KITSCH de F1

F1徒然日記。

マクラーレン&ホンダ、パートナーシップ解消

20170919

ウワサ通りマクラーレンとホンダがパートナーシップを解消し、それぞれ新たにルノー、トロロッソとパートナーシップを組むことになりました。
過去に燦然と輝く成績をおさめた両者のチャレンジに期待していただけに、今回の離別は残念の一言。一説には10年にも及ぶ長期契約が、わずか3年で破綻してしまった背景にはさまざまな要因が絡み合い、「これが原因!」とあげつらうことはできないでしょう。しかしながら、その中心にホンダPUの圧倒的なパフォーマンス不足があったことは事実。確かにマクラーレンのシャシーも問題があったでしょうし、ロン・デニス追放などチーム首脳陣のゴタゴタも影響したでしょう。しかし、そんなことが些細な問題に思えるほどホンダのPUは酷かった。しかも復帰2年目に頼りないながらもそれなりに進歩し、「さぁステップアップの3年目!(参戦時は3年目にタイトル争いに加わるという目標を掲げていたような……)」という時に、自分のズボンのスソを踏むようにズッこけてしまったのは致命的でした。

これまでなるべく愚痴は言わないよう我慢してきましたが、今回はちょっと言わせてもらいます。これから無責任に文句をならべるワケですが、もちろん「現場のスタッフはがんばっている」といった人情論はヌキです。大きなプレッシャーの中での激務には頭が下がりますし、自分には目の前に1億円つるされてもやり抜く能力はありません。でも、そんなことを言いだしたらファンは黙って見ていろ!ということになってしまう。ホンダへの激励も込めてグチらせてもらいます。

まず、今シーズンの散々な結果がどうこういう前に、ホンダのF1に対する取り組み方に強い違和感を感じます。ホンダは失敗に終わった第3期をどのように捉え、今回の第4期に挑んでいるのかと。外野からはまったく過去の失敗から学んでいないように見えます。
そもそもF1を「社員育成の場」と位置づけて、レース経験のないスタッフを中心にした社内体制で挑むというアプローチがあり得ない。F1活動を通じて人を育てるのは良いけれど、それはあくまで2次的、3次的な目的であるべき。F1はまず結果を残す(勝つ)ことがミッション。人材育成をしたいのなら下のカテゴリーで経験を積んで、それからF1にステップするのが鉄板。しかも人を育てるためには優秀な指南役が必要不可欠なのに、それすら社内で済まそうとした。極端な話、待ち合わせの時間に遅れているのに、自宅の玄関で子どもに「靴ひもの結び方、自分で考えてみましょうね」と微笑む親みたいな感じ。これじゃ、待ち合わせの相手を怒らすし、子どももオロオロするばかり。
大体どのチームも優秀なリーダーや開発スタッフ、エンジニアを獲得しようと血眼になっている。それにトップになりたいという目標をもってこの世界に入ってきている世界屈指のF1オタクと、辞令によって動く会社員では精神構造が根本から違います。そこんところを考えずにぬるい態度で挑むのは余りに無謀。自信過剰、F1ナメ過ぎととられても仕方ありません。
案の定プロジェクトは思うように進まず、軌道修正もままならずという状態に。3年目にしてようやくイルモアエンジンに協力を仰いだようですが、ズブの素人でも遅いわッ!と怒鳴りたくなります。
F1の開発ペースは市販車のそれとはまったく異なり、臨機応変に判断し、実行に移すことが不可欠。これは日本の大企業が苦手とすることで、そのままではライバルに勝てないということを第3期に痛感したはず。でもどうやら、その痛みもすっかり忘れたようです。
ひとまずパートナーがトロロッソに替わり、今すぐ勝たなければならないというプレッシャーからは逃れられましたが、後ろに控えているのはレッドブル。彼らはルノーに対する態度でも分かる通り、ある意味マクラーレンより手厳しい相手。今回の騒動をマクラーレンのせいと考えているようならレッドブルからも見限られ、ホントに行き場を失ってしまうかもしれない。ホンダが長期的にF1に留まる意向をもっているのであれば、現在のレギュレーションでのレベルアップはもちろんのこと、新しいレギュレーションが実施される2021年以降に優位なポジションにつくための政治的な動きもしたたかに進めてほしいものです。

