KITSCH de F1

F1徒然日記。

吉と出るか、凶と出るか? リカルドのルノー移籍

20180808

意外を通り越して衝撃。まさかルノーに移籍するとは思いませんでした。リカルド移籍のニュースを見て真っ先に頭に浮かんだのは、「微妙」という言葉。そしてしばらくして、彼が望んでいたベストとはほど遠いものの、いま現在彼が置かれている状況ではベターな判断だと合点がいきました。

一時期は引く手あまたと思われていたリカルドですが、あれよあれよという間に潮目が変わり、行き場を失ったというのが正直なところ。
メルセデスは、そこそこの結果を持ち帰り、ハミルトンとも問題を起こさないボッタスの続投を決定。もちろんその背景には、ハミルトンvsロズベルグのカオスが未だにトラウマになっていることは間違いありません。また、育成ドライバーであるオコンの実力が、ワークスチームに昇格させて良いのかどうか確信をもてなかったことも少なからず関係しているでしょう。要するにリカルドはハミルトンの力と近過ぎ、オコンは離れ過ぎているかもしれない。その間にボッタスがハマっているという感じです。
フェラーリも今のところベッテルのチームメイトは未定ですが似たような状況。(今の)ライコネンでは物足りなさを感じなくもないけれど、ボロボロというワケでもないし、何よりもベッテルがご機嫌なのが大きい。一方、育成のルクレールを次期エースとして育てたいけれど、まだ1年目。それに比較対象がエリクソンだけに実力が読みづらい。上げたはいいけどバンドーンみたいだったらイヤだし、逆にベッテルに喰ってかかられても困る。どっちにしてもリカルドではないなといったところでしょう。

となると、レッドブル残留が堅い選択となるところですが、そうならなかったのは、よほど来シーズンからパートナーとなるホンダが不安だったのでしょう。確かに昨シーズンの後半から大幅に改善されてはいるものの、来年勝てるかどうかは分からない。というか、勝つにはちょっと厳しい。レッドブルはホンダの開発ブログラムを吟味して飛躍を確信したといってますが、一方でルノーとの関係をこじらせ、メルセデスやフェラーリからもPU提供を拒否られ、ホンダと組まざるを得ない状況であることも確か。この辺がリカルドはモヤモヤしたのでしょう。
もうひとつ、チーム内の待遇も大きなネックになったと考えられます。レッドブルは建前上どちらも平等に扱う姿勢ですが、フェルスタッペンに肩入れしているのは明らか。去年にフェルスタッペンと交わした契約にナンバーワン待遇が盛り込まれている可能性も十分に考えられます。そんな状況で後塵を拝することになれば自分の商品価値を損ない、トップチームへの移籍がさらにむずかしくなってしまう。それなら対等に扱ってくれるルノーに移り、2年後にベストのポジションをゲットする準備をした方が賢明と考えたのではないでしょうか。まさに“二歩下がって三歩進む”チーター式キャリアメイク。このようにリカルドがチーム離脱へ傾いたのは、アゼルバイジャンで同士討ちとなった後のチームの対応が大きなきっかけになったように思います。

ただ、簡単にはリカルドの予定通りいかないでしょう。新たなチームメイトとして待ち受けているのはヒュルケンベルグ。数字だけみれば一度も表彰台に登ったことがない中堅ドライバーですが、実力はかなりのもの。これまで評価が高かったサインツも苦戦しています。来シーズンは、一発の速さがあるヒュルケンベルグを、リカルドがレースでどう攻略するかが見どころになるんじゃないでしょうか。

さて、リカルドのレッドブル離脱によって注目さされるのが、フェルスタッペンのチームメイト。サインツか、ガスリーか……。どちらにしても自分の力を証明するために、“打倒フェルスタッペン”の狼煙をあげてやってくるでしょう。特にガスリーは血の気が多そうで、いろいろやりそうな予感がします。

