KITSCH de F1

F1徒然日記。

チーム代表シャッフル

20230116

去年暮れから今年にかけてのストーブリーグは、ドライバー以上にチーム代表がシャッフルされるという稀な動きがあり、大きな驚きと共に期待と不安が渦巻いている状態です。

まず先陣を切ったのが、フェラーリのチーム代表とテクニカル・ディレクターを務めていたマッティア・ビノット氏で、30年近く勤めてきたフェラーリを去りました。
意見はいろいろありますが、個人的に今回の辞職は仕方ないように思います。エンジニアとしては優秀であるものの、チームを引っ張るリーダーとしては明らかに適していなかった。チームがミスをした時の言動はもちろん、遡るとベッテルがチームを去ことになった時の態度、さらにはチーム代表に就任した際の動き(あくまで漏れ聞こえるウワサではありますが)に、腑に落ちないものを感じていたのが正直なところ。そんな印象を抜きにしても、今の時代にチーム代表とテクニカルディレクターを兼任していたこと自体がいかがなものかと。
ビノットさんが辞めることでチーム内がざわつくというデメリットはあるのでしょうけど、それよりも彼がチームにいつづけられる状況ではなかったのでしょう。
とはいってもビノットさんはPUに関する造詣が深いので、ガーデニング休暇後は、新規参入を目指すチームから引く手数多なんじゃないでしょうか。ただ大人しそうに見えてかなりの野心家っぽいので、テクニカルディレクター的なポジジョンでは満足しないような・・・・。

さて、ビノットさんに替わってチーム代表に就いたのが、アルファロメオのチーム代表だったフレデリック・バスール氏。彼はレース屋さんなので無茶なことはしないと思いますが、フェラーリのようなトップチームで、しかもクセが強い組織で力を発揮できるのかは謎。ただ、今のところフェラーリのユニフォームが似合っていないことだけは間違いありません。

ビノットさん解任からのバストールさん就任は既定路線でしたが、マクラーレンのチーム代表を務めていたアンドレアス・ザイドル氏がチームを離れ、アルファロメオのCEOになったのはビックリでした。
ザイドルさんはリーダーとしての資質を備えた“出来る人”で、彼がマクラーレンに加わってから、みるみるうちにチームが良くなっていったのは周知の通り。そんな彼をチーム上層部は離すわけはないと思っていたのですが、水面下では前からアウディと交渉が行われていた様子。しかし、そこはザイドルさん。良きタイミングでマクラーレンに事情を伝え、スムーズに移籍。やはり、出来る人です。ただ、マクラーレンとしてはザイドルさんの離脱はイタい。

彼の後を引き継ぐのは、フェラーリ、マクラーレンでキャリアを積み、ザイドル体制を支えていたアンドレア・ステラ氏。彼はエンジニア出身で、堅実に仕事をするタイプのよう。組織の再構築真っ只中のマクラーレンにとってはベターな人選だと思います。

つづいて、これも驚かされたのが、ウイリアムズのCEOとチーム代表を兼任していたヨースト・カピート氏の辞職。彼もザイドルさんと同じくリーダーとして“出来る人”で、ウイリアムズ再建でいい仕事をしてくれると期待していたので残念です。
オーナーの投資会社ドリントン・キャピタルはチームを高く売るために、相当せっかちに結果を求めるなと思っていたら、メルセデスでモータースポーツ戦略担当を担っていたジェームズ・ボウルズが後任に。しかもガーデニング休暇なしで。
これはアルファロメオからフェラーリに移ったバストールさんと同じなわけで、要するにウイリアムズはメルセデスのBチームの色合いを濃くしたことを表しています。
メルセデスとしては、現在PUを供給しているアストンマーティンは何やらストロールパパが本気でタイトルを狙えるチームをつくろうとしているし、マクラーレンは将来どういう立ち位置を考えているのかイマイチわからないし、今のうちに自陣強化を図っておこうという考えなんでしょう。
一方ドリントン・キャピタルは、メルセデスと手を組むことが手っ取り早く成績を上げる(チームの価値を上げる)手といったところでしょうか。この先、いつ・誰にチームを売るのか見ものです。
どちらにしても、すべてのチームに求められるのはレース結果。その舵取りをするチーム代表の仕事ぶりは今シーズン以降の楽しみです。

2022年シーズン〜コンストラクターズランキング

20221209

年末の忙しさでバタバタしている間に、あっと驚くチーム代表の大移動があったようですが、ひとまず今回はスルーいたしまして、前回の独断と偏見による2020年シーズンの通知簿のつづきを。今回はコンストラクターズランキングにまいりたいと思います。

【コンストラクターズランキング】

1位・・・・・レッドブル
2位・・・・・メルセデス
3位・・・・・フェラーリ
4位・・・・・アルピーヌ
5位・・・・・マクラーレン
6位・・・・・アストンマーティン
7位・・・・・アルファロメオ
8位・・・・・ハース
9位・・・・・ウイリアムズ
10位・・・・アルファタウリ

1位は、マシン開発、レース戦略ともに鉄壁の仕事をしたレッドブル。去年はドライバーズ・タイトルこそフェルスタッペンがとったけれども、チームの総合力という点ではまだメルセデスが一枚上という印象でした。しかし今年は、マシン開発の進め方、レース中の司令系統、シーズンを通しての戦いぶりなど完璧でした。
ただ、予算超過はいただけない。さらに問題が公になってからの言い草も、このチームの良くないところが顔を出して残念に気持ちになりました。