ホンダに愛想を尽かしたかたちのマクラーレンも、この3年間でトップチームと呼べるだけの実力がないことを露呈しました。パディ・ロウをメルセデスに引き抜かれたのを筆頭に、力のあるスタッフの多くがライバルチームに移り、その補完ができていないのがイタい。来シーズンはルノーPUを載せることになり、ワークスチームやレッドブルと比較されるので、もう「ホンダ、つかえねぇ」とは言えません。
また、今後のチームの方向性も気になるところ。そもそもホンダと手を組んだのはワークスでなければタイトルはとれないという考えがあったからで、今回の動きはその方針と完全に逆行するものです。それだけマクラーレンも切羽詰まっているのが伝わってきます。おそらくルノーはつなぎで、ポルシェのワークスになる展望をもっているのでしょう。この辺りの展開は、ザク・ブラウンのお手並み拝見です。
苦しいのはアロンソも同じ。彼は常々カードはいっぱい持っている的な発言をしていますが、七ならべでいえば6と8のカードがない状態。メルセデスがボッタスとの契約を延長し、ルノーワークスにサインツが(レンタル)移籍することになった今、手持ちのカードはマクラーレン残留のみ。しかもルノーのカスタマーでは、タイトルはおろか優勝もあやしい。おそらく残留することになるのでしょうけど、キャリアのボタンを掛け損ないましたね。

さて、今回のシャッフルでほくそ笑んでいるのがレッドブルであることは間違いありません。何しろ、ルノーとホンダ、それにPUサプライヤーとしてF1参戦を検討しているポルシェを天秤にかけることができるのですから。
ルノーが性能を上げてくればシャシー性能を活かして勝てるし、ホンダが進歩してきたら子分のトロロッソからワークス待遇を取り上げることができる。どちらもダメならポルシェに乗り換えという、おいしいポジション。ただ、ルノーもそんな一人勝ちは許さんとばかりに、レッドブルを牽制していますね。この辺の関係も来シーズン以降見ものです。

数年前のレッドブルとルノーのゴタゴタや、今回のマクラーレンとホンダとのゴタゴタで、メルセデスとフェラーリが示した「脅威になり得るチームにPUを供給したくない」という姿勢をみると、自動車メーカーがPUを供給しつつワークスチームをもつという今のF1全体の状況は健康とはいえない気がします。個人的には、チーム(コンストラクター)とPUサプライヤーを分けた方が競争が激しくなり、チームもチャンスが増えるので良いと思います。ただそうすると、「フェラーリはどうなの?」という話になるので、現実的にはここを制限するのはむずかしい。となると、現在のホンダや近い将来参戦するかもしれないポルシェは貴重な存在。F1を活気づけるためにもホンダの復活は必須です。

イタリアGP〜メルセデスが敵地で圧勝

20170906

ベルギーGPで予想外の善戦をして盛り上がるフェラーリを本拠地モンツァで叩き潰す、圧倒的な強さを見せつけたメルセデス。この憎たらしさがメルセデスがメルセデスである所以。そして、ウェットコンディションで失速するライバルたちを尻目に異次元の速さを見せつけたハミルトンも、憎らしいほどに強い。それにしてもシューマッハのポール記録を上回るとは……脱帽です。
また、ストロールやオコン、フェルスタッペン、バンドーンといった若いドライバーが上位に食い込んだのも頼もしい。こんなおもしろい展開をよそに、ほぼ半数のドライバーが降格するというペナルティ祭にはホントに興ざめです。ロス・ブラウンも代案を検討すると言ってますが、早くどうにかしてほしい。ペナルティポイント制にして、特定のポイントに達したらコンストラクターズポイントからマイナスされるというのはダメですか?

シーズン前半パフォーマンスで苦しんでいたバンドーンは、少しずつ本来の力を見せはじめてきましたね。(当初期待していた破格の大器というタイプではないようですが)。着実にひとつずつステップアップしていくタイプなんでしょう。
そんな彼を今回上位に押し上げるためにベルギーGPでPUを交換したり、今回アロンソの予選アタックを控えたりするなど(アロンソの「もし制限がなかったら」の仮想が盛り過ぎていて笑ってしまいました)、苦肉の策を講じていたにもかかわらず、予選・決勝ともにPUがあっけなくぶっ壊れたのはいただけない。マクラーレンがルノーに乗り換えるかどうかの瀬戸際で、このトラブルはイタ過ぎる……。

