加齢のせいでどんどん記憶力が頼りなくなり、ちょっと前に行われたアゼルバイジャンとカナダのレースのことも、はっきりと覚えていない状態ではありますが、レッドブルが独走状態になっていることだけはハッキリと認識しております。
勝てる時にしっかり勝ちきるレッドブルとフェルスタッペンの強さは、抜きん出ていると言わなければなりません。中長期的な計画に基づいてチーム体制の構築とマシン開発を行い、レース毎に綿密な戦略を練って実行し、結果に結びつける。あまりにも自分と真逆過ぎて笑えてくるほどです。
とびっきり優秀な人材が集まるF1においても、こうしたプロセスを高次元で実行できるのは、今のところレッドブルとメルセデスだけじゃないでしょうか。残念ながら、そこにフェラーリは含まれておりません。確かに昨シーズン1年を棒に振りながらも、今シーズン戦えるマシンをつくってきたことには、トップチームの底力を感じました。
が、同時に現代F1において急激な成長は至極むずかしことも実感することに。マシンに関しては、パワーアップのためにPUにかなりの負荷がかけてしまっているのは間違いないでしょう。
さらに、チームもシーズン序盤はマシンの優位性で目立たなかった“俺たちのフェラーリ”が、レッドブルに追い上げられたせいで顔を出すようになってきています。マシンの質向上と同じくらいに、いや、それ以上にチームの質向上はむずかしいんですね。
このあたりに関して、チーム代表を務めるマッティア・ビノットさんは得意でない雰囲気が漂っているので心配です。お家芸の内紛がはじまってもオロオロするばかりで、最後は人のせいにするような・・・・・。パニック映画で登場する、さんざん人のせいにした挙げ句、悲惨な最期をむかえるキャラにかぶってしまいます。(ビノットさんファンの方、申し訳ございません!)
チームとドライバーは運命共同体とはいうものの、今シーズンこれまでチームがやらかしたこと(これからやらかすこと)を考えると、ルクレールがかわいそうになってきます。彼が今シーズンに犯したミスは、エミリア・ロマーニャGPでのスピンくらい。後は本当にマシンの力をフルに発揮している。なのにドライバーズランキングでペレスに負けていて、ラッセルやサインツに迫られているって、相当チームが足を引っ張ってますよね。
一見、線が細く見えるルクレールですが、メンタル面は結構図太く、気持ちの切り替えもできるタイプのように感じるので、巻き返してシーズンを盛り上げてくれることを期待しています。
さて、このところ話題になっているのが、ポーパシングに関するレギュレーションの再検証。これは、ポーパシングとバウンシングに苦しんでいるメルセデスのアピールがきっかけになっていると思われますが、少なくともトト・ウォルフさんの今回の言い分は都合が良すぎるように感じます。
レッドブル代表のクリスチャン・ホーナーさんが言うように、ポーパシング問題にうまく対処しているチームもあるわけで、メルセデスもポーパシングを解消したいなら、車高を上げれば済む話。完全に安全性をだしにして、自分のところのパフォーマンス改善につなげようとするやり方は、カッコいいものではありません。ただ、結果が求められるチームとしては、やれることはすべてするでしょうし、レッドブルやフェラーリだって同じ立場になれば同じようにアピールするでしょう。
FIAは、ポーパシングに関しては基本的にチーム側で対処すべき問題とし、根本的に改善すべき点があるかは今後検証していくという、真っ当な姿勢を示している様子。
これに驚いたのが、言い出しっぺのメルセデス。もし、ポーパシングによる振動の度合いに対して規制されることになれば、さらに自分のところのパフォーマンスにデメリットが生じる可能性がある。それで、慌てて「うちはグラウンドエフェクトによるポーバシングの問題は解決した。問題はサスペンションによるバウンシングである」みたいなコメントを出しました。
こうしたやりとりも、ちょっと引いてみると滑稽で、かわいらしさすら感じてしまいます。どうやったってロビー活動はなくならないのですから、こうした水面下での攻防戦もF1の一部として楽しんだ方が得な気がします。