話はリカルドに戻り、彼は移籍前、自分の年齢を考えて、次の契約で“勝てるチーム”に行きたいと発言していました。しかし、ルノーは明らかにまだ勝てるチームではなく、今と比べても後退ととらえられて仕方ありません。何かアロンソがフェラーリからマクラーレンに移った時とよく似ていて心配になりますが、彼と異なるのはチームとケンカをして去るのではないこと、そしてもう少し残された時間があること。リカルドは一度はチャンピオン争いをしてほしいドライバーなので、良い流れになることを期待しています。

ハンガリーGP〜一枚上手のメルセデス

20180806

人をけなすことは簡単ですが、人をほめるのはなかなかむずかしい。でも、どうせなら“できなかったこと”を非難するより、“できたこと”を讃える方が気分は上がる。これはF1観戦でもいえること。ということで、私も考えを改めたいと思います。
これまでフェラーリがしくじり、自ら墓穴を掘っていると思っていましたが、メルセデスが“できる人たち”だったんですね。ようやくそのことに気づきました。
フェラーリが結果を残すべきレースだったハンガリーで、メルセデス〜ハミルトンに勝ち星をかっさわれたのも、メルセデスの鉄壁の戦略と状況判断、そしてハミルトンの卓越したドライビングによるものだったのです。

勝負は予選でほぼ決まったといってよいでしょう。金曜のフリー走行では大方の予想通りにフェラーリが速さをみせ、一方のハミルトンは大苦戦。フェラーリ陣営はドイツでのポカを帳消しにできると思ったに違いありません。しかし予選で雨が降ったり止んだりする、適切な状況判断が求められる状況になると一気に形勢逆転。リスクを避けて早々にタイムを出すメルセデスに対して、フェラーリは「もうちょっと待ったら雨止むかも……」「そうなればいいけど、そうならなかったらどうするの?」「それは俺が決めることじゃないので何とも……」とグズグズしている間にタイミングを逃して、2列目にとどまることに。
いや違った、フェラーリの判断がマズかったのではなく、セオリーをきちんと守ったメルセデスが偉いのです。

決勝も序盤はボッタスにおさえられ「どうにも抜けない」と困っている間に、どんどんギャップを広げられる展開。しかもタイヤを労りながら。“ボッタス蓋”を取り除くためにライコネンをタイヤ交換させて「アンダーカットしますよぉ」と撒き餌をするものの、完全に見透かされていてメルセデス陣営はピクりとも動かず。テレビで見ていても気まずい空気が漂ってきました。
いやいや、これも違う。フェラーリがスベッたのではなく、メルセデスが冷静沈着にレース展開を把握していたのです。
こういうことをされるとフェラーリとしてはかなり厳しい。ベッテルはますます焦るし、ハミルトンは余裕ができる。本当は追い込まれて焦りまくるハミルトンが見たいのですが、そうするとまたネガティブ視点になってしまうので、ゆとりがある状態で洗練を極めた彼のドライビングを拝めるよろこびを噛み締めたいと思います。

