大体は複数回チャンピオンに輝いたドライバーだったりします。
逆に“もってない人”は、「なんでここで?!」という展開になるんですよね。
まわりくどい言い方をしてすみません・・・・。要するにラッセルのことです。なぜ、あれほどエキサイティングなレースをして快心の勝利をもぎ取り、喜びを爆発させた直後に、奈落の底に突き落とされるのか。不憫でなりません。

今回のレースの主役は、ほぼ僚友のハミルトンでした。スタートでペレスをかわし、早々にルクレールをオーバーテイクした後は安定してマージンをキープ。怒涛の追い上げが期待されたフェルスタッペンも浮上できなず、「このままハミルトンが勝つのか」とまったりしておりました。当然ながら第二スティントをのばして暫定トップを走っていたラッセルに関しても、2回目のタイヤ交換をして、フェルスタッペンの前後に落ち着くものだと思っていました。が、一向にピットインする気配はなし。「はやく入らんとますます順位を落としてしまうがな」とボヤいていたところ、1ストップで走りきろうとしていることが判明。といっても、その時点では残り周回は結構ある。ワクワクはしたものの、ラッセルはよくこういうギャンブルを仕掛け、大体はうまくいってないので、今回もいずれタイヤで有利なハミルトンにオーバーテイクされるだろうと、高をくくっていました。
ところが、ハミルトンとの差は思いのほか縮まってこない。しかも、ラッセルは限界まで攻めず、最後の最後で踏ん張りが効くようにタイヤマネジメントをしている。これはイケるかも・・・・。期待感が、吉牛の特盛を食べた後の胃袋のように膨れ上がります。
そして終盤、ついにチームメイト同士のデッドヒートが開始。ハミルトンは激しく追い立て、ラッセルは懸命に堪える。ここでお互いに無理をして一線を越えてしまえば、1-2体制が台無しになるチーム的には心臓バクバク状態。
ラッセルは、ペースは劣るもののタイヤマネジメントしていたおかげで、インをつく隙を与えず周回を重ねることができ、逆にハミルトンが最後にスライドさせてしまい、勝負あり! ラッセル、後半の快進撃の狼煙となる劇的な今季2勝目、通算3勝目!
ここ数年、こんなに興奮するレースにお目にかかることはなく、ラッセルの喜ぶ姿を見て、こちらもテンションが上がりまくりました。
しかし・・・・・・・・、それから数時間後にネットを見ると、「失格」の文字が。なんやろ、この感じ。4位や5位でフィニッシュしたレースではなく、よりよよってトップチェッカーを受けたレースでこんなことになるなんて。
思えば、彼がハミルトンの代打としてメルセデスデビューを飾った際、勝利を目前にしながらトラブルが発生して下位に沈んでしまった記憶が蘇る。気のせいか、その後もマシントラブルはハミルトンより多いように思います。いやぁ、つくづくツイていない人だなと。
ただ、ラッセルは頭がいい人なので、きっとこの悔しさをプラスに変換して後半戦に臨んでくれるでしょう。個人的に台風の目になると思っています。

後日、あるネット記事を見ると、トップチェッカーを受けたにもかかわらず勝利を逃したF1ドライバーは、ラッセル以外に過去5人いるとのこと。そのメンツはジェームス・ハントにネルソン・ピケ、アラン・プロスト、アイルトン・セナ、ミハエル・シューマッハ。なんと、ワールドチャンピオンばかりじゃないの!! ラッセル、“もってる人”だした!!

イギリスGP〜ハミルトン涙の勝利

20240718

やはり、この人は千両役者だわ。
現在のレギュレーションになってから2年以上にわたり苦戦を強いられてきたハミルトンが、母国イギリスグランプリで「さすがッス!」と唸らせる勝利をもぎ取りました。

それにしても今年のイギリスGPは熱かった。予選ではポールのラッセルを筆頭に、ハミルトン、ノリスのイギリス人3人が占拠したわけですから。否が応にもこのまま決勝も表彰台独占!と盛り上がりますよね。そして結果的にはハミルトンが、「お主ら、まだまだ青いのぉ」と言わんばかりに、表彰台の真ん中に立つところがニクいじゃなりませんか!