2位は迷った末、フェラーリではなくメルセデス。結果的には失敗したものの、ゼロ・サイドポットという誰もが驚く攻めのマシン開発をしてきたことにF1の醍醐味を感じたのが理由です。
また、シーズン前半はレッドブルとフェラーリに大きく遅れていましたが、後半には優勝するまで改善してきたことに、このチームの底力を感じました。来シーズンは何勝かするでしょうし、もしかしたらフェラーリを食うかもしれませんね。

3位はフェラーリでございます。客観的に考えれば、今シーズンは「飛躍の年」と評価されていいのかもしれませんが、そうした気持ちが一切湧いてこないのは、チームのやらかし具合があまりにもだったから。さらにビノットさんのチームの柱としてのカリスマ性が乏しい点も大きい。
決して彼だけがダメなわけではなく、チーム体制ひいてはフェラーリ自体に問題があり、ちょっとやそっとでは改善されないのは誰の目にも明らか。そう考えるとフェラーリの黄金期、ジャン・トッド、ミハエル・シューマッハ、ロス・ブラウン、ローリー・バーンに加え、ルカ・モンテゼーモロの存在が利いていたのがわかります。
このままでは、ルクレールがアレジのようになるんじゃないかと心配でなりません。

アルピーヌの4位は、マクラーレンの期待はずれによる繰り上がりです。シーズン開幕前、マクラーレンにはトップ3チームのどこかを食ってくれるんじゃないかと期待していたんですけど、壁は厚かった。チームをうまくまとめていたザイドルさんが抜けるので、結構心配しています。

アルファロメオとハースももっと掻き回してくれると楽しみにしていたんですけど、前半で息切れしちゃいましたね。アストンマーティンに関しては、チーム体制強化の取り組みが本格的にはじまり、これからどう機能するのか楽しみです。が、一筋縄ではいかないというか、かなり危うい雰囲気は漂っています。

アルファタウリは正直、チームとしはていいところなし。唯一、ガスリーの後釜としてデ・フリースを獲得したことが収穫といえるくらい。
ウイリアムズは地味で結果には結びつかなかったものの、ヨースト・カピートさんがチームの基盤づくりをしていた感があったので、2年での離脱はもったいない。これで、チームの未来像はますます不透明になったような気がします。

ということで、まだ当分は3強時代がつづきそうです。

2022年シーズン〜ドライバーランキング

20221201


仕事で忙殺状態になっている間に2022年シーズンは終了。その間にラッセルが初優勝を飾ったり、フェルスタッペンがチームの指示を拒否したり、現役ドライバー全員が参加したベッテルの送別会が開かれたり、いろいろな出来事があったようですね。
F1は喜怒哀楽いろんなことがあっておもしろいです。

さて、それでは今年も私の完全な印象による、2022年シリーズのドライバー&チームのランキングです。「そんなことねぇよ!」、「わかってないな」とツッコミながら、かつ寛大な気持ちでご覧いただけると幸いです。
今回は前編としてドライバーランキングを発表!

【ドライバーランキング】

1位・・・・・フェルスタッペン
2位・・・・・ルクレール
3位・・・・・ラッセル
4位・・・・・ハミルトン
5位・・・・・アロンソ
6位・・・・・ペレス
7位・・・・・サインツ
8位・・・・・ノリス
9位・・・・・オコン
10位・・・・ベッテル
11位・・・・アルボン
12位・・・・ボッタス
13位・・・・マグヌッセン
14位・・・・ガスリー
15位・・・・角田
16位・・・・ジョウ
17位・・・・ストロール
18位・・・・リカルド
19位・・・・シューマッハ
20位・・・・ラティフィ

毎回1位はタイトルをとったドライバーというのがお決まり。フェルスタッペンは今年こころに余裕ができてさらに進化して、SS級のレベルに到達したんじゃないでしょうか。顔つきもすっかり大人になり、チャンピオンのオーラも出ていきましたね。ブラジル戦ではハミルトン相手に神経が昂ぶったのか強引な走りが出てしまいましたが、1年通して圧巻の走りでした。

シーズン序盤、一瞬だけタイトル争いを展開したルクレールも大器の片鱗を見せてくれました。とにかくワンラップが速い! やっぱり純粋なスピードをもっているドライバーは魅力的です。
ただ今年は、一生分くらいフェラーリの伝家の宝刀「俺たち」にヤラれたのが不憫でなりません。彼の眉が下がった困り顔のせいで一層同情してしまいます。
ネット記事でよくチームと一緒に彼もミスを繰り返したみたいなフレーズを見かけるのですが、そんなにミスしましたっけ? 大きいミスってフランスの時くらいじゃないかと・・・・。まぁ、フェルスタッペンやハミルトンと比べると、数字とは別の走りから漂う安定感はまだ及ばないようには感じますが。

3位は今年メルセデス入りしたラッセル。メルセデスの秘蔵っ子であり、将来のチャンピオン候補。武者修行を終えてのメルセデス1年目は、期待通りの走り。しっかりと初ポール、初優勝をゲットしましたね。しかも若手らしからぬ安定感。シーズン中盤、ギャンブルに走りがちなところもありましたが、そういう思いっきりの良さもこ彼の持ち味かと。タイヤマネジメントやレース全体の組み立てに関しては、まだまだハミルトンが上で「さすが」と唸らせることが度々ありましたが、ラッセルが強者であるのは間違いありません。
あと、特筆すべきはアロンソ。40歳オーバーとは思えないスピードと、40歳オーバーならではの老獪さを併せ持ったモンスターですね。大体40過ぎたF1ドライバーというのをあまり見たことがないのですが、普通30代半ばで心身共にいろいろな要素が低下していくのがベーシックなはずですが、どうもこの人には当てはまらないようです。
モチベーションも高いようで、またまたチームと微妙な感じになって移籍することに。アルピーヌから復帰して、さすがのアロンソも丸くなったなと思っていたら、アロンソはアロンソのままでした。