ドイツGP〜怒るでしかし

20180724

アカン、アカンですよ! そう叫びたくなるレースでした。
ひとつは、ベッテルが犯した痛恨のミス。ポールからぬかりなくスタートを決め、その後も順調にマージンを稼ぎ、雨乞いをするハミルトンの奇策も防いで、後はチェッカーを受けるまでマシンを走らせるだけという状況で(それが簡単じゃないんですけどね)、まさかのオーバーランからのウォールに当り〜の、クラッシュ! 
このリタイヤはフェラーリ〜ベッテルにとっては本当にイタい。本来なら自分が手にしていた25ポイントをまるまるハミルトンに献上し、自分は坊主ですから。ドライバーズタイトルを決める大きな節目になったことは間違いありません。ベッテルは観ていてしびれる走りをするのに、時々こういうポカや信じられない行動にでることがありますよね。同郷の先輩、シューマッハもそういう面があったような……。
チームの対応も良くなかった。戦略の違いでライコネンがベッテルの前に出たのは良いけれど(最初はハミルトンをおさえるいい作戦だと思ったのに)、その後ペースが上がらないライコネンを長々と前に留めておいて、結局はエンジニアが「申し訳ないのですが、もし良ければベッテルさんと順番を入り替わっていただけると幸いに存じます」と、日本の会社員みたいなモジモジ君ぶりを発揮。どうせ譲らせるなら、さっさと優先する方を前に出さないと。こんなことをしているからベッテルがイライラを募らせ、平常心を失ってしまうんです。それくらいのことは何年も一緒に仕事をしていたら分かるでしょ。数字ばっかり見て、人を見ていないからこういうことをしてしまうんだ! もっと人としての基礎力を養う必要があるだろがッ! ハァ、ハァ〜……すみません、半分以上は日頃のグチです。

気を取り直しまして、もうひとつのアカンやつはといいますと、ハミルトンがピットレーンの白線をまたいだことに対するスチュワードの対応です。誰が見ても白線をまたいでいるのに、一切お咎めなし。審議すらされないのはどういうことか。常々スチュワードのペナルティに一貫性がないと批判されていますが、僕は「それもひっくるめてレース」と思っていたクチなのですが、今回は酷い。
マシン同士の接触であれば、その時の状況を考え合わせる必要があり、多少のブレが生じることもあるでしょう。しかし、今回は単純に“越えたか・越えていないか”の問題であり、ハミルトンは明らかに単独でラインを越えている。この時点でペナルティを科せられるのが当然。なのにスチュワードは「ドライバーではなくチームが混乱していた」「ラインを越えた時は危険性はなかった」「本人たちはミスを素直に認めている」から、「次から気をつけろよ」で済ませるって、どういうこと?! 
ペナルティというのは結果ではなく、決められたルールを破ったことに対して科せられるものでしょ。これって極端にいうと、誰もいない道路で200キロ出して捕まっても、「ごめんなさい」と謝れば許されることになります。百歩譲ってスチュワードの言い分が通るなら、PUなどの交換で予選ポジションを降格させるのは矛盾するでしょ。こんな認識の人がスチュワードをやったらダメ。
しかもメルセデスのお膝元ということで、イヤでも忖度オーラを感じてしまう。タイトル争いだけでなく競技そのものにケチがつくので、FIAはこんなことが起こらないよう、何らかの対応をしないと。少なくとも、1年間は同じ人が務めるとか、すぐできることはあると思います。

オーストリアGP&イギリスGP

20180711

F1史上初となる3週連続開催。終わったと思ったら、すぐに次のレースのフリー走行がはじまる。ボケ〜っと観てるだけの者がこれなんだから、実際にレースをしているドライバーやスタッフは忙しさのせいで、いろんなものが溜まる状況だったことでしょう。F1観戦の楽しみは実際にレースを観るだけでなく、終わってから頭の中であれやこれやと反芻することも大きな位置を占めているので、早くても隔週ペースが良いところ。年間21戦というのも、ちょっと多い。個人的には17戦〜18戦くらいがちょうどいい塩梅です。

さて、まずはオーストリアGP。ここはPUの依存度が高いためメルセデスが有利と予想されていましたが、結果はまさかまさかの2台揃ってリタイヤ。メルセデスの無双時代がながかったせいで、トト・ウォルフさんの苦虫を噛みつぶす顔を拝むのが楽しみになってます。
優勝したのは、勝ち目はなしと考えられていたレッドブル〜フェルスタッペン。バーチャルセーフティーカーのあやでトップに踊りでた運はあったものの、レース終盤にブリスターが出たせいでライコネンの追い上げを食らいながらも冷静にポジションを守るところはさすが。モナコ以降、落ち着いてレースをして結果につなげている。彼が余裕をもって走っても勝てることを知ってしまったら、ライバルにとっては厄介な存在になることは間違いありません。そのことをいちばん肌で感じているのは、間違いなくリカルドでしょう。