「何回プールサイドを走ったらアカンと言ったら分かるんや!」
「ごめんなさい」
「ホンマに分かったな」
「はい、もう走りません」
「ホンマにホンマやな」
「はい!」
「分かったら行ってよし」
「やった〜!」
と走り出していきなりコケる残念な子どものようです、ホンダさん。

レースは早々に1-2を築いたメルセデスが危なげなく勝利。ついにハミルトンがドライバーズランキングのトップに。ベッテルはまだまだタイトル獲る気満々なので、フェラーリは去年のようにガタガタ崩れることなく、もう一度チームを立て直して挽回してほしい。
あと、今回もリカルドが魅せてくれましたね。ペナルティで16番グリッドからのスタートという逆境をもろともせず、4位。よく練られた戦略とリカルドの思いっきりの良いオーバーテイクであれよあれよという間に前方のクルマを交わし、タイヤ交換後はウルトラソフトの利点を活かしてズバッとライコネンをさす。正直、ドライバーとしての勢いが違い過ぎる。残念だけれど、今のライコネンの力では、フェラーリのセカンドドライバーとしても物足りないように感じます。

次のシンガポールはフェラーリやレッドブルも速さを発揮できそうなレイアウト。リベンジあるのみ!

ベルギーGP〜いろんなところでリヒリ

20170904

コース上でもパドックでも、そこかしこでヒリヒリする戦いが繰り広げられたベルギーGP。個人的にはスパウェザーがレースをかき回してくれることを期待していたのですが生憎そうはならず、力のあるチームとドライバーがそれ相応の順位をゲットした結果となりました。ただ、メルセデスが圧倒的に優位という戦前の予想を覆し、フェラーリが肉薄したことがシーズン終盤に向けて期待がもてそうでうれしい。
ハミルトンとベッテルのトップ争いは突き放すでもなく、仕掛けるでもなく、終始1秒〜2秒以内の接近戦。唯一均衡が破られたのが、セーフティカーが退いた34周目のリスタート。ウルトラソフトに履き替えたベッテルがソフトのハミルトンの真後ろについてケメルストレートで並びかけたものの、オーバテイクならず……。手前のオールジュでハミルトンに近づき過ぎたため、ストレートのはじまりで横に出なければならず、スリップストリームを活用しきれなかったことが理由。う〜ん、惜しい。エンジンモードを間違ったためにベッテルに差を詰められたとハミルトンは言ってますが、この人のセーフティカーが退く時の走りはホントに上手いというか、いやらしい。根っから勝負事が好きなんでしょう。
リカルド、ライコネン、ボッタスの3位争いも、セーフティカーが入ったおまけ。リカルドは予選ではフェルスタッペンに押され気味ですが、レースとなると抜け目ない。はやくタイトル争いをさせてあげたいドライバーの一人です。ライコネンはフリー走行までは調子良かったのに予選で振動に悩まされ、調子が狂ったのが残念(お決まりの流れになってますが)。

レースのポイントとなったセーフティカーの原因をつくったフォース・インディアの二人、相も変わらずやり合ってますね。ルーキーのオコンにしてみれば自分の実力をアピールしたいし、トップチーム加入を狙うペレスにしてみれば新人に負けるわけにはいかない。しかもこの2人、どのレースでも予選・決勝ともにすぐ近くにいる。こうなったらバチバチやり合うしかなぃ。ただ、今回はペレスがやり過ぎ。もともと行儀は良くない方ですが、あの幅寄せは危ない。FIAがペナルティを科さなかったのが不思議。いつもは大したことないバトルにペナルティを出して興ざめさせるのに、肝心なところで沈黙って……。チーム首脳陣はチーム内バトルを禁止したようですが、このまま終わらないでしょう。

もうひとつヒリヒリしているのが、アロンソを中心としたマクラーレン、ホンダによる三つ巴の戦い。アロンソはこれまでのマクラーレンやフェラーリとのゴタゴタを反省してか、2年目までは我慢してチームに尽くしてしたものの、3年目は溜まりに溜まった不満が爆発。最近は投げやりモードに入ったようで、今回のレースではデータ上では問題ないのに、ソフトバンクの松坂ばりに違和感を察知して自主リタイヤ。さらにウワサによると、「マクラーレンにホンダをとるか、俺をとるか」と迫っているとか(本人は否定した模様)。やっぱり全然反省してなかったわ……。今後どういう展開になるかは分かりませんが、こういう言動が自分自身を不利な状況に追い込む要因になっていることを誰かが言ってあげないと。どちらにしても来シーズンも彼が臨む環境をゲットするのはむずかしそう。勿体ない。