ベッテルについてはまた別の機会に触れるとして、ここ数年はすっかりキレがなくなったよう感じられていましたが、引退を発表してからは気持ちが吹っ切れたのか、いい走りをしていたのがうれしい。
そういう意味では、元チームメイトのリカルドもリフレッシュしてカムバックしてほしいものです。まさか彼がここまでマクラーレンで苦戦するとは思いませんでした。反対にノリスを食うくらいに思っていましたから。たとえノリスの方が速いにしても、あの差はない。負のスパイラルに陥っていたのは間違いないでしょう。厳しい状況ですが、もうひと花咲かせてほしいものです。
そのお手本がマグヌッセン。一度はF1キャリア終了〜!となったもののマゼピンの代打として復帰し、あっと驚く活躍ぶり。シーズンが進み息切れ気味になったところで、今度は自身だけじゃなくハースにとっても初となるポール獲得。あの時の喜びぶりは見てるこっちも胸が熱くなりました。彼の掴みどころのない走りのファンなので、来年もヒュルケンベルグと共にがんばっていただきたい。

日本GP〜フェルスタッペン連覇達成!

20221017

雨に見舞われた3年ぶりの日本GPは、雨降って地固まる、というか、もう随分前からカチカチに固まりまくってましたが、レッドブル〜フェルスタッペンがホンダのお膝元である鈴鹿で、2022年シーズンのドライバーズタイトル2連覇を決めました! おめでとうございます!!
個人的にはもうちょっとルクレールと接戦にもつれ込む展開を期待していたのですが、こればっかりはフェルスタッペンに何の責任もございません。素直に彼とチームを褒め称えるのがF1ファンというものでしょう。

今シーズンのフェルスタッペンがワンランク上にステップアップしたのは明らか。去年までのような強引なバトルは影を潜め、最大限の結果を確実にゲットするスタンスに変わりました。といっても無難にまとめるのではなく、限界を超えるほんの手前まで攻めている。このドライビングをどのレースでもできるドライバーだけがチャンピオン、強いては複数回チャンピオンになれるのでしょう。
フェルスタッペンも去年にタイトルを獲って心にゆとりができたことで、俯瞰的にレースやシーズン全体を捉えられるようになったのだと思います。もともと類稀な才能を備えたドライバーですが、いよいよ歴代チャンピオンの中でもトップクラスの領域に入ったんじゃないでしょうか。

チームも素晴らしい仕事でフェルスタッペンをサポートしました。シーズン序盤はマシンの信頼性に問題があったものの素早く対処。また、ストレートはレッドブル、コーナーはフェラーリが速い特性がありましたが、シーズン半ばくらいからはどこでも普通にレッドブルが速かった。現にペレスがルクレールを負かすことが多くなりましたから。実戦で明らかになった問題点をしっかり理解し、最善の改善策を見してマシンを進化させる。PDCAサイクルとかいう“できる人”が行う手法を実践しているところが、トップチームでありつづける大きな理由でしょう。

逆にフェラーリは、シーズン中の開発で方向性を見失った印象です。マシンの挙動はシーズン序盤と比べて明らかに鈍くなっているし、タイヤにも厳しくなっている。早いところ、どこで道を踏み外したのか見つけないと来シーズンに影響してしまうので、ビノットさん、どうぞよろしくお願いします。
今シーズンは完敗しましたが、今のところフェルスタッペンとタイトルを争う筆頭がルクレールであるのは間違いありません。今回のオープニングラップでも、あんなコンディションで素晴らしいバトルができるのだから、二人ともただ者じゃない。これからも熱い戦いをみせてほしいものです。

そして、忘れてはいけないのが、ベッテル。彼にとってはラストとなる鈴鹿。予選アタックが終わって、「アリガトウゴザイマス、スズカ」と、日本語のメッセージを聞いた時は涙腺のパッキンが壊れそうになりました。レース中にカッとなった時は「子どもか!」ということをしたこともありましたが、素は“いいヤツ”。最近はルックスも70年代チックになり、いい味出してる。そんな彼がレースでは持ち前の状況判断力を発揮して、今季ベストの結果を出したことも良かったですね。

世界中のメディアで取り上げられているようですが、ホントに鈴鹿に訪れるファンは素晴らしい! 贔屓のドライバーやチームだけでなく、すべてのドライバー、チームにリスペクトして、グランプリを楽しむ姿勢を見ると、またまた涙腺のパッキンが壊れそうになります。
今年の日本GPの観客数は結構多かったようですが、若い人たちも巻き込んでもっともっと盛り上がってほしい。
といいながら、本人はチケットの高さに腰が引けて、もっぱら自宅観戦ですが……。

イタリアGP〜第二黄金期のはじまり?