時間が経ち(というか、加齢による記憶力低下が主な理由ですが)詳しい展開はさっぱり覚えておりませんが、決勝は雨が降ったり止んだりのトリッキーな状況のなかで、ハミルトンもチームもほぼ完璧なレース運び。実際、ラップタイム的には優勝争いをしたノリスやフェルスタッペンよりも遅かった。それを戦略とドライバーの勝ちどころを押さえた走りで勝ちにつなげる。まさに、「いちばん速いドライバーではなく、最初にチェッカーを受けたドライバーが勝者」というレースの鉄則を身を以て示しました。

このあたりは、チャンピオン候補とされるノリス、ラッセルなどはもっと吸収すべき点ではないでしょうか。ルクレールは二人に比べて場数を踏んでいることもあり、レースマネジメントの面では一枚上手かなと思うのですが、圧倒的に運がないんですよねぇ…。それと彼の場合、ここ数年みられるシーズン中盤の中弛みが気になるところ。モチベーションが下がっているせいなのか、苦手なサーキットがあるのかわかりませんが、チャンピオンになるためにはこういうムラは致命的。「ペーパードライバーのお前に言われたないわ!」とおっしゃる気持ちは承知しておりますが、今のうちに修正した方が良いと思います。

話がそれました。今シーズンのハミルトンは、予選の勝敗ではラッセルに圧倒されており、純粋なスピードに関してはピークを過ぎたのかもしれません(ラッセルはもともと予選強いですから)。でも、レースとなれば話は別。天性の才能と磨き上げたテクニックを駆使することで、まだまだトップで戦えることを証明してみせました。序盤、雨が降り出してちょい濡れのコンディションになったとき、ラッセルのペースが落ちたとみるや間髪入れずに抜きにかかるキレ(レース直前まではチームプレイで後ろをおさえるという発言を瞬時に撤回する変わり身の早さも含め)、終盤にフェルスタッペンに怒涛の追い上げを食らっても動じない走りには改めて感服いたしました。
そして、フィニッシュ後のあの涙。100勝以上しているにもかかわらず、感極まる姿を見ると、こちらの想像をはるかに超えるエネルギーを注いでレースに臨んでいるのが伝わってきて感動しました。

それにしてもメルセデスはカナダ以降、完全に復調してきましたね。レースペースではまだフェルスタッペン(もう一人のドライバーを除く)やマクラーレンには及ばないものの、予選では充分戦えるし、それによってレースでも今回や前回のオーストリアのように勝ちを拾えるチャンスが生まれるわけですから。いやぁ、次のハンガリーも激戦になるんじゃないでしょうか。

オーストリアGP〜戦いの狼煙

20240704


フェルスタッペンも人の子だった。というか、ヨスの子であるのは世界中の人が知っていと思います。ですので、ガチンコ勝負となると親父と同じ荒くれ者の血が騒ぐのか、最近は鳴りを潜めていたアグレッシヴな走りが復活。よりによって仲良しのノリスと激しくぶつかり、お互いに勝利のチャンスを投げ捨ててしまいました。

こうしたインシデントがいつか起こることはみんなわかっていましたが、まさか今回とは思わなかったのではないでしょうか。少なくともレース終盤までは。なにしろ、ここ数戦でレッドブル〜フェルスタッペンの絶対優位が失われたように見えたものの、今回のレッドブルのお膝元オーストリアGPでは、スプリントレース、予選ともに圧倒的な差を見せつけていましたので。
案の定、決勝でも2回目のピットストップまでは盤石のレース運びで、見てるこちらは退屈の極み。ところが、タイヤ交換にもたついたせいでノリスが接近。フェルスタッペンが中古のミディアムなのに対してノリスは新品ミディアム。そうなれば当然“ノリノリノリス”モードに。
そして、二人は激しいバトルを繰り広げはじめたわけですが、この時点になると多くの人の脳裏に「こいつらぶつかって両者リングアウトになるんちゃうか?」という不安(人によっては期待)が浮かんだことでしょう。