アロンソが四面楚歌なプールリーグ

20170804

早いものでシーズンも半ば。この時期になると来シーズンのシート争奪戦が本格化してきます。今年は動きが激しくなるみたいなことが言われていましたが、実際はほとんどのチームが現状維持の気配。
プールリーグの主役として取り上げられているのがアロンソ。期待していたマクラーレン・ホンダが勝負の3年目で想像をはるかに上回るしくじりを犯し、レース以外では完全に投げやり状態。現役で最も才能あふれるドライバーと言われる彼がフリーになるということで、さぞ引く手あまたと思いきや、実情はそうでもない様子。
動向のカギを握っているのは、ハミルトンとベッテル。ベッテルは今年いっぱいで契約満了となりますが、フェラーリ以外でタイトルを争えるのは今のところメルセデスだけ。しかしそこには、2018年末まで契約が残っているハミルトンがいる。この二人がチームメイトになるのは無理なので、ベッテルはひとまず2018年はフェラーリ残留しか選択肢はありません。これでまず、トップ2チームのエースは決まり。

次に問題になるのがメルセデスとフェラーリのセカンドドライバー。現在のボッタス、ライコネンはどちらも今シーズン限りの契約。ここにアロンソが候補として挙がるのかというと、まともな人なら「無理無理無理無理〜〜!!」となるはず。チームメイトとの関係というより、チーム的に無理となってしまうところがアロンソのイタいところです。まず、スタードライバーを二人抱えるとなれば膨大なお金が必要となり、大きな負担となる。そして何より、チーム運営に支障をきたす怖れがある。それは彼自身が現在進行形で実証してくれています。
メルセデスの場合はお試しで採用したボッタスが使えることが分かったので、リスクをおかしてまで、いつ爆発するか分からない爆弾を招き入れる必要はありません。
問題はフェラーリ。ライコネンを残留させるか、ニューフェイスを迎え入れるか。ベッテルが残留の条件のひとつとしてライコネン残留を挙げているなんてウワサがありますが、チームとしてはコンストラクターズタイトルを考えると微妙なところ。かといってライコネンに代わるドライバーといっても、リカルドとフェルスタッペンはレッドブルとの契約で縛られているし、スピードと安定性を兼ね備えたドライバーとなるとそんなにはいません。契約ごとを買い取ることも考慮すれば、ペレス、サインツ、グロージャン辺りが候補でしょうか。個人的にはサインツはおもしろそうだけれど、彼にはトロロッソにいる間に表彰台ゲットなど、アッと言わす走りを1、2回見せてほしい。
ということで、消去法的にライコネン残留ということになるかも……。(ハンガリーGPでみせたベッテルのサポートで、残留の線が濃くなってきましたね)
このヌタ〜とキャリアが続く感じ、バリチェロやマッサ、あるいはマクラーレン時代のチームメイト、クルサードとだぶります。ファンとしてはなかなか複雑な心境です。

アロンソは、こうした人軸の要素以外にもビッグ2に移籍できない理由があります。まず、フェラーリに対してはあんな出て行き方をしているので復帰はむずかしい。ましてやとことん執念深そうな暗黒大魔王マルキオンネが許すとは思えません。メルセデスもマクラーレン・メルセデス時代の遺恨がある。
アロンソははじめからマクラーレン・ホンダ残留か他のカテゴリーへの転向しか選択肢はなかったとも言えますね。才能はあるのに行くところがないというこの状況、どことなくモントーヤと重なります。

こうして考えると動きがあるかもしれないのは、トロロッソのどちらか一人とルノー〜パーマー、ザウバー〜ウェーレイン、マッさんくらいでしょうか。地盤変動が起こるのは、2019年(2018年のプールリーグ)ですね。
それにしても10チームは少ない! さらに今は勝てるチームが2チームに限られていたり、レッドブルの長期契約などのためにドライバーが固定されがちでおもしろみがありません。有望な若いドライバーがのびのびと走れる小規模チームが、あと1、2チームあってほしいものです。いっそのことリバティ・メディアが育成チームをつくって、シートをリーズナブルな価格で売り出したらどうでしょうか。