20220921

フェルスタッペン5連勝! 今季11勝目。いやぁ、強い! 最近のレッドブル〜フェルスタッペンは、予選で下位に沈んでもまったく問題なし。フェルスタッペンの能力はもちろんのこと、チームの開発、戦略、全体のマネジメントなど、さまざまなファクターがうまく噛み合い、総合力がうなぎのぼり。レッドブルはベッテルと共に達成した時のような、いや、それ以上の黄金期を迎えようとしています。

まず、今季のフェンスタッペンの成長が目覚ましい。一皮どころか、二皮、三皮むけてツルツルのピカピカ状態。もともと別格の速さとマシンコントロール能力を備えていましたが、タイトルを獲ったことで心に余裕ができ、強引なアタックやブロックをしないようになり、大量ポイントに直結しています。人はこういう状態を「無敵」というんじゃないでしょうか。20代半ばでこの完成度とは末恐ろしい。

マシンに関しても、シーズン序盤は信頼性で問題があったり、フェルスタッペンの好みと異なる特性があったり、全体のパッケージがまとまりきっていない印象でしたが、ハンガリーGPくらいからはフェラーリを凌ぎ、最速マシンになったといっていいでしょう。
今年のマシンはストレートが速く、たっぷりダウンフォースをつける余裕があるため、タイヤのタレが少ない。そこに隙のない戦略が加われば、正反対のフェラーリに負ける要素がなくなってしまう。
こうなると、またまた1チーム・1ドライバーが何シーズンにもわたって独走する状況がつづくんじゃないかと、心配になってしまいます。(あくまで状況に対してうんざりするということですので誤解なきようお願い申し上げます)

レッドブル関連の話題としてもうひとつ、以前から秒読み段階といわれていた2026年からのポルシェとのタッグ話がご破算になりましたね。
ポルシェがレッドブル・レーシングの株を50%取得して、チーム運営の主導権を握ろうとしたことが理由とのこと。レッドブルにしてみれば、ポルシェ自身にPUを開発・製造する体制がないのなら、タッグを組むメリットがないので、そら断りますよね。
しかもスピーディーな対応が肝であるレーシングチームに、大企業のまどろっこしい指揮系統が入ってしまったら、シーズンの流れに対応できなくなるのは、火を見るより明らか。それは、いままで惨敗に終わったワークスチームが散々やらかしてきたことです。

レッドブルがこのように強気な態度に出られるのは、自分たちがPUマニュファクチャラーとして参戦する目処がついたから。かつてルノーとケンカ別れをしたものの、フェラーリもメルセデスもPUを供給してくれず窮地に立たされた経験から、他人の都合に左右されない体制をつくりつつあるのは、「いけてる!」という言葉以外ありません。
ただ今のところ、レッドブル・パワートレインズの核となっているのは実質HRC。おそらく2026年以降もこの関係性は大きく変わらないでしょう。
にもかかわらず、近頃レッドブルの口調が全部自分たちでまかなっているようなニュアンスに変わってきている気がしませんか?
レッドブルとホンダは素晴らしいチームワークを築き上げました。しかし、もともとレッドブルはわがままで、抜け目ない体質。もし、ホンダと新たな契約を結ぶとしたら、ドライな態度で臨むでしょう。
ホンダはお人好しなところが多分にあるので、タッグを継続するなら、しっかりと自分たちのメリットにつながるように気をつけていただきたい。
……自分で言うのはなんですが、誰目線やねん!

とにかく、今のレッドブルは冴え冴え。F1チームでは、レッドブルとメルセデスがあらゆる面で群を抜いてますね。

リカルド、マクラーレンから離脱決定

20220908

火のないところに煙は立たぬ。
シーズン序盤からウワサにのぼっていたリカルドの去就について、マクラーレンは当初の契約期間から1年早く繰り上げて、今シーズン限りで契約解消することを発表しました。
夏休み前に「僕には契約がある」と言っていたリカルドですが、結果的にはウワサ通りになってしまいました。彼がマクラーレンに加入してからの成績や走り、最近の空気感からして、この展開に驚きを感じた人は少ないでしょう。ただ彼は間違いなく実力のあるドライバーであり、マクラーレンに移籍した時の期待の大きさからすると、今回の契約解消は意外であると同時に残念です。

それにしても、どうしてこれほどまでのスランプに陥ってしまったのか。マシンの特性がドライビングスタイルに合わないのか、単にノリスが速すぎるのか、それとも年齢による衰えなのか…。
クセが強いといわれるマクラーレンのマシンに慣れるのに、ある程度の時間は必要でしょう。しかし、もう1年半が経ちました。リカルドはレッドブルからルノーに移籍した際、1年目のシーズン前半はしっくりこない様子が伺えたものの後半はしっかりアジャストしてきました。ということは、マクラーレンのマシンは、ノーマルな人からすると引くくらいド変態な癖をもっているのか? 前任のサインツは乗りこなしていたので、そこまでとは思わないんですけどね。

ノリスとの比較も同じです。確かにノリスはイキが良く、速い。でも、ノリスvsサインツがほぼ互角だったことを考えると(こういう比較はあまりあてにはならないとはいえ)、ここまで大きな差がついてしまっているのは不思議。
予選はタイム的には近づく時もありますが、ほぼ全敗。しかも予選の平均リザルト(オランダGP終了時)は、ノリスの7.86に対してリカルドは11.93。4グリットの差があり、ノリスはほぼほぼトップ3チームのすぐ後ろにつけているのに対して、リカルドはQ2脱落ということになります。そして肝心の獲得ポイントも、ノリスが82ポイント(ランキング7位)、リカルド19ポイント(13位)と大差。リカルドのポイント、やらかしまくっているマグヌッセンより少ないんですよね…。

この状況は、コンストラクターズランキングでアルピーヌと争っているチームとしても頭が痛いところで、来シーズンのことを考えると放置しておけません。そうした苦境のなかで将来有望なピアストリに目をつけてじっくりと下ごしらえをして、アルピーヌが隙を見せるとすぐさま獲得した手際はお見事!