そして結末はご承知の通り。どっちが悪い、悪くないという議論・口論はしばらく続くと思いますが、結局のところよくある意地の張り合いによる接触かと。確かにお互いもっと賢いレースができたと言うことはできます。しかし、二人にしてみればレーシングドライバーとして、あそこで絶対に引くわけにはいかなかったのだと思います。
二人はこれまで、下位カテゴリーを含め優勝をかけて争う機会がほとんどありませんでした。それがここにきて拮抗するようになった。ヤンキーカーストと同じかどうかはわかりませんが、勝負は最初が肝心。最初に「こいつは弱腰」と思われてしまえば、その後ずっと尾を引いてしまうので、インパクトを刷り込む必要がある。今回の接触は、近い将来タイトル争いをするであろう双方の宣戦布告の狼煙と受け止めています。ですので、こうしたバトルは今後も度々起こるでしょう。ただ、ぶつかってしまえば誰も得しないので、そのあたりは気をつけていただきたい。

さて、二人の脱落によって漁夫の利を得たのは、これからメルセデスの看板を背負うラッセルでした。棚ぼただったのは確かですが、勝ちは勝ち。レースでトップが消えた時に勝利を拾えるポジションにいる大切さは、これまでのF1の歴史が証明しています。レッドブル目線でいえば、ここにペレスがいないことが苦しいところ。今後、コンストラクターやドライバーのタイトル争いが接戦になった時に、ライバルに大量点を献上しないためにも、少なくとも常に3位、4位くらいの位置にはいてほしいのでしょうけど、現状むずかしい様子です。
ラッセルの話に戻すと、今回は親分トト・ヴォルフの妨害行為をクリアし、最後は追い上げてきたピアストリを引き離して通算2勝目。
個人的に、ラッセルにとってこの勝ちは大きいと思っています。メルセデスに加入してから、いくつか大きいミスをしながらもハミルトン相手にいい勝負をしてきたにもかかわらず、「ハミルトンは本気モードでない」、「衰えたハミルトンといい勝負している程度では」など、外部の評価がイマイチな雰囲気がある(?)せいで、走りが前のめりになるところがありました。しかし、複数回勝ったことで落ち着きが出て、本来の速さを安定して発揮できるようになるのではないかと期待しています。

カナダGP〜新しい時代の三つ巴

20240618


こんな感じをまっていた!
今シーズン中盤に差し掛かり、いよいよ誰が勝つかわからない、各チーム拮抗した状況になってきました(とはいえ、大半は相変わらずフェルスタッペンが勝つのですが・・・・)。

今回のカナダGPでは、レッドブル〜フェルスタッペンとマクラーレン勢が競り合い、その後にフェラーリ勢が続くと予想していたのですが、なんとメルセデス勢が復調。ラッセルがポールポジションをとるという予想外の展開に。反対にフェラーリ勢はまさかのQ2敗退。レースも踏んだり蹴ったりで、2人揃ってノーポイント。フェラーリはこれがあるからウカウカしてられません。

レースから時間が経ってしまい詳しい展開は忘れてしまいましたが、フェルスタッペン、ノリス、ラッセルという、これからのF1を背負って立つドライバーの三つ巴で、手に汗握りました。これにルクレールを入れて、四天王状態になれば最高なんですけどね。いや、さらにピアストリも入れたいところ。
さて、レースでは天候が目まぐるしく変化するなかギリギリの攻防が繰り広げられたわけですが、ざっくりした感想は、「ラッセル、一旦落ち着こう」です。彼はウイリアムズの頃から特に予選でたびたび光る走りを見せ、天性のスピードを持っていることを示してきました。それはメルセデスに昇格してからのハミルトンとの比較においても明らかです。特に今シーズンは予選においては完全に凌駕している状態。ですが・・・・、決勝となると「もう一皮剥ける」必要がある。タイヤマネジメントではまだまだハミルトンに一日の長があり、接近戦のバトルでもミスが目立ちます。
強気なのはいいけれど強引に攻めることも少なくないし、自分が不利な状況で後ろにつかれると不安定になる。そもそもレース全体を通して緩急のメリハリがなく、終始攻め続けて終盤にタイヤがたれて後退していくパターンが多い気がします。彼の経験からして、そろそろこの段階からステップアップしてほしいんですけどね。是非ともハミルトンやアロンソ、フェルスタッペンから吸収してほしい。才能はあるし、若かりし日のジュード・ロウを思わせるイケメンでもあるので応援しています!
それにしても、最近のF1ドライバーはイケメン率が高い!