その他では、ようやくハースがダブル入賞。今年のグロージャンは、マグヌッセンがシュアなドライバーに見えるほどのとっ散らかしぶりで、これまでノーポイント。今回のポイントゲットで波に乗れるか。カイロ・レンみたいに癇癪もちなところがキュートなので、これからもちょこちょこ、とっ散らかしていただきたい。たぶん期待に応えてくれると思うけど。


次は、イギリスGP。優勝候補は、ここで勝ちまくっているメルセデス〜ハミルトン。ところが予選ではフェラーリが食い下がり、ほぼ互角。ライコネンがあわやポールとザワつきましたが、お決まりのちょいミスで3位。それでもレースペースを考えると、スタートで前に出ることができれば勝機あり。そして決勝ではスタートの蹴りだしは良く、ポジションアップのチャンスでしたが、ハミルトンに接触していつも通りにポジションダウン。昔は1周目の駆け引きはうまかったのに……。この接触についてハミルトンとメルセデス首脳陣は「わざとじゃねえの」的なケチとつけ、両チームの間で緊張が走る。
素人の私が申し上げるのは恐縮ですが、あれはシンプルに“しでかした”系。第一、ライコネンがハミルトンを押し出したはずみでベッテルも巻き込む可能性だってある。そもそもライコネンはそんなことをするキャラじゃない。万が一チームから指示されたとしても、トボケけてスルーするでしょ。ベッテルも「愚かな考え」と一蹴してますが、バクーで体当たりしたあんたが言うとややこしくなるので、ここは黙っておきましょう。

最下位に落ちたハミルトンは怒濤のオーバーテイクショーを繰り広げるのですが、他のマシンとのスピード差があり過ぎて逆にシラケてしまう。この辺のところはレギュレーションで何とかしないとどうにもなりません。
レースは終盤にセーフティーカーが入ったことにより(その原因をつくったのはグロージャン! やっぱり自分の立ち位置を分かっていらっしゃる)、トップ3チーム〜6人のドライバーが僅差でポジションを争う展開に。こういうの、久々にお目にかかりました。セーフティーカーがお膳立てしたシチュエーションではありますが、それでもワクワクする。ファンはこういうのが観たいんです!

ところで、袂を分つことになったマクラーレンと(トロロッソ)ホンダは、シーズンが進むにつれ下位に沈んできましたね。それに代わって、ザウバーが上昇。フェラーリのBチーム化が進行しているということでしょうか。マクラーレンの低迷ぶりは特に酷く、ついに魔人ブーが事実上の更迭。そんなマシンでもきっちりとポイントを持ち帰るアロンソの腕は一級品。勿体ないッ!

フランスGP〜肩すかしを食らったような……

20180630

フランスGPとしては2008年以来10年ぶり、ポール・リカールでのレースでいうと1990年以来28年ぶりとなった今回のレース。第一印象は、「見にくいッ!!」 何ですか、あのエスケープエリアにあしらわれたトリコロールカラーは。マシンが走っているのを見ると目が回って気持ち悪くなってくる。しかも、イルな感じが漂ってきてコワい。企画した人も出来上がった景色を見て、「やってもおた……」と悪寒がしたことでしょう。