結果論になりますが、マクラーレンとリカルドの関係も、特に大きな問題はないものの、どこか水が合わないような気がしないでもありません。
こんな状況がつづくと、いくらメンタルが強いF1ドライバーでもモチベーションが下がったり、自信が揺らいだりすることもあるでしょう。リカルド的には、何かひとつ問題があるわけではなく、さまざまな領域でちょっとずつうまくいかないことがあり、それが積み重なって調子を崩してしまったんじゃないでしょうか。
そんな状態で来シーズンもマクラーレンに留まるのは、お互いハッピーではありません。そういう意味で今回の離脱は、双方にとって良かったように思います。
リカルドには新天地で活躍し、ニコニコの笑顔を取り戻してくれることを期待しています。シューイは特に取り戻さんでいいけど。

勃発! ピアストリの乱

20220811

タイトル争いがレッドブル〜フェルスタッペンの独走状態になってしまい、すっかり退屈気分になっていたところ、思わぬ角度からブッ込んできてくれました!
もちろん、ベッテル引退発表を機に、雪崩式に発生したアロンソのアストンマーティンへの移籍、アルピーヌのピアストリ起用発表からの〜ピアストリ「俺、アルピーヌで走らねぇ」宣言のお話です。
この問題が噴出して以来、ゴシップ的なものから都市伝説レベルの荒唐無稽なものまで、さまざまなウワサがムクドリのように飛び交っております。確かに誰かと誰かが裏でつながっていて、誰かを陥れるために動いたという陰謀説は野次馬的におもしろいですし、食いつくのもわかります。しかし多くの場合、現実は至って単純なことが多いんですよね。
今回の騒動にしても、ベッテルのシートが空いたことで、シートを探しているドライバーが動いただけの話じゃないでしょうか。別に誰と誰が結託してとか、誰が悪いということではなく、結局のところアルピーヌが魅力のないチームで、ドライバーとの契約に対して胡座をかいていただけかと・・・・。
ただ、ビジネス的には問題なくても、日本人の感覚からすると、「そこまでしますか?!」と感じるのは否めませんが。

ではまず、事のはじまりであるベッテルの引退発表からいきましょう。
ここ数年の彼の感じからして引退を選んだのはごく自然な流れといえますが、引退を発表する直前に現役続行を示唆するコメントがあったので、このタイミングでの発表はちょっとばかり驚きました。おそらく現役をつづけることを基本スタンスにしていたものの、腰を据えて考えたところどんどん「引退」という文字が大きくなっていき、「やっぱ無理!」となったのではないでしょうか。引退発表時のコメントから、彼の誠実な人柄と苦悶の様子が伝わってきて、素直に「ご苦労さま」という気持ちが湧いてきました。
アストンマーティンからすれば、ベッテルの契約更新を軸にしながらも、プランBを準備しておくのはマネジメントとして当然のこと。それがアロンソだったというわけです。

正直、ビックリしました。確かにアロンソはアルピーヌとの契約は今シーズンで終了するので可能性としてはあるけれども、現在のアストンマーティンの力や、「ストロール親子の、ストロールパパによる、ストロール坊ちゃまのためのチーム」という特殊な体制を考えると、移籍はないだろうと踏んでいました。それは、アルピーヌ首脳陣も同じだったと思います。そらそうでしょう、トップ3チームに移ることは考えられないとなると、残りはマクラーレンへの再加入くらい。そして、直前にアロンソ自身が移籍発表前に「アルピーヌとの契約更新の話し合いは10分もあれば終わる」とおっしゃっていたのですから。
いや、彼はウソはついていません。いきなり「オレ、来年はアストンマーティン行くから」と告げたようですので、間違いなく1分もかかっていないでしょう。話し合いではなくメディアを通した一方的な報告であったことと、離縁を突きつけられたチーム側が、事態を理解するまで10分以上かかったであろう点はアロンソのコメントとは異なりますが。
契約上は何の問題もないとはいえ、何の話し合いもなく移籍を決めるというのは、チームに対して不満が溜まっていたことを物語っています。昨シーズンはご機嫌にチームプレイ的なこともしたりして、「アロンソも丸くなるんだ」と感心したものです。ところが今シーズンに入り、マシンの出来はそこそこながらも、なぜかトラブルがアロンソばかりに発生したり、チームがオコンに有利になるような戦略をとったりしたことで、ご機嫌斜めになっていったのでしょう。契約更新に関してもビアストリの存在をチラつかせたのかもしれません。
そして、アルピーヌ本社のCEO、ローラン・ロッシが「アロンソとオコンのどちらかを選ぶのなら、オコンを選ぶ」とコメントをしたことが、とどめになったような気がします。人一倍プライドの高いアロンソが、こんなことを言われて黙っているワケがありません。
そもそもローラン・ロッシという人、ダビデ・ブリビオやアラン・プロストがチームを去った時の態度から、ドライバーやレース関係者に対するリスペクトがなく、俺様万能感が垣間見えるんですよね。そういった諸々の要素がまぜこぜになり、ブリアトーレと「ちょっとイケズしたろ」となったのでしょう。このブリアトーレを起点としたアロンソ、ウェーバーのつながりを「裏でつながっている」といえばそうなのかもしれませんが、これレベルの話ってどこでもあるように思います。
さて、アロンソはチームにひと泡吹かせることには成功したかもしれませんが、キャリアメイクの面では大きな「?」が浮かぶのが正直なところ。いくらアストンマーティンがお金持ちといっても、いきなり強くなるはずもなく、今のアルピーヌくらいの位置に来ることができれば良しでしょう。そして何より、ストロールパパが牛耳るチームにアロンソが収まるはずがありません。ブチ切れて、チームを出ていく可能性は結構高いと思っています。近代F1の歴史を振り返ってもトップクラスのドライビングスキルをもっているのに、チーム選びは歯車が噛み合いませんね。