ハンガリーGP〜チームメイトという存在

20170803

オーバーテイクはほとんどなかったけれど、見応えのあるおもろいレースでした!
チームメイトはチームが勝利するために力を合わせて戦う僚友であり、時にはサポートしてくれる味方であると同時に、同じマシンを駆る最大のライバルであり、またタイトルを懸けて争う敵にもなる微妙な存在。ハンガリーGPでは、F1チームに2人のドライバーがいる醍醐味を味わうことができました。

ここ数戦で盤石の態勢を整えつつあったメルセデス。ここでも速さを見せつけるのかと思ったら、フェラーリが予選でフロントロー独占。しかもハンガリーで滅法強いハミルトンは4番手に沈むという意外な展開。レッドブル勢はフリー走行まではリカルドが調子良かったものの、予選では不発。ただスタート次第では、どんなレースになるか予想できない状況。

今回のレースの肝となるスタート。フェラーリは2台揃って抜群の蹴り出しでポジションキープ。一方、メルセデス勢はレッドブルと混戦になり、ハミルトンがレッドブル2人に前に交わされる。これはおもしろい展開だと思った矢先、マックス・フェルスタッペンがリカルドに特攻してリタイヤに追いやる。あのぶつかり方は、そらリカルドも怒るわ。親父のヨスは菓子折り持って、リカルドとチームに詫びに行かんと。
リカルドが言うように、マックスはまだ自分が思い通りにならなかった時、うまく気持ちをコントロールできない様子。僕と比べるのも何ですが、40こえても上手くできませんけどね。ただ今回ばかりはマックスもしおらしく自分の非を認めて謝罪したとのこと。謝罪を受け入れ、笑顔で和解の乾杯をするリカルドは、ホンマ大人。

レースが動きだしたのは第一スティント後半。それまで快調にリードしていたベッテルのペースが上がらず、ライコネンがせっつく状態に。原因はステアリングポジションのズレ。オンボード映像でも、ストレートで右に傾いているのが分かるくらい。見ているだけで三半規管がおかしくなりそう。ベッテルはスターティンググリッドに並んだ時におかしいことに気づいたとコメントしていますが、これってどうしたらそんなことになるんでしょうか?
メルセデス、フェラーリ共にこの日唯一のタイヤ交換を済ませた時、両チーム間のギャップは大幅に縮まっている状況に。前が詰まっているライコネンはやんわりと前に行かせてくれと訴えるものの、チームはのらりくらりとスルー。そうしている間にボッタスとハミルトンはどんどん迫ってくる。それでもフェラーリは動かず。
ここでボッタスよりペースのあるハミルトンが、「俺にフェラーリ攻略のチャンスをくれ」と提案。条件は、うまくいかなかった場合、ポジションをボッタスに返すという最近流行っているヤツです。チームとボッタスは了承し(ボッタス、聞き分けいい!)、ハミルトンが追撃開始。
敵陣のこの攻めに対してフェラーリは……動かない。確かにライコネンを前に出すことで優勝は獲れるかもしれないけれど、ベッテルがハミルトンだけでなくボッタスにもやられるリスクが出てくる。そうなると獲得できるポイントが減るし、ドライバーズポイントでもベッテルがハミルトンに逆転されてしまう。それよりはマシンに問題のないライコネンが壁となって1-2フィニッシュを狙った方が良いという判断。つまりライコネンは完全にセカンドドライバー扱い。
ライコネンとしては「モナコの時はベッテルを先に行かせたのに、俺は行かせんのかいッ」とはらわた煮えくり返ったに違いありませんが、鉄壁の守りで見事1-2フィニッシュをチームにプレゼントしました。このバックアップには暗黒大魔王マルキオンネもご満悦。契約更新をグッとたぐり寄せたんじゃないでしょうか。

こんな熱い攻防を繰り広げている間にボッタスはハミルトンから大きく遅れてしまい、フェルスタッペンに迫られている。これではハミルトンもボッタスにポジションをお返ししにくい。正直僕は、この状況を理由にしてハミルトンは3位を自分のものにすると思いました。ところがハミルトンは最後の最後で、約束通りボッタスにポジションに返したではありませんか! これにはビックリ。たぶん観衆よりチームやボッタスの方が驚いたんじゃないでしょうか。今後のことも考えてという計算もあったでしょうけど、ここはフェアプレーに徹したハミルトンに拍手をおくりたい。
実績をつくったことで(約束を守るという当たり前のことをしただけですけど)、ハミルトンは今後、厚かましい要求を突きつけてくるかもと、またうがった見方をしてしまいます。