モナコGP〜三度目の正直で掴んだ栄冠

20240528


日本には「二度あることは三度ある」、あるいは「三度目の正直」というまったく相反することわざがあり、どちらのパワーが強いのかという問題は永遠に決着が着くことはないでしょう。
しかし、フェラーリの(悲運の)エース、シャルル・ルクレールは、自分の力でこの問題に決着をつけました。
彼はこれまで二度、母国グランプリであるモナコでポールをとったものの、いずれも不運な展開で勝利から見放されていたのはご存知の通り。怒りと絶望、自分に対する不甲斐なさなど、あらゆる負の感情が爆発しそうになるのを必死に堪えてパドックへ向かう姿を見た時は、こちらまで辛い気持ちになったものです。(この感じは“今までの”彼のキャリア全般に漂っている気がします)
そして、「今度こそは」という意気込みで臨んだ今年のモナコGP。
まずは見事に三度目のポールを奪取。当然ながらまわりからも、そして自分の内からも勝利への期待感は高まっていきます。僕ならこの時点で足腰ガクガクプルプルです。
しかしルクレールは、そんなチキンなおっさんとは違います。重くのしかかるプレッシャーを跳ね除けて、ついに悲願の勝利を掴み取りました!

いやぁ、感動しました! ノリスの初勝利から間を置かず、またこんな感動的な瞬間に立ち会えるとは思いませんでした。
もちろんチェッカーを受けてチームスタッフと抱き合う光景も印象的でしたが、F1ドライバーになるために支えてくれた亡き父、そして共にフェラーリドライバーとして勝利するという夢を語り合ったビアンキへの言葉には胸が熱くなりました。
これまで悔し涙を堪えていきたのだから、今日は喜びを爆発させて思いっきり涙を流せばいいよ! おめでとう、ルクレール!!

ネットのコメント欄を見ると、「ルクレールはメンタルが弱い」と書かれているのをよく目にしますが、個人的にはまったく反対の印象を持っています。あれだけ不運や“俺たちのフェラーリ”に遭いながら、心折れずに自分にできる最大限の結果を出し続けているメンタルはかなりのもんでしょう。この調子で勢いに乗って、フェルスタッペンとタイトル争いを繰り広げほしいものです。

さて、今シーズン、これまで数年にわたって圧倒的な強さを誇ってきたレッドブル(強いて言えばフェルスタッペンだけですが)と、ライバル勢との差が縮まってきたというのが一般的な見解です。それは予選・決勝のラップタイムを見れば明らかですし、印象としてもそう感じます。が、個人的には「とはいっても、結果としてはまだまだレッドブル〜フェルスタッペンの圧勝でしょ」と思っていたのですが、どうやら状況は大きく変わってきているようですね。これは嬉しい驚きです。ゆっくりと、着実に潮目は変わっています。

余談ですが、30年以上前、僕も大学受験に二度失敗して、三度目に合格した、ルクレールと同じ「三度目の正直」組です(キリッ)。

ノリス初優勝、からの才能解放のはじまり

20240521

いつ見ても、ドライバーの初優勝はいいものです。
F1のワールドチャンピオンを夢見て子どもの頃からいろんなことを犠牲にして下位カテゴリーから勝ち抜いてきて、やっとこさF1ドライバーになった後もライバルたちに競り勝って勝てるチームのシートを手に入れ、さらに手強いトップドライバーに勝ってはじめて得られる勝利。絵に描いたようなぐうたらな学生生活を送っていた私には想像できない世界ですが、とんでもなく大変なことは想像に難くありません。そら、トップチェッカーを受けたら感情が爆発するでしょう。
そういう若者の一生に一度の歓びの瞬間を共有できることは、F1ファンにとって大きな醍醐味のひとつです。

そしてマイアミGPで、ランド・ノリスが「初優勝」という栄光を勝ち取りました。彼はまだ若いもののF1デビューが早かったため、ここまで随分時間がかかりました。何度か勝利に手が届きそうだったこともありましたが、レース展開のせいで流しそうめんの最後の一本のようにスルスル〜と滑り落ちていきました。
そうやって結局一度も勝てずに終わるドライバーが多くいる中、ノリスも不安に駆られたこともあるでしょう。しかし、自分とチームを信じて走りつづけた結果、去年の中盤辺りで潮目が変わり、今シーズンになって勢いが増していたのは周知の通り。このブログでも前回に「遠くないうちに勝つんとちゃうのかなぁ・・・・知らんけど」と無責任に書いたら、いきなり勝ってしまい驚きました。