肝心のレースは、メルセデス〜ハミルトンの楽勝。オープニングラップでベッテルとボッタスが接触して優勝争いから脱落し、レッドブル勢にハミルトンに迫る速さがないことが早々に分かったため、後はチェッカーフラッグ目指して気持ちよくドライブという展開に。
ベッテルはまたオープニングラップでのアクシデント。彼の攻め姿勢は好きなんですが、何回もやってしまうのはマズい。こういうポイントの取りこぼしは後々響いてくるしょう。
ボッタスは悪くはないけれど、やっぱり物足りない。思えば、彼がメルセデスに入って、ハミルトンとハラハラするバトルをしたことって1回もない気がします。ハミルトンもそのことが分かっているから、多少の浮き沈みはあっても「マークするのはベッテルだけ」と余裕がある。メンタルに余裕があると走りが安定する。ボッタス的には敵に塩を送る状態。優等生キャラのロズベルグでも自分をすり減らしながらハミルトンに挑んだのだから、ボッテスも契約更新より打倒ハミルトンを目指してほしい。このままでは絶対にハミルトンには勝てません。

そして、ある意味もっとも残念だったのが、3人のフランス人ドライバー。オープニングラップでグロージャン、オコン、ガスリーが絡むというウソみたいな展開。原因となったグロージャンはチームメイトの活躍で焦りがあるのか、原点回帰を目指しているのか定かではありませんが、「オープニングラップの狂犬」に戻ってますね。

マクラーレンについては、ちょっと言葉が出ないというか、ひど過ぎる。このことについては、また別の機会に。

レッドブル・ホンダ誕生!

20180625

レッドブルがついに結論を出しました。タイトルを獲るために選んだパートナーは、これまで共に栄光を勝ち取ってきたルノーではなく、大きな可能性を秘めたホンダ。一部には、可能性よりも不安の方が大きいという声もありますが……。少なくとも2019年はレース単体でなら優勝できるルノーとの契約をキープして、トロロッソを通じてホンダPUの性能を探ると思っていたので、今回の発表にはビックリしました。ルノーサイドが、そんな都合の良い1年契約を認めなかったために半分仕方なしの流れだったのか、それとも既に乗り換えた方が良いというデータが出ているのか、興味深いところです。
ホンダにしても、レッドブルとのパートナーシップは大きなチャレンジ。ルノーとの関係から察するに、PUサプライヤーに対するプレッシャーはマクラーレンどころではないでしょう。マクラーレンとのプロジェクトはある程度の時間をかけてタイトルを狙うというのが目標でしたが、レッドブルの場合は“今すぐタイトルを獲る”ことがミッションとされます。しかもシャシーに関しては、ポテンシャルがあるのは証明済み。要するに、勝てば“オレたちのおかげ”、負ければ“お前らのせい”にされる可能性がかなりあるわけです。
正直なところ、「ひとまず本社に持ち帰りまして検討させて頂きます」という日本企業体質が染みついたホンダに対応できるのか、サクラのスタッフの皆さんのメンタルがヤラれないか、心配でなりません。
しかしまぁ、決まってしまったのですから、今さら心配しても意味がありません。それに、マクラーレンやトロロッソと組むより、はるかに勝てる可能性は高まったのですから、素直に応援したいと思います。

ただ、レッドブル的に、この決定がドライバーや主要スタッフにどう影響するかが気になるところ。リカルドは年齢的にも悠長に待っているワケにもいかないので、すぐに勝てるチームを優先することは間違いありません。とすると、ホンダは明らかに不安要素。メルセデスかフェラーリへ移籍したいところですが、メルセデスは現状維持、フェラーリも現状維持またはルクレール採用に傾きつつある様子。リカルドは歯がゆいでしょう。個人的にはメルセデスに移籍して、ハミルトンとガチ勝負してほしい。そうなると、レッドブルの空きのシートに座るのはサインツか、それてもガスリーかと、楽しみが増えます。
また、エイドリアン・ニューウェイがルノー移籍というウワサも。リカルドの穴をある程度カバーできるドライバーはいますが、ニューウェイの代わりが務まる人はまずいません。もしチーム離脱が現実のものとったら、近い将来チームの力関係に大変動が起こる可能性も。ここでもうひとチャレンジしてほしい!