バトン〜突き抜け損なった静かなるドッグファイター

20170727

アロンソのピンチヒッターとしてモナコGPに出場したのを最後に、F1ドライバーとしてのキャリアに終止符を打つことが濃厚になったジェンソン・バトン。
2009年シーズンには念願のワールドチャンピオンになりましたが、そのキャリアは決して順風満帆ではなく、どちらかというとハズレくじを引いて全盛期をつくれなかったように感じます。
ルーキーイヤーからその兆候はありました。BMWとタッグを組んだウィリアムズからデビューし、時折、将来性のある速さを見せながらも、カートチャンピオンのモントーヤに翌年のシートを奪われてベネトンへ。そこでフィジケラにボコられ、一気に評価を落としてしまう。その後BAR〜ホンダでいよいよ迷宮に迷い込み、バトンゲートを引き起こすなど、「もうダメかな」という雰囲気が漂っていました。この時期のチームメイトが荒削り過ぎた佐藤琢磨や、ぬるま湯に浸りきっていたジャック・ヴィルヌーブ、フェラーリの重圧で消耗したルーベンス・バリチェロと微妙な人たちだったことも、ブラウンでチャンピオンになりながらイマイチ評価が上がらなかった要因だと思います。
正直僕もタイトルを獲った時でも、『魁‼男塾』でいえばJくらいの位置づけで、「これまでの苦労が実って良かったね」という気持ちはあったものの、特に「コイツ、凄い!」という存在ではありませんでした。
そんな印象が一変したのが、マクラーレンへの移籍。現役ワールドチャンピオンという栄光とプライドがありながら、アロンソと並んで最強といわれるハミルトンに真っ向勝負を挑む心意気にしびれました。そして3年に渡り、持ち前のレース巧者ぶりを発揮して互角の戦いを繰り広げ、すっかり贔屓のドライバーになりました。
彼はよく雨のレースで順位を上げたことから、戦略を練って粘りの走りをするタイプと思われがちですが、決してそれだけのドライバーではありません。むしろ他のトップドライバーよりも多くのオーバーテイクを試み、手に汗握るドックファイトをみせてくれました。
キャリア後半はまたまたマクラーレン低迷、およびホンダ ズッコケに巻き込まれ、フェードアウトしたのが残念。でも、それもバトンらしいといえばらしいですね。

イギリスGP〜ハミルトン圧勝

20170720

ライバルが手も足も出ない、ブッチギリの走りを見せつけたハミルトン。フェラーリ〜ベッテルにしてみれば1ポイント差に迫られたことよりも、シーズン後半に巻き返せる勢いがないことの方が深刻な問題でしょう。アゼルバイジャンGP前に話題になったフェラーリのオイル問題って、やっぱり影響してるんでしょうか?
メルセデスはシーズン序盤弱点だったタイヤの使い方も解決したようで、予選だけでなくレースペースも速い。逆にフェラーリはレース終盤にタイヤトラブル発生。こうなってくると、もともと純粋なスピードでメルセデスに一歩及ばないフェラーリは苦しい。シーズン中の開発もノツコツしがちなので、今まで通りたメルセデス〜ハミルトンのワンサイドゲームになりそうで心配です。

しかも今年のハミルトンは落ち着いている。ボッタスに先を越されても慌てる素振りはないし、アゼルバイジャンでベッテルにぶつけられた時も冷静に対応。チームでナンバーワンのポジションにいるという心の平安が強さを引き出しているのかもしれません。ボッタスがもっとハミルトンを追い込んでくれるとおもしろくなるんですけど。
「一旦、落ち着こ」と言いたくなるのがベッテル。フェルスタッペンとのバトルでもオーバテイクできなかったことにカッときたのか、その後の攻めが単調に。あそこは技のバリエーションを見せてほしかった。この辺の柔軟さはアロンソとリカルドがピカイチです。そういう意味でも、この二人には優勝に絡めるマシンに乗ってもらいたい。