今回の一連の騒動でいちばんのインパクトを与えたのが、ピアストリ「俺、アルピーヌで走らねぇ」宣言。アルピーヌにしても、アロンソの離脱に驚いたものの、「だったらピアストリ起用でいいじゃん」と、まだ余裕があったに違いありません。彼らはチームへの貢献を期待して投資していたのですから当然のことです。ただし、7月中に来シーズンのシートを確保するという契約事項をすっぽかし、子飼いのドライバーが自分たちのプランに従うことを当たり前だと信じ切っていたのがマズかった。こういうところにも、ドライバーに対する敬意や誠意がないチームの姿勢が表れているのかもしれません。こうしたチームの文化をピアストリ本人とマネジメント陣が感じていて、他のチームで乗る選択肢も模索していたのでしょう。そして、シート確保の期限が過ぎたところで行動に移したと。
で、どこのチームと話がつけたのかといえば、普通に考えればマクラーレンが最有力候補。マクラーレンもいつまで経っても調子を取り戻す気配のないリカルドの復調を待たつづける余裕はありません。チームはリカルドと来シーズンの契約解消について合意すれば、ピアストリの起用を発表するでしょう。

自業自得といえますが、踏んだり蹴ったりのアルピーヌ。ビアストリがマクラーレンに行くことになれば、リカルドがリストのトップに挙がるのは間違いありませんが、「アルピーヌに行くくらいならアメリカに行く」と断られる可能性もなきにしもあらずです。そうなれば、ヒュルケンベルグのお出ましでしょうか。彼にもフラれたらどうするのか? 想像すると、なぜかニヤけてしまいます。

フランスGP・ハンガリーGP〜フェラーリを通じてレッドブルとフェルスタッペンの凄さを実感

20220804

「タイトルに王手や! ちゅうか、こっちはそんなつもりないのに、向こうの王さんが勝手に突っ込んできよった」
もし、マルコ爺さんが将棋をするなら、こんな声が聞こえてきそうです。

今シーズンはフェラーリに期待して応援しているものの、その思い入れはみるみるうちにしぼんでいき、落胆から失望へと変わり、さらに怒りを通り越し、「レッドブルとメルセデスの優秀さを確認する物差しとして重要な存在」と、逆に感心している状態です。
敗者の欠点をあげつらうよりも勝者を称える方が健全で楽しいはずだと思いますので、早くも独走状態に入ったレッドブル〜フェルスタッペンの凄さを改めて振り返りたいと思います。
ハァ・・・・・、無理してきれいごとを並べたら、息切れがしてきました。とりあえず、いけるところまでがんばってみましょう。

フランスGPは、トップを走っていたルクレールが自らのミスで痛恨のリタイヤ。この時点でフェルスタッペンの敵はいなくなり、淡々と走りきって優勝。まさに盤石です。
フェルスタッペンはここ2〜3年、勝負所でほとんどミスをしないし、今年は強引なバトルも影を潜め、安定感がニョキニョキッとアップ。総合パッケージとしてS級ドライバーの域に到達した印象です。
それに対してルクレールは、決してミスが多いドライバーではないのですが、勝たないといけないところでミスをやっちゃうあたりが、タイトル争いの勉強中といったところでしょう。

つづくハンガリーGPでもフェルスタッペンが実力を存分に発揮。マシントラブルで10番手からのスタートという逆境を跳ね返して優勝。抜きにくいハンガロリンクで勝っちゃうとわ! タイトルを獲るドライバーって、ビックリすることをやっちゃうんですよね。タイヤ交換をする際のインラップとアウトラップでコンマ数秒を削る集中力、タイヤを替えた後ライバルにプレッシャーをかける勝負勘、思いきりの良いオーバーテイク、そしてミスをしても致命傷にはならない運、フェルスタッペンはどれも超一級品です。
もちろん彼が実力を発揮できるのは、チームのバックアップがあってこそ。緻密な戦略とレース展開に応じてフレキシブルに対応できる体制、迷いのない決断。こうした要素がガッチリ組み合わせっているから、ドライバーは自分の走りに集中できる。勝利には、ちゃんとした理由があるのです。
連覇してきたメルセデスとハミルトンもまったく同じ。今シーズンの序盤は新鋭ラッセルに押され気味でしたが、シーズンが進むにつれ、ジワジワとレースで上回るようになってきました。この人は、タイヤマネジメントとレースを組み立てる能力がエグい。個人的にはラッセルがハミルトンを凌駕することを期待していたのですが、やはり7タイムズチャンピオンはただ者ではありません。