マイアミのレースでセーフティカーが出なかったら、いつもの通りフェルスタッペンが勝手いたかもしれません(その確率は高かったでしょう)。しかし、そんなことを言えばきりがないし、そういったことも全部ひっくるめてレースです。そして、ノリスは何かが起こったときに勝てるポジションにいた。確かに運は良かったかもしれませんが、決してまぐれではありません。本人を含めみんなそれがわかっているから、あれだけ喜べたのだと思います。
また、ノリスの人懐っこい人柄もあって、普段は角を突き合わせて戦っているライバルのドライバーやスタッフたちが祝福している姿にもグッとくるものがありました。これがあるからF1観戦はやめられない!

よく1勝するとドライバーはひとつ上のステージに上がるといわれます。間違いなく「勝てる力を証明しなければならない」というプレッシャーから解放され、余計な力が抜けた状態で走れるようになる面はあるでしょう。実際につづくエミリア・ロマーニャGPでもノリスの勢いは増すばかりで、レース終盤ハードタイヤが機能せずペースが上がらないフェルスタッペンを1秒以下まで迫る激走を展開。いよいよ才能が解放されはじめたといってよいでしょう。こんなことを書くとファンの方々に怒られそうですが(一応ことわっておくと、僕もノリスは好きなドライバーです)、個人的にちょっと前まで彼は大関クラスのドライバーだと思っていたのですが、認識を改めなければならない気がしてきました。
マクラーレンのクルマのベーシックな力もレッドブルに近づきつつあるのは間違いなく、シーズン中盤から後半にかけてフェルスタッペンとノリスに加えて、ピアストリとルクレールが絡んでくれるようになれば最高におもしろいんですけど!

中国GP〜強過ぎて感覚が・・・・

20240426


5年ぶりの開催となった中国GPは、レッドブル〜フェルスタッペンの余裕のポール・トゥ・ウィンで幕を閉じました、以上。
・・・・メルセデス〜ハミルトン時代と同じくレッドブル〜フェルスタッペンの独走状態が続いているため、最近はレースを観戦していても何も感じなくなってきました。不感症です。あっち方面なら趣向を変えてあんなこと、こんなことを試すのでしょうけど、F1の場合はライバルのみなさんに頑張ってもらうしかありません。が、現実的には2026年のレギュレーション変更まで状況は変わりそうにないので、何か楽しみ方があるようでしたらご教示いただけると幸いです。

そんな中、数少ないお楽しみ要素となってくれているのがアロンソです。今回も魅せてくれました。決勝での老獪な走りだけでなく、予選でも上位に食い込んでくるのは驚異的という他ありません。今回はマシン性能の差やタイヤ戦略もありレースでは順位が下がる展開になったものの、コース全体の特性や対戦相手との力関係を考えた攻守は、まさにSS級。しかも、あのファイティングスピリッツ! 一体、何を食べて生活しているのでしょうか。

その他で光ったのはノリス。新鋭として脚光を浴びているピアストリに対してしっかりと勝ち、表彰台をゲットしているのはお見事。以前は予選では速いけれど決勝は・・・・という若手によくある課題を抱えていましたが、今では克服してひとつ上のステージに上がったといえるでしょう。次はいよいよ表彰台の真ん中! これって近いようで遠いんですよね。でも、彼なら近いうちに実現できると思っています。

アロンソ、アストンマーティンに残留していよいよ・・・・

20240415

ハミルトンの電撃フェラーリ移籍発表によってトップチームのシート争いが大いにザワついている昨今。誰が、どのチームへ行くのか行かないのか、さまざまな憶測が飛び交う中、渦中の一人であるアロンソがアストンマーティンに残留することが正式に発表されました。細かな条件などはもちろん公表されませんが、複数年契約を結び、レギュレーションが大きく変わる2026年もアストンマーティンで戦うことがほぼ確実となりました。
現在、彼は42歳。僕のなかにいるスーパーコンピューターによれば、2026年には44歳となっていることが予測されます。その年齢で活躍するためにはフィジカル面をベストな状態に整えるのはもちろんのこと、メンタル面も高いモチベーションを保つことが求められるわけで、ハンパないバイタリティの持ち主やなと、文字通り脱帽しております。普通これだけの成功を収めたら「しんどいF1はももええし、もうちょい負担の少ないカテゴリーでするか」となりますよね。