優勝争いとは別に、ペレスとオコンのチームメイト対決がおもしろいですね。これまではパイセンのペレスがいつもちょこっとリードする展開でしたが、カナダ辺りからギャップが縮まり、今回は予選・決勝ともにオコンが上回りました。オコンがこのまま成長しつづけてパイセンを置き去りにするのか、それともパイセンが強引な走りを復活させて阻止するのか見ものです。

チームメイト対決では、バンドーンが初めてアロンソを上回りました。シーズン前は、ハミルトンやフェルスタッペン クラスのニューカマーかと期待していましたが、これまでのところは肩すかし状態。弾みをつけてこれからグイグイいってほしい。
逆にグイグイいき過ぎているのがクビアト。完全にドツボにハマってます。スピードはあるけれど、レース中の判断が追いついていない感じ。オープニングラップで接触が多いのもまわりを確認せず、自分の“つもり”でステアリングを切っている感じ。しかも同門を撃沈しているのがイメージ悪い。かつて「オープニングラップの狂人」といわれたグロージャンはメンタルカウンセリングを受けて改善を図ったそうなので、一度紹介してもらってはいかがでしょうか。

オーストリアGP〜ボッタス、来年につなげる1勝

20170714

ボッタスにとってオーストリアGPでの勝利は、大きな1勝となりました。派遣スタッフさんのように急遽メルセデスに入り、1年契約を結んだ彼は、契約更新するためには夏休みまでに一定の評価を勝ち取らなければならないというシビアな状況。予選で善戦し、決勝でもロシアGPで初優勝するなど次第点は取っていたものの不必要なミスもあり、ここらで決め手となる成果が欲しかったところに、今回のポール・トゥ・ウィン。この優勝はベッテルとハミルトンのポイント差をおさえるサポートにもなったので、チームは契約更新にグッと傾いたんじゃないでしょうか。
何といっても、初日のフリー走行から安定した走りで着実にセットアップを詰めていき、勝ちきったことが大きい。決勝の第2スティントでブリスターが出てベッテルに迫られましたが、落ち着いて守りきったのも見事。並のドライバーだと、焦ってどこかでしくじるんですけどね。あと1勝すれば、間違いなく来シーズンもメルセデスで決まりでしょう。そして、知らない間にハミルトンとのポイント差は15ポイント。ハミルトンはボッタスにサポートを頼みづらくなってきました。

2位のベッテルは、自分ができる最大限の走りをしたといったところ。マシン的に“やっぱりメルセデス最強やん状態”になりつつある中、すごくがんばっている。たまに癇癪を起こしますが、走りは文句なしにエース。フェラーリとしては、来シーズンも彼に残ってもらわないと困るでしよ。ただ、マルキオンネ会長が勘違いして基本給カット&ボーナス制を言いだし、ベッテルが気分を損ねる展開もなきにしもあらずです。
一方、チームメイトのライコネンはまったく存在感なし。最近は予選だけでなくレースペースでも明らかに遅いのが痛い。1オープニングラップでリカルドにすんなり抜かれたのもイタい。いくらベッテルとの相性が良くて扱いやすくても、この走りではコンストラクターズタイトルが獲れない。残念ですが、今年限りになるかもですね。

3位に滑り込んだリカルドは今回も大健闘。円熟味が出てきました。ここんところ予選ではフェルスタッペンに押されているだけに、チーム内で主導権を握るためにも、しっかり結果を残しておきたいところ。
レッドブルはホームグランプでありながらマシンの特性に合っておらず苦戦が予想されていただけに、リカルド、フェルスタッペン共、ある程度の速さを発揮できたことは、これからの挽回に期待できます。