それに引き換えフェラーリは、チームとしてどうなっているのか?! 脈絡のない戦略、ブレブレで優柔不断な判断、レース後の言い訳・・・・・何年も前から指摘されている問題点を改善できないどころか、ひどくなっているじゃありませんか!
フランスでのサインツに対する指示は、その最たるもの。サインツが前を走るペレスに詰まったためタイヤ交換をリクエストしたところ、チームはステイアウトを指示。ところが、がんばってペレスを抜いた途端にピットインの指示。どういうことですか、これ?!
さ・ら・に、ハンガリーではまたまたまた、ルクレールの足を引っ張る始末。せっかくフェルスタッペンといい勝負をしていたのに、ミディアムタイヤの後、まさかのハードタイヤ選択。予選が上位だったので、ミディアムタイヤでのスタートというコンサバな戦略を採用したのは仕方ありません。しかし、あのタイミングでハードタイヤ交換はないやろう。ハードタイヤが使えないことは、先にハードに替えたアルピーヌ勢が分かりやすく教えてくれていたじゃありませんか。あの状況を見たら、ミディアムでのスティントをのばして、最後にソフトを履く選択をするのはむずかしくないと思うのですが。ルクレールも無線でミディアムタイヤはいい調子と言ってるわけですから。それを最初に決めた作戦に固執し、そこから少しでも外れるとオロオロするばかりになってしまう・・・・。
確かにストラテジストが残念な出来なのですが、結局のところチーム内のシステムや、担当者がズバッと自分の意見を主張できる文化をつくれない現場監督、つまりビノットさんの責任が大きいんじゃないでしょうか。

チーム代表就任時から何度となく言ってますが、この人はチーム代表には向いていません。チーム代表になった時の立ち振舞いや、ベッテルを放出した時の態度からは陰湿な香りが漂ってきて、いいイメージがないんですよね。
この前のフランスGPでも、ビノット節炸裂。ルクレールがクラッシュした直後に無線で「スロットルが・・・・」と叫んだ件や、先述のサインツへの指示に関しては、すぐさまキッパリと「チームは間違っていない」と弁明。いつもは優柔不断なくせして、こういう時だけ胸張って主張してどうすんの! しかもコメント内で矛盾していることも少なくありません。
ハンガリーGP後も「ハードタイヤを選択したことは間違っていなかった」と言いながら、結局どうしようもないタイミングでソフトに替えたワケですから。こうした失敗は、「結果がわかっているから言えることちゃいますの?!」と言えるレベルではないように思います。
おそらくこの人は、組織の上の人やまわりの人の顔色を見て動くタイプなんでしょう。F1みたいに“イッちゃた”人たちが集まる世界では、こういう人が舵取りをすると逆に混乱を招くんですよね。特にアスリートとしてのピークが限られているドライバーはたまったもんじゃありません。
ルクレールも我慢の限界に来ているのは明らかで、不信感をにおわせるコメントも出はじめています。今後状況がさらに悪化した場合、ビノットさんは潔く身を引くのか、それともルクレールを切りにかかるのか、見ものです。ただ、どちらにしても、フェラーリが抱えている根本的な問題は解決しませんが・・・・。

フェラーリの文句は言わないと言いながら、文句を垂れないとストレスで体調を崩しそうなので、ぶちまけてしまいました。ご容赦くださいませ。

オーストリアGP〜ルクレールの力で勝ちはしたものの・・・・

20220718

世界中のすべての人にとって、どうでもいいことですが、僕はこの10年ほど贔屓にしているチーム、ドライバーはいなくて、シーズンを盛り上げてくれそうな人たちを応援しています。ですので、去年はレッドブル〜フェルスタッペン、今年はフェラーリ〜ルクレール視点で観戦しております。
そういう観点でいうと、オーストリアGPは非常に見応えがあり、楽しいレースでした。何しろ、独走状態を築きつつあるフェルスタッペンをルクレールが下し、優勝したのですから。

予選は僅差でフェルスタッペンがポール。スプリントレースはオープニングラップだけ勝負をして、後は淡々と周回を重ねるだけで首位をキープ。フェラーリはルクレールとサインツがやり合ったことで、フェルスタッペンを楽にしてあげたかたちに。ただ、フェルスタッペンはかなり余力を残しているように見え、決勝レースもそのまま勝っちゃうんだろうなと諦めていました。

ところがレースがはじまると、ルクレールがフェルスタッペンに食らいつく展開となり、12周目にオーバーテイク。フェルスタッペンはタイヤのタレが激しく、早めにタイヤ交換したことで、フェラーリ1-2体勢。これは意外。もしかしたら勝てるかも。観ているこちらの集中力も俄然アップする。
しかし、ここからまたもや“俺たちのフェラーリ”が発動されたのでは?!という不安に襲われる。ミディアムからハードに履き替えたフェルスタッペンがペースを取り戻して差を縮めているにもかかわらず、フェラーリはまったく対応する気配なし。あっという間にウインドウ内に入られて、ルクレールがタイヤ交換をしてコースに戻った時には、再び逆転されるという状況。この時はテレビを消してスラッシュメタルを爆音で鳴らし、ふて寝しようと思いました。

しかし、ここからがいつものフェラーリと違いました。ルクレール、サインツ共にフェルスタッペンよりも1秒近く速いペースで迫り、33周目にルクレールがズバッとオーバーテイク! このあたりの思いきりの良さと、ぶつけない技術の高さは、さすがトップチームのエースドライバーといったところ。ブラボーです!