アロンソのドライバーとしての才能と力量に関しては長いF1の歴史のなかでもトップ・オブ・トップであり、好き嫌い関係なしに疑いを挟む余地はないでしょう。しかしながら、キャリアメイクとなると結構微妙・・・・というか、表裏関わらずセコセコ動いている割には下手こいでるような気がしないでもありません。
そんな移籍下手なアロンソにしては、今回の残留は良い判断だったと思います(何様目線や!と自分でツッコんでおきますので、何卒ご容赦ください)。そのいちばんの理由は、トップチームとのマッチング。どこのチームもアロンソの力は欲しいものの、やはり42歳という年齢がネックとなって複数年契約は提示できないのが実情。どのチームもレギュレーションが大きく変わる年は今後を見据えた安定感のある布陣で臨みたいものですから。
そして、もうひとつネックとなっているのがアロンソの衰えない戦闘力。他人事としては「アロンソすげえな」と感心できても、いざ自分のチームに招き入れるとなると、その能力の高さ故に現在抱えているエースドライバーとガチンコ勝負になってしまい、チームがカオス状態になってしまうのは想像に難くありません。近年は若手にエールを送るなど、いいオヤジ感を出したりしていますが、それはチームがタイトルを狙えるレベルでなかったり、チームメイトがおぼっちゃまだから。ひとたびタイトルの可能性が目えたら俺様ぶりを発揮しても何ら不思議ではありません。いや、そうでこそアロンソです。だから、チームは欲しくてもなかなか手を出しづらい。

その点、アストンマーティンにはそういう心配はありません。2026年はホンダと組んでいよいよタイトルを本気でとりにいく年であり、そのためには絶対的なエースが必要不可欠です。もちろんフェルスタッペンやルクレールが来てくれれば良いのですが、最初から来てくれるとは限らない。彼らにしてみれば契約があるし、とりあえず2026年の状況を見てから検討しても良いのですから。それなら実力はわかっていて、良い関係を築けている(今のところは)アロンソをキープするのが無難。
こうしたことは裏返すと、アロンソ視点でも当てはまります。レッドブルやメルセデスに行けば、いうてもチームメイトは現在のおぼっちゃまよりも速い強者になるでしょうし、2026年以降についてはレッドブルはPU、メルセデスはマシン設計において不安材料がある。それなら、自分をエースに据えてくれるアストンマーティン・ホンダで走った方が、現実的に勝算があると考えたのでしょう。そして、この好条件を手にいれるためには、先手を打つ必要があると。なかなかしたたかではありませんか。

実際にアストンマーティン・ホンダのコラボがどれほどうまくいき、アロンソが44歳という年齢をむかえてどれほどの力をキープしているのかはわかりませんが、確実にF1をおもしろくしてくれる要素であることは間違いありません。

日本GP〜レッドブル圧勝&角田才能開花宣言

20240409

今年はシーズン序盤の開催となった日本GP。桜の季節の鈴鹿もいいもんですね。
レースはというと、またまたまたレッドブルが1-2フィニッシュで完勝。フリー走行まではクルマが決まりきっていないようで、フェラーリあたりが前戦につづいて食らいついてくれるかなと期待したのですが、予選になると本領を発揮してライバルたち(といえるのかわかりませんが)を圧倒。レース中盤にノリスがアンダーカットでペレスの前に出てフェルスタッペンの後ろにつくなど、一瞬「おッ」となったのも束の間、すぐにペレスが抜き返して勝負あり。
そしてフェルスタッペンはかなりの余裕をもってのポール・トゥ・ウィン。もはやトップチェッカーを受けても無線で軽く挨拶をするくらいで、“勝って当たり前”状態。クルマの総合力が求められる鈴鹿でこれほどの勝ちっぷりなら、シーズンを通して・・・・いや、2025年もレッドブル〜フェルスタッペンの無双は続きそうです。