カナダGP〜フェラーリ勝利で混戦状態

20180618

メルセデスが有利とされていたカナダGPで、フェラーリ〜ベッテルがポール・トゥ・ウィン。内心自信満々だったのに“フェラーリ有利”とカマしていたハミルトンもまさかの結果に、受注確実といわれていた案件だったにもかかわらず、クライアント社長の知り合いがポロッと出てきてかっさらっていた時くらいのショックを受けてたんじゃないでしょうか。そもそも今年のハミルトンはボッタスに負けることもしばしば。イマイチ乗りきれていない感じです。
チーム代表のトト・ヴォルフも今回の敗戦を重くとらえていることが、彼のコメントだけでなく、悲壮な表情からも伝わってきました。これだけ勝ちまくってきたら「1勝くらい、まぁいいっか!」と考えるのが普通。ここまで貪欲になれることに感服します。

一方、フェラーリ〜ベッテルは、メルセデスが得意とするレースで白星を勝ち取り、ドライバーズランキング首位に返り咲いてご機嫌。これでライコネンがもうひと頑張りして、メルセデスのポイントをかっさらってくれるとチームとしては最高なんでしょうけど、今の彼にそれを期待するのは厳しいですかね……。ベッテルとの相性も大切ですが、ラインナップの見直しは必要でしょう。トップチームのドライバー変更がめっきり少なくなった最近の状況に不満をつのらせているくちなので、シャッフルされることを期待しています。

ホンダとルノーが新しいスペックのPUを持ち込んできたのも、今回の大きな見所でした。グリッド面でのドンデン返しはありませんでしたが、両陣営ともそれなりの効果はあったんじゃないでしょうか。マクラーレンを除いて……。いろいろやっているんですが、なかなか上昇できませんねぇ。優秀なスタッフをレッドブルなどに引き吹かれ、チームのレベルが落っこちている印象は否めません。そろそろブーリエの首もとが涼しくなってきましたね。

今回のレースはオーバーテイクが少なかったこともあり、レース単体の面白味はそんなになかったかもしれませんが、シーズン全体でとらえると大きな節目だったように思います。
ヨーロッパラウンドがどんな展開になるのか、予想がつかなくなってきました!

モナコGP〜リカルドのリベンジ

20180602

神様は日頃の行いをしっかりと見ている。子どもの頃によく言われたこの言葉、ホントかもと思ってしまう今年のモナコGPでした。
2年前に考えられへんチームの戦略ミスとタイヤ交換ミスで勝利を逃したリカルドが、しっかりとモナコ覇者の栄光を手にしました。
空力性能に優れたレッドブルがPUの依存度が低いモナコで強さを発揮することは予想されていたものの、フリー走行がはじまると思っていた以上の速さを発揮。この時点でレースの焦点は、リカルドとフェルスタッペンのどちらが勝つかに絞られたといってよいでしょう。ところがフリー走行3の終了間近に優勝候補のフェルスタッペンがクラッシュして、予選出場できなくなる展開になりました。こちらとしては、やらかすのは決勝レースと思っていたのでビックリ。善くも悪くも、いろいろ見せ場をつくってくれる人です。
最大のライバルの離脱で優勝がグッと近づいたリカルドは確実にポールをとり、スタートも危なげなく決めてレースを先行。レース後のインタヴューを見ると、スタート前は緊張でガチガチになり、メンタルもかなりナーバスになっていたとのこと。僕のような凡人ならそのままガタガタ崩れるところですが、この辺からして違いますね。

さて、リーダーとなり、後は最後までミスなく走りきるだけと思っていたら、28周目にまたまた試練がやってきました。MGU-Kの不具合でパワーが低下。しかもPU全体にダメージが広がらないように、7速・8速が使えなくなるハンデも追加。みるみるうちに2位のベッテルが真後ろに。しかし、ここからが凄かった。普通ならいっぱいいっぱいになる状況にもかかわらず、彼は自分と異なるタイヤ戦略をとっているチームメイトのフェルスタッペンだけでなく、ヒュルケンベルグの状況までエンジニアから聞いて、タイヤ管理する冷静さを発揮。そして見事、トップチェッカーを受けたました。
いつもはオーバーテイクで魅せるリカルドですが、今回はディフェンスで魅せてくれました。
レース後、いろいろなドライバーが「退屈なレースだった」とコメントしていましたが、なんのなんの、見応えのあるレースでした。