その後、またまたフェルスタッペンが早めのタイヤ交換をして、それに対してフェラーリは反応せず。両者タイヤ交換が終わったところでフェルスタッペンがトップに返り咲くものの、すぐにルクレールがこの日3回目のオーバーテイクをキメる。これだけ1位と2位がバトルで入れ替わるレースは珍しい。
さらにサインツもフェルスタッペンを抜きにかかろうとしたところで、マシンが燃えてリタイヤ。今日は1-2いけただけに残念。

いろいろあったけど、とりあえず今日はルクレールが勝ったとよろこんでいたら、あろうことに無線でスロットルがおかしいと言うじゃありませんか!! どうするどうすると焦っている間にフェルスタッペンがみるみる迫ってくる。またしてもルクレール、無念の敗退というピンチでしたが、なんとか粘って勝利を手にしました。
ルクレールのドライビングはもちろん、メンタルの強さもアッパレです。同時にファステストを出してダメージを最小限に抑えたフェルスタッペンも流石。

それにしても今回フェラーリがとった戦略は正解だったのでしょうか? レースペースに大きな差があることをわかっていて自分たちの戦略を押し通したのか、それともフェルスタッペンの動きに反応できなかっただけなのか。たとえ自分たちのペースに自信があったとしても、タイヤ交換毎に逆転されるというのはいかがなものか。ドライバーは「せっかく抜いたのにまたかよ」と思うでしょうし、ぶつかるリスクも増える。戦略といい、マシンの信頼性といい、ホンマに心配です。
まぁ、タイトル争いは首の皮一枚でつながったということで、これからの連戦での巻き返しを期待しています。

イギリスGP〜サインツ初優勝!

20230708

サインツ、初優勝おめでとう!
初優勝の光景を見るのは誰であっても良いものですが、カオスなF1においてマイナス要素になることも少なくない、実直・まじめな性格のサインツだけに、うれしさもひとしおです。また、今シーズンは苦戦がつづいていたので、自信を取り戻すだけでなく、キャリアのターニングポイントとなり得る大きな1勝といえるでしょう。

サインツはここ数戦復調の兆しがあり、イギリスでもフリー走行からいい感じで走れていたので、「いいとこ行くかも」という期待はありました。そして、予選Q3でルクレールとフェルスタッペンがベストラップを走れなかったラッキーもあり、初ポール奪取。決勝も堅実に走りきって勝利を手にしました。
今回のレースで、たとえ最速でなくても自分のベストを尽くし、何かあった時に成果につなげられる位置にいることが大切だと、改めて実感した次第です。これはレースに限らず、すべてにいえること。諦めず、くさらず努力しつづければ、いつか報われる・・・・・かもしれません。少なくとも良い結果を生む可能性は高くなるはず。そんな当り前だけれどなかなか実行できないことを、自分の半分の年齢の若者に教えてもらいました。と言いながら、すでに明日の仕事をいかに楽しようかと考えている自分がいます。

さて、フェラーリのエースであるルクレールはというと・・・・・、またまたアンラッキーな流れで4位という不本意な結果に。
大きな要因となったのが、これまたチームの“おれたち”戦略。確かに今回は、サインツが優勝したのでミスとはいえないかもしれませんが、やっぱりトイレを出た後も尿道に小便が残っているような違和感を感じます。
まず、オコンがリタイヤしてセーフティカーが出る前にルクレールがサインツの後ろで詰まっていた時、なぜもっとはやく彼を前にいかせなかったのか。もちろん両ドライバーに勝つチャンスを与えるというチームの姿勢は良いと思いますが、あの時は明らかにペースの差があり、後ろからハミルトンが迫っていたので、チームメイト同士でやり合う状況ではありませんでした。結局サインツのペースが遅く、順位を入れ替えたわけですから。もし、はやく順位を入れ替えていれば、もっとギャップをつくれていたかもしれません。結果論でいえば、ダブルでタイヤ交換もできたはず。

もっと好き勝手にいわせてもらえば、セーフティーカーが出た時にルクレールもソフトに履き替えさせた方が良かったと思っています。トップを走っている時はポジションキープがセオリーとはいえ、ハードで走り続けても勝算は低かったんじゃないでしょうか。
チームとしては、「ルクレールとサインツのどっちが勝ってもいいや」というスタンスで、とにかくハミルトンに優勝させないことを最優先に考えての判断でしょうけど、傍から見ると日和ってるように映るんですよね。
レース後、納得がいかないルクレールをなだめるビノットさんの頼りなさげな表情がそれを表しているように思えてなりません。
今後のタイトル争いをするうえで、どっちのドライバーが勝ち目があるのかを考えても、ルクレールに比重を置いた戦略をとった方がよい気がします。

話は変わりまして、メルセデスの復調も今回のトピックスのひとつ。今シーズン悩み続けているポーパシングとバウンシングが大幅に改善されて、ペースも向上。特にハミルトンは持ち前のレースマネジメント能力を発揮して、レース中盤以降、トップ集団とやり合う場面も。ルクレールとのバトルは、はらわたがギュッと縮こまるくらいしびれました! 両者ともあれだけ激しくやり合ってもぶつからないところが、S級ドライバーといったところ。メルセデスにははやく、トップ2チームに追いついていただきたい。

一方、開幕から抜群の安定性を見せつけてきたラッセルは、ついにリタイヤ。おまけに多重クラッシュの要因をつくってしまいました。
予選で上位につけず、ハードタイヤでスタートという賭けに出たことが裏目に出ましたね。彼の思いきりの良さはすごく好きなのですが、ちょっとこのところリスクヘッジとのバランスが崩れているような・・・・。ウイリアムズなら一か八かのギャンブルは有効なんですけど、メルセデスドライバーとしては可能な限りポイントを持ちかえることが大切。といっても、しこしこポイントを取るだけのドライバーはつまらない。ラッセルは大きなポテンシャルをもっているだけに、むずかしいところです。
とはいえ、フェルスタッペン、ルクレール、ラッセル、ノリスという超優秀な同世代ドライバーがガチンコでタイトル争いをする、夢のようなシーンは確実に近づいています。

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