レッドブルを追う一番手のフェラーリは去年に比べて大幅にレースペースが改善されたものの、まだまだ差はある様子。おまけにエースのルクレールが予選でイマイチしゃきっとしない。本人のコメントによると、タイヤを最適温度にもっていくのに苦労しているとのこと。ケツカッチンで頑張っているチームメイトから刺激をもらって奮起していただきたい。
メルセデスもなかなか復調のきっかけをつかめませんね。ラッセルは速さに関してはハミルトンに対して優位になりつつあるものの、レースの攻めどころで「?」がつくことに加えて、バトルでも前のめりなところが見受けられる。ウイリアムズ時代はスペシャル級の逸材だと思っていたのですが・・・・。ここから飛躍するか、今の感じでヌルリとキャリアを続けていくのか、ターニングポイントをむかえているんじゃないでしょうか。

その点、角田くんは4年目にして大きく成長した様子。今のところ、トップ10に食い込める唯一のストロール枠を安定してゲットしているのはお見事。この調子で結果を出しつづければ、レッドブル昇格や、いいチームへの移籍の可能性が広がるのは確実。ちょっと待たせ過ぎた感はありますが、いよいよ才能開花宣言ということでよろしいでしょうか?

さて、スキル面においてスランプや下り坂といった波と無縁なのがアロンソ(その代わり、キャリアの波は激しいですが)。40を超えてもチームメイトを圧倒しながら、常に上位に食い込んでくる剛腕ぶりは「凄い」の一言につきます。30年以上F1観戦をするなかで、こんなドライバー見たことありません。彼がトップチームのクルマに乗ったらどこまでいけるのか、1シーズンでもいいから見てみたい!

オーストラリアGP〜サインツ、病み上がりからの完勝!!

20240327

「気がつけばサインツ・・・・。」
F1界でこの新法則が定められることとなったオーストラリアGP。
去年のシンガポールGPにつづき、フェルスタッペンのトラブル発生によって勝利をもぎ取ったのは伏兵サインツでした。基本的にはエースであるルクレールに押され気味なのに、調子が良くてルクレールの前に出た時に限って絶対王者のフェルスタッペンが崩れてくれるという、ある意味“もっている”人です。やっぱり、“いるべき時に、いるべきところにいる”ことは大切ですね。

今回もフリー走行から乗れていて、常にチームメートを上回る展開が良かった。そして、レースでもフェルスタッペンがリタイヤした後は安定した走りでそのままフィニッシュ。ポイントととして挙げるなら、第一スティントでしょうか。先にタイヤ交換をしたルクレールにアンダーカットされるかもと思ったのですが、ここでペースを落とさずラップを重ねられたことで、ほぼほぼ「勝負あった!」でした。アッパレです!!
病み上がりで、来シーズンは現在のチームにはいないという状況での勝利ということで、なんとなく1997年ドイツGPでのベルガー優勝を思い出しました。あのレースはお父さんが亡くなった直後の優勝で、感動的だったことが印象に残っています。
フェラーリ離脱という厳しい状況での快心の一撃は、結構インパクトがあったのではないでしょうか。日頃は何かと地味な存在になりがちなので、このままグイグイいってほしいものです。

一方、ルクレールはなかなか勝てませんねぇ。今回も決してグダグダというわけではなく、「イマイチ本調子でないなぁ」くらいだったのですが、そういう時に限ってサインツが絶好調で、フェルスタッペンがリタイヤするという・・・・。なんか、ますますアレジ化が進行していて怖い。今度、日本に来た際、お祓いしてもらうことをおすすめします。

今回のレースで感じたのは、フェルスタッペンというドライバーが別格であるということ。今更いうことでもありませんが。確かにグランドエフェクトカーになってからは間違いなく強力なNo.1マシンに乗っているわけですが、じゃあ、ペレスでタイトルを獲れるのかというと、結構でかい「?」が浮かび上がってしまいます。実際に今回も表彰台を逃しちゃってるし。
すみません、決してペレスをけなすつもりはありません。ペレスも良いドライバーです。が、やはりチャンピオンになるドライバーは他とは違うスペシャルなものをもっていて、結果を出すだけでなく、オーラを放射してるんですよね。そんな中でもフェルスタッペンは秀でていることを、彼の不在(リタイヤ)を通じて感じた次第です。
よく「F1は車で決まる」というフレーズを見聞きします。それは、ある部分においてはその通りではあるものの、決してすべてではありません。そんな当たり前のことを改めて教えてくれるという意味でも素晴らしいレースでした。
さぁ、次戦は日本GPですッ!

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