アゼルバイジャンGP〜燻っていた火種がメラメラ

20170702

何で、17位まで順位を落としたリカルドが表彰台の真ん中で靴にシャンパンを注いで飲んでいるのか? 何で、接触をして周回遅れになっていたボッタスが2位になっているのか? 何で、ストロールが表彰台にいるのか? 謎過ぎるレース展開となったアゼルバイジャンGP。去年は粛々と周回を重ねる退屈なレースだったのに、今年はフリー走行から接触&クラッシュの乱れ打ち。そのおかげで、あちこちで遺恨を残すことになりました。トロロッソとフォース・インディアは、前戦のカナダからチームメイト同士で燻っていた火種がメラメラと燃えだした感じ。特にフォース・インディアの2人はこじれそうな気配で、ワクワクしてしまいます。
ボッタスとライコネンのいざこざは、もはやお決まりのネタ。ボッタスは契約更新の問題がちらついて強引になっているとまでは言わないものの、ちょこちょこ粗さが目につきます。今はレッドブル勢がもう一歩なので助かってますが、マシンの戦闘力が上がってくると喰われてしまうでしょう。ライコネンは本当についていない。でも、最近こういうもらい事故が増えてますよね。それは置いといて、セーフティーカーが出ている時の走りは問題ありじゃないでしょうか。いつも他のドライバーと比べてステアリングを切る度合いが少なく、タイヤを冷えてしまうのではないかと心配してしまいます。それと、セーフティーカーが退く時に前のクルマとの距離が空き過ぎで、後ろのクルマにピタリとつけられてオーバーテイクされることが多い。今回もフォース・インディアにやられてましたね。チームも無線で言わんといかんでしょ。

逆に前のクルマと距離をつめ過ぎていたのがベッテル。確かにハミルトンのコーナー出口での加減速はかなり意地悪ですが、だからといってあんなことをしゃダメ。見てるこっちはザワつきますが、ベッテル自身は何一つ得することはありません。ペナルティを喰らって優勝を逃すばかりか、ペナルティポイントも追加されて出場停止のピンチに陥る始末。これまでもカッと来て暴言を吐くなど癇癪持ちの片鱗は見せていましたが、ここまでの短気クンとは。ただ見てるこっちは、ブツけるのはナシにしても、感情をストレートに出すのは人間味があってよいと思います。ハミルトンとベッテルには、これをきっかけにガンガン攻め合ってほしい。

カナダGP〜目立ったのは紅とピンク

20170615

今年のカナダGPは、メルセデスがせっかく1-2フィニッシュをキメたにも関わらず、中継ではほとんど無視され、ひたすらフェラーリとフォース・インディアがフィーチャーされる展開に。
パワーがものを言うジル・ビルヌーブ・サーキットではメルセデス有利と予想されたものの、予選までは思いの外フェラーリ勢が健闘していただけに、レース序盤での脱落は残念でした。
フォース・インディアは、すっかり中団チームのトップというポジションが定着しましたね。ドライバーも安定感があり、普通にウィリアムズを上回っている。(クレア姉さんから「そっとしておいてあげて」と、温かい言葉をかけてもらっていたストロール君は、母国クランプリで初ポイントを獲れて何よりです)
ただ、フォース・インディアは、ドライバーに安定感があってもコミュニケーションは不安定な様子。事の発端はペレス。最近は丸くなったのかなと思っていたら、変わってませんでした。ペースの良いオコンにひとまずポジションを譲って、リカルドを攻めるチャンスをつくってほしいというチームの提案を拒否して、5位を自分のものに。真面目なオコンしてみれば「なんじゃ!? このオッサン!!」と引いたでしょうけど、F1ドライバーというものはこれくらいのガメツさがないとやっていけないのかもしれません。
中継時はペレスが強引にチームオーダーを無視したのかなと思っていたら、チームの無線の語気はそれほど強くなく、「あんな言われ方だったら、そら譲らんやろ」という感じ。また、タイヤがつらい状態のペレスを抜けないのだからリカルドも抜けなかっただろうという言い分も分かります。こういうことが問題になるのは、チームメイト同士で競争が存在していることでもあるので、ある意味健全だと思います。チームとしては、ペレスがオコンをおさえたことで、2台ともベッテルに抜かれたことが腹立たしいでしょうけど。これまでペレスの後ろを堅実に走っていたオコンには、今回の件で覚醒してくれることを期待します。

もう一方、カナダGPのパドックで話題をさらったのは、マクラーレン・ホンダ。ザク・ブラウンがホンダとの関係解消をにおわすコメントをしたことがはじまり。槍玉に挙げられたホンダは、予定していた新スペックのPU投入を延期し、明確な予定も立たず。そして今回も「遅い・燃費悪い・壊れる」の三拍子で、まったく良いとこなし。これではいくら長谷川さんが「正しい方向に進んでいる」と言っても説得力がありません。アロンソがリタイヤした後、観客にグローブを投げる姿には、「ファンサービスでもせんとやってられんわ」という気持ちが滲み出ていました。ホンダ、ホントにケツカッチンです。

月別アーカイブ
カテゴリ別アーカイブ