スペインGP〜目を醒ましてしまったハミルトン

20180517

あれだけうるさく言ってたのに……言わんこっちゃない。眠れる獅子が目を覚ましてしまったじゃないの!
開幕戦からメルセデス〜ハミルトンが波に乗れていない間にフェラーリ〜ベッテルが2連勝して「今年はいけるぞ」と期待したのも束の間、グダグダの戦略や一か八かのギャンブル失敗、フェルスタッペンの茶々によってポイントを取りこぼす、いつもの展開に。
前戦で棚ぼた優勝を手にしたハミルトンが勢いづくんじゃいかと危惧していたら、案の定な結果となりました。フリー走行からチェッカーフラッグを受けるまで、終始メルセデスがひとつ上の速さを発揮。シーズン前のテストからカタロニアサーキットでは速いタイムを出してしたものの、総合力が問われるこのサーキットで余裕の勝利をおさめたということは、チームが体制を整えてきたといえるでしょう。この対応力がフェラーリとはひと味違うところ。

さて、開幕から5戦を終えて見えてきたのは、新人〜若手ドライバーの実力。ほぼほぼ評価は固まってきたんじゃないでしょうか。残念ながら期待はずれの筆頭となっているのが、トロロッソのハートレー。昨シーズン終盤にF1参戦した時から「もしかして、すごく遅くないですか…」と感じてはいましたが、今のところ印象通り、安定して遅い(奥さんはきれいですが)。しかも奥さんはきれいなくせしてミスも連発していて、「クビアトの方が全然良かったんじゃないの?」と思ってしまいます。努力家で人柄も良さそう、そして奥さんもきれいなのでがんばってほしいのですが、正直F1ではキツそうな気がします。
ウィリアムズのシロトキンもF1に適応するのに苦しんでいる様子。フリー走行で走ったクビサが「恥ずかしい気持ちになった」とぶっちゃけた、良いとこナシのマシンなのでかわいそうな面もありますが、ストロールと比べても見劣りするのはつらい。
そしてもっともガッカリしているのが、バンドーン。昨シーズンは学習の年ということで、アロンソに負けていても「来年がんばればいいから」と温かく見守っていましたが、2年目も負けつづけているようでは話が違う。せめて予選や特定のサーキットでインパクトを残してくれたら期待できるのですが、すべてにおいてアロンソを下回っているのが残念でなりません。彼のドライビングって、どことなく無難なところでまとめてしまっている気がするんですよね。もっとギリギリのところでコントロールするアプローチに変えないと、いくら大きな才能をもっていても、あっという間に枯れてしまう。
そういう意味では、ガスリーの方がシャープなドライビングで、F1に向いているのかもしれません。チームメイトがクビアトだったら、彼の実力がどれくらいなのかが分かりやすかったんですけどね。
期待されているルクレールも実力を発揮しはじめました。最近ではチームメイトに圧勝するだけでなく、中団チームともガチで争っているところが凄い。この調子なら来シーズン、このところ新人に負けじとデカいミスを量産しているグロージャン先輩に替わってハースへ移るんじゃないでしょうか。

次戦は低速&クネクネコースのモナコなので、フェラーリとレッドブルの反撃を期待しています。

アゼルバイジャンGP〜マジですか?!の連続

20180505

アゼルバイジャンGPが行われるバクー市街地コースは、コース幅が狭くて直角ターンが多くあり、ミューも低いため、これまで多くのハプニングが発生。今回も「ぐがぁぁ〜!!」と言葉にならない声が何度も飛び出すレースとなりました。

フリー走行ではライコネンが好調。マシンの性格がフロントのグリップを重視する彼のドライビングにマッチしていることに加え、ダイエットしたことも功を奏しているとか。確かにここ数年は、アゴのラインや腹まわりがモッタリしてました。
一方ベッテルは度々コースアウトするなど、イマイチ乗り切れていない感じ。しかし本人は余裕の表情。実際、今回も予選ではキレッキレのスーパーラップを決めてポール獲得。これぞ、エースの仕事! 1周の速さなら、この人がいちばんかも。ライコネンもQ3では途中まで「もしやポール」という走りをしていたのですが、ミスってしまいました。フェラーリに復帰してからは、ここぞという時にラップをまとめることができないんですよね。

今回、目を引いたのがフォースインディアとウィリアムズの復調。どちらもメルセデスPUのユーザー。長いストレートがあるこのコースでは、メルセデスPUのパワーが威力を発揮したということでしょうか。もしそうなら、そのメリットを使いながらもフェラーリにスピードで負けた、本家メルセデスのマシンのディーバ気質はやっかいです。

決勝はオープニングラップから荒れ模様で、緊急ピットに入るマシンやリタイヤするマシンが続出。そんななか、尋常じゃない“しぶとさ”を見せたのがアロンソ。スタートしてすぐにシロトキンにぶつけられてタイヤが破損したものの、セーフティーカー介入を利用しながらどんどん順位を上げて、7位入賞。この成績はアロンソの腕前があってこそ。バンドーンの成績が実際のマシンのポテンシャルといえるでしょう。
バンドーンは鳴り物入りでF1デビューを飾りましたが、アロンソと比較するとかなり厳しい。トータルで負けるのは仕方ないにしても、予選や得意のサーキットでふっちぎるなど、インパクトのある走りをしてほしい。ワールドチャンピオンになるドライバーは、いきなり速さを見せつけるもの。地味なヒルでさえ、ルーキーイヤーの後半では度々プロストを上回っていました。若手のガスリーと比べても、思い切りの良さというか、シャープさが足りない印象を受けます。もっとヤンチャになっていいでしょう。

「ぐがぁぁ〜!!」その1は、もちろんレッドブルの同士討ち。チームは「ケンカ両成敗」ということにしましたが、誰がどう見てもフェルスタッペンが引き起こしたアクシデント。ラインを何度も変える(しかもブレーキングゾーンで)ことはルール違反だし、これまで何度も同じことをして問題になっていました。その度には彼は「アグレッシブに攻める姿勢を変えるつもりはない」と主張してきました。アグレッシブなのは大歓迎なんですけど、彼の場合はリスクを他のドライバーになすり付けているところが問題。それはリカルドと接触する前のバトルで、彼をウォールに寄せていたことからも分かります。そろそろ改めないと、治そうとしても治らなくなってしまうと思うのですが、レース後のコメントを見るとまだ自覚できていないような……。スチュワードもしっかりとペナルティを科す必要があるのにお咎めなしって、何をしているんでしょうか。

「ぐがぁぁ〜!!」その2は、ベッテル。残り4周でセーフティーカーがはけた時に仕掛けたギャンブルは、結果的には失敗に終わりましたが、レーサーとしては正しい。こっちも、ああいうシーンが見たくF1を観戦しているのですから。そして、彼のギャンブルは、自分で責任を負っている点でフェルスタッペンのものとは違います。

「ぐがぁぁ〜!!」の〆は、先頭を走っていたボッタスのパンク〜リタイヤ。「かわいそう」の一言。ですが、≠で「これだからレースはおもろい」という意味合いも含んでいます。
最後の最後で勝利を逃すボッタスと、勝利を拾うハミルトン。運命を感じます。

月別アーカイブ
カテゴリ別アーカイブ